1 観光産業の回復に向けた取り組みについて 2 ふるさと納税の取り組み強化について 3 多文化共生の推進について 4 障害者の就労支援の充実について 5 工業用水の安定供給について 6 米軍岩国基地問題について 7 その他
副議長(藤生通陽君)江本郁夫君。 〔江本郁夫君登壇〕(拍手) 江本郁夫君 皆さん、大変お疲れでございます。自民党会派の江本郁夫でございます。 令和二年の九月度議会の一般質問のトリを頂きました。直近、同じ会派の国本議員が大変元気にフレッシュに一般質問をされましたので、私もエネルギーを頂きまして、フレッシュに頑張ってみたいと思います。 質問に入る前に、今回、多くの議員諸兄が取り上げておられました新型コロナ感染症対策について、一言申し上げます。 まず、八月の中旬から九月上旬にかけて、私の地元におきまして県内初のクラスターが発生いたしました。このときのクラスター対応につきまして、県の担当の皆様には、実に迅速に、かつ適切に対応していただきました。担当されました皆様方に対し、厚く御礼を申し上げる次第であります。 ここに来て、直近、地元でまた何人かの認定者が発生している状況でもあります。再び御苦労をおかけいたしておりますが、広く県民のために、引き続きよろしくお願いを申し上げます。 さて、直近の九月二十五日、菅総理により初の大きな外交デビューとも言える国連総会での演説がビデオ放送により行われました。 総理は、この演説の中で来夏のオリンピック・パラリンピック開催への意欲をはじめ、現在、世界を取り巻く幅広い分野へ言及されました。 その中で、私にとって特に印象的でありましたのは、その演説のほぼ半分を新型コロナウイルス感染克服のための国際社会の取組に貢献する意向の表明に向けられたことであります。総理のコロナ感染症克服に向けた並々ならぬ強い決意を感じた者は、私だけではなかったと思います。 現在、全世界の死亡者が百万人にも達しようとしている現状からいたしましたら、我が国では僅か千五百四十三人と驚嘆すべき低水準で推移しており、今後も専門家による知見に従い、日本人としての強い団結力でこの感染症を克服していきたいものと考えております。 ところで、この専門家の知見で進められている感染対策としてのPCR等検査の在り方について、診断目的から防疫目的への転換が必要だとの意見があります。 このPCR検査とは、ウイルスの遺伝子のごく一部について増幅させることによって類似性を判断する仕組みであり、必然的に一部誤った判断をする可能性を内包しております。 こうしたことから、未感染者を含めた検体数が多ければ多いほど擬陽性、間違って判定された人が数多く発生し、その結果、陽性となった人の中に真の感染者が含まれる確率がどんどん下がっていくという結果になり、結局、感染拡大防止のための検査の効果がなくなってしまいます。 したがって、PCR等検査については、あくまで専門家の診断の際の確認手法として、あるいは対象の範囲を明確に絞る中で使用すべきであり、この観点から県のPCR等検査の運用については、現在の在り方で妥当なものと私は考えています。 テレビやインターネットでは、日々、様々な情報が飛び交い、一体どのような情報を信じていいか判断に困るような状況がありますが、私たちは常に正しい情報を取り入れようとの姿勢が大事だと思います。冷静にかつ常に正しく怖がることが重要だと思います。 それでは、新型コロナウイルス対策に現在幅広く携わっておられます医療機関、福祉関係、幼稚園、保育園を含め学校の関係者の皆様など、感染リスクの中でお仕事をされておられる皆様方に対しまして、深甚なる敬意と謝意を申し上げまして、通告に従い一般質問に入ります。 まず、観光産業の回復に向けた取組についてお尋ねします。 新型コロナウイルスが世界のあらゆる分野に衝撃を与えています。特に、その感染拡大防止のために、全世界的に人の移動が制限されたため、国内外、国内各地域間を問わず人の流入が激減しており、とりわけ観光産業に与えた被害は甚大であります。 さらに、我が国においては、本年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年であっただけに、その期待の裏返しとしての喪失感も深刻で、コロナ感染への不安や実際の経済的ダメージとともに、人々に与えた心理的ダメージも深刻なものがあります。 観光産業は裾野が広く、その衰退は、地域の経済や雇用などに大きな影響を与えます。 本県においても、それは例外ではなく、宿泊予約や宴会のキャンセルなどにより旅館やホテルの経営が苦しくなり、中には経営破綻にまで及んだところもあります。 こうしたことから、県では地域経済を一刻も早く立て直すべく、六月補正予算においてプレミアム宿泊券などによる観光需要喚起策を講じられました。 また、国においても、大手旅行代理店とタイアップした取組として、国内旅行を対象とした「Go To トラベルキャンペーン」を七月二十二日から開始しています。 国土交通省によると、この事業による七月二十七日から八月二十七日までの利用が、少なくとも延べ五百五十六万人に上ったとのことです。本県のプレミアム宿泊券と同様、多くの県民の方々の関心も高いことと推察します。 私は、この事業実施の決断は、東京においてはいまだPCR検査の陽性反応者数が衰えを見せていない最中であっただけに、安倍内閣での英断であったと評価しています。 なお、ようやく十月一日から東京発着分もキャンペーン対象に追加されるとのことであり、これにより、今後、一層の観光需要の盛り上がりが期待されるところです。 ここは、やはり新型コロナウイルス感染症の状況をしっかり見極めつつ、同時に、経済も回復させていく取組が極めて重要だと思います。今後も、本県独自のプレミアム宿泊券とキャンペーンの相乗効果が最大限発揮できるよう努めていかなければなりません。 こうした一方、このたびのコロナ禍を契機に、これからはワークとバケーションとを組み合わせたワーケーションや、ビジネスとレジャーを組み合わせたブレジャー、サテライトオフィスの活用など働き方改革とも合致した、より安全で快適な新しい旅行スタイルの普及も見込まれるところであります。三密を避ける新しい生活様式は、これからあらゆる場面で求められることでしょう。 また、現在、観光は厳しい状況にあるとはいうものの、自然、食、伝統文化、歴史など本県の観光資源の魅力は決して色あせてはおらず、引き続き、これをしっかりと磨き上げていく必要があります。 こうしたことから、今後は、これまでの観光需要の底上げ策に加え、あるべき本県の新たな観光戦略についてしっかり腰を据えて議論し、来るべき観光需要の回復期において、反転攻勢に転じるための基盤整備を着実に展開していかければならないと思います。 そこでお尋ねします。ウイズ・ポストコロナの時代における観光産業の回復に向けて、今後、県としてどのように取り組んでいくこととしているのか、御所見をお伺いします。 次に、ふるさと納税の取組強化についてお尋ねします。 第一次安倍政権時の平成十九年、当時の菅総務大臣が創設された制度である、ふるさと納税制度は、地方創生を理念に自分が育った故郷が、あるいは自分が大好きな地方がさらに住みよいすばらしい町になることを目的にスタートした制度であることは、皆さん御承知のとおりであります。 そのうち個人向けのふるさと納税制度については、平成二十七年度からは、これも当時の菅官房長官の肝煎りで、寄附の特例控除の上限額が一割から二割に拡大されるなど、使い勝手を改善しながら着実に実績を伸ばしてきました。 山口県においては、市町分については着実な実績を上げてきていますが、県分については、平成二十三年の山口国体や平成三十年の山口ゆめ花博開催時に一時的に受入額が増加したことはあるものの、例えば昨年令和元年度の実績では、全都道府県の受入額約六十億円の○・一%余りにすぎない約八百万円となっているのが実態であります。 コロナ禍の中、県では、さきの六月補正において、新型コロナウイルス感染症対策の財源確保と併せ、農林水産事業者など県内事業者への支援に資することを目的に、返礼品を活用したふるさと納税の拡大に向けた取組をスタートされたことは、時宜を得たものと評価していますが、今後はその取組をしっかりと実績に結びつけていくことが重要です。 また、平成二十八年度に創設された企業版のふるさと納税制度については、地方自治体にとっては新たな財源確保の手段として、また企業にとっては、企業の社会的責任(CSR)を果たすことに資するツールとして、双方のメリットを生かしての制度活用が期待されていますが、本県においては、これまで、山口県高度産業人材確保事業など限られた目的のための財源確保に細々と活用してきたにすぎません。 こうした中、企業版ふるさと納税制度は本年四月に改正が行われ、地方創生のさらなる充実強化に向け、地方への資金の流れを飛躍的に高める観点から見直しが図られました。 具体的には、税額控除割合が拡大し、税の軽減効果が寄附額の六割から九割に引き上げられたこと、寄附の適用対象が拡大されたこと、寄附時期の弾力化、そして手続の簡略化が行われたことなどにより、結果として企業の寄附インセンティブの増大や寄附先の選択肢の拡大につながると大いに期待しているところです。 これまで以上に地方創生推進に向け使いやすい制度になったことから、今後は、本県としてもこれまで以上に積極的な制度の活用を進めていくことが求められていると思います。 そこでお尋ねします。コロナの時代の地方創生の着実な実現に向け、ふるさと納税の取組強化が必要と考えますが、県として、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、多文化共生の推進についてお尋ねします。 私は、これまで、ASEAN地域との交流の推進や姉妹提携を生かした国際交流について取り上げてきたところですが、近年、県内在住の外国人が増加の一途をたどっている状況を踏まえ、今回は国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていく、いわゆる多文化共生の推進についてお尋ねしたいと思います。 法務省の在留外国人統計によりますと、昨年末時点で県内には人口の一・三%に当たる一万八千人ほどの外国人が在住しており、その数は五年間で約四千七百人、一・四倍に増加しています。 国籍別では、ベトナム国籍の外国人の増加が約三千六百人と突出している一方、ここ数年は、ネパール、ミャンマー、カンボジア等の国籍を持つ外国人の増加が著しく、人数の増加と同時に国籍の多様化も進行している状況です。 昨年四月には、国において新たな在留資格である特定技能が創設され、出入国在留管理庁が設置されるなど、外国人材の受入れに向けた取組が進められる中、コロナウイルスの感染が終息するまでは、一時的に受入れが停滞することとなりますが、長期的には増加傾向は続いていくものと考えられます。 本県在住の外国人は、技能実習生や留学生を中心として三十代以下の若い世代の増加が著しく、こうした人々を円滑に受入れ、活用することにより、本県における国際交流の推進や地域社会の維持・活性化にもつながっていくことを期待したいところであります。 そのためには、冒頭申し上げた多文化共生社会を実現していくことが重要であり、外国人が地域で安心して生活し社会の一員として活躍できるよう、必要な情報提供や相談に対応するとともに、日本人住民とのコミュニケーション促進が図られるような施策を展開していくことが必要ではないでしょうか。 中でも、言語によるコミュニケーションは、教育・就労の場においてはもちろんのこと、生活のあらゆる場において高い必要が認められることから、昨年六月には、外国人に向けた日本語教育の推進を図る、日本語教育の推進に関する法律が施行されたところであります。 また、私の地元、山陽小野田市では、現在、文化庁の地域日本語教育スタートアッププログラムを活用して、外国人のニーズ調査や多文化共生サポーター養成講座の開催などに取り組んでおり、県においても、外国人のニーズや地域の実情を踏まえながら、適切に対応していくことが求められます。 そこでお尋ねします。県では、今後、地域日本語教育をはじめとした多文化共生の推進に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、障害者の就労支援の充実についてお尋ねいたします。 障害者が地域で活躍できる社会を実現するためには、経済的な自立や社会参加の機会につながる、障害者の就労の場を確保することが重要になります。とりわけ、就労継続支援事業所は、企業での就労が困難な障害者に就労の機会を提供し、地域での自立を支えていることから、障害者の自立した生活や継続的な就労に向け支援を充実する必要があります。 私は、先日、下関双葉高等学校に併設された下関総合支援学校高等部の移転式に出席し、専門的な知識・技能を習得する職業教育を通じ、障害の特性に応じて、就労継続支援事業所などを利用している状況をお聞きしました。 このような大きな夢を持って飛び立つ障害を持つ若者たちが、地域で自立した生活を送れる社会をつくらなければならないと意を強くしたところであります。 自立した生活に必要な収入の確保に向けては、県ではこれまで、工賃向上計画を作成し、就労継続支援B型事業所の工賃引上げに取り組まれてきました。平成三十年度の実績では、月額平均工賃が一万八千五百三十二円と前年度から七%伸び、計画に定めた目標額を上回るなど着実に成果を出されています。 しかしながら、最低賃金を大きく下回る状況に変わりなく、障害者が地域で自立した生活を送るために必要な生活費は、障害基礎年金の収入を合わせても十分ではないことから、さらなる工賃の引上げが求められています。 私の地元、山陽小野田市にあるB型事業所は、地域の鉄鋼リサイクル企業の協力を得て、廃棄パソコンから高付加価値のレアメタルを分離・回収する作業を担うことにより、障害者が担う比較的簡単な作業についても、月額平均を大きく上回る工賃を実現しています。 B型事業所は福祉サービスであり、生産性の向上に限界があることから、工賃の向上がなかなか進まない状況にあります。今後のさらなる工賃の向上に向けては、このような付加価値の高い分野への参入を促進するなど、新たな視点も取り入れ、取組を進める必要があると考えます。 また、就労継続支援A型事業所については、収益力が低いことから、安定的で継続的な運営が課題となっています。就労環境の変化や機会の喪失は、障害者の生活や心身に大きな影響を与えるため、安定的な経営に向けた支援を充実し、継続的に就労できる環境を構築していただきたいと思います。 そこでお尋ねします。県では、障害者の地域での自立に向け、就労継続支援事業所における工賃の向上や継続的に就労できる環境づくりなど、障害者の就労支援の充実について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、工業用水の安定供給についてお尋ねします。 企業局は、地域の水資源を有効に活用して、瀬戸内海側で十五の工業用水道事業を展開し、県産業の中核を担う化学、鉄鋼、石油、製紙産業等の企業に対して工業用水を供給されており、給水能力、契約水量は共に全国第一位の規模となっております。 工業用水道は、企業が生産活動を行う上で欠くことのできない極めて重要な産業インフラであり、企業局におかれては、これまで、工業用水の安定的な供給を通じて、本県産業の振興に大きな役割を果たしてこられたところです。 しかしながら、本県の県内総生産の四割強を占める宇部・山陽小野田地区や周南地区においては、少雨による渇水に度々見舞われるなど水不足が慢性化しており、これまでも何度となく自主節水を余儀なくされているのも事実であります。 渇水は、天候によるものでやむを得ない面はありますが、水が不足すると、受水企業の操業のみならず、新たな事業展開や新規立地にも影響を与えることが懸念されることから、工業用水の安定供給に向けた水資源の確保や渇水対策の一層の強化が求められております。 一方、本県の工業用水道施設の多くは、建設から四十年以上を経過するなど老朽化が進むとともに、近年、全国各地で豪雨や地震による大規模な災害が頻発し、工業用水道施設の被災により送水に支障が生じた事例も見られており、計画的・重点的な老朽化対策や災害に強い施設の整備を進めていくことも重要であります。 こうした中、企業局におかれては、昨年策定された山口県企業局第四次経営計画において、水資源・渇水対策や老朽化・耐震化対策等を重点課題に掲げられ、工業用水の安定供給に向けた取組の強化や安定した経営基盤の確保に取り組まれるとされております。 工業用水の安定供給につながる各事業を持続的に進めていくためには、採算性を踏まえた事業判断や適正な料金収入の確保、経費支出の効率化など、安定経営を常に意識した取組が不可欠であることは言うまでもありません。 そこでお尋ねします。企業局では、渇水による水不足や工業用水道施設の老朽化等を踏まえ、工業用水の安定供給に向けて、これまでどのように取り組んでこられたのか、また今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、米軍岩国基地問題についてお尋ねします。 我が国周辺では、北朝鮮の核ミサイル開発をはじめ、中国による東シナ海や太平洋等における進出活動の増加など、軍事力の強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著となっています。 このような中で、このたび、国から岩国基地で二回目となるF35Bへの機種更新が示されましたが、我が国はもとより、アジア太平洋地域の平和と安定を維持するために必要な取組と理解しています。 老朽化した機種から最新鋭の機種に随時更新されていくことは、軍事作戦能力の飛躍的な向上はもとより、安全性も向上することが推測され、技術革新が進む中にあって至極当然な時代の流れであり、機種更新そのものを認めるとか認めないというような議論ではないと考えています。 一方で、県民の安全で平穏な生活を確保する立場の県としては、機種更新が基地周辺住民に与える影響について、その影響の程度を把握し、言うべきことは言うとの姿勢で必要な安心・安全対策を国や米軍に求めていく必要があり、こうした考え方に基づき、知事は、新たな部隊の追加整備ではないとの理解の下、騒音や安全性等の面から生活環境への影響を確認し、整理されたことは大いに評価できるものであります。 本会議では、このたびの機種更新に関し、機数増の問題や国の騒音予測コンターの信憑性、安全性への不安などの指摘がありましたが、騒音に与える影響については、平成二十九年の最初の機種更新時と同じデータ等を活用し予測したものであり、また、安全性についても、我が国の自衛隊も問題ないことを確認した上で、F35Bの導入を決定しているわけであり、執行部が示した生活環境に大きな影響を与えるものではないとの検討結果は、妥当なものと認識しています。 こうした中、昨日、国から、今回の機種変更に関して、移行期間中に補完部隊が一時的に派遣されるとの連絡がありましたが、このことによる基地周辺住民の生活環境への影響はないことも示されました。 これらのことから、我が会派として、このたびのF35Bへの機種更新は、理解するものであるとの考えを改めて述べさせていただきます。 また、昨日までに地元の岩国市、周防大島町、和木町では、議会での議論を踏まえ、各首長から今回の機種更新について理解する旨の最終的な見解も示されました。 そこでお尋ねします。知事は、我が会派の代表質問に対し、このたびのF35Bへの機種更新について、県議会での意見や地元市町の意向を伺った上で適切に対応すると答弁されましたが、知事の最終的な見解を含め、今後どのように対応されるのか、御所見をお伺いして、私の質問を終えさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)江本議員の御質問にお答えします。 まず、観光産業の回復に向けた取組についてです。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛等により、宿泊客をはじめとした観光客が大幅に減少し、本県の観光産業に深刻な影響が生じています。 観光産業は、宿泊や飲食など関連する業種が多岐にわたり、地域経済に与える影響が極めて大きいことから、私は、その早期回復に向け、観光需要の喚起や魅力ある観光地域づくりを強力に進めていく必要があると考えています。 このため、まず、観光需要の喚起に向けては、県内宿泊施設で利用できる割引率五○%のプレミアム宿泊券を販売するとともに、旅行会社によるバスツアーの造成支援や宿泊予約サイトにおける割引クーポンの発行など、即効性のある取組を進めています。 また、こうした取組の効果を最大限に高めるため、県内や近隣県でのテレビCMの放映や新聞広告の掲載、SNSによる情報発信など、各種媒体を活用した積極的な観光PRを展開し、県内外からの誘客を促進しているところです。 次に、魅力ある観光地域づくりに向けては、まず、観光客が本県に安心して来訪できる環境を整備するため、県内の宿泊事業者等が実施する感染拡大防止対策や新しい生活様式への対応に向けた取組を支援しています。 また、感染拡大に伴い、自然体験等へのニーズが高まっていることを踏まえ、本県の豊かな自然や特色ある文化等を活用した、魅力ある体験型コンテンツの造成にも取り組んでいます。 さらに、観光地経営を担うやまぐちDMOの専門的知見を活用し、コロナ禍での観光客の詳細な行動・周遊データを分析することにより、観光客のニーズに沿った新たな観光資源の開発にも努めていくこととしています。 私は、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、観光産業の早期回復に向け、本県観光の振興に全力で取り組んでまいります。 次に、米軍岩国基地におけるF35Bへの機種更新についてのお尋ねにお答えします。 先月二十六日、国から、本年十月以降に、岩国基地のFA18約十二機をF35B約十六機へ段階的に機種更新する旨の説明がありました。 私は、機種更新そのものは、お示しのように、現機種の老朽化などに伴って今後も必要になるものと考えています。 その一方で、今回の機種更新については、新たな部隊の追加配備ではないものの、約四機の機数増となることなどから、基地周辺住民の生活環境への影響の確認が必要と考え、地元市町と合同で国に疑問点等を照会したところです。 その後、国から示された騒音予測コンターや文書回答等を踏まえ、先日十六日、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではないと整理したところです。 この結果を基に、県議会で御意見をいただき、また、地元市町においても検討がなされ、昨日までに地元の岩国市長、周防大島町長及び和木町長から、今回の機種更新に理解を示す旨の見解が表明されたところです。 今回の機種更新は、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではなく、また、全ての地元市町の見解を踏まえ、私としては、今回のF35Bへの機種更新について理解をするものです。 一方、基地周辺地域では、空母艦載機移駐による騒音の増加や近年発生した配備機の墜落事故などにより、住民の不安は高まっていると受け止めています。 今後とも、国に対しては、F35Bのみならず、全ての配備機について、騒音軽減対策や航空機事故防止に向けた対策等を確実に実施するよう、強く求めてまいります。 なお、昨日、国から機種更新により運用を停止する部隊を補完・支援する部隊が、一時的に岩国基地に派遣されることが示されましたが、このことによる生活環境への影響はないとの説明がありました。 県としては、このような機種更新に関する具体的な進め方や配備後の運用等については、適時適切な情報提供を求めたところでありますが、引き続き、基地周辺住民の不安につながることがないよう、国の適切な対応を要請してまいります。 私は、今後とも、基地周辺地域の実情をしっかりと把握しながら、地元市町や基地議連と一体となって、県民の安全で平穏な生活の確保に向けて全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)ふるさと納税の取組強化についてのお尋ねにお答えします。 ふるさと納税は、ふるさとへの思いや自治体の様々な取組を応援する制度として創設され、本県では、制度創設当初から寄附の募集を開始し、これまで、子育て支援や高度産業人材の育成などの取組に活用してきたところです。 こうした中、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、個人向けのふるさと納税については、本年五月から医療対策支援を目的とした寄附の募集を開始し、さらに八月からは、新たに県内事業者を支援するため、本県の特産品を返礼品として活用した寄附の募集を行っています。 また、企業版ふるさと納税についても、お示しのように本年度からの大幅な制度改正により、寄附金を活用できる事業の範囲が広がり、手続も簡略化されたことから、この制度を活用した新型コロナウイルス対策に係る寄附を広く募集しているところです。 一方、今般の感染拡大は、国民の意識や行動にも大きな変化を生み、地方へ向けた関心が高まっていることから、ふるさと納税についても、単に財源確保の手段とするのではなく、お示しのコロナの時代の地方創生のさらなる推進に積極的に活用していきたいと考えています。 具体的には、個人向けでは、本県への新たな人の流れの創出・拡大に向けて、特産品を活用した返礼品に加え、本県の自然や文化を感じられる体験・交流型の返礼品の導入についても検討を進めてまいります。 また、企業版についても、地方への関心の高まりを踏まえ、県外企業との新たなパートナーシップを構築し、民間のノウハウと資金を生かして、地域のにぎわい創出や魅力向上を図る取組など、本県の地方創生の推進に資する事業の実施を検討していきたいと考えています。 あわせて、寄附の拡大に向け、全国的なポータルサイトやSNSの活用、東京事務所や大阪事務所を通じた県ゆかりの企業への働きかけなどにより、制度の積極的なPRに努めてまいります。 県としては、新型コロナウイルスを契機として、ふるさと納税のさらなる取組強化を図り、コロナの時代の地方創生の着実な実現に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)多文化共生の推進についてのお尋ねにお答えします。 県内の外国人住民が増加する中、外国人が安心して生活できる多文化共生による地域づくりを推進していくため、県では、国際交流協会と連携し、相談体制の強化や日本語によるコミュニケーションの促進に向けた取組を進めています。 具体的には、まず、相談体制の強化については、昨年度開設した、やまぐち外国人総合相談センターにおいて、医療・教育など幅広い相談にワンストップで対応し、外国人住民の不安の解消を図るとともに、ウェブ上で外国人に必要な生活情報を多言語により発信しているところです。 また、市町等の窓口における外国人への対応能力向上に向けた研修を行うとともに、今年度から、電話相談の利便性を高めるため、対応言語を十九言語に拡充したほか、新たに無料で通話できるアプリも導入したところです。 次に、日本語によるコミュニケーションの促進に向けては、今年度、日本語教育を推進するコーディネーターを配置し、市町と連携して日本語教室の設立支援や日本語教育を担う人材の育成、さらに、外国人に伝わりやすい、「やさしい日本語」の普及に取り組んでいます。 また、今後、日本語学習に関する外国人住民のニーズ等を把握するアンケート調査を実施することとしており、その調査結果や各地域における日本語教育の課題等を踏まえ、本県の日本語教育のさらなる充実を図ってまいります。 県としては、今後とも、外国人住民が地域で安心して生活し、社会の一員として活躍できるよう、市町や関係機関等と連携しながら、多文化共生の推進に向けた取組を積極的に進めてまいります。 副議長(藤生通陽君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)障害者の就労支援の充実についてのお尋ねにお答えします。 障害のある方にとっての就労は、経済的自立にとどまらず、生きがいや社会とのつながりを感じ、自己実現を図るという観点からも重要です。 このため、県では、障害者いきいきプランにおいて、就労支援を重点施策として位置づけ、就労継続支援B型事業所における工賃向上と、A型事業所の利用者が安心して働き続けることができるよう、安定的な運営の確保等に取り組んでいるところです。 まず、B型事業所のさらなる工賃向上に向けては、事業所が行う生産活動の収益性を高めるため、工賃向上計画に基づき、受注機会の拡大や企業的な経営感覚の養成に取り組むこととしています。 具体的には、各事業所の強みや得意とする作業内容をまとめた企業向けのガイドブックを作成し、商工団体等を通じて周知することなどにより企業等からの受注促進に努めているところです。 また、事業所の管理者等を対象としたセミナーを開催し、設備投資をすることなく収益の増加が期待できる施設外就労の導入や、新たな分野への参入により、高い工賃を実現している優良事業所の取組事例を紹介しています。 次に、A型事業所の安定的な経営に向けては、生産活動における採算性を確保する必要があることから、今年度新たに中小企業診断士による経営診断を行い、事業所ごとの課題について改善指導を実施しているところです。 また、今後、経営改善の手法や優良事例を学ぶ研修会に加え、経営課題の解決に向けた個別相談会を開催することにより、事業所の取組を支援することとしています。 県としましては、今後とも、障害のある方が積極的に社会に参加し、地域で自立した生活ができるよう、関係団体とも緊密に連携しながら、就労支援の一層の充実に努めてまいります。 〔弘田健康福祉部長の発言中、藤生副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)正司公営企業管理者。 〔公営企業管理者 正司尚義君登壇〕 公営企業管理者(正司尚義君)工業用水の安定供給についてのお尋ねにお答えします。 工業用水道は企業の生産活動に欠かせない重要な産業インフラであり、本県の産業力の強化を図るためには、工業用水の安定供給を確保することが重要です。 企業局では、まず、本県工業用水の課題である渇水による水不足を緩和するため、第四次経営計画に沿って、水不足が慢性化している地域において、年間を通じて安定的に給水するための水資源・渇水対策に取り組んでいます。 具体的には、周南地区において、水系を越えた広域的な供給体制を構築するため、島田川工業用水道の建設を進め、本年七月に給水を開始したところであり、宇部・山陽小野田地区においては、厚東川ダムから放流していた水を宇部丸山ダムに貯水するシステムの運用を開始するなど、自主節水の回避に向けて取り組んできました。 今後は、島田川工業用水道の年間を通じた運用により、周南地域全体の水不足を緩和していくとともに、二部料金制の運用による企業の節水努力を通じた貯水量の確保や、受水ニーズ等を踏まえた供給体制の一層の充実を図るなど、水資源・渇水対策に取り組んでいきます。 また、お示しのように施設の老朽化が進む中、その健全性を確保し、自然災害や事故等の非常時においても安定した供給を継続できるよう、バックアップ機能の強化や耐震性の向上に向けた整備を計画的かつ重点的に進めています。 具体的には、下関地区において、送水施設が一系統のみの状況を解消するため、管路や送水トンネルの二条化に取り組むとともに、宇部・山陽小野田地区においても、管路の老朽化が著しい区間におけるバイパス管の布設を進めてきています。 今後は、これらの整備が完了した区間から順次供用を開始し、事業効果を発現させるとともに、残る区間についても、老朽化の状況や重要性等を勘案し、緊急度の高いものから整備していきます。 このほかの地区においても、施設設備の取水・送水能力の向上や浸水対策などに取り組むことにより、本県の工業用水道全体の強靱化を進め、水資源・渇水対策と併せて安定供給体制を一層強化していきます。 なお、こうした安定供給を確実なものとするためには、確固とした経営基盤が不可欠であることから、適正な収入の確保や新規需要開拓等に引き続き取り組み、今後も安定した経営を維持していきます。 企業局としては、安定的な経営基盤の下、工業用水の安定供給体制の強化に向けた取組を積極的に推進することにより、本県の産業力の強化を図り、産業維新の実現に貢献してまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。