1 都会から地方への新たな人の流れの創出について 2 インバウンドの推進について 3 民間活力を生かした地域防災力の向上について 4 高校生の就職支援について 5 魅力ある学校と人づくりについて 6 大規模災害の発生時等における交通渋滞対策について 7 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで 副議長(藤生通陽君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号までを議題とし、質疑の議事を継続します。 平岡望君。 〔平岡望君登壇〕(拍手) 平岡望君 皆様、お疲れさまです。自由民主党の平岡望でございます。 令和二年最後となる本定例会の一般質問最後の登壇者となりました。どうぞよろしくお願いをいたします。 それでは、早速通告に従い、順次質問に入らせていただきます。 まず、都会から地方への新たな人の流れの創出についてお尋ねをいたします。 コロナ禍を契機に、地方のよさが見直されています。東京圏に暮らす二十代の約三割が地方移住への関心が高まったという調査結果もあります。実際の人口移動においても、七月には東京圏からの転出者数が転入を上回るなど、これまで一貫して続いていた東京圏への大きな人の流れに、変化の兆しが見え始めてきました。 この動向を後押ししているのが、デジタル化と相まったテレワークの広がりです。自宅にいながら会社とのやり取りや、会議をパソコンやインターネットを活用して行うことのできる仕組みが進み、テレワークにより、都会にいなくとも仕事ができるようになり、ワーケーションと言われる、観光先や帰省先など自宅以外の休暇先からリモートワークをする過ごし方も可能となるなど、テレワークの普及により働き方への考え方が柔軟になったことが、地方への人の流れの創出に向け、またとないチャンスを生み出しています。 また、地方創生を力強く推進してこられた安倍政権に続き、菅政権においても、都会から地方への人の流れの創出に強力に取り組んでいくとされており、国の政策としても、今後の展開が期待されています。 こうした中、県においては、既に九月議会での補正予算により、本県におけるワーケーションの構築に向けたニーズ調査に取り組まれているところであり、また、私が二月議会で取り上げた、関係人口の創出・拡大に向けても意欲的に取り組まれ、十月には秋吉台でのワーケーションのモニター事業を実施されています。 加えて、先日の政府要望においても、地方創生テレワークやワーケーションの推進のため、地方への支援や制度設計について国に対して働きかけられるなど、本県への新たな人の流れを創出するために着実に手を打たれているものと、高く評価しているところです。 今後は、ニーズ調査の結果や国の取組も踏まえながら、テレワークやワーケーションを活用した本県への新たな人の流れの創出に向けて、しっかりとした施策を構築していかなければなりません。 こうした取組に関心が高まっている現在のこの流れを、一過性のものにすることなく、山口県での働き方や関わり方の新しい選択肢の一つとして確立していく必要があると思います。 そのためにも、受皿としてクリアすべき課題を一つ一つ洗い出しながら、市町や民間とも連携し、コロナ禍を契機とした地方創生の柱となるような取組にしていただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。コロナ禍を契機とした新たな働き方の広がりやライフスタイルの変容を捉え、テレワークやワーケーションなどを活用した都会から地方への新たな人の流れの創出に向けて、県では、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、インバウンドの推進についてお伺いします。 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大はいまだ収まらず、本年三月以降、訪日外国人数はほとんどゼロの状態が続き、右肩上がりで成長してきたインバウンド市場は未曽有の事態に直面しております。 しかしながら、中長期的に日本の人口が減少していく中で、日本人旅行者が減っていくことは避けられず、観光産業の発展を考えるのであれば、やはり海外に目を向けざるを得ません。 菅総理自身も、もう一度インバウンドを復活させたいという思いで、二○三○年に訪日観光客六千万人を実現するための計画を年内に策定することを表明しており、我が国にとって引き続き、インバウンドが重要な取組であることに変わりはありません。 ただ、現下の世界の状況を踏まえると、インバウンド市場が元に戻るのは数年先になるとの見方が大勢を占めており、まずはマイクロツーリズムと言われる地域における観光を活性化させて、安全・安心な観光を楽しんでもらい、その延長線上に地域を越え、さらに全国に、そして国際観光へというのが、皆が安心できる流れだと考えます。 だからこそ、感染収束までの期間をしっかり活用し、魅力的な滞在コンテンツや多言語対応などの訪日外国人旅行者の受入れ環境整備などを着実に進めていただきたいと思います。 また、韓国、台湾などの本県の五つの重点市場をはじめとした海外への本格的なプロモーションは、入国制限の緩和を見極めながら行わざるを得ませんが、コロナ禍を奇貨として活発化したオンラインを活用し、観光情報の発信や地域物産の売り込みを積極的に進めていくことも重要であり、こうしたことからも、先日、山口県台湾情報発信会が開催をされたことは、私自身、日台友好促進山口県議会議員連盟の幹事長として、大変うれしく思いました。 このほか、少し視点を変えて、今日本に住んでいる在留外国人の方をターゲットにして、アプローチしてみるのも面白いと思います。 そのような人たちは、日本の文化と母国文化の違いに気づき、理解しているがゆえに、本県の観光資源のどんなところが母国の人にとって魅力的で面白いと思うかなど、独自の目線で発見をし、母国の人たちに向けて情報発信してくれることも期待できると考えられます。 コロナ禍の中、様々な市場調査で、日本はその清潔さのイメージとも相まって、将来訪れたい国として上位にランクされていますが、世界的な収束やワクチン普及が見込めるタイミングが来れば、世界レベルでの旅行者の争奪戦が始まり、今ある地位が必ずしも安泰であるとは限りません。 感染収束後は、本県も国の取組に呼応しつつ、独自のアイデアと発信により、他県に先駆けてインバウンド需要を速やかに取り込めるよう、感染防止対策など、今できることにしっかり注力していく必要があると思います。 そこで、アフターコロナを見据えた本県のインバウンドの推進について、県は今後どのように取り組んでいかれるのかを御所見をお伺いいたします。 次に、民間活力を生かした連携による地域防災力の向上についてお尋ねをいたします。 毎年のように、全国各地で大規模な自然災害が相次いでおり、本県でもこれまで、台風や豪雨等の発生のたびに、広範な地域において多くの人命や家屋、ライフライン等に大きな被害が生じており、大規模な自然災害は、いつどこで起きてもおかしくない状況となっています。 このような自然災害の大規模化に対応するためには、地域の防災力を一層強化することが大切で、そのためには、公共の力だけでなく、企業や民間団体と連携し、災害発生時における様々な角度からの支援体制を積極的に進める必要があると考えます。 民間団体等には、機動力や調達力などを生かした地域への応急支援や、専門的な知識や技術を生かした支援が期待をされ、県ではこれまで、民間団体等と百二十の協定を締結し、連携体制の構築に取り組んでこられましたが、これで十分と思うことなく、今後も起こり得るであろう様々な大規模自然災害に対応するための体制づくりに、これまでの被災者支援等の経験も踏まえ、県民の命と健康を守るためにも、一層の取組の強化をお願いしたいと思います。 私は、先日、山口県栄養士会の皆様から、災害時における栄養管理や食生活支援の重要性についてお話をお聞きしました。大規模な自然災害による家屋やライフラインの復旧の長期化が、被災者の避難生活の長期化へとつながり、被災者の健康確保が重要な課題となっています。 慣れない避難所での生活は大変な不安とストレスとなり、慢性疲労や体調不良を引き起こす人が増え、そのような人たちへの栄養面や食べやすさに配慮した食環境の改善など、在宅被災者等も含めた避難者全体への支援が必要であることや、乳幼児や妊婦、高齢者、糖尿病等の慢性疾患のある方、食物アレルギーのある方など、食事に工夫や配慮が必要な様々な方に対する個別の支援も必要であることなど、人々の健康を考えた際の栄養を考える専門家の視点から、災害時における課題があることを知りました。 こうした多くの課題を解決し、災害時においての栄養と食の支援活動を迅速に行うことができるよう、山口県栄養士会においては、この八月に災害時栄養・食支援委員会を立ち上げ、災害支援スタッフの養成やシミュレーション訓練などを実施しているとのことでありました。 栄養や食に専門知識を持つ管理栄養士や栄養士は、災害時の公衆衛生における重要な役割を担っており、大規模な自然災害に備えては、このような専門的な知識や技術を持つ民間団体等との連携を強化し、県民の命と健康を守る取組を平時から進めておくことが重要であると思います。 そこでお尋ねをいたします。県では、大規模自然災害に備え、専門知識を持つ民間団体等との連携など、民間活力を生かした地域防災力の向上について、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、高校生の就職支援についてお尋ねします。 新型コロナウイルスの全国的な感染拡大により、今年度は長期の休校や、各種の行事が延期や中止となるなど、学校教育の現場においては様々な影響が出ています。 中でも高校生の就職活動については、例年のスケジュールと比べ約一か月の遅れが生じ、今年は十月十六日から企業による採用選考が開始されたとのことです。 山口県を含む多くの都道府県では、採用選考の開始日から一定期間は、最初に生徒が企業に応募できるのは一人一社に限定するという慣例があり、最初の募集で内定が出なかった生徒は、就職活動を継続することとなります。 例年でも高校生の就職活動は短期間ですが、このスケジュールの変更は、卒業までの期間がより短くなるという状況の中で、就職活動を続ける生徒にとって大きな不安と負担になっているものと思います。 また、十月末に山口労働局が発表した新規高卒予定者の求人状況については、九月末時点の求人数が前年比約二四%の減少、製造業は約二七%の減少となっており、本県の高校生は製造業への就職する割合が高いことからも、生徒の希望する業種や企業への就職に関して影響があるものと予想され、生徒と企業とのマッチングは非常に重要であると考えます。 本県においては、例年五月を県内就職促進月間として県内企業や経済団体、関係団体等に対して、高校生を含む新卒予定者等の県内就職の確保・拡大の要請をされています。 国においても、全国的に大学生などの就職については、一部の企業が採用を取りやめたり、内定を取り消すといった事例も出てきており、政府は経団連などに対し、学校卒業後三年は新卒扱いとして企業が積極的に採用するように要請を行っている状況でもあります。 新型コロナウイルスによる高校生の就職への影響は見通せない状況でありますが、こうした影響は、今年に限ってのものではなく今後も続くものとして、長期的な視野に立って、学校現場における適切な指導とその体制づくりが必要であると考えております。 県教委におかれては、生徒が希望する職種や企業と可能な限り結びつくことができるよう、また、就職後のミスマッチや早期離職とならないように、生徒一人一人の希望する進路が実現できるよう最大限の支援を行っていただきたいと願うところであります。 そこでお尋ねをいたします。新型コロナウイルスによる高校生の就職への様々な影響を踏まえ、生徒の希望に沿った就職に向けた支援や指導に、今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、魅力ある学校と人づくりについてお尋ねをいたします。 私は、全ての原点は人づくりだと思っています。人が社会をつくり、人が世の中を動かし、人が未来をつくる。そのような中で、人づくりの基礎となるのが教育であると考えています。 子供たちの中には、勉強の好きな子、運動が得意な子、楽器の演奏や歌うことが好きな子、料理に興味のある子などそれぞれに得意なものがあり、一方でそうではない不得意なものもあり、皆それぞれに個性があります。 子供たちの個性や能力を発見し、不得意なところは努力しながら補い、得意なところはさらに伸ばしていけるよう導いていくのが教育であり、それが人づくりなのではないかと思っています。 将来ある子供たちの個性や能力を伸ばしていく、これは県教委におかれても同じ思いであると思います。県教委では、県立高校については、生徒のニーズの多様化や地域の状況の変化等を踏まえた上で、平成二十八年度からは、中学生が県内どの地域からでも進学したい高校を選び、入学試験を受けることができるように通学区域の全県一区化の取組を始められました。 特色ある学校とは、それぞれの学校が専門性を持ち、魅力的で、目標を持った子供たちがそれぞれの目標に向かって学ぶことのできる環境がある、それこそが特色ある魅力的な学校なのではないかと思います。 私は縁あって現在、山口県相撲連盟の会長をさせていただいております。去る九月二十七日、県武道館において相撲競技の山口県大会と女子相撲秋季大会が開催されました。 この相撲に関してですが、県内の高校で相撲部のある学校は現在二校あります。そのうち下関北高校には県内唯一の女子選手が二名在籍をしていますが、その二人の選手に聞くと、日頃の練習は女子が二人しかいないため、いつも決まった相手との練習となるため、男子選手に混じってぶつかり稽古なども行っているとのことでした。 また、二人のうちの一人にはお姉さんがおられ、中学生時代から非常に強い選手でありましたが、高校進学時には女子が相撲のできる環境と、一層強くなるための指導者のいる学校が県内にないとの理由で、名門の鳥取城北高校に進学をし、現在も相撲を頑張っています。 部活動に関しての一例を申し上げましたが、学力、スポーツ、文化など、いずれにしても、今後、魅力と専門性を備えた学校づくりを進めていくことは、子供たちが進みたい道の選択肢を多くつくり出すことにつながり、入学した子供たちの能力を最大限引き伸ばすことができる優れた指導者を配置することも必要ではないかと考えます。 そこでお尋ねをいたします。様々な学びの場である県立高校について、魅力があり特色ある学校づくりと、そこでの人づくりについて、県教委ではどのようなお考えの下、今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に、警察行政のうち大規模災害の発生時等における交通渋滞対策についてお尋ねをいたします。 近年、交通情勢については、交通事故の発生件数・死亡者数ともに全国的に減少傾向にあります。 本県でも、人身交通事故や死亡者数は減少を続けており、昨年の交通事故死者数については、統計を取り始めた昭和二十六年以降の最少を更新しており、県警における様々な交通安全対策の取組の成果が現れてきています。 一方で、近年、全国各地で発生する大規模災害等の影響により、多くの通行止め区間等の発生と、交通網の遮断による長時間にわたる交通渋滞が続き、我々の生活への影響はもとより、被災地へ向かう救助活動の遅れなどが懸念されております。 特に救助活動の遅れは、人命に直結するため、交通の安全と円滑を確保することが重要で、県警や道路管理者など関係機関等の連携による早急な対策が求められています。 令和二年七月豪雨では、幸いにも本県では大きな被害はありませんでしたが、七月七日から八日にかけて、大雨や強風等の影響により関門橋は通行止めとなり、九州と本州を結ぶルートは関門トンネルのみとなったため、下関インターチェンジ付近では大渋滞が発生をし、長時間にわたり車両が長蛇の列をなしておりました。 私も六月定例会後の帰宅の際、中国自動車道下りの王司パーキングエリア付近から、ちょうどその大渋滞にはまり、渋滞を抜けるのに四時間半を要し、下関市内の自宅に着いたのは夜八時を過ぎていました。 当時のSNS上では、九州へ入れず十二時間飲まず食わず、トイレにも行けない、早く第二関門橋かトンネルを造ってほしいなどと、渋滞に関する投稿が相次いでおり、実際に大渋滞が解消したのは、日付の替わった深夜零時過ぎであったようです。 私が大渋滞にかかっていた四時間半の間に、救急車が何度も渋滞する車の間を走り抜けるのを目撃しましたが、恐らく長時間車内で身動きが取れず、途中で気分が悪くなった方も多かったからではないかと考えられます。 また、九州豪雨災害の応援に向かう自衛隊車両や各県から出動している消防車両なども渋滞の中に巻き込まれ、身動きが取れず、本来の重要な任務である人命救助活動に支障を来しかねない状況となっておりました。 このたびの渋滞では、関門橋と関門トンネルの両方が通行止めになったわけではなく、トンネル側は通行可能な状況であったにもかかわらず、関門海峡両岸の道路では大渋滞が発生しました。大雨や強風等により、関門橋が通行止めになるのは決して珍しいことではありません。 渋滞の発生原因の一つとして考えられるのは、北九州側の一般道におけるスムーズな通行ができていなかったことが大きく影響したのではないかと思います。 実際、下関側から関門トンネルを抜けての門司では、抜けて数メートルのところに最初の信号機があり、その後直線で約一キロ未満に八か所余りの交差点が存在し、信号機が設置されています。 それらの信号機が平常時と同様に作動すれば、通行車両の急な増加によりたちまち大渋滞を引き起こしてしまい、その影響は、関門トンネルから下関インターやその先の中国自動車道へとつながっていきます。 今、国が調査検討に入っている下関北九州道路の早期実現の必要性は言うまでもありませんが、すぐに実現するものでもなく、今後、今回同様の豪雨等が発生した場合、同じような大渋滞が起きかねないと懸念しています。 渋滞の発生要因には、時間帯による通行量や下関側と九州側両方の一般道における交通状況も大きく影響するため、県民や利用するドライバーに対して渋滞の発生を速やかに周知する情報発信体制の確立と、隣接する山口・福岡両県警が相互に連携をし、有事の際には交通状況をリアルタイムで把握した上で、信号機の設置箇所や信号数等に応じて、柔軟に信号操作を行うなど、渋滞の発生しにくい道路環境の整備に努めていくことが何より重要と考えます。 そこでお尋ねをいたします。大規模災害の発生時等に頻発する交通渋滞の現状をどのように認識し、渋滞を解消し、交通の安全と円滑化を確保するため、今後どのように取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。 質問は以上ですが、終わりに一言申し上げます。 本年も残すところ一か月を切りました。皆様にとってどんな一年であったでしょうか。聞くまでもなく、新型コロナウイルスに翻弄され、これまでとは違った生活や活動となった一年であったことと思います。 まさに世の中の動きが変わり、全てが一変し、新たな生活様式の中でスタートした年と言っても過言ではなかったことと思います。 根源となったコロナウイルスの終息の気配は見えないままに年末を迎え、そして新たな年を迎えようとしております。 来る令和三年には、コロナウイルスも終息し、山口県にとりまして一層発展する年となりますことと併せて、山口県民全ての皆様にとって実り多き輝かしい一年となりますことをお祈り申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)平岡議員の御質問にお答えします。 まず、都会から地方への新たな人の流れの創出についてです。 コロナ禍を契機としたテレワークの急速な普及により、場所や時間にとらわれない働き方の新しいスタイルが定着しつつあり、東京の会社に勤務しながら地方で暮らすといったライフスタイルも、今や現実のものとなりつつあります。 国においても、社会変革の動きやコロナ禍で浮き彫りとなった都市部の人口集中リスク等を踏まえ、東京一極集中型から多極分散型へ向けた国づくりが進められようとしています。 こうした動きを捉え、私は、今年度の政府要望において、過度な東京一極集中の是正をはじめ、都市と地方を結ぶ地方創生テレワークの推進など、都市から地方へ人を押し出す政策の強化を国に求めたところです。 その結果、来年度の概算要求では、本県の提案も踏まえて、テレワーク移住の推進が掲げられ、受皿となる拠点施設の整備への支援や、テレワーク移住者への移住支援金の支給などの新たな施策が盛り込まれています。 私は、こうした国の政策と連携し、社会変革に対応した、本県への新たな人の流れを創出する取組を強力に進めていきたいと考えています。 まず、テレワーク移住については、移住者の受皿づくりや、本県に人を呼び込む仕組みの構築などの具体的な検討を加速してまいります。 また、移住の裾野を拡大するワーケーションについても、テレワーク移住の取組との効果的な連携を図りつつ、今後、県内市町とのネットワーク化等により、地域活性化にも資する本県の特色を生かした推進モデルを構築していく考えです。 これらの取組を進めるためには、県内全ての地域での情報通信環境の確保が不可欠であることから、引き続き、市町や通信事業者に対して、情報通信環境の整備を積極的に働きかけてまいります。 さらに、本県が移住先やワーケーションの目的地に選ばれる上での重要な課題は、移住者等のニーズへの対応や、他県にはない付加価値の創出、訴求力の高いプロモーションなどの誘導策であると考えています。 このため、市町や関係団体に加え、首都圏の民間企業とも連携しながら、企業や働き手の視点も踏まえた受入れ体制の構築など、本県ならではの魅力的な働き方について検討を深めてまいります。 私は、市町や企業等と連携しながら、コロナ禍で高まった働き方の新しいスタイルに的確に対応し、本県への新たな人の流れの創出に全力で取り組んでまいります。 次に、インバウンドの推進についてのお尋ねにお答えします。 現在、海外からの誘客は入国制限措置などにより、非常に厳しい状況にありますが、訪日旅行の潜在的需要は依然として高く、こうした需要を本県に確実に取り込むことは、観光振興による地域経済の活性化を図る上で大変重要です。 このため、私は、現在、この局面を感染収束後に選ばれる観光地となるための準備期間と捉え、コロナの時代に対応した、効果的なプロモーションや受入れ環境の整備を進めていくこととしています。 まず、効果的なプロモーションについては、海外との往来が困難な状況にあっても、本県の魅力をしっかりと伝え、今後の誘客につなげていけるよう、新たな手法を活用した取組を積極的に展開していきます。 具体的には、お示しのオンラインによる台湾情報発信会を開催し、私自ら、本県の観光地や食のプレゼンテーションを行うとともに、県内観光事業者等とのオンライン商談会も併せて実施したところであり、今後、こうした新たな取組を他の海外市場にも拡大していくこととしています。 さらに、台湾を含む重点五市場においては、引き続き、観光プロモーターを通じて各市場のニーズに応じた情報発信を行うほか、お示しのあった在留外国人を起用した視察ツアーの実施やSNSの活用など、コロナ禍にあっても効果的なプロモーションを一層推進してまいります。 次に、受入れ環境の整備については、まず、安心・安全な観光地域づくりを進めていくため、滞在拠点となる宿泊施設に対し、感染拡大防止対策やフロント業務の自動化など、新しい生活様式への対応に向けた支援を行うこととしています。 また、コロナ禍において、三密を回避できる自然体験等へのニーズが高まっており、豊かな自然を有する本県としては、これをチャンスと捉え、魅力ある体験型コンテンツの造成を積極的に支援し、誘客拡大を図ってまいります。 加えて、外国人観光客が快適に県内を周遊できるよう、「やまぐち Free Wi─Fi」の導入促進や多言語コールセンターの積極的活用など、受入れ環境の充実に努めていきます。 私は、往来再開後の外国人観光客の確実な取り込みに向け、今後とも、政府の水際対策も注視しながら、コロナの時代に対応した効果的なプロモーションや受入れ環境の整備をしっかりと進め、感染収束後を見据えたインバウンドの推進に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)民間活力を生かした地域防災力の向上についてのお尋ねにお答えします。 大規模災害時に、県民の命と健康を守るためには、行政機関による対応に加え、民間の団体や事業者との協力体制をあらかじめ構築しておくことが重要です。 このため、県では、これまでも民間団体等との協力体制の下、災害対応を迅速かつ円滑に実施するため、支援物資の供給をはじめ、様々な分野で応援協定を締結してきたところです。 こうした中、避難生活の長期化による栄養バランスの乱れやアレルギー、難病等の個別事情に配慮した支援の重要性が高まっており、他県では、協定に基づき、栄養士会が専門的な栄養指導やアレルギー物質を含まない食品等の迅速な提供など、きめ細かな食に関する支援を実践している例があります。 こうしたことも踏まえ、県としては、被災者への食生活支援をさらに推進するため、お示しの山口県栄養士会との協定締結に向けた協議を進めるなど、引き続き、災害時等において、民間の団体や事業者の協力が得られるよう取り組んでまいります。 また、今年度から、地域と民間事業者との連携強化を進めるため、避難資機材や避難場所の提供など、地域の防災活動を支援していただける事業所を、やまぐち地域防災応援団として登録する制度を創設したところです。 現在、三十二事業所に登録いただいており、今後は、防災訓練や避難訓練等への参加を通じ、地域における災害時の備えが強化されるよう、応援団の活用を促進していくこととしています。 県としては、引き続き、民間団体等ともしっかりと連携し、民間活力を生かした地域防災力の強化に積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)教育問題に関する二点のお尋ねにお答えします。 初めに、高校生の就職支援についてです。 高校生の就職に係る採用選考開始日が、例年に比べて一か月後ろ倒しされ、また、製造業をはじめ、今年度の求人数が大きく減少する中、これから受験する就職未内定の生徒や次年度以降に就職を控えている生徒たちの希望がかなえられるよう、これまで以上にきめ細かな就職支援を行う必要があると考えています。 このため、より広域でのマッチングを視野に入れ、これまで県内七地区で実施してきた就職サポーター等で行う情報交換会を、県内三地域で七月から毎月開催するよう変更し、企業情報の共有や就職支援の進め方について協議を重ねるなど、就職相談の強化に取り組んでいます。 また、未内定者への支援の充実を図るため、就職を希望する高校生と企業の採用担当者とが直接面談を行う就職フェアを労働局等との連携により、年度当初予定していた一会場での開催から三会場に拡充して実施したところです。 一方、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化が懸念されることから、来年度に就職を考えている高校二年生等の支援として、既に十一月から教員や就職サポーター等による個人面談を開始しています。 さらに、今月開催予定の庁内関係各部で組織する会議において、コロナ禍における高校生の就職支援の在り方等についても協議し、中長期的な視点に立った支援体制の強化に努めることとしています。 県教委といたしましては、本年度中に整備される一人一台端末等もしっかりと活用しながら、企業や職種の理解の深化を図り、就職を希望する全ての生徒の進路実現に向けて全力で支援してまいります。 次に、魅力ある学校と人づくりについてです。 社会が大きく変化し、生徒の興味・関心や目的意識等が多様化する中、子供たちの個性や可能性を発見し、さらに伸ばしていく人づくりと、これを進めるための環境づくりは大変重要であると考えています。 このため、これまで県教委では、県立高校将来構想に基づき、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を進めるとともに、通学区域の全県化にも取り組むなど高校改革を進め、生徒一人一人の成長を図る教育の推進に取り組んできたところです。 そうした中、お尋ねの特色ある学校づくりにつきましては、今後も多様な生徒のニーズに対応する必要があると考えていることから、現在、国で審議されている各高校の社会的役割等の明確化を図る新たな提言等も踏まえながら、設置学科に応じた教育内容の専門性をより高めていくことなどにより、各学校の個性化・多様化を図っていくこととしています。 また、子供たちの個性や能力を伸ばしていく教育の推進については、生徒の興味・関心等に応じた指導の充実が重要であることから、幅広い科目選択が可能となる柔軟な教育課程の編成や、お示しの部活動の活性化などに取り組むとともに、専門的な指導のできる教職員の配置等を含め、子供たちの学びや育ちを支援する環境づくりを進めてまいります。 このような取組については、来年度設置を予定している次期県立高校将来構想の検討協議会においても協議してまいりたいと考えています。 県教委といたしましては、今後とも、自らの進路希望に沿った教育が受けられるよう、魅力があり特色ある学校づくりを一層推進し、生徒の個性や可能性を伸ばす教育のさらなる充実に努めてまいります。 副議長(藤生通陽君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)大規模災害の発生時等における交通渋滞対策のお尋ねにお答えいたします。 議員お示しのとおり、令和二年七月豪雨では、大雨の影響により関門橋が約十六時間にわたり通行止めになりました。県警察では、交通情報板を活用して、関門自動車道通行止めの情報を道路利用者に直ちに提供したほか、ボトルネックとなっていた十九か所の交差点信号機の調整を行いましたが、関門トンネルへの車両の集中、九州側の高速道路の通行止めなども要因となって、下関市内ではピーク時約二十キロメートルもの渋滞が発生いたしました。 このような大規模な災害発生に伴う交通渋滞は、風水害が頻発する昨今の状況を踏まえると、今後も発生が懸念されるところであります。 県警察としても、災害発生時における日々刻々と変わる道路及び交通情報の収集と提供、隣接する県警察及び道路管理者等との連携について、一層の取組を図ることが重要であると認識しているところです。 県警察においては、今回の経験も踏まえ、災害等に伴う渋滞を緩和し、交通の安全と円滑を確保する観点から、警察活動を通じて収集した情報、道路管理者が設置したカメラから得られる情報、道路管理者が把握した道路の異状等の情報、隣接する県警察から得られる情報等を集約し、ドライバーや車両での外出を考えておられる県民の皆様に対し、警察が把握した混雑状況等の情報を可能な限り提供できるよう取り組んでまいる所存です。 具体的には、公安委員会設置の交通情報板や道路管理者設置の道路情報板での広域での活用に加え、関係する市町、さらにはテレビ、ラジオ等の報道機関を通じた提供等についても、検討してまいりたいと思います。 また、交通渋滞のボトルネックとなり得る交差点については、車両の集中が予想される段階から信号機の調整を行うとともに、隣接する県警察とリアルタイムに交通情報を共有し、県をまたいだ信号調整により、円滑な交通を確保してまいります。 県警察といたしましては、道路管理者、関係市町等とより緊密に連携し、平素からの準備、検討も含め、迅速かつ確実な交通対策が実施できるよう努めてまいります。 副議長(藤生通陽君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。