討論
議長(柳居俊学君)宮本輝男君。 〔宮本輝男君登壇〕(拍手) 宮本輝男君 皆様、御苦労さまです。社民党・市民連合の宮本輝男でございます。 私たちの会派は、提案されています議案の第一号から第三号及び第五号から第十号までの全ての議案に賛成をします。 山口県の不要不急の外出自粛要請、休業の協力要請に応えられた県民の皆様への御労苦への感謝とともに、新型コロナウイルスで医療業務に就かれて、県民の命を守ってくださった医療関係者の皆様、高齢者・障害者などへの介護サービスを提供された方々、また、仕事をどうしてもしなくてはならない方の子供を見ていただいた保育関係の方々への慰労金や応援給付金、学校教育において、今後予想される感染に対してオンライン授業を推進するための学校における教育ICT環境の整備等の予算が盛り込まれております。 また、今回の補正予算によって、県民の皆様の暮らしや中小零細企業の皆様の事業の下支えになるように補正予算等が提出されており、賛成するとともに、一日も早い日常が戻りますことを衷心より祈念をいたします。 しかし、請願第一号 山口県の実情に見合った持続可能な医療の提供を求める意見書の提出についての不採択について、反対であります。 賛同をお願いしたい立場で意見を述べさせていただきます。 本請願は、県内十三の公立・公的病院の存続のために、再検証の要請に対して国への意見の提出を求めるものであります。 請願の要旨については、御覧いただいているとおりでございますので、少し違った観点から私なりの意見を述べさせていただきます。 新型コロナウイルスが日本にとってこんなにも大きな脅威になってしまった原因の一つとして、これまでの政権の医療費削減による医療リストラ策があります。 このたびの新型コロナウイルスへの脆弱さは、政策によって生み出されたものだと専門家が指摘しています。 例えば、全国の保健所は、一九九○年には八百五十か所あったが、現在は四百六十九か所、四五%削減。山口県においても十五か所が七か所の環境保健所に統合され、下関では下関市保健所があります。感染症病床は、一万床あったのが、今は千九百床を切っているそうです。 今、国から公立・公的病院が名指しで再編統合や病床数の削減が強要されようとしています。現在では、当初より一病院減って、山口県では十三病院で、四三・三%が対象です。 厚生労働省は、今年の一月十七日に、昨年九月に再編統合の議論が必要として実名公表した四百二十四の公立・公的病院リストから一都六県の七病院を除外する一方、約二十の病院を新たに追加する方針で、最終的な再編統合の対象病院は四百四十程度に増える見通しになります。 今後、リストの確定版を取りまとめるとしていますが、追加病院については実名を公表せず、都道府県などの協議でのみ開示するとしていますので、山口県の該当の公立・公的病院は増える可能性もあります。 公立病院は、効率が悪いなどと言われていますが、公立病院は感染症の病床を常時空けておくなど尊い役割を担っています。新興感染症の患者を受け入れた病院では、感染症拡大を防ぐために病床の一部を使用できなくなり、数千万円単位の減収を余儀なくされています。 民間病院は、赤字が出たら潰れます。だからこそ自治体からの繰入金が認められる公立病院が最後のとりでとなり、僻地医療や救急医療、災害医療、そして、感染症病床の常時確保などに取り組んでいます。 公的な病院もありますが、公立病院は特に住民の厳しい目にさらされていますが、赤字でもやらざるを得ない現状です。 山口県の感染症受入れ病床の公立・公的病院の中には、再編統合にリストアップされている病院が五病院入っています。それほど地域の救急医療、災害医療、そして、感染症病床の確保など、これまでに医療の中核的な役割を果たしているからこそ要請されているものと思います。 厚生労働省は、検証期限については、機能の見直しについては二○一九年度中に、再編統合については二○二○年秋までに行うこととしていましたが、今般の新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、改めて整理すると発表し、事実上の期限延長を示しました。 このことについては、全国知事会は、公立・公的病院が新型コロナウイルス対策で中核的役割を評価されたものだと発表しています。 しかし、イージス・アショアのように、プロセスの中断や廃止ではなく、検討の期間の延長にしかすぎません。 請願にありますように、一旦凍結をし、今回のような厚生労働省の上からの数字等によるだけの再編統合計画ではなく、地域の実情、現状を加味した意見などを反映しなければなりません。 都道府県知事は、地方分権の主体として、地域の様々な意見や実情に配慮する責務があり、一方的に国の方針に従うことは地方分権の理念上、疑問があることを指摘する識者の意見もあります。 医療費の削減のみを目的化すれば、これまでの日本を支えてこられた高齢者の長寿社会を否定しかねません。いつでも幼児から高齢者まで、誰でもが安心して身近に診療してもらえる医療機関が必要です。 合併前の旧町では、十分な医療機関がないから、住民全体として地域の医療を守り、助け合おうということで、自治体が公立病院を設立し、住民の命、健康を守っていこうとしてきた病院が多数あります。 当然、なくなることへの住民の皆さんの不安や不満の声を察するに余りあるものがあります。 また、これまでにも苛酷な労働環境の中で働いてこられた医師、看護師などの医療関係者が今回の新型コロナウイルスから国民の命を守ることで、より一層の苛酷な労働環境などが強いられました。 長時間に及ぶ労働時間、感染予防器具の不足、家族への感染を恐れて、一人でホテル暮し、他の子供への感染があるとの理由で、子供の保育園の通園拒否などがあり、中には退職し、あるいは退職を考えられた方もあるとお聞きしております。 公立病院・公的病院の再編統合が検討され、実施されれば、医師や看護師などの医療従事者の不安がより一層増大され、離職・退職の加速や新規採用もより一層困難になることも懸念されるところであります。 こうした背景を踏まえるならば、請願第一号で訴えておられることは至極当然のことであります。 したがいまして、紹介議員の一人として、本請願を不採択するのではなく、採択すべきに御賛同くださいますようお願い申し上げる次第でございます。 以上で、請願に対する討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)これをもって討論を終結いたします。