1 農業試験場の跡地利用について 2 県央の中核都市にふさわしい道路ネットワークの整備について 3 ヘルスケア関連産業の創出・育成について 4 農業農村整備事業の推進について 5 子どもの虐待防止対策の強化について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 俵田祐児君。 〔俵田祐児君登壇〕(拍手) 俵田祐児君 皆様、おはようございます。自由民主党の俵田祐児でございます。 質問に入る前に申し上げます。 先月行われた宇部市長選挙において、かつての同僚篠﨑圭二氏が、見事勝利を収め、新市長に就任されました。若さと持ち前の行動力により、県議会議員時代から地元宇部市を奔走し、多くの市民の方々の意見を伺い、県政につなげてきた活動実績と、このたび掲げられた暮らし満足度ナンバーワン・宇部の実現に向けた、具体的で実効性のある施策・ビジョンにより、多くの市民の心と期待をしっかりとつかまれた結果だと思います。 今後は、リーダーとして市政の先頭に立ち、これまで同様に市民との対話を大切にされ、秘書、議員経験を通じて築かれた県や国との強いパイプ、ネットワークを最大限に生かしながら、ワクワク市政の実現に邁進されることを心から期待しています。 さて、令和二年も残り一か月を切り、新型コロナウイルス感染症に始まりコロナで終わると言っても過言ではない、これまで経験のない一年が過ぎようとしています。 全国の感染者は現在拡大傾向が続いています。患者の生命を守るため、日々闘っておられる医療関係者の方々に対し、改めて感謝と敬意を表しますとともに、医療供給体制の維持・確保に向けて、国において十分な対策を講じていただくよう、強く望んでいます。 いまだ収束が見通せない厳しい状況にありますが、一方では、国民を活気づけている話題も起こっています。 その一つが、漫画アニメーション分野で国内を席巻している、鬼滅の刃という作品です。今年十月から公開されている映画は、先月末の時点で興業収入は二百七十五億円を突破し、日本記録である千と千尋の神隠しの三百八億円を十九年ぶりに更新するのは確実と予想されています。 では、なぜここまでの盛り上がりを見せているのでしょうか。私は、登場する主人公やその仲間たちの人間性に多くの国民が強く心を打たれ、共鳴しているからだと感じています。 決して強くもなく、優しい心を持つ少年は、妹という守るべき者のために鬼との戦いの中で何度も傷つき、打ちのめされながらも前へ前へと向かって努力を積み重ね、強くなっていきます。 コロナにより様々な困難に直面している全国の多くの方々が、主人公に自分の思いを重ねながら応援することで、自分自身諦めるな、頑張れと困難に打ちかつべく自らの気持ちを奮い立たせているのだと感じています。 私もこの作品に共感し、勇気づけられている一ファンであります。私自身、これからも自分の果たすべき県議会議員の職務に全集中し、前へ進んでいくことを決意して、通告に従い、一般質問に入らさせていただきます。 まず、農業試験場の跡地利用についてお尋ねをいたします。 県では、本県農林業の成長産業化の実現に向け、令和五年四月の供用開始を目指し、防府市の農業大学校敷地を中心とした農林業の知と技の拠点の整備が進められています。 その一方で、これに伴って、今後の大きな課題としてクローズアップされているのが、農業試験場の移転後の跡地利用です。 このたびの移転は、山口市の理解と協力があって実現したものですが、移転後の跡地は、山口市内に残された唯一とも言える貴重な大規模開発可能な一体の土地であるとともに、山口市街地と防府市街地を結ぶルート上にあることから、この跡地利用の行方は、今後、山口市が進める県央部の広域的なまちづくりにも大きな影響を及ぼすものとなります。 御承知のとおり、山口市では、新山口駅周辺地域を、本県の陸の玄関にふさわしい産業交流拠点として形成すべく、新山口駅南北自由通路や駅北広場の整備など様々な取組が進められてきましたが、いよいよ来年四月には、その核施設となるKDDI維新ホールがオープンを迎えます。 私は、この拠点のオープンを契機に、本地域で県全体の産業振興や交流拡大の拠点としての機能を一層発揮できるものと大きな期待をしていますが、今日に至るまで多くの課題を乗り越え、様々な取組を着実に進めることができたのは、県と山口市の緊密な連携があったからこそだと考えています。 県においては、当初から、山口市が進めようとする拠点形成の重要性を十分認識され、県づくりとの整合も図りながら市と様々な協議を重ねられ、時には、県がリードをする形で、この拠点形成に関わってこられましたが、私は、こうした県と市の連携の姿こそ、目指す県づくり、まちづくりの具体化に欠かせないものであると改めて強く感じました。 さて、こうした県と市の連携による取組の一環として、農業試験場の跡地利用に関しても、昨年一月に、県と山口市で構成する農業試験場等跡地利用検討協議会が設置され、情報交換や課題整理、将来の利用計画についての検討が進められています。 しかし、残念なことに、検討協議会が設置されて二年近くが経過しているにもかかわらず、この間の市との協議状況や方向性、課題解決に向けた検討内容等はもとより、県として、この跡地利用をどのような視点で捉え、どのように市と連携して取り組んでいこうとしているのかという基本的な姿が一向に見えてきません。 県としてのポリシーや戦略がないまま、単なる県有地の処分と捉えて市との協議を進めておられるとすれば、大きな問題ではないかと思います。 先ほども申し上げましたが、この跡地利用の行方は、今後の県央部の広域的なまちづくり、ひいては、県づくりにもつながる重要な政策課題であると考えています。 県には、こうした認識をしっかりと持っていただき、山口市との協議に当たっては、市に対して、山口市のみならず防府市や宇部市など、県央部の連携中枢都市圏の形成にもつながるような視点からの検討が必要であることを示すとともに、県がイニシアチブをしっかり取って、山口市との連携をより強化にして、将来展望を描きながら具体的な利用計画の策定に向けた検討・協議を進めていただきたいと思います。 また、跡地利用の検討を進めるに当たっての具体的な課題として、慢性的な交通渋滞を解消するための道路網の整備による交通量の分散化、農業試験場が持つ圃場の保水能力を踏まえた雨水排水対策、長年にわたって農薬等の試験研究が行われてきたことによる土壌調査などが想定されています。 これらの課題に対しては、今後、具体的な対応策の検討が行われることになると思いますが、この中でも特に、道路網の整備については、広域交流の拡大の観点からも県央都市圏の形成に資するような検討と、優先順位をつけながらの早期整備が求められると考えます。 幸いにも、農業試験場の跡地利用は早くても令和六年度以降と見込まれていることから、まだ検討の時間は残っています。県には、私が申し上げた点を踏まえ、山口市との意向も最大限尊重しながら、将来の山口市、そして県央部地域の姿を見据えた具体的な協議・検討を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。農業試験場の移転後の跡地利用について、県央部地域全体の将来像を見据えた検討の在り方と山口市との連携の在り方、そして、現時点で想定される三つの課題への対応について、県としてどのように認識し、どのように取り組んでいこうとされるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、県央部の中核都市にふさわしい道路ネットワークの整備についてお尋ねをいたします。 私の住む山口市では、中国道や山陽道、国道二号や九号が縦横に走り、それらに県道や市道などがアクセスすることにより一体的なネットワークを形成していますが、私は、道路整備に当たっては、地域の交通課題や住民や企業のニーズ等をしっかりと把握した上で、市のまちづくり計画などとも整合を図りながら進めるべきであると考えています。 こうした観点から、現在、山口市で進められている道路整備について、二点お尋ねをいたします。 まず、一点目は、まちづくりと連携した道路の整備についてです。 山口市では、パークロードを中心に、美術館や県立図書館、博物館などの学術文化施設が立地するとともに、現在、市役所の庁舎建て替え整備が進められています。 また、中心商店街や山口駅、国宝瑠璃光寺五重塔、菜香亭など周辺では、中心市街地活性化基本計画や都市再生整備計画等により、まちづくりの具体像が示され、様々な事業が進められています。 私は、こうした市の進めるまちづくりに対して、県も積極的に参加すべきであると考え、これまでも登壇する機会あるごとに申し上げてきましたし、また、我が会派の同僚議員も、異口同音に繰り返し述べていることです。 例えば、県において、まちづくりと進捗を併せた道路や交差点の改良、バリアフリー化をはじめ、案内標識の設置、県道接続に対する技術的助言、国の補助事業メニューの採択方法や予算の要望、配分、他地域の好事例の紹介など、思いつくだけでも数多くの連携項目があります。 そこでお尋ねをいたします。私は、市のまちづくり計画を具現化するためには、中心市街地活性化基本計画等の構想段階から県が積極的に参加して進めるべきと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 二点目は、県道宇部防府線の宇部市上山中から山口市由良地区の渋滞と交通安全対策についてです。 山口市、宇部市にまたがる山口テクノパーク、山口テクノ第二団地、宇部テクノパークは、県の中心部に位置し、国道二号や山口宇部道路の由良インターチェンジに近接しているなど、交通アクセスのよい産業団地として数多くの企業が進出しております。 現在、約四千人に上る就業の場を創出するなど、両市はもとより、県の経済や雇用を牽引し、産業力の強化の一翼を担う県内最大規模の産業団地群として発展しています。 しかしながら、主要なアクセス道路である県道宇部防府線では、通勤時間帯を中心に渋滞が深刻化し、交差点周辺では交通事故が発生するなど、企業活動に支障を来しかねない状況であり、事業関係者の皆様からは、不安の声や早期の安全対策を求める要望を多くお聞きします。 本年九月には、産業団地の立地企業同席の下、山口、宇部両市から村岡知事や柳居議長に当該路線の道路改良を求める要望がなされたことも踏まえ、私はさきの土木建築委員会において早期の対策を求め、県からはスピード感を持って段階的に改良工事を進めていくとの答弁をいただきました。 こうした県の姿勢は高く評価しており、当該路線の渋滞緩和や交通事故削減のいち早い実現に向けて、迅速に事業が推進されることを強く願うところです。 そこでお尋ねをいたします。県道宇部防府線の道路改良等について、現在、進捗状況と事業効果の早期発現に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、冒頭でも触れましたが、新山口駅北地区産業交流拠点施設に関連し、この拠点施設が全県的な産業・交流の核となるようにとの思いを込めて、ヘルスケア関連産業の創出・育成についてお尋ねをいたします。 令和三年四月の拠点施設のオープンが近づく中、その機能が最大限発揮されるよう、また、四月からの着実なスタートが切れるよう、しっかりとした準備をしながら取組を進めていく必要があります。 その起爆剤となるのが、ヘルスケア関連産業の創出・育成に向けた取組です。 県では、今年八月に、島津製作所、花王、協同乳業の企業三社と、山口大学、山口市、県との六者により、高齢者の健康づくりなどをテーマとした地域コホート研究連携に関する合意書を締結され、実証研究を進めていくこととされています。 あわせて、山口市が拠点施設に設置するライフイノベーションラボを核に、ヘルスケア関連産業の発展や県民の健康寿命の延伸に向けて取り組むこととされており、先行して実施される六者合意に基づく取組とも連携しつつ、その機能を十分に発揮させていくことが重要となります。 このような状況の中、今般お示しされた次期産業イノベーション戦略の素案において、ヘルスケア関連産業の創出・育成支援を新たな産業戦略プロジェクトとして位置づけられました。 今後、重点的に取り組もうとする県の意欲が伝わってくるものであり、関係者が連携した推進体制の下、新たなヘルスケア関連製品やサービスの開発を加速化する支援スキームを構築されることを、強く期待しているところです。 そこでお尋ねをいたします。拠点施設の供用開始を見据え、ヘルスケア関連産業の創出・育成を、今後どのように展開しようと考えておられるのか、御所見をお伺いします。 次に、農業農村整備事業の推進についてお尋ねいたします。 今年の本県農業を取り巻く環境は、新型コロナの影響により、外食・中食の消費の伸び悩みによる農産物需要の低迷や、過去にないトビイロウンカ被害による水稲収穫量の減少など、非常に厳しい状況になっています。 こうした状況を受け、農家の方からは、いつまで農業が続けられるのか分からない、来年の作付はどうしようかなど、切実な声が上がっています。このままでは、農家の皆さんが耕作を諦め、農地の手入れがされなくなり、結果として食料の安定確保はおろか、人が住むことさえもできなくなることが懸念される状況です。 一方、農業においては、今年の特殊事情だけでなく、従事者の減少や高齢化といった中長期的な課題も抱えており、私の地元山口市においても、基盤整備がされていないと次の世代に継承ができない、ため池の老朽化により日々の水管理が困難になっているなど、不安の声が数多く寄せられています。 しかし、こうした声を改めて整理してみると、営農継続を前提としたものが多いことが分かります。だからこそ、私は、こうした課題にしっかり対応することが、生産者の生産意欲の向上や本県農業の活性化につながっていくものと確信しています。 そして、こうした声に応える取組の一つが、農業農村整備事業であります。 申し上げるまでもなく、農業農村整備事業は、農家の発意による申請と受益農家の三分の二以上の同意をもって実施することとなっており、この事業費の一部は、農家自らが負担し、整備した施設は、地域共同で利用、管理するなど、行政主導である他の公共事業にはない特徴を有しています。 山口市南部地域では、地域での話合い活動を通じた圃場整備の実施を契機として、集落営農法人の設立とともに、法人への農地集積による規模拡大が図られており、その結果として、新規就農者の雇用が生まれ、次代の農業・農村の姿が描けるようになるなど、地域の活性化にもつながっているところです。 また、土地改良区や農家など、地域共同で農道や農業用水路、ため池などを守る仕組みは、集落内のコミュニティー機能を活発化・強化するとともに、災害時などには協働力が発揮され、集落の安心・安全の確保にも大きく貢献しています。 さらに、本年十月には、防災重点農業用ため池の防災工事などを推進する特別措置法が施行されたことから、ため池災害の未然防止を図る整備を進めていく必要があります。 未来の担い手が選択する地域は、生産基盤が整備され、安心して生活できる環境が整っている地域です。 私は、コロナ禍で県財政が非常に厳しい中にあっても、地元の期待に応え、農業の成長産業化や農村地域の安心・安全を確保する取組を着実に進めるためにも、農業農村整備事業を積極的に推進することが重要だと考えています。 そこでお尋ねいたします。コロナ禍、トビイロウンカによる被害など、今後の営農継続が見通せない状況にあっても、生産者が将来の明るい展望を描くことができるよう、農業農村整備事業を今後どのように推進していかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、子供の虐待防止対策の強化についてお尋ねいたします。 毎年十一月は、児童虐待防止推進月間とされ、児童虐待問題に対する深い関心や理解に向け、集中的な広報や啓発活動が行われています。 私の周りでも、オレンジリボンの装着や施設のオレンジライトアップを目にする機会が増え、県民の認知が徐々に高まっていることを実感しています。 このような県民の児童虐待問題への関心や理解の深まりを、地域の身近な場所で起きている児童虐待の防止につなげ、子供の虐待のない社会を実現していかなければなりません。 昨年度、児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は、過去最多を更新する約十九万件と、全国では一貫して増加傾向にあり、本県でも、過去二番目に多い七百九件と、依然として高い水準にあります。 子供の生命が奪われるなど、重大な虐待事件も後を絶たず、深刻な状況が続いています。 また、このたびのコロナ禍が問題を複雑化しています。外出の自粛や学校の休校により、子供が家庭で過ごす時間が増え、家庭内での虐待リスクが高まる中、外部の目が届かないことで虐待の潜在化が懸念されています。 本県における今年上半期の相談件数は、昨年より一二%減少していますが、潜在化の可能性を踏まえた十分な対策が求められます。 虐待は、子供の心身に深い傷を与え、その後の人生を左右するだけでなく、未来を担う大切な子供の命さえ奪います。子供の命と権利、そして未来は、社会全体で守らなければなりません。 国においては、今年四月、児童福祉法等の改正法を踏まえ、児童の権利擁護や児童相談所の体制強化、関係機関間の連携強化等を法定化するなど対策の強化を図っており、こうした国の動きやコロナ禍の長期化も踏まえ、本県においても、虐待の防止に向けた取組を強化していく必要があります。 そのためには、コロナ禍により、相談方法や見守りの機会が限られる中にあっても、虐待の未然防止や、早期発見・早期対応につなげる相談体制の充実に取り組む必要があります。 また、このたびのコロナの経験により、子供と家族に近い地域の持つ役割の重要性を改めて認識しました。地域での見守りや、家庭内で起こる虐待の未然防止や早期発見などに向け、住民に身近な市町との連携を強化するとともに、県民や企業も一緒になり、社会全体で子育て家庭を見守り、支える環境をつくっていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。県では、近年の相談件数の増加やコロナ禍の長期化を踏まえ、子供たちの命や未来を守る、子供の虐待防止対策の強化について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、質問を終わらさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)俵田議員の御質問のうち、私からは、農業試験場の跡地利用についてのお尋ねにお答えします。 防府市の農業大学校に、農業試験場と林業指導センターを移転・統合する形で即戦力人材の育成と先端技術の開発に一体的に取り組む農林業の知と技の拠点は、今年度から農業機械の格納庫や研究圃場の整備に着手し、令和五年四月の供用開始に向けて取り組んでいるところです。 これにより、特に農業試験場については周辺に大型商業施設が立地をし、市街化が進む状況の中で、約十九ヘクタールの広大な敷地が跡地となります。 この跡地周辺は、山口市と防府市を結ぶルート上に位置するとともに、魅力あふれる県都づくりや県央部の広域的なまちづくりにつながる大きなポテンシャルを秘めています。 このため、県では、県と山口市で構成する農業試験場等跡地利用検討協議会を設置し、地元の意向を踏まえながら、地域の発展に資する利活用方策を検討しているところです。 具体的には、県と市の実務レベルで構成する幹事会等において、圃場が有する保水機能を考慮した雨水排水対策や農薬等の試験研究が行われてきたことによる土壌調査、県央部の広域的な発展につながる公的施設の在り方など、個別な課題等に関して調査検討を進めています。 あわせて、山口市から示されている交通渋滞の課題を解消するとともに、県央の中核都市である山口市と周辺都市との広域交流の拡大等を図るためには、都市間を連絡する道路や市街地の道路網の充実強化が重要ですが、長期的・計画的な視点も必要であると考えています。 このため、山口市と連携し、現在事業中の都市計画道路泉町平川線などの整備促進はもとより、既存道路の拡幅や新たなバイパスの整備など、交通の分散に資する道路網の検討・整備に取り組んでまいります。 こうした個別の課題等の調査検討や山口市のまちづくりの方針も踏まえ、県央部の広域的なまちづくりにつながる跡地利用の在り方について、山口市とともに検討を進めてまいります。 私は、引き続き山口市と一層連携の下、十分な協議を重ねるとともに、県議会でも御議論いただきながら、効果的な跡地利用が図られるよう、全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)阿部土木建築部長。 〔土木建築部長 阿部雅昭君登壇〕 土木建築部長(阿部雅昭君)県央の中核都市にふさわしい道路ネットワークの整備についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、まちづくりと連携した道路の整備についてです。 県では、市町のまちづくりと整合を図りながら、交流・連携の強化に資する幹線道路網や、日常の生活の利便性・安全性の向上に資する道路等の整備に取り組んできたところです。 例えば、新山口駅ターミナルパークの整備に当たっては、市の整備構想や基本計画の策定に参画するとともに、その計画に併せて、アクセス道路となる新山口駅長谷線の整備を行ったところです。 こうした中、現在、山口市では、市役所の庁舎建て替えに併せて、中心市街地活性化基本計画等の次期計画策定が進められていることから、県では、市のまちづくり計画の具現化に向けて、中心市街地活性化協議会への参加等を通じて助言や情報提供を行っています。 県としては、今後、市の意向を踏まえながら、一層積極的に計画の構想段階から参画し、まちづくりと連携した道路の整備に取り組んでまいります。 次に、県道宇部防府線の渋滞及び交通安全対策についてです。 山口テクノパーク等の産業団地への主要なアクセス道路である県道宇部防府線は、由良インターチェンジから国道二号の上山中交差点までの間で、通勤時間帯を中心に渋滞やそれに起因する交通事故が発生するなどの課題があると認識しています。 このため、特に交通量の多い由良インターチェンジから、多くの企業への進入口である山口テクノパーク東交差点まで約一・五キロメートル区間の四車線化を実施することとしました。 実施に当たっては、早期に効果が発現するよう、段階的に整備を行うこととし、まずは、暫定的に山口テクノパーク東交差点に左折レーンを設置する工事に着手したところであり、引き続き、全区間の四車線化を精力的に進めてまいります。 また、上山中交差点については、安全で円滑な交通を確保するため、国道二号から県道への左折レーン及び県道から国道二号への右折レーンを設置することとし、現在、早期工事着手に向けた準備を進めているところです。 県としては、引き続き、まちづくりの主体である市町と連携しながら、県央はもとより、県内全域の道路ネットワークの充実強化に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)平野産業戦略部長。 〔産業戦略部長 平野展康君登壇〕 産業戦略部長(平野展康君)ヘルスケア関連産業の創出・育成についてのお尋ねにお答えします。 高齢化が進む中、健康寿命の延伸と新たな産業創出に向け、やまぐち産業イノベーション戦略に新山口駅北地区拠点施設整備支援プロジェクトを掲げ、拠点施設を核としたヘルスケア関連産業の創出・育成に取り組んでいます。 お示しの六者による高齢者の健康づくり等をテーマとした地域コホート研究は、この取組の一環として行うものです。 本研究では、運動や食事などの長期介入による認知機能の低下予防の効果や、認知機能と腸内フローラとの関係性について、山口市の住民に協力をいただき、検証をすることとしています。 また、拠点施設の供用開始に向けて、今年度中には、県内外の企業や大学等と連携したヘルスケア関連産業の創出・育成の推進母体となる、やまぐちヘルスケア関連産業推進協議会を設立する考えです。 さらに、次期産業イノベーション戦略においては、新たにヘルスケア関連産業創出・育成支援プロジェクトを掲げ、取組を強化します。 本プロジェクトでは、拠点施設のライフイノベーションラボ内に、企業の製品・サービスの開発・事業化を支援する拠点を整備するとともに、製品等の評価・検証に住民モニターが参画する新たな仕組みづくりに取り組みます。 あわせて、地域コホート研究で得られた知見の活用や健康情報の提供、セミナーの開催等を通じ、県民の健康づくりをサポートします。 県としては、来年四月の拠点施設の供用開始を見据え、山口市や大学、企業等としっかりと連携しながら、ヘルスケア関連産業の創出・育成を積極的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)農業農村整備事業の推進についてのお尋ねにお答えします。 農業の生産基盤と農村の生活環境の整備を通じて、農業の持続的発展や農村の振興等の実現を目指す農業農村整備事業は、本県農業の成長産業化を図り、農村の安心・安全を確保するためにも、その推進が重要と考えています。 また、農家の発意や地元の合意が前提となるなど、他の公共事業にはない特徴を有しており、事業の実施に当たっては、地元の要望にしっかりと応えていくことが必要です。 これまで、県では、農業生産性の向上に向けた約二万三千ヘクタールの区画整理や、防災・減災対策として、約千六百か所のため池の改修など、地元の要望に沿って着実に実施してきました。 こうした中、農業従事者の減少や高齢化などに加え、本年は、新型コロナウイルス感染症の影響やトビイロウンカ等の被害もあり、農業者が、将来にわたり安心して営農が継続でき、将来の明るい展望を描くことができる取組がより求められています。 このため、県では、生産基盤の整備や農村地域の防災力の強化、多面的機能の維持・発揮を三つの柱として、農業農村整備事業を一層推進してまいります。 まず、生産基盤の整備については、集落営農法人の経営基盤を強化するため、農地中間管理機構と連携し、農地の集積による経営規模拡大を可能とする農地の区画拡大や、畑作物の生産振興を図る水田の汎用化を、スピード感を持って進めてまいります。 次に、農村地域の防災力の強化については、来年三月末までに、いわゆるため池工事特措法に基づく、防災工事等推進計画を策定することとし、改修や廃止の整備等を五か年の期間内に集中的に推進します。 さらに、農村の多面的機能の維持・発揮については、多面的機能支払いや中山間地域等直接支払いを活用し、隣接集落間の連携や土地改良区のサポートを受けながら、広域化の推進による活動体制の充実強化を支援します。 県としては、地元の期待に応えられるよう、必要な予算の確保に努め、市町や農業関係団体等と連携し、農業農村整備事業を積極的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)子供の虐待防止対策の強化についてのお尋ねにお答えします。 昨年度、本県の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、過去二番目となる七百九件に上るなど、近年増加傾向にあることに加え、コロナ禍により虐待の潜在化が懸念されているところです。 このため、県では、児童虐待を未然に防止し、早期発見・早期対応につなげることができるよう、相談体制の強化や、社会全体で子供や子育て家庭を見守る環境づくりを進めていくことが重要であると考えています。 まず、相談体制の強化については、国の児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づき、全ての子供に切れ目なく支援を提供できるよう、児童相談所の児童福祉司の配置を管轄区域の人口四万人に一人から三万人に一人にするなど、専門職員の計画的な増員により、体制の充実を図っています。 また、コロナ禍にあっても、感染防止を図りながら、いつでもオンラインによる相談が可能となるよう、児童相談所等において、ICT環境の整備を進めているところです。 次に、社会全体で子供や子育て家庭を見守る環境づくりについては、日常的に子供や子育て家庭と接している地域の方々や企業と連携し、地域における見守り体制の強化に取り組むこととしています。 具体的には、今年度から、子育てに悩む家庭に対し、声かけや助言をしていただく「一八九(いちはやく)サポーター」の養成に取り組んでおり、既に児童虐待に関する講習を受講された母子保健推進員や民生委員、母親クラブの会員など約三百人の方が、サポーターとして県内で活動されています。 また、地元の企業等を巻き込んで、子供の見守り活動をきめ細かく実施できるよう、虐待防止全力宣言企業制度を設け、第一陣として、十五社の企業に登録をいただき、先日、虐待防止全力宣言企業登録証交付式を行ったところです。 今後は、登録していただいた企業において、配達業務を通じた地域の見守り活動、各店舗やテナントへのポスター掲示など、企業の特色を生かした取組を行っていただき、児童虐待の未然防止や早期発見につなげてまいりたいと考えています。 県としましては、今後とも、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、市町や関係団体と連携して、児童虐待防止対策の一層の強化に取り組んでまいります。