1 令和3年度当初予算編成方針について 2 県内の医療機関への支援について 3 衛星データを活用した新ビジネス創出について 4 若者の県内就職・定着の促進について 5 水害対策について 6 少人数学級の導入について 7 交通安全対策について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第三 代表質問 日程第四 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで 副議長(藤生通陽君)日程第三、代表質問を行い、日程第四、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号までを議題とし、質疑の議事を継続します。 上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 公明党の上岡康彦です。公明党山口県議団を代表して質問をいたします。 初めに、令和三年度当初予算編成方針について、二点お尋ねいたします。 今、政治が最優先で取り組むべき課題は、言うまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、社会経済活動を本格的に軌道に乗せることであります。 国において現在策定中の追加の経済対策と、今年度の第三次補正予算の大きな柱として掲げられているのは、新型コロナウイルスの感染拡大防止、ポストコロナに向けた経済構造の転換、防災・減災、国土強靱化の三点で、菅首相が重要政策に掲げるデジタル化や脱炭素に関連した予算なども盛り込まれる予定です。予算規模は最低でも十兆円から十五兆円と見られ、未消化となっている第二次補正予算の七兆円を含めると、二十兆円以上の経済対策が本年度の事業として順次実施されることになります。 そこで、一点目の質問ですが、山口県として、国の予算も活用しながらポストコロナ時代を見据えた産業戦略と、特に中小零細企業への事業再開支援が必要です。また、観光業や農林水産業にも、てこ入れが必要ですが、県はどのような戦略をもって来年度の当初予算編成をされようとしているのか、お伺いいたします。 二点目は、デジタル化の推進についてお尋ねします。 政府が、社会のデジタル化の司令塔として創設を目指すデジタル庁について、公明党は、豊かな国民生活と誰一人取り残さない社会を実現させるのがデジタル庁の位置づけだと考えています。県としても同じことが言えます。行政手続がスマートフォンで完結するなど利便性の向上や、高齢者や障害者、外国人観光客でも誰でも全ての人に優しい社会の構築に役立たなければなりませんし、ハッカー等の攻撃から大事な情報を守らなければなりません。 そうした意味でも、九月議会の総務企画委員会でも指摘いたしましたが、IT専門家の確保・育成と専門の部署が必要だと考えますが、県としてはデジタル化を推進するため、人材の確保等についてどのようにお考えかお尋ねいたします。 次に、山口県内の医療機関への支援についてお尋ねします。 公明党山口県本部は、毎年十月末から十一月初旬にかけて、県内の各種業界団体から行政に対する政策要望をお聞きしております。 その中で、山口県医師会から、まず要望されましたのは、地域医療構想の見直しと地域医療介護総合確保基金の柔軟な運用についてであります。 団塊の世代が後期高齢者となる二○二五年を見据え、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、医療・介護サービス提供体制の改革を推進していくため、法律の定めるところにより、新たな財政支援制度が創設されました。この制度では、各都道府県に消費税増収分等を財源として地域医療介護総合確保基金を設置し、山口県が毎年度作成した計画に基づき事業を実施しています。 ところが、これまで示されてきた地域医療構想には感染症や災害に備える視点がなかったため、このたびのような新たな感染症対策や、最近頻発する豪雨災害などで被災した医療機関は、自前の努力で何とか対応している状況であります。さらに、医師の高齢化が進むものの人員確保もままならず、新型コロナウイルス感染症による経営悪化が医療職の雇用にも影響しています。 そこで、まずお尋ねいたします。新型コロナウイルス感染症の終息を見据えながら、地域の医療機能を評価し直し、新たな感染症や医療機関の被災にも対応できる地域医療構想及び医療計画の見直しについて、また、地域医療介護総合確保基金の柔軟な運用を国にも求めながら、県においても地域の実情をしっかりと踏まえた上で、本県に必要な医療人材を育てるための事業を展開する必要があると考えますが、お伺いいたします。 二点目に、コロナの影響により厳しい経営状態にある医療機関への支援についてです。 日本医師会の全国調査によると、四月から六月の医業収入の前年度比は、耳鼻咽喉科がマイナス三四・五%、小児科がマイナス二六・○%と大きく落ち込むなど、全体でマイナス一三・三%になっています。恐らく県内も同様の傾向にあると推測されます。 持続化給付金の支給条件については、前年度同月比で五○%以上のマイナスがなければ適用されません。マイナス二○%や三○%程度であっても、数か月も続けば、医療機関の経営が危ぶまれます。 新型コロナウイルス感染症からも県民を守り、地域医療を支える医療機関の維持・確保に向け、地域医療を守るための支援をどのようにお考えかお尋ねいたします。 次に、衛星データを活用した新ビジネス創出についてお尋ねいたします。 二○一七年二月、政府関係機関の地方移転の一環として、宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAの西日本衛星防災利用研究センターが、山口県産業技術センターに開所いたしました。 私も開所式典に参加し、説明を伺いました。当時は、はるかかなたにある上空の衛星から地上を観察し、そのデータを解析して新たな事業を創り出すなんてことは、正直よく理解できていませんでしたが、現在、衛星データを活用した新事業創出への取組が活発化しています。 JAXAが山口県に移転してきた同じ時期に、山口大学が応用衛星リモートセンシング研究センターを開設しました。 また、県においては、JAXA、山口大学と協定を結び、県産業技術センターに、産官学連携の衛星データ解析技術研究会を発足させ、防災や農業、森林、海洋や環境分野などで、宇宙ビジネスへの進出に向けた支援を行っています。 宇宙ビジネスの先行事例紹介や解析技術の解説、または事業化への相談を行うセミナーなど、何と今年十月までに計六十四回も開催しております。そこには県内企業など四十六社が参加し、幅広い分野で既に実証事業が生まれています。 例えば、防災分野では、河川インフラ監視サービスの事業化です。二級河川の総延長が全国二位である本県の特性を踏まえ、衛星データで河川や堤防・護岸の変化を捉えながら異変や問題をデータから解析し、そのデータを地方自治体や管理業者と共有すれば、適切に実地調査の結果が判断できるというわけです。 また、農業分野においては、単位面積当たりの小麦の収穫量を予測し、それに見合った量の肥料をまくために、収穫の目安になる小麦の繁茂状況を衛星データから解析し、区画ごとの肥料の量を判定するといった事業です。 福祉分野では、今年二月、視覚障害者ランナーの介助者を支援するシステムの公開実証試験を実施しており、介助者からは伴走の不安や負担が軽減される、ガイドが分かりやすいなど好評を博しているようです。 このシステムは、みちびきと呼ばれている日本版GPSの準天頂衛星からの位置情報を活用し、スマートフォンを通じて、コースの段差などの注意事項を伝えるものです。 こうした積極的な企業の動きや関心の高まりなどから、県は昨年七月、新たに宇宙データ利用推進センターを設置し、データ解析技術や事業の企画立案へのアドバイス機能を強化するなど、支援を加速させています。 また、山口大学応用衛星リモートセンシング研究センター長の長井正彦教授によれば、当該研究センターが災害時に山口県をモデル地域にして、衛星から被災地を広域的に捉えた衛星データを地方自治体に提供しています。衛星データは国が使うものというこれまでの概念を破った、言わば山口モデルとも言うべきプロトタイプを実施しているとのことです。 このモデルや様々な実証事業を山口県発の新事業として確たるものにするためには、政府関係機関の地方移転という強みを生かした取組を進めることが重要であり、こうしたことが新たな事業創出につながるものと考えます。 そこでお尋ねいたします。二○三○年代には、宇宙産業の市場規模は全世界で約七十兆円以上になると見込まれる中、衛星データを活用した新ビジネス創出に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、若者の県内就職・定着の促進についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、国内の雇用環境は依然厳しい状況が続いています。九月の完全失業率は三年三か月ぶりに三・○%まで悪化した八月から横ばい、完全失業者数は八か月連続で増加しました。また、来春卒業予定の大学生の就職内定率は十月一日時点で七割を切り、リーマンショック後の二○○九年に次ぐ下落幅となりました。顕著な影響は旅行業や飲食業など一部にとどまるとの見方があるものの、先行きは不透明であります。 こうした中、公明党では、雇用の維持に向け、十二月末に期限を迎える雇用調整助成金の特例措置の期限延長を申し入れておりましたが、政府は、来年二月末まで延長し、必要な財源を第三次補正予算案に盛り込む方針を示しました。 県では、これまでの補正予算において、中小企業への金融支援をはじめ、テレワークの導入や就職・採用活動のオンライン化に向けた支援、離職者の再就職支援などの経済・雇用対策を打ち出してきました。 こうした取組のかいもあって、本県の九月の有効求人倍率は一・二○倍で、依然として弱い動きが続いているものの、全国七位の高水準にあり、求人数の減少幅も落ち着きを見せています。 しかしながら、予断は許されない状況ですので、コロナの影響を踏まえた雇用対策をしっかり講じていただきたいのですが、こうした厳しい中にあってこそ、長期的な視点に立った取組が必要になってくると思います。 今さら申し上げるまでもなく、大学等への進学・就職を契機とした若者の県外流出による人口減少は、本県の最重要課題であり、その克服に向けては、若者の県内就職・定着の促進が重要であると考えます。 総務省によりますと、東京都では七月から三か月連続で転出超過になりました。コロナ禍を契機に人々の意識や働き方が変化していることは間違いなく、今こそ若者の県内回帰・定着につなげていくチャンスではないでしょうか。 県ではこれまで、大学生等を対象としたインターンシップや就職説明会の開催、山口しごとセンターを中心としたマッチング支援などに取り組んでおられます。大学生等の県内就職など一定の成果が上がっており、単独での求人活動が負担になる企業からも取組を評価する声を聞いておりますので、今後もこうした取組を着実に進めていただきたいと思います。 一方で、県内の学生ですら県内企業をあまり知らない、知名度の低さから県外の知名度のある企業との採用競合に負けたといった声も耳にすることから、企業の魅力発信の強化が必要ではないかと考えます。 今後の取組のヒントとして、今の若者の働く価値観が変化していることが挙げられます。就職先を選ぶ際の決め手として、やりたい仕事ができることは、いつの時代でも求められていますが、以前では当たり前だった給与水準だけではなく、働きやすさやワーク・ライフ・バランスなどが重視されるようになっているようです。 私も度々取り上げてきましたが、本県で熱心に取り組んできた働き方改革の取組は大きな強みになりますし、テレワークなどの新しい働き方がコロナ禍において注目を集めています。こうした点をセールスポイントとするなど工夫を凝らし、県外の若者に対して県内企業の魅力を伝え、本県でずっと働きたいと思ってもらえるよう、取り組んでいただきたいと考えます。 そこでお尋ねいたします。県では、若者の県内就職・定着の促進について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、水害対策についてお尋ねします。 近年の気候変動による集中豪雨や台風などで被る被害は、あまりにも大規模で甚大であります。一昨年、平成三十年の西日本豪雨では、本県も大きな打撃を受けました。周東町や私の地元周南市においても、その傷痕はまだ残っております。 昨年の東日本台風は、気象庁によると、雨については三日間の総降雨量が、神奈川県箱根で千ミリにも達し、五百ミリを超えた地域も東日本を中心に十七地点もあったとのことです。河川が氾濫し、住宅に取り残された住民がヘリコプターで救助される様子を映した報道は、記憶に新しいのではないでしょうか。 本年七月にも、記録的な豪雨で熊本県を中心とした九州地方や中部地方など各地で大きな被害を受けました。 国交省によれば、国や都道府県が管理する河川が豪雨により氾濫危険水位を超えた河川数も年々増えており、気候変動による水害リスクの増加は、本県においても人ごとではありません。 国では、堤防やダムなど、従来の河川整備だけでは受け止めきれないほどの豪雨が頻発しており、貯留施設の整備などのハード整備とともに、避難体制の強化などのソフト対策を、流域の自治体や住民らと連携して取り組む流域治水へとかじを切る方針を示しました。 具体的には、一、氾濫を防ぐために水を田んぼにしみ込ませたり、ため池にためたりする治水活用、二、被害を減少させるための土地利用規制や住宅地の移転促進、三、氾濫した水を早くなくすための排水門の整備など、水害に強いまちづくりを流域全体で連携して進めることとし、今年度中に全国の一級水系で流域治水プロジェクトを策定することが発表されました。さきに述べたように、ここでは国と関係自治体である県や市町、地域住民や流域にある民間企業も含めての関与が必要であり、相互の深い連携が重要です。 そこでお尋ねいたします。県としては、計画的に堤防の整備やしゅんせつ工事を進めていただいております。また、二○一八年度から県内の六河川の洪水浸水想定区域の追加指定をするなど、県が管理する洪水予報河川、水位周知河川の六十七河川において、想定区域の見直しを進めておられるのは承知をしておりますが、近年の気候変動による影響により激甚化する水害を回避し、県民の生命・財産を守るため、河川整備を進めるとともに、国や市町、あるいは地域住民や企業と連携した流域治水に取り組む必要があると考えますが、今後、県では水害対策をどのように進められるのか、お伺いいたします。 次に、少人数学級の導入についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、少人数学級導入の機運が高まり、新たな学びの在り方をめぐる議論を活発化しています。政府が一斉臨時休校を要請したことにより、今年三月二日から、全国で緊急事態宣言が解除される五月末までのおよそ三か月間、多くの小中学校が休校となりました。また、再開した今でも感染防止策を講じながらの学校運営が続いていますが、ポストコロナ時代の新たな学びの在り方をめぐり、公明党が長年訴えてきた少人数学級に注目が集まり、文科省は来年度予算の概算要求の中で、実現に向けた体制整備について検討することとしました。 こうした動きの中の十月九日、我が党の教育改革推進本部と文部科学部会が、小中学校の一クラス三十人以下の少人数学級の推進や特別支援教育の改善を求める趣旨の決議を政府に申し入れました。その後の十一月十三日に萩生田文部科学大臣が、来年度予算編成で文科省が要求している少人数学級については、令和の時代の新しい学校の姿として、私としては三十人学級を目指すべきだと考えていると述べられ、学級編制を現在の四十人から三十人を目安に引き下げるべきとの考えを明らかにされました。また、萩生田大臣は、今後、新たな感染症などが来たときに、もう学校を止めないための環境整備をこの機に進めたいとも発言されています。 つまり、今、少人数学級を導入する意義として、一点目は、新型コロナをはじめとする感染症対策です。文科省がまとめた、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルに沿えば、平均面積約六十四平方メートルの教室に四十人もいると、人との間隔について一、二メートルと間隔を空けるのは難しく、児童生徒の密を回避するのは難しいという現実があるため。 二点目は、児童生徒一人一人に注意が行き届きやすく、学習面や生活面で、きめ細かな指導ができ、教育の質の向上が期待できる点であります。あわせて、GIGAスクール構想の下、一人が一台ずつ持つ端末活用の効果を高めるためにも、少人数学級が必要だということであります。 ところが、財務省は、教員増の費用に見合う学習効果が得られないと否定的です。しかし、ポストコロナ時代にあって、学校の役割については教科教育の場としてだけではなく、子供の居場所であり、健やかな成長を促す場であるとして、改めて認識されています。ゆえに、今こそ、約三十年間見直されてこなかった公立小中学校の学級編制の標準を引き下げ、少人数学級を推進するときだと考えますが、県教委の御所見をお伺いします。 また、少子化の時代、計画的に教職員を配置していくならば、新規に大量採用せずとも、教職員の質を確保しつつ少人数学級を実施することは可能なのではないかと思いますが、併せてお考えをお尋ねいたします。 最後に、交通安全対策について、信号機のない横断歩道における安全対策及び道路交通環境の整備の二点についてお伺いいたします。 信号機のない横断歩道を歩行者が横断しようとしている場合、車は一時停止しなければならない規則ですが、多くのドライバーがこの規則を忘れているようで、一時停止を嫌がって歩行者より先に通過しようとする車両が多々見受けられます。決して故意ではないものの、気がついたときには横断歩道手前で停止できずに通過してしまうこともあり、もうちょっと早く歩行者に気づいていれば停止できたのになあと申し訳なく思うことがあります。 この指摘については、二○一八年(平成三十年)十一月議会において我が党の先城議員も、信号機のない横断歩道での歩行者の安全対策について、当時の日本自動車連盟(JAF)の調査結果を基に質問しております。 そもそもJAFがこの調査を始めたのは二○一六年六月に、交通マナーに関するアンケート調査で、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多いと思う人が八六・二%を占めていたことがきっかけです。 そこで、全国四十七都道府県の九十四か所で、信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査を二○一六年から毎年行っており、去る十月十六日に二○二○年度版の結果を発表いたしました。 今回の調査対象のうち、信号機が設置されていない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車、つまり一時停止率の全国平均は二一・三%だったそうです。 二○一八年調査時での一時停止率八・六%から比べれば、約二・五倍の改善がされたことになりますが、逆に言えば、依然として約八割の車が止まらないという実態が明らかにされました。 ちなみに、二○二○年の山口県はというと、一時停止率は一八・○%ですから、全国平均よりも三・三ポイント低いということになります。 私の事務所近くの信号機のない道路で、一昨年、死亡事故が起こりました。地元自治会長からの依頼もあり、現場周辺の道路を観察いたしました。付近では、横断歩道や停止線が部分的に剥がれていたり、白線が薄くなってきており、しかも街路樹の陰に隠れて歩行者の存在も確認しづらい交差点がありました。ドラッグストアがすぐそばにあり、出入りの多い交差点の上に、大型マンションが近くに建設されたため、日常的に交通量が増加すると見込まれています。当然、通学路でもあります。信号機のない危険な横断歩道の手前では、歩行者優先のルールを遵守させることが何よりも重要であると考えますが、加えて、ドライバーにも歩行者にも注意喚起が必要ではないでしょうか。 ドライバーには、横断歩道や停止の白線を意識させて歩行者優先の運転ができるように、また歩行者には、はっきりと道路横断の際には自分の存在をドライバーに気づかせることがリスク回避につながると思います。 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。信号機のない横断歩道を歩行者が横断する際には、ドライバーに対する歩行者優先のルールの徹底は当然のことながら、歩行者に対してもドライバーに向けてはっきりと横断する意思表示をさせるような啓発も必要ではないかと考えます。また、ドライバーに安全運転を促すため、横断歩道や停止の白線等が消えかけている危険箇所については、早急に道路交通環境の整備が必要だと考えますが、今後の取組について、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、私の代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)上岡議員の代表質問にお答えします。 まず、令和三年度当初予算編成方針についてのお尋ねのうち、当初予算編成についてです。 新型コロナウイルス感染症の収束状況が見通せない中、さらなる感染拡大を防ぎ、県民の命と健康を守ること、そして、低迷している県内社会経済活動を回復基調に乗せることは、目下の最重要課題であると認識しています。 そのため、私は、来年度の当初予算編成において、先般策定した、「コロナの時代」に対応するための施策推進方針に基づき、このような課題について的確に対応していくこととしています。 まずは、予断を許さない状況が続く感染症のさらなる拡大に備えるため、必要な感染防止の取組については、柔軟かつ万全な対策を講じてまいります。 また、中小企業制度融資などによる県内経済の下支えや、感染拡大の影響により落ち込んでいる観光需要や県産農林水産物などの消費需要の喚起等に取り組むことにより、社会経済活動を段階的に引き上げてまいります。 さらに、本県の強みでもある、ものづくりを中心とした高度技術や産業集積を生かし、イノベーションの展開を加速するなど、ポストコロナを見据えた取組を積極的に進めてまいります。 私は、現在、国において検討されている補正予算編成の動向にも十分注視しながら、感染防止対策と経済活性化の両立に向けて、来年度の当初予算編成に全力で取り組んでまいります。 次に、デジタル化の推進についてです。 今後、デジタル化の取組をさらに加速し、県民誰もがその恩恵を享受できる社会を構築していくためには、取組を担う専門人材の確保・育成が重要な課題であると考えています。 現在、こうしたデジタル人材が全国的に不足している中、当面する人材の確保に向けては、業務委託等を通じ、民間企業の人的資源を効果的に活用するとともに、副業・兼業等の柔軟な働き方も含め、実効性のある手法を多角的に検討することとしています。 国に対しても、私が本部長を務める全国知事会のデジタル社会推進本部等を通じ、都市部に集中する人材と地方のニーズをマッチングする人材バンクの創設や、地方自治体と企業間の人材交流を促進するための法整備などを要請しているところであり、引き続き、その実現を強く求めてまいります。 また、中長期的な視点に立った人材育成については、産学公の連携による取組を一層強化していく考えであり、現在、設置に向けて検討を進めているデジタルトランスフォーメーションの推進拠点においても、その機能の一つに人材育成を位置づけることとしています。 私は、デジタル庁の創設をはじめとする国の動向も踏まえながら、本県のデジタル化を進めるための新たな推進体制を整えるとともに、必要な人材の確保・育成にしっかりと取り組んでまいります。 次に、山口県内の医療機関への支援についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、医療計画の見直しと医療人材の確保についてです。 私は、県民が生涯を通じて、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、保健医療計画に基づき、本県の保健医療施策を総合的に推進するとともに、本計画の一部である地域医療構想に沿って、効率的で質の高い医療提供体制の構築に取り組んでいるところです。 こうした中、国では、今般の新型コロナウイルスの流行を踏まえた、新興感染症等の感染拡大時の医療機関における受入れ体制の確保や、大規模災害時の体制強化等を含めた、医療計画や地域医療構想の今後の在り方について、議論が行われています。 県としましては、こうした国の動向を的確に把握しながら、地域に必要とされる医療が確実に提供されるよう、次期医療計画等の見直しに向けて取り組んでまいります。 また、医療人材の確保に向けては、本年三月に策定した医師確保計画に基づき、地域医療介護総合確保基金を活用しながら、修学資金の貸与や再就業支援などに取り組んでいるところです。 こうした取組に加え、今年度から新たに、医師専門人材紹介会社を活用した、僻地等での医師確保の仕組みを構築したところであり、今後とも関係機関と連携し、医療人材の確保に向けた取組を積極的に進めてまいります。 次に、医療機関の経営への支援についてです。 新型コロナウイルス感染症の影響により、治療に当たる医療機関はもとより、一般の医療機関においても、受診控え等により、経営が厳しい状況が続いています。 私は、新型コロナウイルス感染症対策のみならず、県民の健康を守るため、地域の医療提供体制を安定的に、維持・継続することが重要であると考えています。 このため、現在のコロナ禍にあっても、医療機関の経営の安定化が図られるよう、国の福祉医療機構による無利子・無担保での優遇融資制度に加え、県制度融資で、新型コロナウイルス感染症対応資金を創設し、その活用が図られるよう、周知に努めてまいります。 また、国に対しても、経営悪化に歯止めをかけ、持続可能な経営に資するよう、診療報酬の引上げや福祉医療機構による貸付けの拡充など、医療機関への十分な支援について、あらゆる機会を通じて要望してまいります。 私は、県民の命と健康を守るため、今後とも、本県の地域医療提供体制の充実に向けて、積極的に取り組んでまいります。 次に、衛星データを活用した新ビジネス創出についてのお尋ねにお答えします。 私は、これまで、JAXAの西日本衛星防災利用研究センターの開設を契機に、衛星データの利活用の促進に向けて、解析技術研究会を開催するとともに、宇宙データ利用推進センターを設置するなど、支援体制の整備を進めてきました。 加えて、衛星データを活用した新たなサービスや製品の研究開発に対する補助制度を創設し、民間活力を活用した宇宙ビジネスの創出に取り組んでいるところです。 一方、データを提供する側の人工衛星も、小型化・低コスト化が進み、今後は、数多くの衛星が協調した動作を行う、人工衛星群、いわゆるコンステレーションを構成することにより、多頻度でデータが提供されることが見込まれています。 こうした動きを受け、国は、本年六月に新たな宇宙基本計画を閣議決定し、衛星データの利用拡大や宇宙産業への参入促進など、宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現を進めていくこととされています。 私は、今後、衛星データの活用環境が大きく変化することが期待されることから、これまで支援してきた実証事業の早期事業化や、受信の頻度や解像度の向上などの動向を踏まえた技術革新への取組を通じたイノベーションの創出が重要と考えています。 お示しの県が支援している実証事業において、河川インフラの監視システムの開発では、国土交通省の新技術データベースシステム、NETISへ登録を目指すなど、成果の全国展開につながる取組が進んでいます。 また、本格的な人工衛星コンステレーション社会の到来に備え、衛星のレーダー波の反射装置について、山口大学が有する技術を活用した補正性能の向上により、衛星データの解析精度を飛躍的に高める研究や、研究成果を応用した新製品の開発も支援しています。 私は、政府関係機関の地方移転で設置されたJAXAの研究センターや、山口大学が有する優れた衛星データ解析技術という強みを生かし、衛星データを活用した山口県発の新ビジネス創出に全力で取り組んでまいります。 次に、若者の県内就職・定着の促進についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでの対面方式による就職フェアが中止される一方で、遠隔地の学生と企業を結ぶウェブを活用した面接が急速に進むなど、就職活動に大きな変化が見られるようになりました。 また、テレワークの進展に伴い、地方での勤務、移住への関心が高まり、在宅勤務等、勤務形態の多様化を通じて、働き方に対する意識も変わるなど、若者を取り巻く就業環境も大きく変化しています。 私は、コロナ禍において社会環境が大きく変わろうとしているこの機会に的確に対応することにより、厳しい状況をチャンスへ変え、若者の県内就職・定着につなげていくことが重要と考えています。 このため、全国から参加が可能なウェブの特性を生かした就職フェアを新たに開催するとともに、就職効果が高いインターンシップにおいてもオンライン化を進めることにより、県外からの参加者の一層の拡大も図ることとしています。 さらに、ライブ配信を活用した企業見学ツアーの実施や、3D技術を活用したバーチャル環境での企業紹介映像の作成支援など、ウェブでは雰囲気や熱意が伝わりにくいという声に応え、よりリアルな企業情報の発信にも取り組んでいます。 また、お示しのとおり、若者にとって、就職先を選ぶ際には、働きやすさやワーク・ライフ・バランスなどが重視されるなど、働く価値観にも大きな変化が生じています。 このため、新しい働き方を実感できる職場づくりに向け、オンライン会議を活用した効率的な働き方や、AR技術を活用した製造現場での技術指導など、デジタルトランスフォーメーションによる先導的な実践モデルを創出することとしています。 また、こうしたモデルなど、新しい働き方を積極的に取り入れる企業の取組を、事例集を作成して紹介することに加え、SNSを活用してPR動画を配信するなど、若者のニーズにマッチした、訴求力のある情報発信も強化していきます。 私は、今後とも、国や関係機関と連携しながら、コロナ禍における変革にしっかりと対応し、若者の県内就職・定着の促進に積極的に取り組んでまいります。 次に、水害対策についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が、全国で頻発・激甚化しており、私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、水害対策は極めて重要であると考えています。 このため、県では、これまでも、比較的発生頻度の高い洪水に対しては、堤防の整備などのハード対策を進め、また、施設の能力を上回る洪水に対しては、住民の避難に資する情報の提供を柱としたソフト対策を進めているところです。 まず、ハード対策としては、河川整備計画に基づき、中長期的な視点で計画的に実施する河川改修などを着実に進めるとともに、短期的に効果を発現する河川内の土砂掘削などの対策を集中的に実施しています。 次に、ソフト対策としては、住民への的確な情報伝達や避難行動につなげるため、浸水想定区域図の整備や、防災行動とその実施主体を時系列で整理した水害対応タイムラインの運用など、市町等と連携した取組も進めています。 こうした中、お示しのとおり、国では、一級水系において、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減させる治水対策、いわゆる流域治水に取り組まれています。 この取組では、これまで、国、県、市町が実施してきたハード・ソフト対策に加えて、氾濫を防ぐための雨水浸透施設等の整備や、被害対象を減少させるための土地利用規制や移転促進など、市町や住民等と連携した対策も含めた、あらゆる手段を検討することとなっています。 これを受けて、県内の一級水系の佐波川と小瀬川において、国により流域治水協議会が設置され、国、県、市町が連携し、具体的な治水対策をまとめた流域治水プロジェクトを、今年度中に策定することとされています。 県としては、こうした一級水系における検討状況を注視しながら、二級水系においても、流域治水プロジェクトの策定に向けた検討を進めていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、国や市町、地域住民、企業等と緊密に連携し、総合的な水害対策に積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)少人数学級の導入についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、少人数学級の推進についてです。 次代を担う子供たちに、知・徳・体の調和が取れた生きる力を育む上で、一人一人の個性を大切にしてその可能性を伸ばし、きめ細かな指導が行える少人数学級化を推進することは重要であると考えています。 そのため、本県においては、国の加配制度等の活用により、小中学校全ての学年で三十五人学級を実現するとともに、少人数指導との効果的な組合せによる、きめ細かな指導体制の充実を図ってまいりました。 このような取組により、教員が個々の児童生徒に関わる時間が増え、また、保護者との連携も密になることで、学力やコミュニケーション能力の向上につながるとともに、基本的な生活習慣や学習習慣の定着等の効果が上がっているものと考えています。 こうした中、お示しのとおり、新型コロナウイルス感染症対応を契機として、児童生徒の密を回避しつつ、現在導入を進めている一人一台端末の活用も含め、これまで以上にきめ細かな指導を行うため、さらなる少人数学級化の推進が必要となってきています。 このため、県教委では、先日の政府要望においても、学級編制の標準の引下げによる少人数学級の早期実現を求めたところであり、引き続き、国に対し、全国都道府県教育長協議会等、様々な機会を捉えて要望してまいります。 次に、計画的な教職員の配置についてです。 文部科学省においては、少人数学級の取組を、一定期間かけて段階的・計画的に進めた場合には、採用者数を大幅に増やすことなく、三十人学級の実現は可能とする試算もなされていることから、県教委では、今後国から示される方針等を注視しながら、計画的な教職員の採用や適正な配置を行うことにより、教職員の質を確保しつつ、きめ細かな指導の充実を図ってまいります。 県教委といたしましては、引き続き、市町教委と連携しながら、ポストコロナ時代にも対応したきめ細かな学習保障と、児童生徒の居場所や健やかな成長を促す場となる学校環境づくりに努めてまいります。 副議長(藤生通陽君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)信号機のない横断歩道における安全対策及び道路交通環境の整備についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、信号機のない横断歩道における安全対策についてです。 信号機のない横断歩道における人身交通事故につきましては、本年十月末現在、県内において四十八件発生しており、二名の方がお亡くなりになっておられます。 このような情勢と、議員お示しの調査結果にも現れているように、県内における車の一時停止率は全国平均を下回っており、残念ながら歩行者優先ルールが必ずしもドライバーに徹底されていないと認識しているところです。 このため、県警察としては、ドライバーに歩行者優先ルールを再認識していただくために、関係機関・団体の協力を得て、ラジオ放送やテレビCMの放映等各種媒体を活用するなどして、改めて周知に努めており、今後も、テレビの特集放送で呼びかけを行うなど、効果的な広報啓発に努めてまいります。 あわせて、横断歩行者妨害に当たる行為については、厳しい態度で指導取締りに臨んでいくほか、生活道路や通学路においては、今月導入した可搬式オービスを効果的に活用した指導取締りを行い、歩行者の安全確保を推進してまいります。 一方、議員お示しのとおり、歩行者に対しても自らが被害に遭わないようにしていただくため、しっかり注意喚起を行っていく必要があると考えています。 道路の正しい横断方法などについての子供たちへの交通安全教育については、現在のコロナ禍に配意し、学校の校内放送を活用した取組なども進めてまいります。 また、全年齢層に対し、横断前には手を挙げるなど、ドライバーに横断意思を示すことを呼びかけることも重要と考えており、ラジオ放送のほか、本日からは、御家庭や地域、職域などでも御活用いただけるよう、動画投稿サイトにおいて実演型の動画の配信を開始しております。今後とも創意工夫を凝らした取組を進めてまいります。 次に、道路交通環境の整備についてです。 横断歩道は、令和二年十月末現在、県内に八千十一か所あり、公安委員会による交通規制の意思決定を得た上で県警察が設置し、維持管理をしております。 議員御指摘の横断歩道や停止線が消えかけた箇所については、警察署からの報告、自治体や道路管理者からの情報、住民からの要望により、令和元年度末時点、県内で千二百六十四か所把握しております。 このうち、摩耗の程度、交通事故の発生実態、交通量、子供や高齢者の利用実態等を総合的に判断し、緊急に対応すべき優先度の高い約四割の箇所について補修を完了しております。 一方、いまだ多くの箇所について補修に至っていない現状も認識しているところです。 今後は、優先度はもとより、摩耗状況によっては部分的に補修するなど、予算の一層効率的な執行によって、より多くの補修を行い、横断歩道の適切な維持管理に努めてまいります。 県警察としては、歩行者の交通事故防止に向けて、引き続き、横断歩道をはじめとした交通安全施設の適正な維持管理に努めながら、歩行者優先ルールの徹底に向けた総合的な取組をより一層進めてまいります。 副議長(藤生通陽君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(藤生通陽君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会といたします。御苦労さまでした。 午後一時五十三分散会