1 米軍岩国基地との共存を前提としたまちづくりについて 2 5G等を活用した産業競争力の強化について 3 新型コロナウイルスの影響を受けた農業への支援について 4 その他
午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───────────── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第三号まで及び第五号から第十一号まで 副議長(藤生通陽君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第三号まで及び議案第五号から第十一号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 畑原勇太君。 〔畑原勇太君登壇〕(拍手) 畑原勇太君 皆様、こんにちは。自由民主党の畑原勇太です。 本定例会の一般質問で最終登壇の栄を賜りました。登壇の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。 さて、今年の七月は、本来であれば、二○二○年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開幕を迎えて、世界の視線が日本に注がれ、日本中がオリパラ一色に染まっているはずでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により世界は一変しました。 しかしながら、安倍総理は、緊急事態宣言が全都道府県で解除された五月二十五日の記者会見で、日本ならではのやり方で、僅か一か月半で流行をほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示したと述べられました。 爆発的な感染拡大が発生した欧米では、長期にわたるロックダウン、都市封鎖が行われていた国もありますが、日本では、罰則を伴う強制的な外出規制等を行うことはできないため、自粛という言葉のとおり、国民一人一人が自ら進んで三つの密を避けて行動を慎んできました。 その結果、日本の感染者数や死亡者数は、主要先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができ、国連のグテーレス事務総長が、日本の感染症への対応は世界において卓越した模範であるとして、前例のない未曽有の事態の中で、安倍総理のリーダーシップの下で取り組まれてきた日本の対策が高く評価されたことは、私は率直に評価したいと思いますし、日本国民として、山口県民として、そして自由民主党の一員として大変誇らしい思いです。 一方で、私は、ただ一つの感染症の拡大が、世界中の人々の暮らしにここまで深刻なダメージを及ぼすことを想像だにしていませんでした。世界が、日本がいまだ危機の中にありますが、今の苦労や努力が報われ、コロナ前とは違う、全く新しい価値観で生きていく時代がやってきます。これは、発想を変え、新しい生活様式の中で新しい日常をつくり上げていかなければなりません。 二年前の初登壇でも申し上げましたように、困難な時代だからこそ求められるものは、明日を開く夢であり、夢を実現する力だと思いますので、私は、次代の山口県を担う世代の一人として、夢と実現力を信条に、岩国・和木地域、そして山口県のために引き続き全力で頑張る覚悟であることを申し上げ、通告に従い質問させていただきます。 まず、米軍岩国基地との共存を前提としたまちづくりについて、三点お尋ねします。 一点目は、基地交付金についてです。 私は、岩国・和木地域をはじめとする県東部地域の大きな課題である岩国基地に関する諸問題については、地元選出の県議会議員の立場から、そして基地議連連絡協議会の幹事長という立場から、その解決に向けて、誰よりも大きな責任を負っているとの自覚を持って取り組んでいるところです。 とりわけ、基地交付金については、父から受け継いだ遺志を胸に、住民生活の安心・安全の確保、基地周辺地域の発展に向けて並々ならぬ思いを持っています。 岩国基地に関する交付金のうち再編関連特別地域整備事業、いわゆる県交付金は、国の防衛政策に協力する観点から、また沖縄の著しい基地負担を軽減する観点から、基地反対を訴えるばかりではなく、米軍岩国基地があるという現実を受け入れるとともに、それによってこれからも続く地域と住民の負担という現実に目を向け、国に必要な対応を求め、基地を抱え続ける負担を国策への貢献に見合う地域振興策として、その創設を求めてきた経緯があります。 これまで、産業や生活の基盤となる道路、港湾の整備をはじめ、岩国錦帯橋空港などの観光交流施設の整備等に有効に活用されており、基地周辺地域の発展に確実につながっているものと考えています。 この県交付金の創設をはじめ、岩国基地問題への対応に大きな役割を果たしてきたのが、山口県と基地周辺二市二町の基地議連で組織する岩国基地問題議員連盟連絡協議会であり、国に対して、これまでも一貫して、岩国基地に係る安心・安全対策と地域振興策の実施を要望してきたところです。 先日、河野防衛大臣が岩国市を訪問された際にも、この協議会の立場から、代表である柳居議長、副代表である槙本先生らとともに河野大臣と面談しました。 その中で、私からは、県交付金について、地元のニーズに対応した、より使いやすい交付金となるよう、柔軟な事業採択など制度の運用改善について、率直に河野大臣に要望させていただきました。 河野防衛大臣からは、しっかり取り組んでいく旨の御回答をいただき、心強く感じているところですが、連絡協議会として、これをより確かなものとするため、本日この後、岩国市において連絡協議会を開催した上で、国に対して特別要望を実施していきたいと考えています。 このように、地域の未来を思い活動してきた連絡協議会の役割は、今後も変わることはありませんし、基地周辺地域の住民や地元市町が、空母艦載機の移駐等により、ほかの再編関連地域とは比較できないほどの大きな負担を受け入れ、今後も抱え続けていくことになる状況に鑑みれば、その役割はますます重要性を増していくものと考えます。 県執行部には、こうした連絡協議会の役割や活動、県交付金の趣旨や創設の経緯等を踏まえ、今後も連絡協議会との強力な連携により、基地問題の解決に全力で取り組んでいただきますよう、改めて強くお願いしておきます。 また、国策に協力する地元市町に対して国から交付されている再編交付金が、令和三年度末をもって終了する予定となっており、住民からは、基地との共存を掲げたまちづくりの取組が立ち行かなくなるのではないかといった不安の声も多く伺っています。 さきに述べた河野大臣との面談において、柳居議長が連絡協議会の代表の立場から、再編交付金の充実拡充を要望されたところであり、今後も、その実現に向けた取組を強力に進めていかなければなりません。 そこでお尋ねします。県では、基地交付金の充実拡充と、それを活用した基地周辺地域の振興について、連絡協議会との連携により、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 二点目は、県立武道館を中心とした県東部地域のスポーツ交流の推進についてです。 スポーツ界は今、新型コロナウイルスの影響で大変厳しい状況にあります。東京オリンピック・パラリンピックの延期をはじめ、プロ野球やJリーグの開催延期、夏の甲子園や大相撲夏場所の中止など、人生をも左右するような大きな影響を生じています。無観客試合など新しい形で開幕や再開を迎えつつある競技や大会もありますが、厳しい状況にある今だからこそ、人々に勇気と活力を与える、スポーツが持つ力が意味を持つのであり、改めて県立武道館の実現に向けて取り組んでいかなければならないと感じています。 私は、ちょうど二年前、岩国市長や市議会議長、市体育協会の方々とともに、県立の武道館の建設について要望させていただき、六月定例会の一般質問の中でも、早期整備に向けた取組の加速化をお願いいたしました。 その後、県では、岩国基地に係る県交付金を活用して調査検討を進められ、今年度当初予算に基本計画策定のための予算を計上されているところであり、これまでの県執行部の取組を評価しています。 人口減少や少子高齢化の進展により、今後の行政運営はますます厳しさを増すことが予想されますが、そうした中で、行政として、県民のスポーツに対するニーズに幅広く対応していくためには、今ある施設を有効活用するだけでなく、地域の熱い思いやニーズを踏まえ、財源にめどを立て、将来を見据えた新たな投資を行っていくことも重要であると考えます。 県東部地域は、柔道や剣道などの武道が、国体など全国大会に出場する選手を輩出するほどのレベルで、幅広い世代の方々が熱心に活動されており、こうした岩国地域の実情や県内における武道館の配置状況等を踏まえれば、武道の拠点となるべき県立武道館の整備はぜひとも必要であり、県東部地域における武道の振興だけでなく、交流の促進、地域の活性化にも大いに資するものと期待しています。 特に岩国地域は、これまでも日米親善リレーマラソンや日米交流ミニ運動会など、スポーツを通じた日米交流が積極的に進められており、今後整備される武道館は、その拠点の一つとして、地域の期待はとても大きいものがあります。 今後は、新型コロナウイルスの影響から、国際交流の在り方や進め方が新しい形に変わっていく可能性がありますが、岩国・和木地域においては、将来にわたって基地との共存共生が続くことになりますので、新型コロナウイルスで閉塞感のある今こそ、県立武道館の早期整備に向けた取組を、目に見える形で進めていただきたいと考えています。 そこでお尋ねします。今後、県立武道館の整備にどのように取り組み、これを県東部地域におけるスポーツ交流の推進にどのように生かしていかれるのか、御所見をお伺いします。 三点目は、岩国・和木地域の道路網の整備についてです。 私は、道路は地域の命、活力の源との思いを胸に、地域の皆様の声をしっかりと受け止め、岩国・和木地域の幹線道路から生活道路に至るまで、道路整備の必要性をきめ細かく訴えてきました。 そうした取組のかいもあり、本年三月、岩国市民にとって長年の悲願であった県道岩国大竹線森ヶ原バイパスが開通しました。 新型コロナウイルスの影響で、残念ながら開通式は中止となりましたが、このバイパスの開通により、これまで我々が長年にわたり取り組んできた岩国環状道路が概成され、岩国インターチェンジや新岩国駅、岩国錦帯橋空港等の広域交通拠点へのアクセス性が大幅に向上するとともに、市街地の渋滞緩和にも大きな効果を発揮しており、市民一人一人がこのバイパスの利便性を実感しているところです。 このように、森ヶ原バイパスをはじめ、岩国・和木地域の道路網の整備は、国や県のこれまでの取組により、目に見える成果を上げていると実感していますが、依然として市街地の幹線道路では、慢性的な渋滞や悪天候時の通行規制等の課題があり、また、中山間地域の道路では、通勤や通学、通院など、住民の日常生活の中で車が主要な交通手段となっているにもかかわらず、幅員が狭く、すれ違いが困難で、カーブや勾配が急な箇所があるなど、常に危険と隣り合わせで不安を感じたまま通行することを余儀なくされており、早期整備が望まれている箇所が数多くあります。 具体的には、国道二号線岩国大竹道路や国道百八十八号藤生長野バイパス、県道岩国大竹線、和木町関ケ浜から岩国市小瀬地区、県道岩国美和線阿品地区等の整備を重点的に進めていく必要があると考えます。 とりわけ、中山間地域においては、住民生活の利便性向上や産業活動の高度化を図る上で道路の整備は必要不可欠ですが、既存の費用対効果分析では投資効果が低いと評価され、地域が早期整備を熱望しても、予算が限られ、事業が思うように進捗していないというのが実情です。 こうした中山間地域の道路整備にこそ、県が実施する予算に加え、防衛省の再編関連特別地域整備事業を活用して集中投資を行い、早期整備すべきであると考えます。 そこでお尋ねします。企業の経済活動や地域産業の振興を支え、地域の活性化や住民生活の利便性向上、災害に強い基盤づくりにも資する岩国・和木地域の道路の整備について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、5G等を活用した産業競争力の強化についてお尋ねします。 本県の瀬戸内海沿岸には、コンビナートを中心に製造業をはじめとする数多くの企業が集積し、本県経済を支える屋台骨として、全国でも有数の産業集積を形成しています。 Society5・0という新たな経済社会を迎えようとする中、本県の財産であるこうした企業が生産性を向上させ、製品等の付加価値を高め、本県産業の競争力強化につなげていくためには、5GやAIなどの未来技術の活用を強力に推進していくことが重要です。 県では、今年度、AI、IoT、5G等の未来技術の活用を施策推進の重点項目に掲げ、産業をはじめ様々な分野での社会実装に取り組むこととされており、四月には、NTT西日本とローカル5Gに関する協定を締結し、スマートファクトリーやスマートコンビナートの取組をスタートされるなど、本県の次の時代を見据えた取組が始まっています。 一方で、新型コロナウイルスの感染予防のため、新しい生活様式の実践として、三密を回避しながら、非接触や省人化による事業継続へのニーズも高まっており、コロナ禍をきっかけとして、未来技術の活用が国内外で加速的に進むことも予想されます。 先般、岩国市美和町をフィールドとして、僻地医療の遠隔サポートに5Gを活用する実証事業がスタートしましたが、こうした未来技術の社会実装は、成功や失敗を繰り返し、試行錯誤を積み重ねて進んでいくものだと思いますので、期待感は持ちつつ、しっかりと評価も行いながら推進していく必要があると思います。 こうした未来技術の活用を進める上で重要となるのが、人材の確保と育成です。 先月、ホンダの社内ネットワークシステムがサイバー攻撃を受け、世界各地の九つの工場で操業停止に追い込まれたというニュースが伝えられました。 新型コロナウイルスの影響から、在宅勤務など働き方が変化する中、新しい技術により世界中の工場や従業員がつながることで企業活動が継続され、生産性が向上する一方、サイバー攻撃のリスクやセキュリティー対策の重要性がますます高まり、それを担う人材の確保と育成が間に合わない懸念があるとされています。 5Gやローカル5Gなどの技術を県民生活や社会経済活動に定着させるためには、生産性の向上やイノベーションの観点からはもちろん、リスク管理の観点からも、人材の確保と育成が欠かせないと考えており、本県においても、こうした人材の確保・育成に一層力を入れていく必要があると考えます。 そこでお尋ねします。5G・ローカル5Gなどの未来技術活用による本県の産業競争力の強化に向け、今後どのように取り組まれるのか、また、こうした技術を活用できる産業人材の確保・育成にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、新型コロナウイルスにより影響を受けた農業への支援についてお尋ねします。 商売の世界には三方よしという有名な言葉があります。これは、近江商人が大切にしてきた言葉であり、信頼を得るためには、売手と買手がともに満足し、さらに社会貢献もできることが大切であるということを示しています。現在では、ウィン・ウィンの関係という言葉で表されることも多くなっていますが、根底にある考え方は今も昔も変わりません。 農業の分野においても、生産者が食品メーカー等と連携して農産物の価値を高め、そしてお客様に喜んでいただく商品を生み出すという取組が大きく広がっています。 その中でも、この三方よしという言葉をまさしく表しているのが、酒米と日本酒の関係ではないかと思います。 本県では、全国で唯一、十二年連続で日本酒の出荷量が増加しており、今では日本酒と言えば山口と言われるほどの全国有数の酒どころとなっています。これは、若者の酒離れなどを背景に国内の日本酒生産量が減少を続ける中、県内の酒蔵の皆さんが、県産の酒米を使用した品質の高い酒造りやブランディングを行い、東京や大阪などの大都市圏、さらにはアメリカ、アジアなど海外に向けて出荷量を伸ばしてきた結果であります。 私の暮らす岩国市においても、酒造りに適した清流錦川の豊富な水に恵まれたことで、古くから酒造りが盛んであり、五つの酒蔵がこうした地域の資源を生かした品質の高い酒造りに取り組まれています。 しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大により状況は一変しました。イベントの中止や飲食店の休業等により日本酒の消費量は大幅に減少したことで、原料となる酒米の需要も急減しました。そして、これまで酒造会社と生産者の信頼関係の中で順調に取引が拡大してきた酒米生産量も減らさざるを得ない状況となっていると聞いています。 酒米は、昼夜温の高低差が大きいという中山間地域の特性を生かして栽培される代表的な品目であり、酒米生産の縮小は中山間地域農業の衰退に直結すると言っても過言ではありません。 新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として新たな生活様式の実践が求められ、お酒の楽しみ方が大きく変わる今こそ、私は、我が国の食文化の一つとも言える日本酒産業をしっかり支えていくことで、酒米生産の拡大や中山間地域農業の活性化につなげていかなければならないと考えます。 そこでお尋ねします。本県中山間地域農業のモデルとも言える酒米生産者と酒造会社の関係をさらに強固にし、酒米生産拡大の流れを止めることのないよう、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 最後に一言申し上げます。 本定例会は、新型コロナウイルス感染防止対策を最優先に、同時に深く傷ついた社会経済の回復に向けて、大きくかじを切っていくための補正予算について審議する重要な議会です。 緊急事態宣言が続く四月三十日に開催された県議会臨時会では、県民の生活と生命を守るために必要な当面の対策として、県民の皆様の暮らしや産業などを支える補正予算を措置したところですが、補正予算案に対する質疑の中で、我が会派は、県民、事業者の不安を解消するためのメッセージ、県民、事業者に寄り添った対策としては、質・量ともにまだまだ不十分、事態収束後の反転攻勢に向けた需要喚起と社会変革の推進の部分がすっぽり抜け落ちていると、執行部に対してかなり厳しい指摘を行いました。 また、苦渋の選択として、改革期間四年目に入った行財政改革の取組を一旦凍結し、新型コロナウイルス対策と社会経済活動の回復に全力を傾注することも提案しました。 長期戦も想定される新型コロナウイルスとの闘いと私たちの生活を両立させるため、日常生活や経済活動等に多大な影響を受けられておられる県民、事業者の皆様が安心して希望を持って前に進んでいくことができるよう、現下の厳しい状況に寄り添った、でき得る限りの対応を講じていかなければなりません。 そうした観点から、本定例会に提出された補正予算案は、過去最大となる総額二千百三十二億円と再拡大期への対策に加え、県内経済の下支えと回復に向けた取組、新しい生活様式に対応した社会変革の推進などが盛り込まれ、質・量ともに必要かつ十分な措置が講じられているものと評価しています。 来週の常任委員会でも、引き続き新型コロナウイルス関連を中心に、補正予算案や執行部の取組についてしっかり審議していかなければなりませんが、我々が今立ち向かうべきは、新型コロナウイルスの感染拡大と、それにより甚大な影響を受けている県民の生活と経済の回復です。そのためには、山口県が一丸となり、新型コロナウイルスと共存する持続可能な社会をつくり上げていかなければなりません。 事態の収束はまだまだ見通せませんが、県民を代表する県議会の立場から、時に意見し、具体的な提案や提言もさせていただきながら、執行部、そして県民の皆様とともに、この危機を乗り越えていく覚悟であることを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)畑原議員の御質問にお答えします。 まず、米軍岩国基地との共存を前提としたまちづくりについてのお尋ねのうち、基地交付金についてです。 基地周辺地域は、基地の存在により様々な制約を受けており、さらに、空母艦載機の移駐により増加した騒音などの負担を今後も抱え続けていくことになります。 こうした地域の実情を踏まえ、これまで、地元市町や基地議連とともに、住民の不安解消につながる安心・安全対策や負担と貢献に見合う地域振興策が目に見える形で実現するよう、国に対して繰り返し要望してきたところです。 その成果として、お示しのように県交付金が創設され、増額やソフト事業への対象拡大などの措置が図られました。 私は、県交付金については、引き続き基地議連と十分な連携の下、国による確実な予算措置と制度の運用改善を求め、岩国・和木・大島地域の発展と地域経済の活性化に資するよう、地元のニーズに対応した施策をしっかり実施していく考えです。 また、令和三年度で交付が終了する市町再編交付金については、訓練移転などの一時展開ではなく、部隊の移駐を受け入れたという地元市町の多大な負担と貢献に見合った交付金制度の継続が不可欠です。 地元市町からは、単なる激変緩和措置ではなく、恒久的な制度として、これまでと同様の十分な財源措置や制度内容の早期提示を求める意見があります。 こうした地元の思いをしっかりと国に伝え、要望内容の実現を図るため、基地議連の皆様や地元市町長とともに、県交付金の措置と併せて特別要望を実施するなど、今後、あらゆる機会を通じて積極的に国に働きかけてまいります。 私は、引き続き地元市町や基地議連と一体となって、基地交付金制度が一層充実され、基地周辺地域のさらなる発展につながるよう全力で取り組んでまいります。 次に、5G等を活用した産業競争力の強化についてのお尋ねにお答えします。 5G等の未来技術は、物やサービスの生産性や利便性を高め、産業や生活等の質を飛躍的に向上させるものと期待されます。 また、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた、非接触、省人化など新しい生活様式への対応としても、その技術の活用による可能性が広く認識されてきています。 私は、人口減少や少子高齢化が進む中で、本県の活力を維持・創出するためには、地域の活力源である本県産業の競争力を強化していくことが極めて重要であり、そのためには5G等の未来技術を積極的に活用することが不可欠と考えています。 このため、県の第二期総合戦略に、Society5・0の実現に向けた新たな社会システムづくりを掲げ、5G等未来技術の活用による産業競争力の強化に取り組んでいるところです。 まず、5Gを本県にいち早く導入するためには、通信事業者との連携の下、広くモデルとなる事例を創出することが重要であることから、NTTドコモとの連携協定に基づき、県立総合医療センターと僻地医療機関を5Gでつなぐ、遠隔サポートシステムの実証実験を進めることとしたところです。 産業分野における導入に向けては、企業が独自にネットワークを構築できるローカル5Gの活用モデルを創出するため、四月にNTT西日本と連携協定を締結したところであり、省人化・無人化工場の実現を目指した、全国的にも先駆的な実証実験がスタートします。 また、今年度創設した、やまぐちスマートファクトリーモデル構築事業により、AI等を活用した設備等の異常検知など、製造現場の高度化に向けたモデルを構築します。 これらの取組により創出する先導的モデルについては、その効果や課題を評価・分析し、成果を広く県内企業に普及していきます。 さらに、大手IT企業等で構成するIoT導入サポーター制度を活用し、企業ニーズに応じた技術的アドバイス等の個別支援を行います。 また、未来技術の活用に向けては、お示しのとおり、専門の知識や技術を有する人材の育成・確保が不可欠です。 このため、山口大学が開講するデータサイエンティスト育成講座の受講支援や、県産業技術センターに整備したIoTビジネス創出支援拠点での技術交流、さらにはセミナーの開催等を通じて、企業の人材育成に向けた取組を支援してまいります。 また、県独自の奨学金返還補助制度を活用し、高度専門知識を有する理系産業人材の確保に引き続き取り組みます。 私は、こうした取組を通じて、5G等の未来技術の積極的な活用を促進し、本県経済を牽引する製造業等の生産性や付加価値の向上による産業競争力の強化に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)県立武道館を中心とした県東部地域のスポーツ交流の推進についてのお尋ねにお答えします。 県東部地域における県立武道館については、大規模な大会の誘致・開催や競技の普及、競技力の向上を図る上で必要な施設として、これまで、岩国市をはじめ地元からの強い要望を受け、その整備に向けての検討を進めてきました。 県では、検討のさらなる前進を図り、整備を具体化させるため、今年度、基本計画を策定することとしています。 この計画では、施設の基本的な整備方針を決定するとともに、策定を通じて、「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」における、スポーツを活用した地域活性化の方向性に沿った施設の活用方策を検討していくこととしています。 まず、施設の整備方針については、今後、県や地元岩国市、競技関係団体等で構成する基本計画策定委員会を設置し、関係者の意見を聞きながら、施設の機能や規模、事業スケジュールなどを計画に位置づけてまいります。 また、活用方策としては、武道等の競技力の向上だけでなく、スポーツを通じた日米交流の拡大や武道館を核としたまちづくりなど、お示しの交流促進や地域活性化にも資する幅広い取組を検討していきたいと考えています。 県としては、スポーツの振興や県東部地域のさらなる活性化が図られるよう、引き続き地元岩国市や関係団体等としっかりと連携しながら、県立武道館の整備を着実に進めてまいります。 副議長(藤生通陽君)阿部土木建築部長。 〔土木建築部長 阿部雅昭君登壇〕 土木建築部長(阿部雅昭君)米軍岩国基地との共存を前提としたまちづくりについてのお尋ねのうち、岩国・和木地域の道路網の整備についてお答えします。 岩国・和木地域では、お示しのとおり、市街地では慢性的な渋滞が発生し、中山間地域では幅員が狭く、カーブや勾配が急な箇所が多くあることなどから、県としても、これらを解消するための道路整備を推進していく必要があると認識しています。 このため、市街地では、国と連携して、国道二号岩国大竹道路や国道百八十八号藤生長野バイパスなどの基幹道路の整備を促進するとともに、環状道路の一部を形成する県道岩国大竹線の和木町関ケ浜から岩国市小瀬までの間の整備などに取り組んでいます。 また、中山間地域では、地域間の交流・連携に資するとともに、地域住民の日常活動の基盤となる国道四百三十四号の宇佐地区や県道岩国佐伯線の亀尾川地区の整備などに取り組んでいるところですが、依然として未整備区間が多く残っています。 このため、再編関連特別地域整備事業を活用しながら、地域の住民生活の利便性向上及び産業の振興に寄与する道路の整備を推進していく考えです。 具体的には、大規模災害時等において国道百八十七号の代替機能も有する県道徳山本郷線の尾崎地区や県道岩国美和線の阿品地区、県道岩国錦線の多田地区の整備などを積極的に進めてまいります。 県としては、今後とも、地域の活力創出や県民の安心・安全の確保を図るため、岩国・和木地域はもとより、県内全域の幹線道路から地域に密着した生活道路に至る道路網の整備を計画的かつ着実に推進してまいります。 〔阿部土木建築部長の発言中、藤生副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)新型コロナウイルスの影響を受けた農業への支援についてのお尋ねにお答えします。 本県では、県産米を積極的に活用した酒造りが行われており、こうした酒造会社の取組を農家所得の向上や中山間地域の活性化につなげるためには、酒米の生産拡大と日本酒の需要拡大に一体的に取り組むことが重要です。 このため、県酒造組合やJA等と連携し、品質の高い本県の日本酒を国内外に向けて売り込むとともに、中山間地域を中心に酒米の増産や品質の向上に取り組むことで、近年では、酒造会社の要望に応える生産量や品質を達成しているところです。 こうした中、新型コロナウイルス感染症拡大による日本酒販売量の減少が酒米の需要低下を引き起こし、生産者の意欲や経営に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。 このため、生産者と酒造会社が一体となってこの難局を乗り越えられるよう、酒米生産の維持・拡大と日本酒の需要喚起に取り組むこととしています。 まず、酒米生産の維持・拡大に向けては、酒造会社からの要望に応え、緊急的に酒米から主食用米等に品種切替えを行った生産者に対し、種子代や肥料代等の経費を支援するとともに、速やかな需要情報の提供や、きめ細かな技術指導を行うことで、今後の生産意欲の維持につなげてまいります。 また、品種切替えが間に合わなかった産地では、生産過剰が見込まれることから、酒米を当面必要な数量以上に購入する酒造会社に対し、その保管経費を支援することで、県産酒米の継続的な利用の促進を図ります。 次に、需要喚起に向けては、新たな生活様式で変化するお酒の楽しみ方にも対応できるよう、家庭需要をターゲットにしたネット販売サイトを構築するとともに、日本酒をはじめとした魅力ある県産品を応援するキャンペーンを展開していくこととしています。 県としては、酒米生産者と酒造会社が信頼関係をさらに強固にし、酒米の生産拡大が継続できるよう、引き続き関係団体等と連携して、生産と需要の両面から積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。