1 港湾の機能強化について 2 過疎地域における医療体制の確保について 3 地域公共交通の維持・活性化について 4 鳥獣被害防止対策について 5 食品ロス削減の取組について 6 女性と子供に対する犯罪防止対策について 7 その他
───────────── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第三号まで及び第五号から第十一号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第三号まで及び議案第五号から第十一号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 坂本心次君。 〔坂本心次君登壇〕(拍手) 坂本心次君 おはようございます。自由民主党の坂本心次でございます。 通告に従いまして一般質問を行います。 まず最初に、港湾の機能強化についてお尋ねいたします。 岩国・大竹コンビナート、周南コンビナート、宇部・山陽小野田コンビナートなど、国内屈指の臨海産業集積地域を有する本県では、瀬戸内産業と一体不可分の関係である港湾施設についても、企業ニーズに応じた整備が進められてきたところです。 経済のグローバル化が進む中、本県を牽引する瀬戸内産業は、厳しい地域間競争や国際競争にさらされており、コンビナート間の広域的な連携に向けた取組などが進められているところですが、物流の効率化やコストの縮減などの企業ニーズを踏まえると、県内企業の競争力に直結する公共インフラである港湾についても、各港の特性やニーズに応じた施設整備を引き続き着実に進めることが肝要だと考えております。 私の地元である徳山下松港や宇部港においても、大型バルク船舶の入港を可能とするため、国際バルク戦略港湾として、下松地区における大水深桟橋や、徳山地区、新南陽地区、宇部港の航路・泊地などの施設整備が現在鋭意に進められているところであり、早期完成に向けてしっかりと取り組んでいただくよう願うところです。 一方、コンテナ航路の増便や取扱貨物量の増加によって、港湾物流の効率化やコスト縮減が図られることとなり、県内企業の国際競争力の強化につながるため、インセンティブとなる港湾使用料の減免措置や外貿コンテナ航路をはじめとする定期航路の誘致など、ソフト面での対策にもしっかりと取り組むことが重要であります。 さらに、社会・経済情勢の変化に伴って、港湾利用に対する企業ニーズが多様化しており、特にコスト削減効果が大きく期待できる大型船舶の入港を迅速に進めるために、港湾手続の円滑化を望む県内企業の声は強いものがあります。 港湾施設の機能を最大限活用することにより、企業ニーズに対応した効率的な海上輸送を実現し、県内企業の国際競争力を高めるためにも、官民一体で関係機関の調整や各種手続の円滑化などの取組を進めていただきたいと思います。 県には、港湾施設整備などハード面での取組はもとより、企業ニーズに対応したソフト面での取組も充実強化することにより、港湾の機能強化を図り、本県の活力の源となる産業力をより一層高めていただきたいと考えているところです。 そこでお尋ねをいたします。県は、県内企業の国際競争力を高めていくため、港湾の機能強化に向けて今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、過疎地域における医療体制の確保についてお尋ねいたします。 県土の約五七%を占め、県人口の一三%に当たる約十八万人が暮らす本県の過疎地域は、現在、急速に進行する高齢化や人口減少により、多くの地域で高齢化率が五○%を超え、その高齢者の生活を支える担い手不足も深刻化するなど、将来にわたる生活基盤の維持に不安が高まっています。 とりわけ、このたびの新型コロナウイルスにおいて改めて実感したところですが、住み慣れた地域で健康で安心して暮らすためには、地域住民の身近なところで医療を確保することが何よりも重要であり、持続可能な体制の構築に向け、地域の実情を踏まえた取組を積極的に進める必要があります。 県ではこれまで、僻地の診療体制の確保やそれを支える医療機関との連携体制の構築、僻地の医療機関に勤務する医師の確保など、僻地の医療体制の確保や充実に取り組まれてきました。 しかしながら、県内には十八の無医地区や準無医地区が存在し、僻地の公立病院や診療所への医師派遣を希望する市町の要望にも十分応えることができていない状況にあります。 また、病気や体力の限界等を理由とした常勤医師の撤退により、非常勤体制の診療所が増加するなど、過疎地域での体制の確保は依然として厳しい状況にあります。私の出身地の鹿野地域でも、地域の医療を担う国民健康保険鹿野診療所に常勤医師が不在となっており、地域の方々から体制の充実を求める切実な声が届いております。 過疎地域の医療体制の確保は、地域社会を維持するためにも喫緊に取り組むべき課題であり、限られた医療資源の中で地域医療の確保や充実を図るためには、地域全体の医療を面で捉え、それを支える地域拠点病院を中心とした体制をさらに充実させ、地域全体での新たな医師の確保や派遣機能の充実などにつなげる必要があると考えます。 また、過疎地域で勤務する若手医師には、ベテラン医師に相談できる充実したサポート体制も欠かせないことから、5Gなど新たな技術も活用し、全県での体制の構築に向け、取組を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。県では、地域の方々の健康で安心した暮らしを実現する、過疎地域における医療体制の確保について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、地域公共交通の維持・活性化についてお尋ねいたします。 少子高齢化に伴う人口減少をはじめ、マイカーの普及拡大、人々の移動ニーズの多様化などにより、地域の公共交通を取り巻く環境は厳しさを増しており、その利用者はますます減少する傾向にあります。 私の地元の周南市においても、鉄道の駅やバス停から一定の距離にある公共交通の利用不便地区が熊毛地区や鹿野地区に広がっており、地元からは利便性の向上を求める声も多く頂戴しています。 こうした中、大道理をよくする会によるコミュニティータクシー「もやい便」の運営など、公共交通のない地区での住民の足の確保に向けたすばらしい取組も既に始まっており、こうした取組を各地に広げていくことも重要です。 また一方では、公共交通需要の増加要因ともなり得る状況も現れ始めています。 その代表的な例は、高齢ドライバーの運転免許の自主返納の動きです。相次ぐ高齢ドライバーの交通事故を契機として、全国的に高齢者の交通事故防止の取組が加速化しており、今後も運転免許の自主返納の動きが拡大していくことが見込まれます。 地域公共交通の充実は、高齢ドライバーの皆様が自主返納を決心するための重要な要素であり、安心・安全な地域づくりのためにも、高齢者の移動手段としての公共交通機関の維持・確保はより一層重要となります。 このように、生活交通の重要な役割を担う地域公共交通機関が、現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、非常に苦しい状況に立たされています。 住民生活の足となる乗合バスにおいては、学校等の一斉臨時休校や密閉・密集・密接の三条件を避ける外出の自粛により、利用者が四割程度減少し、運送収入が激減しています。まずは、高齢者や学生といった交通弱者の生活の足をしっかりと確保しなければなりません。 さらに、観光面においても地域公共交通は極めて重要な役割を担っています。 最近では、団体旅行者よりも個人旅行者の割合が高く、個人旅行者は鉄道や乗合バスなどの公共交通機関などの交通手段を用いる傾向が高くなっています。 貸切りバスにおいては、インバウンド旅行者の減少や国内のスポーツ・文化イベント等の自粛により、予約のキャンセルが相次ぎ、三月以降、ほぼ仕事がなく、厳しい状況が続いています。 国や県では、新型コロナウイルス感染拡大の収束した時期を見計らって、これから観光による一大誘客キャンペーンなどを展開していこうとされていますが、いざ、県外からの誘客を図ろうとしても、バスやタクシーといった公共交通がしっかりしていなければ、実際に県内を移動する手段がなく、誘客による経済の底上げも絵に描いた餅に終わらないとも限りません。 このように地域公共交通の役割は、住民の移動手段のみにとどまらず、地域間の交流の活発化や観光等の様々な分野に効果をもたらすものであり、地域活力の維持・創出にも欠かせないものであります。こうした点も踏まえ、県においては、地域公共交通が抱える課題の解決に向けた積極的な取組を期待するものです。 そこでお尋ねいたします。こうした地域公共交通維持・活性化に向け、県は今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、鳥獣被害防止対策についてお尋ねいたします。 本県は、県土の七割を中山間地域が占め、農業の大半が中山間地域で営まれています。山間部にはイノシシや鹿などの野生鳥獣が生息しており、本県では、中山間地域を中心に毎年、野生鳥獣による農作物被害が多数発生しています。 私の地元周南市鹿野地域では、稲作を中心とした農業が営まれていますが、特に八月以降、水稲の成熟、収穫期にはイノシシによる被害が多く、農家の皆様の頭を悩ませています。昨年、収穫直前で被害を受けた農家の方からお話を聞く機会がありました。精神的なダメージも大きかったようで、大切に育ててきた稲を台なしにされ、農業を続けていく気力を失ったと嘆いておられました。中山間地域の農業を守るためには、鳥獣被害防止対策はまさに待ったなしの状況です。 県はこれまで、地域ぐるみの取組を推進するなど、市町と連携しながら、被害の軽減に向けて積極的に取り組まれてきました。その結果、被害額は平成二十二年度の約八億円をピークに、昨年度は四億三千六百万円まで減少していますが、なお高い水準にあります。農家の皆様に安心して生産活動に打ち込んでいただくためには、さらなる対策の推進が必要です。 現在、県内では、被害を軽減するため、広範囲にわたり侵入防止柵や捕獲用わなの設置が進んでいますが、設置後は、対策の効果を高めるため、地域の皆さんによる適切な管理が求められています。 ところが、農業従事者の減少や高齢化の進行が著しい中山間地域では、これらの管理が大きな負担となっており、負担を軽減する仕組みづくりや効率化・省力化が期待される新たな取組の導入により、対策の実効性を高めることが必要となっています。 また、鳥獣被害防止対策はこれまで、イノシシ、鹿、猿を対象とした対策が中心でしたが、近年、各地でアライグマやヌートリアの目撃情報が相次ぎ、被害も拡大傾向にあります。ヌートリアによる被害は、水稲や野菜の食害だけでなく、水田のあぜ道を壊す被害も確認されており、また、繁殖力が高く、被害の急速な拡大も懸念されることから、早急な対策が求められています。鳥獣被害のさらなる軽減に向けては、これらの新たな害獣に対する積極的な取組も必要ではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。中山間地域の農業を守るためには、農業経営に大きな影響を及ぼす鳥獣被害のさらなる軽減が必要ですが、県は今後どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。 次に、食品ロス削減の取組についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う外出自粛やイベントの中止、飲食店の休業、営業時間短縮等の影響により、食品生産者、販売業者、飲食店など、食に関わるサプライチェーンのあらゆる場面で未利用食品の発生や食品の廃棄が起きています。 世界には、栄養不足の問題を抱えている人々が多く存在するにもかかわらず、国内においては、食べ残しや売れ残りなど様々な理由で、まだ食べられる食品が大量に破棄されていることに、私はこれまでも大きな矛盾を感じておりました。 我が国の食料事情を見てみますと、二○一八年度の食料自給率は三七%となっており、私たちの食料は海外からの輸入に大きく依存しています。その一方で、まだ食べられる食品が廃棄される、いわゆる食品ロスが、二○一七年度の推計によりますと全国で年間六百十二万トンとされており、これは国内でのお米の年間消費量に匹敵するそうです。このことは、海外から大切な食料を大量に輸入した上で、その食料を食べずに捨てているということであり、食品ロスの削減は私たちが真摯に取り組むべき課題です。 国連が二○一五年に採択した持続可能な開発目標SDGsには、二○三○年までに、生産、販売から消費に至るまでの世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させることが掲げられています。 国においても、二○一八年に策定された第四次循環型社会形成推進基本計画において、家庭系食品ロスの量を二○三○年度までに二○○○年度比で半減させるといった、食品ロス対策に関する数値目標が初めて掲げられ、昨年十月には、食品ロスの削減を総合的に推進することを目的として、食品ロス削減推進法が施行されるなど、食品ロスへの関心はますます高まってきています。 県においてはこれまでも、食品ロスの削減に向け、やまぐち食べきっちょる運動や県内におけるフードバンク活動への支援など、様々な取組を進めてこられたところですが、今後、家庭や事業者など社会全体で食べ物を無駄にしない意識の醸成を図るとともに、家庭や事業者から発生した未利用食品のさらなる有効活用を進めるなど、一層の取組が必要と考えます。 そこでお尋ねいたします。県では今後、食品ロスの削減に向け、どのように取り組まれるのかお伺いします。 最後に、女性と子供に対する犯罪防止対策についてお尋ねいたします。 近年の刑法犯の認知件数は全国的に減少傾向であり、本県でも平成十五年以降減少を続け、昨年の認知件数については、過去最少の五千百九十六件となっております。 一方、女性や子供が被害に遭いやすい、配偶者からの暴力事案(DV)や児童虐待事案は近年、全国的に増加を続けております。 特に今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による在宅勤務の増加や休校等により、自宅で家族と過ごす時間が長くなり、日々の生活が制限されたり、将来の見通しへの不安などから、家庭間でストレスがたまり、これが妻や子供への暴力の引き金になりかねない中、事案の増加や深刻化が懸念されております。 現在、全国で非常事態宣言が解除されておりますが、引き続きソーシャルディスタンスが求められており、学校や児童相談所は、これまでのように家庭訪問を繰り返し行い、虐待を疑われる子供たちの安全を確保するのは難しいことに加え、中には感染のおそれを理由に訪問を断る保護者もいるとのことです。 また、DVの被害者は、加害者が家庭内という身近な場所にいるため、支援団体などに助けを求めることができないと、悲痛な叫びも聞いております。残念ながら状況がすぐに改善できるとは思えません。 今後、感染拡大の第二波が来ると、再び犯罪が見えにくくなることが予想され、女性や子供を犯罪から守るための安全対策は急務であります。 求められる安全対策では、女性や子供自身の安全確保はもとより、関係機関との連携をこれまで以上に強化するなど、僅かなSOSを見逃さぬ体制を構築し、きめ細かな対策を進めていくことが何よりも重要だというふうに考えます。 よって、県警におかれましては、犯行が潜在化しやすい配偶者からの暴力や児童虐待事案に対して、犯罪の未然防止のため、関係機関と連携し情報の共有を図るとともに、的確な対応を徹底するなど、県民の安全・安心の確保に努めていただきたいと願うものであります。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルスの影響により、生活への不安などからストレスを抱える人が増えており、配偶者からの暴力や児童虐待事案の増加、深刻化が懸念されておりますが、犯罪から女性、子供を守り、県民が安全・安心を感じて暮らせる社会の実現に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問は終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)坂本議員の御質問のうち、私からは港湾の機能強化についてのお尋ねにお答えします。 本県経済の屋台骨である瀬戸内沿岸の基礎素材型産業をはじめとする基幹産業が、グローバル時代の国際競争を勝ち抜くためには、物流の効率化やコスト縮減に寄与する港湾の機能強化を図ることが極めて重要です。 このため、私は、やまぐち維新プランの重点施策に、企業の国際競争力強化に資する港湾の機能強化を掲げ、国際バルク戦略港湾施策の推進や、各港の特性に応じた施設整備に、ハード・ソフト両面から全力で取り組んでいるところです。 まずハード面では、コスト縮減に寄与する国際バルク戦略港湾施策の早期実現に向け、徳山下松港と宇部港において、国や関係企業との連携の下、ケープサイズ級船舶による二港揚げを可能とする施設整備を計画的に推進してまいります。 また、コンテナ貨物の増加に対応するため、岩国港の臨港道路整備や三田尻中関港のコンテナターミナル再編整備など、港ごとに異なる企業ニーズを踏まえ、物流の効率化に資する施設整備を着実に進めてまいります。 一方、ソフト面では、コンテナ貨物量等の動向を的確に把握した上で、定期航路の港湾施設使用料等の減免措置を引き続き実施するほか、官民一体となったポートセールスを強化し、定期航路の拡大に取り組むこととしています。 また、大型船舶の入港を迅速に行うため、関係機関への手続の円滑化を目的とした大型船舶の入港に関するガイドラインを作成、周知することとしています。 私は、本県の活力源は強い産業であるという認識の下、国や地元自治体、関係企業との連携を図りながら、ハード・ソフト両面から、国際競争を勝ち抜くための産業基盤となる港湾の機能強化に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)過疎地域における医療体制の確保についてのお尋ねにお答えをします。 県民誰もが生涯を通じて、住み慣れた地域で健康で安心して暮らしていくためには、医療資源が限られた僻地においても、必要な医療が提供できる体制を確保することが重要です。 このため、県では、第七次山口県保健医療計画に基づき、僻地医療を担う医療従事者の確保に取り組むとともに、僻地医療を支える体制の充実を図っているとこです。 まず、僻地医療を担う医師の確保に向けては、僻地での勤務を要件とする医師修学資金の貸与や、自治医科大学卒業医師の僻地医療機関への派遣などに取り組んでいます。 また、僻地医療を支える体制の充実については、僻地診療所の医療設備や運営費への支援、僻地医療拠点病院による巡回診療、代診医派遣の経費補助などに取り組んでいます。 こうした取組に加え、今年度、僻地の医療提供体制のさらなる充実を図るため、その中心的な役割を担う僻地医療拠点病院の機能強化に努めてまいります。 具体的には、まず、医師専門人材紹介会社を活用して、僻地医療拠点病院などに医師を新たに確保し、医師が不足している僻地等にある医療機関に派遣する仕組みを構築することとしています。 また、県立総合医療センターと岩国市立美和病院を5Gでつなぎ、オンラインによる専門医の助言に基づいた診療の実証実験を行い、専門医のいない僻地の医療機関に勤務する若手医師の診療をサポートする体制づくりにも取り組むこととしています。 県としては、こうした取組を通じ、引き続き関係市町や僻地医療拠点病院等と連携・協力しながら、過疎地域の医療体制の確保・充実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)地域公共交通の維持・活性化についてのお尋ねにお答えします。 県民生活にとって不可欠な地域公共交通の維持・確保を図ることは大変重要であり、これまで、県としては、複数市町にまたがる幹線バス路線の運行を支援するとともに、中山間地域等におけるデマンド型乗合タクシー等、地域の実情に応じた公共交通の導入、運行を支援しているところです。 こうした中、地域公共交通活性化再生法が改正され、持続可能な運送サービスの提供を確保するため、地方公共団体が交通事業者等と連携し、最新技術等も活用しつつ、公共交通サービスの改善・充実を徹底することが必要とされています。 こうした動向も踏まえ、県では今年度、学識経験者、国や市町、交通事業者との連携の下、新たな地域交通モデル検討委員会を設置し、多様化する地域公共交通の課題解決に向けた今後の取組方針を策定することとしています。 策定に当たっては、地域特性等を踏まえた課題を整理し、MaaSなど新しいモビリティーサービスの活用や既存の公共交通サービスの改善等、様々な視点からの取組を検討することとしており、今後、この取組方針を各市町に示すことにより、地域における取組を促していきます。 また、地域公共交通は、観光面においても重要な役割を担っていることから、二次交通の利便性向上を図り、県内周遊を促進するため、バスロケーションシステムの導入を支援するとともに、今年度から順次、県内全ての路線バスでの交通系ICカードの整備を支援することとしています。 さらに、このたびの感染症の拡大を踏まえ、地域住民や観光客が安心して公共交通機関を利用できるよう、交通事業者が実施する感染予防対策ガイドラインに沿った感染症対策を支援することとしています。 県としては、こうした取組により、今後も国や市町、交通事業者等との連携を密にしながら、地域住民の日常生活や観光交流人口の拡大に不可欠な地域公共交通の維持・活性化に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)鳥獣被害防止対策についてのお尋ねにお答えします。 県土の七割を中山間地域が占める本県において、鳥獣被害は農業経営に大きな影響を及ぼす深刻な問題であることから、市町等と連携し、侵入防止柵や捕獲わなの整備など、防護と捕獲の両面にわたる対策を進めてきたところです。 こうした中、高齢化等により、整備された侵入防止柵等の管理が困難となる事例が増加するとともに、ヌートリアなど新たな有害獣による被害が拡大していることから、これまでの対策の実効性を高める取組に加え、新たな対策への対応が必要です。 このため、高齢者の負担軽減等に向けて、侵入防止柵などを効率的に管理する仕組みや、ICT等を活用した省力的な新技術の導入を図るとともに、新たな有害獣の特性を踏まえた対策を強化することとしています。 まず、効率的に管理する仕組みの導入についてです。 県では、平成二十九年度から、鳥獣被害の深刻な地域において、集落リーダーを中心に住民や団体等が一体となって侵入防止柵の設置等、被害防止対策を行う地域ぐるみの取組をモデル的に実施しているところです。 この取組が成果を上げていることから、モデル地域の集落リーダーによる出前講座や成果事例集を使った研修会の開催等により、全県的に普及させていきます。 次に、新技術の導入については、特に負担が大きい見回り作業等を軽減するため、奧山に設置したわなの捕獲情報を低コストで通知するシステムや、ICTにより電気柵の漏電を遠隔監視する技術など、これまでの実証成果を踏まえ、地域ぐるみの取組地区への重点的な導入を促進します。 さらに、新たな有害獣対策については、とりわけ生息域の拡大が懸念されているヌートリアについて、より効果的な捕獲に向け、他県とも緊密な情報交換を行いながら、行動特性に基づくわなの設置方法等について実証試験を実施します。 県としては、中山間地域においても、農家の方が安心して生産活動を継続できるよう、市町等と連携し、鳥獣被害防止対策に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)食品ロス削減の取組についてのお尋ねにお答えします。 本県の食品ロス量は、十七万人分の年間食事量に相当する約六万七千トンと推計され、削減には、食品を無駄にしない意識の醸成と定着に向けた社会全体での取組が重要です。 このため、県では、消費者、事業者、市町等からなる食品ロス削減推進協議会を推進母体に、やまぐち食べきっちょる運動を展開し、食べきり協力店の登録拡大などを通じた意識啓発や食べ残しの削減を図っているところです。 また、活用されずに保管されている未利用食品の有効活用を図るため、県内でのフードバンク活動を担うNPO法人フードバンク山口を支援しており、食品の寄贈を受けるフードバンクポストも十か所から四十か所に増えるなど、その活動は着実に広がっています。 こうした中、お示しの食品ロス削減推進法には、県民等への普及啓発やフードバンク活動への支援などが地方公共団体の責務として規定され、また、新型コロナウイルスの影響により発生する未利用食品への対応も必要となることから、県では、これらの取組を一層推進することとしています。 具体的には、まず県民等への普及啓発については、今年度新たに、もったいないの心をテーマとした県オリジナルの冊子を作成し、授業や環境学習、イベントなどに活用することで、全県的な食品ロス削減の機運を高めていきます。 次に、フードバンク活動の支援については、新たにコーディネーターを活動団体に配置し、食品製造業者等への働きかけを強化することにより、寄贈食品の増加を図っていきます。 また、今年度運用を始めた、食品の賞味期限や寄贈から提供までの移動過程などを一元管理するシステムにより、食品の安心・安全を確保し、寄贈者の拡大につなげていきます。 こうした取組に加え、法の施行に伴い、今年度策定する食品ロス削減推進計画においては、本県の目標や実情に応じた取組を定め、実効性のある施策を総合的・計画的に推進していくこととしています。 県としては、今後とも、市町や事業者、関係団体等と連携・協力し、食品ロスの削減に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)片倉警察本部長。 〔警察本部長 片倉秀樹君登壇〕 警察本部長(片倉秀樹君)配偶者からの暴力や児童虐待事案などの犯罪から女性や子供を守り、県民が安心・安全を感じて暮らせる社会の実現に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 県内では、本年五月末現在、配偶者からの暴力に関し警察に寄せられた相談の件数は、前年同期よりも減少しております。 他方、警察官の臨場の結果、虐待の疑いがあるとして児童相談所へ通告した児童数は逆に増加しており、現時点で県警察として、新型コロナウイルスの感染拡大の影響と配偶者からの暴力事案や児童虐待事案との関連について何か明確なことを申し上げられる状況にはありません。 いずれにいたしましても、この種事案は家庭内で行われるケースが多く、認知や対応の遅れが即被害の拡大につながりかねず、県警察では平素から、男女共同参画相談センターや児童相談所、市町等の関係機関と情報交換を行うとともに、認知した事案については、警察署と警察本部が連携の上、危険性・切迫性を判断し、被害の拡大防止、被害者の安全確保に努めています。 今後、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛等の長期化により、生活の不安やストレスが増加し、本県においても、配偶者からの暴力事案や児童虐待事案の増加、深刻化も懸念されます。 実際、緊急事態宣言期間中、私の東京の留守宅では、妻からの息子とけんかしているとの通報が急増いたしました。 また、私が以前、周南警察署管内の中山間地域にある某駐在所を督励した際、ここは自然が多くて幸せなところですねとお話をいたしますと、婦人の方から、いえいえ、この辺りでは地域の方の目もありまして、かえって子供を外で遊ばせられないんですと、逆に子供がかえってストレスをため込んでおりますというお話も伺いました。大都市ばかりがクローズアップされておりますけれども、どこにでも存在する、まさに今そこにある危機なんだということを痛感いたしました。 県警察においては、ただいま議員から御指摘をいただきました、外出自粛等により、常に配偶者が一緒に家にいて、電話等による相談ができないなど、事案が潜在化する可能性、まさにこの点を念頭に端緒情報の把握に努めるとともに、関係機関と緊密な連携を図り、女性や子供の安全確保を最優先に迅速・的確に対応し、県民が安心・安全に暮らせる社会の実現に万全を期してまいります。