1 魅力ある観光地域づくりへの支援について 2 高齢者や障害者施設における感染防止対策について 3 ダムによる治水対策について 4 学校における感染症対策について 5 高校生の進学、就職への支援について 6 警察行政について 7 その他
───────────── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第三号まで及び第五号から第十一号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第三号まで及び第五号から第十一号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 笠本俊也君。 〔笠本俊也君登壇〕(拍手) 笠本俊也君 皆さん、おはようございます。自由民主党の笠本俊也でございます。令和二年度六月定例会の一般質問のトップバッターを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。 質問に入る前に、一言申し上げます。 まずは、世界中で未曽有の大災害となり、今後、国内でも第二波が懸念されている新型コロナウイルスで感染され、お亡くなりになられました皆様方に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、現在も治療に当たっておられます皆様方に対し、一日も早い御回復をお祈りいたします。 新型コロナウイルスが今日まで社会・経済に与えた停滞の影響は甚大で、その影響は地域を選ばず、全国の町、人、仕事の隅々まで浸食、行きたい場所に行き、会いたい人に会う、行動範囲や対面的なコミュニケーションが制限され、人それぞれのそうしたこれまでの自由が日常になくなり、私たちに分断、制限、不安といった、これまでの社会や生活とは真逆のものをもたらしてまいりました。 一方、外出自粛の影響で、私自身も家族と過ごす時間も増えました。散歩に出かけると、美しく、懸命に生きる自然の姿に目が留まる、ツバメたちが必死で子育てを進める、街では地場産業を盛り上げようと動き、お互いに助け合っている人々元来の温かさにも触れることができました。 当たり前に過ごせる時間の貴重さと生きるための大切な価値観に改めて気づかされ、こうした渦中であっても流れ続けている社会や経済、そして時間の中で、この苦境を生き抜くための行動力や、周囲にとらわれ過ぎず、大切なものを見抜き、冷静に動く意識を持つことの大切さ、そうしたことに気づかされた方も多いのではないでしょうか。 今後も、かなり長期にわたって、また容易には社会・経済は元の姿に戻らないという懸念もありますが、こうした大きな変化の中で、暮らしや産業において、時代に適応するためのイノベーションが起こってくるはずです。 本県それぞれの地域が目指す地方創生を成し遂げていく上でも、三密の生活スタイルそのものの大都市圏生活から、町、人、仕事の流れが地域に回帰する、新型コロナウイルスを境に、地域経済にとってもそうした契機になっていくかもしれません。 県民の明るい未来づくりに向けて、執行部におかれましても、県民、事業者の声を大切に、それをヒントにしながら、このような今だからこそできる今後の準備を部局の連携を密にしっかり進め、あらゆる角度から新しい視点で施策に臨んでいただきたいと思います。 それでは、通告に従い、一般質問を行います。 最初に、魅力ある観光地域づくりへの支援についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスの影響により、多くの業界から悲痛な声を頂いております。我々の食の源泉である第一次産業においては、野菜価格や魚価の低迷など、商品が流通の出口を失い、こうした食やものづくりのための根幹の産業に至るまで余波が広がっており、時の経過と並行して、想像以上に県民生活や県経済に甚大かつ深刻な影響を及ぼしていると感じています。 その中でも、特に大きなダメージを受けているのが観光・サービス産業です。私の地元でも、交流人口の拡大を図るべく、これまで数年かけて取り組んできた観光・サービス産業を軸とした地域の発展がぴたりと止まってしまいました。 平成三十年には二百五十万人の交流人口を受け入れてきた地域の基盤であるホテル、旅館等の宿泊事業、航空、鉄道、バス、タクシー等の運輸事業、旅の手配を段取りする旅行事業、広報宣伝を担ってきた広告・印刷事業、おもてなしを行う飲食関係事業や土産店等、多くの事業者が存亡の危機に瀕し、観光、外食などを主軸に地域づくりを進めている全国のローカル経済圏にも大きくその波紋が広がっています。 さらには、バンケット事業、代行運転サービス業、冠婚葬祭のギフト業、業務専門卸等、観光・サービス産業と密接に業績がリンクし、売上げも比例して経済波及効果を生み出している関連事業者からの悲鳴や、これからをどう乗り越えていけばよいのかといった相談も私の元に非常に多く届いております。 こうした業界を支えるため、本県では、休業協力金やコロナ対策持続化等支援金などを設けられました。早期に対策に取り組んだことに感謝しつつも、こうした支援で小規模事業者は当座をしのぐことこそできるかもしれませんが、県内各地域で業界を牽引しているような企業本来の事業規模に見合うものであるのかなど、事業者救済の核心に迫る支援には程遠く、将来に対する漠とした不安を払拭するには今以上に様々な角度からの支援が必要です。 県としても、本県を世界に売り出していく最前線に立っておられる観光・サービス事業者が取り組む変革のためのニーズを密な情報交換を重ねながら適切に把握し、アフターコロナを見据えた真の観光地や観光事業者の強い経営基盤づくりを進めることができるよう、強力な支援を今後とも精力的に行っていただくよう要望しておきます。 さて、そうした思いで、今後の観光施策を見据えて質問をいたします。 国においては、従前より、訪日外国人旅行者数を二○三○年に六千万人とする目標の達成に向けて、国外に向けた情報発信の日本政府観光局への一元化のほか、国立公園の魅力整備、富裕層誘客のための高級ホテルの充実など、観光インフラへの投資を重視する方針が打ち出されております。 そしてまた、現在は新型コロナウイルスに打ちかつという長期展望の下、今後の施策を展開していかなければならない重要な局面にあります。 本年四月の訪日外国人旅行者数を見てみますと、前年同月比で九九・九%減と壊滅的な状況にありますが、様々な災難から立ち直ってきたこれまでの歴史を振り返っても、観光産業は必ずや時代を超えて発展を続ける産業であると信じています。 また、そうであるからこそ、次のステージに向けて、より強い観光地と事業者の育成を進めていかなければならないと考えます。 本県では、選ばれる観光目的地やまぐちをつくり上げていくために、「YAMAGUCHI MAGIC!」などの観光キャンペーンをはじめ、観光地の魅力を存分に伝える県観光連盟のホームページなど、充実した観光情報発信をこれまで展開してこられ、特に絶景、温泉、グルメ、歴史などの観光資源を生かした取組は、近年の観光客数の増加に大きく貢献してきました。 このように、行政による情報発信の重要性は論を待たないところですが、一方で、多くの県民の皆様がSNSにより、苦境に立たされている事業者や地域のための応援を本当に多く情報発信されておりました。 私は、これらの温かい情報発信に感謝するとともに、しっかりと魅力ある人や物、地域であれば、こうして自然と多くの方々が発信されるのだという現実も実感し、魅力ある観光地域づくりのために、県として情報発信以上に必要な施策は何なのかについて考えさせられました。 私の地元にある元乃隅神社周辺では、駐車場、直売所の整備やトイレの様式化など、国や県の大きな力を頂き、受入れのためのハード整備が実施されたことにより、利用客の滞在時間が延伸し、お金を消費することができる、県を代表する一大観光地に生まれ変わりました。 このことにより、以前より観光客数が大幅に増加したのです。さらには、現在も、地元の方々の御尽力により、新たな魅力を生み出そうとしておられます。 つまり、魅力ある観光地域づくりのために行政にしかできない役割として、情報発信だけではなく、二次交通の充実や観光地の町並みづくり、施設整備、多言語対応といった多様な観光インフラの充実にも視点を向けて、観光地の魅力そのものを高め、観光事業に携われる方々にしっかりとお金の落ちる仕組みをつくっていくための支援こそが極めて肝要であると考えます。 アフターコロナの時代においては、まずは国内の観光客を対象に、観光事業がスタートを切っていくこととなるでしょう。その際は、より魅力ある観光地をつくり、さらに磨き上げるための投資を行う観光インフラの整備にもしっかりと注力していただきたいと考えます。 そこでお伺いいたします。このたびの新型コロナウイルスによる影響も踏まえ、本県の魅力ある観光地域づくりに向けて、今後、ソフト・ハード両面にわたる観光インフラの整備にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、高齢者や障害者施設における感染防止対策についてお尋ねいたします。 このたびの新型コロナウイルスの感染拡大では、県内各地で感染者が発生し、いつどこで感染するか分からない未知のウイルスに対する恐怖から、県民に大きな不安をもたらしました。 また、四月半ばには、全国的な感染拡大から、全ての都道府県を対象に緊急事態宣言が出され、本県においても、県民や事業者等に対し、不要不急な外出自粛や施設の休業等に関する協力要請が行われました。 こうした中にあっても、利用者やその家族の生活を支えるために、事業を継続いただいたのが高齢者や障害者施設になります。 私も、施設の方から、高齢者や障害者が元気や健康を維持するためには、孤立させることなく、人と人との触れ合いや交流を行うことが何よりも大切であり、こうした思いで日々のサービスを提供したとの声をお聞きしていますが、集団生活や接触を伴うサービスなど感染が広がりやすい環境にある中、様々な感染防止の工夫を凝らし、感染や重症化のリスクが高い高齢者や障害者へのサービスを継続いただいた現場の職員の皆さんには大変な苦労があったと思います。 そして、こうした方々の懸命の努力のおかげで、これまで本県の高齢者や障害者施設はクラスターが一件も発生していない状況にあります。 しかしながら、全国を見ると、高齢者や障害者施設では、サービス提供者や利用者、面会者等からの感染による大規模な施設内感染が多数発生しています。また、高齢者や障害者の重症化や死亡事例も多く出ており、施設での徹底した感染防止対策に取り組む重要さを改めて実感したところです。 このウイルスに対しては長丁場での対応が予想されており、感染の再拡大も見込まれることから、感染状況が落ち着いている今こそ、次の感染の拡大に備えた十分な準備を進めていかなければなりません。 そのためには、施設での感染防止に向け、利用者や職員等に対するこのたびの経験や外部の専門家も活用した効果的な感染対策の実施や、マスクや消毒薬等の衛生用品の十分な確保などを支援する必要があります。 また、現場に大きな不安があるクラスターが発生した場合の対応について、これまでの発生事例も踏まえた助言を行うなど、今後の施設の感染防止に向けた体制づくりを県も並走して支援していくべきだと考えています。 そこでお尋ねいたします。県では、今後の感染拡大に備え、高齢者や障害者施設での感染防止対策に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、ダムによる治水対策についてお尋ねします。 近年、気候変動の影響等によって自然災害の激甚化が進行してきており、特に風水害については昨年は台風十九号が猛威を振るい、東日本各地で大規模な浸水被害が相次いだところであり、本県でも一昨年の七月豪雨により、県東部を中心に深刻な浸水被害が生じたことは記憶に新しいところです。 本年も出水期を迎える中、私としては、こうした浸水被害の未然防止を図っていくためには、河川整備計画に基づいて河川改修やダムなどのハード対策を推進していくとともに、既存ダムについても貯水容量を最大限に活用して、治水機能を一層強化することも重要と考えるところです。 このうち、下流域の浸水被害の防止や軽減に資するダム整備は極めて有効な治水対策であり、現在、本県では平瀬ダム建設工事が令和五年度の完成に向けて着実に進められています。 また、大河内川ダムや木屋川ダムについても、引き続き計画的に推進していくことが重要であると考えます。 そこでまずお尋ねいたします。県民のかけがえのない生命・財産を守るため、県は今後どのようにダム整備に取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、国では、地球温暖化の影響等により、今後も局地的豪雨がいつどこで起こってもおかしくないという前提に立ち、ダムによる洪水調整機能の早期強化に向けた検討が進められてきたところであり、昨年十二月に、既存ダムの洪水調整機能強化に向けた基本方針が策定されました。 この方針に沿って、本年五月までには、ダムのある全ての一級水系において、利水容量を洪水調節容量に活用する事前放流の実施方針などを定めた治水協定を、河川管理者、ダム管理者、そして関係利水者の間で締結されたところです。 これにより、一級水系全体としては、水害対策に使える貯水容量が約四十六億立方メートルから約九十一億立方メートルに倍増する見込みとなっています。 本県では、佐波川と小瀬川の二つの一級水系において、既存ダムの事前放流が可能となりましたが、今後は二級水系においても同様の取組を検討し、既存ダムの洪水調節機能を強化することが望まれます。 そこでお尋ねいたします。既存ダムを有効活用した治水対策を進めるため、県は二級水系の県管理ダムの事前放流について今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、学校における感染症対策についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、臨時休校していた県立学校は五月二十五日に全て再開することになり、生徒の皆さんは授業に臨み、気持ちも新たに学校生活を再スタートすることになりました。授業や部活動の再開等で友達とも久々に対面でき、今まさに以前の充実した学校生活が取り戻されようとしているところではないでしょうか。 そうした一方で、学校での感染拡大のリスクがなくなったわけではなく、引き続き適時適切な感染症対策を行っていく必要があります。 実際に、緊急事態宣言の解除後に、北九州市では新たな感染者が相次いで確認されており、北九州市立の小中学校では児童生徒にも感染者が出ております。報道によると、北九州市教委は市立小中学校について分散登校を実施し、同時に登校する各クラスの人数を二十人以下に保つよう対応されたとのことです。 再度の感染拡大が発生している状況においては、感染リスクを低減させること、学びの場を継続していくことは重要であり、両者のバランスを考慮しながら、慎重な判断が求められます。 本県においても、四月に防府商工高校の教員の方々が新型コロナウイルスに感染し、学校を休校することもありました。感染者が相次いで発生する状況において、生徒の皆さんは日々不安に駆られていたでしょうし、また、そのような状況の中で、教職員の方々の生徒たちの周辺三百六十度を見据えた様々な対応にも困難を極められたものと拝察いたします。 多くの生徒と教職員が集まる学校においては、今後、全国の社会経済活動再開とも並行した、徹底した感染症対策を行う必要性は申し上げるまでもありませんが、これから暑い夏を迎えますので、熱中症にも配慮した対応も求められます。 県教委におかれましては、生徒の皆さんお一人お一人が健康を損なうことなく、学校生活においても不安のない環境を提供できるよう、これからも各学校の職員さんや生徒の皆さんの声にしっかりと耳を傾け、現場現場で万全の備えを進めていただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。ウイズコロナの下で、子供たちの健やかな学びを保障するため、学校における感染症対策にどのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、高校生の進学、就職への支援についてお尋ねいたします。 高校生の就職活動は例年三年生の夏休み前からスタートし、本年も高校生の県内就職を支える高校の進路担当者と企業の採用担当者が情報交換を行う県内就職促進協議会が開催され、六月四日の県庁での開催については高校二十六校と県内企業四十七社が参加されたとのことです。 新型コロナウイルスの影響で新年度のスタートが遅れたこともあり、大学生の就職活動に関するリクルートキャリアの調査によると、来春卒業する大学生の六月一日時点の就職内定率は前年同月比一三・四ポイント低下の五六・九%となっております。 また、同日には来年春卒業・入社の就職採用選考が解禁となり、対面でなくオンラインでの面接も広がりを見せており、これまでの面接指導手法等も一変し、就職への仕組みが大きく変わろうとしています。 二○二一年卒新卒採用には前向きな企業も多いとは伺っていますが、運輸や観光業などダメージの大きい業界も存在している中で、今後、企業からの求人票もどう動いていくのか予想できないため、高校生の就職についても、学校側では就職を控える生徒たちへの対応、準備等にも例年以上に不安が出ていると伺っています。 私は、こうした特殊事情が生じた状況にあっても、就職を控えた高校三年生が希望に満ちた社会人の第一歩を迎えるために、希望者の人間性をしっかり企業に知っていただけるような学校での就職活動の適切な準備や学校へ求人情報等がしっかり届けられるように、県としても部局間連携の下に、企業と高校の双方をつなぎ、サポートしていくべきではないかと考えております。 また、高校生の進路については、大学等への進学もサポートが必要であると考えております。長期にわたる学校の臨時休校に伴う授業時数の減少により、地域や学校で学習の進捗の差が生じ、大学入試等を受ける際の公平性の確保が課題となっています。休校期間中の学習方法についても、課題を配付する例もあれば、授業に近い形でのオンライン教育を実施した例もあります。 各学校では、夏休みの短縮等の工夫により、学習機会の確保をされると伺っております。これまでの授業の遅れを取り戻し、生徒の皆さんの進学に対する不安を和らげ、希望する進路を目指すことができるよう取り組んでいくことが重要であると考えております。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルスによる長期の学校休校の影響を踏まえ、県内高校生の進学、就職への支援についてどのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に、警察行政に関して、県警における新型コロナウイルス対策についてお尋ねします。 県警によりますと、今年三月、四月の二か月間に認知した刑法犯及び交通事故の発生件数は、前年同時期と比べて約二割減少したとのことであります。 一方、うそ電話詐欺の被害件数は二か月間で合わせて十六件発生しており、昨年と比べ被害件数は十二件増え、被害総額は約四倍の三千八百五十万円と急増しております。 これらはいずれも感染拡大に伴い外出自粛が広がったことが影響したものと考えられますが、今後も外出を控える高齢者を狙った不審電話や、臨時休業や営業時間の短縮を行っている店舗を狙った窃盗事件など、新型コロナウイルスが絡む犯罪の発生が懸念されるところであり、県警には県民の安全・安心確保のため、引き続き万全の対策を期待するところであります。 さて、新型コロナウイルスは、治安維持を担う警察官にも目に見えない形で突如襲いかかり、警察活動を困難にしております。 他県では、交通事故の負傷者が感染していたことが判明し、現場で対応した複数の警察官が自宅待機を余儀なくされ、一時的に警察活動ができなくなる事態が発生しております。また、現場捜査員が集団感染したことから、警察署機能を一時的に停止した県警も複数あるとのことです。 今後におきましても、不特定多数の人と接触する機会が多い警察官は感染リスクが高いことから、県警には業務の継続に必要な治安維持体制の確保が何よりも求められます。 このたびの新型コロナウイルスによる危難では、県警が果たすべき役割は大きいと改めて感じたところであり、県警にはこのようなときにこそ県民から頼りにされるべき存在として、県民の安全・安心のため本領を発揮してもらいたいと願うものであります。 そこでお尋ねします。新型コロナウイルスの発生に乗じたうそ電話詐欺被害をはじめ、増加が懸念される各種犯罪を防止するとともに、警察官の感染を防止し、業務継続に必要な治安維持体制を確保するため、今後どのように取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笠本議員の御質問にお答えします。 まず、魅力ある観光地域づくりへの支援についてです。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う不要不急の外出自粛等により、旅館やホテル等の宿泊業の需要が大幅に減少するなど、観光産業に深刻な影響が生じています。大きな打撃を受けている地域経済の回復と再活性化のためには、観光による交流人口の拡大を図ることが極めて重要です。 事態収束後も見通した本県観光力のさらなる強化を図るため、観光資源の開発や観光客の受入れ環境整備による魅力ある観光地域づくりを積極的に推進していく必要があります。 このため、まず観光資源の開発に向けては、民間事業者による本県の豊かな自然や特色ある文化等を活用した体験型コンテンツの造成を支援するとともに、専門家による指導・助言を通じて事業者の育成を進め、観光地としての魅力向上を図っています。 また、県内各地域の優れた観光素材を活用し、絶景の観光地や道の駅等を巡るバスツアー、酒蔵見学などを組み入れた周遊プランなど、魅力的なツーリズムの創出を通じて観光需要の拡大につなげていきます。 次に、観光客の受入れ環境整備については、外国人観光客向けの多言語案内看板の導入促進やコールセンターでの通訳サービスの提供、さらに飲食店等での無料公衆無線LANの普及促進など、観光客の満足度を高める情報提供基盤の充実を図っていきます。 また、このたびの感染症の拡大を踏まえ、観光客が安心して本県に来訪できるよう、県内の宿泊施設や交通機関等における感染拡大防止に必要な設備等の整備を支援することとしています。 さらに、二次交通の利便性向上を図り、県内周遊を促進するため、県内の全ての路線バスで交通系ICカードが利用可能となるよう、今年度から順次、事業者の機器整備等に対する支援を行うこととしています。 私は、市町や関係団体等と緊密に連携し、新型コロナウイルス感染症の収束後も見据え、本県観光力の強化に資する魅力ある観光地域づくりに積極的に取り組んでまいります。 次に、高齢者や障害者施設における感染防止対策についてのお尋ねにお答えします。 高齢者や基礎疾患のある障害者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合には重症化するリスクが高く、一たび施設内で感染が生じるとクラスター化するなど、重大な事態に至るおそれがあります。 本県では、施設職員の皆様の御尽力によって、これまで施設内での感染は発生していませんが、全国的には高齢者施設等でのクラスター事例が多数発生しています。 このため、私は、感染状況が比較的落ち着いている今こそ、第二波、第三波に備え、高齢者施設や障害者施設における感染の防止に向けた事前準備に万全を期すことが極めて重要と考えています。 具体的には、まず施設内での感染拡大を未然に防止するため、感染が疑われる入所者をケアするための個室化や、マスク、消毒液等の衛生資材の備蓄など、各施設が実施する取組を支援していくこととしています。 また、施設としての対応能力の向上を図るため、平時からの感染防止や感染発生時の対応等について各施設への指導等を行うとともに、感染管理分野の認定看護師等による研修や現場における実地の助言など、各施設における外部専門家を活用した取組を推進してまいります。 さらに、全国知事会が設置した新型コロナウイルス対策検証・戦略ワーキングチームにおいて、クラスター発生事例の収集・分析や高齢者施設等における感染防止策の検証等を行うこととしており、検証結果から得られた課題や知見を本県の感染防止対策に生かしていきたいと考えています。 私は、引き続き、こうした取組を通じて、県内施設において感染が発生することのないよう、市町や関係団体等と連携し、新型コロナウイルスの施設内感染対策に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)阿部土木建築部長。 〔土木建築部長 阿部雅昭君登壇〕 土木建築部長(阿部雅昭君)ダムによる治水対策の二点のお尋ねにお答えします。 まず、ダム整備についてのお尋ねです。 県では、近年、頻発・激甚化している災害から県民の生命・財産を守るため、河川改修やダムなどのハード対策については、河川整備計画に基づき、過去の被災状況や背後の土地利用等を勘案し、緊急性の高い箇所から進めていくこととしています。 とりわけダムの整備は、洪水を貯留し、下流域の浸水被害の防止、軽減に極めて有効な治水対策であることから、県では現在三つのダムの整備に取り組んでいます。 まず、平瀬ダムでは、早期完成に向け、ダム本体や地滑り対策の工事などを行っているところです。 また、大河内川ダムでは付け替え道路の工事を、木屋川ダムでは環境アセスメントの手続などを実施しており、引き続きダム整備を着実に推進してまいります。 次に、二級水系の県管理ダムでの事前放流についてのお尋ねです。 事前放流は、既存ダムを有効活用するため、関係利水者との調整を図った上で、利水容量の一部を洪水発生前に放流し、洪水調節容量を増加させるものであり、県では菅野ダムにおいて台風を対象に実施してきました。 こうした中、国においては、昨年の台風十九号等を踏まえ、昨年十二月にお示しの基本方針を、本年四月には事前放流のガイドラインを定め、五月までに一級水系で事前放流の実施方針等を定めた治水協定を締結することとし、本県では佐波川、小瀬川の二つの水系で締結したところです。 お尋ねの二級水系については、一級水系での取組を参考に、近年、甚大な浸水被害を受けるとともに貯水容量の大きなダムがある水系から、関係利水者等の理解を得ながら、事前放流の実施に向け治水協定を締結していく考えです。 県としては、県民の安心・安全の確保のため、今後ともダム整備や既存ダムの有効活用をはじめとした治水対策を計画的かつ着実に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)教育に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、学校における感染症対策についてです。 新型コロナウイルス感染症については、いまだ不明な点も多く、長期的な対応が求められているところであり、学校における子供たちの健やかな学びの機会を保障するためにも、感染症対策を徹底することは重要であると考えています。 こうしたことから、県教委では、五月の学校再開に当たり、感染防止に向けた基本的な対応方針などを示したガイドラインを策定し、これに基づいて各学校において具体的な対応計画を作成したところです。 この計画を踏まえて、学校においては、密閉・密集・密接の三つの密を避けることを基本とし、教室の換気、身体的距離の確保、マスクの着用や手洗いの徹底、施設の消毒など、感染症対策に取り組んでいるところです。 また、家庭と連携して毎朝の検温や健康観察を行い、子供たち一人一人の健康状態の把握にも努めているところです。 さらには、これから暑い夏を迎える中、空調設備の適切な使用や状況に応じたマスクの着脱など、熱中症にも配慮しながら感染症対策を行うこととしております。 こうした学校における感染症への対応は、国の通知や学校における実情等を踏まえながら見直しを行うものとしており、県教委においては、学校における対応がしっかりと行われるよう、適時適切な情報提供や現場のニーズの把握に努めてまいります。 また、国の第二次補正予算の中で創設された補助事業を活用し、消毒液の追加購入をはじめとした様々な感染症対策に使える経費や、夏季休業期間の縮減に伴う空調設備に係る経費などをこのたびの補正予算に計上し、各学校の主体的な取組を支援してまいります。 県教委といたしましては、子供たちの健やかな学びの機会を確保するために、今後も学校現場の実情を把握しながら感染症対策に適切に取り組んでまいります。 次に、高校生の進学、就職への支援についてです。 新型コロナウイルス感染症の影響により、学校における臨時休業が長期化し、社会における雇用環境の悪化も予測されていることから、お示しのように、高校三年生が不安な気持ちで大学入試や就職活動に臨むことが懸念されています。 こうした中、県教委といたしましては、生徒が安心して進路実現に向けた準備に取り組むことができるよう、学校や関係機関と連携しながら十分なサポートを行うことが重要であると考えています。 このため、就職支援については、六月に県内就職促進協議会を四会場で開催し、事業所と学校双方が情報交換を行う場を設けるとともに、就職サポーター等による求人開拓を効果的に行うため、協議会への参加を希望した事業所の求人情報を一覧にして学校に配付したところです。 また、生徒の主体的な進路選択を支援し、マッチングの促進を図るため、今年度は各事業所が作成した紹介動画を各校に配信するとともに、応募前職場見学については、就職に係る選考期日が一か月後ろ倒しされたことから、その期間も活用して取り組むこととしています。 さらに、庁内関係各部で組織する高校生県内就職促進プロジェクトチーム会議を開催し、就職支援に係る協議を進めてまいります。 一方、進学支援については、生徒の不安を解消するため、各学校において長期休業期間の短縮などにより授業時間を確保した上で、進路に関する個人面談や課外授業等のさらなる充実を図るとともに、新たな大学入試制度の説明や進学に関する講演等をオンラインで実施するなどの工夫を行っています。 また、県教委においては、大学入試に係る国の動向を各学校へ迅速に情報提供するとともに、希望する進路に応じた学習を主体的に進めることができるよう、全ての県立学校の生徒に民間のオンライン学習支援サービスを提供することとしています。 県教委といたしましては、こうした取組を着実に進め、雇用情勢や進学に関する国の動向も踏まえながら、生徒一人一人の進路が実現できるよう全力で支援してまいります。 議長(柳居俊学君)片倉警察本部長。 〔警察本部長 片倉秀樹君登壇〕 警察本部長(片倉秀樹君)新型コロナウイルス感染症対策についての二点のお尋ねにお答えいたします。 まず、新型コロナウイルス感染症に便乗した各種犯罪の防止対策についてです。 全国的に、新型コロナウイルス感染症に便乗したうそ電話詐欺や休業中の施設等に対する侵入窃盗などの犯罪が発生しており、県警察では住宅街や休業中の施設等に対するパトロールや防犯指導を強化しているほか、うそ電話詐欺被害防止コールセンターや県警ホームページ等の広報媒体を活用した注意喚起などを図ってきております。 また、被害認知時は迅速な捜査体制を確立し、被疑者の早期検挙を図るなど、今後とも効果的な対策を講じてまいります。 次に、警察職員の感染を防止し、業務継続に必要な治安維持体制を確保するための取組についてです。 冒頭申し上げたような警察の諸対策推進の原動力は、何より職員一人一人のマンパワーです。そして、議員お示しのとおり、警察職員は不特定多数の方々と接触する機会も多いことから、何より職員自身が新型コロナウイルスに感染し、また感染を拡大させないための取組が求められております。 このため、日頃から手洗いや消毒、咳エチケットの徹底、事務室や車両の換気、いわゆる三密の回避といった基本的な感染予防に取り組みつつ、県警全体で執務室の分離、時差出勤の活用など、職員の集団感染リスクを軽減する取組を推進しています。 また、万一、警察職員に感染者が出た場合でも、治安維持に必要な警察力が低下することがあってはならず、このため、例えば警察署で勤務する職員が感染した場合には警察本部や近隣の警察署から応援要員を派遣するなどし、事件・事故対応に万全を期すこととしております。 県警察といたしましては、ただいま議員からも頂戴いたしましたが、県民の皆様の期待と信頼にお応えすべく、日々変化する情勢に対応した犯罪の取締り及び被害防止対策を推進するとともに、職員の感染予防、感染拡大防止対策にも積極的に取り組んでまいります。