1 コロナの時代に対応した県政の推進について 2 その他
───────────── 午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───────────── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 副議長(藤生通陽君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手) 合志栄一君 新政クラブの合志です。通告に従いまして、コロナの時代に対応した県政の推進について一般質問を行います。 第一は、医療提供体制の確保についてであります。 八月二十八日、安倍総理は辞任を表明した記者会見の前に、自らが本部長を務める新型コロナウイルス感染症対策本部の会を招集いたしまして、夏から秋、そして冬の到来を見据えた今後のコロナ対策を決定しました。その決定された対策では、コロナの感染拡大防止と社会経済活動との両立を図るという、これまでの基本方向の下、新たな知見を踏まえた医療提供体制の在り方が示されています。また、インフルエンザの流行も視野に入れて、検査体制を抜本的に拡充する対策になっています。本県も含め各都道府県は、今後、この対策本部の決定に沿って、コロナ対策を行っていくことになると思われます。 そこで、新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組と題する八月二十八日の国の対策本部決定──以下、今後の取組の中で、特に医療提供体制に関して、本県での取組が今後どうなるのか、お伺いいたします。 今後の取組は、医療提供体制の確保では、現時点で把握されている医学的知見に基づき、リスクの低い軽症者や無症状者については宿泊療養、適切な者は自宅療養での対応を基本とし、医療資源を重症者に重点化していくとの方針を打ち出しています。ここでいう、現時点で把握されている医学的知見に関して、今後の取組は、次の二点を明らかにしています。第一点は、感染者のうち、八割の者は他の人に感染させていないということであります。第二点は、感染者のうち、八割は軽症または無症状のまま治癒するが、二割で肺炎症状が増悪し、人工呼吸器管理などが必要になるのは五%程度と言われている。一方、若年層では重症化割合が低く、六十五歳以上の高齢者や慢性呼吸器疾患、糖尿病、肥満などを有する者で重症化リスクが高いことが判明していることであります。 そこで、医療提供体制の確保についてお尋ねであります。本県は、七月に策定した病床確保計画に基づき、コロナ対応の病床を四百二十三床確保しており、コロナ感染者は、軽症・無症状者も含め、全て医療機関への入院措置となっています。ただ、一週間の累積感染者が百人ないし二百人程度で緊急事態宣言が出る目安となったフェーズ3以上になった場合は、軽症者や無症状者は宿泊施設で療養させるとし、そうした場合に備えて宿泊施設と協定を結び、六百三十八室確保しています。 こうした現在の病床確保計画は、国の今後の取組に示されているリスクの低い軽症者や無症状者については宿泊療養を基本とし、医療資源を重症者に重点化していくとの方針を受けて見直すことになるのか。見直すとすれば、具体的にどういう内容になる見通しなのか。軽症・無症状の感染者の隔離療養の在り方は、今後どうなるのかも含め、併せお伺いいたします。 第二は、観光宿泊と飲食業及びイベント関係の需要喚起についてであります。 今年の夏は、コロナの影響で大きな打撃を受けていると思われる観光宿泊関係、飲食関係、イベント関係のところを訪ねて、その実情の把握に努めてまいりました。ついては、以下、そのことを通して見えてきたことを申し上げ、望まれる需要喚起の支援策についてお伺いいたします。 まず、観光宿泊関係についてであります。私が訪ねたホテル・旅館では、四月から六月にかけてはお客が激減し、予約のキャンセルが相次ぎ、売上げは対前年比一割を切り、やむなく休業したところが幾つもありました。七月になって下旬頃からプレミアム宿泊券や「Go To トラベル事業」など、国、県、市による需要喚起策が功を奏してきた面もあると思われますが、客の回復が見られるようになりました。それでもビジネスホテルや普通旅館での戻りは、現在のところ四割から五割ほどでして、依然として厳しい経営状況が続いています。 一方、ホテルや旅館でも上級クラスのところは、八月は、ほぼ前年並みを回復し、それ以上のところもあります。さらに数か月先まで予約満室のところもあるようですが、需要喚起策の効果が切れた後には不安があるようで、コロナが収束して元に復するまでの間は支援を続けてほしいというのが切実な声であります。このようにプレミアム宿泊券や「Go To トラベル」等による需要喚起の効果は、どちらかといえば主にハイクラスのところに向き、一般クラスのところまでは十分及んでいない感があります。 観光において宿泊と同様に大きなウエートを占めているのは、土産関連です。土産に関しては、土産品となる特産物の生産者と、それを販売している土産品店がその主な事業者ですが、私が見るところ、土産品店に対する支援が手薄のように思われます。 土産品となる特産物を生産する事業者は、近年はネット販売に力を入れて、コロナ禍の状況においても一定の売上げを確保しているところもありますし、このたびの県の九月補正予算においては、県特産品の全国向けウェブ販売に対して五○%の割引分を補助するやまぐち特産品需要創出事業が一億四千万円計上されていまして、そのプラス効果が大いに期待されます。 一方、土産品店は、観光名所やJR駅、道の駅、高速道のパーキング店などの土産品店がありますが、その中でコロナの影響が最も深刻なのは観光名所の土産品店であります。また、そうしたところの土産品店は、観光客への食事提供もしているところが多く、そのことも合わせ重なって、極めて厳しい経営状況に陥っています。しかるに、これまでの観光需要喚起策には、こうした土産品店への支援につながるものがなく、目下のところ、「Go To トラベル事業」で十月一日から地域共通クーポンが使えるようになることに一抹の期待が寄せられていますが、今後、廃業を考えるところが出てくるのではないかと懸念しています。 飲食業では、その関係のお店が多い山口市の湯田温泉の様子を申し上げますと、三月頃から売上げが対前年二割から三割に落ち込みました。四月、五月は緊急事態宣言の下、四月下旬から五月の連休明けにかけて多くの店が休業要請に応えて休業し、売上げはさらに大きく低下しました。六月になって徐々に客が戻り、順調に元に復する流れになっていたのが、七月になってユーチューバーへずまりゅう氏に係るコロナ感染の広がりが発生し、その影響で一気に客が再び遠のきました。八月を経て九月の今日、客の戻りはおおよそ五割ほどのようで、山口市は割増し三○%の市内飲食店向けプレミアム券の発行を支援するなどして、市内飲食店の需要喚起を図ろうとしています。県下各市町の飲食業も、ほぼ同様な状況ではないでしょうか。 イベント関係も予定されていた行事、会合、大会等がほとんど中止もしくは規模縮小となり、それに携わる事業者は仕事の大幅な減少の中、いかにして事業継続を図っていくかに苦慮しています。 ある小規模ながらイベント関係の仕事を専らにしている会社の方に実情を聞きますと、二月は例年どおりだったが、三月は仕事が六割減、四月、五月は八割減、六月から八月は六割減で、九月から十月は五割減の見通しとのことでした。現在は、小規模な催しの仕事は幾らかあるようですが、大きな規模の催しはいまだほとんどなく、売上げが伸びる見通しが立たないようであります。 以上、私なりの実情把握を申し上げましたが、このことを踏まえ、望まれる需要喚起の施策について、以下お尋ねいたします。 まず、観光宿泊関係の需要喚起に関してであります。このことにつきましては、ビジネスホテルや一般クラスの旅館にも効果が行き届く支援策及び観光名所等の土産品店への支援策が必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、飲食関係についてです。飲食店へのお客の戻りのためには、安心・安全のイメージの確立が求められます。そのためには、飲食店の組合が、まず自律的に──この自律は自ら律するということの自律でありますが、まず自律的に加盟店に対してコロナ対策の徹底向上を図っていくよう取り組んでいくことが重要でして、県や市町は、そうした取組を促し、支援し、広く周知していくことが有効であると考えます。 これから私たちは、ウイズコロナの時代、アフターコロナの時代を生きていくことになりますが、こうした時代のキーワードは、自律ではないでしょうか。 具体的な自律の取組としては、組合内に、加盟店に対してコロナ対策の普及徹底を推進するセクションを設けるとか、定期的に研修会を開催するなどのことが考えられます。こうしたことへの支援も含め、県は飲食関係の需要喚起に今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、イベント関係について二点、お伺いいたします。 第一点は、県の本年度当初予算に計上されていたイベントで中止になったものは、何らかの別の形での代替開催を考えるべきではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。 第二点は、様々な行事、会合、イベント開催に関する総合相談室の設置についてであります。 九月十九日からイベント開催の制限が緩和され、収容率要件は、クラシック音楽コンサートなど感染リスクの少ないイベントは一○○%以内、その他スポーツなどのイベントは五○%以内とし、感染防止の条件が担保されているとみなされる場合は、五千人の人数制限もしなくていいこととなりました。 このことに関し、国は各都道府県知事宛てに事務連絡を発し、イベント開催に当たっての人数上限や収容率についての目安となる基準を示した上で、各都道府県においては、それぞれの地域の感染状況に応じて、異なる基準を設定し得ること、全国的な移動を伴うイベントまたはイベント参加者が千人を超えるようなイベントの事前相談に応じること等々、イベント開催の制限緩和に当たって都道府県が留意し対応すべきことを種々求めています。こうした国の要請にも応えつつ、県民の様々な行事や会合開催に当たっての相談にも応じる総合相談室の設置が、今日、必要ではないでしょうか。 県は、八月二十四日に毎日二十四時間対応の新型コロナウイルス感染症専用相談ダイヤルを開設いたしました。これは、県民の新型コロナウイルス感染への不安の解消や早期対応に資する措置で、県民の目線に立ち、寄り添う対応として評価したいと思います。 そして、次いでコロナの影響で自粛や中止になっている様々な大小の各種行事、会合、イベント等の再開に当たって県民の不安や疑問に答え、指導・助言を行う総合相談室を設置して、必要な感染対策は徹底しつつ、不要な自粛や中止はなくして、イベント等各種社会経済活動の再開を図っていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、関連することとして観光宿泊、飲食、イベントの業種における雇用の確保と事業継続についてお伺いいたします。 県信用保証協会のデータによりますと、今年の四月から七月までの四か月間における保証承諾件数は九千七百十九件、保証金額は千六百五十六億円であります。これは、前年令和元年一年間の保証件数の一・五倍強、保証金額は二倍強であります。国のコロナ経済対策による無利子・無担保、保証料負担なしなどの融資により、いかに多くの事業者が、コロナによる収入減の急場をしのいだかがうかがわれます。 これまで雇用関係は、雇用調整助成金で維持し、施設維持の固定費などは、コロナ対策の融資や持続化給付金などで、これまでどうにか持ちこたえてきたものの、コロナ収束の見通しが見えない現在、資金繰りに窮迫する事業者の増加が予想され、それは特に、観光宿泊、飲食、イベント関係において多く見られるのではないかと思われます。これを乗り切るためには、雇用に関しては雇用調整助成金の特例措置が年末まで延長されましたので、当面クリアできるとしても、固定費等の支出に関しての資金需要に、再度持続化給付金や一層条件緩和された融資などによる支援が求められると思われます。 ついては、国、県、市町が連携して、これから予想される資金需要に応え、観光宿泊、飲食、イベントの事業者においても雇用が確保され、事業継続が図られるよう支援策を講じていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 第三は、文化芸術活動の継続支援についてであります。 本県の舞台イベント等の文化芸術活動を支えている照明、音響、道具、映像、舞台装飾などの技術を提供する事業者や、フリーランスなどの文化芸術関係者は、コロナの影響で仕事が激減し、その多くが事業継続に苦闘しています。 人はパンのみによりて生くるにあらずとの言葉がありますが、音楽、演劇、美術等々の文化芸術は、私たちが生きていく上においての精神的糧として、物質的なパンとともに不可欠のものであります。しかるに、私の見るところ、このたびのコロナ対策においては、文化芸術活動を支えている人たちに対する支援が十分に考慮されていない感があります。そこで、まず、文化芸術活動への支援を考える上において、踏まえておくべき視点を紹介しておきたいと思います。 それは、本県由宇町出身で数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞された日本を代表する数学者であり、山口大学の学長もされた広中平祐先生が述べられたことであります。先生は、「存在するもの全てを百とした場合、数値化してコンピューター処理できるものの割合は五十である。心の世界はコンピューター化できない」との見方を、ある講演終了後の質問に答えて明言されました。この先生の答えは、世の中の在り方を考える上で大事な視点を提供しているのではないでしょうか。 世の中の全てが、コンピューター処理できるよう数値化できるわけではない。それができるのは、世の中の半分にすぎない。こうした視点が、コロナの影響を受けて困難な状況に陥っている人たちへの支援においても必要だと思われます。言いたいのは、コロナの影響を数値的に示すことはできないが、苦しい状況に陥っている人たちにも支援の手が行き届くようにすることを考えるべきではないかということであります。 私が承知している範囲で、そういう人たちが多いのは、文化芸術活動にフリーランス的な立場で関わり、収入を得ている人たちであります。その一人Aさんは、イベント会場やお店などで電子ピアノの演奏をして収入を得ていましたが、コロナの関係で今年の二月から全く仕事がなくなり、収入ゼロの日々が続きました。四月十七日、安倍総理が記者会見で、フリーランスを含む個人事業者の皆さんには百万円を上限に、国として現金給付を行う旨、表明されたのを聞いて、Aさんはそのことに大きな期待を持ちました。そして、それが持続化給付金として給付されることを知り、申請しようとしましたが、できませんでした。対前年収入減を証明する書類がないということで取り合ってもらえなかったからです。Aさんが言うには、このような事態は全く予想していなかったので、ふだん、収支に関する記帳や書類の保管などきちんとしていなかったとのことでしたし、また自分と同様の仕事をしている人たちは、ほとんどそうだとのことでした。 私は、Aさんのようなケースは、音楽演奏で収入を得ていたという事実が確認できれば、そういう業種がコロナで収入が激減していることは明らかでありますので、減収を証明する書類がなくとも支援の給付金が交付されていいと考えるものです。 私はさきに、コロナ対策において文化芸術活動を支えている人たちに対する支援が考慮されていない旨申し上げましたが、このことは、国や県の予算措置においても明らかであります。観光業がコロナで大きな影響を受けていることは御案内のとおりですが、県は六月の補正予算で、観光需要喚起の事業ということで、宿泊料等の割引率五○%のプレミアム券発行など十七億三千万円を措置しています。同様に影響を受けている飲食業に関しては、四月補正予算で飲食業の許可を受けている県下の事業者に、定額十万円を補助する総額十四億五千万円の予算措置をしています。 一方、文化芸術関係の事業活動も大きな影響を受けていますが、このことへの支援は、六月補正予算で、文化イベント開催に対して十万円を上限とする経費補助が、総額で四百万円措置されているのみであります。同様にコロナの影響を受けておりながら、観光関係・飲食業関係と比べて文化芸術関係に関する支援が何と少ないことか。また、国においては、文化庁の文化芸術活動の継続支援事業というのがありますが、経済産業省が示す企業支援と比べて、何と慎ましやかなことかとの感を持ちます。 こうした現状のまま推移すれば、本県の文化芸術を支えている事業者や人材を失うことになるのではないかと危惧します。それは、本県が魅力のない県になることを意味し、回避しなければなりません。そのためには、コロナが収束し、普通の日常が回復するまでの間、持ちこたえることができるよう支援が必要であります。 そこでお尋ねです。本県の文化芸術活動を支えている事業者やフリーランスの多くが、コロナの影響で仕事が激減し、事業や活動の継続は極めて苦しい状況に陥っています。ついては、観光や飲食業等と同様に、文化芸術活動を支えている事業者やフリーランスに対しても十分な支援を行い、その事業や活動の継続を図るべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 第四は、デジタル化を推進する人材の育成についてであります。 県は、九月十日に開催した活力創出本部会議において、コロナの時代に対応するための施策推進方針を決定し、その方針の基本的な考え方において、新型コロナウイルスの感染状況の推移を見極めながら、国の政策に呼応して、県政の様々な分野でデジタル化を強力に進めるとしています。そして、感染拡大の局面で生まれた社会変革の動きを、危機から生まれた変化とみなし、その変化を成長につなげる施策の加速化を図ることとし、その取組の柱にデジタル化の推進を位置づけています。 村岡知事は、今議会の議案説明においても、様々な地域課題の解決が期待できるデジタルトランスフォーメーションを推進する旨表明され、取り組もうとしていることを述べておられます。 新しく誕生した菅政権も、デジタル化の推進を最優先の政策課題に位置づけ、デジタル庁を新設して、我が国のデジタル化を一気に進めようとしています。 ただ、ここで承知しておかねばならないことは、デジタル化は手段であって目的ではないということです。大事なことは、どのような課題を解決するために、どのようなデジタル化を進めるのかが、具体的に明確であることです。そして、それを担う人材をどのように確保し、育成していくかが重要であります。 したがって、山口県という視点でデジタル化を考えるとき、大切なことは、県民にとってそのデジタル化が県民生活にどのような成果をもたらすかであります。現在、県民が抱えている課題をデジタル化がどのように解決し、県民の幸福満足度を高めていくデジタル化が、どういうものであるかが具体的に問われなければなりません。 そういう意味において、本県のデジタル化は、山口県ならではの実情を把握し、課題に対応できるデジタル化を目指して、体制や基盤づくりを行うことが必要でして、デジタル化によって県民の課題を解決するためのアプリケーションは、山口県人材による県内産であることが望まれます。 よって、本県のデジタル化を進める上においては、東京などの県外の会社に頼るのではなく、山口県人材による山口県のデジタル化を進めることの重要性に留意し、そのことを担う人材を育成する取組を推進していく必要があると考えます。人材も、そしてそこで生まれるシステムやソフト・アプリケーションも地産地消を目指し、全国のモデルとなるデジタル化を、全国知事会の情報化推進プロジェクトリーダーである村岡知事には、本県において推進していってほしいと期待するものです。 そこでお尋ねです。本県のデジタル化を推進する上において最も重要なのは、それを担う人材を確保し育成していくことであります。ついては、このことにどう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、一般質問とさせていただきます。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)合志議員の御質問のうち、私からは、観光宿泊関係等の需要喚起に関して、雇用の確保と事業継続についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、我が国経済に大きな影響を及ぼしており、国においては、事業者への支援として、各種のキャンペーンの実施や補助制度の創設など、大規模かつ多様な施策が講じられています。 私は、こうした国の施策を積極的に活用するとともに、国や市町との連携により、県内の事業者による雇用確保や事業継続の取組を支援していくことが重要であると考えています。 このため、まず、事業者にとって喫緊の課題である事業資金の確保に向け、国の新たな保証料補助や利子補給制度を活用して、新型コロナウイルス感染症対応資金を創設するなど、県制度融資を拡充し、事業者を支援してきたところです。 新型コロナウイルス感染症対応資金については、四千億円の融資枠を確保しており、現時点では十分な資金量と考えていますが、感染症の影響が長期化した場合、資金繰りの深刻化も懸念されるため、支援制度の延長などを全国知事会を通じて国に要望しています。 あわせて、お示しの国の持続化給付金についても、支給対象の拡大や複数回の給付等に係る検討を、同様に国へ要望しています。 一方で、特に、観光宿泊、飲食、イベントの事業者においては、消費需要の一層の喚起を通じて、コロナ禍で失われた売上げを回復し、資金繰りの円滑化を図り、事業の維持・発展につなげていくことが必要となります。 このため、県では、「Go To キャンペーン」等の国の施策とも連携しながら、県内宿泊に対する割引宿泊券の発行や、感染拡大防止対策に取り組む飲食店の応援などに取り組んでいます。 また、地域の実情に応じて市町が実施するきめ細かな取組に対する交付金制度を創設することとしており、制度の運用を通じて、市町との連携を一層強化していくこととしています。 私は、今後とも感染症の動向や経済情勢を踏まえつつ、国や市町との連携を図りながら、県内事業者の雇用確保と事業継続を支援してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)医療提供体制の確保についてのお尋ねにお答えをします。 新型コロナウイルス感染症患者に対する適切な医療提供体制を構築するためには、感染の拡大状況に応じ、新型コロナウイルス感染症患者と他の疾患等の患者に対する医療を両立させ、確保していくことが重要です。 このため、県では、本年七月に、国が示した患者推計を踏まえた病床確保計画を策定し、感染状況のフェーズに応じた病床の確保・運用を行っているところです。 こうした中、保健所や医療機関の負担軽減、病床の効率的な運用を図るため、軽症や無症状の患者については、宿泊療養での対応を徹底し、医療資源を重症者へ重点化していく国の新たな方向性が示されました。 現在、国においては、季節性インフルエンザの流行期も見据え、感染症法に基づく入院措置等の権限の運用等について、政令改正も含め、具体的な検討が行われているところです。 県としては、医療提供体制の確保に向けて、今後、国から示される政令改正の内容等も踏まえ、病床確保計画の見直しの検討も含め、適切に対応してまいります。 副議長(藤生通陽君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)観光宿泊関係の需要喚起についてのお尋ねにお答えします。 県では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、落ち込んだ観光需要の早急な回復を図るため、「行こうよ。やまぐちプレミアムキャンペーン」を展開し、県内宿泊施設で利用できる割引率五○%のプレミアム宿泊券等による県内外からの誘客の促進を図っています。 このプレミアム宿泊券は、県内の幅広い宿泊施設を対象としており、現在、ビジネスホテルや民宿などにおいても利用が進んでいるところであり、今後も秋の行楽シーズンなどを通じて、多くの宿泊施設に効果が行き渡るものと考えています。 また、観光客の増加は、土産品店などの関連事業者に対し、広く経済波及効果をもたらすことから、観光名所等を巡るバスツアーの造成や各地域におけるイベントの開催等を支援することにより、一層の誘客拡大を図っているところです。 さらに、今後、国の「Go To トラベル」における地域共通クーポンの利用が開始されることから、土産品店をはじめ、より多くの観光関連事業者の参加が得られるよう、国や関係団体と連携しながら、事業への登録に向けた働きかけを行っています。 県としては、コロナの時代に対応し、観光需要の喚起を通じた関連事業者の支援に積極的に取り組んでまいります。 次に、文化芸術活動の継続支援についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う公演の中止や延期等により、出演者や照明事業者など、文化芸術関係者の活動の場が失われており、その事業継続を図っていくためには、資金面の支援や活動の場の創出に取り組むことが必要です。 このため、まず、資金面の支援としては、国の持続化給付金に加え、県としても、制度融資の拡充を図るとともに、事業の維持・発展のための営業持続化等補助金による支援を行うなど、様々な取組を行ってきたところです。 また、文化芸術関係者の活動の場の創出に向けては、動画配信サイトに専用チャンネルを開設し、音楽などのパフォーマンス動画を配信するとともに、県内の活動家が出演するイベントの開催が促進されるよう、経費の一部を助成する取組も進めているところです。 県としては、こうした取組を通じ、引き続き、感染拡大の状況を注視しながら、文化芸術関係者の事業活動の継続が図られるよう、取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)飲食関係の需要喚起についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各飲食店では感染防止対策に懸命に取り組み、来店者数の回復に努めてきましたが、緊急事態宣言解除後も県民の飲食店利用に対する不安は解消されておらず、依然として厳しい状況が続いています。 このため、県では、飲食店を安心して選択し、利用してもらえるよう、各店舗における感染防止対策の徹底と取組状況の県民への周知に取り組んでいるところです。 まず、感染防止対策の実施については、県内の飲食業者で組織する飲食業生活衛生同業組合に対して、ガイドラインに基づく取組が組合員に徹底されるよう、感染拡大が懸念される都度、要請を行っているところです。 また、組合からの要望を受け、コロナ禍における営業や感染防止対策等について、組合員が身近な場所で気軽に相談できる相談員を四名追加委嘱し、飲食業者の支援体制の強化を図っています。 さらに、組合と共同で開催する衛生講習会において、コロナ対策を周知徹底し、今後も定期的に実施していくこととしています。 次に、各店舗における感染防止対策の取組状況の周知については、本年七月、新型コロナ対策に取り組む飲食店を、ウェブサイトや店頭掲示ポスターで広く紹介する新型コロナ対策取組飲食店応援制度を創設し、県民が安心して店舗を選択し、利用できる環境づくりを進めているところです。 さらに、今月始まった、飲食店等を支援する第二期の頑張るお店応援プロジェクト事業や「Go To Eatキャンペーン事業」とも連携し、取組宣言店の増加を図り、需要喚起につなげていくこととしています。 県としては、今後とも関係団体と緊密に連携し、安心・安全の推進の観点から、飲食業の需要喚起に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)イベント関係の需要喚起に関するお尋ねのうち、県のイベントの代替開催についてお答えします。 今年度の県のイベントについては、四月以降、新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大に伴い、その開催を中止または延期としていましたが、五月二十五日以降、新型コロナウイルス感染症との共存を前提に、感染防止対策の準備が整ったものから、順次再開してきたところです。 現在、感染防止対策と社会経済活動の両立を図る観点から、適切な感染防止対策を講じることを前提として、県のイベントを開催する方針であり、年度当初に実施できなかったものについても、その必要性等を検討の上、開催の可否を判断してまいります。 副議長(藤生通陽君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)イベント関係の需要喚起に関するお尋ねのうち、総合相談室の設置についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、感染症に関する県民や事業者の不安、疑問等に迅速かつ的確に対応することは大変重要です。 このため、県では、本庁及び各県民局に設置している県民相談室を中心に、生活や事業活動、教育等の相談内容に応じた総合的な相談体制を整えており、その中で、イベント等の再開に関する御質問や御意見にも対応しているところです。 また、このたびのイベント開催の制限緩和に当たっては、庁内はもとより、イベントを開催する施設管理者及び関係団体等に対し、見直しの趣旨や内容の周知徹底を図るとともに、県のホームページを通じて、広くイベント主催者への広報を行っています。 あわせて、全国的な人の移動を伴うイベントや、参加者が千人を超える大型イベントが予定されている場合には、開催要件等の事前相談を求め、その対応に当たっているところです。 こうしたことから、お尋ねの総合相談室の設置は、現時点考えておりませんが、現在の相談・広報体制において、引き続き、イベント等の開催についての問合せや相談にしっかりと対応してまいります。 県としては、今後とも、県民や事業者が抱える感染症への不安に寄り添いながら、県内の感染状況や県民生活への影響等を見極めつつ、イベント等の社会経済活動の回復に取り組んでまいります。 次に、デジタル化を推進する人材の育成についてのお尋ねにお答えします。 デジタル化は、このたびのコロナ禍から生まれた変化をこれからの成長につなげる原動力となるものであり、今後、その取組を加速し、デジタルトランスフォーメーションを進める中で、様々な地域課題の解決や新たなイノベーションの創出を図ってまいりたいと考えています。 そのためには、5GやAI等のデジタル技術の活用を促進することが不可欠であり、現在、県では、技術の普及に向けた研究会を立ち上げるとともに、専門的な知見を有する外部人材も配置し、県、市町はもとより、県内企業等からの相談にも積極的に対応しているところです。 今後、さらにデジタル化の取組を底上げし、高度化を進めていくに当たっては、知識・技能の習得だけでなく、それを生かし、地域課題の解決やイノベーションにつなげることのできるデジタル人材の育成が重要となります。 このため、産学公の連携の下、それぞれが持つ資源を効果的に使いながら、人材育成の取組を推進していくこととしており、今月からは、山口大学等と連携して、ビッグデータを高度に分析し、マーケティングの強化や生産性の向上等に生かしていくための講座を開始しています。 また、このたびの補正予算では、全県的なデジタルトランスフォーメーションの推進拠点整備に向けて、調査事業を計上しており、その機能の一つに人材育成を盛り込むことを検討してまいります。 さらに、こうした取組に加え、お示しの全国知事会情報化推進プロジェクトチームにおいて、国に対し、地方が行うデジタル人材の確保・育成への支援を強化するよう、要請をしているところであります。 県としては、今後もこうした取組の充実を図りながら、デジタル化を推進する人材の育成に取り組んでまいります。