1 首都圏への県産品売込み強化について 2 企業活動の多角化による中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化について 3 中山間地域における移住・定住の推進について 4 山陰道の建設促進と周辺ネットワークの構築について 5 上関大橋損傷に伴う県の対応について 6 高校生の職業観の醸成と職業教育の取組について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 笠本俊也君。 〔笠本俊也君登壇〕(拍手) 笠本俊也君 おはようございます。自由民主党の笠本俊也でございます。令和二年十一月定例会の一般質問のトップバッターを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 さて、人への感染が昨年末より本格化したコロナ禍は、多くの人の終息の願いとは裏腹に、既に一年が経過しようとしておりますが、いまだなお、その勢いは増してきております。 この一年を振り返ってみても、コロナ禍という制限により、県民の日々の暮らしに必要不可欠な産業に対し、飲食、観光、レジャーなどといった県民の心を潤わすサービス産業は、これまで予想できた需要を一気に失い、そしてこれまで地域経済圏の中で相互がつながり、仕事を補完し合ってもいたその他多くの事業者の経済活動自体も、広範囲かつ長期にわたる大きな打撃を受け、厳しい経営を余儀なくされてまいりました。 人口減で地域経済圏が縮小し、産業や生活サービスが時代の流れの中で淘汰されていくという構図ではなく、突発的な一つの災いがここまで地域社会の日常の暮らしをむしばむなど、予想もできず、多くの企業や個人もこのような経験を通じて、これまでの経営の仕方や生き方、暮らし方を続けることで本当に自らの未来予想図は描けるのか、今もなお考えさせられています。 今後、ますます企業や個人が自力だけでではできないを応援する施策が、本県には求められていくことになるでしょう。 そうした中で、当面を繕うではなく、課題の本質に迫る支援策が求められていくことにもなるでしょう。 村岡知事もコロナの時代の県づくりの取組について、前進の姿勢を示しておられるとおり、ピンチを真のチャンスに変えていけるよう、そして、より具体的・本質的に県が抱える課題解決に近づくよう、私も力を尽くしてまいります。 そうした観点で、通告に従い一般質問を行います。 最初に、首都圏への県産品売り込み強化についてお尋ねいたします。 まず、地域商社の取組についてです。 首都圏での県産品需要拡大の原動力となったのは、平成二十七年に県と山口銀行が締結した包括連携協定に基づく地域商社のスタートです。 全国的にも先進的な取組であり、企画、営業という役割を担う地域商社は、地域に密着した活動を得意とし、大手商社にはない小回りの利く展開を推進してこられました。 現在、県では、売り込み組織として、オールやまぐち!県産品売り込み会議を立ち上げ、やまぐち県産品売り込み強化事業やオールやまぐち!県産品売り込み体制構築事業により、その取組を後押ししています。 しかし、売り込みの鍵を握る地域商社、物産協会、やまぐちの農林水産物需要拡大協議会の所管は分かれており、効率的な実施のために一本化していく体制や、東京事務所のマンパワーの強化など、まずは、売り込みの動きを一緒になって支える体制のさらなる強化を要望しておきます。 さて、首都圏での県産品の需要拡大に向けては、私は二つの課題が従前から存在していると感じています。 一つは物流の課題、もう一つはバイヤーとのつなぎ役機能の弱さという課題です。 物流、とりわけ物流経費については、県内各地域から首都圏バイヤーまで求められるスピードで陸送、空輸するにも、冷蔵・冷凍での配送料加算など、小ロットであっても結構な経費がかかります。 そうなると飲食店等の首都圏バイヤーにとっては、現地仕入れ品と比較して、本県産食材を使ったメニューに見合う売価が顧客に訴求・提供できるかが取扱いの鍵を握ることとなり、県産品の取扱いにちゅうちょされたり、続かなかったりという結果を経験してきました。 本県でも、そうした課題解決に向けて、昨年度は、共同輸送実現可能性に向けた検討も進められており、その中で課題も見えてきていると伺っております。 各地域から、例えば築地市場やおいでませ山口館までといった、一定の場所までの物流コスト低減と並行して、首都圏から先は連携する卸売事業者が首都圏内を輸送してコスト低減を図るなど、本県からと首都圏内物流の組合せによる新たな物流の構築の実現に向けて、物流コスト低減に向けた調査研究を重ね、次の展開を阻む本質の課題解決の早期実現を期待します。 また、県産品とホテルや飲食店などのバイヤーとをいかにつないでいくかということは重要で、切り込みからフォローまでの営業マンが必要です。県職員もこうした活動に熱心に取り組んでこられたことは承知していますが、そこはやはりプロの力が必要と思います。 ここ数年でその課題克服に向けた動きは大きく加速しており、先ほどの事業において、大手食品卸売商社と連携した展示会出展や、首都圏バイヤーや飲食店等を対象とした商社主催の商談会の開催、売り込みのための宣伝カーでの移動販売等、商品販売的視点だけでなく、県産品を食すことで売るというPRも行っておられ、商社の売上げは一・六億となっており、今後は山口フィナンシャルグループの首都圏における幅広いネットワークを生かした、さらなる成果を期待しております。 今後の県産品需要拡大に向けては、こうした取組を県内の事業者、生産者にも大いに知っていただくことが何より大切ですし、多くの関係者がより参画しやすいビジネス環境をつくり出していかなければならず、攻めの姿勢のさらなる進化が必要と考えます。 私もこれまで商談会等に出席し、バイヤーさんに県産品拡販に向けた御意見を伺い考えさせられたのは、商品を陳列して売る、待ちの商売だけでは、全国津々浦々の商品に勝ち、大ヒット商品を生み出さない限り需要拡大は困難を極めること、一方で、店舗で朝昼晩三食提供するホテルや飲食店などは、毎食、利用者数にほぼ比例した多くの需要が確定しており、そうした市場への一次加工食材の売り込みに力を注ぐことができないか。 また、そうしたバイヤーとの交渉との際に、ロットがそろわないというような課題があれば、そうした情報を生産現場にしっかり還元し、ロットをそろえていけるような仕組みをつくっていくことができないのか、諦めずにそれが団体や生産者の協力を得てできるのか否かまでチャレンジする姿勢を取って、貴重な潜在需要に向き合い、実際の一次産業者の所得の向上につなげていくことこそが、県や地域商社の一つの本質的な役割ではないかと考えています。 物流面やつなぎ役面、そして関係者の役割分担を確立するとともに、事業者の売上げが増える、そして、その恩恵が生産者に還元される好循環につながることを期待しています。 そこでお尋ねいたします。今後の商社を軸として県産品がさらに大きく動く仕組みを構築していくため、どのように地域商社の取組を支援し、首都圏への県産品売り込み強化に取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 首都圏への県産品売り込み強化の二つ目、おいでませ山口館の役割と在り方についてお伺いいたします。 先般、東京日本橋のビジネス街に店舗を構えるアンテナショップ、おいでませ山口館を訪問しました。コロナ禍の中でも少ないスタッフが客目線で県産品を熱心にPRしている姿を拝見いたしました。 県産品の販路拡大の首都圏拠点として、また県の広告塔として、物産協会や関係部局、東京事務所がこれまで構築してこられた館運営の努力に頭が下がる思いです。 しかしながら、首都圏での販路拡大のために求められるさらなる役割を担い、地域商社とともに一層の成果を上げていくためには、今後、新たな展開も求められているのではないかと考えます。 つまり、私は、おいでませ山口館が観光物産のPR拠点としてだけではなく、館内での県産の食の機会の提供や、首都圏まで、また首都圏内の物流をも担う拠点として、今後、そうした新たな役割を果たすことが、県産品の首都圏顧客に対する浸透と信頼、ひいては販売拡大へとつながる重要なポイントではないかと考えます。 県内農林水産生産者の生産意欲を支えることにも大きくつながる県産品の需要拡大のために、おいでませ山口館が、先ほどの物流面の質問のとおり、地域商社の直売・卸機能をも果たしていただくことや、イートインの拠点としてなど、さらなる機能強化が私は欠かせないものだと考えます。 また、コロナ禍により実際に本県に来ることが以前よりも困難となっており、これからは館内での様々な体験など、その土地に行ったような気分になるイベントの実施も重要になってくるため、そうしたことにもしっかり取り組む必要があると考えます。 ここは、おいでませ山口館の立地の分かりにくさの解消も含め、イートインや卸機能の充実、イベント開催スペースの確保などのために、今の場所ではどうしても手狭であるため、思い切って新たな地に移転することも、一考の価値があると考えます。 現在、首都圏において販路拡大の動きが加速化している中、実店舗という強みを持つ、首都圏の顔であるおいでませ山口館にも、より一層頑張っていただきたいと期待しています。 そこでお尋ねします。県産品の売り込み強化に向けた、今後のおいでませ山口館の役割と在り方について、どのように考えているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、企業活動の多角化による中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化についてお尋ねいたします。 今年七月、長門市においては、林業の成長産業化を具体的に地域として進めるため、林業事業者と地域の土木事業関係者、そして行政が事業連携したリフォレながとという林業関係の一般社団法人を設立されました。 林業は御承知のとおり、資源こそあるものの、現場の担い手不足が深刻であり、土木事業も担い手不足はもとより、将来にわたり地元に根差した仕事の確保のため、新たな分野への展開が求められており、双方のニーズを共有して人手不足と関連技術を生かし補い合い、今後一つの新たな経営を展開していく仕組みが構築されつつあり、潜在する森林資源を原資に、相互の産業の持つ仕事の幅自体が大きく広がることも期待されています。 成熟した地方都市においては、人口減少・高齢化が進行し、それに伴い社会・経済が縮小する中、中小企業や小規模事業者も、これまでの考え方を変えて、地域の経済や雇用を支えるため、自らの経営基盤を強化していくことが求められております。 本県においても、廃業数が開業数を上回る状況も続く中、それに歯止めをかけるため、県内企業の創業・事業承継を一体的に支援しておられ、関連機関支援による創業者数も昨年度は二百八件、事業承継計画策定件数も七十九件など、成果を着実に積み重ねてこられたところです。 しかしながら、今後とも県内各地域の県民の暮らしに密着した産業までもが低迷していくことが考えられ、創業・事業承継施策などの強化に加え、事業者個別対策の考え方の中に、例えば、農林水産業において生産者の所得確保や異業種連携に向けた六次産業化や農商工連携があるように、関係業界による事業連携や、一次、二次、三次産業相互の事業を組み合わせるためのニーズの掘り起こしや、その連携に向けた仕組みづくりなどの考え方を加える必要があります。 このように、事業の連携や収益を上げるための新たなチャレンジなど、企業活動の多角化を図り、事業者がメインの事業だけにとどまらない経営が構築できるような支援をしっかり展開していただきたく考えます。 そのためには、人・金・物など不足しがちな経営資源を補う企業関連携や、M&Aを中心とした事業承継、経営の改善・革新による新たな事業展開などをより対象を広く、そしてより深く、後押しすることが重要であると考えます。 そこでお尋ねします。県では、企業活動の多角化による中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化について、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中山間地域における移住・定住の推進についてお尋ねいたします。 県においては、山口への人の還流・移住の推進を、まち・ひと・しごと創生総合戦略の柱として取り組まれており、東京、大阪、山口に移住相談のための、やまぐち暮らし支援センターの設置、さらに、今年七月からは、関係人口の創出を目指した、おいでませ山口館への山口つながる案内所の開設など、本県への移住者や、本県につながりや関わりを持ってもらえる人の増加に向けて、様々な施策を展開されております。 こうした取組により、昨年度の移住相談は年間約九千件、移住者数も平成二十八年度の千六百人から、令和元年度には三千百人と増加し、つなぎ役としての一定の役割を果たされてきたと感じています。 しかしながら、個別の地域に目を向けますと、山陰側の市町や旧郡部の町では、実際の移住になかなか結実していないという状況も見受けられます。 コロナ禍を契機に、都市部の若者層の地方移住への関心が高まっているとの調査結果も報告されていますが、実際に移住できるか否かは、とりわけ若者層にとっては、移住先で一定の所得水準でなりわいを立てることができるかどうかが、極めて重要なファクターでもあると私は考えています。 山陰側の市町や旧郡部をはじめとした中山間地域においては、域内人口に比例し需要規模は小さく、主な産業である農林水産業への就業も、都市部での一般的な就職と比べ所得が少なくなるという厳しい現実があります。 ゆえに、中山間地域への移住を推進するためには、創業、就業、就農などをそれ単一ではなく、複数を組み合わせてなりわいを立てる、マルチワークと言われるような生活設計が求められるのも事実です。 ある旅行業者では、コロナ禍を乗り越えるため、給与は支払える分だけは出すが、後は社員の副業を認め、社員は漁師としても働くことで収入激減を乗り越え、漁業の担い手不足対策にもつながっているという報道がありました。 こうした働き方は、今後も広がっていくように思われますし、リモートワークの活用により、都市部の仕事を中山間地域ですることもますます可能となっていくと考えられます。 また、多様な職業の組合せによるなりわいの立て方は、これからの若者にとっても一つの生き方として映るのではないでしょうか。 私は、中山間地域での移住・定住を一層進めていくため、本県の中山間地域でも一定の収入を得て暮らしていけるよという、職業の組合せや多様な生活設計による暮らし方をより具体的に、そして積極的に移住フェア等で提案していくことが大切だと考えます。 また、そうした仕事の組合せにより、収入を確保することを後押しする施策を展開していくことが必要なのではないかと考えます。 そこでお尋ねいたします。本県の中山間地域への移住・定住の推進に向けて、実際の移住・定住者数増につながるよう、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、山陰道の建設促進と周辺ネットワークの構築についてお尋ねいたします。 八月以降、萩、長門、下関など山陰道沿線市町におかれては、知事及び国交省に次年度の建設促進に向けた要望活動を行われました。 また、十一月二十二日には、本年開所した山陰西部国道事務所主催の起工式と地元期成同盟会主催のシンポジウムが開催され、私も山陰道建設促進山口県議会議員連盟の会長として出席させていただき、参加された皆様とともに、早期実現に向けた地域一丸の思いをお伝えさせていただいたところです。 コロナ禍の中にあっても、地域悲願の幹線道路の全線早期開通に向けた動きを、着実に進めていかなければなりません。 山陰道や小郡萩道路は、山陰地域の将来の発展に欠かせない生命線です。 救急医療や災害時の利用はもとより、農林水産、観光などの基幹産業を多く抱える、人口減少の著しい北浦地域が、持てる社会資源を生かしながら、暮らしや産業を永続していくために、地域の魅力発信や関係人口の創出など、様々な動きを進めていくためには、幹線道路は重要なインフラであり、各地域の未来予想図を作るため、関係市町と県が一丸となって、早期整備に向けた活動を展開していただきたいと考えております。 一方で、山陰道から各地域の交流拠点までの動線確保も重要であります。 山陰地域は、日本海の風景美が生み出す観光地や交流拠点が、地理上、市町主要部の北側に集中しており、山陰道の路線自体の在り方はもちろん、山陰道から観光地や拠点までの観光客等の誘導手法が肝要であると考えております。 萩市では、都市計画手続中の大井─萩間において、世界遺産の萩反射炉や萩ジオパークの笠山、明神池、萩しーまーとなど、観光地へのアクセスを強化するため、中間インターチェンジからのアクセス道路を整備することで手続が進められています。 私の暮らす長門市でも、俵山・豊田道路において、今後設置される俵山温泉インターチェンジ周辺を小さな拠点化し、拠点の基幹的役割を持つ施設としての道の駅的サービスエリア化を考えておられます。 今後は、計画段階評価中の小浜─田万川間や三隅─長門間をはじめとした未事業化区間においても、山陰道やインターチェンジの新設と併せて、インターチェンジ周辺の拠点化など、まちづくりを進める地域が目指す将来の姿を県も共有し、共に、地域に真に貢献する提案を国に訴えていくべきと考えます。 また、観光客等の動線確保のため、山陰道から観光地や拠点までアクセスする県道の整備などについても、山陰道本体の動きと並行して、市町と膝を交えて尽力をしていただきたいと願っております。 そこでお尋ねいたします。山陰道のますますの建設促進に向け、今後どのように取り組まれるのか、また、関係市町が進める地域づくりを踏まえた周辺ネットワークの構築にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、上関大橋損傷に伴う県の対応についてお尋ねします。 先月十四日に、上関町の本土と長島を結ぶ唯一の陸路である上関大橋の損傷事故が発生して、半月が経過しました。 この間、県では、部分通行再開と全面復旧に向けた工法検討等を最優先に取り組んでこられました。まずは、携わっておられる関係職員の皆様の御努力に敬意を表します。 一方で、部分通行が再開された今も、朝夕の時間帯を中心に慢性的な渋滞が発生し、通勤、通学、通院といった生活面や地元農水産物の出荷輸送などの経済面に大きな影響が生じています。上関町が置かれている厳しい状況に危機感を抱き、先週二十七日、自民党県連では、役員と地元議員が現地に赴き、柏原町長から、事故後の町内の状況と課題について直接お話をお伺いし、その内容を取りまとめ、昨日、村岡知事に届けさせていただいたところです。 柏原町長からは、全面復旧時期が見通せない中、町民の間ではこの状況がいつまで続くのだろうかと疲労感が蓄積しつつあり、早急に町民の暮らしが少しでもスムーズになるようにしなければならない。 一方で、現在の県の対応窓口は土木事務所とされていることから、こうした問題には限られた町の職員が右往左往しながら対応しているのが実態である。県には、民政分野の課題にも対応してもらえる総合窓口や全庁的な対策本部を設置していただき、各種の御支援を願いたいとの切実な要望を賜りました。 県には、一昨年、大島大橋損傷事故によって、長期にわたって通行規制と断水が続くという非常事態に町と連携して対峙してきた組織力と経験の蓄積があるはずです。そのときの経験と教訓は、今回の事故対応にどう生かされているのでしょうか。 このたびの事故を単なる道路の管理瑕疵と捉え、橋の損傷によって引き起こされた地元住民の生活や経済への影響から目を背けるようなことが、決してあってはなりません。 年内には応急工事を完成させ、交通規制が一部緩和されるとのことですが、全面復旧には相当の時間を要することから、県には、町としっかり連携しながら、損傷事故により多大な影響を受ける町民の日常生活、経済面の安定を図るべく、万全な支援をしていくことが求められます。 そこでお尋ねします。損傷事故が及ぼす影響が長期化する中、今後の県の対応に当たっては、上関大橋の早期復旧はもちろんのこと、地元上関町と町民の思いに寄り添った対策をきめ細かく講じていくことが不可欠であると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、高校生の職業観の醸成と職業教育の取組についてお尋ねいたします。 現在、県では、県内の医師確保に苦戦している中、大学地域枠拡大など、早期の段階から担い手としての意識づけを行う施策を展開され、こうした取組が県内就業に結実するよう、県自体が定着確保の対策を展開しておられます。 県民の命を守る医療現場の担い手確保に向け、知恵を出し、懸命な御努力をいただいている県のこうした姿勢を、私は大いに評価しておりますし、結果に結実してほしいと願っております。 グローバル競争の加速化や産業構造の変化、雇用形態の多様化・流動化が大きく進む中、将来自分は何の職業に就くのか、どんな事業をするのか、若い皆さんの夢がより早い時期に形成されれば、未来に向けて自らがどのように行動するべきなのかが鮮明になると思います。 若い皆さんが早い段階から、将来の目標やなりたい職業を考えてビジョンを持ちスキルを磨くことは、将来に希望を持つ上でも大切なことで、もちろん、学校だけではなく、家庭や社会全体で、子供たちが将来の目標を持てるようにサポートすることは重要なことだと考えます。 先ほどの医師確保の例であれば、高校生だけでなく、希望する人はさらに早期から医業の現場に触れることで、本人のより強い職業観の醸成にも、山口県の医師不足への認識にも必ずやつながっていくものと私は感じております。 同様に、高校生が将来希望する職域について、事業者や企業と早い段階から対話する機会や、学習過程における職域に関する学びの連携は、個々の夢の実現はもとより、県内人材確保の観点からも大切な視点だと考えます。 次世代の人材育成は、このように夢を持つ段階からの教育体制が重要で、今後さらに研究・進化できないものかと考えます。 そのため、現在行っておられるコミュニティ・スクールも、生徒が社会や仕事により近づける取組を各高校で実施され、さらに発展させていただきたいと思いますし、生徒の夢の実現を後押しし、社会やその職についての専門性を学ぶための取組として、コースや学科の設置や授業での取組のほか、学校のクラブ活動など様々な手法で進めていくことも一考に値すると考えます。 また、農業、水産業、工業といった専門高校においても、今以上に先進的・専門的な学びができる環境を整え、世界を視野に仕事ができるスキルを育てる教育を実現することで、県内のみならず全国からも生徒を募集し、地元の自然や企業の取組等をフルに活用した人材育成ができる体制をつくることも視野に、職業教育に踏み込んでいく姿勢も、今の時代、必要ではないのかと考えます。 そこでお尋ねいたします。あらゆる職業分野で担い手不足が顕著になる時代が到来することを見据え、特に、県内での若者就職につながるよう、高校生が将来の目標や希望する職業を考え、ビジョンを持ちスキルを磨くことができる環境の創出が必要だと考えますが、今後、高校における生徒の職業観の醸成と職業教育の取組をどのように進められるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 以上で私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笠本議員の御質問にお答えします。 まず、山陰道の建設促進と周辺ネットワークの構築についてです。 私は、山陰地域の豊かな農林水産資源や観光資源を有効に活用し、地域の活性化を図るとともに、ミッシングリンクを解消し、国土強靱化を図るためには、山陰道の全線整備が不可欠と考えています。 このため、これまでも政府要望や知事会など、あらゆる機会を通じ議員連盟の皆様や地元期成同盟会とも連携しながら、早期整備に向け精力的に取り組んできたところです。 こうした中、本年四月に、山陰道の整備を担当する国の新たな事務所が萩市に設置され、また、先月二十二日には、お示しの起工式やシンポジウムが開催されるなど、地元の機運も一層の高まりを見せています。 私は、この流れを加速し、早期の全線整備につなげるため、事業中区間の一日も早い完成はもとより、事業化に向けた手続が進んでいる大井─萩間や小浜─田万川間について、島根県とも連携しながら、速やかな事業化に向け精力的に取り組む考えです。 さらに、計画段階評価が行われている三隅─長門間の手続の推進など、残る未事業化区間についても、早期事業化を粘り強く国に訴えてまいります。 また、山陰道の整備効果を地域が最大限に享受するためには、市町が進める地域づくりを踏まえ、本線ルートやインターチェンジ、アクセス道路について、効果的な計画とすることが重要と考えています。 例えば、俵山地区では、長門市が進める地域づくりに併せ、国がインターチェンジを計画し、県では、そのアクセス道路となる県道美祢油谷線砂利ヶ峠バイパスの今年度中の完成を目指し、整備を進めています。 今後も、小浜─田万川間や三隅─長門間などの具体化に併せ、山陰道整備後の交通の流れの変化を踏まえ、地域が目指す将来の姿を共有し、その実現につながる道路計画となるよう、関係市町と連携し国と協議を進める考えです。 私は、山陰地域の活性化を確かなものとするため、引き続き、関係市町と緊密に連携し、県議会の皆様のお力添えもいただきながら、山陰道をはじめとした道路ネットワークの整備に積極果敢に取り組んでまいります。 次に、上関大橋損傷に伴う県の対応についてのお尋ねにお答えします。 まず、このたびの上関大橋の損傷により交通事故に遭われた方にお見舞いを申し上げますとともに、上関町民をはじめ、橋を利用される方々の日常生活や経済活動に大変な御不便をおかけしていることにつきまして、この場をお借りしておわびを申し上げます。 私は、この橋が長島と本土をつなぐ唯一の橋であり、生活上不可欠なものであることから、先月十六日に現地に赴き、道路状況と水道等のライフラインへの影響を確認するとともに、柏原町長にお会いし、県としてしっかり対応していくことをお伝えしたところです。 こうした中、橋の全面通行止めは、長島に住む方にとって死活問題であることから、まずは、速やかに応急工事を実施して、車両の制限はあるものの片側交互通行を開始しました。 その上で、橋の復旧に向けては、先月二十四日に、国や学識経験者等で構成する上関大橋復旧検討会議を開催し、損傷原因の推定や応急対策の方向性等について検討を始めたところです。 しかしながら、当面の間、全面復旧の見通しが立たないことから、少しでも早くスムーズな通行が可能となるよう、専門家の助言を得ながら、追加の応急工事を実施し、車両の通行制限の段階的な緩和に取り組んでまいります。 また、事態の長期化により、住民の方々の日常生活や経済活動等への幅広い影響が懸念されることから、私は、全庁を挙げて対策を講じていかなければならないと考えています。 このため、大島大橋損傷事故の経験も生かしながら、昨日の自民党県連からの申入れも踏まえ、こうした幅広い課題に的確に対応するため、副知事を本部長とする上関大橋損傷対策本部を正式に立ち上げたところです。 今後は、こうした体制の下で、上関町の現状や要望等をきめ細かく把握するとともに、町と連携しながら臨時船の運航に係る支援など、日常生活や経済活動等への支援を迅速に行ってまいります。 私は、住民の皆様が一日も早く元の生活を取り戻すことができるよう、引き続き町と緊密に連携し、上関大橋の全面復旧はもとより、町や住民の思いに寄り添った対策に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)首都圏への県産品売り込み強化についてのお尋ねのうち、地域商社の取組についてお答えします。 県では、県内各市町や県物産協会などと連携し、地域商社やまぐちの機能を活用して、オール山口による売り込み体制を整備し、首都圏への県産品売り込み強化を進めているところです。 しかしながら、お示しのとおり、首都圏から遠い本県の事業者にとっては、物流コストの負担も大きく、また、特に小規模な事業者の場合、首都圏での営業に必要なマンパワーが不足しているという大きな課題があります。 このため、物流コストについては、県内の物流事業者や小売事業者に行った調査結果を踏まえ、おいでませ山口館を納品先とし、県内の集荷拠点と結ぶ二拠点間における共同配送によるコスト縮減に向けた実証実験を進めています。 また、マンパワー不足については、地域商社やまぐちにおいて、営業担当者の増員など体制強化が進められていることから、商社の営業代行機能を最大限活用して、展示商談会への出展支援や、出展後のフォローアップを行っています。 県としては、地域商社の取引拡大と、これに伴う生産者の利益向上という好循環を促し、魅力ある県産品の一層の販路拡大につなげていくため、こうした課題の解決を図り、オール山口による売り込みを積極的に進めてまいります。 次に、企業活動の多角化による中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化についてのお尋ねにお答えします。 県では、これまで、国の施策とも連携し、六次産業化や農商工連携など、経営資源を補完する企業間連携の手法を活用して、新商品や新サービスの開発、販路の開拓支援などに取り組んできたところです。 また、事業承継についても、国の支援策を活用して設置した事業引継ぎ支援センターを核として、商工会議所等で構成する事業承継支援ネットワーク会議を立ち上げ、円滑な事業承継を支援しています。 とりわけ、事業承継のうち、第三者への承継は事業拡大の契機ともなるものであり、事業引継ぎ支援センターにおいて、お示しのM&Aの成立に向けて必要な支援を行うなど、事業者の希望に応じた、きめ細かな対応を行っています。 また、経営革新による新事業展開は、高付加価値化や生産性の向上につながることから、専任のコーディネーターが、専門家の助言や補助金等の支援制度を活用しながら、企業に寄り添った伴走支援を行っているところです。 今後、企業活動においても、急速にデジタルトランスフォーメーションの進展が予想されることから、県としては、こうした取組に加え、ビジネス環境の変化に対応した競争力の強化のため、データとデジタル技術を活用した企業活動の多角化や経営基盤の強化を積極的に支援してまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)首都圏への県産品売り込み強化についてのお尋ねのうち、おいでませ山口館の役割と在り方についてお答えします。 おいでませ山口館は、首都圏における本県の魅力発信や認知度向上を図るためのアンテナショップとして、観光物産のPRや県産品の販売促進に取り組んでいます。 とりわけ、首都圏への県産品の売り込み強化に向けては、オールやまぐち!県産品売り込み会議を構成する、地域商社や市町、関係団体等とも連携しながら、館内外で様々な取組を進めています。 具体的には、地域商社の商品販売の拡充や市町フェアの開催、館外イベントでの出張販売などを行うとともに、店舗レイアウトの改善や仕入れ方法の効率化等を図ることにより、県産品の販売促進に努めているところです。 こうした中、コロナ禍における旅行の自粛等を契機に、都内にいながら地方の魅力に触れることのできるアンテナショップの人気は高まっており、こうした需要を確実に取り込むためには、これまで以上に県産品の売り込み強化に取り組んでいくことが必要です。 県としては、今後とも、おいでませ山口館が、本県の魅力発信や認知度向上を図る拠点としての役割を果たしていけるよう、関係団体等と連携し、県産品のさらなる売り込み強化に向けて、お示しのイートイン等の機能強化や立地環境等も含め、その在り方について様々な検討を行ってまいります。 議長(柳居俊学君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)中山間地域における移住・定住の推進についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や高齢化が急速に進む中山間地域の活性化に向けては、地域外から新たな人々を呼び込むことが重要であり、県では、市町、関係団体等と構成する「住んでみぃね!ぶちええ山口」県民会議を中心に、移住の促進や関係人口の増加に向けた様々な取組を展開しています。 特に、若い世代の移住希望者は、移住後の収入面に大きな不安があることから、専用サイトでの情報提供やセミナーの開催、開業経費の助成等により移住者の就業や創業を支援するとともに、ファイナンシャルプランナーである相談員が、具体的な生活設計の相談にも対応しているところです。 こうした中で、移住の相談件数や移住者数は年々増加してきていますが、その成果をさらに伸ばし、確実に移住・定住へと結びつけていくためには、お示しのように、多様な働き方という視点にも立って、収入の確保を後押しする施策を一層強化する必要があると考えています。 また、コロナ禍を契機として、テレワークの普及や副業・兼業の進展など、働き方自体も大きく変わりつつあり、こうした動きをしっかりと捉え、山口県への移住につながる、本県ならではの魅力ある働き方や生活設計を提案していきたいと考えています。 具体的には、地域特性を踏まえ、テレワークでの遠隔勤務等も視野に入れながら、県内各地における多様な仕事の組合せをモデル化するとともに、支援施策や本県に移住されたマルチワーカーの方々の暮らしぶりとも併せて、広くPRする取組などを検討してまいります。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と連携し、中山間地域での多様で生き生きとしたライフスタイルの発信や、その実現に向けた支援を強化することにより、本県への移住・定住の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)高校生の職業観の醸成と職業教育の取組についてのお尋ねにお答えします。 技術革新の進展や産業構造の変化等、社会が大きく変化し予測が困難な時代を迎える中、お示しのとおり、高校生が早い時期に将来の目標やなりたい職業を考えてビジョンを持ち、職業人に求められる資質・能力を身につけることは重要であると考えています。 このため、高等学校等においては、入学後の早い段階からインターンシップ等の体験活動を通じて、生徒が自己理解を深めながら将来の夢を描き、働くことの意義や目的を探究することにより、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度の育成を図っているところです。 また、本年度、全ての公立高等学校等において導入が完了したコミュニティ・スクールの仕組みを生かし、家庭や地域、産業界等との連携によりキャリア教育の強化を進めるとともに、将来の職業選択につながるよう、大学の医学部や工学部などの訪問を通じて、高度な専門教育に触れる機会を創出し、働くことへの価値観の育成にも努めています。 こうした中、本県産業を支える人材を育成するため、今後、地域産業魅力発見セミナー等において、地元に就職した卒業生や企業の方のみならず、Iターンをされた方など、様々な年代・職種の方々を講師とした座談会等を実施することにより、県内の企業等に対する理解を促進し、職業観の深化を図ることとしています。 とりわけ、これからの専門高校等においては、地方創生に資する職業人材の持続的な育成が求められていることから、県内の八校が協働して模擬会社を設立し、企業等と連携しながらオリジナルブランドの開発など、新たな価値の創造につながる教育活動を今年度から展開しています。 次年度は、こうした模擬会社の取組に加え、現在導入を進めている一人一台端末も活用しながら、全ての専門高校等で起業に係る講座等を実施することなどにより、職業人材の育成につながる教育を推進していくこととしています。 県教委といたしましては、こうした取組を着実に進めることで、一人一人の生徒に望ましい職業観を醸成するとともに、職業教育のさらなる充実に努めてまいります。