1 県内経済の回復に向けた取組について 2 県内経済と雇用を牽引する産業戦略について 3 種子条例の制定について 4 山口県男女共同参画基本計画の改定について 5 原発政策について 6 その他
───────────── 午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───────────── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 副議長(藤生通陽君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑の議事を継続します。 戸倉多香子さん。 〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) 戸倉多香子さん 民政会の戸倉多香子です。通告に従いまして一般質問を行います。 初めに、県内経済の回復に向けた取組についてお尋ねいたします。 前回、私が一般質問に立ったのは、二月定例会ですが、県内初の新型コロナウイルスの感染が確認されたと報道があった三月四日です。質問原稿を準備していた二月十七日、昨年十月から十二月までのGDP、国内総生産が前の三か月と比べてマイナス一・六%、年率に換算してマイナス六・三%になったとの報道に衝撃が走った直後だったため、これらのGDP速報値には、まだ新型コロナウイルスの影響は含まれていないので、今年一月から三月までのGDPについては、感染症の影響が懸念され、さらにマイナスが続く可能性があり、今後、さらなる緊急経済対策が必要となってくる可能性は高い。とりわけ、経営基盤の弱い中小企業や小規模事業所は、廃業に追い込まれかねないほどの状況が予測され、大変心配していると、これらの影響の現状や被害予測についての県の認識をお尋ねしました。県は、商工会議所など県内の関係支援機関に設置された相談窓口に寄せられた相談内容等を踏まえると、今後も、県内中小企業は売上げの減少や資金繰りの悪化など、影響を受けると考えていると答弁されました。 その後、五月十八日に一月から三月までのGDP速報値が公表されましたが、年率換算で三・四%減と二・四半期連続のマイナス成長となりました。六月八日に年率二・二%減と上方修正されましたが、安倍首相が全国的なスポーツや文化イベントの中止、延期、規模縮小などを要請され、経済活動の自粛が始まったのが二月二十六日であり、経済活動の自粛が一段と強まったのは四月七日の緊急事態宣言の発令以降だったため、まだ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、本格的には織り込まれていないとの分析もありました。 そして、八月十七日に公表された四月から六月までのGDP速報値、年率で二七・八%減。GDP統計を遡れる一九五五年以降で最大の落ち込み、事実上、戦後最悪の落ち込みであると報じられました。三・四半期連続の減少は、東日本大震災を挟んだ二○一一年の四月から六月期以来、九年ぶりとのことです。 今月八日には、二八・一%減と下方修正され、リーマンショック後の二○○九年一月から三月期を大きく超える戦後最悪の下落幅と報じられています。 この間、県では、四月三十日に臨時議会を招集され、国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策に関連する補正予算の審議を注意しつつ編成された、補正総額六百八十六億四千二百万円が全会一致で可決し、補正後の予算規模は七千五百六億二千三百万円となりました。 また、六月定例会では、国において第二次補正予算が成立したことを踏まえ、補正総額二千百六十億四百万円が可決、補正後の予算規模は一兆百十六億四千四百万円となりました。 さらに、本定例会の初日、知事は、今回の補正予算は、当面緊急を要する経費について、所要の補正を行うものであり、補正総額は百七十九億円、補正後の予算規模は一兆二百九十五億四千四百万円となると議会に説明されました。その主な内容としては、新型コロナウイルス感染症対策関連事業として百二十五億六千二百万円、令和二年七月豪雨災害対策と災害復旧事業や災害関連事業として四十八億三千二百万円を計上したことなどの説明があり、県議会の議決を求められました。 私は、県民の命と健康を守り、県民生活と地域経済を支えるために、緊急的に実施すべき取組について、切れ目なく迅速に進めるとの知事の姿勢を高く評価したいと思います。しかし、このように増額補正の続く予算を、速やかに執行していくのは、本当に困難を極めると思います。戦後最悪の景気悪化とも言われる、この状況の中にあって、どうにか危機を乗り越えるためにも、県内経済の回復に向けた取組を速やかに着実に進めていただきたいと思いますが、県は、これまでどのように取り組まれてきたのか、また、今後どのように取り組まれるのか、お尋ねしたいと思います。 次に、県内経済と雇用を牽引する産業戦略についてお尋ねいたします。 昨日の代表質問では、我が会派の井上県議から、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、社会情勢が大きく変わった今、県の総合計画や分野別計画をどのように見直していかれるのかとの質問がありました。知事は、維新プランや第二期総合戦略、そして分野別計画に掲げる諸施策についても、社会経済活動の低迷を受け、進捗に遅れが生じているが、県政が目指すべき姿や県づくりの基本的方向性に変わりはないとした上で、現行計画に基づく諸施策について、必要な重点化と加速化を図る必要があり、このたび、コロナの時代に対応するための施策推進方針を新たにまとめたとの説明がありました。井上議員からは、産学公金が一体となった産業戦略の今後の進め方についても質問がありましたが、私は、県内経済を回復させることに直接効果を発揮し、県内の雇用を支え、中小企業への波及効果も高い産業戦略について、さらに詳しくお聞きしたいと思います。 令和二年度の山口県産業戦略本部第一回全体会合の資料によりますと、平成三十年度から令和二年度までを計画期間とするやまぐち産業イノベーション戦略については、その内容や指標のデータも細かく報告され、おおむね順調に進捗と評価されていますが、全体会合での本部委員の主な意見の中に、次の改定に向けては、九つの成長分野と各プロジェクトの関連性の見える化を考えるべきとの御意見がありました。九つの重点成長分野については、国の成長戦略や、本県の産業特性・強み、そして成長に向けたポテンシャル等を踏まえて選定されており、その方向性には大賛成ですが、十の産業戦略プロジェクトとの関連性は、確かに分かりにくいとも言えます。新たな指針では、これらを明確にする、本部委員さんの御意見によれば見える化する、産業戦略プロジェクトとなるよう期待したいと思います。 また、今後の改定案は、新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした社会変革の動きも踏まえ、新たな産業戦略の指針として改定するとされていますので、サプライチェーンの見直しや自社工場の国内回帰も検討できるような視点も盛り込まれるのでしょうか。この点は、昨日の知事答弁の中でも触れられておりましたので、そういったことも議論になるんだと思いますが、アフターコロナの工場の在り方など、様々な議論が始まっていますが、今後のリスクへの備えともなるプロジェクトを期待したいと思います。 現行戦略の期間は少し残っていますが、知事は、県内経済を回復させ、雇用の安定につなげるために、現行の産業戦略指針をどう生かされるのか。また、さらに、県内経済と雇用を牽引する産業戦略となるよう、指針の改定にどう取り組まれるのか、お尋ねします。 次に、アフターコロナ、または、ウイズコロナのコンビナートの在り方について、少し考えを述べたいと思います。瀬戸内沿岸の産業集積は、山口県の強みであるとされ、周南市民の一人として大変誇りに思っています。一つの県に三つのコンビナートがある県はほかにはなく、今後、国内に新たにコンビナートを造るのは、もう無理だろうと専門家の間で言われています。そんなコンビナートも、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けました。県外から多くの作業員が訪れる定修です。ふだんは、定修シーズンになると、何千人もの人や車が工場に入り、宿泊施設や夜の街もにぎわい、活気に満ちあふれるので、市民の一人としても大変うれしい季節のはずですが、今年は、コロナの影響で不安の声が広がりました。 県や市は、定修を予定する企業に対して、やむを得ず県外から作業員を受け入れる際は、関連事業者との間で感染防止対策を取るよう要請され、地元企業も、感染者を出さないことを最優先にして、構内に入る際には、二週間前からの健康状態、行動記録の確認や検温の義務づけ、不要不急の会議・会食の禁止、基本的な手洗い、消毒、換気、他者との距離確保を徹底するなど、厳しい感染防止対策を実施されて対応されているようです。 それでもいろんなうわさが流れ、不安に感じる市民もおられます。定修に入る関連会社の方からは、陽性者が出たら大変なことになるとの不安が常に付きまとっていると聞いています。私は、こんなときこそ、コンビナート連携によるPCR検査が実施できないものかと、ずっと考えていました。県外から来られた方も、宿舎やホテルに入る前に、まず、PCR検査を受けていただいて、取りあえず、来県された時点では感染していないことを確認できれば、感染対策に大いに役立ちます。 先日の令和二年度産業戦略本部第一回全体会合では、東ソーの方から、PCR検査と同じようにコロナ検査に使え、約四十五分と短時間で感染の有無を判定できるTRC法の新型コロナウイルス検査薬の承認を取得し、販売を開始したことの御報告もあったそうです。様々な強みを持つコンビナート企業と県や市が協力し合って、定修における感染防止に取り組むことができれば、工場周辺にお住まいの住民の安心にもつながります。今後のコンビナート連携の類型の一つとして、県がコーディネートし実現させてほしいと思いますので、御提案と要望とさせていただきます。 次に、種子条例の制定についてお尋ねします。 主要農作物種子法、いわゆる種子法は、昭和二十七年、戦後の食糧不足の下、食糧増産という国家的要請を背景に、稲、麦類及び大豆の種子については、国、都道府県が主導して生産・普及を進める必要があるとの観点から制定されました。 この法律により都道府県に優良品種奨励制度ができ、厳密な品質管理の下、優れた種子を安く、安定的に確保することで、国内自給の確保と食料安全保障に多大な貢献をしてきましたが、残念ながら、平成二十九年四月、主要農作物種子法を廃止する法律が可決し、翌年の四月一日をもって廃止となりました。 国が予算措置をしてきた法的根拠がなくなった後も、県が種子法廃止前と同じような体制を続けられるように、ほかの県の例を挙げ、種子条例を制定すべきではないかと、これまでも仲間の県議の皆様と、何度か一般質問などで取り上げてまいりましたが、県は、具体的な手続や処理基準等を要綱に定めることで、県としての役割を適切に果たすことが可能であり、条例の制定は考えていませんとの見解を変えておられません。 その後、種子条例について関心の高い超党派の議員で集まり、条例制定に向けて、勉強会を重ねるなどの努力をしたいと考えて、埼玉県農林部生産振興課から種子条例の資料を取り寄せたり、実際の農家の方のお話を聞いたりして準備をしておりましたが、今年になり新型コロナウイルスの感染が拡大し、勉強会はできないままとなっていました。 そんな中、久しぶりに種子条例の動きなどを伝えるサイトを確認したところ、全国の各県や北海道で、公共の種子を守ろうと、種子条例づくりが広がっていると知り、驚きました。 最近の動きでは、お隣の広島県や三重県、群馬県が、六月定例会で全会一致で可決、鳥取県は、昨年の六月定例会に、知事が条例案を提出して可決。 さらに、島根県のホームページを確認すると、昨年度、農産物の種子等の確保供給体制に係る有識者会議を計三回開催し、取りまとめた島根県農産物の種子等の安定的な確保に関する条例、これは仮称ですが、これについて九月七日から十月六日まで、今ですね、県民の意見を募集していました。 現時点での種子条例制定の動きを全て把握することはできていませんが、最近のフェイスブックへの投稿には、徳島県議会が種子条例制定に向けて、九月から各派代表による検討会議を開始、二○二一年二月定例会で議員提案、三月施行を目指す予定との記事や、千葉県主要農作物種子条例、九月定例会で審議される予定などが書き込みされており、少なくとも三十以上の道県で条例制定済み、または準備中の動きがあります。 種子法の廃止により、県の役割やその重要性が知られるようになり、種子法の復活や種子条例制定を求める市民の声が広がっています。これらの全国の動きを受けて、山口県でも種子条例制定について、幅広い有識者の意見を聴く会や、県民の意見を聞く機会をつくり、条例制定に向けての取組を始めていただきたいと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。もちろん、全会派の議員が参加する学習会など開催されるとうれしいと思いますし、ぜひ参加したいと思っています。 四番目に、山口県男女共同参画基本計画の改定についてお尋ねいたします。 政府は七月、二○二○年までに指導的地位に占める女性の割合を三○%にするとした男女共同参画政策の目標は、十二月の期限までには達成できないと断念した。新たな目標時期は二○二○年代の可能な限り早期にと曖昧な形で先送りする方針だとの報道が流れ、二○二○三○を合い言葉に頑張ってきた多くの方々は、改めて無力感ややるせなさを感じることとなりました。 二○二○三○とは、社会のあらゆる分野において、二○二○年までに指導的地位に占める女性の割合を少なくとも三○%程度にするという目標のスローガンです。この目標は、平成十五年六月に男女共同参画推進本部が決定したものですが、民主党政権時代の平成二十二年十二月に閣議決定された第三次男女共同参画基本計画で取組を強化して取り組んできたものです。 国が男女共同参画を推進する政策に取り組むようになったのは、もともとは少子化対策の考え方があったはずです。平成十六年開催の少子化と男女共同参画に関する専門調査会第一回会合の議事録には、小泉総理から、男女共同参画については少子化対策等関連の問題も視野に入れて、広く国民の理解を得られる施策を推進されたいとの指示がございましたと男女共同参画担当の林田内閣府副大臣の発言も確認できます。 その少子化と男女共同参画に関する専門調査会の委員のお一人が、当時、日本政策投資銀行参事役の藻谷浩介さん、徳山高校の後輩ですが、藻谷浩介さんでした。藻谷さんが、その頃、周南市の男女共同参画推進に取り組む市民を対象とした学習会の講師として来られ、男女共同参画は、人口減少の働き手不足への対策、少子化対策なんだと話をされ、当時、男女共同参画推進の審議会委員などを経験しながらも、これらの取組で本当に男女の固定的な役割分担意識を変えることができるのだろうかともやもやしていたため、妙に胸の中にすとんと落ちた記憶があります。 それまで女性の地位向上を目指して活動されてきた女性たちも、男女平等を実現できるなら、逆に国を利用するくらいの気持ちで、国の考え方に乗ろうと発言される女性学の専門家もおられ、その後、男女共同参画社会の実現を目指す取組は、メインストリームになったとまで言われました。 その後、各市が条例づくりに熱心に取り組んでいたときに、男女平等やジェンダー運動などの流れに反対する運動、いわゆるバックラッシュ、揺り戻しがあり、宇部市の条例づくりに対し、全国からいろんな攻撃があったことなどを思い出しますが、それらにより男女共同参画の取組はかなり後退した記憶があります。そういった時期を乗り越えて、平成二十二年、第三次男女共同参画基本計画で取組を強化すると決めた二○二○三○です。 男女共同参画推進の長い経過を顧みますと、山口県でも、平成十二年、当時の大泉副知事を中心に、全国で三番目に制定された山口県男女共同参画推進条例づくりに向けて情熱を傾けていた頃の熱のようなものは、どこに行ってしまったのかと少し寂しくなります。 全ての人が性別に関わりなく個人として尊重され、自らの意思によって個性豊かで多様な生き方を選択することができる社会を実現することは、私たち山口県民の願いであると制定された山口県男女共同参画推進条例に基づいて策定されている山口県男女共同参画基本計画が改定されると、六月定例会の環境福祉委員会で報告がありました。 改定スケジュールとしては、十一月に男女共同参画審議会に素案が示され、十二月にパブリックコメントと続き、来年三月に改定、公表となるなどの説明を受けました。委員会資料によると、改定に向けた視点の中に、国の基本計画改定を踏まえた対応とあります。 そこで、国の動きを確認しますと、二○二○三○の新たな目標設定に向けては、今後、内閣府の有識者会議で議論を重ね、年内の閣議決定を目指す第五次男女共同参画基本計画に盛り込むとされています。目標値は三○%に据え置き、具体的な達成期限は設けない方針ということで、仕切り直しとしては目標が低く、現場の意欲が下がらないか心配だとの声もあります。 七月十九日の山陽新聞の社説には、「コロナ禍で社会・経済は痛手を負い、女性活躍を進める余力がないとの見方がある。だが、回復の道筋を探るには多様な人材が欠かせない。女性の活躍推進を単なる掛け声で終わらせぬよう、目標の達成に至らなかった背景を分析し、次の政策へ確実につなげることが求められる。」とありました。本当にそのとおりだと思います。 村岡知事をはじめ、職員の皆様は、コロナ対策で本当に大変な日々を送られていると思います。そんな中での山口県男女共同参画基本計画の改定ですが、ぜひとも、平成十二年当時の熱を持って取り組んでいただきたいと思います。知事は、どのように取り組まれるおつもりでしょうか、お尋ねします。 私としては、男女共同参画推進担当の、できれば男性以外の副知事を置いて取り組んでほしいと思いますが、これは要望としておきます。 最後に、原発政策についてお尋ねします。 二月定例会でも取り上げましたが、山口県のすぐ目の前の対岸にある伊方原発三号機の運転差止めを求める裁判は、愛媛県、広島県、山口県、大分県と、瀬戸内海をぐるりと囲んだ各県の住民から起こされていますが、本年一月十七日、山口県の住民が求めた仮処分申立てが認められ、広島高裁が運転してはならないとする決定を出しました。 判決後、裁判所の前に出てこられた住民側弁護士は、今回の裁判の一番大きな論点であった活断層と火山について、どちらも住民側の主張を認め、画期的だと話されました。弁護団が重視されたのは、伊方原発の沖合六百メートルの佐田岬沿岸に中央構造線の活断層があるかどうかでしたが、それを主張しようと決められたきっかけは、二○一七年十二月に国の地震調査研究推進本部が見直した活断層帯の長期評価で、佐田岬半島沿岸の中央構造線について、「現在までに探査がなされていないために活断層と認定されていない。今後の詳細な調査が求められる」と、活断層である可能性に言及されていたことだそうです。山口県住民による仮処分申立ては、愛媛、大分、広島の住民の申立てよりも遅れて始まったので、この二○一七年の国の長期評価に着目し、主張することができたのだと弁護士は言われておりました。 昨年の十月十五日に広島高裁に提出された抗告理由の補充書には、活断層の調査については、計画の立案が重要であるとの記載があり、活断層の専門家である鈴木康弘名古屋大学教授の、「一般に活断層調査の成否は調査計画次第であり、その立案には高度な専門性が要求される。調査結果は検証されるべきものであるが、これまでは一般公開されることはほとんどなく、都合の悪い外部意見には対応しなかった」との意見が引用されています。その上で、伊方原発の立地、再稼働に当たって周辺の活断層調査が行われているのは公知の事実。それを承知の上で、あえて国の地震調査研究推進本部が、調査はされていないとした意味に触れ、不都合な事実が隠蔽された疑いを指摘しています。 専門家や学者の協力を得て、細かな証拠を積み上げ裁判に臨んでおられる弁護団の皆様に心から敬意と感謝の意を表したいと思いますが、広島高裁は、運転停止を命じる期間を、本案訴訟の第一審判決の言渡しまでと定めるのが相当とされました。本訴の言渡しまでは、まだまだ時間がかかるようです。 これらの経過をたどりましても、二○一七年十二月に国の地震調査研究推進本部が見直した活断層帯の長期評価も含め、原発については、今後も新たな課題が生まれてくる可能性があると思います。再稼働に必要な原発の工事計画の認可から五年以内に設置することが義務づけられている特定重大事故等対処施設は、二○一三年に施行された新規制基準に盛り込まれたそうですが、期限に間に合わなければ、運転が停止されると報道されるまでは、一般に広く知られていなかったと思います。 特定重大事故対処施設とは、大型航空機の衝突その他のテロリズムに対して、その重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること、原子炉格納容器の破損を防止するために必要な設備を有するものであることなどとされており、意図的な航空機衝突などへの可搬型設備を中心とした対策のさらなる安全向上対策として常設化により信頼性を向上させる施設とのことですが、内容を聞いただけでも怖くなります。これらは、できてしまっている原発施設には必ず必要だと思いますし、一刻も早く設置していただきたいと思いますが、まだ、建設されていない原発計画には、そもそも必要ありません。このことからも、新たな原子力発電所は、もうつくらないでほしいと思っています。伊方原発で相次いだ重大な事故や全国の原発への台風や地震の影響を報じるニュースを聞くにつけ、その思いは強くなります。 原発政策をはじめとするエネルギー政策は、イージス・アショアなどと同じく、国の専管事項でありましょうが、ついこの前、イージス・アショア配備計画が、しっかりとした議論を踏まえた計画とは言えなかったことが明らかになりました。原発政策についても、いつ、国の考え方が変わるか分かりません。上関原発建設計画廃止に向けたロードマップを県が中心となって準備しておくべきではないでしょうか。また、その場合、その計画に協力してきた地域や関係企業への様々な支援策も必要となると思います。それも含めて検討していくべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 以上、文字数が多くて、少し早口になりましたが、新型コロナウイルス感染症の対応に追われている全ての皆様に感謝して、一回目の質問終わります。ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)戸倉議員の御質問のうち、私からは、県内経済と雇用を牽引する産業戦略についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルスの影響により、県内経済は厳しい状況が続いており、経済を回復し、雇用の安定を図るため、県内経済の下支えと消費需要の喚起に取り組んでいるところです。 一方、将来に向けて、県経済の持続的成長・発展を図るためには、地域の活力源である産業力を大きく伸ばす取組を、止めることなく、着実に進めることが重要です。 このため、私は、感染状況や企業への影響等を見極めながら、やまぐち産業イノベーション戦略に基づき、本県の経済・雇用を牽引する瀬戸内基幹企業群や地域中核企業群等の成長・発展を促す十の産業戦略プロジェクトを進めているところです。 これまでの取組により、瀬戸内産業の競争力強化に資する産業基盤の整備や、重点成長分野の企業誘致、やまぐちR&Dラボを通じた技術交流の進展など、各プロジェクトはおおむね順調に進捗してきました。 感染症に伴い、国内外の移動制限や対面による会議の中止など、プロジェクトの取組に影響が出ていますが、ウェブ会議やオンライン研修等も活用しながら、プロジェクトを前に進めてまいります。 また、現行の戦略は、今年度末に計画期間が満了することから、感染症を契機としたデジタル化への動きや、サプライチェーンの再構築など、社会変革の動きも踏まえ、新たな戦略として改定する考えです。 新たな戦略では、取組の視点にデジタルトランスフォーメーションの加速を加え、5GやAIなど未来技術の導入、利活用を促進するとともに、生産拠点等の国内回帰や地方移転、サテライトオフィスなど、新たな動きを捉えた企業誘致に取り組みます。 また、オープンイノベーションの一層の促進をはじめ、これまでの取組の成果を踏まえたプロジェクトの再編・拡充を図ります。 私は、県経済の持続的成長・発展に向け、今後とも、県内経済と雇用を牽引する産業戦略を、官民一体となって、着実に進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)県内経済の回復に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 県では、これまで、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対して、県制度融資や営業持続化等支援金などにより、事業の維持・継続を支援しています。 また、消費需要の喚起に向けては、頑張るお店応援プロジェクトの実施や、商工会議所等が実施するイベントの開催支援とともに、観光・農林水産分野におけるキャンペーンの展開に取り組んでいます。 こうした取組を速やかに進めるためには、業務の集中を避け、効率的な事業実施が必要になることから、県制度融資については、金融機関や県信用保証協会との緊密な連携の下、迅速な融資に努めているところです。 また、支援金などの交付やイベント支援については、県全域を対象とするものは、やまぐち産業振興財団を委託先とする一方で、地域を対象とするものは、個別の事業者とのつながりも強く、情報も伝わりやすい、商工会・商工会議所を委託先として、事業を実施しています。 このほか、頑張るお店応援プロジェクトでは、クラウドファンディングの専門事業者のノウハウを活用するとともに、今回の補正予算においては、市町が取り組む、地域の実情やニーズに応じたきめ細かな施策づくりを支援するなど、様々な主体と連携した事業実施に取り組んでいるところです。 県としては、今後とも、新型コロナウイルス感染症に係る県内経済の下支えや、消費需要の喚起に向けた予算の迅速かつ効果的な執行に努め、県内経済の回復につなげてまいります。 副議長(藤生通陽君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)種子条例の制定についてのお尋ねにお答えします。 県では、米、麦、大豆の原種供給などの具体的な手続等を要綱に定め、優良種子の計画生産と安定供給に取り組んでいます。 今後も、国やJA、種子生産農家等と連携しながら、要綱を着実に実行することにより、引き続き、県の役割を適切に果たすことができることから、条例制定に向けた取組を行うことは考えていません。 なお、県では、様々な機会を捉えて、JAグループや農業者団体等と本県農業の振興に向けた意見交換を行っているところです。 副議長(藤生通陽君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)山口県男女共同参画基本計画の改定についてのお尋ねにお答えします。 男女が性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現は、社会の多様性と活力を高めるためにも、社会全体で取り組むことが重要です。 このため、県では、男女共同参画基本計画に基づき、市町や関係団体と連携しながら、社会の幅広い分野において、男女共同参画の取組を総合的・計画的に推進してきました。 また、維新プランの重点施策に女性が輝く地域社会の実現を掲げ、事業者や家庭における女性活躍のサポートや女性が働き続けられる環境づくりなどの取組を積極的に進めています。 この結果、男は仕事、女は家庭といった性別による固定的役割分担意識に、男女とも改善傾向が見られるほか、県内事業所における女性管理職の割合は高まり、また、仕事と家庭の両立支援等に取り組む男女共同参画推進事業者も着実に増加するなどの成果を上げているところです。 お尋ねの基本計画の改定に当たっては、維新プランの施策の方向性を反映しながら、これまでの取組成果と課題の検証や社会情勢の変化、国の基本計画の改定内容などを踏まえ、検討を進めているところです。 現在、男女共同参画審議会においては、基本計画改定に係る活発な議論を進めていただいており、今後、県議会をはじめ、地域・企業・教育などの様々な分野の団体や、県民の皆様から幅広く御意見をお聞きした上で、来年三月に計画を改定する予定としています。 今後とも、市町や関係団体と一体となって、男女が社会のあらゆる分野に参画し、その個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)梶間商工労働部理事。 〔商工労働部理事 梶間敏君登壇〕 商工労働部理事(梶間敏君)上関原発建設計画廃止に向けたロードマップを、地域等への支援策の検討も含めて、県が中心となって準備すべきとのお尋ねにお答えします。 上関原発建設計画については、県は、これまで一貫して地元上関町の政策選択や国のエネルギー政策を尊重するという立場で対応してきているところです。 こうした中、国のエネルギー政策に関しては、国は、上関原発に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、解除する考えはないとの見解を示しています。 また、原発立地によるまちづくりを進めたいという地元上関町の政策選択は、現在も変わりありません。 県としては、このように事情の変化がない中で、お尋ねの計画廃止に向けたロードマップを準備することは考えていません。 副議長(藤生通陽君)戸倉多香子さん。 〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) 戸倉多香子さん 再質問させていただきます。 先ほどは大変早口で、文字数がちょっと多かったもので、早口になってしまいました。眠たくなった方もいらっしゃるかもしれませんが、もうしばらくお願いいたします。 安倍政権が七年八か月ですか、終わりました。この評価については、この後の木佐木議員がしっかりとやっていただけると思いますので、私からはもうやりませんけれども、山口四区で一緒に戦った戦友ですから、後はお任せします。これは全然意見ですので、質問でありません。すみません。 知事から、産業戦略についての考え方の御答弁がありました。県の経済を支えるために、しっかりと取り組んでいただきたいので、知事のお考えをしっかり支持していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 そして、デジタルトランスフォーメーションの加速というのは、今後のやまぐち産業イノベーション戦略の改定の中の基本目標の中の視点にもしっかり入っていまして、これをしっかり取り組むということでした。これも頑張ってやっていただきたいと思いますけれども、産業戦略の合同会議の中で出た御意見の中に、意欲ある中堅・中小企業が県の戦略についていけるような仕組みや場づくりが必要という御意見がありました。デジタルトランスフォーメーション、もちろん、しっかり取り組んでいくべき内容でございますが、それについていけるような仕組みの場づくりということも、しっかり考えていただきたいと思いますし、今、いろんな補助金の申請なども、ネットでの申請があって、持続化給付金なんかは、逆にやりやすいけれども、不正もあったりして大変な状態です。そういった使い方のことについても、中小企業もついていけるように、小規模事業所もついていけるように、しっかりした仕組みづくりをお願いしたいと思います。 それから、御意見の中に、産業人材を確保するためには、魅力あるまちづくりも重要という御意見がありました。これは、私はずっと言っておりますけれども、産業戦略本部の会議で、よく大きい企業の代表の方とかが言われていることですけれども、本当に人材を確保することが大変な時代になっていて、優秀な方を確保しようと思えば、やはり住みやすい町でなければ来てくれないという御意見が毎回出ていると思います。 今回もこのように魅力あるまちづくりも重要という御意見がありました。新山口駅のことの取組も、このイノベーション戦略には入っていると思いますが、周南の徳山駅周辺も図書館ができて、本当ににぎわっておりますが、産業の中心でもありますので、そちらへもそんな魅力あるまちづくりも配慮していただけたらいいなと思いますので、これらは要望でございます。それでは、意欲ある中堅・中小企業が県の戦略についていけるような仕組みや場づくりについては、どのように取り組まれるのか、質問させていただきます。 それから、男女共同参画の基本計画の改定については、神杉部長から大変力強い御答弁をいただきました。今後、委員会でさらに細かく意見を述べさせていただきたいと思います。 そして、上関原発建設計画廃止に向けたロードマップづくりについてです。 ロードマップづくりは考えていないという御答弁でしたが、私は、上関原子力発電所の安全確保等に関する連絡調整会議を開催して議論すべきだと思っています。上関原子力発電所の安全確保等に関する連絡調整会議設置要綱の所掌事務について、(二)その他上関原子力発電所に関し、必要と認められることとあり、会議は会長が必要に応じて招集するとなっています。会長は副知事とされていますので、広島高裁の伊方原発三号機の運転差止めの判断、特に活断層についての論点を含め、上関原発の立地について評価・検証するため、副知事は上関原子力発電所の安全確保等に関する連絡調整会議を開催し、そしてロードマップも一緒に議論していただきたいと思いますが、副知事の見解を求めます。 以上で、再質問とさせていただきます。誠実な御答弁をお願いしたいと思います。(拍手) 副議長(藤生通陽君)平野産業戦略部長。 〔産業戦略部長 平野展康君登壇〕 産業戦略部長(平野展康君)産業戦略についての再質問にお答えをします。 産業戦略の改定に当たりましては、先ほど御指摘のありました、意欲ある中小企業もついていけるような場づくりも含め、これまでの取組の成果や、感染症を契機とした社会変革の動きも踏まえ、新たな戦略として改定に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)梶間商工労働部理事。 〔商工労働部理事 梶間敏君登壇〕 商工労働部理事(梶間敏君)上関原発に関する再質問にお答えをいたします。 伊方の差止めのこと、活断層の件を踏まえて、調整会議を開いて、ロードマップの準備をしていけと、いかなければいけないんじゃないかと、そういう御質問だったと思います。 お示しの連絡調整会議は、六分野二十一項目の要請事項について、計画の進捗に応じて国の対応状況をチェックするというのが本旨でございます。その中に確かに、その他上関原子力発電所に関し、必要と認められることというのがございますけれども、先ほど御答弁申しましたとおり、それ以前にまずは事情の変化がない中で、上関原発廃止に向けたロードマップの準備をするということは考えておりません。 副議長(藤生通陽君)戸倉多香子さん。 〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) 戸倉多香子さん 原発政策について再々質問させていただきます。 二井元知事がまとめられた六分野二十一項目の二、安全確保等についての(三)入念な活断層等の事前調査を行うよう指導を徹底するとともに、今後想定される地震に対応できる最新の科学的知見を反映した厳格な審査との記述がありますが、政府が、現時点では原発の新増設は想定していませんとしている中で、提出している原子力設置許可申請の扱いが全く不透明です。このまま国の審査を待つのは、県民に対する不作為ともいえます。上関原子力発電所計画を電源開発基本計画に組み入れることについて、照会のあった知事意見を、六分野二十一項目の意見をつけて、経済産業省資源エネルギー庁長官に回答された責任は、知事が代わられても引き継がれていると考えてよいのでしょうか、お尋ねしたいと思います。 この一月十七日に、山口県の住民が伊方原発三号機の運転差止めを求めた仮処分申立てについては、広島高裁が運転してはならないとする決定を出しましたが、論点となったのは活断層と火山だと説明しました。この活断層の問題は、上関原発建設予定地にもあります。中国電力が二○○九年に原子炉設置許可申請を提出した後、専門家から別の断層群とされていたものがつながって連動する可能性が指摘され、陸域の破砕帯や活断層の精査が求められ、異例の追加調査と活断層評価を開始されました。その工程の途中で二○一一年、東日本大震災が発生し、調査は中断し、結果は公表されていないと思います。 県では、二○一○年十一月二十二日に、第二回上関原子力発電所の安全確保等に関する連絡調整会議を開催されていますが、追加地質調査計画等についての資料や議事録を見ても、断層評価については現在審議中であり、今後のさらなる審議を経て、最終的な評価がなされるものと考えているとの記載のみで、結論に至っていないと思われます。この点について、県はどのように捉えておられるのでしょうか、質問させていただきます。 以上で質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)梶間商工労働部理事。 〔商工労働部理事 梶間敏君登壇〕 商工労働部理事(梶間敏君)再々質問にお答えさせていただきます。 まず、知事意見に付した六分野二十一項目の要請事項は、知事交代に伴ってもまだ引き継がれているのかという御質問だったと思います。 県としては、上関原発建設計画の進捗に応じて、知事意見に付した六分野二十一項目に対する、国の対応をチェックするということとしておりまして、現在もその位置づけに変わりはございません。 次に、第二回の連絡調整会議では、断層評価の件が結論に至っていないと思うが、県の見解はどうかという御質問でした。 お示しの連絡調整会議は、六分野二十一項目の要請事項については、先ほども申しましたとおり、計画の進捗に応じて国の対応をチェックするというものでございます。 安全対策については、断層の評価も含めて、まずは国において審査が行われるものと承知しており、福島第一原発の事故以降、上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が開催されていない中で、現時点において連絡調整会議を開催することは考えていません。