討論
議長（柳居俊学君）中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕（拍手） 中嶋光雄君 社民党・市民連合を代表しまして、請願第一号、第四号について討論を行います。 まず、請願第一号 最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求めることについて、不採択とされた委員長報告に反対いたします。 一般質問でも述べましたので、違った観点から討論させていただきます。 コロナ禍の中、景気低迷のために最低賃金の凍結を求める声もあります。しかし、コロナ禍で明らかになったのは、日本社会の脆弱性であり、その一つに諸外国に比べて余りに低過ぎる最低賃金の問題があるということではないでしょうか。 コロナ対策の最前線で働く医療・福祉従事者の七割以上は女性です。また、あらゆる労働者が感染不安の中、顧客や利用者からのカスタマーハラスメントに苦しみながらライフラインを支えていただいています。 中でも女性労働者の六割は、非正規雇用労働者ですが、コロナ不況の下で真っ先に切捨ての対象にされています。 総務省の十月分の労働力調査、基本集計では、非正規雇用労働者は、前年同月比八十五万人減少し、そのうちに女性は五十三万人と大幅減少です。 完全失業者に占める勤め先や事業の都合による離職者の割合も、男性より女性のほうが高く、コロナ禍での解雇、雇い止めで失業を余儀なくされた人は、より女性に多いことが伺えます。 男は仕事、女は家庭という古いジェンダー観に基づく男女の性別的役割分担と家族的責任を一方的に押しつけられた女性の多くが正規労働から締め出され、安上がりで使い勝手のいい非正規労働に追い込まれています。 もともと非正規労働者は、最低賃金すれすれの給料であり、もとより低過ぎる賃金が日本のコロナ禍での経済危機をより深刻にし、生活を脅かしています。 最低賃金について、一般質問で資料をお示しいたしましたが、全国労働組合総連合の最低生計費試算調査が明らかにしたように、ここ山口市でも時給千六百円が必要です。 ジェンダー平等の観点からも、主たる男性稼ぎ手とその妻子という世帯モデルの下に、女性の賃金イコール家計補助的賃金だと位置づけるのではなく、誰もが自分らしく生きられるために最低賃金の引上げが必要です。 同一労働同一賃金と併せて、当面、最低賃金を千円以上に引き上げ、千五百円以上を目指すべきだと考えます。 同時に、最低賃金の引上げができるような中小企業支援策の拡充が必要です。 そこで、生産性を向上させ、事業場内最低賃金の引上げを図る中小企業・小規模事業者を支援する厚労省の業務改善助成金があります。 この交付決定件数は、山口労働局によると本県においては平成三十年度が十一件、令和元年度が五件、今年度は申請が七件、これはどうかと思えるお寒い状況でございます。中小企業支援策を最大限拡充することが、強く求められているのだと思います。 続いて、請願第四号 子供たちに行き届いた教育を求めることについて、これは十二の要望事項のうち、二項の少人数学級を早期実現すること、三項、複式学級の解消をさらに進めること、四項、県独自の予算措置による教職員の加配、五項、正規・専任の教職員を増やすこと、七項、給食費の無償化、八項、私学の学費実質無償化の早期実現、そして、十二項、特別教室や体育館にエアコンを設置すること、これら七項目を求めることを不採択とする委員長報告には反対をいたします。 第二項について申し上げます。 文部科学省の、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル「学校の新しい生活様式」には、集団感染のリスクへの対応として、三つの密を避けることが望ましいとされており、人との間隔は、地域の感染レベルがレベル三では、できるだけ二メートル空けることを推奨。児童生徒の間隔を可能な限り二メートル確保するように座席配置を取りますと、一クラス二十人の例の机の配置のイラストまで示しています。 つまり、文科省もレベル三地域では、コロナから子供たちを守るには、分散登校などで身体的距離を確保した座席配置イコール二十人学級にする工夫が必要だとしているのです。 かつて、二○一一年度、全国に先駆けて小中学校の全ての教室で三十五人以下学級を実施し、一部の大規模校の小一で三十人以下学級を実施している、この山口県から、今度はコロナ禍を乗り越えた学校の新しい生活様式の実現、子供たちの命と健康を守るために、二十人学級を展望した少人数学級を実施、普及させるべきです。 第三項について、複式学級の解消です。複式学級の授業は、子供にとっても教師にとっても負担が大きい上に、毎度の児童生徒の数により単式学級、複式学級、欠学年などの変動があり、このことにより学校体制が安定しにくいという状況が生じています。そこで、学級編成基準の見直しを行うべきだと考えます。 第四項、五項は、県独自の予算措置による教職員の加配及び正規・専任の教職員を増やすことについてです。 国は、春の学校の一斉休業の再開に当たり、加配教員と学習指導員、スクールサポートスタッフを増員配置するため、第二次補正予算を計上し、休業中の学習の遅れを補うために学校が手厚い指導をできるようにする、このような触れ込みでしたが、学校現場では、この間の働き方改革の目標は未達のままです。 公立小・中・高等学校、特別支援学校の本採用教員は、平成二十八年度からの五年比で三百九十七人減といった状況の中で、新たに今年度から教育のＩＣＴ環境整備に、今回は、その上にコロナ対策の衛生管理マニュアル対応にも追われ、過重労働が蔓延しているのが実態です。 正規・専任の教職員の増員こそ、現場で苦労されている教職員と子供たち、保護者、県民の共通の願いであります。 第七項、第八項は、給食費の無償化及び私学の学費実質無償化の早期実現です。 本県では、昨年初めて、小学五年生と中学二年生及び、その保護者を対象に子供の生活実態調査を実施されました。その調査結果をこの五月十四日にホームページにも公表されています。 この調査結果については、小五の二五・三％、中二の三○・五％が生活困難層だった、また、過去一年に経済的理由で食料が買えない経験があると小五の六・六％、中二の六・七％が答えたが、生活困難層では小五で二六・一％、中二で二三・九％に達した。衣類が買えなかった経験も同様の傾向だった。 学校の授業理解について、分かると回答した割合は、小五で七八・三％、中二は六四・九％でしたが、これを困難層で見ると、それぞれ六九・六％、五九・七％と落ち込んでいます。 子ども食堂などの支援も、生活が困難になるほど、知らなかったとする回答が増え、生活困難三要素のうち二つ以上該当する困窮者は、生活保護や児童扶養手当などの制度を知らなかったとした割合も高かったなどと、これは毎日新聞さんが報じられています。 請願者が、請願の要旨で述べられているように、日本の子供の貧困率は、一三・九％となっています。家庭の経済状況によらず、等しく教育を受ける権利を保障する上でも、就学援助制度の充実、高校無償化の復活、給食費の無償化、県独自の給付型奨学金制度の措置等、先進国では常識の教育の無償化を私立学校も含めて求められていると考えます。 この請願要旨の必要性を、まさに子供の生活実態調査が証明しているのではないでしょうか。 第十二項は、特別教室や体育館にエアコンをということです。 文部科学省は、公立小中学校の普通教室のエアコン冷房設置率が、今年九月一日現在九二・八％、山口県は一○○％に上ると発表。近年、夏場の猛暑が続いており、文科省は、熱中症対策として特別教室や体育館へのエアコン設置も順次進める方針だ。 豪雨や地震などの大規模災害時には、公立小中の九割超が避難所となり、近隣住民らが体育館などで過ごすことになる。真夏の災害も少なくないことから、文科省は体育館のエアコン設置費用についても、二十一年度予算の概算要求に盛り込んでいると、これも九月三十日、読売新聞さんが報じられていますので、文部科学省のホームページを探してみましたところ、事実、文部科学省の、令和三年度概算要求のポイントの十八ページに、子供たちの生命を守り、地域の避難所となる安全・安心な教育環境の実現、体育館の空調設備、防災機能強化等と盛り込まれています。 以上などの観点から、不採択とされた項目は全て、新しい学校の学びを支える安全・安心な教育環境の実現のため、そして、子供の将来にとって重要な項目ばかりだと考えます。よって、全ての項目は採択されるべきであります。 よって、請願第四号は、全項目について採択されるよう改めて求めまして、社民党・市民連合を代表しての討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。（拍手） 議長（柳居俊学君）これをもって討論を終結いたします。