1 「コロナの時代」の県政運営について 2 インフルエンザ流行期に備えた体制の整備について 3 新型コロナウイルスの影響を踏まえた今後の産業政策について 4 国土強靱化の推進について 5 米軍岩国基地問題について 6 警察行政について
───────────── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 二木健治君。 〔二木健治君登壇〕(拍手) 二木健治君 皆様、おはようございます。自由民主党の二木健治です。令和二年九月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事及び警察本部長に質問いたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 去る八月二十八日、安倍晋三前内閣総理大臣は、現下の最大の国難である新型コロナウイルス感染症について、今後のインフルエンザ流行期も見据えた新たな取組方針と追加対策にしっかりと道筋をつけられた上で、健康上の理由から総理を辞任することを表明されました。 平成二十四年十二月、決められない政治に終始した当時の民主党から政権を奪還して以降、安倍前総理は歴代最長となる七年八か月の間、政治において最も重要なことは結果を出すことであるとの強い意思の下、文字どおり全身全霊を傾け、身を粉にして政権運営に当たられるとともに、外交面においても、世界の中心で傑出したリーダーシップを存分に発揮してこられました。 政権奪還後、まずは、経済政策アベノミクスを掲げ、経済最優先で取り組まれ、二十年続いたデフレに三本の矢で挑み、四百万人を超える雇用をつくり出されました。 その成長の果実を生かし、幼児教育・保育の無償化をはじめとした保育の拡充を行い、高等教育の無償化も含め、働き方改革や一億総活躍社会に向けた大きな一歩を踏み出されました。 また、国家運営の基軸である防衛政策においても、集団的自衛権に係る平和安全法制の制定により、我が国の安全保障体制は、一層強固なものとなりました。 安倍前総理は、新総裁を選出するため、九月十四日に開催された両院議員総会で、総裁としての最後の挨拶に臨まれ、「日本を取り戻す、この思いの下、皆が夢に向かって進んでいける日本を、世界の真ん中で輝く日本を目指し、全力を尽くしてまいりました。皆様とともに、困難な課題にも挑戦しました。残念ながら、残された課題もありますが、この七年八か月、皆様とともに挑戦し続け、熱き闘いを繰り広げることができたのは、私の誇りであります」と述べられるとともに、「バトンを渡すことになる菅義偉新総裁を先頭に、コロナ禍を乗り越えて輝く日本を築き上げていこうではありませんか」と菅新体制に大きなエールを送られました。 両院議員総会に出席した衆参国会議員、都道府県支部連合会代表者からは、深い感謝とねぎらいの思いが込められた拍手が鳴りやみませんでした。 私ども地元県連、そして、自由民主党会派といたしましても、安倍前総理の志半ばでの辞任に接し、万感の思いが一どきに胸に満ちてまいりました。 多くの国難に真っ向から対峙し、長期にわたって我が国のリーダーとしての重責を果たされ続け、国民の皆様の負託に応えてこられたことに対し、深く深く敬意と感謝を申し上げますとともに、まずは治療に専念され、体調を万全にされた上で、再び我が国のために御尽力いただくことを願う次第です。 さて、両院議員総会から二日後の先週十六日、安倍政権の継承と、さらなる前進を掲げた菅政権が発足しました。 そして、我が山口県からは、これまで米軍岩国基地に係る諸課題の対応などに御尽力いただいてきた我が自由民主党県連の岸信夫会長が、防衛大臣として念願の初入閣を果たされるとともに、在京顧問である阿達雅志参議院議員が、内閣総理大臣補佐官に、また、江島潔参議院議員が、経済産業副大臣に就任されましたことは、私どもとしても、この上ない喜びでもありますし、誠に心強い限りです。 新型コロナウイルスへの対応、拉致問題、憲法改正など積み残された課題の解決に向けて、我が自由民主党会派は、ここ山口の地から菅政権を全力で支えていくことを申し上げ、通告に従い質問いたします。 初めに、コロナの時代の県政運営についてお尋ねします。 全国での緊急事態宣言が解除された後、本県においても七月以降、新型コロナウイルス感染者の新規発生が続いています。 新しい生活様式の徹底による感染拡大防止、病床の確保や検査体制の充実による県民の安心の確保などにしっかりと取り組んでいくと同時に、社会経済活動レベルを段階的に引き上げていく中で、県民の暮らし・雇用・事業を守り、経済を回復させていくことが喫緊の課題です。 また一方で、新型コロナウイルスは、社会の脆弱性を浮き彫りにするとともに、我々の意識の変容をもたらしました。 社会全体、とりわけ行政分野のデジタル化の遅れ、人口集中・過密によるリスク、テレワークの広がりと地方への関心の高まりなど、乗り越えていかなければならない様々な課題に我々は直面しています。 しかし、いつの時代においても、危機は変革のチャンスでもあります。 我が自由民主党では、コロナ禍の経験を契機と捉え、官民のデジタルトランスフォーメーションの徹底的な推進や、デジタル基盤に立った集中から分散の流れの創出など、ポストコロナの経済社会に向けた成長戦略として政府に提言しました。 国の骨太方針二○二○においても、デジタル化への集中投資・実装や、多核連携型の国づくりを目指すなど、ポストコロナ時代を見据えた変革を一気に進めるとされています。 本県でも、コロナ禍の影響による現下の課題と、ポストコロナを見据えた課題とを改めて整理し、それを乗り越えていくことで、足踏みを余儀なくされている県政を前に進めると同時に、その先にある未来に向けた歩みを進めていかなければなりません。 目下、本県は、やまぐち維新プランや、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づいた県づくりを進めております。我が会派が指摘してきたように、県民生活に関わる様々な分野に、新型コロナによる影響が出ています。緊急的・重点的に支援が必要となる分野、コロナ禍を契機として加速的に伸ばしていくことが必要な施策など、県づくりの優先順位や進め方は、コロナ前と同じではありません。 知事は先日、活力創出本部会議を開催し、「コロナの時代」に対応するための施策推進方針を示されました。我が会派としても、山口県の活力を取り戻し、コロナの時代にあっても本県の地方創生を実現するために、コロナの危機の克服や、その先の未来に向けて、山口県の目指すべき姿や方向性を改めて示し、市町や民間、県民との思いを一つにしながら、県政を進めていく必要があると思います。 そこでお尋ねします。知事は、今回の新型コロナウイルス感染症拡大による社会的な影響や、顕在化した課題をどのように捉え、今後の県政運営をどう進めようとされているのか、御所見をお伺いします。 次に、インフルエンザ流行期に備えた体制の整備についてお尋ねします。 新型コロナウイルスは、最初の流行が五月末に一旦収束しましたが、社会経済活動の再開に伴い、六月以降、都市部の若年層を中心に再び感染が拡大し、新規感染者数が第一波を超える大きな波になりました。 本県でも七月十五日に二か月ぶりとなる感染者が確認されて以降、都市部との往来を由来とする感染者を中心に感染が広がり、県内初となるクラスターが発生するなど、感染者が急増しました。 県では、これまで、県民の命と健康を守ることを第一に、再度の感染拡大に備えた検査体制や医療提供体制の強化に取り組んでこられました。 このたびの感染拡大に当たっては、こうした体制を生かした積極的な疫学調査や、地域の感染状況に応じた幅広い検査、迅速な入院医療の提供などにより、早期に感染を囲い込み、蔓延を阻止されています。 また、七月末には、これまでの感染状況を踏まえ、今後の感染拡大に備えた病床確保計画を取りまとめられました。 感染のピーク時にも十分対応できる体制を確保されたことは、感染の不安を抱えながら日常生活や経済活動の回復に取り組む県民の安心につながるものと大いに評価するところです。 しかしながら、このたびの感染の再拡大により、事態の長期化が現実のものとなってきた今、今後の社会経済活動の本格的な再開に向けては、ウイルスの存在を前提に、県民の命と健康を守り抜く、あらゆる可能性を想定した万全の備えを講じることが重要になります。 とりわけ今後、冬場にかけては、インフルエンザが流行期を迎え、新型コロナウイルスと区別が困難な発熱患者が大幅に増加することが予想されます。 インフルエンザと同時流行する中にあっても、新型コロナウイルスの感染拡大や重症化を防止するためには、地域において、発熱患者への検査や医療需要の増加に対応し、早期に感染を封じ込める新たな体制を地域の関係機関とも連携して、早急に整備しなければなりません。 また、多数の発熱患者への対応が必要になる医療機関の負担を軽減し、地域の医療提供体制を守るため、インフルエンザの流行を抑える取組も併せて行う必要があります。 加えて、地域をまたいで活動する事業者や感染リスクの高い医療関係者などからは、感染への不安が社会・経済の制約や萎縮につながっているとの声が届いていることから、感染の不安を取り除き、安全が確保された中で活動できる体制の構築にも取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルスの対応が長期化する中、社会経済活動の本格的な再開に向け、これから迎える冬場のインフルエンザ流行期に備えた体制の整備について、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、新型コロナウイルスの影響を踏まえた、今後の産業政策についてお尋ねします。 産業力こそ山口県の活力の源泉ですが、このことはコロナの時代においても変わりはありません。産業力を強化することで、地域経済の好循環を生み出し、県民の暮らし・事業・雇用を守り、山口県の未来に向けた活力を創出していかなければなりません。 そのためにも、まずは停滞している地域経済を力強く回復させていくこと、そして同時に、将来を見据えて、新型コロナウイルスを契機とした社会変革を捉え、本県産業のさらなる成長につなげていくことの双方が重要です。 現下の経済情勢を見ますと、新型コロナウイルスによる影響は極めて大きく、先日発表された四から六月期のGDPは、実質成長率が年率マイナス二八・一%と戦後最悪の状況となりました。 こうした状況に対応するため、国の「Go To キャンペーン」の各種の経済対策に加え、本県においても六月補正で二千億円超の経済対策を講じ、中小企業への制度融資や再始動への支援、県内観光の促進、農林水産物の消費喚起などにスピード感を持って取り組まれているところです。 こうした対策の効果により、今後、景気の持ち直しが続いていくことが期待されますが、再度の感染拡大に伴い、個人消費が足踏みするなど、懸命に事業を継続されている多くの事業者の皆さんが、引き続き厳しい状況に置かれているという実態があります。 落ち込んだ経済を回復させるためには、消費者でもある県民の安心を確保することが大前提ですが、併せて経済を下支えする対策や消費喚起策などを今後も的確に講じ、社会経済活動レベルを引き上げていく必要があります。 一方、新型コロナウイルスを契機として、経済環境には様々な変化が生じています。 産業のデジタルトランスフォーメーションの加速的な推進、デジタル経済の急速な拡大、サプライチェーンの再構築の動きなど、ポストコロナ時代に向けた競争は、既に始まっています。こうした中にあっても、本県産業が競争力を強めていく取組を進めていかなければなりません。 知事は先日、産業戦略本部の本部会合を開催され、やまぐち産業イノベーション戦略の改定に向けた検討を始められましたが、これまで推進してきた産業戦略の成果を確かなものとしつつ、ポストコロナの時代の社会・経済も見据えた戦略としていくことが必要です。 そこでお尋ねします。落ち込んだ県経済の回復に向けた経済活動の段階的引き上げや、感染症拡大に伴い加速する社会・経済の変革に対応した本県の産業力強化など、新型コロナウイルスの影響を踏まえた産業政策にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、国土強靱化の推進についてお尋ねします。 近年、全国各地で大規模な自然災害が相次いでおり、本年も七月豪雨災害や台風十号などにより、九州をはじめ広範な地域において、多くの人命や家屋のほか、ライフライン、地域産業等に甚大な被害が生じました。 お亡くなりになられた方々に対し、謹んで御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。 本県においても、平成三十年七月豪雨や本年七月の豪雨などにより、河川の氾濫や道路の崩壊、土砂災害等の被害が発生しており、災害に強い県づくりを推進し、来るべき災害に万全の備えを講じることはまさに急務となっています。 県は、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の予算も活用しながら、重要インフラの機能強化に取り組んでおられますが、大規模な自然災害に対する抜本的な対策としては、まだ十分とは言えず、引き続き河川改修や土砂災害対策、ため池災害対策、道路防災などの取組を推進していかなければなりません。 こうした中、本年七月、骨太方針二○二○が閣議決定され、激甚化・頻発化する災害への対応として、本年度までの三か年緊急対策を集中的に実施するとともに、緊急対策後も、国土強靱化基本計画に基づき、必要十分な予算を確保し、国家百年の大計として災害に屈しない国土づくりを進めることとされました。 県としては、防災・減災、国土強靱化の取組を着実に進めていくため、国に対し、緊急対策後においても地方が必要とする予算を十分に確保することや、地域の実情に応じた柔軟な措置を講じることを強く求めるとともに、国の動きに呼応しながら取組を強力に推進していくべきだと思います。 そこでお尋ねします。県民の生命・財産を守り、経済社会活動を将来にわたって維持・発展させていくため、防災・減災、国土強靱化の取組を今後どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いします。 また、国土強靱化を図るためには、信頼性の高い道路ネットワークを構築することが重要であり、県土の骨格を形成する幹線道路の整備が必要不可欠です。 特に、山陰道については、昨年九月に、長門・俵山道路が開通するなど、これまでの成果が確実に形となっているところですが、県内においては、島根県境をはじめ、未着手区間がいまだ六割を超えており、一日も早い全線整備が求められています。 こうした中、萩市では、国の山陰西部国道事務所が本年四月に開設されたことを好機と捉え、先月三十一日、柳居議長をはじめとする山陰道建設促進山口県議会議員連盟の役員とともに、市長が山陰道大井─萩間及び小浜─田万川間の整備加速化を国に要望されました。 面会された赤羽国土交通大臣からは、萩市の二つの優先整備区間について、非常に力強い前向きな発言をいただき、山陰道の早期完成に向けた大きな弾みになるものと地元での期待はこれまでになく高くなっています。 こうした地元の整備促進に向けた並々ならぬ熱意を県としてもしっかりと受け止め、萩市をはじめ地元と一体となって整備の加速化につなげていく必要があります。 また、下関北九州道路の早期事業化を図るとともに、国道百八十八号藤生長野バイパスや小郡萩道路など、既に事業化されている区間も着実かつ早期に整備し、幹線道路網の構築を推進していくことが重要です。 そこでお尋ねします。国土強靱化に資する幹線道路の整備に今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、米軍岩国基地問題についてお尋ねします。 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、岩国基地の米海兵隊や米海軍は、我が国の安定の一翼を担っているものと理解しています。 一方で、基地周辺においては、基地の運用により生じる騒音や事故等への不安など、生活環境に影響を及ぼしていることも事実であり、住民の安全で平穏な生活を守るため、国や米側に必要な安心・安全対策も求めていかなければなりません。 昨年は、平成三十年に発生した所属機による接触墜落事故の報告書の中で、隊員の規律違反行為等が判明したことから、我が会派が中心となる基地議連としても国に追加説明を求めたという経緯があります。 その後、先月十二日、事故要因等を詳細に特定し、再発防止策等を含めた再調査結果について説明がなされ、この中で「米側が、再発防止策については、様々な問題に適切に対処をするものと確信するとされており、国としても同様の見解である。地元へ伝えるべき内容は漏れなく説明した」との見解が示されましたが、今後とも再発防止策の確実な実施と、その効果を確認していくことが必要です。 また、先月二十六日、防衛省と外務省が来県され、村岡知事や柳居議長、地元の市町長等に対し、本年十月以降に米海兵隊岩国基地のFA18ホーネット二個部隊のうち、一個部隊約十二機をF35B約十六機へ段階的に機種更新するとの説明があり、地元の理解を求められました。 F35Bへの機種更新は、平成二十九年に続く二回目ですが、そもそも機種更新は、現機種の旧型化や老朽化、また、国防上の必要性からの自然の流れであり、当然のことであると思います。 一回目の更新の際には、国内初配備ということもあり、県議会において運用や安全性等について議論がされましたが、平成二十九年の配備以降、機種更新に伴う騒音に関する目立った苦情はなく、また、安全な運用もなされており、住民の懸念は少なくなってきていると受け止めています。 とはいえ、県では、今回の機種更新の規模等を踏まえ、騒音や安全性など、生活環境への影響について確認するため、地元市町とともに国に照会し、先週十六日に、国の回答を踏まえ、このたびのF35Bへの機種更新は、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではないと整理されたところです。 そこでお尋ねします。このような状況から、我が会派としては、このたびのF35Bへの機種更新について理解するものですが、知事は、今後どのように対応されるのか、御所見をお伺いします。 最後に、警察行政についてお尋ねします。 先月二十四日付の人事異動により、第三十七代山口県警察本部長として谷滋行警視長が着任されました。 現在、県警では、県民の期待と信頼に応える強い警察という基本方針を掲げ、県民が安全で安心して暮らせる社会の実現を目指して、積極的な警察活動を推進しておられます。 就任時の記者会見において谷本部長は、関係機関や事業者、県民と力を合わせ、安全な社会を実現していきたいと力強く抱負を述べられました。大変頼もしく感じるとともに、本県の治安維持の最高責任者として、今後の御活躍に大きな期待を寄せているところです。 さて、県内の治安情勢に目を向けますと、刑法犯の認知件数は、戦後最少であった昨年をさらに下回るペースで推移するとともに、交通事故発生件数についても、昨年に引き続き減少傾向となるなど、治安情勢が改善している状況が伺えます。 このことは、第一線の現場で昼夜を問わず業務に精励されている警察職員の活動のたまものであり、感謝申し上げる次第です。 しかしながら、県内における、うそ電話詐欺被害については、昨年は約二億一千万円といまだに大きな被害額となっており、現在も多くの県民が被害に遭われています。 また、日本最大の指定暴力団、山口組の分裂に伴う事件が全国各地で発生している中、県内でも先月暴力団幹部が銃撃される事件が発生し、住民に大きな衝撃と不安を与えたところです。 このほかにも子供や女性が被害に遭うストーカー被害や児童虐待事案が継続的に発生しているなど、県民生活を脅かす治安上の課題が山積しています。 こうした厳しい情勢を踏まえ、県警におかれましては、県民に不安を与える治安課題に積極果敢に取り組んでいただき、県民が治安のよさを心から実感できるよう社会づくりに御尽力いただきたいと強く願うものです。 そこでお尋ねします。県民が穏やかで幸せな暮らしを実感できる安全・安心な山口県の実現に向け、今後どのようなリーダーシップを取られるのか、このたび着任された警察本部長の御所見をお伺いしまして、私の代表質問を終えさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)このたび御退任されました安倍前総理におかれては、連続、そして通算ともに歴代最長となる在職期間を通じて、経済成長や全世代型社会保障への改革などの重要課題に強力なリーダーシップを発揮され、我が国の発展に向けた確かな道筋をつけてこられました。 この間、私たち地方自治体にとりましては、地方創生の推進をはじめ、防災・減災対策や国土強靱化、さらには現下の新型コロナウイルス感染症対策に係る新たな交付金の創設など、直面する重要課題に対して地方の声にしっかりと耳を傾け、その実現に力強く大胆に取り組んでいただきました。 その御功績と御労苦に対し、ここに改めて深く敬意と感謝の意を表する次第です。 それでは、二木議員の代表質問にお答えします。 まず、コロナの時代の県政運営についてのお尋ねです。 本県では、これまで、やまぐち維新プラン及び「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき県づくりの取組を着実に推進してまいりました。 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、社会経済活動は大きく落ち込み、今後の施策推進にも支障を来しかねない状況が生じています。 一方で、コロナ禍におけるテレワークの急速な普及や、地方移住への関心の高まりなど、国民の意識や行動には大きな変化が生まれており、国は、これを社会変革の契機と捉え、今後、社会全体のデジタル化や多角連携型の国づくりを目指すとしています。 私としては、社会が大きく変わろうとしているこの機を逃さず、危機から生まれた変化をこれからの成長へつなげ、コロナの時代にあっても、活力に満ちた山口県の未来を切り開いていきたいと考えています。 そのためには、何よりもまず、直面する感染症の危機を乗り越えなければなりません。県民の命と健康を守ることを最優先に、さらなる感染拡大に備え、万全の対策を講じるとともに、県民生活の安定確保と社会経済活動の段階的な引上げに重点的に取り組んでまいります。 そして、同時に、維新プランや総合戦略の基本的な方向性を維持しつつ、産業や医療、教育等の様々な分野で、社会変革の原動力となるデジタル化を強力に進め、官民を挙げたデジタルトランスフォーメーションを推進し、地域課題の解決や新たなイノベーションの創出を図ってまいります。 また、地方へ向けた関心の高まりを捉え、企業誘致の取組を一層強化するとともに、休暇先でテレワークを行うワーケーションなど、コロナの影響に伴う働き方の新しいスタイルの浸透も見据えながら、本県への新たな人の流れの創出・拡大に取り組んでまいります。 さらに、コロナの時代の新たな日常を支える人材育成の取組を加速させることなどにより、社会変革の動きを県政へ確実に取り込み、より大きな成果につなげていきたいと考えています。 私としては、こうした重点化・加速化の考えと今後の進め方を明確に示し、県内のあらゆる主体と共有した上で、様々な環境変化にも的確に対応した県づくりの取組をしっかりと前へ進めていくために、このたび、お示しのコロナの時代に対応するための新たな施策推進方針を取りまとめたところです。 今後、この方針に沿って、県議会の御意見等も伺いながら、私は、市町や関係団体、企業、そして県民の皆様との連携の下、現在の危機をチャンスへと変え、コロナの時代における「活力みなぎる山口県」の実現に全力で取り組んでまいります。 次に、インフルエンザ流行期に備えた体制の整備についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症患者は、これまで延べ百九十五名に上り、特に、八月下旬以降は、複数のクラスターが接待を伴う飲食店で発生し、一部の地域で感染が拡大するなど、新たな感染確認が相次ぐ状況となりました。 こうした事態を受け、一刻も早く感染拡大を抑えるため、クラスターが発生した地域全体を対象としたPCR検査の実施等により、迅速に封じ込めることができ、現在、感染者数は減少していますが、私は、感染拡大への警戒を一層強めていかなければいけないと認識を新たにしたところです。 こうした中、今後、季節性インフルエンザの流行期には、発熱を訴える方が急増し、医療や検査に対する需要の増加が見込まれることから、地域の医療と県民の健康を守るため、さらなる医療・検査体制の拡充や、インフルエンザの流行を抑える取組が極めて重要であると考えています。 このため、まず、医療・検査体制の充実に向けては、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を臨床的に判別することが困難なことから、市町や郡市医師会等の協力の下、かかりつけ医等の身近な医療機関で相談・診療・検査ができる体制を十月中を目途に整備することとしています。 また、八圏域ごとに一か所以上の設置を目指していた地域・外来検査センターの設置箇所を、十四市町十四か所にまで増やし、地域における検査体制の充実に努めてまいります。 さらに、インフルエンザ流行期に想定される、一日最大約四千人の発熱患者に対応するため、保健所への自動遺伝子検査装置の導入や民間検査機関の活用等により、PCR等検査体制を拡充するとともに、抗原検査の積極的な活用を図ってまいります。 次に、インフルエンザの流行の抑制に向けては、新型コロナウイルスとの同時流行を回避するため、インフルエンザの罹患率の高い生後六か月から小学生以下の方が無料で予防接種を受けられるよう、必要な経費を県が全額負担し、流行の主体である子供への罹患を予防してまいります。 また、お示しのとおり、感染リスクの高い医療関係者や、地域をまたいで活動する事業者などが、安心して業務を継続するためには、本人等の希望に応じて検査を受けることができる環境づくりも重要であると考えています。 現在、予防保健協会や山口大学において、個別のニーズに応じた検査への準備が進められており、県では、今後とも、こうした取組の促進に努めるとともに、施設内感染を防ぐため、医療関係者等への一斉・定期的な検査が、行政検査として実施されるよう、引き続き全国知事会を通じて国に要望してまいります。 私は、県民の命と健康を守ることが第一との認識の下、季節性インフルエンザの流行期にも対応できるよう、市町や関係機関と連携し、万全の医療・検査体制の整備等に全力で取り組んでまいります。 次に、新型コロナウイルスの影響を踏まえた今後の産業政策についてのお尋ねにお答えします。 私は、これまで、営業持続化等支援金や県制度融資などにより、事業の継続を支援するとともに、観光や農林水産分野における消費需要の喚起に取り組んできました。 こうした取組を通じて、個人消費に持ち直しの動きが見られるものの、感染症の影響により、県内経済は厳しい状況が続いており、私は、感染拡大防止対策をしっかりと講じながら、経済活動を段階的に引き上げていくことが必要と考えています。 このため、まず、消費需要の創出として、県内の体験型コンテンツを活用した観光需要の喚起に取り組むとともに、県産農林水産物を応援する「もっとみんなでたべちゃろう!キャンペーン」を展開します。 特に、飲食店などに向けては、こうした全県的な取組に加え、市町が地域の事情を考慮して主体的に取り組む施策づくりを支援する交付金制度を新たに設けることとしています。 さらに、本県経済を牽引する製造業については、経営基盤の強化に向け、感染症で失われた取引の回復に必要な新事業展開・販路開拓への取組や、離職者の再就職支援を活用した人材確保などを支援することとしています。 また、これらの取組と同時に、将来に向けて県経済の持続的成長・発展を図るためには、コロナ禍においてもものづくりを中心とした高度技術や産業集積を生かし、本県の活力源である産業力を大きく伸ばす取組を着実に進めることが重要です。 このため、私は、今年度末に計画期間を満了するやまぐち産業イノべーション戦略について、感染症を契機とした社会変革の動きも踏まえ、新たな戦略として改定する考えです。 このたびの感染症は、リモートサービスの活用やスマートファクトリーの促進など、デジタル化への対応が急務であることを顕在化させました。 また、人流や物流が制限される中、サプライチェーンの再構築に向けた動きも出ています。 こうした変革の動きに対応するため、新たな戦略では、取組の視点にデジタルトランスフォーメーションの加速を加え、企業の生産性向上や新たな付加価値の創出が期待される5G、AI等の未来技術の導入、利活用を強力に進めます。 また、生産拠点等の国内回帰や地方移転、新しい働き方に対応したサテライトオフィスなど、新たな動きを好機と捉え、積極的な企業誘致に取り組みます。 さらに、オープンイノベーションを促進するやまぐちR&Dラボの取組や、ヘルスケア産業の創出・育成に向けた企業等との連携体制の構築など、これまでの取組の成果を踏まえた産業戦略プロジェクトの再編・拡充を図ります。 私は、県経済の持続的成長・発展に向け、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ県経済の回復と、加速する社会・経済の変革に対応した本県の産業力強化に全力で取り組んでまいります。 次に、国土強靱化の推進についてのお尋ねにお答えします。 全国的にも大規模な災害が頻発している中で、私は、県民誰もが希望を持って、いつまでも安心して暮らし続けられる山口県の基盤を築くことが極めて重要であると考えています。 このため、やまぐち維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、災害に強い県づくりを進めることとしています。 まず、防災・減災、国土強靱化の取組についてです。 県では、災害から県民の生命・財産を守るため、河川改修や土砂災害対策、道路防災などに取り組むこととしており、お示しの、国による三か年緊急対策の予算も活用し、重要インフラの機能強化を集中的に実施しているところです。 私は、今後も災害に屈しない国土づくりを進める国の動きに呼応しながら、防災・減災、国土強靱化の加速化・深化に向けて、河川改修をはじめとした対策を強力に進めていく考えです。 さらに、三か年緊急対策は、事業効果の早期発現に極めて有効であることから、緊急対策終了後においても、特別枠による予算の確保や対象事業の拡大が図られるよう、引き続き、知事会などを通じて国に強く要望してまいります。 次に、国土強靱化に資する幹線道路の整備についてです。 道路は、県民生活や企業活動などを支える最も身近で基礎的な社会基盤であり、国土強靱化を図るためには、信頼性の高い道路網を構築することが重要であることから、私は、幹線道路の整備促進に積極的に取り組んでいます。 とりわけ、山陰地域の骨格を形成する山陰道については、これまでも政府要望など、あらゆる機会を通じて、全線の早期整備を国に訴えてきました。 また、私は、先月の島根・山口両県知事会議において、山陰道の早期整備を目指し、両県が連携して、スピード感を持って取り組んでいくことを確認したところです。 こうした中、お示しのとおり、先月末、山陰道の議員連盟の皆様と藤道萩市長が、赤羽国土交通大臣に対し、萩市内二区間の早期事業化を要望されました。 大臣には、地元の熱意と整備の必要性を御理解いただいたところであり、このような取組が進められていることは、私としても大変心強く感じています。 今後とも、こうした取組と軌を一にし、山陰道全線の早期整備に向けた動きが加速するよう、萩市をはじめ地元と一体となって積極果敢に取り組んでまいります。 また、下関北九州道路の早期事業化や、国道百八十八号藤生長野バイパス、小郡萩道路等の早期完成に向け、関係機関と緊密に連携して取り組むなど、国土強靱化に資する幹線道路の整備を着実に進めていきます。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、災害に強い県づくりに向けて、引き続き県議会のお力添えをいただきながら、河川の改修や幹線道路の整備等による国土強靱化の推進に全力で取り組んでまいります。 次に、米軍岩国基地問題についてのお尋ねにお答えします。 私は、岩国基地に関わる諸問題に対しては、国の外交・防衛政策を尊重し、これに協力する一方で、県民の安全で平穏な生活を確保する立場から、国に対して言うべきことは言うとの姿勢で、地元の意向を尊重し対処しているところです。 こうした中、先月、国から岩国基地に配備されているFA18をF35Bに機種更新する計画が示され、理解と協力を得たいとの説明がありました。 F35Bへの機種更新は、二回目であり、新たな部隊の追加配備ではありませんが、私としては、基地周辺住民の生活環境に与える影響について確認する必要があると考え、地元市町と合同で、国に騒音予測コンターの提示を求めるとともに、疑問点等を照会しました。 その後、国からの回答を受けて、その影響を整理し、先週十六日に公表したところです。 具体的には、まず、影響を検証する上での前提となる更新後の運用については、新たな飛行経路の設定や施設整備等の計画はなく、既に配備されているF35BやFA18とほぼ同様となると見込まれていることが分かりました。 次に、航空機騒音の影響については、陸上部分において七十W以上の地域が一部増加するものの、各騒音測定地点の予測値には、ほとんど変化はなく、国からも引き続き訓練移転等の騒音軽減対策に取り組むことが示されるなど、全体としては騒音に与える影響は小さいと判断したところです。 また、安全性に関しては、機体について、飛行の安全に影響する問題はないと国も確認しており、パイロットについても訓練を十分に重ね、操縦資格を取得した後に配備され、加えてお示しの一昨年の接触墜落事故を踏まえ、人事配置方針の見直しや規律維持等に取り組んでいることを確認しました。 これらのことから、検討結果として、このたびのF35Bへの機種更新は、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではないと整理したところです。 地元市町では、この結果を基に、議会での議論を踏まえ、今後、各首長から最終的な見解を表明されるとのことであり、私は、県議会の御意見をお聞きするとともに、地元市町の意向を伺った上で、F35Bの機種更新について、適切に対応してまいります。 議長(柳居俊学君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)県民が安全・安心に暮らせる社会を実現するための取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県内の治安情勢につきましては、議員もお示しのとおり、刑法犯認知件数や交通事故発生件数は減少を続けています。これは、警察の活動のみならず、関係機関、事業者、県民一人一人の御協力あってのものと認識しております。 他方、県民の安全・安心は、これらの指標のみで計れるものではありません。ストーカーや児童虐待等の事案の認知が高水準で推移しているほか、うそ電話詐欺や高齢者が関わる交通死亡事故も引き続き発生し、加えて、先月の暴力団幹部が銃撃される事件は、地域住民に大きな不安を与えました。治安情勢は、依然として厳しい状況にあると認識しております。 これらの課題に対応していくため、県警の組織が一体となって、安全で安心に暮らしたいという県民の期待に応えていくことが重要であると考えています。 まず、日々の生活の中で警察の活動を身近に感じていただき、事案への迅速な対応を図るため、制服警察官によるパトロールや一一○番などの通報への迅速・的確な対応をしっかりと進めていくとともに、不審な人物に対する職務質問の強化などにより、県民が不安に感じる犯罪の検挙や抑止活動を推進してまいります。 また、ストーカー、DV、児童虐待については、被害者の安全確保を最優先に、市町や男女共同参画センター、児童相談所等の関係機関とも緊密に連携して対応してまいります。 うそ電話詐欺に対しては、高齢者世帯への戸別訪問、マスメディアを通じた広報啓発活動など、あらゆる媒体を活用して最新の防犯情報を発信していくほか、金融機関等と連携した水際対策による被害の防止、犯行グループの徹底検挙を図ってまいります。 次に、依然として県民に脅威を与えている暴力団については、県民が犯罪に巻き込まれないよう警戒活動を実施するとともに、引き続き、徹底した取締りを進め、関係機関と連携した暴力団排除活動を行うなど、総合的な対策を推進してまいります。 このほか、高齢者が関係する交通事故の発生も重要な課題であります。 高齢者世帯への戸別訪問を通じて、反射材の着用や横断歩道以外の場所を横断する危険性等について、きめ細やかな指導を行うとともに、自動車教習所での実車講習や安全運転サポート車の普及啓発活動なども進めてまいります。 さらに、大規模災害等の緊急事態に対しては、様々な事態を想定し、関係機関や団体と連携した対策を講じるなど、警察力を効果的に運用し、適切に対処してまいりたいと考えております。 私は着任時に、関係機関や事業者、県民と力を合わせ安全な社会を実現していきたいと申し述べさせていただきました。 県民に御協力をいただくためには、県警がその期待と信頼に応える組織であることが重要であると考えています。 ただいまの議員のお言葉もしっかりと受け止め、組織一丸となって、県民が穏やかで幸せな暮らしを実感できる安全・安心な山口県の実現に向け全力を尽くして取り組んでまいります。