1 東京一極集中の是正について 2 企業誘致の更なる推進について 3 農林水産業の振興について 4 公共事業の着実な推進について 5 アフターコロナにおける県民活動の促進について 6 自転車の運転マナー向上対策について 7 その他
議長(柳居俊学君)山手康弘君。 〔山手康弘君登壇〕(拍手) 山手康弘君 皆様、おはようございます。自由民主党の山手康弘です。 一般質問に先立ち、一言申し上げます。 目下、新型コロナウイルス感染症に懸命に対応していただいているエッセンシャルワーカーの皆様に、心より感謝と敬意を申し上げます。 二○○二年五月、私は中華人民共和国広東省深?市におりました。仕事のため日本から赴任していたのです。赴任して半年たつ頃、広東省で急性的で重症になる肺炎患者が発生し、次々に感染者が増加いたしました。そして新たなウイルスが特定され、SARSと呼称されたのです。 当時発生源から比較的近い地域で生活していたので、未知の感染症に恐怖を感じずにはいられませんでした。 しかも今回、新型コロナウイルスと呼ばれていますが、SARSウイルスもコロナウイルスの一種であったことを改めて知り、非常に驚きました。我々の日常は今、新型コロナウイルスの発生によって、大きな変化を余儀なくされているわけです。 今回のような感染症騒動は、私にとっては人生で二度目の経験で、しかも日本で起こるとは思いもよりませんでした。我々人類の祖先は、有史以前より様々なウイルスと闘い、時には撲滅させ、または共存し、そのような中で命をつなぎ、今日に至ってきたわけです。 目に見えない敵との闘いはしばらく続くかもしれませんが、明けない夜はない、県民全員が新たな生活様式を取り入れながらも、新たな日常をつくり、この難局を乗り越えられることを固く信じていることを申し上げ、一般質問をさせていただきます。 初めに、東京一極集中の是正についてお尋ねいたします。 今回のコロナ禍は、東京をはじめとする大都市圏のリスクを改めて顕在化させました。通勤ラッシュや物価の高さなどの生活の厳しさ、災害時における被害規模の大きさなどから、従来から指摘されていた事柄に加えて、感染症の拡大というリスクが現実的な課題として認識されています。 五月に開催された全国知事会においても、取りまとめられた提言の中で、大都市部への過度な一極集中等に伴うリスクを減少・回避させることの重要性を改めて認識したとされ、全国の知事がこうした認識を共有されておられます。 とりわけ、我が国の中枢機能が過度に集中する東京一極集中の是正は、国の在り方にも関わる構造的な問題であり、国と地方が共に取り組むべき課題です。 県においては、昨年度末に終期を迎えた第一期「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の取組の中で、政府機関の地方移転を国に強く働きかけ、その結果、実際に下関には水産研究・教育機構、宇部市にはJAXA、私の地元岩国市には艦艇装備研究所が、その機能を移転することになり、岩国市では来年度のスタートに向けた建設が目下進んでいます。こうした具体的な成果は高く評価するところです。 しかし一方で、東京圏への転入超過、我が県からの転出超過の状況が改善されたとは言い難く、コロナ禍を踏まえたリスク分散の観点から、いま一度、国全体としてこの課題について考え、地方からも提言をしていくことが重要です。 成果を出している山口県だからこそ、これまでの成果や地方への効果も踏まえながら、一層力強く取り組んでいくことが必要だと考えます。 また、このたびのコロナ禍は、大都市における働き方の概念を変えるきっかけともなっているように思われます。三密の典型とも言える通勤ラッシュやオフィスでの人と人との接触を回避するため、都市部を中心に在宅勤務が一気に広がりました。 テレビのコメンテーターがウェブで出演する光景も日常的になっています。 そして、感染拡大が収束した後においても、在宅勤務を標準として導入する大企業も出てきています。コロナ禍を契機に、働き方改革がさらに一歩進み、場所を選ばない働き方が企業の制度として組み込まれ始めました。 こうした動きは、首都圏一極集中の是正にもつながる、構造的な変化の始まりとして捉えられるのではないでしょうか。そして地方は、この兆しを新しい人の流れにつなげていくことが重要であると考えております。 そこでお尋ねいたします。今回のコロナ禍を契機として、改めて認識された東京一極集中の是正という課題に対して、地方の立場からどのように取り組まれようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、企業誘致のさらなる推進についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルスの感染拡大は、産業界にも大きな影響を与えています。金融機関の破綻に端を発したリーマンショックでは、企業のキャッシュ不足に始まり、その影響が実体経済にじわじわと広がりました。 今回のコロナショックは、健全な経済状態でウイルスという外的ショックを受けたものであり、海外経済の減速と国内の活動自粛による消費のマイナスの影響が実体経済を直撃し、国内景気はかつてない厳しい状況にあります。 人も物も動かないため個人消費が冷え込み、即座に飲食業や観光業などが落ち込みました。さらに、自動車産業など我が国GDPの約二割を占める基幹産業である製造業では、世界的な需要の減少や部品・部材の供給不安、従業員の感染等による操業停止や生産調整など甚大な影響が生じました。 私の地元でも、サービス業や下請製造業を中心に多くの企業から、倒産や解雇には至らなかったものの、依然として厳しい経営環境にあると伺っております。 こうした状況においては、深刻な打撃を受けた地域経済の回復に向けた消費喚起など、目の前の課題解決に取り組んでいかなければなりませんが、将来にわたる本県の強い産業づくり、アフターコロナを見据えた観点から、企業誘致のさらなる推進が不可欠であると思います。 先ほども述べましたが、東京一極集中の是正という長期的な視点に立った場合、コロナショックは企業誘致の追い風となる可能性を秘めていると考えております。 新型コロナウイルスの感染拡大では、いわゆる三密を避けることが難しい大都市の脆弱さが浮き彫りとなり、首都圏を中心に企業活動は見直しを迫られ、テレワークやオンライン会議が急速に広がりました。 また、地震などの災害時にも指摘されましたが、バックアップ機能としての地方への拠点分散やサテライトオフィスの設置、さらには、生産体制の見直し、強化を模索する動きが見られ、こうした企業の動きに的確に対応することで、チャンスが広がるのではないかと思います。 企業誘致は、本県の産業力強化はもちろん、若者等の県内就業定着に向けた雇用の場の創出やUIJターンの推進にも資するものです。 その推進に向けては、コロナ禍における企業の移転や投資などに係る動向を把握するとともに、大都市のように密が起こらない豊かな自然や地震や台風など自然災害の少なさ、低廉で高い給水量を誇る工業用水など、本県が有する持ち味を余すところなく活用することが重要であると考えております。 そこでお尋ねいたします。今回の新型コロナウイルス感染症の影響を受け、企業の地方分散が始まり、これまで以上に地方自治体間の誘致競争が加速することが予測される中、企業誘致のさらなる推進にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農林水産業の振興についてお尋ねいたします。 県内の農林水産業にも、新型コロナウイルス感染症による大きな影響が生じています。イベントの中止や外出の自粛による需要減少に伴い、花卉や野菜などの園芸作物をはじめ、牛肉や鮮魚などは市場価格が大幅に低下し、生産者の経営に大きな影響を及ぼしています。 三月、四月は例年、学校の卒業式や入学式をはじめ、職場の歓送迎会など各種イベントにより生花や日本酒などの需要が高まる時期ですが、今年はイベントの中止により注文キャンセルが相次ぎ、例えば県産花卉は販売金額が前年同月比の七割程度にまで落ち込むなど、経営を圧迫し、資金面から来期の生産が困難になっている農家も多いと聞いております。 また、訪日外国人客の激減や飲食店の休業により需要が低迷した和牛も、取引価格が大きく落ち込んでいます。地元岩国市の畜産農家の話では、現在出荷している和牛の多くは子牛価格が高値だったときに導入した牛であり、餌代や人件費を考慮すると、現在の相場では採算割れが生じ、手間暇をかけて育てても手元に全くお金が残らない状況だそうです。 国による補?制度はあるものの、この状況が長引けば経営が立ち行かなくなると懸念する畜産農家も多いと聞いております。 漁業者もまた苦境に立たされております。水産物価格の低下に伴う収入減から、餌代や燃油代など操業に必要な経費の捻出が困難となり、操業の継続が危ぶまれています。 多くの農林漁業者は、かつてないほどの困難に直面しており、経営に対する懸念から廃業を余儀なくされた生産者もおられます。 農林水産業は安心・安全な食料の安定供給という重要な役割を果たし、また地域を支える基幹産業であることを考えると、農林漁業者の生産活動を支えることは、食料の安全保障の面からも、本県の産業振興の面からも不可欠であると考えます。 現下の厳しい状況の中でも生産活動を継続できるよう、生産者に寄り添ったきめ細やかな支援を実施するとともに、落ち込んだ需要を回復し、拡大させるための思い切った対策が必要だと考えております。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けている、本県農林水産業の振興に向けて、今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、公共事業の着実な推進についてお尋ねいたします。 西日本に大きな爪痕を残した西日本豪雨災害から、約二年が経過しようとしています。 私の地元岩国市においても、大規模な土砂災害によって二名の貴い命が犠牲になるなど、かつてない規模の未曽有の災害となりました。 災害発生以降、この二年間、行政関係者や地元土木建築業者の方々の御努力のおかげで、砂防ダムや治山ダムの整備、護岸復旧、農地の再生などが目に見えて進んでおります。 先日は、今までの工事では見たこともなかった、プレキャスト工法での災害現場の復旧も目にし、そのスピード感ある復旧作業に土木技術も日進月歩しているものだと感心させられたところです。 復旧・復興までもう一息のところまで来ており、関係者の皆様の御尽力に感謝を申し上げます。 近年は、温室効果ガスの影響による地球温暖化等により自然災害の頻発化・激甚化が進行しており、七月六日が近づいてくると、やはりあの日のことが思い出され、県下のどこかで二年前のような事態が発生する可能性は払拭できないと思うのです。 各市町では災害ハザードマップも精度を上げて更新されており、災害に対しての県民の意識や防災・減災への願いは高まっているのではないかと強く感じているところです。 県民の生命・財産を守っていくためにも、現在行われている災害復旧工事の早期完成をはじめ、土砂災害対策や河川改修、災害時にも機能する道路ネットワークの整備など、災害に強い県づくりを着実に推進していただきたいと思います。 一方、国内外において社会・経済に大きな打撃を与えている新型コロナウイルス感染症の影響は、建設業界にも生じており、中国からの輸入に頼っている建材や部品・部材などで納品の遅れが見られ、住宅建設やリフォーム工事の引渡しができないなどの事態も発生いたしました。 土木工事が大半を占める公共事業への影響は、今のところ限定的だと言われてはおりますが、新型コロナウイルスを今すぐ世の中から完全に撲滅させることは困難であり、感染の第二波も懸念される中、予断を許さない状況です。 私は、建設産業は、県民の安心・安全な生活のライフラインである社会資本整備の担い手であり、新型コロナウイルス感染症への対策を講じながら、その社会的使命を果たしていく必要があると考えております。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルス感染症の影響下にあっても、防災・減災対策をはじめとした公共事業については、感染予防対策を徹底した上で、遅滞なく着実に進めていく必要があると考えますが、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、アフターコロナにおける県民活動の促進についてお尋ねいたします。 人口減少や高齢化が進行する社会において、自治会や子供会、老人会など住民が一緒になって行う地域のお祭りや防災活動、地域の清掃などのボランティア活動、非営利の民間組織として活動するNPO活動など、県民活動は、社会の様々なニーズに応え、地域の問題を解決していく上で重要な役割を担っています。 中でも、福祉や教育、防災や環境など多岐にわたる分野で活動するNPO法人は、子供や障害者、高齢者といった社会的に弱い立場の人に寄り添って活動する団体をはじめ、文化活動やスポーツ、郷土史の継承など地域を豊かにしていく団体も多くあります。 しかしながら、現在は、新型コロナウイルスの影響で人と人とが積極的に接触できない、いわゆるフィジカルディスタンスを保ち、誰もが感染を防ぐよう行動しなければならない状態にあります。 そのような中で、今苦境に立っているのがNPO法人やボランティア団体です。感染拡大防止のため活動自体がままならず、事業収入をはじめ委託金や補助金、寄附なども減少しています。 やまぐち県民活動支援センターが行った県民活動団体への緊急アンケートによりますと、八割を超える団体が活動に何らかの影響が生じていると答えました。 子供たちへの学習会、居場所活動が中止となった、子ども食堂も自粛している、子供たちやお母さんたちと会う機会が少なくなるので、家庭内の状況把握が難しくなっている、高齢者が対象なので感染予防のため活動を中止しているが、長期になると、高齢者が家に閉じ籠もり、精神面・健康面に影響が及ぶのではと心配だ、など切実な声が聞こえてきます。 こうした団体は、支援が必要な人々と顔を合わせ、つながることによって、行政では手の行き届かないところに手を差し伸べている、現代社会においては欠かすことのできない存在であり、セーフティーネットともされておりますが、活動が難しくなり、存続さえも危ぶまれる団体も出てくるのではないかと思っています。 私は、平成三十年十一月議会において、山口ゆめ花博を契機としたボランティア活動などの県民活動について取上げ、県民活動の大切さや魅力を強く感じました。 このままでは、山口ゆめ花博を契機に盛り上がった県民活動の機運が、人知れず沈下してしまうのではないかと懸念しているところです。 コロナ禍において活動が制限されている県民活動を活発化させるため、緊急事態宣言が解かれ、経済活動や社会活動が再開するこの時期において、山口ゆめ花博で活躍されたボランティアの方々をはじめ、地域全体で県民活動を再び盛り上げていくことが必要であると考えております。 そこでお尋ねいたします。行政の手の行き届かない分野を支えている県民活動団体の取組を促進していくため、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、警察行政のうち、自転車の運転マナー向上対策についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症対策として、いわゆる三密の回避が求められる中、自転車利用への関心が全国的に高まっております。 これは本県においても例外ではなく、新しい生活様式の一環として、生活に欠かせない買物や仕事で出かけるときの移動手段として自転車への関心が高まっているのを肌で感じております。 また、自転車は免許も必要なく、誰でも手軽に利用でき、混み合う鉄道やバスでの人との接触を低減させることに加え、環境にも優しいなどメリットが多く、ウイルス感染症対策という観点からも、今後利用者の増加が予測されます。 しかしながら、自転車の利用者が急激に増えると、自転車利用時におけるルール・マナー違反や交通事故の増加が問題となります。 これまで私の元には、自転車の運転マナーが悪過ぎるので何とかしてほしいと、地元の方々から要望を頂くことがありました。 スマートフォンを見ながら運転している学生の自転車と衝突しかけたという話や、信号無視を繰り返し、道路を我が物顔で運転する自転車を見かけ、マナーの悪さに恐怖を感じたという声もありました。 私自身も、自転車が通行できる歩道を歩いていた際、無灯火で、なおかつ結構なスピードで擦れ違った自転車に冷やりとしたこともありました。身近で気軽な乗り物である自転車は、軽車両に分類され、道路交通法などに基づくルールがあります。 我が家のことですが、今年のゴールデンウイークは家族での外出を控え、家の近くの空き地で四歳になった次男の自転車の練習に付き合った結果、次男は自転車に乗れるようになりました。うれしいことですが、昨今の社会的事情を鑑みますと、行く行くは我が家の三人の子供たちも、自転車を利用するとなると、ルールやマナーの教育、そして、損害保険に加入する必要があると強く感じました。自転車を運転する場合は、誰もが加害者にも被害者にもなり得ることを自覚しなければなりません。 そのためには、一人一人が責任感を持ち、ルール・マナーを向上させ、信号無視やスピードの出し過ぎなど、重大な事故につながる危険な運転を防止する取組が、今後ますます必要になってくると考えています。 よって、県警察におかれましては、県民の安心・安全な社会の実現に向け、道路交通環境の整備はもとより、自転車利用者の交通安全及び運転マナー意識の一層の向上に努めるなど、様々な観点から対策を進めていただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねいたします。新しい生活様式が社会に浸透する中、自転車利用者の増加による交通事故の発生が懸念されますが、今後、自転車利用者のマナー向上対策にどのように取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)山手議員の御質問のうち、私からは、東京一極集中の是正についてのお尋ねにお答えします。 東京一極集中は、本県のみならず、地方にとって最大の課題である人口減少の大きな要因であることから、これまでも全国知事会等と連携しながら、国に対し、是正に向けた制度提案や要望を行ってまいりました。 その結果、お示しの政府関係機関の移転など一定の成果があったところですが、東京圏における人口の転入超過は、依然として増加傾向が続いています。 そして、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大は、爆発的な感染者の増加や中枢機能の不全による社会・経済の停滞を通して、この過度な一極集中が抱える深刻なリスクを現実の危機として顕在化させ、是正の必要性を改めて強く知らしめる出来事になったと考えています。 一方で、この出来事は、感染拡大防止の取組を通じ、国民の行動変容と企業の業務変革をいや応なく進展させました。 企業では、在宅勤務の実施が求められる中、テレワークなどの時間や場所にとらわれない新しい働き方が急速に普及するとともに、これに伴い、東京圏の若い世代を中心に、地方移住への関心が高まってきていることが、先日公表された内閣府の調査で報告されています。 こうした動きは、移住をはじめ、地方への人の流れを大きく拡大させる可能性を有しており、私は、全国的に機運が高まっている今こそ、東京一極集中の是正を前に進める重要なチャンスと捉えています。 このことを踏まえ、本県としては、第二期総合戦略に掲げるSociety5・0の実現に向けた取組を加速し、教育や医療、交通等の様々な分野で都市部にも劣らない利便性の確保を目指すとともに、地域社会のデジタル化を支える情報通信インフラの整備を進めてまいります。 また、地方への関心の高まりを呼び込み、本県と継続的に関わる多様な関係人口を創出・拡大していくため、昨日、東京都内に新たに開設した、山口つながる案内所を拠点として、東京圏在住者への働きかけを強化し、移住の裾野を広げてまいります。 もとより、我が国の構造的課題である東京一極集中の是正は、国、地方を挙げて取り組むべきものであり、国に対しても、これからの新型コロナウイルスとの共存を見据え、テレワークを活用した遠隔勤務の促進など、都市から地方へ人を押し出す政策を強力に進めるよう、さらに強く求めてまいる考えです。 私は、東京一極集中の是正という困難な課題の克服に向け、新型コロナウイルスを契機とした様々な変化を大きなチャンスに変えていきながら、本県への新たな人の流れをしっかりと創り出していけるよう、全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)企業誘致のさらなる推進についてのお尋ねにお答えします。 企業誘致は、本県経済の活性化や魅力ある雇用の場の確保・拡大など、幅広い波及効果が見込まれることから、積極的な誘致活動に取り組んでいるところです。 こうした中、新型コロナウイルス感染症の拡大により、その影響を踏まえた生産拠点の国内回帰や地方分散、また、働き方の新しいスタイルに対応したサテライトオフィスの設置など、企業側には新たなニーズが生まれています。 こうしたニーズの高まりは、一方で、お示しのとおり誘致競争の加速が予想されることから、本県の優れた立地環境である自然災害の少なさや充実した産業インフラなどのPRに加え、新たなニーズにも的確に対応した誘致活動が必要になります。 このため、ものづくり産業に強みを持つ本県としては、サプライチェーンの国内回帰等に向けた国の新たな補助制度の創設を好機と捉え、県の支援制度とも連携し、生産拠点の国内回帰や地方分散ニーズにしっかりと対応してまいります。 また、サテライトオフィスの設置に向けては、企業の多様な職場環境ニーズに対応できるよう、古民家やオフィスビルなど様々な施設情報を提供するとともに、オフィスの賃借料、通信費等への支援制度を活用し、誘致を推進していくこととしています。 さらに、こうした情報は企業の経営者に直接届けることが重要となるため、東京、大阪の企業誘致センターによる企業の戸別訪問や、企業立地フォーラムでのトップセールスなどを通じて、積極的に働きかけていくこととしています。 県としては、一連の誘致活動を通じて、新たな企業ニーズにも積極的に対応しながら、一社でも多くの優良企業の誘致を図るため、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)農林水産業の振興についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症拡大により、農林漁業者に深刻な影響が生じていることから、特に影響の大きい品目を中心に、生産活動の継続と需要の回復・拡大に向けて、本県独自の対策に取り組むこととしています。 まず、生産活動の継続に向けては、農林漁業の各分野の実情を踏まえ、生産者に寄り添ったきめ細かな支援を実施してまいります。 具体的には、農業分野において、花卉や野菜等の次期作に必要な種苗費等の生産経費を支援するほか、酒米の需給調整に向けた生産者と酒造会社の取組を後押しするため、主食用米への転換や在庫調整に要する経費を支援します。 また、肉用牛の農家に対しては、販売価格が基準を下回った場合に補?される、国の経営安定交付金等で措置されない部分について、県独自の支援を実施することで経営を下支えします。 漁業分野では、特に高級魚について、大都市圏の市場への流通ルートを維持するため、出荷する際の輸送経費を支援するとともに、県内市場への安定供給に取り組む漁業者の操業経費を支援します。 さらに、林業分野では、今後の木材需要の落ち込みに備え、森林組合等の雇用を維持するため、木材生産を伴わない下刈りや除伐などの森林整備事業を実施します。 次に、需要の回復・拡大に向けては、県内外での大規模かつ集中的な売り込み等による効果的な需要喚起対策に取り組みます。 具体的には、県民の皆様とともに生産者を応援する「みんなでたべちゃろ!キャンペーン」を実施するほか、学校給食に和牛や地鶏を提供するなど、思い切った地産地消対策を推進します。 また、大都市圏への販路の維持・拡大に向け、飲食店等への鮮魚の産地直送サービスを活用したキャンペーンを実施するとともに、県産農林水産物のネット販売サイトの構築などを進め、売り込み対策を強化いたします。 県としては、農林水産業の振興に向け、関係団体等と緊密に連携し、厳しい状況の中にあっても、農林漁業者の生産活動が継続され、県産農林水産物の需要が回復・拡大するよう積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)阿部土木建築部長。 〔土木建築部長 阿部雅昭君登壇〕 土木建築部長(阿部雅昭君)公共事業の着実な推進についてのお尋ねにお答えします。 河川や道路などの施設は、県民生活や経済活動を支える重要な社会基盤であることから、災害に強い県づくりに向けた河川の改修や、産業力強化のための幹線道路網の整備などの公共事業は、新型コロナウイルス感染症の影響下であっても、遅滞なく着実に進めていく必要があると認識しております。 このため、県では、国が示した、建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに基づき、対策の徹底を図った上で公共事業を推進しているところです。 具体的には、まず、建設現場においては、打合せの時間短縮や人数制限など、三つの密の回避等に向けた対策を徹底するとともに、必要に応じて、赤外線体温計の購入やパーティションの設置等に係る費用を経費として適切に措置することとしています。 また、発注者と受注者の接触機会を減らすため、これまで持参を原則としていた入札・契約関係書類等の郵送や、タブレット端末等を活用した遠隔地からの現場立会などを可能としたところです。 こうした取組に加え、事業の着実な推進を図るため、指名競争入札方式の適用範囲の拡大などにより、入札・契約手続期間を短縮し、工事の早期発注に努めています。 この早期発注に伴う工事件数の増加により、受注者側の技術者等の不足が懸念されることから、契約締結日から工事着手日までの間に、技術者等を確保するための期間を設ける制度の試行や、現場代理人が兼務できる工事件数の上限の緩和などを行っています。 県としては、引き続き、感染予防対策を徹底した上で、防災・減災対策をはじめとした公共事業を遅滞なく着実に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)アフターコロナにおける県民活動の促進についてのお尋ねにお答えします。 県民の自主的・主体的な取組である県民活動は、行政の手の行き届かない分野を支え、活力ある地域づくりに重要な役割を担っています。 このため、県では、県民活動促進基本計画に基づき、「あいかさねっと」等を活用したマッチングの推進や、ボランティア・チャレンジによる県民活動の裾野の拡大などに取り組んでいます。 このような中で、新型コロナウイルスにより多くの団体が様々な影響を受けており、こうした団体に対する支援制度の説明会や専門家による個別相談会を開催し、活動資金の確保などに向けた支援に努めているところです。 お尋ねのアフターコロナにおける県民活動については、山口ゆめ花博をはじめ、これまでの取組により、県内各地で盛り上がってきた機運を低下させないことが重要です。 このため、地域のボランティア活動の中心となる方々と連携して、県民活動の機運を醸成するとともに、団体の財政基盤の強化を支援することにより、社会経済活動の再開に合わせ、県民活動を活発化していきたいと考えています。 まず、機運の醸成に向けては、山口ゆめ花博で活躍した方々を、県民活動アンバサダーとして地域の推進役に位置づけ、県民活動を盛り上げることとしています。 また、様々な分野で若者の参加が進むよう、高校や大学等でボランティアの喜びや楽しさを伝える出前講座を開催するなど、その魅力を広く発信します。 さらに、財政基盤の強化に向けては、収入を得ながら地域課題の解決を目指すソーシャルビジネスについて、モデル事業者を活用した情報発信や創業希望者への相談支援等を通じ、その普及を図ります。 こうした取組に加え、今年度からは、多くの団体が抱える担い手不足などの課題に対応するため、仕事上のスキルを生かして社会貢献を行うプロボノ活動の希望者を県外から呼び込む事業を開始し、人材確保を支援してまいります。 県としては、今後とも、意欲あるボランティアの方々をはじめ、市町や関係団体等と連携し、県民活動を一層促進することにより、活力ある地域づくりにつなげてまいります。 議長(柳居俊学君)片倉警察本部長。 〔警察本部長 片倉秀樹君登壇〕 警察本部長(片倉秀樹君)自転車の運転マナー向上対策についてのお尋ねにお答えします。 まず、議員の息子さんの自転車練習のお話、我が息子の遠い昔の記憶を思い浮かべながら拝聴しておりました。 さて、本県では、あらゆる方々が年間を通じてサイクルスポーツを快適に楽しむことができる、サイクル県やまぐちの実現に向け、様々な取組を推進されています。誠にすばらしいことかと存じます。 私も着任以来、平日は山口市内をいわゆるママチャリで、土日は県内をいわゆるロードバイクで走り回り、まさにサイクル県やまぐちライフを満喫させていただいております。 しかしながら、その過程で私自身も、時として議員お示しのようなシーンに遭遇し、残念に思った経験もございます。 私自身は気をつけているつもりではありますが、いずれにいたしましても、全ての自転車利用者一人一人が、交通ルール・マナーを遵守してこそのサイクル県やまぐちであると、自戒の念も込め認識しております。 県警察では、本年五月末までに、自転車利用に係る携帯電話使用や並進などで百七十五件の指導警告を行っております。 このうち十四歳から十九歳までが七十九件と全体の四五・一%を占めていることから、特に中高生に対しては、街頭キャンペーン等の実施による直接指導や、学校と連携した交通安全教育などを行ってきております。 なお、自転車利用者であっても、酒酔い運転等、特に悪質・危険な違反に対しては、本年五月末までに七件を検挙するなど厳しく臨んでいるところです。 折しも今月十一日から二十日までの十日間、令和二年夏の交通安全県民運動が実施されます。運動重点の一つに、自転車の安全利用の推進が掲げられ、家庭、学校、職場及び地域が一体となった活動を推進することとされております。 県警察においては、今後とも、関係方面とも連携しながら、議員のお言葉をお借りすれば、まさに自転車利用者が加害者にも被害者にもならぬよう、交通状況を勘案した効果的な街頭指導取締り、各年齢層に応じた交通安全教育、さらには各種広報媒体を活用した広報啓発活動などを行ってまいります。 ───────────── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定です。 午前十一時二十四分休憩