1 デジタル・ガバメントについて 2 ひきこもり支援について 3 地域公共交通の在り方について 4 新たな学びを実現する教育ICTの推進について 5 サイバーパトロールについて 6 その他
───────────── 午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───────────── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第三号まで及び第五号から第十一号まで 副議長(藤生通陽君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第三号まで及び議案第五号から第十一号までを議題とし、質疑の議事を継続します。 曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、こんにちは。公明党の曽田聡でございます。 質問に入る前に一言申し上げます。 新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、療養中の方々に心よりお見舞いを申し上げます。 また、昼夜を分かたずウイルスと闘いながら地域医療を懸命に支えてくださっている医療従事者の皆さんに、心から感謝申し上げます。 そして、コロナ禍の影響を受け、仕事や生活をはじめ、あらゆるシーンで大変御苦労されている方々の小さな声に耳を傾け、働いてまいることを申し上げ、通告に従い質問をさせていただきます。 初めに、デジタル・ガバメントについてお尋ねいたします。 政府は昨年十二月二十日、新たなデジタル・ガバメント実行計画を閣議決定し、地方公共団体にデジタル・ガバメントの構築に向けた官民データ活用推進計画の策定を求めています。 地方公共団体は、デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン等を参考にして、行政サービスのフロント部分からバックオフィス業務まで、デジタル化・業務改革の取組の徹底、加速化が求められています。 マイナンバーカードの普及と汎用的電子申請システムの基盤整備として、マイナポータルの電子申請受付機能の活用、優先的に取り組むべき手続や様々な手続のオンライン化、バックオフィスを含めたデジタル化、書かない窓口、ワンストップな手続、添付書類の省略等、これらの業務改革を同時に推進させることが大切であり、デジタル化を進めることにより、市民、県民の方々が、同じような申請手続のため何度も役所に行くことなく、またウイズコロナの中では、人に会うことを最小限とし、必要な書類を一気通貫で処理できるシステムの構築が真の顧客サービス、市民、県民へのサービスとして必要不可欠になりつつあります。 また、地方公共団体におけるクラウド利用の推進として、業務プロセス・情報システムの標準化に向けた技術的作業が求められています。現在、八十二グループ四百九十七団体が自治体クラウドを、単独クラウドを含めて千百八十二団体が導入しており、政府は、令和五年度末までにクラウド導入団体を約千六百団体、自治体クラウド導入団体を約千百団体にするとの目標を設定しております。 私は、前職、システム営業として、政府が打ち出された電子地方政府構想の中、各自治体を訪問して自治体クラウドのはしりのシステムを紹介して歩いていました。そこでいつも言われていたことは、「大事なデータを庁外に置いて漏えいしたらどうする」「パッケージソフトに業務を合わせることは無理」などなど、前向きな回答はほとんどもらえない状態でした。 ネットワークの脆弱性や地方自治体ごとにインプット・アウトプットのフォーマットが存在していることが、自治体クラウドの導入推進が妨げられている要因と考えます。限られた予算の中で行政システムの手続のデジタル化を推進するためには、単独クラウドではなく、共同利用の自治体クラウドの導入が求められます。 そして政府は、Society5・0を提唱し、地方自治体においてもAI、RPA等による業務効率化の推進を求めています。Society5・0とは、現実空間を情報空間へコピーし、情報空間から現実空間を制御する社会であり、生産人口が減少しても持続発展できる社会の創出を意味しています。 私たち人間は、何かの限界を超えるために発明を繰り返してきました。体力の限界を蒸気機関車や自動車などで、伝達の限界をモールス信号や電話・携帯電話・スマホで、生産性の限界をそろばん・電卓・コンピューターなどで、現在は複雑系の限界をビッグデータ・AIで乗り越えようとしています。 例えば、昨年末から今年の初めにかけてオーストラリアで発生した山火事は、実に日本の国土の二八%、千四十万ヘクタールを焼失しました。広がった要因としていわれていることは、焼き畑作業を例年どおり実施、十二月になっても雨が降らなかった。ダイポールモード現象が起きて、空気が乾いていたなど。これを複雑系の観点からすれば、なぜ雨が降らなかったのか、なぜダイポールモード現象が起きたか。これらのことは、従来の気象データの分析だけでは分からなく、排出されるCO2など、多様なデータも使わなければ分からないのが現実です。 CO2でも温暖化のやり玉に上げられている化石燃料の燃焼だけではなく、IPCCも警告しているヤギや牛など動物のげっぷやおならも大量のメタンガスを発生しています。 メタンが温室効果の一五・八%を占め、そのメタンの二四%が腸内発酵だとすると、地球上の温室効果ガスの三・八%が家畜のげっぷとおならから発生することになります。 ちょっと話が横道にそれましたが、要は、AIを使うことによって地球上の無数の関係性から全ての事態に対応した答えは導けないという、解決できないフレームの問題を解決できるということであり、地方公共団体がAIを導入することで、今まで解決し得なかった様々なこと、そして業務効率化が図れると考えます。 そこでお尋ねいたします。以上のように政府が求める地方公共団体におけるデジタル・ガバメントについて、県としてどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 続きまして、ひきこもり支援についてお尋ねします。 実態が見えづらいひきこもり、内閣府の調査では、百人に一・五人の割合、その半数が四十歳以上といわれています。 しかし、その実態は正確にはつかめていません。不登校や離職、家庭不和や体調不良などから、ひきこもり状態にある人は百万人を超えたともいわれています。そして、ひきこもり期間の長期化や高年齢化が指摘されており、今や八○五○問題は、九○六○問題へと変わりつつあります。 国では、従来から、精神保健福祉、児童福祉、ニート対策等において、ひきこもりを含む相談等の取組を行ってきましたが、平成二十一年度からは、これらの取組に加え、ひきこもり対策推進事業を創設し、ひきこもり対策の一層の充実に取り組んでおり、平成三十年度からは、生活困窮者自立支援制度との連携を強化し、訪問支援等の取組を含めた手厚い支援を充実させるとともに、ひきこもり地域支援センターのバックアップ機能等の強化も図っています。 また、六月五日、可決成立した改正社会福祉法の中で、ひきこもりや介護、貧困といった複合的な課題を抱える家庭に対して、一括して相談に乗れるよう市町村を財政面で支援し、包括的な支援体制を構築するなど、新たな事業を行う場合には交付金を受け取れ、ひきこもり支援については追い風になると思います。 本県でもこれまで、国の動きに呼応して、山口県福祉総合相談支援センター内にひきこもり地域支援センターを設置され、ひきこもり当事者・家族に対し、ひきこもり支援コーディネーターが電話相談や窓口相談、そして家庭訪問を中心とした訪問支援を行い、自立への支援に結びつけています。 地域における関係機関とのネットワークの構築や、ひきこもり対策にとって必要な情報を広く提供するといった、地域におけるひきこもり支援の拠点として役割を担っています。 また、各市町では、ひきこもりサポート事業として、ひきこもりの早期発見や支援につなげるための拠点づくり、ひきこもり施策情報のプラットホーム構築を支援しています。 このような支援の枠組みの中で、本県でもひきこもり当事者・家族会やひきこもり支援のNPO団体が中心となって、例会や相談会が毎月定期的に開催されております。 先日その会に参加した折、皆様より質問や要望を頂きました。一つ目は、高知県では、居場所づくりのために助成金を出していると高知県の家族会の方からお聞きしましたが、山口県ではないのか。二つ目は、ひきこもり地域支援センターの担当が異動により、せっかく信頼関係ができても、また一からやり直しになるが、もう少し考慮できないものか。三つ目は、ひきこもり支援対策の会議体に我々当事者・家族も出席し、生の声を聞いてもらいたいなどなど。 また、山口市では、ひきこもり支援ネットワークが立ち上がり、関係機関同士の情報共有、そして、ひきこもりとその家族を支え、孤立させないために取組を始めています。 他県においては、高知県では、昨年十月に高知県におけるひきこもりの状態にある人及びその家族の状況を的確に把握するとともに、その状況に応じて訪問支援、相談支援、生活支援、受診支援、自立支援等の対策の抜本的強化について、支援体制の在り方も含め、総合的に検討することを目的として、高知県ひきこもりの人等に対する支援の在り方に関する検討委員会を設置され、県内初の一斉実態調査で当事者数やそれぞれの状況を把握した上で、相談体制や就労支援策などを充実するため、今年度一般会計当初予算案に関連予算と合わせて二億九百万円、盛り込まれております。 また、都道府県や市区町村を合計すると百二十八の自治体で、ひきこもり状態にある人の実態を調べている中、隣の島根県では、民生・児童委員の協力を得て平成二十五年度に第一回目の実態調査を実施し、昨年も同じように調査を実施、過去六年間の変化を比較できるデータを取得し、ひきこもりに至った経緯や背景、年齢別の人数の推移の把握などが行われています。 そこでお尋ねします。ひきこもりが社会問題となって久しく、山口県議会でも度々取り上げられ議論されておりますが、県内の当事者・家族会の皆様の声やNPO支援団体の皆様の声を踏まえ、今後、どのようにひきこもり対策に取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 続きまして、新型コロナウイルスが日本に持ち込まれてほぼ半年、六月十九日には都道府県をまたぐ移動が解禁となり、ウイズコロナの時を歩むこととなりましたが、私たちのふだんの生活は地域にあり、地域の足を確保する観点から地域公共交通の在り方についてお尋ねいたします。 人口減少、超高齢社会の本格的な到来を前にして、地域公共交通の在り方について議論が加速しています。我が国の人口は、二○○八年をピークに減少局面に入り、三大都市圏においても人口減少に入っているものの、都市と地方の人口格差はさらに拡大する見込みであります。また、人口構造の推移を見てみると、二○二五年以降、高齢者の急増から現役世代の急減へと局面が変化するといわれております。 高齢者の免許非保有者数は十年で百万人増加し、免許の返納数は、七十五歳以上の高齢者が近年大幅に増加しております。また、国土交通省総合政策局が、現居住地に対する将来の不安について調査した結果、公共交通が減り自動車が運転できないと生活できないが全世代を通して多く、年を重ねるほどその割合は高くなっています。 また、地域公共交通を支えている運転手の不足も深刻化しています。自動車運転事業は、全産業と比べ労働時間は長く年間所得額は低くなっており、若年者が就業を敬遠しております。第二種大型自動車運転免許保有者は、約十五年間で約二○%減少しており、自動車の運転業務の有効求人倍率は、全職業平均一・三五倍の約二倍で二・七二倍となっており、人手不足を裏づけています。 そして、地域公共交通の中心的役割を担う乗合バスの収支については、国全体で約五%の赤字構造で、地方部では一五%程度の赤字の状況にあります。 近年、過当競争で収支構造が厳しいとされている介護事業は約三%の黒字である中で、地方部の乗合バス事業は厳しい赤字構造下にあるといえます。 幾つかの観点から、地域公共交通を取り巻く環境を述べてきましたが、本県においても同じような状況にあり、各市町の二○二○年度の当初予算にも住民の足の確保に関する施策が盛り込まれております。 山口市では、新たなモビリティサービス調査・実証として、市内行事への参加の移動データなどを収集・分析するほか、相乗りタクシーの実証実験を行い、次世代交通サービス、MaaSの構築に向け、県と連携し、新モビリティサービス実証事業推進協議会を官民一体となって立ち上げ、長門市では、交通不便地域での新たな公共交通の運行を支援するため公共交通体系の見直しを、また萩市では、通院や買物など日常的に公共交通機関を利用しやすい環境を整備するため、四月から七十歳以上の市民を対象に市内発着の路線バスの運賃を一律百円に、市内の三つの離島航路では、七十歳以上の島民を対象に助成を打ち出されています。 本県の特徴として人口二十万人台、十万人台、十万人未満の市町で構成され、公共交通事業者も複数の市町を超えて事業を行っており、広域での課題解決の必要性、また、それぞれの市町が持つ課題も様々であり、殊、地域公共交通に対する課題、そこに居住している住民の要望も様々であろうと考えます。 国土交通省は、社会経済情勢の変化を受けて、さきの国会において地域公共交通活性化再生法を、一、地域の足を自らデザイン、二、移動者目線での既存サービスの改善、三、郊外・過疎地等の移動手段の確保、四、計画の実効性の確保とサービスの持続性重視の四つの観点から改正し、地域公共交通もMaaSも地域の生活者と交流を支える道具と位置づけ、使ってもらって何ぼとの視点で改善を求めています。 そこでお尋ねいたします。県では、国の動向を踏まえ、MaaS等の新モビリティーサービスの導入も含めた今後の地域公共交通の構築をどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 続きまして、新たな学びを実現する教育ICTの推進についてお尋ねいたします。 六月十七日の記者会見で村岡県知事は、令和二年度六月補正予算案の発表の中で、県立学校における児童生徒一人一台のタブレット端末の整備について、計画を大幅に前倒しし、本年度中に整備するとされました。 また、このたびの新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐための臨時休業等が生じても、ICTを活用した児童生徒の学びを保障する環境構築やオンライン学習支援サービスの導入によって、長期間に及んだ休業等による学習の遅れを取り戻すための支援についても触れられております。 公明党山口県議団は、教育現場におけるICT教育についても、これまで幾度となく質問させていただいております。 平成二十五年六月の定例会の代表質問において石丸典子議員は、佐賀県では、県立高校特別支援学校等に電子黒板を配備、二○一四年度、全県立高校一年生約七千人に生徒用タブレット端末を配り、無線LANの整備も進められているそうですと、ICT環境整備の先進事例として触れ、タブレット端末・無線LAN環境の必要性について申し上げ、平成二十五年九月の定例会の一般質問で私は、その年度より県内五校の総合支援学校において、タブレット型情報端末を利用した授業が始まったことに触れ、障害のある児童生徒にとって、タブレット端末が持つ機能が学習の理解にすごく効果的と触れ、また、平成二十三年度に山口県立図書館にマルチメディアデイジー室が設置され、障害のある児童生徒へのICTの活用は、マルチメディア図書、教科書が有効的であるとも申し上げました。 現在、ICT教育は、教育現場の様々な場面で効果があり、普通教室の通常授業でも利用が期待され、その整備が求められています。 政府は、GIGAスクール構想を実現するために、学習者用端末の標準仕様や高速回線に向けた校内LAN整備の標準仕様を示し、端末については容易に大規模な調達が行えるよう標準仕様書を基に都道府県レベルでの共同調達を推進するよう求める中、本年三月以降、新型コロナウイルスによる臨時休業が長引いていることに憂慮し、文科省は、情報端末を活用して子供たちの学習を保障しようと、これまで令和五年度までとしていた一人一台のパソコン端末の整備を前倒しし、令和二年度中に実現を目指すこととされ、本県の各教育委員会、小中学校では、その整備に向けて検討が進んでいます。 前倒しの整備となり、本年度中に小中学校分として、県内でも約八万七千台のタブレット型端末が必要となります。それに加えて、県内の県立学校への整備も前倒しとなり、約二万七千台のタブレット型端末が必要となりますが、全国で一斉に整備される中、供給体制に少々不安を感じています。 また、ICT教育の推進のためには、タブレット型端末だけでなく、オンライン授業などでも必要となる大型ディスプレーやウェブカメラ、無線LAN環境整備に係る資材などの供給体制も不安を感じています。 そこでお尋ねをいたします。山口県の次世代を担う児童生徒のICT教育を実現するため、今回の前倒しでの整備にどのように取り組まれるのか、教育長にお伺いをいたします。 最後に、サイバーパトロールについてお尋ねいたします。 皆さんの情報は大丈夫ですか、ふだん当たり前のように使っているパソコンやスマートフォン、自宅や事務所などに設置されているWi─Fiルーターなどは、常にハッキング等の攻撃にさらされており、国民生活や経済活動などの情報通信技術、いわゆるICTへの依存度が高まる中、サイバーセキュリティーの重要性は、一段と高まっています。 コロナ禍の新しい生活様式、ニューノーマルの中でも、学校では時としてオンライン授業、仕事ではリモートワークやオンライン会議の普及と、半年前までは考えられないほどインターネット回線の利用が増加しています。 平成の三十年間は、インターネットなどのデジタル技術が、私たちの社会生活や経済活動に入ってきた時代であり、なくてはならない存在となっています。 米国でインターネットが初めて商用に使われた一九八八年、日本では、一九九○年に初めてインターネットが接続がなされ、一九九五年に登場したウィンドウズ95によって、一気にインターネットが普及したことは、御案内のとおりでございます。 また、同時期に普及し始めた携帯電話、二○○八年にはアップル社のアイフォンが日本に上陸し、スマートフォンは、電話機というより小さなパソコンであり、携帯端末におけるデータ通信を飛躍的に進展することとなりました。今では国民のほぼ全員がデジタルネットワークの入り口を得て、その恩恵に浴しています。 しかし、恩恵を受けるだけであれば結構なことでありますが、速度、容量、小型化、そしてIoT、ソフトウエアなど日々進展するデジタル技術にはリスクがつきものであり、その一つがサイバー攻撃であります。 令和の時代、日本が技術的なポテンシャルを生かして、イニシアチブを高めるためにサイバー攻撃に対する防御、いわゆるサイバーセキュリティーへの関心を高めるべきと考えます。 警察庁は、ハイテク犯罪の検挙状況、平成十六年からはサイバー犯罪の検挙状況と名称を変更し毎年公表しています。その件数を見てみますと、平成十二年は、電磁的記録対象犯罪は四十四件、わいせつ物頒布等、児童買春、児童ポルノ法違反などネットワーク利用犯罪は四百八十四件、不正アクセス禁止法違反が三十一件でした。 約二十年後の平成三十年には、電磁的記録対象犯罪は三百四十九件、ダークウェブサイトやスマートフォンなどを利用したネットワーク利用犯罪は六千六百三十三件、一時減少傾向にあった不正アクセス禁止法違反が五百六十四件と、過去五年では平成二十九年に次ぐ水準となっています。 このようにサイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、平成三十年の検挙件数は九千四十件と過去最高であります。 サイバー犯罪・攻撃は日々進化を重ねており、予防することは困難になっております。企業を狙ったサイバー攻撃もその手口を巧妙化し、従来のばらまき型から特定企業を狙う標的型にシフトし、身の代金要求型サイバー攻撃も増加傾向で、比較的セキュリティーが脆弱な地方の支店から侵入し、本社機能を混乱させる攻撃も増加しています。 コロナ禍にあっては、リモートワークの普及でプログラムの不備やOS等のセキュリティーホールを狙った攻撃も増えています。国家、地方自治体や企業、そして個人に多大な被害を与える攻撃は多種多様であり、常に攻撃されているのが、サイバー空間であります。 山口県警では、平成二十八年四月に多様化・巧妙化するサイバー空間の脅威に迅速かつ的確に対応するため、県警察と関係機関とのネットワークを構築し、県民がサイバー空間を安全に利用できるため各種被害防止対策を行うことを目的としてパートナーシップ協定を構築され、平成三十年八月には、新たに損害保険事業者一社と協定を締結いたしました。 近年は、サイバー空間の浄化活動と称して、サイバーパトロールを県内のサイバー防犯ボランティアや大学・高専・専門学校等と連携して実施されています。 そこでお尋ねいたします。山口県民のサイバー空間を守るため、命そして財産を守るため、山口県警として今後どのようにサイバーパトロールに取り組まれるのか、県警本部長にお伺いし、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の御質問のうち、私からは、地域公共交通の在り方についてのお尋ねにお答えします。 本格的な人口減少社会が到来し、地域公共交通を取り巻く環境が厳しさを増す中、本県においても、公共交通機関の利用者の減少や運転手不足により、バス路線の廃止や便数の減少が進行しており、地域公共交通の維持・確保が喫緊の課題となっています。 このため、県では、これまでも広域的な公共交通の維持・確保を図る観点から、複数市町にまたがる幹線バス路線に対する運行支援や交通系ICカードの導入など、利便性の向上に向けた環境整備への支援に取り組んできたところです。 こうした中、お示しのように、地域公共交通活性化再生法が改正され、地方公共団体が交通事業者等と連携して、最新技術等も活用しつつ、既存の公共交通サービスの改善・充実を徹底することが必要とされています。 こうした動向も踏まえ、県では、今年度、学識経験者、国や市町、交通事業者の連携の下、新たな地域交通モデル検討委員会を設置し、多様化する地域公共交通の課題解決に向けた、今後の取組方針を策定することとしています。 策定に当たっては、本県における地域特性等を踏まえた課題を整理し、MaaSやAIオンデマンド交通などの新たなモビリティサービスの活用や既存の公共交通サービスの改善等、様々な視点から課題解決に資する取組を検討することとしています。 また、来年度供用開始される新山口駅北地区の産業交流拠点施設を核に、交流人口の拡大に向けた二次交通の充実を図るため、山口市と連携し先行的にMaaSの実証事業に取り組んでおり、その成果も取組方針に反映してまいります。 今後、各市町に対し、この取組方針を示すことにより、地域における新たなモビリティサービスの導入を含めた様々な取組が実施されるよう促し、住民の移動ニーズにきめ細かく対応できる持続可能な地域公共交通の構築につなげていきます。 私は、今後も国や市町、交通事業者等との連携を密にし、地域住民の日常生活に不可欠な地域公共交通の維持・確保に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)デジタル・ガバメントについてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化に対応しながら、地域課題の解決や経済の活性化を図っていくためには、県自らもデジタル技術の活用によって生産性を高め、行政サービスに係る利便性の向上と業務の効率化に取り組んでいく必要があります。 同時に、このことは、新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の両立に向け、人と人との接触機会を低減する新しい生活様式を普及・定着させていく上でも、重要な課題であると考えています。 このため、県では、今年三月に策定をした、山口県官民データ活用推進計画に基づき、行政手続のオンライン化等による利便性の向上と、デジタル技術を活用した行政事務の効率化を進めているところです。 具体的には、行政手続のオンライン化については、これまでも職員採用試験の申込みや道路工事に関する手続などで電子申請を導入してきたところですが、引き続き、各種手続の申請状況や添付書類の要否等を精査し、優先順位を検討しながら、導入事務の拡大を図ってまいります。 また、マイナンバーカードを利用したオンライン申請事務の導入に向け、電子申請システムとマイナポータルとの連携についても、検討を行ってまいります。 お示しの自治体クラウドについては、オンライン化の推進と行政コストの削減に有効なものと考えており、現在、公共施設の利用予約において、県内市町及び広島県との共同利用に係るシステム改修を実施しているほか、今後も、対象業務の拡大を検討していくこととしています。 さらに、業務の効率化に向けては、AI、RPA等の新たな技術の活用も重要であり、このうちAIは、今年度から会議録の自動作成システムに導入しています。 また、定型業務を自動化するRPAについては、庶務事務等の内部事務において導入を予定しているところであり、今後、これらに関する先進事例も調査し、活用の拡大を図ってまいります。 現在、国においては、新型コロナウイルスへの対応を考慮し、行政のデジタル化に集中投資をする方向で検討が行われています。 県としては、こうした国の動向にも的確に対応しながら、業務の効率化を進め、利便性の高い行政サービスを持続的に提供できるよう、デジタル・ガバメントの構築に積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)ひきこもり支援についてのお尋ねにお答えをします。 ひきこもりは、本人のみならず、家族、地域など取り巻く環境が複雑に絡み合っており、長期化すると悩みが複雑化・深刻化するおそれがあることから、それぞれの状況に応じた適切な支援につなぐことが重要です。 こうした中、このたびの改正社会福祉法では、住民に身近な市町が、福祉・介護等に関する悩みやひきこもりなど、地域住民の抱える様々な課題にワンストップで対応できる支援体制を構築し、主体的に課題解決に向けた取組を行うこととされたところです。 このため、県では、今後、法改正の趣旨を踏まえ、市町と連携して本人や家族の状況を把握しながら、お示しの社会参加に向けた本人の居場所づくりや信頼関係の構築、本人や家族の声に寄り添った支援に取り組んでいくこととしています。 まず、本人の居場所づくりについては、社会参加に向けた第一歩となるよう、市町に対し参考となる先行事例の紹介や、プライバシーの配慮など居場所を確保する上での留意事項についての説明会を開催してまいります。 また、本人や家族との信頼関係の構築については、市町職員向けスキルアップ研修による支援技術の向上や、ケースに応じた情報共有のノウハウの習得により、支援の担当者が変わっても、これまでの信頼関係を損なうことなく、本人や家族が安心して支援を受けられるよう努めてまいります。 さらに、本人や家族の声に寄り添った支援に向けては、ケース検討会や関係者が集まる会議等に本人や家族、支援の中心的な役割を担うNPO団体等の参加を得て運営されるよう、市町に対し助言をしてまいります。 県としましては、今後とも、市町、関係機関等との連携の下、本人や家族を地域で見守り支えていけるよう、ひきこもり対策の一層の充実に努めてまいります。 副議長(藤生通陽君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)新たな学びを実現する教育ICTの推進についてのお尋ねにお答えします。 急速に進展する情報社会を生きていく子供たちに必要な資質・能力を育むためには、学校での生活や学習においても、日常的にICTを活用できる環境を整備していくことが不可欠です。 このため、県教委では、当初の予定を大幅に前倒しして、県立学校の一人一台端末を今年度中に整備することとし、併せて無線LAN環境や大型提示装置なども整備してまいります。 また、市町立の小中学校においても、国のGIGAスクール構想の加速に呼応し、令和五年度までに達成するとしていた一人一台端末を今年度中に整備することとしています。 こうして全国的に教育現場で大規模な調達が進められることに加え、新型コロナウイルス感染症によるテレワーク需要の拡大や世界規模での供給の不安定化などにより、お示しのとおり、機器の調達について相当の時間を要することが危惧されています。 このため、国においては、各自治体の需要見込みや調達状況について情報収集し、供給事業者と共有するなど、自治体における端末等の円滑な調達・整備に向けた環境整備を行っています。 本県においても、小中学校の一人一台端末について、国が推奨する都道府県単位を基本とした共同調達を実施するため、県教委と全ての市町教委を構成員とする山口県教育ICT推進協議会を五月に設置し、市町の要望を踏まえながら統一の仕様を定め、業者の選定の手続を開始したところです。 また、県立学校における一人一台端末や大型提示装置等の整備についても、本議会に上程した補正予算案の成立後、速やかに発注できるよう準備を進めてまいります。 県教委といたしましては、次代を担う子供たちの新たな学びを実現するため、市町教委とも連携しながら、ICT環境の早期整備に向けて積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)片倉警察本部長。 〔警察本部長 片倉秀樹君登壇〕 警察本部長(片倉秀樹君)山口県民のサイバー空間、命そして財産を守るためのサイバーパトロールへの取組についてのお尋ねにお答えいたします。 ただいま議員からサイバーセキュリティーや全国的なサイバー犯罪情勢について、大変お詳しいお話がございましたが、本県においては、昨年中、サイバーパトロールを端緒として、わいせつDVDの違法販売事案など十四件の事件を検挙するとともに、偽ショッピングサイトや犯罪を誘発する有害情報約八百件について、削除依頼等の無害化措置を講じております。 こうしたサイバー空間の脅威に的確に対処するため、県警察では、警察本部と警察署に必要な資機材を整備し、警察官によるサイバーパトロールを常時実施しているほか、県内のサイバー防犯ボランティアや大学・専門学校等と連携したサイバーパトロール、あるいは企業等と連携したサイバーセキュリティパートナーシップを構築するなど、産学官が一体となり、サイバー犯罪、サイバー攻撃対策に努めてきたところであります。 このような中、コロナ禍の新しい生活様式により、学校等教育機関におけるオンライン授業、企業等におけるリモートワークやオンライン会議の導入など、県民のインターネット利用機会が大きく拡大しておりますことにつきましては、まさに議員御指摘のとおりかと存じます。 県警察といたしましても、サイバー空間の脅威のさらなる多様化・巧妙化を懸念しているところであります。 県警察においては、急速に進みつつあるサイバー空間の変化に的確に対応するため、今後も、サイバー防犯ボランティア等、民間の企業や団体、個人の方々とも緊密に連携、新しい生活様式に対応したオンライン講習会の開催等、効果的な手法も模索しながら、組織を挙げたサイバーパトロール、サイバー犯罪の取締り、さらには詐欺サイトや有害情報の無害化措置等に迅速・的確に対応し、県民のサイバー空間、命そして財産を守るべく懸命に取り組んでまいります。