1 高齢者施設の感染予防について 2 薬剤師や薬局を活用した地域の体制づくりについて 3 水産物の品質維持・向上について 4 スーパーシティ構想について 5 災害に立ち向かう体制づくりについて 6 高校コミュニティ・スクールの充実について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 新造健次郎君。 〔新造健次郎君登壇〕(拍手) 新造健次郎君 皆さん、おはようございます。自由民主党の新造健次郎であります。 それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 最初に、高齢者施設の感染予防についてお尋ねいたします。 まだまだコロナ禍は続き、まさにウイズコロナの生活をしていかないといけない時代となっております。 高齢者施設においても、新型コロナウイルス感染拡大のリスクも高くなり、それが原因で介護崩壊しないように、施設としても万全の対策をしていかないといけないと思います。 高齢者施設においては、食事や入浴、排せつなどの介助で、職員と利用者が密接にならざるを得ない環境にあります。また、認知症の患者は、マスクを適切に脱着したり、体調の悪化を伝えたりするのが難しいという現場の意見も聞きます。 予防策としては、消毒液やマスク、アクリル板などを準備し、職員の検温を徹底するなど、細かな取組を継続していかなければなりません。 しかし、このような感染防止の取組が、高齢者施設の大きな負担になっております。 小規模な施設などでは、支援制度など十分な情報を持っていないところもあり、衛生用品購入などの支援の活用に向けた周知や、介護サービスにおける感染防止のノウハウの提供など、施設に寄り添った継続的な支援が求められております。 また、感染拡大の予防として、高齢者施設では、利用者と家族の面会が制限されています。一時的な面会制限は仕方ないですが、家族に会えないことで、高齢の利用者が張り合いをなくし、心身機能の低下につながらないように気をつけていかないといけません。 また、利用者と会えないままに死別し、悲しみと後悔で心に傷を負った家族の声のお話もお聞きしております。 利用者と家族の面会機会の確保に向けては、オンライン面会があります。今後は、面会制限の緩和も始まりますが、コロナの長期化を踏まえると、施設でオンライン面会ができる体制の確保が重要となります。 しかしながら、通信環境が整った施設は限られ、また、通信環境が整った施設でも、介護職員の時間が取れずに利用されていないのが現状であります。そのため、通信環境の整備やオンライン面会の活用に向けた支援が必要になると考えます。 さらに、高齢者施設は、集団感染が起きた場合にもサービスを継続して提供できるように十分な体制を構築していかなければなりません。 そのためには、クラスターの発生に備え、行政や医療関係機関と高齢者施設が連携する。もし施設内で感染者が発生した場合には、速やかなPCR検査に向けた初動体制、ガウンやサージカルマスク、手袋などの衛生用品の供給体制、必要に応じた他施設からの職員の応援体制など、支援体制の確保が重要だと考えます。 介護現場として、コロナに感染しない、させない、そして、感染があっても広げないことが大切です。 利用者の安心・安全はもとより、現場の職員が安心して働けるように、安心と安全の環境整備に向けた支援にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。県では、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、安心・安全に利用できる環境確保に向けた高齢者施設の感染予防について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、薬剤師や薬局を活用した地域の体制づくりについてお尋ねいたします。 人生百年時代を迎える中、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向け、仕事と治療の両立や特定疾病治療の充実、また、高齢者が住み慣れた地域で暮らせる地域包括ケアの拠点づくりなど、患者の暮らしを支える地域の体制づくりが求められており、そのために高い専門性による医療や健康づくりに総合的に対応できる薬剤師の役割が、ますます重要になっております。 こうした中、国においては、昨年、医薬品医療機器等法を改正し、住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるように、専門医療機関連携薬局と地域連携薬局の二種類の新たな機能別薬局の認定制度を導入することを決めました。 専門医療機関連携薬局は、がん治療の専門病院と連携し、がんなどの専門的な薬学的知見に基づき調剤や指導を行う薬局で、外来に切り替わっての抗がん剤治療に的確に対応するようになります。 地域連携薬局は、在宅医療を行う地域の医療機関や薬局などとの服薬情報の一元化や継続的な情報連携において主体的な役割を果たす薬局で、医師や看護師と一緒に地域包括ケアなどを担うことで、在宅医療への適切な支援を行えるようになります。 また、これにより、患者が地域の様々な療養環境に移行する場合や、複数の疾患を持ち、多剤を服用している場合にも、患者に適した安全かつ有効な医薬品の提供を切れ目なく受けられる体制を構築されることも期待されております。 県では、これまで、がんなどの専門性の高い薬剤師の育成や地域の薬局の在宅医療参入への支援などを行ってこられました。 しかしながら、機能別薬局の認定に必要な抗がん剤に関する詳しい知識がある専門学会の認定を受けている薬剤師は、まだまだ少ないようで、また、その多くは病院に勤務している薬剤師であり、地域の薬局には少ないのが現状です。 また、常勤薬剤師が二名以下の小規模薬局が多く、在宅訪問業務のできる薬局も限られている状況もあります。 県民が安心して抗がん剤などの専門的な治療や在宅医療を利用するためには、こうした国の動きも踏まえ、専門性の高い抗がん剤に対応できる薬剤師の育成や、在宅医療に対応できる薬局づくりなどの支援を充実することが必要であると考えます。 また、薬剤師の持つ専門的な知識が、県民の健康や医療につながることも重要なことから、県民が気軽に相談できる機会の提供や、薬剤師の知識を活用する取組について県民への啓発活動をしてもらいたいとも思います。 そこでお尋ねいたします。県では、薬剤師や薬局を活用した、県民の暮らしを支える地域の体制づくりについて、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、水産物の品質維持向上についてお尋ねいたします。 先月十五日、東アジア地域包括的経済連携、いわゆるRCEP交渉の首脳会議が開かれ、日本、中国、韓国、東南アジア諸国連合など、参加十五か国が協定に合意し、署名しました。 これにより、人口、国内総生産ともに世界全体の約三割を占める巨大な経済圏が誕生することになりました。 我が国は、TPPの発効以降、急速に市場開放が進んでおり、農林水産業も厳しい国際間競争にさらされています。 国内においても、地域間の競争が年々激しくなっており、本県農林漁業者の収益を確保するためには、競争力の高い商品を生産し、販売することがますます重要となっています。 このような中、県ではこれまで、キジハタやトラフグなど、市場で高値がつく有用魚種の生産技術を確立するなど、本県独自の技術開発に積極的に取り組んでこられました。 また、ゆめほっぺや長州黒かしわなど、付加価値の高い県オリジナル商品の開発にも取り組まれ、需要に応じて生産体制を強化してこられました。 このように、新たな商品や技術を開発することで、質の高い農林水産物を生産し、他の産地との差別化を図ってきましたが、さらなる競争力向上に向けては、味や品質を維持したまま消費者へ届ける取組も強化する必要があるのではないでしょうか。 農林水産物は、通常、生産者の手を離れた後、出荷団体、卸売市場、そして、小売店の経路を経て消費者に届けられます。 流通には、多くの中間業者が存在しており、その分、時間が費やされます。加えて、輸送距離が長くなると、消費者に届くまでの時間はさらに増え、時間経過による品質低下のリスクが一層高まります。 とりわけ水産物は、時間経過による影響を受けやすく、劣化を抑え、質の高い水産物を消費者の元に届けるには、生産現場や流通現場に、品質を維持し、向上させる技術を導入することが必要だと考えます。 近年、注目される技術に、長期間、鮮度を維持したまま冷凍保存する超長期鮮度保持技術というものがあります。 従来の冷凍技術では、解凍すると味が落ちるという問題がありますが、この技術では、過冷却状態を生み出すことにより、解凍しても非冷凍食品と遜色のないおいしい冷凍食品を作ることが可能だと言われております。 水産分野を中心に導入が進んでいますが、ある産地では、この技術の導入により海外に向けた販路が拡大しているそうです。 本県においても、他の産地に負けない競争力の高い産地づくりを進めるため、行政、生産者団体、民間企業が連携、そして、役割分担し、品質の維持向上に向けて、本県の特性に合わせた技術開発を推進し、必要な機器、施設を整備していくことが重要であります。 そこでお尋ねいたします。産地間競争が激化する中、本県漁業者の収益を確保するために、県産水産物の品質維持向上にどのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、「スーパーシティ」構想についてお尋ねいたします。 今年九月、AIやビッグデータを活用した先端都市「スーパーシティ」構想を柱とする改正国家戦略特区法が施行されました。 この構想は、官民が協力して、二○三○年のあってほしい未来社会を先行実現することを目指す取組とされております。 指定される特区では、区域ごとの基本構想に沿って、大胆な規制緩和が複数分野で進められております。 例えば、自動運転では、レベル四、すなわち領域限定でシステム主体による自動運転、遠隔医療では、オンライン診療や服薬指導などを実現する規制緩和が想定されています。 また、この特区は、複数分野のデータ連携を特徴とし、自動運転、遠隔医療、キャッシュレスなどに関する規制緩和と同時に、それらを共通の基盤システムで運用するとされております。 例えば、病院の予約から、タクシーの配車、診療時の家族との遠隔相談、キャッシュレス決済など一連の流れで完結できるようなユーザー体験を向上させるサービスを生み出すことなどが目指されております。 このように、規制緩和を進め、未来技術をまち全体に実装することは、企業の生産性向上や新サービスの創出につながります。 また、自動運行バスやドローン配達により、交通弱者と言われる人たちの生活基盤維持にも安心と希望が見えてきます。 また、まちじゅうにセンサーを配置すれば、犯罪予防・防止にもつながると考えられます。 高齢化や人口減少がますます進む本県だからこそ、こうした取組を積極的に進めていくことが必要ではないでしょうか。 静岡県の裾野市では、トヨタ自動車が工場の大規模跡地を活用して、自動運転技術やMaaS、AIなどの検証実験を行う実証都市「ウーブン・シティ」を建設すると発表しました。 同市は、国家戦略特区への認定も視野に入れ、企業の投資を促していくとのことです。 また、本県においても、工場跡地など未来のまちづくりに活用するような大胆な発想があってもよいのではないかと思います。 一方で、こうした未来技術の活用やデータ共有による新たなサービスを生み出すことには、様々な課題があります。 とりわけ個人情報やプライバシーをいかに守っていくかということは、極めて重要な問題であり、個人情報を活用することへ国民的な合意も欠かせません。 未来技術を実装したスーパーシティを構想することは、既存のまちに導入するにせよ、工場跡地などを活用するにせよ、とてもハードルは高いと思いますが、人口減少下にあっても、夢のある未来モデルを描き、それに向けて一歩ずつ進めていくことが、本県にとって大切なことだと考えます。 そこでお尋ねいたします。「スーパーシティ」構想のような未来都市を目指して、AI、ビッグデータなどの未来技術の社会実装による地域課題解決や住民サービスの創出を推進する取組について、県は今後どのような考え方で進められようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、災害に立ち向かう体制づくりについてお尋ねいたします。 急激な人口減少、少子高齢化の進展、二○二五年問題に代表される超高齢社会の到来を見据え、基礎的自治体である市町では、これまで懸命に行財政改革に取り組み、組織のスリム化を図っている努力に対して評価しております。 特に、合併で誕生した市町では、防災対策を講じるべき地域が広域化しております。 平常時においては、ぎりぎりの人員で行政を回しているため、防災担当職員は減少、恒常的な人材不足をしているのが実態だと聞いております。 しかし、災害が起きたなら、災害対応業務として限られた時間の中で大量の業務が発生し、未経験の業務を迅速かつ公正に処理することが求められています。 このため、平常時から市町が抱える人員不足などの課題が、災害時の際に最も浮き彫りになるのではないかと考えます。 一例ではありますが、地震や台風による甚大な被害が発生したときに、しばしば問題になるのが災害ごみであります。災害復旧に向けて取組を始めたら、まずは使えないごみの撤去から始まります。 そして、その作業過程で出てくる大量のごみの置き場所が問題になります。そのごみの置き場所として路上に放置すると、車や人の通行の邪魔になるという状況が出てきます。 また、浸水してしまった大量の布団や家具、家電や衣類などを混在しながら出されると、そこからの悪臭や細菌が発生し、衛生環境をも悪化しかねない状態になります。最悪の場合には、火災の発生の危険性も出てきます。 そうならないために、災害廃棄物処理計画を市町が作成するようになっております。あらかじめ仮置場を選定し、運搬や分別、最終処分などの手順を定めることで、そういう事態になったときに、処理を円滑に進めるためのものであります。 しかし、市町ではなかなかその専門人材が少なく、独自の計画をつくるのも大変であるとお聞きしております。 また、大量の災害ごみが出た場合には、被災した自治体だけでの処理をするのは限界がありますので、市町間でのごみの受入れ協定の締結など広域連携に取り組むことが重要です。 そのために、市町職員を対象とした研修会を開始するなどの人材育成に加え、こうした事態が発生したときの専門知識を持った職員を県から市町へ派遣する仕組みづくりが必要であると考えます。 災害対応できる精通した職員を常に把握しておき、被災地へいち早く派遣をし、初動体制を効果的に実施できるようにしないといけません。そして、派遣された職員は、その知識を持って、処理計画の作成に対する適切な助言や円滑なごみ処理へつながるようにしていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルスの感染防止の観点からも、受け入れるボランティアを県内在住者に限るような状態になっている昨今、避難所の運営など災害現場はますます人手不足になります。そうした事態を踏まえると、災害時に役立つ職員の育成を積極的に支援するとともに、広域的な連携体制の一層の強化が必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。 最後に、高校コミュニティ・スクールの充実についてお尋ねいたします。 デジタル技術が急速に進展し、社会が大きく変化していく中で、次世代を担う人材の早急な育成が求められています。 文部科学省の諮問機関である中央教育審議会においては、新しい時代の学校教育の在り方について議論されているところであります。 そのような中で、高校教育に関する議論もあり、現在の高校の普通科に加え、現代的な諸課題や地域社会の問題解決に向けた学びに取り組む新たな学科の設置などの検討がされているようです。 こうした動きの背景には、生徒の多様な実情・ニーズへの対応、近年の高校生の学習意欲の低下、少子化の影響による今後の高校の教育的機能の維持といった諸課題があります。 少子化が進む本県においては、入学定員を満たさない学校が増えていくことが予想されております。 一方、産業界では、新しい産業や技術に対応できる若い人材を求めている状況があり、各学校は生徒の能力を最大限に伸ばし、社会に活躍する人材を輩出できるように、高校教育をもっと充実させていく必要があります。 そのためには、授業内容の充実だけではなく、例えば、部活動であれば、その活動に支障が出ないように近隣の学校との連携をするなどの新しい学校運営の効率化と特色ある学校づくりを進めていくことが重要となるのではないでしょうか。 そうした取組を進める上で、有効となるのがコミュニティ・スクールであると、私は考えております。 今年度から全ての県立高校がコミュニティ・スクールとなり、私は母校である新南陽高校の学校運営協議会の一員としての参加しております。 高校のコミュニティ・スクールは、小中学校とは異なり、対象となる地域も広くなり、将来を担う人材の育成はもちろんのこと、地域の活性化や県内定住という目標に向けた取組が行われております。 私が、学校運営協議会に参加する中で、同校は普通科の高校ですが、他の専門高校と連携する取組を進めたいこと、生徒が地元商工会議所などのイベントに企画立案から参画することや、製造業をはじめとする地元企業にもっと触れる機会を希望していること、企業側にも今まで以上に学校との関わりを期待するなど、様々な意見があり、その意見の実現に向けての諸課題はありますが、今後の新しい可能性への大きさを実感しているところであります。 多様な学科があり、各学校の特色に応じた取組となることは当然ではありますが、どの学校の生徒であっても、地元の地域、企業、そして、大学などとの関わりの中で、学び成長し、将来的には様々な分野での担い手となっていただきたいと考えております。 そのために、全ての県立高校がコミュニティ・スクールとなったこの機会に、県教委は、各校の取組の後押しをし、そして、その活動をさらに活性化していけるようにしていく必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。県立高校における生徒の豊かな学びのために、高校コミュニティ・スクールの充実に向けて、今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問とさせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)新造議員の御質問のうち、私からは、災害に立ち向かう体制づくりについてのお尋ねにお答えします。 自然災害が激甚化・頻発化する中、災害はどこでも起こり得るとの認識の下、平時から防災体制を整備するとともに、災害対応力の強化を図ることが重要と考えています。 このため、県地域防災計画において、災害発生時の応急対策や復旧・復興対策の実施体制を定め、災害対策を担う人材の育成や、大規模な自然災害に備えた広域連携体制の充実強化に取り組んでいるところです。 まず、災害対策を担う人材の育成に向けては、消防防災科学センターなど、防災研修機関の講師派遣制度等も活用しながら、災害対策本部や避難所の設置・運営に関する実務研修や、住家の被害認定業務研修を毎年開催するなど、県、市町の職員として災害対応に必要な知識等の習得を図っています。 これとあわせ、災害対策本部設置運営訓練や物資搬送訓練など、様々な訓練を実施し、その実践と習熟にも取り組んでいるところであり、引き続き、こうした取組を通じ、県、市町の職員の災害対処能力を高めていくこととしています。 また、広域連携体制の充実強化に向けては、被害の状況によっては、被災市町だけでは、十分な対応ができないことが想定されることから、迅速な初動対応や応援業務のニーズを的確に把握できるよう、被災地支援の経験がある土木職、保健師等で構成する県職員被災市町支援チームを速やかに現地へ派遣する体制を整えているところです。 こうした体制の下、大規模な災害が発生した場合には、この支援チームからの情報等も踏まえ、県と県内市町との間で締結している災害時の相互応援協定等を活用し、お示しの災害廃棄物の処理も含め、被災市町のニーズに応じた人的・物的支援を迅速に行うこととしています。 今後も、被災市町への支援がより一層円滑に実施できるよう、引き続き、訓練や研修等を通じて、県内市町や近隣県等との連携強化を図るとともに、応援を受け入れる市町の体制構築に向けた受援計画の策定を支援することとしています。 私は、市町と緊密に連携し、災害対策を担う人材の育成や、広域連携体制の充実強化を図りながら、災害に強い県づくりに取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)高齢者施設の感染予防についてのお尋ねにお答えします。 高齢者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合には、重症化するリスクが高く、一たび施設内で感染が生じると、クラスター化するなど重大な事態に至るおそれがあります。 本県では、これまで施設職員の皆様の御尽力により、施設内での感染は発生していませんが、引き続き各施設において感染防止対策に取り組んでいくことが重要と考えています。 このため、県では、感染拡大を未然に防止するため、マスクや消毒液など、感染対策に必要な物品購入等への補助や、ガウンなどの防護用品の配付等を行うとともに、専用の相談ダイヤルを設け、支援策に関する施設からの相談にきめ細かく対応しているところです。 また、施設における平時からの感染防止や、感染発生時の対応能力の向上を図るため、感染管理分野の認定看護師による施設職員向けの研修や、現場における実地の助言等にも取り組んでいるところです。 さらに、クラスター発生時に的確な初動対応を展開し、施設の運営が継続できるよう、医師や認定看護師で構成し、感染拡大防止に向けた専門的な支援を行うクラスター対策チームの設置や、施設間での応援職員の派遣体制の構築も図っています。 また、感染が懸念される中にあっても、利用者にとって、家族との面会機会の確保は重要であり、お示しのオンライン面会の活用が有効であることから、タブレット等のICT機器の購入費用等の支援についても努めてまいります。 県としましては、引き続き、こうした取組を通じ、高齢者施設が安心・安全に利用できる環境確保に向けて、新型コロナウイルスの施設内感染対策の一層の充実に取り組んでまいります。 次に、薬剤師や薬局を活用した地域の体制づくりについてのお尋ねにお答えします。 県民誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、薬剤師の専門性や住民に身近な薬局の活用により、医療と健康の両面から、県民の暮らしを支える体制づくりを進めていくことが重要と考えています。 このため県では、一人一人の患者の薬を継続的に管理、把握するかかりつけ薬剤師・薬局の取組の促進や、在宅医療の質の向上を図るための薬剤師スキルアップ研修等に取り組んでいます。 こうした中、お示しのように、がん治療の専門病院と連携する専門医療機関連携薬局や在宅医療を担う地域の医療機関等と連携する地域連携薬局の認定制度が来年八月に開始されることから、関係団体等と連携して、準備を進めているところです。 具体的には、まず、専門医療機関連携薬局への取組の促進に向けましては、今年度、地域の薬剤師と病院関係者による会議を開催し、連携体制を整備するとともに、薬剤師にがん治療に対する知識を付与する専門研修を実施し、必要な人材の育成に取り組んでまいります。 また、地域連携薬局については、新たに在宅医療に取り組む薬剤師を指導・助言する在宅薬事コーディネーターの育成に取り組むとともに、多職種による連携会議の開催を通じ、入退院時の患者情報を医療機関等と共有する仕組みの構築を進めてまいります。 さらに、薬剤師の専門性を生かした県民の健康づくりへのサポートに向け、本県独自の取組として山口県健康エキスパート薬剤師制度を本年度新たに創設したところです。 今後は、この制度を活用し、地域の薬局等で健康相談会を開催するなど、県民が気軽に健康相談ができる機会を提供するとともに、様々な広報媒体を活用し、積極的な啓発を行ってまいります。 県としましては、引き続き関係団体等と連携し、県民の医療や健康を支える体制づくりに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)水産物の品質維持向上についてのお尋ねにお答えします。 TPP等の自由貿易協定の発効による影響や、国内他地域との産地間競争が激化する中、高品質で競争力の高い水産物を生産し、本県漁業者の収益性向上を図ることが重要です。 このため県では、県下最大の水揚げ基地である下関漁港において、安心・安全な水産物の供給による魚価の維持向上を図るため、高度衛生管理型の沖合底引き網漁船や荷さばき所の整備を進めています。 また、高鮮度な水産物を志向する消費者ニーズに対応するため、県下各地の意欲ある漁業者グループによる冷蔵冷凍庫や製氷施設の導入など、漁獲物の品質維持への取組を支援した結果、市場での高い評価を得ているところです。 こうした中、お示しの超長期鮮度保持技術のように、近年、企業等による様々な品質維持の技術開発が進んでいることから、産地間競争に打ち勝てるよう、これら新たな技術を積極的に活用し、本県水産物の品質維持向上を一層推進する必要があります。 このため、県漁協や水産大学校との産学公連携により、少量多品種といった本県漁業の特性を踏まえ、漁法や魚種に応じて、最適な品質維持技術、機器を検証し、生産現場への導入を推進してまいります。 具体的には、一本釣りのように高級魚を一尾ずつ漁獲する漁法に対しては、魚種に応じた脊髄破壊や血抜き等の効果的な技術を実証するとともに、まき網など一度に大量漁獲する漁法に対しては、多くの魚を急速に冷却する新たな機器による効果の検証を進めます。 その上で、漁業生産の第一線である漁船における機器導入や、水揚げ場所となる市場における施設整備など、生産段階に応じた新たな整備について、国庫補助事業等も活用して、県漁協や市町とも連携した支援策を講じます。 県としては、今後とも、関係団体等と緊密に連携しながら、本県漁業者の収益の確保に向け、県産水産物の品質維持向上に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)「スーパーシティ」構想についてのお尋ねにお答えします。 お示しの「スーパーシティ」構想は、最先端技術を活用したより良い未来社会の構築に向けて、従来のような個別分野の技術実証ではなく、それらを複数組み合わせ、住民目線で幅広く生活や社会に実装していこうとするものであり、まさにSociety5・0を目指す取組の一つと考えています。 本県としても、Society5・0の実現に向けては、第二期「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」に新たな社会システムづくりへの挑戦を掲げ、現在、関係機関と連携をしながら、AI等を活用したモビリティサービスや5Gによる遠隔診療の実証などに取り組んでいるところです。 今後、さらにAIやビッグデータ等の未来技術を活用し、地域課題の解決に向けたソリューションや、新たな住民サービスにつながるイノベーションを創出していくためには、官民が必要なデータを共有し、有効に利用することのできる環境の整備が重要となります。 これを踏まえ、県や市町が保有する様々な行政データのオープン化を加速するとともに、企業がこれらのデータと自身のサービスを融合させ、新たなビジネスモデルを創出できるよう、今後、設置予定のDX推進拠点において、官民共有のオープンデータ基盤の構築を検討してまいります。 また、未来技術の導入とその普及を図っていく上では、お示しのように、デジタル技術の活用を前提としていない旧来からの規制の改革や、個人情報の適切な利活用に向けた仕組みづくりも不可欠であると考えています。 このため、政府要望や全国知事会等を通じて、国に対し、大胆な規制緩和や、情報保護とデータ流通の両立に配慮した個人情報保護制度の確立を求めているところであり、今後もこうした要請を重ねながら、未来技術の円滑な導入に向けた環境づくりを進めてまいります。 県としては、国の動向等を踏まえ、山口県として目指す具体的な将来像もお示しをしながら、引き続き市町や企業等と連携をし、本県における未来技術の社会実装に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)高校コミュニティ・スクールの充実についてのお尋ねにお答えします。 高校が、コミュニティ・スクールの仕組みを生かして、家庭や地元企業、大学等と連携し、学校運営の質の向上を図りながら、各学校・学科の特色や専門性に応じた高校ならではの取組を充実させることで、生徒たちに地域の担い手としての意識の向上を図ることは重要であると考えています。 このため、県教委では、平成二十八年度から年次的・計画的に県立高校等へのコミュニティ・スクールの導入を進め、お示しのように、今年四月に、その導入を完了したところです。 さらに、今年度、育ちや学びをつなぐコミュニティ・スクール推進事業を立ち上げ、各校の地域と連携した取組を支援するために、全ての県立高校等にコーディネーターとなる、コミュニティ・スクール活動推進員を新たに配置し、地域との連携・協働体制の構築、強化を図っていく取組を進めています。 具体的には、専門高校と地元企業との連携による商品開発などのこれまでの取組に加え、普通科高校においても、コミュニティ・スクール活動推進員のコーディネートにより、生徒が地元自治体の職員や地域の有識者、経営者等と地域づくりについて熟議を行うなど、地域との関わりの中で、地域課題や自己の在り方、生き方について考える新たな取組を展開しているところです。 今後、こうした取組をさらに充実させていくため、好事例の普及や教職員を対象とした研修の充実を図るとともに、これからの地域社会を担う生徒にどのような資質や能力を育んでいくのかを学校運営協議会において協議し、地域と連携した教育活動をカリキュラムの中に反映させることなどで、コミュニティ・スクールの取組が、組織的・計画的なものとなるよう努めてまいります。 また、小中学校や大学との校種間連携の中で、地域をテーマにした熟議や協働活動などの取組を充実させることにより、小中学校で培ってきた郷土への誇りや愛着を高校においても継続的・発展的に育んでまいります。 県教委といたしましては、次代を担う生徒の豊かな学びや育ちの実現に向け、コミュニティ・スクールの仕組みを生かした高校ならではの取組を一層推進してまいります。