1 新型コロナウイルス感染症対策について 2 イージス・アショアの配備に関するプロセス停止・断念について 3 LGBTについて
議長(柳居俊学君)酒本哲也君。 〔酒本哲也君登壇〕(拍手) 酒本哲也君 民政会の酒本哲也です。質問に入る前に、安倍政治について申し上げます。 六月のNHKの世論調査では、安倍内閣を支持する三六%、不支持四九%、朝日新聞では支持が三一%、不支持五二%となっており、安倍一強の政治に陰りが見えてきたと言っても過言ではないでしょう。 富める者が富み、貧しき者はますます貧しくなったアベノミクスは、思うように機能しなくなったといえます。特に、森友学園、加計学園問題、桜を見る会と前夜パーティー、検察庁長官の定年制延長など、総理官邸と官僚の癒着と不祥事はとどまることを知りません。 新型コロナウイルスによる感染症拡大について、歴史的緊急事態と言いながら後れを取ったアベノマスクと全国民への十万円給付、中小企業持続化給付金事業の不当な丸投げ採択、専門家の意見を聞いたとして突然の全国一斉休校に踏み切りましたが、専門家からは全国一斉休校は議論していないと言われております。 そして、一億五千万の巨費を投じた河井案里の参議院選挙、当選の暁は、法務大臣を務めた河井克行衆議院議員夫婦、前代未聞の現金ばらまき、買収容疑で逮捕されました。 任命責任を問われた安倍総理は、責任は私にあると言いながら、責任は取っておりません。今に始まったことではないと思いながらも、言いたくなるところであります。 イージス・アショアの突然の配備計画の中止は、地元住民の懸念が現実のものとなったことに起因していることが明らかになりました。 国民の声を真摯に丁寧に聴く謙虚さが必要であることを強く申し上げ、会派を代表して質問に入ります。 新型コロナウイルス感染症対策のうち、経済支援について質問いたします。 六月十九日、県をまたぐ移動自粛が全面解除され、翌二十日の新聞では、県内観光地として下関市の唐戸市場など多くの観光地に観光客が戻ってきたと、大変喜ばしい記事を見ました。営業を再開する事業者も増え、少しずつ経済が動き出してきたのではないかと思います。 しかし、連日、新型コロナウイルスの感染に関するニュースが報道され、自粛が解除された後でも実際に外出するのを控えている方々も多く、旅行業や宿泊業、接待を伴う飲食店を含む飲食業など、多くのサービス業がぎりぎりの状態で経営を続けておられます。既に、倒産、閉店された中小企業、個人事業も少なくありません。 飲食店に対するガイドラインでは、テーブルは飛沫感染予防のためにパーティションで区切るか、できるだけ二メートル、最低一メートル以上の間隔を空けて横並びで座るなど配置を工夫し、カウンター席は密着しないように適度なスペースを空ける、真正面の配置を避けるか、またはテーブル上に区切りのパーティションを設けるよう工夫するなどと記載されております。 また、政府は今月十三日、都市部における夜の繁華街での接待を伴う飲食店など三業種への営業自粛要請を解除し、飲食店同様、できるだけ二メートル、最低一メートル以上の間隔を空けるなど指針を出しております。 飲食業、また接待を伴う飲食店の今後の営業に際し共通して言えることは、満席での営業ができないことであります。ガイドラインどおりだと、二割から三割程度のお客さんしか入れられない業種も実際には出てまいります。売上げもそれに伴い減少し、家賃、人件費さえ出せない店舗も今後さらに増えてくるのではないかと懸念されます。 旅館業もほぼ休業状態のところも多く、稼ぎどきであるゴールデンウイークの売上げは、緊急事態宣言のさなかであり、ゼロに等しかったと聞いております。 韓国人旅行客は日韓関係の悪化の影響により昨年夏前から激減しており、業績の低下が顕著に見られておりました。さらに、二月初旬頃から、新型コロナウイルスの影響でインバウンド旅行客が少なくなり、業績は最悪の状況です。開けても地獄、開けなくても地獄と、知り合いのホテル経営者から切実な声を頂いたところであります。 本県では、県内の食事提供施設を営業する事業者に対し、新型コロナウイルス対策営業持続化等支援金十万円、また県の休業要請に協力した事業者に対し、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金十五万円を制度化され、取り組んでこられました。非常にありがたく、経営維持の役に立ったとの御意見も県内事業者の方々から伺っております。 山口県内には、飲食店は約一万三千五百軒、旅館やホテルは約八百五十軒あり、そこで働く方々の雇用にも影響してまいります。外出自粛の影響を直接的に大きく受けた業種であり、地域経済ににぎわいを戻していくためには飲食業や観光業の活性化が不可欠です。 今後、さらなる支援策を講じるべきだと考えますが、見解をお示しください。 次に、新しい生活様式の普及・定着について質問いたします。 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言による新しい生活様式が示されました。 一人一人の基本的感染対策として、外出時のマスク着用はもちろんのことですが、小まめに換気をすること、身体的距離の確保としてできるだけ二メートル、最低でも一メートルの間隔を空けることや、可能な限り会話は真正面を向いてしないこと、手洗い、誰とどこで会ったかメモする、三密の回避、買物は一人で素早く、食事はテークアウトやデリバリー、対面ではなく横並びで座るなど、大変厳しい対策が出されております。 ただ、未知の感染症との闘いですので、やむを得ずこの新しい生活様式を取り入れていく必要があるわけです。 そこでお尋ねします。これから梅雨明け後は、特に暑さが厳しいと予測されております夏がやってまいります。そういった中でのマスクの着用、猛暑の中での換気など、なかなか厳しい対応だと思いますが、どのようにして県民の皆様にこの新しい生活様式を普及し、定着を図られるか、御所見をお伺いします。 次に、テレワークを軸とした移住促進についてお伺いします。 これまでも、東京一極集中がなかなか止められない状況であります。新型コロナウイルスの蔓延により、今は逆に東京都や都心から地方へ移住したいと思われる若者が増えているといわれております。大都市の住みにくさ、東京一極集中に伴うリスクが顕在化し、密による弱さを露呈する結果となりました。 テレワークにより、この数か月で通勤を必要としない仕事の在り方が注目されることとなり、地方に移住しても今までの仕事が続けられることが分かってまいりました。 テレワークのメリットは、環境が整っていれば遠距離での仕事が可能なこと、通勤時間がないこと、人と会わないので仕事に集中できること、家族との時間が増えたこと、自分のペースで仕事ができること、また化粧や身支度の時間も短縮できて効率的であることなどといわれております。 一方のデメリットは、PC、Wi─Fiなど、テレワークの環境を整えるのに費用がかかることが挙げられております。 本県では、東京圏への一極集中の是正及び地方の中小企業等における担い手不足対策のため、住民票を移す直前の十年間のうち通算五年以上、東京二十三区に在住または東京圏の条件不利地域以外の地域に在住し、かつ雇用保険の被保険者または個人事業主として東京二十三区に通勤された方などが、山口県への移住・就業された方の経済的負担を軽減する事業を令和元年八月七日から始められていると、ホームページにも支援内容が記載されております。 これを機に、早急な情報インフラの整備の強化、Society5・0の推進を図り、本県への移住支援の拡大、また周知活動の強化を進めるべきだと考えます。 これまでの移住促進策から、テレワークを軸に新たな視点を取り入れた移住促進を進めるべきだと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、教育現場の課題について質問いたします。 本県でも、新型コロナウイルス感染症拡大防止として、三月二日から春休みまでを全国一斉休校とするよう政府が呼びかけたことにより、三月二日午後から休校となりました。その後の拡大状況や非常事態宣言などを受け、春休み期間も含めて五月二十四日まで延長されてきました。 私自身、小学生の子供を持つ身であり、複数の保護者から、休校中の問題や今後の不安、様々な御意見を頂きました。長期間休校による教育の遅れを取り戻せるのか、オンラインの塾を受けている子供と受けていない子供の教育格差が生まれているのではないか、夏休み期間に当たる猛暑の中での登校に対する熱中症予防策はどうするのかなど、このほかにもたくさんの御意見や不安の声を聞いております。就学児童を持つ各保護者の切実な御意見です。 文部科学省は、五月十五日に、新型コロナウイルスによる長期休校によって生じた学習の遅れについて、複数年で解消することを可能にすることや、年度内に予定していたカリキュラムを終えられない場合は次年度以降教えてもよいとの通知を出しております。 この遅れを解消する手法として、ある調査では、保護者の六○%以上の方が夏休みの短縮を希望されているとの結果も出ております。また、山口県内でも夏休みの短縮により対応を計画しておられ、下関市、萩市では二十三日間に、山口市、柳井市では十六日間に短縮すると報道されております。 小学校六年生及び中学校三年生など、次年度への学習が繰越しできない授業時間確保のため、国は補正予算により、感染リスクの高い地域の公立小中学校へ教員三千百人を加配し対応することや、夏休みや放課後の補習などに当たる学習指導員も六万一千二百人、教材印刷や連絡業務を行うスクールサポートスタッフも二万六百人追加配置するとしております。 そこでお尋ねします。県立学校及び各市町の小中学校など、新型コロナウイルス感染症への対応による学習時間の不足時間の把握と、その解消策についてお伺いします。 次に、夏休みを活用するとなると、心配なのは熱中症対策です。 マスクも着用し、換気を行いながらの真夏の教室になりますが、各自治体ではエアコンの設置を進められておりますが、報道によると、市町のうち一部の小中学校ではエアコンが未設置の教室もあると聞いております。 このような状況の中で、夏休み期間の短縮により授業を実施するに当たり、県教委は熱中症対策にどのように対応されるのかお伺いします。 県立高校と特別支援学校七十二校に、自宅学習に使えるPC約二万四千台を今年度内に導入し、令和七年度までに予定していた端末配備を本年度中に前倒しするとの報道がありました。大変スピード感のある対応だと思います。 そこでお尋ねします。県立学校及び各市町の小中学校など、新型コロナウイルス感染症への対応による学習時間の不足時間の把握と……。申し訳ありません。間違えました。 二○二○年冬には、新型コロナウイルス感染第二波、第三波とともに、インフルエンザの同時流行も懸念されております。このような場合の休校措置は、市町、学校、学年単位で、学習時間に大きな差が生じるのではないかと不安視する保護者の数も少なくありません。 このため、県内の小中学校及び県立学校でもオンライン授業等の対応ができるよう、インフラ整備や家庭環境等によっては機器類の貸与についても必要となるのではないでしょうか。 このような整備は、新型コロナウイルス感染症の対策としてだけではなく、台風や昨今の異常気象による災害後の授業への影響、さらには学習障害等の子供たちにも活用が期待できるのではないでしょうか。ICTを活用したオンライン授業等の取組について、お考えをお示しください。 次に、イージス・アショアの配備に関するプロセス停止・断念について質問いたします。 イージス・アショアの配備に関するプロセス停止・断念についてでありますが、まず結果として、今回そのプロセス停止・断念を決めたことについては、決断をされた河野防衛大臣に敬意を表します。 我々民政会としては、かねてから、国防は国の専管事項であり、それを尊重する一方で、県民の安心・安全を確保する立場から言うべきことは言うとの知事の姿勢に賛同しながらも、配備によって住民の安心・安全が守られるのか、まちづくりに影響は出ないのかをしっかりと確認する必要があり、地元の合意が何よりも大事であると考えてきました。 昨年六月の定例会では、井上県議がまさに、演習場内へブースターを落下させることによる事故などの心配がないのかが大事です、今回の報告で、その辺りは確認できたのでしょうかと質問しております。 知事は、ブースター落下の安全性はこれまで国の説明では問題ないとされていますが、ミサイル発射時のブースターの瞬時の制御の可否など、詳細な点については確認していきたいと考えていますと答弁されましたが、今回、河野防衛大臣は、ブースターを演習場内に確実に落下させるためには、ソフトウエアのみならずハードウエアを含めシステム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明し、配備に関するプロセスを停止するとの判断に至ったと表明されております。 ただ、ブースターの落下の危険性について、住民説明会のたびに取り上げられ、これまで何度も疑問や不安の声が上がっていた問題です。 そのたびに、国は問題ないと説明されてきましたし、昨年六月十四日付で防衛省に対し、県、萩市、阿武町の連名で提出した第四回文書照会への十二月十七日付の防衛省からの回答でも、「ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御できることは可能。設定した地域区域内にブースターを落下させることが可能となる条件をあらかじめ計算・把握し、システム化する。そういった措置をしっかりと講じる」と回答されたばかりです。 これまで問題ないとされてきた国の説明の根拠は、何だったのでしょうか。このたびの判断となった経緯については、配備先の地元住民として、やはりしっかりと納得のいく説明が欲しいと考えている方が多いと思います。 先日、河野防衛大臣が来庁され、知事に謝罪と説明があったと思いますが、その内容の詳細と、このたび配備を断念することと表明されたことに対する知事の受け止めについてお尋ねします。 また、我々民政会としては、地元の理解が大前提として主張してきましたが、今後の対応について、知事の御所見をお尋ねします。 最後に、LGBTについて質問いたします。 LGBTとは、Lがレズビアン、女性の同性愛者、Gがゲイ、男性の同性愛者、Bがバイセクシャル、両性愛者、Tがトランスジェンダー、心と体の性が一致しない人、性同一性障害の方です。LGBTとは、この頭文字を取った造語です。また、LGBTに該当しない性的マイノリティーの方々も多数おられます。 人間を単純に二つのパターンに分け、それ以外を排除する考え方は、該当する方々が苦しむ背景となっております。LGBTへの差別や直面する困難を解消し、ジェンダー平等な社会を目指すために、法整備など様々な政策だけでなく、社会全体でも取組を行う必要があります。 二○一五年四月に、電通ダイバーシティ・ラボが全国約七万人を対象にした調査では、調査対象者のうち七・六%の方がLGBTに該当するという結果が出ております。二○一五年の調査数値を基に本県の人口割合で計算すると、人口約百三十四万七千人に対し、約十万二千人の山口県民がLGBTに該当する計算になります。 都市部においてはカミングアウトされる方々も増え、理解も進んでいると思いますが、地方ではLGBTに対する意識が低く、偏見の目が多いのも事実です。 しかし、該当するある一定数の方々は、確実におられます。 今月三日の毎日新聞で、ゲイの男性がインタビューを受けた記事の中で、LGBT当事者として、山口県での生きづらさについて書かれておりました。 記事の中で、東京だと、同性愛者が身近にいると若い人の中で浸透しているけど、山口は隔たりがある、山口県には当事者がいないように見えるのは、ただ表面化していないか、県外に出ていったか、人の流出は自治体にとってもったいないことだと思うとありました。地方は、LGBTに対する認識、理解度が低いと、実際肌で感じた御意見ではないでしょうか。 また、昨年十一月には、本県に本社を置く某テレビ局の情報番組内で、LGBT当事者本人の許可を取らないまま、性別について強調する字幕を放送されたことも記憶に新しいところです。 これは、いわゆるアウティングであります。アウティングとは、LGBT当事者御本人の了解を得ずに、ほかの人に公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動のことです。 アウティングをメディアが発信してしまい、全国から批判を受けたこの事件も、山口県のLGBTに対する意識の低さを象徴する事件ではなかったかと思わざるを得ません。 私は、本県でもパートナーシップ制度の導入を検討するよう、昨年の九月議会で質問いたしました。二○一五年十一月に東京都渋谷区、世田谷区で始まった制度ですが、全国的にパートナーシップ制度を導入する自治体が急速に増えてきました。 日本の法律では同性婚ができない現状において生じる不利益を少しでも解消し、LGBTに対しての偏見や差別をなくすこと、誰もが自分らしく生きる社会の実現などがパートナーシップ制度の主な目的であります。 県単位としては茨城県が、また大阪府もパートナーシップ制度を導入しております。隣の広島県では、今年度、広島市が導入予定であり、福岡県では、福岡市、北九州市、古賀市が既に制度を導入しております。 また、広島市と岡山市は、今年度、パートナーシップ制度を相互利用する方針を明らかにしました。転勤などで行き来することが多い両市が連携し、転居後に改めて手続をする負担を軽減する対応を取るそうです。 連携内容は、共に二十歳以上で、市内在住か市内に転居予定のカップルが対象で、市に宣言書を提出してもらうことで証明書を発行する、法的根拠はないが、証明書を提示すれば、二人で市営住宅に入居したり、医療機関でパートナーの病状説明を受けたりできるようになると検討がありました。 大阪、兵庫、岡山、広島、次に山口県を飛ばして福岡、長崎、熊本と、本県はこの制度に対して後れを取っていると言っても過言ではありません。 二○二○年五月二十六日現在、パートナーシップ証明制度を導入している、また導入予定の自治体は、導入済み五十一自治体、今年度導入予定十一自治体、検討中十二自治体という状況です。本県では、検討する市町さえ全くありません。 先ほど触れましたが、該当するといわれる七・六%の方々の中には、理解が低い地方より都市部への移転を希望することもあり、人口の流出の一つの要因ではないかと思います。 また、LGBT当事者の自殺率は、子供も含め非常に高いという結果も出ております。偏見や差別をなくし、命を守るという観点からも、本県はこれまで以上にこの問題に取り組む必要があります。 そこでお尋ねします。このLGBTの問題に対し、本県でのこれまでの取組と実績、今後の課題にどう取り組むのかお伺いし、質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)酒本議員の代表質問にお答えします。 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねのうち、経済支援についてです。 新型コロナウイルス感染症は、サービス業をはじめ県内の様々な業種において深刻な影響を及ぼしており、事業の維持・発展を支援することは極めて重要であると考えています。 このため、まずは県内事業者の売上減少に伴う資金繰りへの支援が必要であることから、私は四月補正予算において県制度融資に国の緊急経済対策を活用した新たな資金を創設し、必要な融資枠も確保したところです。 具体的には、当初三年間を無利子とし、保証料負担もない新型コロナウイルス感染症対応資金を創設することにより、経営安定資金と合わせて総額で千二百六十億円の融資枠を確保しました。 あわせて、当初から大きな影響を受けている食事提供施設に対しては、その経営者に対し一律十万円を助成する、お示しの制度も創設しました。 また、資金繰り支援に加え、売上げが減少している中小企業が営業の維持・発展に向けて取り組む、業務の効率化や新事業展開等に対して、小規模事業者については三十万円、その他の中小企業については三百万円を上限に補助する制度を新設したところです。 さらに、外出自粛の影響を大きく受けた旅館やホテル等の宿泊施設に対し、適切な感染拡大防止対策の取組を支援することにより、観光客が安心して来訪できる受入れ環境を整備し、観光需要の回復につなげていくこととしています。 今後のさらなる支援としては、中小企業の資金需要に応えるため、県制度融資の新型コロナウイルス感染症対応資金を拡充するとともに、経営安定資金と合わせて五千二百億円の融資枠を確保することとしています。 また、購入型クラウドファンディングにより、利用者が応援したい店舗を選び、二○%のプレミアムつきチケットをあらかじめ購入する仕組みを構築することとしています。 さらに、新しい生活様式を踏まえた事業環境の整備や新製品・新サービスの開発、販路開拓などに意欲的に取り組む中小企業を支援する補助制度も創設します。 また、宿泊業における早急な需要回復を図るため、新たに「行こうよ。やまぐちプレミアムキャンペーン」を展開し、割引率五○%の宿泊券の発行や、新たな旅行商品の造成等の取組を進めていくこととしています。 私は、今後とも、こうした県内事業者の事業継続への支援や消費需要の拡大への取組を通じて、地域ににぎわいを戻していくために必要な経済活動の活性化に取り組んでまいります。 次に、新しい生活様式の普及・定着についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルスの感染拡大防止に当たっては、県民、そして事業者それぞれが、感染の状況に応じた適切な予防対策に取り組んでいかなければなりません。 お示しの新しい生活様式は、新型コロナウイルスの再度の感染拡大に備え、私たち一人一人が日常生活の中で心がけるべき基本的な取組であり、国の専門家会議において、その実践例が示されているところです。 私としても、今後、感染拡大防止を徹底しながら、大きく落ち込んだ社会経済活動を回復させていくためには、社会全体で継続的にこの取組を進め、新しい生活様式が定着したコロナの時代の新たな日常を確立していく必要があると考えています。 このため、県民の皆様にこうした行動変容の重要性が十分理解され、実践をしていただけるよう、新型コロナウイルス感染症対策本部に設置した情報関連対策チームを中心として、取組の普及啓発に努めているところです。 具体的には、県のホームページや広報誌、SNS等を通じて、新しい生活様式の実践例や熱中症予防のポイント等を周知し、三つの密の回避や人と人との距離の確保、マスクの着用等の基本的な感染対策について、継続と徹底の呼びかけを重ねています。 また、事業者に関しては、感染予防対策として実施すべき基本的事項を整理した感染拡大予防ガイドラインが、業界団体ごとに作成されています。 県内事業者の皆様には、それぞれの業種のガイドラインに沿って適切な対策を講じていただく必要があり、県では、市町や関係団体を通じて、ガイドラインに掲げる取組が確実に実践されるよう文書で要請をするとともに、必要に応じて取組状況の把握も行っているところです。 さらに、国の補正予算も活用しながら、感染予防対策に要する経費を補助するとともに、飲食店に関しては県独自の新型コロナ対策取組宣言飲食店応援制度を創設するなど、各事業者の取組を支援してまいります。 私は、今後とも、市町や関係団体と連携し、県民の皆様、事業者の皆様の御理解と御協力を得ながら、新しい生活様式の普及と定着に取り組んでまいります。 次に、テレワークを軸とした移住促進についてのお尋ねにお答えします。 このたびの新型コロナウイルス感染症への対応は、感染拡大防止を目的としながら、住民生活や経済活動に様々な変化をもたらしました。 お示しのテレワークもその一つであり、人と人との接触機会を低減させるため、各企業に在宅勤務の実施が求められる中で、急速に普及が進んでいるところです。 先日公表された内閣府の調査では、新型コロナウイルスの影響下にあって、テレワークを経験した就業者の数は全体の三五%に及び、このうち東京圏の若い世代を中心として、地方移住への関心が高まっていることも報告されています。 パンデミックを経て、人口が密集する大都市部のリスクが改めて浮き彫りとなる中、私は、現在の就業を継続しつつ、働く場所にとらわれないテレワークの普及拡大は、今後の地方移住の促進にさらなる可能性を開くものと考えています。 一方で、テレワークによる遠隔勤務が地方移住にまで発展するためには、こうした働き方の新しいスタイルを社会全体に広く定着させ、拡大に向けた機運を一段と高めていかなければなりません。 さらに、企業の対応を誘導する制度的なインセンティブや、地方における情報通信インフラの速やかな整備も重要となります。 私としては、これらは個々の地方自治体の取組によるだけではなく、まさに東京一極集中等に伴うリスクを是正し、都市から地方へ人を押し出す政策として、国の積極的な対応を求めていくべき課題であると考えています。 また、移住を促進していくためには、県内における担い手確保の観点にも立って、新たな就業や起業等を含め、移住希望者の多様なライフスタイルのニーズに対応していく必要があります。 このため、本県では、これまでも市町や関係団体等と組織する「住んでみぃね!ぶちええ山口」県民会議を中心に、幅広い相談対応やお示しの移住に伴う経済的負担の軽減など、様々な受入れ支援に取り組んできたところです。 本年度においても、現下の情勢を踏まえ、新たにオンラインによる移住相談体制を整備するとともに、本県と継続的に関わる関係人口の創出・拡大に向けて、東京に拠点を設け、移住の裾野を広げていくこととしています。 私は、今後も、市町や関係団体等と連携し、環境の変化を捉えた新たな視点も取り入れながら、本県への移住・定住の促進に引き続き取り組んでまいります。 次に、イージス・アショアについてのお尋ねにお答えします。 イージス・アショアの配備については、私は国の役割と責任に属する防衛政策を尊重する一方で、県民の安心・安全を確保する立場から、言うべきことは言うとの姿勢で、地元市町と連携して対応してまいりました。 今回のブースターの件についても、市町と連名で文書照会を行い、これまでブースターを演習場内に落下させることは可能である旨、国から回答を得てきたところです。 しかしながら、このたび突然イージス・アショア配備に関するプロセスの停止が決定され、今月十九日に県庁で河野防衛大臣からその説明を受けました。 大臣からは、「米国との協議を重ね、検討を進めてきた結果、本年五月下旬、ソフトウエアのみならず迎撃ミサイルのハードウエアを含め、システム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明した。このため、防衛省としては、追加のコスト及び期間に鑑み、イージス・アショアの配備に関するプロセスを停止し、今後の対応は、国家安全保障会議に報告の上、その議論を踏まえて検討する」旨、説明がありました。 私からは、ブースターの問題は住民の命に関わる重大な問題であり、十分な精査が行われずに説明がなされたことについて遺憾の意を述べるとともに、周辺住民が居住する地域へのブースター落下の危険性が取り除けないのであれば、そうした場所での配備は受け入れられない旨、申し上げました。 最初から十分な精査を行った上で配備プロセスを進めるべきでなかったのかという点については、大臣から「米国との協議、それを踏まえた防衛省での検討の結果として、その時点ではソフトウエアの改修により飛翔経路をコントロールできるという判断であった。また、当時の北朝鮮の弾道ミサイルが日本の上空を飛ぶという厳しい安全保障環境において、できるだけ速やかに配備を行う必要があると判断し、ソフトウエアの改修・検討と配備のプロセスを同時並行で行うこととした」旨、説明がありました。 その後、二十四日に開催された国家安全保障会議の議論を踏まえ、防衛省においてはむつみ演習場への配備を断念した旨、大臣から連絡があったところであり、プロセスの停止の表明から、速やかに最終的な判断をしていただいたものと受け止めています。 私は、先般の大臣の来県の際、また大臣から配備断念の連絡の際にも重ねて申し上げたところですが、これまでこの問題に大変苦慮しながら対応してきた地元に対し丁寧に説明していただくよう、引き続き国に求めてまいります。 次に、LGBTについてのお尋ねにお答えします。 LGBTなどの性的マイノリティーを理由とした偏見や差別はあってはならず、多様性を認め、それぞれの生き方が尊重される社会を構築することが重要です。 このため、県では、LGBTなどを理由に困難な状況に置かれている方への相談支援や、LGBTに対する理解を促進するための啓発活動などに取り組んでいるところです。 具体的には、相談支援については、男女共同参画相談センターや精神保健福祉センター、健康福祉センターにおいて、LGBT当事者の方やその御家族から悩みをお聞きし、必要に応じて専門機関等による適切な支援へとつなげています。 また、啓発活動については、LGBTへの正しい理解を深めるため、県民や企業等を対象とした県政出前トークを行うとともに、県や市町が実施するイベントを活用した普及啓発などに取り組んでいます。 こうした取組を実効あるものとするためには、LGBT当事者の方から生きづらさや経験談などを直接聞くことが有効であることから、昨年開催した県の人権ふれあいフェスティバルでは、当事者を講師とする基調講演を行ったところです。 このフェスティバルには、若者から高齢者まで幅広い年齢層の方々約八百名が参加され、講演後に行ったアンケートでは、人権尊重の認識やLGBTに対する関心が高まったなど、御意見を頂きました。 さらに、人権を尊重した行政の担い手である職員に対しては、LGBTに関するより深い理解と適切な行動が求められることから、毎年実施している人権研修の中で、LGBTの定義に加え最新の動向などを説明し、知識の向上を図っています。 このような中、LGBTをめぐる社会的な動きが進んできたこともあり、LGBTの認知度は県内でも高まりつつあるものの、一方で当事者が実際に直面している困難については周囲には見えづらいことから、県民の理解や配慮が進みにくい状況にあります。 こうした課題に対応するためには、一層の啓発活動に取り組んでいく必要があり、県としましては、必要に応じて、LGBT当事者の方や関係団体、専門家などの意見も聴きながら、今後の取組に反映させていくこととしています。 また、お示しのパートナーシップ制度については、現在、国において性的マイノリティーに関する法制度が議論されていることから、こうした国の動向等を見守ってまいります。 私は、今後とも、国をはじめ市町、関係機関と連携しながら、県民や企業等のLGBTに対する正しい理解と認識を深め、一人一人の人権が尊重される社会づくりに取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)教育現場の課題についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、新型コロナウイルス感染症への対応による学習時間の不足時間の把握と、その解消策についてです。 このたびの新型コロナウイルス感染症対策として、子供たちの健康と安全を守る観点から、県教委では県立学校において最大四十四日間、また市町教委では市町立の小中学校において最大四十七日間の授業日を臨時休業とし、その間、通常の授業を実施することができませんでした。 このため、各学校においては、主たる教材である教科書に基づく学習課題を適切に課すとともに、例えば小中学校においては県教委作成の学習プリントや動画コンテンツを活用するなど、家庭学習の充実に努めてきたところです。 学校再開後は、全ての公立学校において長期休業期間の短縮を行うとともに、通常の授業日においても、年間指導計画の見直しや学校行事の精選などにより、授業時間の確保に向けた取組を行っております。 今後も、学習指導員やスクールサポートスタッフの配置など、国の事業も活用しながら、本年度指導を計画している学習内容について年度内に指導が終えられるよう、学校や市町教育委員会と連携を図り、子供たちの確かな学びを保障してまいります。 次に、熱中症対策についてです。 新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を行う中、気温、湿度が高い夏の時期における熱中症対策には、より一層留意する必要があると考えております。 このため、県教委では、学校における熱中症対策として、気候の状況等により活動内容の設定に留意すること、活動時に適切な水分補給を行うこと、空調設備を適切に使用することなどの対応を行うことについて、各学校で徹底するよう改めて通知したところです。 また、新型コロナウイルス感染症対策として、基本的には常時マスクを着用することとしておりますが、国からの通知を踏まえ、空調設備の整っていない教室等において、熱中症などの健康被害が発生する可能性が高いと判断した場合は、換気や児童生徒等の間に十分な距離を保つなどの配慮をした上でマスクを外すよう指導しております。 なお、これらの対策については、市町立学校においても同様に対応されているところです。 今後も、児童生徒の安心・安全な教育活動が行われるよう取り組んでまいります。 次に、オンライン授業等への対応についてです。 新型コロナウイルス感染症の発生等による学校の臨時休業等の緊急時においても、全ての子供たちの学びの機会を保障するため、ICTを活用し、家庭でも学習できる環境を整備することが必要です。 このため、県教委では、県立学校において、オンライン学習や授業動画等を活用した家庭学習を進めることができるよう、ICT環境が整っていない家庭に対して、携帯端末など通信機器の貸与を行っているところです。 また、市町立小中学校のICT環境については、国の補助事業等を活用しながら、市町教委において整備を進められているところです。 県教委といたしましては、学校と家庭のICT環境を整備することで、臨時休業等においても子供たちの学びを止めないよう、市町教委とも連携しながら、オンライン学習に取り組んでまいります。 ───────────── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十三分休憩 ─────────────