1 県全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進について 2 防災・減災の取り組みについて 3 障がい者が安心して過ごして頂ける共生社会を目指して 4 医業承継の取り組みについて 5 警察活動協力医の体制整備について 6 HPVワクチン接種の周知と助成の拡大について 7 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで 副議長(藤生通陽君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号までを議題とし、質疑の議事を継続します。 猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 公明党の猶野でございます。質問に先立ち、一言申し上げます。 私の地元宇部市は、突然の宇部市長選挙となりましたが、見事歴代最年少の篠﨑新市長が誕生し、明年の宇部市制施行百周年に向けて新出発されました。大いにリーダーシップを発揮していただき、宇部市の新しいかじ取りを期待したいと思います。 加えて、私ども公明党は、過日行われた公明党県本部大会において、このたび先城県議が県本部新代表となりました。新たな組織が立ち上がり、私も新代表の命を受け、デジタル分野の責任者を仰せつかりましたので、早速、今定例会の質問冒頭に加えさせていただきました。私自身、新たな決意で通告に従い一般質問をさせていただきます。 初めに、県全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進についてお尋ねいたします。 十一月十一日、山口グランドホテルで行われた山口県5G研究会分野別セミナーに参加させていただきました。本県や一般財団法人山口県ニューメディア推進財団が主催となって行われた講演会ですが、企業からは、本県におけるスマートファクトリー実現に向けたローカル5Gの取組や活用事例の紹介、また、主催者である県からは、今後、これら活用に向けた支援等の内容について案内があり、大変有意義なものでありました。 国では、デジタル庁の設置が予定され、各省庁のデジタル化を推進する司令塔として動き始めようとしております。 本県においても、行政手続全般の迅速化を目指すため、行政機関のデジタル化の推進はもとより、市町や県内企業、団体などのデジタル化を支援していく必要があります。 ここ最近、DXという言葉が目立つようになりましたが、DXイコールIT化と勘違いしている人も多いようであります。 DXとは、ITの活用を通じて、つまりIT化を手段としてビジネスモデルや組織を変革することを意味しますが、それは自分たちの企業や団体だけ、一組織だけがDX化、新しい事業モデルの変革を行うのではなく、社会全体でやらなければ意味がありません。 今の現代社会は、これまでも多くの企業がデジタル化を進めてきた結果、日常生活にデジタルが浸透し、アマゾンのように場所にとらわれずにネットで買物ができ、友人と家族と会話することがオンライン会議で可能になりました。これは行動のDXと呼ばれます。 映画や音楽は、DVDやブルーレイディスクを買わなくても動画配信で見られるようになりました。これは物のDXであります。最近では、知識や経験もDX化され始めております。 これらを実現するのは、一組織の変革だけでは成功できず、連携すべきパートナーがあって初めて成り立つことと言えます。 これから山口県が目指すDXの推進というのは、ポストデジタル時代であり、それは、企業活動や市民生活においてデジタルは完全に日常化し、事業運営や日常生活に浸透している時代であります。 つまり、デジタル化は次の段階へと遷移しており、DXをすることが当たり前、デジタル化は差別化要因にならない社会を目指さなければならないと言われております。 県がこのたび打ち出された脱判こについても、技術的に承認作業をデジタル化することは簡単ですが、判こ文化が根づいた習慣やビジネススタイルを変革する必要があり、今後の展開によっては、県と取引のある企業や団体への変革を伴う必要性も考えられます。 コロナ禍において、小中学校のオンライン授業、企業によるオンライン会議は進んできましたが、ITの専門性がないため、オンライン会議や授業の移行に二の足を踏んでいる企業やコロナ不況で売上げが落ち込み、資金面からデジタル化が進んでいない企業も少なくありません。オンライン授業や会議が当たり前の活動になる中で、それに追いつけない組織があるようでは、真のDXとは呼びません。 本県には、中山間地域が多く、高齢化や人口減少問題を考えれば、先ほど申し上げた行動のDX化によって、買物や移動手段の支援につながることもあり得ます。 そのためには、中山間地域のDX推進支援や曽田議員もよく言われる、いまだ光ファイバー網ですら整備が進んでいない地域へのインフラ整備等が、県内でも重要視されます。 本県全体のDX推進に向けて、まずは県内経済を支える企業や団体の支援が不可欠であります。そのためには、デジタル化推進に悩んでいる企業、団体の相談窓口の設置やIT専門人材の派遣、さらには補助制度の構築など、県として支援体制を確立する必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。今後の県全体のDX推進に向けて、県はどのように取り組んでいかれるのか、御所見を伺います。 次に、防災・減災の取組について。 初めに、大規模盛土造成地の滑動崩落対策についてお尋ねいたします。 本年六月、宇部市の厚南小学校付近の盛土造成地の一部において、宅地の滑動崩落が発生し、住民の複数世帯がいまだ仮住まいによる避難を余儀なくされております。 長年、滑動崩落が危険視されてきた地域で、安全対策を求める要望がありましたが、宅地開発された民有地は、一義的には民間同士での対応が求められてきました。 しかし、当時、宅地開発をした事業者は、長年の経過とともに倒産してなくなり、住民側は、既に実態のない事業者への責任を確認する手だてはなく、また滑動崩落防止工事の莫大な費用は周辺住民だけで負担することは容易ではないため、何も手がつけられない状況が続き、今回の惨事に至っております。 また、被災世帯が公営住宅への入居を希望する際に、県と市町のどちらの窓口に相談すべきか分からず戸惑ったという声も届いているところであります。 こうした事態が起きているのは、この地域に限ったことではなく、県内、そして全国でも経年劣化した宅地の耐震化対策は課題として山積されていると考えられます。 そこで、国土交通省は、宅地防災として大規模盛土造成地の滑動崩落対策について、各自治体の取組推進が呼びかけられており、平成十八年に創設された宅地耐震化推進事業が立ち上がっております。 そこでお尋ねいたします。本県において、大規模盛土造成地の滑動崩落対策及び宅地耐震化を今後どのように進めていかれるのか、また、残念ながら被災してしまった場合の住宅確保等について、きめ細やかな支援をすべきと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、太陽光発電、蓄電システムの普及に向けてお尋ねいたします。 今年の九月に発生した台風十号は、過去最強クラスと言われ、特別警報の発表も予想されましたが、実際に日本に接近した際には予想よりも勢力が落ちたものの、非常に強い勢力として接近し、本県でも被害を受けたのは記憶に新しいところであります。 特に、台風上陸前から台風に備えた準備を進める県民も多く、スーパーやホームセンターでは、ガラスを防護するための養生テープが品切れとなり、数日間の停電も予想されたことから、備蓄用としてカップ麺やパン類、缶詰が品薄となりました。 中でも、特徴的だったのが、停電対策のための携帯用充電器やアウトドア用のポータブル電源の購入を求める動きもありましたが、近年、巨大化する台風や甚大化する災害に備え、停電対策の重要性が浮き彫りになりました。 特に今年は、コロナ禍にあって、災害が発生した場合、避難所の感染拡大防止の観点から、分散避難行動が求められていることもあり、エネルギーの自給自足ができる自宅の災害対策の強化も重要だと考えられます。 近年、FITの導入や省エネを目的としたスマートハウスの浸透により、太陽光発電は普及しているように見受けられますが、家庭用蓄電池は価格が高いこともあり、太陽光発電より普及していないようであります。 本県においては、山口県産省・創・蓄エネ関連設備導入支援補助金において推進されてきました。この事業は、県内企業や県産原材料を基に製造、加工された設備等を補助制度の対象としたため、利用者と登録事業者の双方にとって相乗効果があった事業と評価しております。 環境配慮の面だけではなく、防災の観点からもエネルギーを創出し、蓄えることのできる設備は今後ますます重要性が増すと考えられ、本事業の継続や拡充が必要だと考えられます。 そこでお尋ねいたします。災害対策にも資する太陽光発電や蓄電システム等の普及に、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見を伺います。 次に、ストーマ用品の備蓄についてお尋ねいたします。 毎年、公明党県本部として、県内の企業、団体との政策懇談会を行っておりますが、その中でも、このたび、日本オストミー協会さんから切実な御要望をいただきましたので、お伝えさせていただきます。 オストメイト──ストーマ保持者は、装具がなければ一日たりとも生活が成り立たないそうであります。近年の大規模災害における調査では、装具の持ち出しが困難であったという報告がありました。 熊本県球磨川における河川の決壊においても、濁流の中、全身ずぶぬれになったオストメイトは、一刻も早くパウチの交換が必要で、熊本県では直接の搬入が困難であったため、隣県の福岡県を通じて供給がなされ、ストーマ用品が届いたのは数日後のようであります。 一般的にオストメイトの方は、外見では判断がつきにくいため、避難所で、本人の申出がなければストーマ用品の必要性が客観的に判断つかず、またデリケートな点から、特に女性からは言い出しにくいケースもあり、大規模な災害であっても、避難所への行動にちゅうちょされることもあり、また、プライバシー上、オストメイトは非公開なため、日本オストミー協会であっても助け合うことが困難であり、何とか行政による支援をお願いしたいとの要望でありました。 相談者からは、県内オストメイト全員分などと無理な要望をしているのではなく、一つや二つでもいいから避難所に備蓄していただきたい。もしくは、どこか一拠点でストックしていただき、避難所への供給体制をつくっていただきたい等、今どの避難所にもストーマ用品が全くない状況を憂いていらっしゃいました。 相談者の切実な要望はごもっともであり、一刻も早くストーマ用品の備蓄推進に努めていただきたいと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、障害者が安心して過ごしていただける共生社会を目指して。 初めに、視覚障害者支援についてお尋ねいたします。 二○一六年、盲導犬を連れた目の不自由な男性が、東京都内地下鉄の駅ホームから転落し、電車にはねられ死亡した事故が、視覚障害者や関係者に対し不安と衝撃を与え、ホームドアの必要性が考えられてきました。まさに一昨日も同様の事故が起こっております。 視覚障害者にとって、駅ホームは欄干のない橋に例えられるほど危険な場所であり、防止策の遅れで痛ましい事故が繰り返されております。 日本盲人会連合のアンケート調査では、約四割の視覚障害者がホームからの転落経験があり、約六割が転落しそうになったとあります。 また、一般人も含めたホーム転落件数は二○○九年から増加傾向にあります。 そこで、転落防止策として有効なのがホームドア、ホーム柵や内方線付き点状ブロックの設置と言われております。特にホームドアについては、国土交通省の検討会も、視覚障害者の転落を防止するための設備として非常に効果が高いと整備促進の重要性を説く報告書をまとめております。 しかし、全国に約九千五百ある駅のうち、ホームドアの設置がある駅は僅か八百五十八駅であります。 県内では、ホームドアが設置されている箇所は一か所もないだけではなく、新山口駅、徳山駅等新幹線ホームにすら設置されておりません。 その壁になっているのが、一日の利用者数、十万人以上とされているホームドアの設置基準であります。 しかしながら、新幹線が止まる駅は、山口県の玄関口であり、利用者数は十万人に満たないまでも視覚障害者の利用状況は多く、来県者も少なくありません。さらに猛スピードで抜けていく新幹線車両に風圧で体が動かされ、子供や高齢者にとっても非常に怖さを感じます。 また一方で、検討会の取りまとめには、利用者数、十万人未満の駅であっても、視覚障害者の利用状況や設備要望、駅の状況等を勘案して整備ともあり、JRには一律の基準にとらわれず、柔軟に対応していただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。安全整備のためのホームドア普及などの駅ホームにおける転落防止策の推進に努めた取組をお願いしたいと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 また、盲導犬を連れてカフェやレストランに入ったり、医療機関やスポーツジムに行ったり、バスやタクシーに乗ったりすることは、身体障害者補助犬法や障害者差別解消法により法的権利として認められ、施設側は受入れ義務がありますが、盲導犬同伴の受入れ拒否が後を絶ちません。 そうなると視覚障害者の行動が制限されます。障害者差別解消法はそうしたバリアをなくし、誰もが自由にどこへも行ける共生社会の実現を目指しています。盲導犬が入ってきて店舗、施設側は困惑するかもしれませんが、そういうときは話し合って歩み寄る合理的配慮を法律は求めております。 さらなる障害者差別解消法に向けた取組を推進していただきたいと考えますが、県の所見をお尋ねいたします。 次に、聴覚障害者支援についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルスの感染予防対策として、スマートフォンやPC等のオンライン会議機能を活用し、手話通訳を提供するサービスが広がっております。手話通訳者がオンライン会議に参加するため、聴覚障害者に同行せずに、映像と音声で通訳できる特徴を持っています。 宮城県では、本年九月から遠隔手話サービスの運用を開始しました。従来は、手話通訳を利用する場合、市町村に派遣依頼し、通訳者に同行してもらいます。しかし、コロナ禍にあっては、互いに感染リスクにさらされる危険性があるため、マスク着用が必要ですが、手話は表情や口の動きも意思疎通に欠かせず、通訳者がマスクを着用できないという課題がありました。 しかし、遠隔手話サービスを使えばこうした課題がクリアされ、利用者が安心して活用できる体制を整えることができます。 この遠隔手話サービスの動きは、全国都道府県の自治体に広がり、中国各県においても同様のサービスが実施されているところであります。 岡山県では、県内各市町にタブレット端末を配備するとともに、必要に応じて医療機関への貸出しを行っています。 また、遠隔手話サービスのメリットは、感染リスクを避けるだけではなく、医療機関の受診や行政の手続のほか、災害時などで交通機関が使えず通訳者が派遣できない場合も想定されております。また万一、手話通訳の人材が不足する場合でも、手話通訳者は場所の移動がないため、広域連携によって通訳ブースの協力体制を整え、利用者にサービスを提供することも可能です。 本県においても、保健所で遠隔手話サービスを開始されておりますが、本年、盲聾者通訳・介助員養成講習会が、新型コロナウイルス感染防止の観点から、やむなく開催が中止になるなど、様々な影響が出ております。そうした状況を踏まえ、聴覚障害者のコミュニケーションの支援が大変重要だと考えます。 そこでお尋ねします。聴覚障害者のコミュニケーション支援のため、遠隔手話サービスのさらなる活用に取り組むべきと考えますが、県の所見を伺います。 次に、医業承継の取組についてお尋ねいたします。 地域医療を守り育てるためには、地域医療を担う医師の育成に重点を置く大学医学部や大学病院への支援の充実を図り、専門医を養成できる制度設計、そして若手医師の確保・育成の取組ができる財政支援が必要であります。 そこで、医師の偏在解消に向けて、各都道府県による医師確保計画の策定が進んでおり、本県でも本年三月、山口県医師確保計画が策定されました。 主に医師少数区域を対象に医師派遣の調整など施策を進めることで、医師の偏在を二○三六年度までに是正することを目指しております。さらに県は、外来医療に関して偏在是正に努める外来医療計画の策定も同年に策定されています。 本県の課題は、何といっても医師の平均年齢が五十三歳、全国平均四十九・九歳と全国一高い状況にあり、特に六十歳から八十歳の医師は千三十四人で、十年間で五三%増加しております。 今後、高齢医師の引退、後継者不足による閉院が増加するのは明らかであり、この状況を待つだけでは地域医療の崩壊につながりかねないという声も上がっております。 現在、本県では、若手医師の確保・定着に向け、若手医師確保総合対策事業や医師修学資金貸与事業等を医療提供体制の安定的な確保に向け、着実な取組を行っていただいておりますが、それに加え、今後特に医師の高齢化を踏まえれば、医業承継の取組も重要になってまいります。 県医師会が行った医業承継に関するアンケート調査では、医業承継を考えている、六二・五%とあり、相談窓口の設置や情報提供、マッチング体制づくり等、必要な支援策を講じる必要があると考えます。 本県と同様に平均年齢の高い福島県では、地域医療や在宅医療の重要な担い手である診療所医師を確保するため、県が福島県医業承継バンクを設置し、バンクに登録された医師と県内診療所の就業マッチングを無料で支援しています。 具体的には、承継医募集の県外へのPR活動や承継希望医への相談対応やセミナー、現地視察等を実施し、県外の承継希望医と後継者不在の開業医のマッチングを支援することにより、地域医療・在宅医療の重要な担い手である診療所の医師の確保に役立っていると伺っています。 そこでお尋ねします。本県における医師の高齢化を踏まえ、地域医療の維持に向けた医業承継の支援の充実が重要だと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、警察活動協力医の体制整備についてお尋ねいたします。 本県の警察活動協力医は、検視及び留置被疑者の健康管理を行っていますが、特に検視に立ち会う警察活動協力医については、亡くなった方の御自宅や山中など、時間や場所が問われない大変な職務と伺っております。 令和元年の立会い件数は千百九十六件、五年前と比較すると約一六%増え、また協力医の数が減少する中、一人当たりの立会い件数は約一・二倍に増加し、協力医の負担が増しているようであります。 現在のコロナ禍における検視の感染リスクやクラスター発生のリスクを軽減するため、消毒薬等の整備や検視によって感染した際の補償、出務手当の見直し等、検視体制維持のために、さらなる出務体制の充実が求められると考えます。 そこでお尋ねいたします。警察活動協力医の体制維持について、県警察本部長の御所見を伺います。 最後に、HPVワクチン接種の周知と助成拡大についてお尋ねいたします。 子宮頸がん予防ワクチン、通称HPVワクチンは、日本でも二○一○年より国の基金事業対象ワクチンとなり接種が進みました。その後二○一三年四月より国の定期接種となりましたが、接種後に様々な症状が生じたとする報告により、自治体による積極的勧奨の差し控えを行いました。 しかし、結果として接種率はピーク時の約七○%から一%未満まで下がり、現在も変わらない状況が続いております。本県は検診率全国最下位と伺っております。 しかし、HPVワクチンは定期接種の対象であり、接種を希望する小学校六年から高校一年相当の女子は定期接種を受けることが可能ですが、接種率が低く、全国で毎年約一・一万人が罹患し、約二千八百人が亡くなられることから、医師や専門家、関係団体から情報提供や公費助成の拡大が求められております。 アメリカでは、HPVがんのない世界へとのテーマの下、HPVワクチン八○%を目指すキャンペーンを開始している一方、日本の接種率は○・三%と低い水準にとどまるどころか、最近では、HPVワクチンそのものの存在を知らない若い女性も増えてきました。 世界保健機関(WHO)や国際産科婦人科連合(FIGO)からは、HPVワクチンの効果と安全性を再確認するとともに、日本の状況を非常に危惧する声明も出されております。 さらに、日本小児科学会、日本産科婦人科学会など十七団体からも、HPVワクチン接種推進に向けた関連学術団体の見解が出されております。 自治体は制度の周知を行う義務があるとされていますが、知らないまま定期接種の対象期間を過ぎてしまったという声も多く、HPVワクチンの正しい情報を知って接種の判断をしていただくためにも、個別通知による確実な情報提供を実施する必要があるのではないかと考えます。 特に、定期接種の権利がなくなる高校一年の女子に対しては、接種の可否を判断するための最新の正しい情報とともに、助成期間終了のお知らせ、権利失効通知をすることで、知らなかったという問題が減ると考えられます。 県内では、市町で少しずつ個別通知での周知も増えつつありますが、まだ実施自治体が少なく、また次年度以降も継続することが大切で、県からの情報提供や市町村への周知依頼は重要と考えます。 また、対象期間を過ぎると任意接種となります。接種費用は三回の接種約五万円という高額な接種費用を自己負担することになり、さらに三回接種を完了するまでには六か月かかることから、年度内に接種を完了するには、一回目を九月三十日までに開始する必要があることなども丁寧に周知する必要があります。 知らずに定期接種を逃した方の支援や任意接種の希望者に対する助成制度の情報提供及び助成制度の拡充を検討する必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。HPVワクチンに関する個別通知等での正しい情報の周知、また助成制度の拡充も推進していくことが必要だと考えますが、県の御所見を伺います。 以上で一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の御質問のうち、私からは、県全体のデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの推進についてのお尋ねにお答えします。 我々は今、コロナとの共存を前提とした新たな日常の構築を求められています。 デジタル化は、そうした社会変革の原動力となるものであり、コロナの時代にあっても、これまでより豊かな社会を築いていくために、社会全体のデジタル化を進め、幅広い分野でDX、すなわちデジタル技術による変革を推進していく必要があります。 今後、国においては、デジタル化への集中投資を行い、社会全体のDXの実装を加速するとしており、私としても、国の取組に呼応し、本県ならではのDXを強力かつ一気に進めていきたいと考えています。 このうち、お示しの企業、団体のDXについては、既に産業界等と連携しながら、MaaSやローカル5Gを活用したスマートファクトリーの構築等に取り組んでいるところですが、今後も、生産性向上のためのソリューションや、新たなイノベーションの創出を積極的に支援してまいります。 これに向け、県では、DX推進のための新たな拠点を設置することとしています。この拠点においては、市町や企業等からの相談対応やオープンイノベーションの実施、企業等が活用できるオープンデータ基盤の構築など、DXの全県的な展開に向けて必要な様々な機能を持たせることを検討しているところです。 また、DXの取組を持続的なものとするためには、これを担う専門人材が不可欠であります。 このため、そうしたデジタル人材の育成もDX推進拠点の機能に位置づけ、県、市町のみならず、企業や学生等も対象として、産学公連携による教育プログラム等を展開していきます。 さらに、社会全体のデジタル化に不可欠な基盤である光ファイバー網については、市町等と連携して整備促進に取り組むとともに、国に対しても、支援制度の継続や5G基地局の早期整備等を引き続き要請するなど、県民誰もがデジタル化の恩恵を享受できる社会の実現を目指してまいります。 私は、国の政策に的確に対応し、県内の幅広い主体と連携・協働を図りながら、県全体のDXをスピード感を持って推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)阿部土木建築部長。 〔土木建築部長 阿部雅昭君登壇〕 土木建築部長(阿部雅昭君)防災・減災の取組についてのお尋ねのうち、大規模盛土造成地の滑動崩落対策についてお答えします。 まず、宅地耐震化などの宅地防災の取組についてです。 平成十八年度に宅地耐震化推進事業が創設され、これに併せ、国において宅地の被害予測に関する調査手法が示されたことから、県では、地震等における宅地の被害軽減を図るため、市町とともに、効果的な事業の活用や具体的な調査に向けた調整を行ってきました。 こうした中、東日本大震災における宅地の被害発生を受け、国において新たな方向性が示されたことを踏まえ、改めて宅地耐震化に向けた県内市町との連絡会議を設置し、取組を進めてきたところです。 具体的には、宅地防災に対する県民の理解を深めるため、お示しの宅地耐震化推進事業を活用し、平成二十九年度から令和元年度にかけて、全市町において、谷や沢を広範囲に盛土した造成地や斜面を高く盛土した造成地の所在地を、大規模盛土造成地マップとして作成・公表しました。 県としては、今後、マップで示された宅地のうち、滑動崩落が発生する可能性が高い宅地において、地盤調査や斜面の安定計算等による安全性の確認が進むよう、市町に対して助言、情報提供を行ってまいります。 加えて、こうした調査等の結果、危険な宅地があることが判明した場合には、造成宅地防災区域の指定を行うとともに、宅地の安全性確保に向けた滑動崩落対策工事等の取組を支援してまいります。 次に、被災者の住宅確保等についてです。 県では、被災者が県営住宅への入居を希望された場合、住戸を提供することとしており、これまでも市町と連携し対応してきたところです。 具体的には、災害時に公営住宅への入居希望があった場合には、県、市町のいずれの窓口においても、被災者に対し県営住宅及び市・町営住宅の空き情報を提供しており、今後、さらに、市町や関係機関との連携を密にし、円滑な住宅確保等の支援に努めてまいります。 県としては、市町との連携を一層強化しながら、大規模盛土造成地の滑動崩落対策の取組を着実に進めてまいります。 副議長(藤生通陽君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)太陽光発電、蓄電システムの普及に関するお尋ねにお答えします。 太陽光等の再生可能エネルギーは、温室効果ガスの削減を図る上で優れており、また、災害等による停電の際の自立分散型エネルギーとしても有用であることから、その導入促進は極めて重要です。 このため、県では、家庭への太陽光発電等の導入促進に向け、県独自の補助や融資による支援制度を通じて、県内製品の活用を図りながら、家庭への普及を進めてきたところです。 その結果、これまで補助等により導入された太陽光発電は六千百八十基となり、県内家庭の太陽光発電の発電出力は、国や市町による補助制度や余剰電力の買取り制度の効果もあって、実行計画の二○二○年度目標二十二万五千キロワットを大幅に上回る五十七万八千キロワットとなっています。 一方で、太陽光発電は、天候等により出力が大きく変動するといった課題があることに加え、近年の余剰電力の買取り価格の低下などの影響により、導入の鈍化が懸念されます。 こうした状況の下で、太陽光発電のさらなる普及拡大を図るには、売電を目的としない電力の自家消費を高めることが重要であり、太陽光発電の課題を補うとともに、災害時の対応という観点からも、蓄電池と組み合わせた運用が有効です。 このため、県では、蓄電池を太陽光発電と組み合わせて運用される家庭への補助等により、蓄電池の導入を進めているところであり、今後、支援の充実を図ることとしています。 また、両設備の組合せの有用性について一層の周知を図るため、事業者や関係団体等と連携し、家庭の温暖化診断や環境関連イベント等の機会を通じて、広く県民への普及啓発に取り組んでいきたいと考えています。 県としては、今後とも、県民、事業者、市町等と一体となって、地球温暖化対策のみならず、防災にも資する再エネの導入促進に積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)防災・減災の取組についてのお尋ねのうち、ストーマ用品の備蓄についてお答えをします。 障害や持病のある方が、安心して避難所で過ごしていただくためには、必要な物資、とりわけ、容体に応じた医療資機材を迅速に提供することが重要です。 このため、県では、広域的観点から、ストーマ用品を含め必要な医療資機材を確保し、避難所の運営主体である市町に対し提供しているところです。 具体的には、ストーマ用品は、使用期限があり備蓄が困難であることから、県において医療機器販売業協会等と協定を結び、いわゆる流通備蓄として確保し、災害発生時に市町の要請に応じ、優先的に供給を受けられる体制を整備しています。 また、お示しのように外見では判断がつかない方や、様々な理由で援助を求めることをためらう方もおられることから、一人一人のニーズをきめ細かく聞き取り、ストーマ用品を被災者に速やかに提供することが必要です。 このため、県では、避難所において被災者の容体を的確に把握することができるよう、毎年、市町の保健師等を対象に研修を実施し、その資質向上に努めているところです。 県としましては、こうした取組を通じ、今後とも市町や関係団体と緊密に連携しながら、被災者支援の一層の充実に取り組んでまいります。 次に、障害者が安心して過ごしていただける共生社会に関する数点のお尋ねにお答えします。 まず、視覚障害者支援のうち、差別解消に向けた取組についてです。 障害のある方が、住み慣れた地域で自立し、安心して暮らしていくためには、障害に対する社会全体の理解を深め、障害のある方に対する偏見や差別をなくしていくことが重要です。 このため、県では、やまぐち障害者いきいきプランにおいて、障害への理解を深め、共に生きる社会の実現を施策の柱として位置づけ、障害を理由とする差別の解消推進や相互理解の促進などに取り組んでいるところです。 具体的には、障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供について、ホームページやリーフレット等により広く県民に普及啓発を図っています。 お示しの公共施設や店舗での盲導犬の同伴については、県民や事業者の方々に理解を深めていただくよう、県政テレビ番組やイベントなどを通じて普及啓発に努めるとともに、入店拒否などの情報が寄せられた場合は、事業者に対して状況を確認の上、必要な指導・助言を行っているところです。 県としましては、こうした取組を通じて、今後とも、視覚障害者への合理的配慮や盲導犬に対する理解の促進に努めてまいります。 次に、聴覚障害者支援についてです。 手話を必要とする聴覚に障害のある方が安心して生活するためには、日常生活を営む上で必要な情報を入手し、円滑に意思疎通を図っていくことが重要です。 このため、県では、新型コロナウイルス感染予防対策として、聴覚に障害のある方の受診相談等を支援するため、本年十月から、各保健所において、オンラインにより手話通訳を行うサービスの運用を開始したところです。 こうした遠隔手話サービスは、聴覚に障害のある方が意思疎通を図るための新たな手段と考えられることから、お示しのとおり、医療機関への受診相談のほか行政手続など、日常生活の様々な場面において活用が促進されることが期待されているところです。 また、国においても、聴覚に障害のある方がスマートフォン等により、常に手話通訳を利用できるサービスを全国に導入するための準備が進められています。 このため、県としましては、引き続き、手話通訳者の養成・確保を図るとともに、遠隔手話サービスの活用など新たな手法も取り入れて、聴覚に障害のある方の意思疎通支援の充実に取り組んでまいります。 次に、医業承継の取組についてのお尋ねにお答えします。 県民誰もが生涯を通じて、住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、日常的な病気の治療や健康管理等を行う地域の診療所において、安定的かつ継続的に医療が提供されることが重要です。 とりわけ、僻地においては、医療資源が限られ医師確保が困難なことから、県では、自治医科大学卒業医師の派遣や、僻地診療所の医療設備・運営費への支援などに取り組んでいるところです。 こうした中、お示しのとおり、本県は医師の高齢化が進行しており、今後、後継者不在のため、診療所の閉院を検討せざるを得ないケースの増加が見込まれることから、地域の医療提供体制を維持する上で医業承継は有効な手段の一つであると考えています。 このため、県では、今年度、県医師会と協働して、診療所を開設している医師全員を対象に、医業承継に関する実態把握に向けたアンケート調査を実施したところです。 その結果、回答者の約六割の方が医業承継を考えており、また、後継者の選定や手続に関する情報不足等の課題が明らかになったことから、県としては、今後、県医師会や関係団体等と連携し、具体的な対応策の検討など、医業承継を含めた地域医療提供体制の確保に取り組んでまいります。 次に、HPVワクチン接種の周知と助成の拡大についてのお尋ねにお答えします。 HPVワクチン、いわゆる子宮頸がん予防ワクチンは、接種後の頭痛や嘔吐などの副反応が生じる事例が見受けられたことから、これまで、接種対象者へのワクチン接種に向けた個別通知や積極的な勧奨は実施しないとする取扱いが示されてきたところです。 こうした中、本年十月、国において取扱いが見直され、ワクチンの接種対象者のうち希望する人が適切に接種が受けられるよう、対象者に対しワクチンの有効性や安全性など、必要な情報について周知することとされました。 このため、県では、市町に対して、対象者に個別通知を実施するよう徹底を図るとともに、対象者が接種を判断する上で参考となるよう、その効果やリスクについて、ホームページで広く情報提供することに加え、各保健所等において個別の相談窓口を設置しているところです。 また、お示しのように、定期接種を逃した方は任意接種となることから、まずは個別通知の徹底により接種の機会を確保することが重要と考えていますが、制度を所管する国において、助成制度も含め、円滑な制度運用が行われるよう、必要に応じ全国知事会等を通じて要望してまいります。 県としましては、今後とも、市町と連携しながらHPVワクチンの接種の適切な運用に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)視覚障害者支援についてのお尋ねのうち、駅ホームにおける転落防止策についてお答えします。 視覚障害のある方をはじめ、全ての利用者が安全かつ円滑に移動する上で、駅ホームにおける転落防止対策の推進は大変重要であると認識しています。 このため、県では、これまでJR西日本に対して、ホームドアや内方線付き点状ブロックの設置など、駅のバリアフリー化の推進について要望してきたところです。 また、広域的に利用される新幹線駅については、地元市町とともに財政的支援を行い、内方線付き点状ブロックの整備を進めてきたところであり、唯一未整備の厚狭駅についても、今年度から整備に着手することとしています。 お示しのホームドア等の設置については、今年度、国において利用者数や転落・接触事故の発生状況、駅やホームの構造、利用実態などを勘案し、優先度が高いホームについては、その整備をさらに加速化するという考え方が示されたところです。 県としては、こうした国の考え方も踏まえ、ホームドアの設置などバリアフリー化について、JR西日本に対し、引き続き要望していくとともに、市町との適切な役割分担による財政的支援を行うことにより、駅ホームにおける転落防止対策の推進に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)警察活動協力医の体制についてのお尋ねにお答えいたします。 議員御指摘のとおり、警察活動協力医については、様々な状況下での検視の立会いといった職務内容そのものも、これは大変御負担の大きいものであるわけですが、近年、その検視の立会い件数が増加しているほか、コロナ禍における感染リスクの中での活動により、その負担が増しており、県警察といたしましては、協力医の皆様の負担を軽減し、不安なく活動していただけるよう努めているところであります。 協力医の委嘱数につきましては、本年度は新たにお引き受けいただいたことにより、昨年度より二名増え県内百名の体制となりましたが、今後も引き続き、その確保に努めてまいります。 また検視の立会いに当たっては、協力医の皆様の御都合等にも配慮しながら、状況に応じて協力医以外の医師にも依頼することで、協力医の負担軽減を図るよう努めているところであります。 次に、コロナ禍における検視の感染リスクやクラスター発生のリスクの軽減のための対策についてですが、各警察署において、防護衣、消毒液等を整備し、必要に応じ協力医にお使いいただくこととしております。 また、新型コロナウイルスの感染が疑われる死体については、可能な限りPCR検査により陰性が確認された後に立会いをお願いすることで、協力医の感染防止に配意した対応をしております。 次に、協力医に対する出務手当についてですが、その金額につきましては、全国的な水準を踏まえながら決定しているところでありますが、そうした中で、協力医の皆様の御要望もお伺いしつつ、引き続き、見直しの必要性について検討してまいります。 また、検視によって新型コロナウイルスに感染した際の補償につきましては、これまで協力医の皆様に対して契約している保険について、感染症に対応したものに拡充できるよう検討を進めているところであります。 県警察といたしましては、引き続き、協力医の皆様が安全に安心して活動していただけるよう、その体制整備に努めてまいる所存であります。