1 新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの拡大防止策について 2 障害のある人もない人も共に輝く県条例の制定について 3 デジタル行政の推進について 4 大規模化する災害への対応について 5 コロナ禍における文化芸術振興について 6 子どもの新たな学びと人づくりについて 7 歩行者優先の徹底に向けた取り組みについて
議長(柳居俊学君)石丸典子さん。 〔石丸典子さん登壇〕(拍手) 石丸典子さん 公明党の石丸典子でございます。九月十五日、公明党山口那津男代表は、新しく自民党新総裁になられた菅義偉総裁と新たな連立政権合意に署名し、新型コロナウイルス感染症対策やデジタル化、防災・減災、国土強靱化など、国民のための政策をさらに前へ進めることを確認いたしました。 公明党は、新政権においても、国民の命と健康を守るため、全力で働いてまいりますことをお誓い申し上げ、通告に従い代表質問に入らせていただきます。 初めに、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの拡大防止策についてお伺いいたします。 一点目、厚生労働省は、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備え、多数の発熱患者を円滑に検査・診療できる体制を地域で構築することは重要であり、本県においても、これまでの保健所主導の検査体制から、かかりつけ医の判断で検査できる地域外来・検査センターを設置することとし、現在、各医療ゾーンを核に県内十四か所に設置の予定です。 保健所の負担を軽減できることと、PCR検査を受けたいと願う県民には、身近な市町で検査体制が整うことは非常に期待しておりますが、発熱症状の患者や感染を心配する無症状者の方は、まず、かかりつけ医に電話することとなっており、かかりつけ医の負担や混乱、さらには、ほかの患者の減少により、病院の経営悪化なども懸念されます。 そこで、これからの対策として、病院の負担を軽くするためにも、インフルエンザワクチン接種者を増やし、流行を抑え込み、高齢者や持病のある方などの重症化を防ぐことが重要です。 村岡知事は、そのような中、このたびの補正に、生後六か月から小学校六年生までの子供のインフルエンザ予防接種費用の無料化を発表され、約十一億円を計上されています。 厳しい財政状況の中、大変な御決断と評価いたしますが、学校という大変厳しい環境の中、初めての受験を迎える中学三年生に対する支援を求める声があることも御紹介させていただきます。 そこでお伺いいたします。今後、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザ流行期が重なることが大変心配されています。知事は、どのようにして県民の命を守るのか、御所見をお聞かせください。 二点目、接触確認アプリCOCOAについてお伺いいたします。 政府は六月、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一つとして、個人が陽性者との接触可能性を確認できる接触確認アプリCOCOAを発表。COCOAは、陽性者と一メートル以内、十五分以上、近接した場合に、その接触記録に基づき、スマートフォン上で通知を受けられ、陽性者との接触可能性を確認できるというものです。 これの良いところは、利用者の行動を監視したり、その行動を制限したりすることはなく、自治体が公表する感染者数やクラスターの発生場所だけの情報では、実際に自分が濃厚接触したか分からず、不安ばかりですが、このアプリからは、さらに具体的な情報を得ることができ、過度な不安で、社会生活に支障を来すのではなく、ウイズコロナ対策として、保健所やかかりつけ医の現場にも役立つと思われます。 そのためにも、アプリの普及率を上げることが最も重要で、インストール率全国トップは岩手県です。本県は、中ほどの二十九位で、私の知人の方は、毎日、COCOAを利用されて、恐れ過ぎない生活を心がけておられます。 このアプリの普及に大事なことがもう一つあります。このアプリから個人が特定されることはありませんが、感染者による、自主的な陽性登録を求めることから、陽性者への心ない誹謗中傷を絶対許さない取組も大切です。 そこでお伺いいたします。接触確認アプリCOCOAの普及、利用拡大にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、障害のある人もない人も共に輝く県条例の制定についてお伺いいたします。 二○○六年、国連で障害者の権利に関する条約が採択され、我が国においても、ようやく二○一六年、障害者差別解消法が施行され、差別的取扱いが禁止、さらに合理的配慮の提供が求められることになりました。 本県においては、令和元年度から、職員採用選考について、身体障害者に加えて、知的障害者・精神障害者を新たに加え、四人を採用、今年は採用年齢を五十九歳までに引き上げるなど、雇用に関して大きな改善が見られました。 障害者雇用率は、法定雇用率二・五%に対し、知事部局が二・七五%、警察二・五九%とともにクリアしておりますが、教育は二・一三%と法定雇用率二・四に達していません。来年はさらに○・一%引上げが予定されており、さらなる取組が必要です。 特に教育は、以前から厳しい状況が続いており、昨年、知事の御英断により山口県手話言語条例が制定されましたが、ろうあ連盟の方から完璧な手話を使える教師を求める声が聞かれました。 このように雇用において法定雇用率は一つの目安ですが、障害者の社会的障壁は雇用だけではありません。 共生社会を築くために県、県民が主体となり障害を理由とする差別を解消するため、二○一六年の障害者差別解消法制定より四年、全国自治体での県条例制定の動きは進んでいます。 国、政府、主務大臣という主語は、県条例では県、知事、県民、事業者になり、権限においても、障害者へ合理的配慮をしなかった事業者への知事の勧告、公表など一歩踏み込んでいます。 また、障害者差別解消支援地域協議会についても、国の障害者差別解消法では、組織することができるにとどめていますが、県条例では、組織するものとすると設置について具体的に方向性が示されています。 障害者差別解消法に対応した県条例の施行状況は、現在、三十五都道府県で、その名称の多くに、障害のある人もない人も共にの言葉が使われ、合理的配慮への強い思いが込められていますが、盲導犬の入店拒否や、白杖の方の駅での落下事故など、障害のある方の置かれている状況は、まだまだ厳しいと言わざるを得ません。 そこでお伺いいたします。障害者差別解消法に魂を吹き込む県条例の制定が必要と思われますが、御所見をお聞かせください。 次に、デジタル行政の推進についてお伺いいたします。 我が国は、このたびの新型コロナウイルス感染症により、感染症対策の遅れとともにデジタル化の遅れを露呈し、特に行政分野の遅れは、国民の期待を大きく裏切りました。 政府は七月、今年度、骨太方針で新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立に向け、官民のデジタル化の推進や東京一極集中の見直しを柱とする、実行計画の策定を示しました。また、全国への光ファイバー回線の整備計画を二年前倒しし、オンライン化や5Gへの自治体や事業者間の取組など大きく進むことが期待されます。 公明党の山口代表は、一律十万円の特別定額給付金や中小企業向けの持続化給付金の支給の在り方など、デジタル行政のインフラの遅れを指摘し、コロナ禍の教訓を生かし、省庁間をはじめ、国と自治体のシステムの統一やマイナンバー制度の改善、さらにオンライン診療など医療と行政のデジタル化に力を入れることを与党として強く要望いたしました。 ICTの推進によるデジタル政府の構築は、スマートシティの拡大やキャッシュレス化の浸透、テレワークによる働き方の多様化など、ポストコロナの新しい社会を形づくるものですが、そこに私たち国民が期待することは、どれだけ暮らしが便利になったか、そして、災害時に支援の手が、どれだけスピーディーに確実に受けられるかということです。 今回、政府が示すデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXは、進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をよりよいものへと変革するというものです。 これまでも政府は、その入り口となる行政の電子化を進めてきたにもかかわらず、OECD、経済協力開発機構が実施した調査でも、行政手続で電子申請をしたことがある人の割合は、対象三十一か国のうち、日本は最下位。このたびのコロナ対策での政府の支援策も、各所管ごとに形式もばらばらなど、利用者目線を欠いており、使いにくい、分かりづらいことも最下位の要因と言えます。 また、デジタル化に当たっては、感染リスクへの見直しから、金融機関の口座開設や行政手続において押印を原則廃止にするなど、行政、民間を問わず、オンライン化が加速し、新しい生活様式に向けて、これまで日本が大事にしてきた慣行の見直しも求められています。 そこでお伺いいたします。デジタル行政の推進に向けて、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、大規模化する災害への対応についてお伺いいたします。 九月一日、防災の日、関東大震災から九十七年の今年も、政府においては、巨大地震を想定した総合防災訓練が行われました。首都直下地震や南海トラフ地震の発生を誰も言い当てることはできませんが、今後三十年以内の発生は高い確率で予想されています。 そして、さらに近年の災害は、地球温暖化の影響で大規模化し、その被害状況から避難行動も変わりつつある中、今、新たにコロナ禍での避難の在り方も問われています。 今回の特別警報級の台風第十号は、最大級の大きさから、気象庁は、接近前から頻繁に記者会見を開き、自分の命、大切な人の命を守るため、早めの対策を呼びかけました。 その結果、鹿児島県では、避難所で三密を避けるため、初めて自衛隊ヘリを要請し、十島村の島民の約七百名のうち、約二百名の集団島外避難を行うなど、異例の警戒態勢が取られました。 また、九州各県では、七月の熊本県の球磨川の氾濫により多くの死者を出したことから、早めの避難勧告や避難指示が出され、三密を避けるため、避難所の数を増やすなど、対策を講じていましたが、想定以上の避難者に避難所のスペースの確保やスタッフの不足など、コロナ禍での避難所運営の課題が浮き彫りになりました。 さらに、高齢者や障害者、乳児を抱える保護者らが三密を避けるため、親戚や知人宅、ホテルや旅館に分散避難されるなど、行政には多様な、そして広域的な新たな避難の在り方に加え、県立高校をはじめ県有施設の開放などを含めて、新たな避難先の確保も求められています。 そして、災害は台風だけではありません。一月の阪神・淡路大震災、三月の東日本大震災のように、寒い時期の避難所でのコロナとインフルエンザの蔓延も懸念され、対策は急務です。 また、本県は三方、海に開かれ、有人離島が多く、中山間地域に高齢者も多いことから、各市町との連携や防災ヘリ、自衛隊、また他県との広域的な連携も重要です。 そこでお伺いいたします。大規模化する災害に対して、県民の命を守るため、県はどのように取り組まれるのかお伺いいたします。 次に、コロナ禍における文化芸術振興についてお伺いいたします。 公明党は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるイベントの自粛など、深刻な打撃を受けている文化芸術団体の方々の声を受け、第二次補正予算において、フリーランスなどの個人や小規模団体などに稽古場の確保費用や動画配信費用、感染防止対策費用など百五十万円を上限に補助金を支給する、約五百六十億円の総合支援策を実現いたしました。 文化芸術立国を支える芸術家の多くが、フリーランスで不安定な地位にあり、この現状が長引けば、彼らの生活はもとより、我が国の文化芸術の存続の危機が懸念されます。公明党には、このたびの国の支援に対し、コロナ禍だからこそ多くの人に音楽で勇気づけたいと感謝の声が寄せられています。 本県においても、平成十八年の国民文化祭を通して、芸術文化の裾野は広がり、文化人材バンクには、音楽や伝統芸能をはじめ、約二百三十の団体や個人が登録されており、動画配信など新たな取組も見られますが、プロ・アマ問わず、感染拡大を防止しながらの文化芸術活動の再開が待たれます。 そのような中、山口商工会議所と山口観光コンベンション協会は、コロナ禍でのイベント開催の基準として、感染状況に応じて、高・中・低の三段階の警戒レベルと、新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAを合わせた山口モデルを発表、山口市内での取組ですが、ウイズコロナに向けた新たな一歩を踏み出しました。 そして、先日、国はイベント開催の目安として、クラシックや歌舞伎、映画館など静かに鑑賞できるものは客席の満席を認め、スポーツ観戦などは、収容人数の半分以内とする基準を示しましたが、人が動き、集まることにより感染者の増加も心配されます。 先日、文化芸術団体の代表者から、国に公演再開に関して、民間所有の美術館や博物館、音楽ホールなどの文化施設についての税の軽減や感染防止対策の文化芸術関係者向け総合相談窓口の設置などを求める声が寄せられました。 本県にも、県立美術館や博物館、シンフォニア岩国、ルネッサながとなど、多くの文化芸術を発信する拠点があり、多くの文化芸術の担い手の方々がおられます。 そこでお伺いいたします。コロナ禍において新たな文化芸術振興にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、子供の新たな学びと人づくりについてお伺いいたします。 まず初めに、学びの確保についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症により、安倍元総理が全国の小・中・高校に臨時休校を要請されてから約七か月、子供たちの命を守ることを第一に、多くの学校が休校を余儀なくされ、保護者や児童生徒本人からも、休校の長期化による学びの確保に不安の声が聞かれました。 このたび、我が国のICT教育、すなわち情報通信技術化の遅れは露呈され、国も緊急経済対策に、学校休業中の学習支援のためのICTを用いた遠隔教育の実施などを盛り込み、全国の自治体で様々な施策が打ち出されていますが、課題は、自治体間の格差です。自治体による予算的規模やこれまでの取組の違い、そして家庭環境に至るまで、その格差は簡単に埋められるものではありません。 公明党山口県本部が、県内各市の第二次補正におけるICT環境整備の取組を調べたところ、まずアンケートを行い、各家庭の状況を把握し、モバイルルーターやタブレットの貸出しからその通信費用の負担の仕方などを検討している自治体、また休業中の学習環境整備については、各家庭を対象とする自治体や公民館など公共施設を対象にオンライン授業を検討する自治体など、全くその取組は様々です。 その格差を補うのが教師の力です。平時の板書を中心とした対面授業から、パソコンやタブレット端末を使った授業など、教師自身がどのように指導力をつけるか、カリキュラムの見直しも含めて大きな課題ですが、学校現場は、児童生徒の健康チェックから、教室内の消毒など感染症拡大防止対策にも教師の負担は想像を超えるものがあります。 その課題解決に向けて、補習指導や校内の消毒、ICT教育を補助するなど、学習指導員やスクールサポートスタッフなどの配置の検討も必要と思われます。 そこでお伺いいたします。夏休みの短縮や行事の中止などにより授業時間の確保は図られるかもしれませんが、一人一人の子供の学びを確保するために、教員の指導力の向上に、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、県立青少年教育施設の新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いいたします。 このコロナ禍で小学校の五年生の宿泊訓練や六年生の修学旅行、中学三年生の修学旅行が、中止または県内に行き先を変えるなど、各学校で検討されています。 またもや新型コロナウイルス感染症は、子供たちの学びの場だけではなく、友との貴重な思い出までも奪おうとしています。 私の地元の小学校の五年生は、今年は、国立山口徳地青少年自然の家に行くことになり、親子でウイルス感染を心配しながらも、大変楽しみにされています。 校長先生も体育祭や様々な行事がなくなる中、宿泊訓練と修学旅行だけは行かせてやりたいと苦慮されていました。 本県は、青少年の健全な育成のために、長門市に山口県油谷青少年自然の家、美祢市に山口県秋吉台青少年自然の家、山口市に山口県十種ヶ峰青少年自然の家、岩国市に山口県由宇青少年自然の家を設置しており、公益財団法人山口県ひとづくり財団等が指定管理しています。 今後のウイズコロナに向けて、県内青少年育成のためにも、県内施設の確保は必要であり、老朽化と併せて、感染症拡大防止対策の整備が重要と思われます。 施設側も、感染拡大防止のための受入れ対応について、密集を防ぐために宿泊棟や食堂、風呂の人数の利用制限を設けるなど、コロナ禍での検討がされていますが、ソフト・ハード両面にわたり、専門的な感染症拡大防止対策が求められます。 そこでお伺いいたします。県は、健やかな青少年の育成に当たり、子供たちの安心・安全な教育環境整備に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 最後に、歩行者優先の徹底に向けた取組についてお伺いいたします。 お子さんをお持ちの保護者の方から、よく横断歩道に信号機設置を求める御要望をいただきます。 かつては、山口県では多くのこのような御要望に応えてきた結果、信号機設置の増加率が全国でトップクラスでありました。しかしながら現在では、設置基準や予算の関係などから、簡単に設置できない状況にあり、信号機設置の要望に対して、県民総ぐるみの新たな取組が求められています。 本年、県内では六人の方が、歩行中に交通事故で亡くなられ、そのうち二人は信号機のない横断歩道を横断中であり、横断歩道に信号機設置を要望される保護者の方の不安は数字の上からも理解できます。 子供が小学校入学前に習う、横断歩道を渡るときのルール、手を上げて、右よし、左よし、右よしの確認をきちんとしても、誰も止まらない社会であってはいけません。 道路交通法三十八条には、横断歩道手前での減速義務と横断歩道等に歩行者等がいる場合は、横断歩道等の直前で一時停止とあり、一時停止をしなければ、横断歩行者妨害として、違反点は二点、反則金は普通車で九千円です。 私自身も今年の免許証更新の際、交通教本をもらいましたが、交通規則を見直すこともせず、改めて私たちドライバーには、人がいない横断歩道にも注意を払い、横断しようとする人がいれば、止まってあげたではなく、止まらなければいけないという認識をしっかり持つことが求められています。 このことについて一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が、信号機のない横断歩道を渡ろうとした際、何台の車が停止したかを調査したところ、一位は長野県で六八・六%の人が一時停止を守っており、山口県は九・○%、全国三十六位と誠に恥ずかしい状況です。 信号機がなくても歩行者が安心して横断歩道を歩ける社会をどのようにつくっていくのか、ドライバーとして、歩行者として考えるときが来ているように思います。 そこでお伺いいたします。これまで通学路や生活道路では、歩行者の安全対策としてゾーン30の認定や可搬式オービスの導入など対策が取られてきましたが、信号機のない横断歩道における歩行者優先のさらなるルールの徹底にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 以上で、代表質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)石丸議員の代表質問にお答えします。 まず、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの拡大防止策についての二点のお尋ねのうち、流行が重なる時期での県民の命を守る取組についてです。 インフルエンザの流行期には、発熱を訴える方が急増し、医療や検査に対する需要の増加が見込まれることから、私は、インフルエンザの流行を抑制する取組や、医療・検査体制を拡充することが極めて重要であると考えています。 まず、新型コロナウイルスとの同時流行を回避するため、インフルエンザ罹患率の高い生後六か月から小学生以下の方が無料で予防接種を受けられるよう、必要な経費を県が全額負担し、流行の主体である子供への罹患を予防してまいります。 また、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、臨床的に判別することが困難であることから、地域で安心して診療を受けることができるよう、市町や郡市医師会等の協力の下、十月中を目途に、かかりつけ医等、地域の身近な医療機関で、相談・診療・検査が可能となる医療体制を整備することとしています。 さらに、インフルエンザのピーク時に想定される検査需要約四千件にも十分対応できるよう、三つの保健所に新たに検査装置を整備するとともに、民間検査機関の活用や、抗原検査の実施を促進することにより、検査体制の拡充を図ってまいります。 次に、接触確認アプリCOCOAについてです。 COCOAは、登録者が陽性者と接触した可能性がある場合、スマートフォン等にその内容が通知されることで、いち早く保健所からサポートを受けることができ、感染拡大の防止につながることが期待されています。 とりわけ、アプリの効果を上げるためには、普及率を高める必要があることから、県及び全市町のホームページに掲載するとともに、SNS等による呼びかけや企業等への依頼などにより、積極的な登録を促進しています。 また、大規模なイベント会場で陽性者が発生した際に、参加者等にいち早く感染情報を伝えることができるよう、施設管理者等を通じて、イベント主催者に対し、参加者へのCOCOAの登録の周知を図っているところです。 なお、お示しのとおり、感染者への心ない誹謗中傷はあってはならないものであり、引き続き、あらゆる機会を通じて、広く理解と協力を呼びかけてまいります。 私は、県民の命と健康を守るため、関係機関と連携し、さらなる医療提供体制や検査体制の充実を図り、県民の皆様とともに、感染拡大防止対策に全力で取り組んでまいります。 次に、障害のある人もない人も共に輝く県条例の制定についてのお尋ねにお答えします。 障害のある方が、住み慣れた地域で自立し、安心して暮らしていくためには、障害に対する社会全体の理解を深め、障害のある方に対する偏見や差別をなくしていくことが重要です。 このため、私は、やまぐち障害者いきいきプランにおいて、障害への理解を深め、共に生きる社会の実現を施策の柱として位置づけ、障害を理由とする差別の解消推進や相互理解の促進などに取り組んでいるところです。 具体的には、まず、県障害者権利擁護センターに差別や合理的配慮に関する相談窓口を設置するとともに、当事者や事業者などの関係団体からなる障害者差別解消支援地域協議会において相談事案を共有し、合理的配慮の実践事例を示すなど、適切な対応を行うよう働きかけているところです。 また、障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供について、ホームページやリーフレット等により、広く県民に普及啓発を図っているところです。 こうした取組に加え、県民誰もが多様な障害の特性を理解し、ちょっとした配慮を実践するあいサポート運動を県民運動として展開しており、研修を通じて、障害への理解や合理的配慮に対する理解の促進にも努めています。 お尋ねの条例については、本県においては、障害者団体から意見を聴取し、協議会で議論を重ねた結果、現状では、条例の制定よりも、法の確実な実践を優先すべきとの検討結果が示されたことから、これまで様々な機会を捉え、法の趣旨や合理的配慮の普及啓発等に取り組んできたところです。 こうした中、国の有識者会議において、障害者差別解消法の施行後三年を機に検討が行われ、本年六月、事業者による合理的配慮の義務化などについて意見が示されました。 県としましては、今後、国において法改正に向けた具体的な検討が進められることから、その状況を注視するとともに、改めて、障害者団体や協議会の意見も聴きながら、条例制定の必要性について検討してまいります。 私は、今後とも、関係団体等と連携し、障害のある人もない人も、共に暮らしやすい社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。 次に、デジタル行政の推進についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、その対策として実施された給付金の支給等を通じて、特に、行政分野におけるデジタル化の遅れという課題を浮き彫りにし、国は、骨太の方針において、デジタル・ガバメントの構築を最優先の政策課題に位置づけたところです。 本県においても、県民の利便性の向上を目指して、行政手続のデジタル化を進めているところですが、私は、その取組を一層加速させるとともに、国の動きに的確に対応しながら、デジタル技術を活用した行政サービス改革に取り組んでいく必要があると考えています。 こうした中、行政手続に関しては、国の規制改革推進会議において、書面主義、押印原則、対面主義に関する見直しの提言が取りまとめられ、地方に対しても、積極的に取り組むことが求められています。 このため、県では、メールでの書面の受付など当面実施できる対応とともに、恒久的な制度対応やシステム整備が必要なものについて、全庁的な洗い出しを行っており、これを踏まえ、電子申請の拡大や税金等に係るキャッシュレス決済の導入などを進めてまいります。 さらに、将来的には、関連する行政サービスが一貫してオンラインで完結できるワンストップサービスを実現するため、検討を行っていくこととしています。 デジタルを活用した行政サービス改革については、限られた行政資源の中で、効果的・効率的にサービスを提供するため、AI、RPA等の技術を積極的に導入するとともに、民間クラウドサービス等の活用により、利便性の高い新たな行政サービスを迅速に提供できるようにしたいと考えています。 また、県や市町が保有する様々な行政データのオープン化を図り、民間企業がそのデータやサービスを融合させ、新たなビジネスモデルを創出できる環境整備も進めてまいります。 こうした自らの取組に加え、国に対しても、私がリーダーを務める全国知事会の情報化推進プロジェクトチーム等を通じ、デジタル化の基盤となる5G基地局整備やAI等の活用に係る財政支援、地方が利用できる情報システムの統一的な構築などを求めていくこととしています。 私は、新型コロナウイルス感染症への対応も契機として、行政のデジタル化を強力に推進し、コロナの時代における県民の皆様の新たな日常を支え、生活の質を高めることができるよう、本県のデジタル・ガバメントの構築に積極的に取り組んでまいります。 次に、大規模化する災害への対応についてのお尋ねにお答えします。 全国的に自然災害が激甚化・頻発化する中、災害から県民の命を守るためには、災害の発生に備えて、市町や関係機関と連携を強化するとともに、県民一人一人の防災意識を高め、適切なタイミングで確実に避難をしていただくことは何より重要と考えています。 このため、県では、総合防災訓練をはじめ各種訓練を通じて、関係機関との連携強化を図るとともに、災害時における逃げ遅れゼロの実現を目指し、市町と一体となって、地域における避難体制づくりに取り組んでいます。 とりわけ、住民避難については、新型コロナウイルス感染症が懸念される状況下においても、安心して避難していただく必要があることから、避難所を開設する市町に対し、換気や消毒など、従前からの感染症対策の徹底とともに、十分な避難スペースの確保と、可能な限り多くの避難所を開設するよう要請してきたところです。 こうした中、台風第十号が本県に接近し、実際に避難が行われた際には、住民同士の呼びかけによる早めの避難や、避難スペースの確保を図る観点から新たな避難所を開設し、避難者を受け入れるなど、地域や市町において適切に対応されています。 しかしながら、より深刻な被害が想定された他県においては、避難スペースの確保や運営スタッフの不足などの課題が指摘されていることから、引き続き、本県においてもコロナ禍における円滑な住民避難に向けた取組を進めていかなければなりません。 具体的には、市町と連携し、住民自らが的確な避難行動を取れるよう、ハザードマップを活用した自宅周辺の災害リスクの確認とともに、親戚や知人宅、ホテル、旅館など、避難所以外の安全な避難先も検討する、いわゆる分散避難について普及啓発を図ってまいります。 また、市町がより多くの避難所を開設できるよう、住民による自主的な避難所運営に向けた手引の作成支援や、避難所運営をサポートする地域防災リーダーの養成を進めるとともに、県有施設の避難場所への指定については、市町からの要請に応じて個別に検討してまいります。 さらに、中山間地域や離島からの避難の手段が絶たれた場合も想定し、消防、警察、自衛隊等との連携や避難の手順等について、改めて確認することとしています。 私は、災害から県民の命を守るため、市町や関係機関との連携体制を充実強化し、逃げ遅れゼロの実現に向け、全力で取り組んでまいります。 次に、コロナ禍における文化芸術振興についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、文化芸術の分野においても、公演の中止や延期、施設の休館等により、文化芸術関係者の活動の場や、県民の鑑賞の機会が失われるなど、深刻な影響が生じています。 私は、このようなときだからこそ、県民の心に活力や潤いを与える文化芸術の振興が重要であると考えており、適切な感染拡大防止対策を前提として、文化団体等の活動再開に向けた支援や、コロナの時代に対応した文化施設の運営に取り組むこととしています。 まず、文化団体等の活動再開に向けては、イベント会場等での感染拡大の防止を図るため、施設管理者に対し、業種ごとの予防ガイドラインに示された対策の徹底を働きかけるとともに、大規模イベントの開催に当たっては、主催者からの事前相談にも対応することとしています。 また、文化団体等の活動の場を創出するため、新たに、動画配信サイトに専用のチャンネルを開設し、音楽や芸能などのパフォーマンス動画を配信するとともに、県内の活動家が出演するイベントの開催に必要な経費の支援を行っているところです。 次に、文化芸術活動の拠点となる文化施設においては、感染拡大の防止に向けて、消毒液やサーモグラフィーの配備などの環境整備を行うほか、発熱の症状が見られる場合等の緊急対応マニュアルを作成するなど、万全の対策を講じています。 とりわけ、県立美術館においては、事前予約制の導入や整理券による入場者数の管理、キャッシュレス決済など、徹底した感染防止対策を取ることにより、早期に全国規模の美術展開催が実現できたところです。 今後においては、ゆとりのある作品展示やタブレット端末による解説、さらに、デジタル技術を活用し、作品を壁面に拡大投影する展示方法など、観覧者が密集することなく、安心して鑑賞できる、新たな美術鑑賞スタイルを提案していきます。 私は、コロナの時代にあっても、文化団体等と緊密に連携し、感染拡大の状況に応じた的確な対策を講じながら、県民の生活に潤いを与え、心を豊かにする文化芸術の振興に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)子供の新たな学びと人づくりについての二点のお尋ねにお答えします。 まず、一人一人の子供の学びを確保するための教員の指導力の向上についてです。 新型コロナウイルス感染症の影響により、補習指導や校内の消毒等、教員の新たな業務が発生する中、ICT活用の重要性が改めて認識されるなど、学校教育の在り方にも変化が求められており、子供たち一人一人に応じた学びを確保するため、教員の指導力の向上が一層重要となっています。 そのため、県教委では、学力向上支援員の増員や、学校業務支援員を追加配置する市町教育委員会への支援により、教員の業務負担の軽減を図るほか、一人一台端末の導入をはじめとするICT環境の整備を、県と市町が一体となって、早急に進めているところです。 また、教員の指導力の向上については、やまぐち総合教育支援センターにおいて、ICT活用を含め、学習指導に関する様々な研修を実施してきたところです。 今後は、これまでの取組に加え、今年度設置した、やまぐち教育先導研究室において、教員や児童生徒がICT機器を効果的に活用できるよう、様々な情報を共有できるウェブサイトを新たに立ち上げるなど、学校の状況に応じた授業づくりを支援することとしています。 県教委といたしましては、子供たちの学びの確保に向けて、市町教育委員会と連携して、引き続き、学校現場の負担軽減を図りながら研修を一層充実させるなど、教員の指導力の向上に取り組んでまいります。 次に、県立青少年教育施設の新型コロナウイルス感染症対策についてです。 学校をはじめ、多くの青少年教育団体が利用する青少年教育施設は、様々な体験活動を通じて、子供たちに自己肯定感や規範意識、コミュニケーション能力など、生きる力を育む学びの場として、また、友との貴重な思い出をつくる場として重要であると認識しています。 このため、コロナ禍にあっても子供たちが安心して施設を利用できるよう、国が策定したガイドライン等を踏まえ、必要な感染防止対策等に取り組んでいるところです。 具体的には、各施設の特性を踏まえた運営マニュアルを作成するとともに、アルコール消毒液の設置や機器等の定期的な消毒、お示しの宿泊施設等の利用人数の制限など施設運営面での対策に加え、今後、トイレの洗面蛇口の自動水洗化や空調設備の設置、更新等も行う予定です。 また、利用者には、事前に活動時における留意点などを丁寧に説明するとともに、マスクの着用や手洗い、定期的な検温などの健康チェックを要請しています。 加えて、少人数でも参加しやすい日帰り事業を新たに企画するなど、子供たちが安心・安全に体験活動を行うことができる機会の充実にも努めているところです。 県教委といたしましては、引き続き、徹底した感染防止対策を講じながら、コロナ禍においても子供たちが安心して施設を利用できるよう環境整備に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)信号機のない横断歩道における歩行者優先ルールのさらなる徹底についてのお尋ねにお答えします。 県内で発生した信号機のない横断歩道における人身交通事故につきましては、本年八月末現在、三十七件発生しており、議員お示しのとおり、二名の方がお亡くなりになっておられます。 お示しの調査結果にも現れているように、県内においては、残念ながら歩行者優先のルール、すなわち横断歩道に接近する場合には、歩行者がいないことが明白でない限り減速義務があること、横断しようとする歩行者がいるときは一時停止義務があること、こうしたことが必ずしもドライバーに徹底されていないと認識しており、お子さんをお持ちの保護者の方は大変不安に思われるであろうと私も感じるところです。 県警としましては、まず、ドライバーに歩行者優先のルールを再認識していただくため、県警ホームページ、ラジオ放送のほか、テレビCMの放映等各種媒体を活用するなどして、改めて周知に努めてまいります。 あわせて、横断歩行者妨害に当たる行為については、交通状況も勘案しつつ、厳しい態度で指導取締りに臨んでまいります。 現在、行われている秋の全国交通安全運動においても、横断歩道における歩行者優先の徹底は県の重点とされております。県下一斉の取締り、横断歩道まもロード作戦を統一行動日である二十八日に行うこととしております。 一方、歩行者が被害に遭わないためにも、道路の正しい横断方法などについて、各年齢層に応じた交通安全教育を行っていくことが重要と考えています。 子供たちに対しては、日々の生活の中での交通安全の確保という観点からも、さらには、将来、ドライバーになったときに、歩行者優先のルールが実践できるようにするという観点からも、しっかりと指導していくことが重要です。 現在のコロナ禍に配意し、交通ルールを学んでもらうために作成した動画を動画投稿サイトで配信するなど、創意工夫を凝らした広報啓発活動を進めてまいります。 また、全ての年齢層に対し、横断前には手を上げてドライバーに横断意思を示すことを呼びかけるなどの取組を進めてまいりたいと考えております。 歩行者の交通事故防止には、議員お示しのとおり、ゾーン30の設定や可搬式オービスなども効果的ではありますが、本日の議員のお言葉も力に、今後とも歩行者優先のルール徹底に向けた総合的な取組をより一層進めてまいります。 ───────────── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十七分休憩