1 新型コロナウイルス感染症対応緊急経済対策に係る補正予算について 2 再度の感染拡大に備えた体制の強化について 3 地域経済の回復に向けた取組の強化について 4 教育行政について 5 防衛政策について
───────────── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第三号まで及び第五号から第十一号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第三号まで及び議案第五号から第十一号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 河野亨君。 〔河野亨君登壇〕(拍手) 河野亨君 皆さん、おはようございます。自由民主党の河野亨でございます。 令和二年六月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事さん及び教育長さんに質問をいたします。 質問に先立ち一言申し上げます。 このたびの感染症により、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、感染された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。 また、あらゆる場面で辛抱強く自粛を実践いただいた県民の皆様、感染症対策の最前線で奮闘いただいた医療関係者、また、生活必需品の販売や物流、介護施設や保育所など社会生活を様々な場所で支えてくださった皆様、心からの敬意と感謝を申し上げます。 日本の感染症への対応は、世界において卓越した模範である、グテーレス国連事務総長の言葉どおり、我が国の人口当たりの死亡者数等は、主要先進国の中でも圧倒的に少なく押さえ込むことができています。 我が国では、ロックダウンなどの強制措置を取らず、国民一人一人が進んで三つの密を避ける行動と、徹底的なクラスター対策により、僅か一か月半で、ほぼ収束させることができました。 安倍総理の卓越したリーダーシップの下、日本ならではのやり方で確実に成果を上げ、世界中の期待と注目を一身に集めたという事実を素直に評価すべきだと思うのであります。 全国で緊急事態宣言が解除されて、一か月余りが経過しました。緊急事態宣言期間中のように、社会経済活動を厳しく制限するだけでは、結果として我々の日々の暮らしが立ち行かなくなってしまいます。 我々は、感染防止を徹底しながら、同時に社会経済を回復させていくという次なるステージを迎えており、極めて難しいこのかじ取りにチャレンジしていかなければなりません。 我が自由民主党としても、この未曾有の事態から、命を守り、生活を守るために、コロナの時代の新たな日常の構築に向けて、全力で取り組んでいくことを申し上げ、通告に従い質問をいたします。 初めに、新型コロナウイルス感染症対応緊急経済対策に係る補正予算について、お尋ねいたします。 このたびの感染症が、内外経済に甚大な影響を及ぼし、我が国経済も百年に一度の危機ともいうべき厳しい状況に直面する中、感染の防止に最大限の注意を払いながらも、社会経済活動を再開していくという動きも本格化してきています。 こうした中、国は、今月十二日、さきの補正予算と合わせ、事業規模二百三十兆円、国内総生産の四割に上る世界盛大の対策となる第二次補正予算を成立させました。 コロナの時代の新たな日常をつくり上げていくための予算であり、日本経済を守り抜いていくとの安倍総理の力強い決意に、我が会派としても、必ずやこの未曾有の危機を乗り切ることができるものと確信しているところであります。 先月十四日には、本県でも緊急事態宣言が解除され、感染拡大の防止に細心の注意を払いながらも、冷え込んだ経済活動を徐々に再開しようとする動きが出始めています。 知事さんは、さきの四月臨時議会において、我が会派の質疑に対し、未曾有の危機に対応するため、現在進めている行財政構造改革の取組を一時凍結し、必要な予算措置等を迅速かつ機動的に講じていくとの覚悟を示されました。 そして、今月十五日には、急激な資金需要の高まりに対し融資枠の拡大を直ちに実行されるとともに、今定例会に向けては、国の二度にわたる補正予算を活用しつつ、経済対策として二千百三十二億円という過去最大となる補正予算案を編成されたところであります。 提案された補正予算では、再度の感染拡大に備えた体制強化に加え、疲弊した県内経済の下支えや回復軌道に導くための消費喚起の取組、さらには、ICTなどの活用により、新しい生活様式に対応し社会変革を推進するための取組が盛り込まれるなど、バランスの取れた、かつ思い切った措置がなされているものと、我が会派としても高く評価するところであります。 そして、これらの対策の実施に当たっては、その効果を一刻も早く県民の皆様が実感できるよう速やかな執行が重要です。 また、ウイルスとの闘いが長期化する様相を呈していることからも、県議会と十分に連携しながら、必要な追加の対応策をちゅうちょなく講じていくことも必要です。 そこでお尋ねいたします。この未曾有の危機を乗り越え、本県におけるコロナの時代の新たな日常をつくり上げていくに当たり、どのような方針でこのたびの補正予算を編成されたのか、知事さんの御所見をお伺いいたします。 次に、再度の感染拡大に備えた体制の強化についてお尋ねいたします。 最前線で全力を尽くしてくださった医療従事者や、地域の感染拡大防止に御尽力いただいた関係者の皆さんに改めて感謝を申し上げるとともに、県においては、現場を支える医療従事者や、医療を支えるためサービスを継続いただいた介護施設や保育所等の皆さんに対してしっかりと報いていくことをお願いいたします。 さて、新型コロナウイルスは、都市部を中心に急速に感染拡大が進み、地方においても、都市部からの人の移動等によりクラスターが各地に発生するなど、全国で感染者が急増しましたが、先月二十五日には、全ての都道府県で、緊急事態宣言が解除され、国内での感染拡大を、ほぼ収束させることができています。 県においては、これまで県民の命と健康を守ることを第一に感染拡大の防止に取り組み、感染の可能性が疑われた患者に対する積極的、迅速な疫学調査など、徹底的なクラスター対策を実施するとともに、感染拡大により、患者数が大幅に増加した場合に備えた検査体制や医療提供体制を整備してこられました。 その結果、本県では三十七名の感染者が発生しましたが、全ての方が治癒し、退院されるとともに、クラスターの連鎖を未然に防ぐなど、感染の拡大を阻止されました。 また、ピーク時の医療需要を上回る体制を早急に確保されたことは、未知のウイルスに対する不安が払拭されない中にあって、県民の安心につながったものと、大いに評価するところであります。 しかしながら、これで、このウイルスとの闘いが終わったわけではありません。このウイルスの克服に不可欠な有効な治療法やワクチンの開発はいまだ実現しておらず、事態の長期化が見込まれています。 また、今後、社会経済活動が本格的に再開されることで、感染が再び拡大するおそれも常にあります。 今後、県民の不安を払拭し、このウイルスと共存した暮らしを実現するためには、再度の感染拡大を見据え、県民の安心・安全を支える万全の備えを固めることが重要です。 そのため、今後もどこでも起こり得る感染を、できる限り小さく押さえ込めるように、これまで構築した医療提供体制をさらに充実するとともに、感染者をできるだけ早期に発見し、蔓延の防止に直ちに対応する検査体制の一層の強化などに取り組んでいかなければなりません。 そこでお尋ねいたします。長期戦が見込まれる新型コロナウイルスとの闘いにおいて、県民の命と健康を守り抜く、再度の感染拡大に備えた医療提供体制や検査体制の強化について、今後どのように取り組まれるのか、知事さんの御所見をお伺いいたします。 次に、地域経済の回復に向けた取組の強化についてお尋ねいたします。 緊急事態宣言が全面解除され、新規感染者が着実に減少に向かう中にあっても、新型コロナウイルスと人類の先の見えない闘いは依然として続いており、現下の経済状況は、かつてなく厳しいものとなっています。 四月から六月期のGDPは、前期比年率で約二○%落ち込み、戦後最悪のマイナス成長に陥る見通しであります。 本県においては、これまで外出自粛により、小売店や飲食店などが休業を余儀なくされ、売上げが激減しています。 製造業でも影響が生じており、とりわけサプライチェーンの混乱と販売需要の蒸発という需給両面のショックに見舞われた自動車産業では、生産調整が実施され、多くの関連事業者への影響は計り知れません。 観光産業では、ゴールデンウイークには、県内全ての観光地が閉鎖状態となり、今後の宿泊予約も大きく減少しています。 既に、複数のホテルが経営破綻しており、飲食店や交通事業者など裾野の広い観光産業の衰退は、地域の経済や雇用などに大きな影響を与え始めています。 また、イベントの中止や飲食店の営業自粛により、花卉や牛肉、鮮魚等の需要も大きく減退するなど、業種・業態を問わず、事業活動に極めて深刻な影響が出ており、個人消費についても、コロナ以前の水準に戻ることは当分ないことが予想されています。 我が会派では、かつてない困難に直面する多くの事業者や経済団体から、経営に対する懸念や将来に対する不安の声を聞いており、こうした窮状を踏まえた大胆かつきめ細かな支援が不可欠であると思うのであります。 経済活動の正常化には、かなりの長期戦を覚悟しなくてはなりませんが、新型コロナウイルス感染症が地域経済にもたらす未曾有の状況において求められることは、雇用と県民生活を守ることであります。 そのためにも、事業者の存続、事業継続のための支援はもとより、本県経済の回復に向けた対策に取り組んでいくことが重要であります。 国においては、二度の補正予算により、持続化給付金や家賃支援制度の創設、資金繰り対策の強化のほか、営農継続への支援や観光・消費需要喚起策など、雇用・事業の継続のための支援や、地域の基盤産業等への支援を力強く打ち出しております。 本県でも、四月補正予算において、県制度融資の創設・拡充や飲食店等への支援金など、国の緊急経済対策に呼応しつつ、当面必要な対策を打ち出したことは評価するものですが、今後は、落ち込んだ経済の回復に向け、事態収束後のV字回復ならぬU字回復の長丁場を視野に入れた取組を進めていかなければなりません。 そのためには、県内事業者の実情を踏まえた息の長い支援に加え、これまで大きく落ち込んだ売上げの回復、さらには、新たな販路開拓やビジネスの展開、需要創出などに向けた取組を強化していくことが重要であると思うのであります。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルス感染症により、深刻な打撃を受けた本県経済の回復に向けた取組の強化について、県は今後どのように取り組んでいくのか、知事さんの御所見をお伺いいたします。 次に、教育行政についてお尋ねをいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、三月から始まった県立学校の休校は、約三か月に及び、ようやく五月二十五日に再開となりました。 子供たちは、長期間、学校生活を送ることもかなわず、各自が自宅で学習を続けることを余儀なくされました。 休校により学習時間が十分に確保できなかったことから、各学校では夏休みの期間を短縮して、授業時間数を確保されることや、来年度の県立高校の入学試験については、全ての教科に選択問題を設置するなど、受験生に配慮した対応をされるとお聞きしております。 一方で、休校中の家庭学習については、学校から与えられた課題だけでは、学習内容を補うには足りず、ICT機器を活用したオンライン学習の重要性も指摘されることとなりました。 本県では、県立高校の教員の方々がオンライン授業の研究に取り組まれ、試行的に授業動画の配信を行うという事例もありました。 他県においても双方向のオンライン授業の実施や、授業動画を作成して配信する例もあり、子供たちの学びを止めないための取組が全国各地の学校で始まっています。 こうした中、国は新型コロナウイルスへの対応として、緊急経済対策にGIGAスクール構想を大幅に前倒しして実施するという施策を盛り込みました。 これまで令和五年度までに達成とされていた児童生徒の一人一台端末の整備、学校現場へのICT技術者の配置の支援、在宅でのオンライン学習に必要な通信環境の整備などを大きく進めることで、全ての子供たちの学びを保障できる環境が実現されることとなったのであります。 本県におきましても、こうした国の動きに遅れることなく、GIGAスクール構想の実現に向けて全力を注ぐべきであると思うのです。 急速なデジタル化が進んでいく社会で、子供たちが情報を読み解き、活用する力を身につけられるよう、まずは子供たち一人一人にパソコンやタブレット等の端末を行き渡らせ、学校の授業において活用できる学習環境を整えていく必要があります。 また、このたびの休校による学習の遅れを取り戻すための取組を進めるとともに、今後、新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波により、休校となった場合に備え、オンライン授業により家庭でも学習を進められる環境を早急に整備する必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえ、GIGAスクール構想の実現とICTを活用した子供たちの学びを保障できる環境整備にどのように取り組まれるのか、教育長さんの御所見をお伺いいたします。 最後に、防衛政策についてお尋ねいたします。 まず、イージス・アショアについてであります。 防衛省は、今月十五日、山口県のむつみ演習場と、秋田県の新屋演習場を配備候補地として地元調整が進められていたイージス・アショアの配備について、ブースターを演習場内に確実に落下させるためには、システム全体の大幅な改修コストと期間を要することが判明したとして、配備プロセスを停止することを決定し、十九日には、河野防衛大臣が、県や萩市等に説明するため来県されました。 さらに、配備プロセスの停止決定を受け、二十四日には、国家安全保障会議でこの問題が議論され、翌二十五日に開催された自民党国防部会・安全保障調査会において、防衛大臣から、山口、秋田両県への配備計画を断念することを決定したことが報告されました。 我が自民党会派は、この配備計画に対して、北朝鮮の核、弾道ミサイル開発が我が国の安全に対する脅威となっている現状を踏まえ、配備の必要性について理解をするとともに、国の責任において地元の不安や懸念を払拭するための努力を重ねるべきとの一貫した立場で、この問題に対処してまいりました。 こうした中での、このたびの突然の停止・断念の決定には、私どもも大変な驚きを覚えました。 申し上げるまでもなく、今回の配備プロセスの停止・配備断念の決定自体は、国防に関する国の専管事項であり、私どもはこれを尊重する立場にありますが、一方で、防衛政策は関係する地元自治体への丁寧な対応と、地元住民の理解と協力があって初めてなし得るものであります。 そうした意味で、配備に向けた様々な地元調整が進められていた中での、今回の一方的ともいえる決定と地元への説明のやり方は、これまでの防衛省との信頼関係を根底から崩しかねず、私どもとしても誠に遺憾であります。 一昨年六月に、むつみ演習場が配備候補地とされて以降、地元に様々な不安や懸念が生じる中、県や地元萩市等では、安心・安全の確保を最優先に、疑問点について防衛省への照会を重ねるなどの取組を進めてこられました。 特に、むつみ演習場が所在する地元萩市においては、藤道市長さんが、配備自体には一定の理解を示されつつ、国益にかなうこと、市民の安心・安全の確保、市が進めるまちづくりが阻害されないことの三点を掲げ、防衛省が行った適地調査結果について、外部有識者会議を設置し、市独自の検証を進めるなど、この問題に一貫して向き合ってこられました。今回の一方的な説明は、こうした地元の取組を置き去りにしたものと言わざるを得ません。 こうした形での突然の決定を受け、何よりも必要なことは、不要な混乱を招くことがないよう、停止さらには配備断念に至った経緯等について、地元萩市等への十二分で丁寧な説明を行うことであり、防衛省において責任を持って対応していただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねいたします。知事さんは、このたびのイージス・アショアに係る配備プロセスの停止・配備断念の決定と防衛大臣の説明をどのように受け止めておられるのか。また、今後、どのように対応していかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、米軍岩国基地問題についてであります。 米軍岩国基地を抱える本県では、これまで県と関係市町、基地議連が一致協力し、苦渋の判断もしながら諸課題の解決に向けて取り組んでまいりましたが、これも防衛省との信頼関係があってこそのことだと考えています。 イージス・アショアの説明のために県庁を訪問された防衛大臣は、その翌日に岩国市を訪問され、基地関係自治体との意見交換に臨まれました。基地議連からは連絡協議会の柳居代表さんをはじめ、県及び関係二市二町議会の代表者が出席され、安心・安全対策や地域振興策について要請されたところであります。 防衛省、防衛大臣には、これまで以上に地元の思いに寄り添った丁寧な対応をいただくことを強く望むものであります。 こうした中、県交付金については、基地周辺地域の産業振興等を図る上で、県の広域的な役割が極めて重要であるとの認識の下、基地議連として、国に制度創設を重ねて要望し、その成果として、平成二十七年度に交付が開始され、三十年度から増額等の拡充措置がなされました。 現在、県では、県交付金の趣旨を踏まえ、長期的な視点に立って、地域産業の基盤づくりや交流拠点づくりなどに計画的かつ有効に活用されておりますが、今後とも地元のニーズを踏まえた事業が一層実施できるよう、制度のさらなる運用改善を求めていかなければなりません。 一方、地元市町には、米軍再編を円滑に実施するため、平成十九年度から再編交付金が交付されていますが、艦載機移駐完了を踏まえ、令和三年度で交付が終了します。 市町からは、移駐後の実情や国防への協力、貢献を踏まえると、交付金制度の継続は不可欠であるとの強い要望があり、これに対し、先般、大臣も、しっかり対応してまいりたいとの回答を示されており、今後、その実現に向けて着実に取り組んでいく必要があります。 我が会派が中心となる基地議連としては、ただいま申し上げた交付金をはじめとした地域振興策が、目に見える形で講じられるよう、引き続き、その役割を果たしてまいる所存であります。 そこでお尋ねします。県交付金及び市町再編交付金は、基地周辺地域の振興に極めて重要な役割を果たしていますが、知事さんは、今後、県交付金について、どのように活用していこうとされているのか。また、来年度で交付が終了する市町再編交付金について、今後、県としてどのように対応されるのか、御所見をお伺いいたします。 終わりに一言申し上げます。 今月五日、常に穏やかな表情ながらも、一貫して拉致被害者の救出に闘い続けてこられた横田滋さんが、めぐみさんを抱きしめることなくお亡くなりになられたことは痛恨の極みであります。心から御冥福をお祈りいたします。 改めて申し上げるまでもなく、拉致問題は、我が国の主権と国民の生命・安全を脅かす重大な問題であります。御家族の皆様も御高齢となられ、もはや一刻の猶予もない中、この問題の早期解決に向けては、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国実現に向けた強い意志を示していかなければなりません。 妻、早紀江さんの、何年たってもめぐみを必ず取り戻すため頑張っていきたいとの言葉を胸に刻み込み、安倍総理とともに、拉致被害者の方々の帰国を実現するため、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動していくことを申し上げ、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 皆様、御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)河野議員の代表質問にお答えします。 まず、新型コロナウイルス感染症対応緊急経済対策に係る補正予算についてのお尋ねです。 国内での感染拡大を受けて、本県では、これまで県民の命と健康を守り、県民生活と地域経済を支えるため、国の対策も踏まえ、感染拡大の防止、県民生活の安定、県内経済の下支え、この三つの柱に基づき、当面、緊急的に実施すべき取組について切れ目なく迅速に進めてきました。 また、今後のさらなる感染拡大の防止対策等に人的資源・財源を集中投資するため、これまでの行財政構造改革の取組については、一時凍結をすることとしたところです。 そして、全国的に移動自粛の要請が解除され、段階的に社会経済の活動レベルが引き上げられる中、本県においても新型コロナウイルスとの共存を前提に、再度の感染拡大に備えながら、日常生活や経済活動を取り戻していくため、大胆かつきめ細やかな対策を講じていく必要があると考えています。 このような認識に立ち、私は国の補正予算にも呼応し、引き続き感染拡大の防止対策を実施するとともに、大変な打撃を受けて疲弊した県内経済を回復し、活性化に導く対策や、ICT等の活用による社会変革の推進などに強力に取り組むこととしたところです。 この方針の下、従来の三つの柱に、消費需要の喚起と社会変革の推進を加えた五つの柱からなる経済対策として二千百三十二億円にも上る予算額を措置するなど、過去最大となる補正予算を編成しました。 まず、感染の第二波、第三波に備え、県として万全の体制を確保するため、検査体制の強化や医療提供体制の拡充などを図る、さらなる感染拡大防止対策を行います。 また、中小企業制度融資の融資枠拡大等により県内経済の下支えを図るほか、県内観光や県産農林水産物の需要回復、拡大など、大幅に落ち込んだ消費需要の喚起対策を行います。 さらに、県立学校における児童生徒の一人一台タブレット端末の整備等により、新しい生活様式に対応した社会変革の推進に取り組みます。 今後、これらの取組の事業効果が早期に発現し、県民の皆様に一刻も早くしっかりと実感をしていただけるよう、迅速な事業実施に取り組んでいきます。 また、新型コロナウイルスとの長期戦が見込まれる中、必要な対策については、国の第二次補正予算で拡充された交付金等の財源を十分に活用し、県議会との連携の下、今後も適時適切に追加し、機動的に実施していきます。 私としては、この未曾有の危機を乗り越え、新型コロナウイルスとの共存を前提とした新たな日常を目指していくため、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、再度の感染拡大に備えた体制の強化についてのお尋ねにお答えします。 本県では、三月三日の第一例目の発生以降、三十七例の感染が確認されましたが、五月五日を最後に五十四日間、新たな感染者はなく、入院患者の方は全員が退院をされたところです。 この間、昼夜を問わず、医療現場の最前線で治療に当たっていただいた医療従事者の皆様や、感染リスクなど厳しい環境の下、事業を継続された介護事業所や保育所、幼稚園等の職員の皆様の献身的な御尽力に心から感謝を申し上げます。 私は、このたびの補正予算において、医療や介護従事者の方等への慰労金に加え、県独自に保育所等で子育て支援に尽力された皆様に対しても、応援給付金を支給することとしたところであり、長期化が予想される感染症との闘いに、今後とも力を合わせ、立ち向かってまいりたいと考えています。 現在、新型コロナウイルスの感染状況につきましては、県内では落ち着いているものの、世界的な流行は拡大傾向にあり、今後想定される第二波、第三波に備え、万全の感染拡大防止対策を進めるためには、医療提供体制や検査体制のさらなる強化を図ることが極めて重要です。 このため、まず、医療提供体制については、県医師会や医療機関の協力の下、感染患者の受入れ病床として、重症者用の百二床を含む四百二十三床を確保したところであり、本県における感染のピーク時にも十分対応できる体制を整えることができたものと考えています。 また、入院病床に加え、無症状の方や軽症患者を受け入れるため、宿泊療養施設六百三十八室を確保したところであり、合わせて中・四国地方で最も多い千六十一名の受入れ体制を整備したところです。 さらに、患者の状況に応じて、迅速かつ適切な医療が提供されるよう、消防等関係機関と連携の下、庁内に設けた調整本部において、広域的な搬送調整を行うとともに、保健所に搬送コーディネーターを配置し、各医療圏域内での患者の入退院調整や、搬送の実施体制を構築してまいります。 次に、検査体制については、まず、感染の蔓延期や大規模なクラスターの発生時にも必要な検査が確実に実施できるよう、一回当たりのPCR検査数を現行の百六十件から三百十件に倍増いたします。 また、身近な地域で、迅速かつスムーズにPCR検査を受けることができるよう、帰国者・接触者外来に加え、新たにかかりつけ医の判断で検体採取を行う、地域外来・検査センターを九月中を目途に、八医療圏ごとに一か所以上設置し、検査体制の強化を図ってまいります。 さらに今後は、PCR検査に加え、感染が疑われる救急搬送患者等に対して、短時間で判定が可能な抗原検査の導入を進め、患者の状況に応じた効果的な検査の実施を通じて、適切な治療につなげていきます。 私は、県民の命と健康を守ることが第一との認識の下、関係機関と連携し、引き続き、医療提供体制や検査体制の充実強化を図り、第二波、第三波に備えた感染拡大防止対策に全力で取り組んでまいります。 次に、地域経済の回復に向けた取組の強化についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症により、本県においても、飲食や観光など様々な業種で深刻な影響が生じていることから、私は、事業活動の維持・継続が最重要と考え、国の制度も活用し、大胆な資金繰り支援に取り組んできたところです。 県内事業者には、現時点においても引き続き旺盛な資金需要があることから、このたび、県制度融資の新型コロナウイルス感染症対応資金を拡充するとともに、経営安定資金と合わせ五千二百億円の融資枠を確保することとしました。 また、農林水産分野においては、事業の継続に向けて、特に影響の大きい花卉、牛肉、鮮魚等について、次期作支援や価格補?等の県独自の制度を創設し、生産者に寄り添ったきめ細かな対策を実施していくこととしています。 一方、国の月例経済報告では、景気の判断を新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にあるものの、下げ止まりつつあるとされており、本県においても、緊急事態宣言の解除後、人の動きが徐々に戻り始めています。 私はこうした景気復調に向けた期待感を、県内経済の回復に確実につなげていくためには、これまでの取組に加え、新たな消費需要の創出や、新しい生活様式に対応した事業展開への支援等を加速していくことが重要と考えます。 このため、消費需要の創出に向けては、利用者が応援したい店舗のプレミアムつきチケットをクラウドファンディングで購入できる仕組みを新たに構築し、店舗のPRに加え、売上げの回復、資金繰りの支援を同時に実現していきます。 また、観光分野においては、新たに「行こうよ。やまぐちプレミアムキャンペーン」を強力に展開し、割引率五○%の宿泊券を発行するとともに、旅行会社等と連携した新たな旅行商品の造成、さらには、効果的な情報発展等を進めることにより、早急な観光需要の喚起につなげていきます。 加えて、事態収拾後を見通した観光需要の拡大・定着に向け、意欲ある民間事業者による体験型コンテンツの造成を支援することにより、魅力ある観光地域づくりを進めていくこととしています。 さらに県産農林水産物の需要の回復と拡大を図るため、県民の皆様とともに生産者を応援する「みんなでたべちゃろ!キャンペーン」の実施や、大都市圏の飲食店等への産地直送サービスを活用した販路拡大等の取組を展開します。 次に、新しい生活様式に対応した事業展開に向けては、感染防止に配慮した事業環境の整備や、新たな視点での新製品や新サービスの開発、販路開拓などに意欲的に取り組む中小企業を支援する補助制度を創設します。 また、面談を中心とした従来型の就職・採用活動が難しくなり、首都圏企業と地方企業との間に採用格差が生じることが懸念される中、採用活動のオンライン化など新しいスタイルの就職・採用活動も支援し、県内就職につなげていきます。 県内経済の本格的な回復への道のりは長く、険しいものでありますが、私は感染拡大防止対策を講じながら、景気動向など、社会経済環境の変化を的確に捉え、機動的な施策展開を図ることにより、本県経済の回復に全力で取り組んでまいります。 次に、防衛政策に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、イージス・アショアについてです。 イージス・アショアの配備については、私は国の役割と責任に属する防衛政策を尊重する一方で、県民の安心・安全を確保する立場から、言うべきことは言うとの姿勢で、地元市町と連携して対応してまいりました。 このため、国に対し、地元の不安や懸念が払拭されるよう、丁寧な説明を繰り返し求め、不明な点やさらに説明を求めたい事項について、地元市町と連名で文書照会などを行ってきたところです。 ブースターの問題は、住民の命に関わる重大な問題であることから、繰り返し確認をし、国からはブースターを演習場内に落下させることは可能であり、そのための措置をしっかり講じるとの説明を受けてきました。 今回、河野防衛大臣からは、「米国との協議を重ね、検討を進めてきた結果、本年五月下旬、ブースターを演習場内に確実に落下させるためには、ソフトウエアのみならずハードウエアを含め、システム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明した。このため、防衛省としては、追加のコスト及び期間に鑑み、イージス・アショアの配備に関するプロセスを停止した」との説明があったところです。 私からは、十分な精査を行ってから地元に説明していただきたかったと、遺憾の意を述べるとともに、周辺住民が居住する地域へのブースター落下の危険性が取り除けないのであれば、そうした場所での配備は受け入れられない旨申し上げました。 その後、今月二十四日に開催された国家安全保障会議の議論を踏まえ、防衛省においては、むつみ演習場への配備を断念することとされ、その旨、大臣から連絡があったところであり、私は、プロセス停止の表明から、速やかに最終的な判断をしていただいたものと受け止めております。 お示しのとおり、萩市においては、独自に有識者会議を設置し、検証を進めてきたところであり、今回の突然のプロセス停止に困惑され、今後防衛省の責任において住民に対して丁寧な説明をするよう求めています。 私は、先般の大臣の来県の際、また、大臣からの配備断念の連絡の際にも重ねて申し上げたところですが、地元自治体の思いをしっかりと受け止めて、これまで、この問題に大変苦慮しながら対応してきた地元に対し、丁寧に説明していただくよう、引き続き国に求めてまいります。 次に、米軍岩国基地問題についてです。 基地周辺地域は、基地の存在により、長年にわたり、産業活動や、まちづくりに制約を受けており、また、地元の住民や自治体は、空母艦載機の移駐により増加した航空機騒音や、事件・事故等への不安、社会基盤整備等の新たな財政需要などの負担を今後も抱え続けていくこととなります。 私は、こうした基地周辺地域の実情を踏まえ、安心・安全対策はもとより、地元が求める産業振興や交流促進等について、広域自治体である県の役割が果たせるよう、ハード・ソフト両面から県交付金を積極的に活用していきたいと考えています。 具体的には、まず、道路、港湾など産業インフラの整備を進めるとともに、創業支援や外国人向けのビジネスへの支援など、地域産業の振興に向けた取組を充実させてまいります。 また、米軍関係者の増加等を踏まえ、公立中学校への国際交流支援員の配置や日米の文化交流活動の支援等を引き続き実施するとともに、スポーツを通じた日米交流の拡大等の観点から、県立武道館の整備を進めてまいります。 私としては、こうした取組を通じて、岩国・和木・大島地域の持続的な発展を図り、地域経済の活性化に資するよう、今後とも、地元市町の要望や基地議連の御意見をお聞きしながら、地元のニーズに対応した施策をしっかりと実施していく考えです。 そのためには、確実な予算措置と柔軟な事業採択などの制度の運用改善が必要であり、国に対し引き続き求めてまいります。 一方、来年度で交付が終了する市町再編交付金については、艦載機移駐による大きな負担を今後も抱え続けていくという地元の実情を踏まえると、お示しのように交付金制度の継続が欠かせません。 先般、防衛大臣が岩国市を訪問された際にも、地元を代表して、基地議連の方々や関係市長、町長が再編交付金の交付終了後の制度継続について強く要望されたところです。 県としても、地元市町が求める恒久的で、これまでと同様の十分な財源措置となる交付金制度が早期に示されるよう、今後、基地議連と合同で特別要望を実施するなど、あらゆる機会を通じて積極的に国に働きかけてまいります。 私は、基地の存在や艦載機移駐後の状況を踏まえ、今後とも岩国・和木・大島地域において、県交付金や市町再編交付金などにより、負担と貢献に見合う地域振興策が一層充実するよう、地元市町や基地議連と一体となって、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 Society5・0時代を担う子供たちには、ICTを基盤とした先端技術を効果的に活用し、自ら課題を発見し、他者と協同して新たな価値を創造する力を育むことが重要であり、こうした力を育むための学校におけるICT環境の整備は不可欠です。 このため、県教委では、全ての県立学校において、校内ネットワークの高速化と無線LANを整備するとともに、令和七年度までに県立学校における一人一台端末の全校導入を目指し、今年度から段階的な整備を進めていたところです。 こうした中、国においては、GIGAスクール構想を加速することで、災害や感染症等による学校の臨時休業等の緊急時においても、ICTの活用により全ての子供たちの学びを保障できる環境を早期に実現することとされました。 県教委といたしましても、こうした国の動きに呼応するとともに、新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波により再び学校が休業となった場合にあっても、子供たちの学びを保障できるよう、一人一台端末の全校導入をはじめとするICT環境の整備を加速してまいります。 具体的には、まず、県立学校の一人一台端末の整備について、当初の予定を大幅に前倒しして、今年度中に全県立学校へ整備することにより、緊急時はもとより、通常の授業において、子供たち一人一人に応じた個別最適な学習が可能となるよう取り組んでまいります。 また、県立学校の校内ネットワークの高速化や無線LANを整備し、一人一台端末を活用するための環境整備を進めるとともに、全県立学校の普通教室、特別教室へ大型提示装置を整備することにより、子供たちの興味・関心を喚起し、理解を深める授業を展開してまいります。 こうしたICT環境の整備と併せて、長期にわたる休業の影響による学習の遅れを取り戻せるよう、民間のオンライン学習支援サービスを導入し、積極的に子供たちの学びを支援してまいります。 加えて、国のGIGAスクール構想の実現に向けて、市町が小中学校の一人一台端末を調達するに当たり、県が中心となって市町が共同で調達できる仕組みを導入することにより、市町の一人一台端末の整備を支援してまいります。 教育のICT化は、少子化が進行し、子供同士の切磋琢磨や学び合いの機会の減少が大きな課題となっている中で、こうした課題を克服し、教育を変革する大きな可能性を持っています。 県教委といたしましては、臨時休業に伴う子供たちの学びの保障はもとより、個別最適化された学習や双方向のオンライン学習など、様々な場面において子供たちがICTを活用し、より効果的な学習を行うことができる未来型教育の実現に向けたICT環境の整備に全力で取り組んでまいります。