討論
議長(柳居俊学君)森繁哲也君。 〔森繁哲也君登壇〕(拍手) 森繁哲也君 自由民主党会派を代表して、賛成討論を行います。 我が会派は、知事から提案された全ての議案に賛成するとともに、請願に関しては、第一号、四号を不採択、そして、第二号、三号を採択することに賛成の立場から意見を述べさせていただきます。 まず最初に議案第一号、令和二年度一般会計補正予算についてであります。 今年は、水稲の主要害虫であるトビイロウンカが過去にない規模で大量発生するとともに、相次ぐ台風被害の影響も重なり、生産量の激減に加え、品質まで低下することになり、稲作農家に深刻な被害が発生をしています。 このため、本定例会には、来年度の作付計画に間に合うよう、県外産優良種子の確保や、生産者を対象とした過去最大規模の種子代助成が盛り込まれた補正予算が提出をされております。 本会議では、これに関連した様々な議論も交わされましたが、我が会派の代表質問に対し、村岡知事からは、本補正予算に加え、技術対策の強化や情報発信の充実、さらには、相談窓口の設置など、農業者に寄り添った取組を進めるとの答弁をいただいたところです。 我が国にとって、稲作は、文化や自然環境の保全、美しい景観など、様々な面で礎となっています。 特に本県では、耕地面積のおよそ八割を水田が占めていることから、稲作農家の皆様には、このたびの厳しい状況を何とか乗り越え、来期も引き続き稲作を継続できるよう万全の対策を講じていくことが、本県農業を支えていく上で重要であります。 今回の補正予算に対して、一部の会派からは、殊さら助成額だけを取り上げ、対策として不十分と批判する向きもありましたが、我が会派は稲作農家の皆様が来期の作付に向かっていただくための対策として、何よりも重要なことは、予算成立後は、速やかに、市町、農業団体等ともしっかり連携の上、農家の皆様にしっかりと寄り添い、きめ細かな対策を総合的かつ着実に実施していくことであります。 県におかれましては、本県の稲作農家の皆様がしっかりとした将来展望を描いていただけるよう、引き続き全力で支援していただくよう強くお願いを申し上げておきます。 次に、新型コロナウイルス感染症に関して、本県では、県全体での感染拡大には至っていないものの、十一月に入り複数のクラスターが発生し、感染者についても連日発生するなど、依然として予断を許さない状況が続いております。 ここに改めて、感染拡大防止のために日夜御尽力いただいている全ての関係者の皆様に感謝申し上げるとともに、現在も入院療養中の皆様の一日も早い御回復を祈念申し上げる次第であります。 国内の状況を見渡しますと、新規感染者数や重症者数が過去最多となり、警戒すべき状況が続き、一部地域では、重症者向けの病床が逼迫し始めております。 こうした中、今回の補正予算では、年末年始を前に、休日・夜間における診療時間延長や、医師の追加配置など外来診療・検査体制の強化が図られることとなっております。 村岡知事には、厳しい医療現場の状況にしっかりと目配りをいただきながら、県民の命と健康を守り抜くために、引き続き万全の対策を講じていただくようお願いをいたします。 次に、請願について意見を申し上げます。 まず、第一号、最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める請願についてであります。 最低賃金制度は、労働者の生活の下支えとして十分に機能することが求められており、私どもとしては所得の増加による生活水準の確保、経済の好循環をつくり出していくため、中小企業等の経営環境にも配慮しながら、最低賃金の引上げに努力を重ねていくことが重要であると考えています。 しかしながら、本請願の趣旨は、東京都など都市部との最低賃金の格差を地方からの人口流出の要因と決めつけ、人口減少と地域の疲弊の悪循環を断ち切るため、政府の中小企業への支援によって最低賃金を直ちに大幅に引き上げ、全国一律最低賃金制度に改めるよう求めるものとなっています。 最低賃金は、地域ごとの生活費及び賃金、通常の事業の賃金支払い能力の三要素を考慮して決定するとされている中、本請願は、現行制度の枠組みを全く顧みない内容であります。 加えて、猛威を振るうコロナ禍の中で、厳しさを増す中小企業の経営状況等についても脇に置かれたままです。 今年度、閣議決定されている、いわゆる骨太の方針においては、経済の好循環継続の鍵となる賃上げに向け、日本経済全体の生産性の底上げや、取引関係の適正化など、賃上げしやすい環境整備に不断に取り組みつつ、最低賃金については、より早期に全国加重平均千円になることを目指すとの方針を堅持することとしています。 また、コロナ禍においては、雇用・経済への影響は厳しい状況にあり、今は官民を挙げて雇用を守ることこそが最重要課題であるとしているのです。 最低賃金引上げの意義は、受け止めなければなりませんが、拙速に進めては元も子もなく、本請願の趣旨には賛同できないものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり) 次に、第二号 私立学校運営費補助金について、及び子供たちに行き届いた教育を求めることに関する第三号及び第四号の三つの請願についてであります。 菅総理は、さきの臨時国会の所信表明演説において、教育は国の礎とされており、その上で、オンライン教育の拡大など、これからのデジタル社会にふさわしい、新しい学びを実現するとされています。したがって、そのための教育環境の整備は重要な課題であります。 また、現在、執行部において策定が進められている、新たな時代の人づくり推進方針においては、将来の予測が極めて困難となっている今こそ、本県の将来を担う人づくりを、公立及び私立学校等と一緒になって取り組んでいくこととしています。 我が会派としても、学校教育の充実は極めて重要な課題であり、必要な措置をしっかりと講じていくべきと考えておりますが、一方で、これを進めるに当たっては、厳しい県財政の中、国の政策の動向等も注視しながら、県として、なすべきことを重点化していくという観点で対処していくことも必要であります。 したがって、委員長報告のとおり、請願第二号及び第三号を採択とし、第四号を不採択とすることが妥当であります。 今週八日、政府は、新型コロナ感染拡大防止対策や、デジタル化の推進をはじめとした経済構造の転換・好循環の実現などを柱とした、事業規模総額七十三兆六千億円の追加経済対策を閣議決定され、今後、第三次補正予算と来年度当初予算を十五か月予算と位置づけた国会審議が行われるとのことであります。 村岡知事におかれましては、こうした国・政府において講じられる対策、政策としっかり連携をされ、コロナ時代における県づくりに全力を挙げていただきますようお願いを申し上げ、賛成討論とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)