議案第1号から第4号まで
議長(柳居俊学君)石丸典子さん。 〔石丸典子さん登壇〕(拍手) 石丸典子さん 公明党の石丸典子でございます。 まず初めに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々をはじめ治療を受けておられる方々に対しまして、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。 そして、命がけで医療現場の最前線で働いてくださっている医療従事者の皆様に、心から敬意と感謝を申し上げます。 我が公明党の山口代表は、一人十万円、所得制限なしの一律給付の実現を安倍総理に直談判し、国民の命と暮らしを守るために、国民が連帯感を持ち、心一つになることの重要性を訴えました。大胆な補正の組替えは、朝令暮改と野党からやゆする声も聞かれましたが、今、求められることはスピーディーに前例にとらわれることなく、国民の心に共感を生む政治であると思います。 本格的に始まる大型連休を前に、東京都知事の発信された、ステイホーム──おうちにいましょうという言葉は、東京だけではなく全国に行動変容を促しています。 四月十六日、全国に緊急事態宣言が発令されてから二週間、職場の休業や学校の休校、行事やイベントの中止など日常はかなり変化し、私自身も最近は三つの密閉を避ける次元ではなく、自分が感染源となっている可能性を考えて行動するようにしています。そして、強制力のない要請に限界を感じながらも、今全力で食い止めなければならないのが、医療現場の崩壊です。 このたびの本県の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策では、一、感染拡大の防止、二、県民生活の安定、三、県内経済の下支えの三つの分野に約六百八十六億円の予算が計上されました。補正としては過去最大の規模であり、新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守るとの村岡知事からの強いメッセージとして受け止め、質問に入らせていただきます。 まず、命を守る感染拡大防止対策について、二点お伺いいたします。 まず一点目、相談窓口体制についてお伺いいたします。 県民の新型コロナ感染症への不安に応える帰国者・接触者相談センターには、四月二十七日現在、約一万七千五百三十三件の相談があり、保健所では日中、職員が電話対応に追われています。夜間には、回線不足から電話がつながらない事態も既に発生しており、不安の声を頂いております。 御存じのように保健所の仕事は、コロナ対応だけではなく、様々な現場を抱えています。テレワークもできません。このように回線がつながらず、患者さんが救急車を呼んだり、最寄りの病院へ駆け込んだりすることが想定され、院内感染を招くおそれがあります。 PCR検査が保健所やかかりつけ医師の判断になっていることから、今後も、帰国者・接触者相談センターへの問合せは、さらに増加することが予想されますし、水際を防ぐ意味からも適切な対応が求められます。 そこでお伺いいたします。各保健所相談窓口、病院や待機宿泊施設などの入院調整機能など、新たな検討も含めて体制強化が必要と思われますが、御所見をお聞かせください。 二点目、感染症検査体制の強化と病床の拡充、医療機器等の整備についてお伺いいたします。 既に本県でも、陽性患者は現在三十二件発生しており、また、近隣の福岡県や広島県の深刻な状況からも広域的な支援も含め、本県の感染症検査体制の強化、病床の拡充整備は急務です。PCR検査については、ドライブスルー方式や各自治体の取組が動き始めています。重症者、中等症・軽症者、無症状者の患者の症状や容体は時間との闘いです。 そこでお伺いいたします。大規模クラスター発生や市中感染も視野に、県はどのように検査体制の強化や病床数の確保、症状に応じた感染症治療に必要な医療機器の整備に取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 また、今、全国では里帰り出産の拒否が問題になっています。里帰り出産には、まず、二週間の自宅待機を求める施設もありますが、出産は日時を選ばず、おなかの赤ちゃんは待ってくれません。全ての病院は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、御家族の面会も厳しく制限されており、妊婦は、出産とコロナの二つの不安を一人で抱えています。 こうした中、感染したとしても、安心・安全に出産できることが妊婦にとって何より重要です。 そこでお伺いいたします。これからの安心・安全な出産に向け、新型コロナウイルス感染症に対応できる病院の施設整備が必要と思いますが、御所見をお聞かせください。 次に、県民生活の安定について、二点お伺いいたします。 まず一点目、県内中小企業におけるテレワーク導入支援についてお伺いいたします。 新型コロナ感染症対策の一丁目一番地はステイホームです。 東京一極集中の解決策として、また、働き方改革の手段としてテレワークは進められてきましたが、総務省によりますと、平成三十年のテレワーク導入状況は、導入しているが約二割、導入していない、またする予定がないが約八割で、資本金別に見ると五十億円以上の企業は五三・三%に対し、一千万円未満の企業は一二・一%にとどまっており、今回の新型コロナウイルス対応でも中小企業の整備の遅れは顕著になりました。 今回のテレワーク導入は、家族も自宅にいる中で様々な問題も見られますが、通勤時間の削減や多様な働き方への転換の機会としても、非常に期待しております。 本県に多い中小・小規模企業がテレワークを導入するに当たり、超えるべき壁は多数あり、情報セキュリティーが安全な環境性能を持つ機器導入に対する予算や自宅での就業規則の策定、テレワークも含んだ事業継続計画の策定など、単独で実施をする難易度は高いと考えられます。 そこでお伺いいたします。このような状況に県として、県内中小企業に対してのテレワーク導入をどのように推進、支援されるのか、お伺いいたします。 二点目、今一番頑張っている子供たちへの支援についてお尋ねいたします。 学校が休校になってはや二か月、卒業式も入学式も異例の形での開催となり、教師も保護者も先の見えない不安と負担を抱えています。国が、本年度から本格的に進めようとしていたGIGAスクール構想は、残念ながら間に合わず、学習面での不安や友達に会えない寂しさに多くの子供たちはストレスを抱えています。 県は、学校再開時の学習指導員の追加配置やスクールカウンセラーの配置などに予算を計上されていますが、動画配信等を活用した家庭学習に必要な通信環境の整備は急務です。 政府も閣議決定した緊急経済対策に医療や教育分野におけるオンライン化の推進を打ち出しました。 教育分野については、学校休業中の学習を支援するためICTを用いた遠隔教育の実施が盛り込まれており、子供たちが自宅で動画などのオンライン教材を使って学習した場合も正式な授業に参加したものと認め、オンラインによる教育課程も充実させる方針です。 また、現在、高校は対面授業と同等の教育効果がある場合に限り、単位に上限を設けて遠隔授業を認めています。特に子供たちの学びを止めないためにも、教育分野におけるICT環境の整備を急ぐべきと思います。 そこでお伺いいたします。今回の新型コロナウイルス感染拡大により長引く学校休業の影響を踏まえ、学校におけるICT環境整備にどのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に、県内経済の下支えの支援、中小・小規模事業者等への支援についてお尋ねいたします。 県内の飲食業界では、新型コロナウイルス感染症が広がりを見せる中、営業の自粛として時間短縮や休業を余儀なくされ、三月、四月の売上減少は今まで経験したことがない落ち込みとの声をたくさん頂いております。 売上減少の中でも店舗の賃料、従業員への人件費、仕入先への支払いは続いており、資金繰りに苦慮されていることを鑑み、国や県では、様々な制度融資や補助制度を策定、拡充されていますが、飲食業を営む方のほとんどが個人事業主であり、資金面も決して潤沢ではなく、制度融資や補助金を待つ間にも資金ショートしそうとの声も寄せられています。 一方で、新たな商品開発や販売手法に活路を求める取組を模索する事業者もいらっしゃいます。例えば、山口市内の飲食店六店がドライブスルー形式で弁当の共同販売を始め、販売初日の二十五日は、用意した約百食は三十分ほどで完売、感染拡大が収束するまで毎日続けるそうですが、逆境の中にあって、こうした創意工夫により売上拡大に取り組む事業者への支援も重要だと思います。 そこでお伺いいたします。県では、このたびの四月補正予算案において、新たな制度融資を準備しているほか、深刻な影響を受け続けている食事提供施設へ十万円を支給する制度や新たな取組に対する補助制度を創設していますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも、懸命に取り組んでいる県内の中小・小規模事業者等への支援にどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 以上で質問は終わります。 最後に、様々な質問にこれから御答弁をいただきますが、私だけではなく、県民がその情報と速やかな実施を首を長くして待っておられます。高齢者や障害者、妊婦さんや個人経営者、そして子供たちなど、それぞれにきちんと情報と支援が届くように、村岡知事には、山口県民の命と暮らしを守り抜くという強い意志と前例にとらわれない行動力を期待しております。 以上で、公明党を代表して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)石丸議員の御質問のうち、私からは、中小・小規模事業者等への支援についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、多くの事業者に深刻な影響を及ぼしており、商工会・商工会議所等の相談窓口には、売上減少に伴う資金収支の悪化など数多くの相談が寄せられており、資金繰りへの支援が喫緊の課題となっています。 このため、私は、県制度融資経営安定資金の融資枠を拡大するとともに、国の緊急経済対策を積極的に活用し、保証料負担がない三年間無利子の新資金の創設と合わせて、総額千二百六十億円の融資枠を確保することとしました。 加えて、大きな影響を当初から受けている食事提供施設は、大変厳しい経営環境にあるとの認識の下、事業の継続に向け、懸命の努力をされている経営者を少しでも応援したいと考え、お示しの一律十万円を助成する制度も創設しました。 一方、様々な業種において、新商品の開発や販路開拓に創意工夫を凝らし、厳しい経営環境を乗り越えようとする動きもあり、こうした取組を一層加速していくためには、事業規模に応じてきめ細かく支援していくことが必要と考えます。 このため、私は、小規模事業者に対して、テイクアウトやネット販売に必要な商品の開発、パッケージの作成、PR費用など、新事業展開に必要な経費について、手続を簡素化した上で三十万円を上限に補助することとしています。 また、中小企業に対しては、補助上限を三百万円に引き上げた上で、ホテルが利用率の低下した客室をテレワーク用に新たに貸し出すために整備するWi─Fi等、施設整備も補助対象とするなど、支援内容の充実を図っています。 私は、このたびの未曽有の危機を乗り越えるため、国の制度も積極的に活用し、また、商工会議所などの関係機関と緊密に連携しながら、県内の厳しい状況にある中小企業皆様方を全力で支援してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)命を守る感染拡大防止対策についての三点のお尋ねにお答えします。 まず、相談窓口体制についてです。 県内における感染拡大を防ぐためには、保健所に設置した帰国者・接触者相談センターにおいて、感染の疑いのある人を確実に把握し、PCR検査に円滑につなげていくことが重要です。 このため、お示しのような相談件数の増加や電話がつながりにくい実態も踏まえ、応援が必要な保健所に庁内の保健師を即座に派遣する体制の整備や、県看護協会と連携し、各保健所に相談員を増員配置するなど、窓口機能の強化を図ったところです。 また、保健師等が専門的な業務に専念できるよう、データ整理を補助する事務職員を応援派遣するなど、全庁を挙げた支援体制を整備しています。 さらに、今後は、相談業務に加え、患者の入院調整業務も増加すると見込まれることから、健康福祉部内に設置する調整本部と連携して業務に当たる相談員を、各保健所に新たに配置することとしています。 県としましては、今後ますます増加する業務に適切に対応できるよう、保健所の体制強化に努めてまいります。 次に、感染症検査体制の強化と病床の拡充、医療機器等の整備についてです。 新型コロナウイルスの感染が広がる中、県民の安心・安全を確保するため、感染拡大の防止に向けて検査体制を強化するとともに、医療提供体制を充実することが重要です。 このため、まず、検査体制の強化については、環境保健センターに検査装置を増設するとともに、県内医療機関等の協力を得て、一回当たりの検査件数を六十件から百六十件に大幅に拡充し、機能強化を図ることとしています。 また、病床数については、感染が拡大した場合に備え、県医師会等の協力の下、感染患者の受入れ病床を四十床から三百二十床に拡充し、とりわけ重症患者向けの病床については、国の想定する九十四床を上回る百二床を確保したところです。 さらに、症状に応じた適切な医療が提供できるよう、重症患者向けの人工呼吸器や人工心肺装置ECMOなど、医療機関において必要な機器の整備を支援してまいります。 こうした取組に加え、重症患者等の受入れや施設・設備等の使用または貸与などについて、近県での広域的な対応ができるよう、中国知事会等において広域支援に関する協定を締結したところです。 県としましては、今後とも医師会等と連携し、医療提供体制の充実に努めてまいります。 次に、安心・安全な出産に向けた施設整備についてです。 本県においても、新型コロナウイルス感染症の広がりが懸念される中、妊婦が感染した場合であっても、安心して出産することができる環境の整備が重要であると考えています。 このため、リスクの高い妊婦や新生児に高度な医療を提供している周産期母子医療センターを中心として、感染妊婦の受入れ体制を早急に整備していくこととしています。 具体的には、周産期母子医療センターにおいて感染した妊婦を受け入れる病床を確保するため、専用の分娩監視装置や新生児モニターなどの必要な医療機器の整備を支援することとしています。 県としましては、妊婦の皆さんが山口県で安心して妊娠・出産することができるよう、周産期医療提供体制の一層の充実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)県民生活の安定についてのお尋ねのうち、県内中小企業におけるテレワーク導入支援についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症対策として期待されるテレワークについて、本県の導入率は全国に比べても低く、県は、今回の在宅勤務の促進を契機に、テレワークの普及啓発から導入まで一貫した支援に取り組むこととしています。 普及啓発については、実践事例の動画を作成し、利用方法を紹介するとともに機器を貸与し、実際に体験することにより、利便性に対する理解の高揚を図ることとしています。 また、導入に向けては、社会保険労務士を派遣して就業規則の見直しなどの環境整備を支援するとともに、機器整備に要する経費を補助することとしており、こうした取組を通じて導入企業の拡大と定着を図ってまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)子供たちへの支援についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、本県においても学校の臨時休業が長期化しており、子供たちの学びを継続するためにも、ICT環境の整備を一層加速する必要があります。 このため、このたびの補正予算において、県立学校については、授業動画等を活用した家庭学習を進めることができるよう、ICT環境が整っていない家庭に対して端末機器や無線LANの貸与などを行うこととしました。 こうした整備に加えて、現在、オンライン学習を始めている学校の先進的な取組事例などを全ての県立学校に周知することにより、全県的な普及を図ってまいります。 また、今年度から設置した、やまぐち教育先導研究室においては、ICT活用の技術に関する情報提供を既に始めており、今後も順次、更新することとしております。 県教委といたしましては、このような状況の中でも、子供たちの学習機会を保障するため、学校におけるICT環境の整備に早急に取り組んでまいります。