1 デジタル技術を活用した地域活性化について 2 農山村が有する多面的機能について 3 新型コロナウイルス感染症対策について 4 新たな時代の人づくりについて 5 その他
───────────── 午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───────────── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 副議長(藤生通陽君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 国本卓也君。 〔国本卓也君登壇〕(拍手) 国本卓也君 皆様、こんにちは。自由民主党の国本卓也でございます。 県議会議員となって一年半、地域のため、山口県のため、現場感覚を生かし、真っすぐに、実直に、がむしゃらに頑張ってまいりました。この間、新型コロナウイルスにより、国内はもとより、世界は大きな変化を余儀なくされましたが、日本モデルの対策により我が国の感染者数、死亡者数は先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込まれてきました。 内閣総理大臣として七年八か月にわたって安定した政権を維持してこられた安倍先生のお力なくして、この状況はあり得なかったと考えております。(「そうだ」と呼ぶ者あり)安倍先生には、心よりの感謝と御慰労を申し上げますとともに、まずは体調回復を優先していただき、今後も山口県と日本のためにお力添えを賜りますよう、お願いを申し上げるところであります。 今もテレビや新聞では、連日コロナに関する報道がされていますが、その中で、マスク買占めのニュースを見て、もしこれが食料の買占めだったらと不安に感じられた方もおられるのではないでしょうか。 事実、コロナ感染拡大以降、ロシアや東南アジアなどの十九か国が農産物の輸出を規制し、世界的な食の供給網が揺らぎました。 農林水産省が、八月に発表した二○一九年度の我が国の食料自給率は、カロリーベースで三八%であり、前年度より一ポイント改善したものの、依然として先進国の中で最低の水準となっております。そして、本県の食料自給率は、さらに低い三二%であります。 コロナ禍の中で、世界的なパニックを目の当たりにしたことで、感染症や気候変動、災害など、食料危機のあらゆるリスクを想定し、どこで何が起きても自分たちの食料が十分確保できるように自給力を高めていかなければならないと痛感しているところであります。 私たちの食を支える農業をはじめ、日本中、世界中の様々な産業は、今、大変厳しい状況に置かれていますが、事態の一日も早い終息と、大きく落ち込んだ経済の再生に向けて、一県議会議員の立場から引き続き全力で取り組んでいく覚悟であります。 それでは、一年ぶりの二度目の一般質問の機会を頂いたことに感謝を申し上げまして、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、デジタル技術を活用した地域活性化について、二点のお尋ねをいたします。 まず、コロナ禍におけるスマート農業の推進についてです。 先月二十七日、山口県スマート農業導入加速協議会の主催によるスマート農業導入加速化セミナーが、やまぐち富士商ドームで開催され、私も参加をさせていただきました。 このセミナーでは、農業用ドローンの最新情報について紹介されたほか、様々なドローンが展示・実演され、私自身も間近でその技術に触れることができましたし、県内の生産者や関係者など二百名の方が参加されたということで、関心の高さも伺えました。 このセミナーでは、日本ドローンコンソーシアム会長である千葉大学名誉教授の野波健蔵氏による講演が行われましたが、その中で、農業分野におけるドローンを活用した農薬散布の技術は、我が国が世界で最も進んでおり、実用化の段階まで到達しているという紹介がありました。 本県においても、農業分野でのドローンの導入や活用が始まっていますが、ドローンをはじめとしたスマート農業機械の活用は、若い人たちの活躍の場の創出、農業の軽労化・省力化のために有効であり、これまで以上に積極的に導入していくことの必要性を改めて感じたところであります。 一方、コロナ禍において、新しい生活様式に対応した取組が求められていますが、それは農業界においても同様であります。 一般的に農業は、太陽の下、開放された空間で作業するイメージがありますが、収穫作業や収穫後の袋詰め作業、あるいは従来の方法による防除作業などは、複数の人たちが密集する場面も多く、三密となる可能性があります。 特に、全国でも二番目に農業者の高齢化が進んでいる本県においては、一人の構成員の離脱が、農業経営の継続可否に直結してしまうため、三密を回避し、少ない人数でも作業を行うことができる技術体系を早急に構築することが求められています。 県においては、これまで本県の実情に合わせたスマート農業技術の開発や実証を進めておられますが、特に、農薬散布用ドローンのように、一定水準まで達しているスマート農業機械やシステムについては、積極的に導入を進めていくことが重要であると考えております。 そこでお尋ねいたします。ウイズコロナ、アフターコロナの時代において、今後、本県農業の活性化に向けたスマート農業の推進にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 二点目は、ドローン等を活用した中山間地域振興についてであります。 先ほど御紹介したスマート農業導入加速化セミナーにおいては、農業分野以外でのドローンの活用事例や今後の可能性についても紹介されました。 現在、世界で最もドローンが活用されている分野は、ホビー用、つまり趣味として購入されているものですが、産業用ドローンに限れば、農業分野が最も多く、次いで、設備・点検系のドローン、建築・建設系のドローンとなっています。 現在では、農業分野での活用が突出していますが、二○二○年、今年には点検分野がトップとなり、二○二二年頃からは、物流分野が台頭すると予測されています。 野波氏の講演でも、今後、様々な規制が緩和され、ドローンの性能の向上による積載重量の増加やバッテリーの改良が行われることによって、我が国においても、物流分野におけるドローンの活用が最も期待されるということが示されていました。 こうした説明によれば、物流分野でのドローンの活用は、これからという印象を持ちますが、ドローンを活用した物流の実証実験は、既に全国各地で行われています。 例えば、岡山県の和気町では、国土交通省や環境省などと連携し、一昨年からドローンを活用した補助者なしでの過疎地域への荷物配送検証実験を行っています。 国土交通省が二○○八年に行った人口減少、高齢化の進んだ集落等を対象とした日常生活に関するアンケート調査では、生活上最も困っていることの項目として、医療関係の不安に次いで、近くで食料や日常品を買えないことが挙げられており、中山間地域に暮らす高齢者の大きな不安の一つとなっています。 この課題の解決に向けては、これまでも様々な施策が展開されていますが、一つの取組だけで解決できるものではなく、現在、開発されつつあるデジタル技術を活用した手法も取り入れていくことが必要ではないかと考えております。 光ファイバー網の敷設を進め、交通分野や地域交流などにICTを活用することや、これから本格的な開発が進んでいく物流分野へのドローンの活用など、デジタル技術の活用を進めることは、移動手段を持たない、中山間地域や離島で暮らす高齢者にとって大きな可能性を示すことになるのではないでしょうか。 私は、デジタル化が本格化する今こそ、こうした技術を産業振興だけでなく、地域振興にもつなげていく視点を持つことが重要だと考えております。 そこでお尋ねいたします。本県の中山間地域で暮らす方々の生活支援や地域の活性化を図るため、ドローンをはじめとしたデジタル技術の導入や活用に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農山村が有する多面的機能についてお尋ねをいたします。 国が毎年作成・公表している水循環白書において、今年は、水循環のこれまでとこれからと題して、一九六四年の東京オリンピックから現在までの水を取り巻く状況の変化を振り返る特集がされています。 この特集では、水循環に関する取組を、渇水と水資源の確保、貯留・涵養機能の維持及び向上、災害への対応、水インフラの維持管理・更新等の八つの分野で整理されていますが、その中で、貯留・涵養機能の維持及び向上の項においては、森林と農地が果たしている重要な役割が、また水インフラの維持管理・更新等の項においては、農業水利施設の老朽化の進行が記載されています。 私がここで紹介するまでもありませんが、農地やその関連施設が有する雨水や地下水の涵養・貯留機能、森林が有する水源涵養機能は、災害防止や生態系の維持に直結しており、一度その機能を失ってしまうと、元に戻すことは非常に難しいと言われています。 昨年七月に発生した令和元年東日本台風による堤防決壊を伴う広域かつ大規模な浸水被害など、百年に一度と言われる水害が毎年全国のどこかで発生している昨今においては、私は、農山村が果たしている治水などの多面的機能を改めて評価しなければならないと考えております。 本県では、森林においては、やまぐち森林づくり県民税や森林環境譲与税を活用した取組が、また農地においては、多面的機能支払交付金制度や中山間地域等直接支払制度による地域ぐるみでの取組が展開されており、森林や農地の保全に大きく寄与していることは間違いありませんが、一方で、本県の農林業従事者の高齢化が進み、森林や農地に加え、農業水利施設などの関連施設の維持管理が難しくなっている実態もあります。 私は、農山村は、食料生産の場というだけではなく、災害防止に大きく寄与していることを県民に広く周知していくことが、農山村で暮らし、森林や農地を守ってくださっている農林業者の意欲向上にもつながっていくのではないかと考えております。 そこでお尋ねいたします。本県の農山村が引き続き、治水などの多面的機能を発揮することができるよう、今後、森林と農地の保全をどのように進めていかれるのか、また、農山村の機能を県民に広く周知するため、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について二点のお尋ねをいたします。 まず、これまでのコロナ対策を踏まえた今後の医療体制の確保についてであります。 新型コロナウイルス感染症は、指定感染症として、当初、重症急性呼吸器症候群などと同じ二類相当に位置づけられ、その後、エボラ出血熱など一類と同様の無症状者の入院勧告や、一類にもない外出自粛要請も可能とされてきましたが、先月、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会などで、二類相当の見直しの検討と、見直しによる効果と問題点を整理することとされました。 また、現在までの厳格なコロナ対策が、コロナ感染者を許さない空気を助長している可能性があります。 感染症法の前文にあるとおり、過去、感染症については、ハンセン病や後天的免疫不全症候群等の患者等へのいわれのない差別や偏見が存在した歴史があります。 今回の新型コロナにおいても、店名や地域名、勤務先、通学先などの公表は、中傷や差別のリスク、ほかに方法がないことの検証、必要性の科学的根拠などを国において総合的に検討されなければならないと考えております。 新型コロナは、見たこともない感染症であり、最悪の事態を想定し、最も危険なエボラ出血熱などと同様とも言えるような厳格な対応を取るとともに、最優先で病床や医療資源をコロナ対策に振り向けることは、初動対応としては理解できます。 しかしながら、日本においては、コロナ感染者の八割は軽症・無症状のまま治癒し、高齢者かつ糖尿病などの持病がある方が重症化の危険性が高いことが分かってきています。 この傾向のまま感染者が増え続ければ、軽症者が病床を埋め、重症者や新型コロナ以外の疾患で入院を必要とする患者の病床確保に支障を来すことになります。 また、通常の診療においては、感染を恐れた受診控えが、現実の問題として明らかになっており、県民の健康へのリスクが高まっています。 このため、現在までのコロナ対策の取組を踏まえ、今後の新型コロナのリスクに応じた適正な対策につなげるなど、真に医療を必要とする人々にしわ寄せが生じることのないようにする必要があるのではないかと考えております。 そこでお尋ねいたします。県として、これまでコロナ対策の取組を踏まえ、感染症対策と、それ以外の疾患の患者に対する医療を両立させ、コロナ時代にふさわしい医療体制の確保につなげていく必要があると考えておりますが、御所見をお伺いいたします。 二点目は、感染防止対策と社会経済活動の両立に向けた取組であります。 医療機関の負担は、まだまだ大きい状況が続いていますが、全国的にはコロナ患者の報告数は減少傾向にあり、感染防止対策と社会経済活動の両立に向けた国民の意識も醸成されつつあるように感じております。 そうした中、先般、新型コロナウイルス感染症対策分科会が政府に対し提言を行いました。 その提言の一つに、イベント開催制限の緩和があります。 コロナ禍にあっても、スポーツや文化活動の大規模イベントを開催したいという期待が高まっていますが、大規模イベントは、参加者が多数かつ広域にわたるため、感染者が発生した場合、影響が極めて深刻になる可能性があります。 しかし、それを踏まえた上で、分科会では、五千人という人数上限を解除すること、歓声や声援などが想定されないクラシックコンサートなどは、収容率を一○○%までとすることなどを提言されました。 また、九月十日、東京都は、感染状況の警戒レベルを一段階引き下げ、都民に対する都外への移動自粛を解除するとともに、二十三区内の飲食店などに出している営業時間短縮要請を今月十五日で終了すると発表しました。 これを受けて、国土交通大臣は、十月一日から東京都を「Go To トラベルキャンペーン」の対象地域とすることを決定したと発表されました。 七月二十二日から始まったこのキャンペーンは、感染者が増加傾向にあった東京都を対象地域から除外してスタートしていましたが、東京都の追加により、全国一斉という本来の姿での事業展開が始まることになりました。 このように、ウイズコロナ時代の全国的な動きは、ギアを一段階上げて新しいステージを迎えようとしており、本県においても、この流れに乗り、感染防止対策と社会経済活動の真の両立に向けて、さらなる取組をお願いしたいと考えております。 私の地元、熊毛郡でも大きく落ち込んだ経済に苦しんでおられる多くの方から、切実な声、厳しい現実、様々な御相談を伺っております。 県民の安心・安全は、最優先であることは間違いありませんが、それを理由にコロナ対策が過度なものとなるようなことがあってはなりません。 コロナ対策に対する評価は、感染拡大をいかに防いだかということだけではなく、経済をどれだけ守ったか、県民生活の犠牲をどれだけ抑えられたか、感染防止と社会経済活動の両立をいかに図ることができたかということも含めて評価されなければならないと考えております。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルス感染症と落ち込む社会経済活動の両方から県民を守るため、感染防止対策と社会経済活動の真の両立に、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、新たな時代の人づくりについて、お尋ねをいたします。 人づくりは、国づくり。我が党においては、経済再生と教育再生を日本再生の要と位置づけ、人づくりに関する様々な提言を政府に対して重ねてまいりました。 グローバル競争の激化、急速な技術革新、さらにはコロナ禍を契機とした社会変革など、変化の激しい時代を迎える中、人口減少、少子高齢化が急速に進む地方だからこそ、地域の活力をつくり出し、将来を担っていく人づくりが重要な課題であることは言うまでもありません。 本県では、こうした課題認識の下、令和の時代の初頭に当たり、明治維新を成し遂げた先人たちの志や行動力を学ぶ取組や、本県の強みであるコミュニティ・スクールの取組などを生かしつつ、未来を切り開いていく子供や若者の育成に重点的に取り組んでいくため、今後、県が目指すべき人づくりの姿を示す新たな時代の人づくり推進方針の策定を進められてこられ、先日、その素案が公表されたところであります。 この素案では、県内外の多くの有識者との議論を踏まえられ、ふるさと山口への誇りと愛着を高める取組に併せ、Society5・0時代の到来を見据えた新たな価値を創造する力の育成、コロナ禍を契機として、前倒しして導入が進んでいる教育ICTの活用など、本県として目指すべき人材像や様々な取組の方向が示されています。 加えて、昨年度、我が会派から指摘した、人づくりにおける幼少期の重要性、障害のある子供や様々な事情で特別な支援が必要となる子供への配慮、私学との連携といった視点についても、しっかりと盛り込まれています。 これにより全ての子供や若者の学びへの意欲を受け止めながら、県全体として新たな時代に向けた人づくりを進めていくという強い思いが伝わる指針となっており、今後の取組に大いに期待するものであります。 私の地元では、田布施農工高校が国の指定を受け、休耕田や空き家を活用した移住プロジェクトなど、田布施農工生だからこその企画に、町や地元企業と協働しながら取り組んでいます。 こうした取組を通じて、地域の将来を担う人材に育ってほしいと願っております。 未来を自分たちの手でつくっていこうとする精神や志、新たな知識や技術を身につけようとする姿勢は、歴史や伝統に裏打ちされた本県の財産であります。この財産を将来世代に引き継いでいけるよう、子供や若者の挑戦を応援する取組や環境整備を進めていくことが重要だと考えております。 そこでお尋ねいたします。本県の未来を託す子供や若者が、これからの変化の激しい時代を力強く生き抜くため、新たな時代の人づくりを今後どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、一言申し上げます。今定例会に提出されている補正予算案には、本県のデジタルトランスフォーメーションの実現に向けた事業が盛り込まれており、時流に乗り、DX推進に向けて取り組もうとする県の決意を感じ、私は評価をさせていただいております。 くしくもコロナ禍により、あらわになったデジタル化の遅れへの対応は、我が国にとって喫緊かつ最重要の課題であります。とりわけ人口減少、少子高齢化が深刻な課題となっている本県にとっては、デジタル化による社会変革は様々な地域課題の解決につながることが期待され、地域活性化の切り札にもなり得ると考えております。 県には、行政のデジタル化はもとより、県全体のデジタルトランスフォーメーションの牽引役として、県内各地域、各分野でのデジタル化を力強く推進する、その力となっていただきたいと願っております。 そのためには、菅総理肝煎りのデジタル庁創設に向けた動きが加速する国の動きを捉え、本県においてもDX推進のための新しい部局を設置するくらいの意気込みで山口県のデジタル化を強力に推し進めていただくことをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)国本議員の御質問のうち、私からは、新たな時代の人づくりについてのお尋ねにお答えします。 本県においては、人口減少や少子化が依然として進行し、若者の県外流出が続いています。また、Society5・0社会の到来やグローバル化の進展等の中で、国際間・地域間の競争もますます激しさを増しています。 さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、我々は今、これまでの慣例や価値観を見直し、デジタル化等の社会変革を進め、コロナの時代の新たな日常をつくり上げていくことを求められています。 まさに激動の時代にあって、県政が目指す「活力みなぎる山口県」を実現していくためには、本県の将来を担い、未来を切り開いていく人材の育成が、これまでにも増して重要であると考えています。 私は、そうした多くの人材の育成を目指し、昨年県議会から頂いた御指摘を踏まえて、学びへの意欲を持つ子供や若者に、あまねく必要な教育を提供するとともに、志を育て、実現に向けた行動を支援するための取組をさらに加速してまいります。 その具体化に当たっては、このたび取りまとめた、新たな時代の人づくり推進方針の素案において、六つの取組の視点を掲げました。 第一は、生涯にわたる人づくりの基礎を培うであり、幼児教育・保育の充実を図る中で、幼少期における子供の豊かな心の育成を進め、生きる力の基礎を培い、その後の教育にしっかりとつなげてまいります。 第二は、ふるさと山口への誇りと愛着を高めるであり、本県を舞台に活躍する若者を育てるため、先人たちの志や行動力にも学びながら、変化の激しい時代であればこそ、自らの価値観の基礎となる山口県人としてのアイデンティティーの確立を一層促していきたいと考えています。 そして、第三の新たな価値を創造する力を育むにおいて、お示しの地域と連携した取組や創造的な体験活動等を通じ、地域や社会が抱える課題を自ら発見し、他者と協働して解決する力や、グローバルな視野、さらにAI等の新しい技術を活用する力の育成に取り組んでまいります。 第四は、誰にも等しくチャレンジの機会を創るであり、特別支援学校における専門的な教育や、家庭環境等に困難を有する子供へのきめ細かな支援を充実するとともに、再チャレンジを希望する若者に対し、多様な学び直しの機会を提供していきたいと考えています。 第五は、地域や時代のニーズに対応し、チャレンジのための環境を整えるであり、公立学校と私立学校の連携を図りながら、特色ある教育や学力向上に向けた環境づくりを進めます。 また、ICTを生かした教育の推進やコミュニティ・スクールの深化、県内高等教育機関における機能分担と連携などにも積極的に取り組んでまいります。 最後に、第六の新たな人づくりの推進体制を築くでは、幼稚園教諭・保育士等の確保・育成や、教職員の資質能力の向上、新たな学びの視点を取り入れた教育プログラムの開発等を推進していくこととしています。 私は、これらの視点に基づいて、全体を体系的かつ中長期的な視点から俯瞰しながら、相互のつながりと実効性のある施策を構築し、市町や学校、地域、企業等と一体となって、本県の新たな時代を担う人づくりに全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)デジタル技術を活用した地域活性化についてのお尋ねのうち、コロナ禍におけるスマート農業の推進についてお答えします。 本県農業の活性化を図るためには、日々進化し、多様化するスマート農業技術の積極的な活用が必要であることから、本年四月に、山口県スマート農業導入加速協議会を設立し、セミナーの開催等を通じて、生産現場への導入の機運を高めてきたところです。 こうした中、感染症の収束が見通せず、農業分野でも新しい生活様式への対応が求められていることから、少ない人数で作業を行うという視点も重視しながら、スマート農業技術の導入を加速していくことが重要です。 このため、企業・大学等との連携による新技術の開発・実証や、農業大学校における技術指導等の取組に加え、新たに、コロナ対策に積極的に取り組む中核経営体を対象に、実用段階にあるスマート農業機械を緊急的に導入することとしています。 具体的には、まず、中小企業診断士などのコロナ対策にも精通した専門家を中核経営体に派遣し、感染症防止対策を徹底することで生じる技術的・経営的課題と、課題に対応したスマート農業機械の活用方法等を整理した、コロナ対応経営強化プランの作成を支援します。 また、強化プランに基づくスマート農業機械の導入に当たっては、協議会に設置した支援チームが中核経営体に寄り添いながら、これまでの実証試験で得られた成果を踏まえ、導入すべき機械の選定や利用計画の策定等をきめ細やかに支援します。 県としては、ウイズコロナ、アフターコロナの時代においても、生産者が安心して農業経営に取り組めるよう、スマート農業の推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、農山村が有する多面的機能についてのお尋ねにお答えします。 農山村における農地や森林は、農林業の生産活動を通じて、県土の保全、水源の涵養などの多面的機能を有しており、今後とも、その機能を適切に維持・発揮させることが重要です。 県では、これまで、中山間地域等直接支払制度などを活用し、農地や農業水利施設の保全管理活動への支援を行うとともに、やまぐち森林づくり県民税による荒廃森林の整備などを進めてきたところです。 一方、農山村においては、農林業従事者の高齢化が進み、農地や森林の維持管理が困難となるなど、農林業を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあります。 このため、元気な農林業・農山村の実現に向け、多面的機能の維持・発揮や、地域のニーズに的確に応える生産基盤の整備に一層取り組んでまいります。 具体的には、中山間地域等直接支払制度などにより、隣接集落が連携した活動体制づくりや、管理省力化機械の導入など、地域の保全活動を支援するとともに、農地の管理が容易となる用排水路等の整備を推進します。 また、人工林の多くが利用期を迎える中、主伐と再造林による森林資源の循環を着実に進めるとともに、森林環境譲与税を活用した取組を促進するなど、森林の適切な管理に努めてまいります。 さらに、農山村の機能を県民に広く周知するため、農林業体験活動の開催や、ホームページなどによる地域活動等の情報発信により、交流人口や関係人口の創出・拡大に努め、農林業者の意欲向上につなげていきます。 県としては、引き続き、農山村の多面的機能の維持・発揮に向けた取組を積極的に推進してまいります。 副議長(藤生通陽君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)ドローン等のデジタル技術を活用した中山間地域振興についてのお尋ねにお答えします。 中山間地域においては、人口減少や高齢化の急速な進行に伴い、公共交通の撤退や生活店舗の廃止等が進み、地域によっては、移動や買物など日常の生活サービスの確保に支障が生じている状況にあります。 このため県では、地元市町と緊密な連携を図りながら、地域が主体的に取り組むデマンド交通や移動販売車の導入等を支援しているところです。 こうした中、お示しのように、ドローン等のデジタル技術の活用は、これまで対応が困難であった地域課題を従来にはない手法で解決するだけでなく、生活の質を飛躍的に向上させる可能性を有しています。 また、特に医療環境の厳しい過疎地域や離島においては、感染症の拡大を防止し、コロナの時代の新たな日常をつくっていく観点からも、対応が求められる課題と考えています。 このため、県としては、中山間地域でもデジタル技術の効用が十分発揮されるよう、その基盤となる光ファイバーの整備を市町に強く働きかけるとともに、具体的な取組としても、5Gを活用した僻地医療機関に対する遠隔サポートの実証事業等を進めています。 また、ドローンを活用した物流ビジネスや自動運転サービスなどの実証実験に取り組む地域も県内に現れてきており、こうした意欲ある取組を積極的に支援し、早期の社会実装と他地域への横展開を図っていきたいと考えています。 その一方で、中山間地域の中には、地域づくり活動の担い手不足や高齢化などから、現状においては、デジタル技術による新たなサービスの導入に消極的と見込まれる地域も少なくありません。 このため、ICTを地域に根づかせ、生活の質の向上につなげていくための新たな事業にも取り組むこととし、このたびの補正予算に計上したところです。 具体的には、中山間地域にICT技術の専門家を派遣し、オンラインによる生活サービスの利用等について、住民ニーズに即したアドバイスを行い、地域におけるデジタル化の普及・定着を図っていくこととしています。 県としては、今後も市町や地域と連携し、意欲ある取組を支援しながら、デジタル技術を活用した中山間地域の振興に積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)これまでのコロナ対策を踏まえた今後の医療体制の確保についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルスの感染が広がる中、県民の安心・安全を確保するためには、適切な医療を提供できる体制づくりが重要です。 このため、県では、これまでに、県医師会や医療機関の御協力の下、四百二十三床の入院病床の確保に加え、軽症患者や無症状の方を受け入れるため、宿泊療養施設八百三十四室を確保し、合わせて千二百五十七名の受入れ体制を整備したところです。 こうした中、新型コロナウイルス感染症の長期化が予想されていることから、県としては、他の疾患等の医療との両立を図るための効率的な病床運用や、重症患者等に対応できる医療提供体制の確保に取り組むこととしています。 具体的には、まず、効率的な病床運用については、本年七月に国が示した患者推計を踏まえた病床確保計画を策定し、感染状況に応じた四つのフェーズごとに必要となる受入れ病床の確保や調整を行うこととしています。 また、重症患者等への適切な治療ができるよう、山口大学医学部附属病院や四つの感染症指定医療機関を重点医療機関に指定するとともに、広域的に感染症患者を受け入れる病床を常時確保するなど、医療提供体制の整備に努めてまいります。 なお現在、国において、軽症や無症状者の入院措置等の在り方について、政令の見直しも含めた検討が進められていることから、その動向を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えています。 こうした取組に加え、お示しのように、感染を恐れた受診控えも懸念されることから、今後、テレビスポット等を通じて、適切な受診を広く県民に呼びかけてまいります。 県としては、今後とも関係機関と連携し、医療提供体制の充実を図り、新型コロナウイルス感染症対策に積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねのうち、感染防止対策と社会経済活動の両立に向けた取組についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症から県民の命と生活を守るためには、お示しのとおり、感染防止対策と社会経済活動の両立を図っていくことが重要です。 このため、県としては、これまで県民や事業者等に対し、新しい生活様式の実践や、業種ごとの感染拡大予防ガイドラインの徹底を促すとともに、落ち込んだ県内経済の回復のため、消費需要の喚起等に取り組んできたところです。 しかしながら、感染症の収束が見通せない状況にあっては、人々の行動も慎重にならざるを得ず、社会経済活動の回復に向けて、依然として厳しい状況が続いています。 このため、このたびの九月補正予算においては、感染防止対策を十分に講じながら、県内活動の回復のためのさらなる需要喚起等に取り組むこととしたところです。 具体的には、秋の観光シーズンにおける県内への誘客を促進するため、体験型コンテンツの割引を実施し、観光需要を一層喚起することとしています。 また、県産農林水産物のさらなる需要回復や拡大を図るため、これまでの和牛や地鶏、日本酒、花卉等に、新たに高級魚を加えた、「もっとみんなでたべちゃろ!キャンペーン」を展開していきます。 さらに、これら全県的な取組に加え、地域の飲食店などの需要喚起に向けては、新たな交付金制度を設け、市町の主体的な取組を支援することとしたところです。 引き続き、国が示した感染状況に関する指標をモニタリングしつつ、今後は、国の「Go To トラベル」や「Go To Eat」などの需要喚起対策との相乗効果も発揮させながら、こうした取組を進め、県民生活の安定確保を図るとともに、社会経済活動を段階的に引き上げていくこととしています。 県としては、県民の命と生活を守ることが最重要課題との認識の下、新型コロナウイルス感染症との共存を前提に、引き続き、国や市町と連携し、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた取組を推進してまいります。