議案第1号から第4号まで
議長(柳居俊学君)井上剛君。 〔井上剛君登壇〕(拍手) 井上剛君 民政会の井上剛です。早速ですが、通告に従い質問をさせていただきます。 中国武漢市から広まった新型コロナウイルス感染症は、今や全世界に広がり、日本国内においても四十六都道府県で感染者が確認され、四月十六日には緊急事態宣言の対象地域を全国として発出しました。 本県におきましては、一月三十一日には山口県新型コロナウイルス対策本部を立ち上げるとともに、県内各保健所及び庁内関係課に新型コロナウイルス相談窓口を設置いたしました。 まずは、かつて経験したことのない緊急事態に対し、これまで必死に対応してくださっている全ての方に感謝申し上げます。 本県では、三月三日に初めて感染者が確認され、現在では九市三十二名の方の感染が確認されています。 見えないウイルスの恐怖は、誤った情報の拡散からトイレットペーパーが一時店頭から消えるなど、社会生活を混乱させています。そして今でも、マスクや消毒液を求めて多くの方が早朝からドラッグストアや薬局に並ぶほどです。 その影響は、医療施設や福祉施設まで及び、施設のマスクや消毒液が不足し、今まで感染予防として行ってきた交換が実施できず、別の感染症の拡散や医療従事者が感染してしまうなど、医療崩壊を招くおそれも出てきています。実際、他県では、そうした施設でクラスターが発生し、閉鎖を余儀なくされているところもあります。 また、世界中に広がったこの感染症により、経済活動の停滞が急激かつ広範囲に生じています。 学校休校に伴う給食関係業者さん、三密の防止から営業時間の短縮や休業を実施している飲食業やイベント関係者さん、待機要請からキャンセルが相次いでいる宿泊関連業者さん、感染防止から自主的に休業している理美容業さん、生産調整を余儀なくされた製造業さんなど、経済・社会・雇用に深刻な影響を及ぼしています。 こうしたかつてない状況を踏まえ、知事は、県民の命と健康、そして暮らしを守るためにどのようなお考えで今回の補正予算を組まれたのか、まず初めにお伺いいたします。 そして、この見えない敵の恐怖から県民を守り、そして県民の意識を統一して県民が一丸となって立ち向かうためには、知事の強いリーダーシップとその発信が重要です。 先日から知事が出演され、県民に呼びかけるCMが開始されましたが、子供からお年を召した方まで危機感と緊急性を理解していただき、行動を変えていくにはとても効果があると考えますので、引き続き、ローカルテレビなどに積極的に出て県民に直接訴えることをお願いしたいと思います。 操業時間短縮などで多くの方が平日の夕方には家にいてテレビを見ています。あさってからの五連休を前に、いま一度気持ちを引き締めてもらうために、また、子供や孫に帰省しないように言った親御さんたちにねぎらいと感謝を、あしたの夕方直接県民に訴えられたらと考えますので、御一考いただけたらと思います。 次に、この感染症から県民の命を守るために三点お伺いいたします。 この感染症の方を受け入れる病床数を四十床から三百二十床まで増やして確保できることを二十一日に発表されました。 知事をはじめとする県職員さん、そして医療関係の皆様方に感謝申し上げます。今後、さらにその確保に向け、軽症者などが療養するための簡易宿泊施設の借り上げも予算案に上げられていますが、空いた県営団地や空いている民間団地なども視野に、早期に安心して療養できる施設確保をお願いいたします。 また、今回受入れに御協力いただいた医療機関では、そこで働く看護師さんをはじめとした関係者をこの感染症から守るためには、現在入荷が困難になっています簡易陰圧装置の設置なども急務であります。国と連携しながら、県として強力に支援していくことも重ねてお願いいたします。 そうした中で一点目は、医療機器の状況についてお伺いいたします。 新型肺炎の重篤患者には人工呼吸器や人工心肺装置ECMOといった生命維持装置が必要となります。初めに非常事態宣言が出された七都府県の地域では、既に医療機器の不足が懸念され、早期にクラスターの発生した他県では、医療機器整備を既に進めており、今では人工呼吸器などは納期未定の状況です。医療機器の不足した他外国では、お医者さんが命の選択を迫られる事態にもなっています。 また、N95といった防護マスクや防護シールド、防護服の不足も訴えられています。 今後、感染者が増加した場合、症状の急激な悪化を早期につかむための動脈血酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターの不足も懸念されています。今回、医療機器の整備も盛り込まれていますが、県では、どの程度この感染症に備え医療機器を準備され、不足する危険性に対しどのような対応を考えておられるのか、お伺いいたします。 そして、この影響は一般の病院にも及んでいます。県内のある病院では、多くの医療物品の入荷が未定あるいは出荷制限され、サージカルマスクも一週間に一枚しか提供できていないそうです。手術用のガウンや除菌シートの備蓄も底をつきそうで、状況によっては、診察や手術などの処置が施せなくなる可能性も否定できないそうです。 歯科医院では、既に雨がっぱで診療に当たっているところや、自分たちでフェースガードを作っている病院もあります。 医療機器関係は国の主導で配布も行われています。例えば、医療用マスクは国から山口県には十五万枚ずつ入ってきていますが、先ほど申し上げましたように、私が聞いた病院の全てが交換できずに一週間使っているとのことです。 厚生労働省は、在庫が底をつきそうな医療機関を対象に、国から緊急配布する仕組みを今月中に導入することを発表しました。しかし、それで本当に十分に賄えるのかは不明です。ただ単に国に任せていたのでは、感染者が多く出ているところが優先され、なかなか山口県には入ってこず、手後れになることが心配されます。 私は、こうした緊急事態時は医療機関からのヘルプを待つのではなく、県が積極的に医療機関の状況を把握され、国に対して、いつまでに何を送ってくれと言っていかなければならないと考えます。 それで示されたもので不足するならば、他県のように県民に代替え物資の提供を呼びかける必要があると考えます。そうしなければ、山口県の医療は崩壊すると危惧しています。 県として、県内の医療現場の状況をどのように把握しておられ、県内の医療崩壊を招かないために、国とどう対応されていかれるのか、お伺いいたします。 二点目は、感染症に対応する医療従事者さんへの配慮です。 この感染症に対応している医師や看護師さんは、誰よりも感染リスクを持ちながら、県民を守るために頑張ってくれています。他県のある医師は、感染し家族にうつすことのリスク回避のために家には帰らず、車中泊をしていらっしゃる方もいます。また、看護師さんの中には、家族の方が感染扱いされてしまうような誹謗中傷に苦しんでいます。 医師、看護師さん自身は、自分たちの立場を理解しながら、その中にあっても先ほど紹介しましたように自分たちでできる感染防止、万が一を考えた拡散防止を実行されています。本当に頭が下がるばかりです。 妊娠者や幼児を育てておられる方、高齢者と同居されている方など様々な家庭環境があると思います。そうした医療従事者さんに対しては、希望する方には管理された宿泊施設を確保することも重要だと考えます。感染症に対応している医療従事者さんへの配慮をどのようにお考えか、お伺いいたします。 三点目は、感染症に対応する保健所職員さん、環境保健センター職員さんへの配慮についてお伺いいたします。 本県でも、保健所に帰国者・接触者相談センターを設置し、二十四時間体制で感染が疑われる方からの相談を受けています。また保健所では、患者さんの行動歴の聞き取りや濃厚接触者の特定、検体の搬送など第一線で対応されております。 環境保健センターでも、限られた人数の中、検体のPCR検査を昼夜を問わず行っているなど多忙を極めています。国から示されている通知によりますと、職員の応援やOBの雇用、外部委託などを行いながら、業務継続の体制づくりを進める旨が示されています。 県として、感染症に対応する保健所職員さん、環境保健センター職員さんへの配慮をどうお考えか、お尋ねいたします。 最後に、経済活動についてお伺いいたします。 急速に経済の停滞が急激かつ広範囲に生じたことから、その対応として国では、持続化給付金や個人事業主・フリーランス支援をはじめ資金繰り支援、雇用調整助成金などを打ち出し、早期支援につなげようとしております。 県では、県経営金融課をはじめ各地の商工団体や山口よろず支援拠点、山口県信用保証協会、日本政策金融公庫などと連携し、中小企業事業者さんへの相談に応じています。 そして、緊急的な対応として中小企業制度融資である経営安定資金の貸付原資を約七十九億円を計上し、融資枠を六十億円から二百億円まで拡大される専決処分も実施し、そして、それを今回四百六十億円まで拡大されました。 また、休業要請に応じた事業所さんへの協力金の支給も盛り込まれました。連日、相談に来られる中小企業の皆様に、迅速かつ的確に対応されましたことに、そして、この感染拡大防止に積極的に取り組まれることに感謝申し上げます。 今後も国の制度を活用しながら、県内の事業所を守るべく早期な対応が必要であり、多くの事業者さんの声を聞きながら的確に対応していかなければなりません。今はまだ影響が出ていませんが、これから数か月遅れで緊迫した事態がめぐってくる事業者さんもあります。そうした事業者さんにも貸付原資を確保しておくことも重要です。今まで経験したことのない、この先行きが全く不透明な事態に、ほぼ全ての事業者さんが悩んでいます。 それでも、事業継続に向け飲食店ではテイクアウト商品の開発・販売、自社の技術を活用したこの時期ならではのマスクや防護服、消毒液、触らずに開放できる扉の取っ手などの新商品開発に取り組んでいる事業所もあります。 今回、飲食店の営業維持に対する経費や新事業展開などの事業活動に要する経費の補助も組み込まれており、重ねて感謝申し上げます。 こうした新たな取組を早急に資金的に支援することに併せ、今回を変革の機会と捉え、新たな事業などにチャレンジする活動が広がっていくように、県内の苦しむ事業所さんに助言や支援していくこともとても重要です。 そこでお尋ねします。県内で必死に頑張る事業者さんを守るために、県はどのような対応をされようとしておられるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)井上議員の御質問のうち、私からは、補正予算の考え方についてのお尋ねにお答えします。 国内外で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、県内での感染拡大の防止、また景気・雇用情勢に的確に対応するため、私は、国の緊急経済対策も踏まえ、当面緊急的に措置すべき対策について補正予算を編成しました。 まず、感染の拡大を防止するため、PCR装置の増設等による検査体制の強化や、患者数の増加に備えた病床数の拡充、軽症者が療養するための宿泊施設の借り上げなどにより、医療提供体制の強化を図ります。 また、医療機関や社会福祉施設に対する消毒液等の購入支援など、地域における感染防止対策に取り組みます。 さらに、県からの遊興・遊技施設等への休業要請について、その実効性を高めるため、御協力をいただいた事業者に最大三十万円の協力金を支給します。 次に、県内経済を下支えするため、外出自粛等の影響を強く受けて売上げが減少している飲食店等に対する一律補助など、中小企業等による事業活動の維持や発展を図る取組を支援します。 また、中小企業制度融資における実質無利子の新資金の創設や経営安定資金の新規融資枠の拡大により、県内中小企業等の資金需要に対応していきます。 県民の皆様の命と健康を守ることを第一に、社会・経済への影響を最小限に食い止めることができるように、まず、この補正予算を通じて全力で取り組んでまいります。 その上で、さらなる感染拡大防止対策や停滞した経済活動の活性化に向けた消費喚起対策などについては、感染の終息状況等を踏まえ、今後必要となる取組を追加してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)感染症から県民の命を守る取組についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、医療機器や衛生資材の確保についてですが、基本的対処方針において、国が責任を持って行うこととされており、本県では、資材等の不足により診療に著しい影響が出ている状況にはありませんが、県としては、引き続き、国に対し、速やかに医療物資の調達・供給を行うよう、全国知事会等を通じて要望してまいります。 次に、医療物資の出荷制限等に対する対応についてですが、県では、国が行う保有状況調査等により、病院の使用状況や在庫を週単位で把握しているところであり、現場の実態を踏まえ、不足が生じないよう全国知事会等を通じて、国に要望を行っているところです。 次に、医療従事者への配慮についてですが、最前線で働いている医療従事者への誹謗中傷はあってはならないものであり、県としては、その解消に向けてホームページ等あらゆる機会を通じて県民への普及啓発を行ってまいります。 なお、お示しの医療従事者に対する宿泊施設の確保については、まずは、医師会等を通じてその実態について把握してまいりたいと考えています。 次に、感染症に対応する職員への配慮については、保健師や臨床検査技師等の技術職員の負担を軽減するため、庁内の技術職員を応援が可能な保健所等に即座に派遣する体制を整備しています。 また、技術職員が専門的な業務に専念できるよう、データ整理を補助する事務職員の応援派遣や、県看護協会と連携して相談業務に当たる保健師の確保に努めており、今後とも感染症に対応する職員の支援体制の強化に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)経済活動に関する事業者への支援についてのお尋ねにお答えします。 県では、多くの中小企業から商工会・商工会議所等に売上減少に伴う相談が寄せられていることから、専門家による助言に必要な経費に対する補助事業の補助率の引上げや県制度融資を活用した資金繰り支援などに取り組んでいます。 特に、県制度融資については、経営安定資金の融資枠を拡大するとともに、国の緊急経済対策も活用して、当初三年間を無利子とし、保証料負担もない新資金を創設することにより、経営安定資金と合わせ総額で千二百六十億円の融資枠を確保することとしています。 また、新型コロナウイルス感染症による影響が極めて大きい食事提供施設に対する定額補助制度や、売上げが減少している中小企業が営業の維持・発展に向けて取り組む、業務の効率化や新事業展開等に対する補助制度を設けるなどの支援も行ってまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、十分間休憩をいたします。 午後二時二十一分休憩