1 農業振興への取組みについて 2 その他
議長(柳居俊学君)合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手) 合志栄一君 新政クラブの合志です。通告に従いまして、農業振興への取組ということで一般質問を行います。 第一は、トビイロウンカ対策についてであります。 今年、山口県の水稲は、トビイロウンカによる被害が甚大でありました。農林水産省が公表した十月十五日現在の本県の水稲作況指数は七十三で、全国最下位でありました。 昨年も作況指数は九十四で作柄は不良でしたが、本年は、去年と比べても作況指数が大幅に低下しており、トビイロウンカの被害による水稲の生育不良が広範囲に生じたところであります。 水稲の生育不良は、トビイロウンカに加えて、九月初旬の台風接近による潮風がもたらした塩害の影響もあるものと思われますが、今回は、トビイロウンカに関して甚大な被害が生じた理由や今後取るべき対応策について、農業者の方々や関係機関を訪ねて私なりに把握したことを踏まえ、県の見解をお伺いいたします。 県の病害虫防除所の調査結果によれば、本年度は水稲作付面積二万百ヘクタールのうち、その九四%に当たる一万八千五百七十八ヘクタールにおいて、トビイロウンカの発生が見られたと推計されています。 そのトビイロウンカは、毎年、通常六月下旬から七月中旬の梅雨時期に、ジェット気流に乗って大陸から成虫が飛来し、その飛来した成虫は稲に産卵し、ほぼ一か月で一世代を送り、山口県では三世代過ごすようです。 このウンカは、飛来した世代の段階では、被害はほとんど見られないが、適切な防除措置が取られないと、第二世代、第三世代において急激な増殖が生じ、稲の株元に生息して、稲の水分や栄養を吸い取るため、稲が枯死倒伏して、稲田における坪枯れ等の被害が発生いたします。 したがって、トビイロウンカ被害を発生させないための有効な対策として考えることの一つは、飛来したトビイロウンカを第二世代幼虫の段階において駆除する防除措置を徹底することであると思われます。 そうしたことも含め、トビイロウンカ対策について、以下五点お尋ねいたします。 第一点は、今年トビイロウンカの被害が甚大であった原因をどう分析しているのか、また、その被害防止にどういう対応をしたのか、お伺いいたします。 第二点は、県病害虫防除所は、トビイロウンカに関し、七月十六日には注意報を、八月三日には警報を発令して、防除への取組を促しているにもかかわらず、被害の発生を防ぐことができなかったのはどうしてなのか。 ただいま指摘いたしました第二世代幼虫の段階における防除効果が十分でなかった理由等も含め御見解をお伺いいたします。 第三点は、今年の事例を教訓にして、来年以降のトビイロウンカ対策に生かしていくべきであると思いますが、具体的にどういう対策を考えておられるのか、お伺いいたします。 第四点は、トビイロウンカの被害防止は、どんなに有効な対策が立てられても、農家や農業法人などの農業者にそのことが適時周知され、防除措置が適切に実施される必要があります。 ついては、そうしたことに向けての県及びJAの営農指導体制は十分なのか、改善する点はないのか、県の普及指導員は、平成二年には二百四十一人であったのが、年々減員されて現在は百三十八人であるが、こうした減員傾向は今後も続くのか、むしろ増員への転換を検討し、県の営農指導体制の強化を図るべきではないのか。今年の本県のトビイロウンカ被害に鑑み、以上のことを併せお伺いいたします。 第五点は、ウンカ被害に強い稲品種の開発と栽培方法の確立についてであります。 今年のウンカ被害に関して、農薬を使わない有機農法や自然農法で米作りをやっている方々に聞きますと、私が聞いた範囲では、被害はほとんどないとの答えが返ってきました。 一方、減農薬のエコ栽培で米作りをやっているある農園は、壊滅的な被害を受けたとのことでした。こうしたことも含め、ウンカ被害に関する様々な実情調査を実施し、農薬による駆除以外の方法によるウンカ被害回避の可能性も追求されていいのではないでしょうか。 ついては、そうした観点から、ウンカ被害に強い稲品種の開発と栽培方法の確立に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 質問の第二は、営農継続への支援についてであります。 その一は、トビイロウンカ被害農業者への支援についてであります。 トビイロウンカ被害で懸念されることは、このことで農業収入が減少し、営農継続の意欲を失い、米作りをやめようという農家等が出てくることであります。 今日、農業収入を補償する農業保険制度は、農業共済と収入保険の二通りありますが、本県では、水稲作付農業者一万八千九百七十二戸のうち九二・八%の一万七千六百八戸が農業共済に、二・四%の四百四十七戸が収入保険に加入しています。 山口県農業共済組合の資料によりますと、本年十一月一日現在における農業共済加入の農業者からの水稲損害の申告状況は六千四百六十八戸で、例年の七倍に上り、損害の評価が求められている水稲作付面積の八三%はウンカ被害であります。 本県では、農業共済加入の農家や農業法人のほとんどは平均収量の七割までが補償される一筆方式であります。したがって、収量減の被害があっても平均収量の七割以上の収量があれば補償の対象にはならないし、あくまでも収量補償でありますので、ウンカ被害等で米の品質低下が生じ、米価が下落したため収入減が生じても、そのことは補償の対象として考慮されません。 一方、収入保険は、青色申告をしている農業者が加入可能で、平均収量ではなく平均収入の九割が補償されます。本県では、農業法人の半数強は、収入保険に加入しているようであります。 したがって、トビイロウンカ被害による農業収入の減少は、収入保険加入者、農業共済加入者、農業保険未加入者と深刻さの度合いは相違するものの、本県では今年、多くの農家や農業法人が、農業収入の減少に直面して苦慮するであろうことが予想されます。 そこでお尋ねであります。本年は、トビイロウンカの被害等により、本県では多くの農家や農業法人が、米の収量減に加えて、米の価格低下等による大幅な農業収入の減収に直面する事態となることが予想されます。 ついては、こうした農家や農業法人が、営農継続の意欲を失うことなく、来年以降も希望を持って米作りに取組み、頑張り続けていくことができるよう、大胆かつ行き届いた支援策を講じるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 その二は、農業機械更新への支援についてであります。 農業法人をはじめとした担い手経営体は、農業従事者が減少を続ける中、地域の中核となって農業を支え、地域経済の発展に貢献してきました。 また、農村環境の維持にも大きく貢献し、今ではコミュニティーを形成する上で欠かせない大きな存在になっています。 これら担い手経営体は、従事者の減少や高齢化の影響をカバーし、効率的な農業を展開するため、これまで大規模な圃場整備を進め、それに併せて農業機械の導入を進めてきました。 その結果、農業機械は、担い手経営体にとって欠かすことのできない重要な経営資源となりましたが、これら機械の多くは導入から十年以上が経過し、その多くが経年劣化により更新の時期を迎えています。 導入時には、国や県の補助制度を活用し、初期投資を抑えることができましたが、更新を目的とした補助制度はなく、更新に当たっては、担い手経営体の負担が大きくなっています。 加えて、今年はトビイロウンカの被害による大幅な収入減少から、担い手経営体の経営状況は大変厳しく、機械を更新するだけの体力は残されておりません。 必要な機械の更新ができず、営農に支障が生ずるようなことがあれば、これまで担い手経営体が守り続けてきた農地は荒廃し、地域農業の衰退を招いてしまうのではないかと私は危惧しております。 そこで、地域農業を守るためにも、担い手経営体が引き続き効率的な農業を展開できるよう、県として農業機械の更新を支援すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 質問の第三は、農業のデジタル化についてであります。 本年、コロナ禍の中で明らかになったことは、我が国の行政面におけるデジタル化の遅れであります。九月に発足した菅政権は、かかる現状を改めるべくデジタル改革担当大臣を置き、デジタル庁を設置して我が国の行政面でのデジタル改革を一気に進めようとしています。 こうした国の動きに呼応して本県も、県政の様々な分野でデジタル化を進め、デジタルトランスフォーメーションを推進することを、先般十月に策定した、「コロナの時代」に対応するための施策推進方針において明確にし、村岡知事は、今議会初日の議案説明において、来年度当初予算は、この方針に基づき編成していく旨の考えを表明されました。 そうしたデジタル化に向けた県の動きを了としながら、指摘しておきたいことがあります。それは、農業分野におけるデジタルトランスフォーメーションに、県は体制を整え総力を挙げて取り組むべきだということであります。 トビイロウンカ被害の実情を知るべく農業者の方々を訪ね歩く中で訴えられたことがあります。それは、普及指導員などによる農家等各戸への病害虫などに関する情報提供や防除の技術的指導などの周知徹底が、人員の面から難しいのであれば、スマホやタブレット端末などで、そうしたことができるシステムの構築に取り組むべきではないかということでした。 私は、そういう旨の訴えを聞いて、確かにそうだな、農業こそデジタル化のメリットが大きい分野ではないだろうか、トビイロウンカ被害は、農業分野におけるデジタル化の遅れを明らかにした面があるなとの思いを持つに至りまして、農林水産省におけるデジタル化への取組に関心を向けました。 そして、同省が、昨年十月に事務次官直結の推進組織であるデジタル政策推進室を設置し、本年八月にはこの推進室を大臣官房参事官を長とする大臣官房デジタル戦略グループに発展させていて、菅政権が看板政策としてデジタル化を掲げる前から、本気で農業のデジタル化を推進しようとしていることを知りました。 その背景には、農業の担い手の高齢化等が進む中において、農業を守り、これを成長産業化させていくには、農業のデジタルトランスフォーメーションを推進していくしかないとの危機意識があり、今日、様々な試みが行われ、農業現場への実装が進められているスマート農業は、そうした取組の一環であることを理解しました。 思うに、これまで農業の成長産業化ということは、常に強調されてきましたが、実際のどころ掛け声だけに終始してきた感があります。 その最大の理由は、成長産業化を実現する具体的なツールと方法論が伴っていなかったことにあると思われます。 それが、今日では、ツールとしてはデジタル技術があり、適切な戦略的方法論の下、それを活用すれば、農業の成長産業化は実現可能であります。 そして、その農業の成長産業化に向けたデジタル化の推進では、国や県、市町等が担う公的役割が大きいと考えられます。それは、第一次産業である農業は、第二次・第三次産業である商工サービス業と比べて、公的関与の度合いが高いからであります。 ついては、本県が、JAともしっかり連携して、農業の成長産業化に向けたデジタル化に本格的に取り組んでいくことを期待するものです。 そこでお尋ねです。本県の農業のデジタル化、すなわち、デジタル技術を活用した農業のデジタルトランスフォーメーションに県は今後どう取り組んでいくお考えなのか、御所見をお伺いいたします。 その四は、農協改革についてでありますが、これは要望を申し上げます。 農協改革に関する議論のスタートは、平成二十六年五月十四日の規制改革会議、農業ワーキング・グループで了承された農業改革に関する意見であります。 その意見においては、農業協同組合の見直しが主要項目の一つとして取り上げられており、農協中央会制度の廃止、全農の株式会社化、単位農協の信用事業の代理店化、准組合員の信用事業等利用に関する制限などが提言されています。 その後の推移を見ますと、平成二十七年の農協法改正により農協中央会に関する規定は廃止され、全国農協中央会は、一般社団法人に移行しました。また、各都道府県の中央会は、自律的な組織としての農協連合会に移行しました。また、全農は、その選択により、株式会社に組織変更できる規定が設けられました。 そして、これからは九月に発足した菅政権において、農協改革に関する議論が行われていくことになりますが、そのベースは、安倍政権時の本年七月二日の規制改革推進に関する答申の内容でして、焦点は、単位農協における信用事業の扱いと、准組合員の事業利用規制の件であると考えられます。 この答申は、農協の信用事業に関しては、基本的な考え方で、長期間にわたり低金利が続く中、信用事業の健全な持続性の確保に向け、単協の信用事業を見直して総合農協から代理店化を行うなどの取組が必要であるとしながらも、実施事項では、農林水産省は、農林中央金庫などを活用して、国内の農業への資金提供を強化するための出融資の仕組みを、農業者の成長段階に応じた資金調達の円滑化に併せて検討するとの記述になっていて、単位農協の信用の事業の大展開には触れていません。 准組合員の事業利用規制に関しては、農協の自己改革の中で、准組合員の意思を経営に反映させる方策について検討を行い、必要に応じて措置を講ずると、答申の実施事項に記されていまして、その方向で結論に至ることは、そう困難なことではないと思われます。 そこで、農協改革ということで課題として残り、今後議論されるであろう主要テーマは、単位農協の信用事業を農林中央金庫等の代理店化するという方向に関してであると思われます。 もしその方向が、郵政民営化で行われたことを農協組織においてやろうとするものであるとすれば、そのことが真に農協改革の名に値するものになるかどうかは疑問であります。 今日の農協の多くは、信用事業による収益があるので、営農事業へ人材と経費を投入できるという経営構造になっているからであります。 農協改革を議論してきた規制改革推進会議は、アベノミクスの第三の矢、成長戦略の実現に向けて、主に規制緩和の役割を担ってきたところですが、地理的・自然的条件の制約があり、地域コミュニティーの形成と深くかかわっている農業の中核組織である農協を、単に経済合理性の観点から経済成長を目的に改革していこうとするのでは、真の改革にはならないと考えます。 農協の改革は、何よりも農業の原点に立って、国民の健康な体をつくり生活を豊かにする農産物の生産と供給を安定的に実現し、健康な地域の形成に寄与するとの目的の下、その存在意義を国や地域社会における支え合い、生かし合いの関係の中において明確に位置づけて行うものでなければならないと考えます。 ここでいう健康な地域とは、東西統一前の西ドイツの地域政策の目標とされたもので、京都大学の名誉教授で農学者である祖田修氏によれば、その概念が意味する内容は、次のようなものであります。 第一に、可能な限り、人間の身の丈に合った多様な産業部門が、有機的に組み合わされた地域であります。 第二に、人間の生命を保全する生態環境の維持された地域であります。 第三に、人間的・協同的な生活世界を持つ地域であります。 祖田修氏は、その著「コメを考える」で、健康な地域の意味する内容をそう紹介し、そのような地域社会こそ、私たちが現代を生きる人間として、その生を全うし得る、未来に向けて希望の場となり得るのではないかと訴えています。私は、こうした考えに強い共感を覚えます。 最近、私なりの到達した一つの世界観があります。それは、私たちが生きている世界の基本は、生かし合いの関係であり、その関係の中で存在が支持され、位置づけられるものが生き残って栄え存続していき、そうでないものは淘汰されるということであります。人も企業も店も組織も、皆そうではないでしょうか。 そういう観点から、農協も、経済合理性からではなく、国や地域社会における支え合い、生かし合いの関係の中で、その存在意義、役割を明確にすることにより組織としての存続が支持され、結果として経済面も整うことになると見ています。 農協の改革が、政治課題になった背景には、これまで農協組織が、既得権益化して、時代の変化に応じた農業のイノベーションを実現していくことを阻害していたのではないかとの見方があると思われます。 私は、農協がそういう見方を払拭して、常にその農協組織の存在意義、原点に立ち返って、不断の自己革新を続けていき、我が国農業の発展と農業者の所得向上に向けて、その役割を果たしていく存在になることを期待するものであります。 本県では、農協は県一農協になりました。これも、農協の生き残りをかけての選択であり、決断であり、自己改革であったと思われます。 この県単一農協となったJA山口県とともに本県が、全国のモデルとなる農協の実現を推進し、もって国が進めようとする農協改革が、真の意味においての農協改革となるよう、地方の現場からしっかり声を上げていかれることを要望いたしまして、今回の一般質問を終わります。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)合志議員の御質問のうち、私からは、トビイロウンカ被害農業者への支援についてのお尋ねにお答えします。 本県では、耕地面積の八割を水田が占め、稲作を中心とした農業が展開されていることから、水稲による収益確保は、農業経営の安定を図る上で重要です。 このため、私は、集落営農法人等を核とした生産構造への転換を図りながら、法人等への農地集積やスマート農業機械の導入等による生産の効率化を進めてきたところです。 こうした中、本年は、大量のトビイロウンカの飛来・発生に加えて、相次ぐ台風の接近・襲来により、過去に例のない不作となりました。 これにより、収量や品質が大幅に低下したことに加え、度重なる防除に要したコストの負担も生じるなど、多くの農業者の経営に甚大な影響を及ぼしており、極めて深刻な事態であると受け止めているところです。 私は、この難局を乗り越えるためには、農業者の方々に意欲を持って営農を継続していただくことが重要と考え、被害軽減に向けた技術対策の強化に加え、次年度の水稲作付を後押しし、経営面での不安を払拭する支援を行うことといたしました。 まず、作付を後押しする支援については、県内産種子も不作となった実態を踏まえ、JA等と連携し、地域の主要な品種が確実に作付できるよう、県外から優良種子を確保します。 その上で、市町の御協力もいただなきがら、主食用米を生産する全ての農業者を対象に、次年度の作付計画に間に合うよう、種子代助成を行うこととしたところです。 次に、経営面の支援については、地域ごとに相談窓口を設置し、JAが創設した無利子融資の活用等、当面の資金の確保や経営内容に応じた保険制度の選択、加入促進などについて、指導・助言を行います。 私は、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、経営に大きな打撃を受けた農業者が、希望を持って営農を継続できるよう、しっかりと取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)トビイロウンカ対策についての五点のお尋ねにお答えします。 まず、被害の原因とその対応についてです。 今年は、平年と比べ二週間早く、百二十倍もの量のトビイロウンカが飛来し、八月の高温により異常なペースで増殖したことに加え、梅雨明けが遅く、初期の防除が困難であったことなど、複数の要因により被害が拡大したものと考えています。 この対応として、全国で最も早く警報を発令し、一週間ごとに技術情報を発出するなど、農業者はもとより、農薬取扱業者や防除受託団体等に対し、防除対策の周知徹底を図ったところです。 次に、被害を防ぐことができなかった理由についてです。 警報等に基づく徹底した防除が行われたものの、大量飛来と高温により、お示しの第二世代幼虫が爆発的に増殖し、薬剤が効きにくい卵や成虫も多数混在したため、多くの個体が生き残ったものと考えています。 次に、来年以降の対策については、効果の高い新薬剤の導入や散布時期の見直しなど、本年度の実態を解析しながら、防除体系を改善し、次期作に向け、SNS等も活用して速やかに周知徹底を図ります。 次に、指導体制の強化についてです。 県の普及指導員とJAの営農指導員が、連携した指導体制の下で、防除対策をはじめとした技術指導を行っているところであり、県においては、引き続き普及指導員の計画的な定員管理に努めながら、個々の専門分野等も踏まえた効率的な人員配置により、充実した指導体制を確保します。 また、JAでは、今後、営農指導員を増員していく方針であることから、経験の少ない指導員を対象とした研修を合同で実施するなど、県とJAが一体となって指導体制の強化を図っていきます。 次に、被害に強い品種の開発と栽培方法の確立についてです。 現在、国の研究機関では、抵抗性品種の開発が進められており、早期の品種育成に向け、本県においても、生育特性の調査を実施しているところです。 また、栽培方法については、現地の情報を収集、整理し、今後の実証試験に反映するなど、多様な農業者の経営に生かせる技術の普及につなげてまいります。 次に、農業機械更新への支援についてのお尋ねにお答えします。 県では、効率的な農業の展開に向け、集落営農法人など地域の核となる担い手経営体の育成を進めるとともに、新規就業者の受入れに伴う規模拡大や、収益性の高い作物の導入等に必要な機械・施設の整備を支援してきたところです。 こうした中、本年は、新型コロナウイルス感染症の拡大や、トビイロウンカの被害により、担い手の経営にも大きな影響を及ぼしており、農業機械の更新はもとより、今後の経営の継続・発展が大きな課題となっています。 このため、担い手個々の実情を踏まえた改善策が講じられるよう、農業経営支援センターの専門家の派遣等により、経営課題の分析と今後の展開方向を検討する中で、必要となる機械の導入等について、活用可能な支援策を提案します。 とりわけ、コロナ対策に取り組む経営体に対しては、経営強化プランに基づくスマート農業機械の導入を推進しているところであり、引き続き本県農業振興の中核である担い手経営体に寄り添いながら支援してまいります。 次に、農業のデジタル化についてのお尋ねにお答えします。 県では、これまで、ICTによる酒米の生育診断技術の開発・実証など、デジタル技術の積極的な活用に取り組むとともに、本年四月には、JAや農機メーカー等と山口県スマート農業導入加速協議会を設立し、農業分野におけるデジタル技術の推進体制を整備したところです。 今後、農業分野でデジタルトランスフォーメーションを推進するためには、お示しのように、ツールであるデジタル技術とその活用方法をしっかりと結びつけることが重要であることから、新技術の開発と、それを使いこなせる人材の育成に重点的に取り組むこととしています。 まず、新技術の開発については、AIを活用したトビイロウンカの発生予測やベテラン農家の生産技術をデータ化した管理システムなど、国や大学等と連携しながら、本県農業の課題解決につながる研究開発に取り組みます。 また、人材育成については、現在、整備を進めている、農林業の知と技の拠点において、日々進化する農業のデジタル化に対応できるよう、カリキュラムや指導体制を充実することとしています。 加えて、コロナ禍を契機に、タブレット端末を活用した普及指導の効率化・高度化にも取り組んでいるところであり、引き続き、農業の成長産業化に向け、関係者一体となってデジタル化の推進に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時四十三分休憩