1 中小企業の成長支援について 2 スポーツを通じた地域の活性化について 3 女性の活躍促進について 4 農業用ため池による災害の未然防止について 5 あおり運転の取り締まり強化と被害防止に向けた意識啓発について 6 認知症行方不明者の捜索態勢の充実・強化について 7 その他
───────────── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 森繁哲也君。 〔森繁哲也君登壇〕(拍手) 森繁哲也君 皆様、おはようございます。自由民主党の森繁哲也でございます。 それでは、早速、通告に従い一般質問をさせていただきます。 初めに、中小企業の成長支援についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染拡大の影響が、本県経済に大きな打撃を与えています。前年と比べ売上げが減少した県内中小企業が約七割に上るとの調査結果からも、その深刻さがうかがえます。 先が見えない状況においては、新たなチャレンジより現状維持となりがちですが、それでは、本県経済の発展は見込まれません。経済活動が縮小傾向にあり、コロナ禍の長期化が予想される中にあってこそ、ポストコロナを見据え、企業活動の活性化を図り、県内中小企業が力強く成長していくための支援が不可欠であると考えます。 新型コロナウイルス感染が再び猛威を振るう中、飲食や宿泊等のサービス業は引き続き低迷をしていますが、グローバル経済の回復が見込めないことから、製造業も厳しい状況に立たされています。 国によると、新型コロナウイルス感染症に起因する雇用調整の可能性がある事業所数、解雇等見込み労働者数は増加傾向にあり、業種別に見ると、共に製造業が一番多くなっています。 下請企業では、感染拡大前に受注した仕事で、これまで持ちこたえた面もありますが、先行きが不透明な中、今後さらに厳しくなるおそれがあります。 多くのコンビナートが立地する全国有数の工業県である本県では、製造業は地域の経済と雇用を支える基幹産業であり、それを支える、ものづくり企業は高い技術力を有しています。 このため、本県経済の発展に向けては、企業がこれまで培ってきた、ものづくり技術や強みを生かし、新たな付加価値の創出や生産性の向上を図る取組への支援が重要になると考えています。 また、デジタル技術により業務やビジネスの変革を生み出すデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進も不可欠であると思います。 近年、デジタル技術を駆使して、これまでにない革新的なビジネスモデルを展開する企業が次々と現れ、ビジネス環境が変わりつつあります。 例えば、従来のパソコンでのインターネットオークションから、個人間での中古販売という新しいビジネスモデルを確立したメルカリ、操作の簡便化を実現したスマホ専用アプリとスマホ決済サービス、メルペイを組み合わせ、既存サービスだけで完結しない新たなシステムを構築しました。 多くの企業が、その必要性を感じながら、大胆な変革に踏み出すことができていませんが、こうした劇的な環境変化に取り残されずに競争力を維持していくためには、スピード感を持った取組が求められています。 さらに、新しい生活様式への対応を踏まえ、非対面・無人化のニーズが急増し、業務のオンライン化が必須となりました。コロナ禍を過ぎても、私たちの暮らしはウイズコロナを意識したものとなり、元に戻らない可能性も考えられることからも、DXの推進は避けて通れません。 私は、コロナ禍を契機として求められるDXや新しい生活様式への対応や、自社の強みを生かした新たな取組を後押しすることで、企業の成長を促し、ポストコロナ時代の強い産業づくりを進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。県では、本県経済の発展に向け、今後、中小企業の成長支援にどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、スポーツを通じた地域の活性化についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、スポーツを取り巻く環境が大きく変化し、様々な大会が中止や延期されるという異例の事態となりました。 特に、本来であれば、今年の夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックが一年延期になったことは、やむを得ないこととはいえ、非常に残念に思います。 このような状況の中、私自身、改めて気づかされたのは、スポーツが持つ二つの力の大きさです。 自粛期間が長く続き、スポーツができない、また、開催されない日常の、何と味気なく無味乾燥であることでしょうか。多くの県民の皆様も私と同じような感覚を持たれたのではないかと思います。 そのスポーツの持つ力とは、まず、外出が厳しく制限された状況の中で、ふだんから体を動かすことがいかに大切かということです。 やはり、健康な体を保ち、病気になりにくい免疫機能を高めていく上で、スポーツは欠かすことのできない重要性を持つことを再認識したところであります。 そして、もう一つの力とは、何といっても地域活性化に及ぼすスポーツの力です。 本県のトップスポーツクラブの一つであるレノファ山口の試合については、二月二十三日の開幕戦後は、コロナ禍によりしばらくの間、延期となりました。 その後、維新みらいふスタジアムでは、六月に入ってから無観客試合を経て、三千五百人までの上限と、十分な間隔の確保により観客を入れる超厳戒体制での開催となっていましたが、ようやく上限を会場収容数の五○%とするなど、開催制限が緩和される見込みです。 このほか、県内外から多くの集客が見込めるサイクル県やまぐちのシンボルイベント、維新やまぐちタイムトライアル、秋吉台カルストロードレースや、やまぐち十種ヶ峰国際ダウンヒルの三つが中止となりました。 また、私の地元下松市において、昨年は知事にも参加をしていただいた笠戸島アイランドトレイルも今年は中止となりました。 年々参加者が増加し、海外からも参加者のあるイベントだけに、地元関係者は仕方がないとはいえ、大きく落胆をされておられました。 このように、様々なスポーツイベントの中止、延期、厳戒体制での開催などが続いたため、本県の交流人口は減少し、消費低迷を招き、地域経済に大きな打撃を与えています。 こうした状況を打破し、ウイズコロナの時代における地域活性化を図っていく一つの手段として、交流人口の拡大に資するスポーツの役割は、極めて大きいものがあります。 そのためには、とりわけスポーツへの参加や観戦を目的として地域を訪れる、地域資源とスポーツを掛け合わせたスポーツツーリズムの取組が有効であると考えます。 このことは、昨年、我が国において開催されたラグビーワールドカップによる経済効果を見ても、一目瞭然と言えるでしょう。 本県には、三方を囲む海や景勝地など、全国的に見て誇るべき豊かな自然資源などがあり、これをしっかり活用したマリンスポーツや登山、サイクリングなど誘客の強力なツールになると考えます。 コロナ禍により疲弊している今こそ、スポーツの力を再認識した上で、地域の自然環境や、気候、立地、インフラの特性等を最大限に活用できるスポーツを資源とし、新たな魅力を創出することにより、県内外から多くの誘客を図り、地域の活性化に寄与していかなければならないと考えます。 そこでお尋ねいたします。コロナウイルス感染症対策の必要性も踏まえ、県として、交流人口の拡大に向けて、今後、スポーツを通じた地域活性化にどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、女性の活躍推進についてお尋ねいたします。 人口減少が続く我が国において、女性は最大の潜在力であり、今後、日本が持続的に経済成長を続け、若年女性の転出超過が進む本県においても活力を維持していくためには、女性が活躍できる社会の構築が不可欠となっています。 このため、国においては、女性が活躍できる社会づくりを目指し、二○一六年に施行された女性活躍推進法をはじめ、保育の受皿の整備や、企業における女性役員の登用に向けた働きかけなどの施策に取り組んでこられ、女性の就業者数はこの七年間で約三百三十万人増加をいたしました。 しかしながら、今般の新型コロナウイルスの影響もあり、これまで増え続けていた女性就業者数は、今年四月に減少に転じました。これは、家庭と仕事の両立のためにパートやアルバイトなどの非正規で働く女性が大きく影響を受けたものと考えられます。 また一方で、大企業などで働く若手の女性正規社員へのアンケート結果を見てみますと、管理職への意識を持っていないと回答した女性は五九・二%を占めており、その理由は、仕事と家庭の両立が困難、責任が重いといった回答が多く見られます。 女性に、旧来の家庭の責任と今の男性の働き方を基準とした一部のパワフルな女性でしかできないと思えるような活躍を要求するのではなく、女性が自分の価値観を大事にしながら、多様な働き方や生き方の選択ができる環境を構築していくことが大切ではないでしょうか。 こうした中、県においては、先月、経済団体や大学など県内九団体のトップで構成する、やまぐち女性活躍応援団を設立され、今後、県内事業所で女性が活躍する環境づくりを目指していく取組をスタートされました。 応援団のメンバーは、現時点では残念ながら全員男性とのことではありますが、応援団では、組織トップの意識改革や県内女子大学生の県内定着を促進する取組を進めていくこととされており、この取組の効果が県内の事業所へ伝播し、いつの日か団体のトップも女性が就けるようになることを大いに期待をしているところです。 先ほど紹介しました女性正規社員へのアンケートでは、リーダーには男性のほうが向いているという設問に対し、八割以上が否定をしています。 若年女性の県外流出が顕著な本県において、女性が働きやすい職場が増え、女性にとって魅力的な環境がつくられれば、女性社員や女性管理職の比率も向上し、女性が県外に流出することの防止にも役立つと考えます。 本県の未来に暗い影を落としかねない状況を官民一体となり、必ず打破していかなければなりません。 そこでお尋ねいたします。女性の県内定着を促す取組や、就職後も女性がキャリアアップできる環境づくり、雇用形態にかかわらず多様な働き方の選択ができる環境づくりなど、女性活躍の取組を一層推進していくことが重要と考えますが、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、農業用ため池による災害の未然防止についてお尋ねいたします。 農業用ため池は、確認されているだけでも全国に十五万九千五百四十三か所もあり、特に、西日本に多く分布し、本県にも八千六百三十八か所のため池が存在をしています。 近年、全国で集中豪雨が頻発しており、それに伴って農業用ため池の決壊による災害も多発傾向にあります。 二年前の平成三十年西日本豪雨においても、ため池の決壊が相次ぎ、幼い子供の命を奪うなど大きな被害をもたらしたことは皆様も記憶に新しいのではないかと思います。 この西日本豪雨による農業用ため池の決壊等の発生を受け、国は今後のため池対策の進め方として、避難行動につながる対策と、施設機能の適切な維持、補強に向けた対策について取りまとめ、昨年七月には、施設の所有者や行政機関等の役割分担を明らかにし、ため池の適正な管理に向けて体制を整備することを目的とした、農業用ため池の管理及び保全に関する法律が施行されたところです。 この法律では、ため池所有者等に県への届出を義務づけていますが、その数の多さに加えて、ため池権利者の世代交代が進み、権利関係が不明確かつ複雑となっていること、また、離農や高齢化によって管理組織が弱体化したことなどが原因で、届出が進んでいないのが現状です。 本県においては、五月末現在で六割の届出にとどまっており、防災・減災へ向けた廃止や改修のためにも、ため池の情報を正確に把握することが必要であり、引き続き所有者への呼びかけが求められています。 ため池の廃止や改修に当たっては、土地所有者など権利者の同意が前提となっており、工事を前に進めるためにも関係者の割り出しを急ぐ必要があるのです。 このような中、本年六月には、防災工事等の集中的かつ計画的な推進を図るため、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法が成立をいたしました。 この法律では、都道府県は国の定めた指針に基づき、防災重点農業用ため池を指定し、防災工事等の推進計画を策定するほか、市町などを技術的な指導で支援することとなっています。 また、土地改良事業団体連合会に協力を求めることができるようになっており、県、市町、連合会の連携による早期の計画策定、事業着工が待たれるところです。 冒頭申し上げたように、集中豪雨が頻発する中で、一人の犠牲者も出さない強い覚悟でため池災害の未然防止に臨んでいただきたいというふうに思います。 そこでお尋ねいたします。法律環境の整備により、農業用ため池の防災工事の推進が期待される中、災害の未然防止に向け、県としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、あおり運転の取締り強化と被害防止に向けた意識啓発についてお尋ねいたします。 近年、悪質なあおり運転に起因する事件や事故が多発し、社会問題となっていることから、あおり運転に対する関心が高まっており、頻繁にあおり運転を録画したドライブレコーダーの映像がテレビの画面から流れてきます。 こうしたことから警察庁は、全国の警察本部に悪質・危険な運転者に対して厳正に対処するよう指示を出し、悪質な場合には、暴行罪や危険運転致死傷罪などの法令を適用し、取締りを強化してきたところですが、これまでは、あおり運転を明確に定義した法律がないことから、警察の取締りにも限界がありました。 そこで、本年六月に、あおり運転を妨害運転罪と新たに規定するとともに、厳罰化を盛り込んだ改正道路交通法が可決成立し、六月三十日に施行されたことは御案内のとおりであります。 ある民間保険会社が、全国のドライバーに、あおり運転の厳罰化が盛り込まれた改正道路交通法の認知について質問をしたところ、約八割が認知をしており、また、厳罰化により危険運転が減少すると答えた人も約八割となり、法改正への関心の高さがうかがえます。 今回、あおり運転が法的に定義され、厳罰化されたことにより、警察は取り締まりやすくなり、軽い気持ちであおり運転をしてきたドライバーに対しては抑止力が働くと言えるのだと推測されます。 しかしながら、裏を返せば、認知していない者については、抑止力が働かない可能性があるとも言えることから、その取締りにはしっかりと取り組み、厳正に対処する姿勢を見せていかなければなりません。 県警察として、他の犯罪はもちろんですが、取締りを強化し、あおり運転についても絶対に許さないという姿勢を示すことで、広く県民にあおり運転の厳罰化を周知していただきたいと考えます。 一方で、交通心理学を専攻する専門家によれば、人間の心理、特に衝動的になったときの心理パターンを変えることは難しく、あおり運転が大きく減少するという状況にまでは至らず、あおり運転に対する取締り強化と併せて、自衛の意識啓発を同時にしていく必要があるということです。 特に現在、新型コロナウイルス感染予防として、長距離移動に車利用が増えており、あおり運転に遭遇する確率も高くなる可能性もあることから、あおり運転に遭わないため、また、遭遇してしまった場合に具体的にどのような行動を取ればよいのか、自衛についての意識啓発にもしっかりと取り組んでいただきたいと考えます。 そこで、お尋ねします。あおり運転の取締り強化と被害防止に向けた意識啓発について、県警察としてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、認知症行方不明者の捜索態勢の充実強化についてお尋ねをいたします。 現在、我が国においては、少子高齢化が急速に進展しており、そのために様々な分野において、これまでとは違う新たな課題が浮き彫りとなっています。その中の一つに、認知症による行方不明者の増加が挙げられます。 二○一九年に認知症が原因で行方不明となったとして全国の警察に届出があったのは、一万七千四百七十九人、前年比五百五十二人増に上り、統計を取り始めた二○一二年以降、七年連続で最多を更新したことが警察庁の集計で判明をいたしました。 また、そのうち所在を確認できなかったのは二百四十五人で、こちらも過去最多を記録をしています。 高齢化の流れは、今後も一定の速度で進展し、高齢先進県の我が県においては、二○二五年の団塊の世代が全て後期高齢者となる数年先には、認知症患者はさらに増大をし、行方不明者のうち後期高齢者が九割を占めることから、それに併せ、行方不明者や所在不明者の数が増加していくことは想像に難くありません。 そして、この問題は、行方不明者本人だけの問題ではなく、安否が分からない家族の問題でもあります。安否の分からないことに対する心労は大きな負担となるでしょう。できるだけ早期に発見し、無事に自宅等に戻れる手だてを講じたいところです。 こうした中、認知症行方不明者の捜索については、地元警察署が各自治体において組織されている認知症見守りネットワークに参加し、関係機関と連携を密にしながら、早期の発見に向けて現在も御尽力されておられることは承知をしております。 具体的には、全地球測位システム(GPS)端末を認知症の人に無償で貸与したり、警察を含め、自治体や事業者らが情報を共有するSOSネットワークシステムを通じて、警察官のほかに多くの事業者が捜索をし、早期発見につながったという事例もあります。 しかし、この見守りネットワークについては、県内で比較をしても、各自治体により諸事情から組織体制や捜索体制に差があり、地元警察や関係機関の方々の大きな負担となっている自治体も存在をしています。 行方不明からの時間が短時間であれば、地元警察はもちろん、関係者の方々の負担も軽減されますし、また、行方不明となってから一日が経過すると、行方不明者の死亡率が三七%も上昇するという統計もあることから、命を救うという観点からも短時間での発見が求められていると言えます。 今後、家族から捜索願が出された場合、県内でどの地域においても、その地域の実情を踏まえながら、今以上に関係機関と密に連携をし、初動をいかに素早く取れるよう、情報技術等も駆使しながら組織や捜索体制の再確認、再構築をしていく必要があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。本県における認知症による行方不明者の捜索体制の充実強化に向けて、県警察としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いし、一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)森繁議員の御質問のうち、私からは、中小企業の成長支援についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症による本県経済への影響の長期化が予想され、早い段階から影響を受けていた飲食などのサービス業のみならず、本県経済を牽引する、ものづくり企業においても先行きへの懸念が広がっています。 私は、こうした懸念を払拭し、本県経済の発展を図るためには、ものづくり企業の経営をしっかりと下支えするとともに、コロナ禍を契機とした社会変革の動きを的確に捉え、新たな付加価値を創出することが極めて重要と考えています。 このため、企業経営の下支えとして、県制度融資を拡充するとともに、新しい生活様式に対応した事業環境の整備や新製品開発等の取組を中小企業再始動支援事業により後押しをするなど、事業活動の継続・発展を支援してきました。 さらに、感染症拡大の影響により、工場の稼働率や売上げが減少したものづくり企業に対し、経営資源を有効に活用しながら、自社の強みを生かした新事業展開による販路拡大への取組を支援することとしています。 また、新たな付加価値の創出については、国における社会全体のデジタル化推進の動きに呼応し、企業活動におけるデジタルトランスフォーメーションの加速化に取り組んでいきます。 まず、IoT技術の活用により、県産業技術センターに設置されている中四国・九州でトップレベルの3Dプリンターなど関連機器のリモート利用を見据えた取組を促進することなどにより、ものづくり企業のデジタル化を推進します。 また、企業が独自にネットワークを構築できるローカル5Gや、AI等の未来技術を活用した先導的事例となる、やまぐちスマートファクトリーモデルの創出に向けた実証実験も進めています。 私は、国の政策にも呼応しながら、ポストコロナ時代を見据えたイノベーションの創出加速化により、県内中小企業の成長と本県経済の発展に向けて全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)スポーツを通じた地域の活性化についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、外出自粛やイベントの中止・延期等により、人々の交流が縮小する中、地域の活性化を図っていくためには、スポーツの持つ多様な力を活用した交流人口の拡大を図ることが必要と考えています。 このため、県としては、スポーツイベント等を活用した交流の促進を図るとともに、本県の豊かな地域資源を生かしたスポーツツーリズムの推進に取り組むこととしています。 まず、イベント等を活用した交流の促進については、県内トップスポーツチームであるレノファ山口やACT SAIKYO等と連携し、感染状況を見ながら、ホームゲームにおける選手との交流や観光PRの実施などを検討してまいります。 また、東京二○二○オリンピック・パラリンピックに向けては、市町と連携を図りながらキャンプ地誘致を推進し、県民との交流を進めるとともに、訪れた関係者やサポーター等の県内周遊にもつなげていきたいと考えています。 次に、地域資源を生かしたスポーツツーリズムの推進については、サイクル県やまぐちの取組として、豊かな自然を活用したルート整備やサイクルエイドの設置等の環境整備を進めるとともに、自転車での周遊マップの作成等により、県内外からの誘客の促進を図ることとしています。 また、コロナ禍において、自然体験への需要が高まる中、新たにアウトドアスポーツの振興を図ることとし、お示しのマリンスポーツや登山など、多様なコンテンツを発掘するとともに、中核となる人材の育成等を進めてまいります。 県としては、今後とも、こうした取組により、市町、関係団体と一体となって、スポーツを通じた地域活性化に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)女性の活躍促進についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化が進む本県において、地域を支える人材を確保し、地域の活力を維持・発展させていくためには、女性が活躍する社会を実現していくことが重要です。 このため、県では、やまぐち維新プランの重点施策に、女性が輝く地域社会の実現を掲げ、女性の活躍促進に積極的に取り組んでいます。 特に、就労の場においては、女性が県内企業に就職して働き続けられるよう、女性が活躍できる体制整備や働きやすい環境づくりなどの取組を進めているところです。 具体的には、まず、女性が活躍できる体制整備については、女性管理職の登用を促進するため、民間で活躍する女性管理職によるアドバイザー制度を設け、管理職を目指す女性社員に対して相談支援を行っており、今年度からは、他社への派遣により、その充実を図っているところです。 また、女性の活躍が企業の成長や人材確保につながることから、経済団体等と連携し、経営者の意識改革に向けたセミナーを開催しています。 さらに、女性活躍の取組を全県に幅広く波及させていくために、お示しのとおり、このたび経済五団体、大学リーグやまぐち、県市長会・町村会のトップによる、やまぐち女性活躍応援団を設立したところです。 今後、各団体での取組の普及促進や情報共有を図るとともに、十月からは、応援団と連携して女子大学生等を対象としたセミナーを開催し、企業での女性活躍の取組紹介や女性社員の体験発表などを通じて、県内企業の魅力を伝え、若い女性の県内定着につなげていきたいと考えています。 次に、女性が働きやすい環境づくりについては、仕事と家庭の両立支援等に取り組む企業を男女共同参画事業者として認証し、その取組内容をホームページ等を通じて広く紹介することにより、認証事業者の拡大を図ってまいります。 また、今年度から新たに、一日四時間以下の超短時間勤務から始め、ライフステージに応じて就業時間を拡大できる求人を創出し、企業とのマッチングを支援するなど、女性の多様な就業機会の確保に取り組んでいます。 県としては、今後とも女性がさらに意欲を高め、持てる力を十分に発揮できるよう、関係団体や事業者等と連携を図りながら、女性の活躍を一層促進してまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)農業用ため池による災害の未然防止についてのお尋ねにお答えします。 農業用ため池の災害を未然に防止するためには、ハード・ソフト両面からの適切な対応が重要であることから、これまで老朽化ため池を千六百三十一か所整備するとともに、梅雨入り前の点検パトロールや、市町が行うハザードマップの作成支援などに取り組んできたところです。 とりわけ、昨年七月に施行された農業用ため池の管理及び保全に関する法律に基づき、ため池管理者などに県への届出手続を進め、本年八月には、決壊時に人的被害を与えるおそれのある防災重点農業用ため池について届出が完了しました。 しかしながら、防災重点農業用ため池以外のため池については、権利関係が不明確かつ複雑なものなど、相続調査が必要なため池も多く残されています。 こうした中、本年六月には、防災重点農業用ため池の防災工事等を集中的かつ計画的に実施するための特別措置法が成立したことから、今後は、適正な保全管理体制の構築と防災工事の両面で、防災・減災対策を強力に進めてまいります。 まず、適正な保全管理体制の構築に向けては、未届けのため池について、登記事務に精通した専門家を活用し、相続調査を強化するとともに、ため池管理者などへの戸別訪問などにより、届出手続の促進を図っていきます。 次に、防災工事については、現在行っている防災重点農業用ため池を対象とした老朽化等の調査結果を踏まえ、浸水想定区域内にある重要施設の状況により優先順位をつけ、今年度末までに、特別措置法に基づく防災工事等推進計画を作成することとしています。 また、円滑にため池対策を推進するため、土地改良事業団体連合会の協力を得て、市町やため池管理者などへの技術的な援助体制を強化します。 さらに、防災工事の実施に向けては、ため池管理者などとの合意形成を進め、事業導入の前倒しに努めるとともに、防災・減災予算を最大限活用しながら、整備の加速化を図ります。 県としては、市町やため池管理者などと緊密に連携し、ハード・ソフト両面から、ため池の防災・減災対策に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)森繁議員から二点の御質問をいただきました。 まず、あおり運転の取締り強化と被害防止に向けた意識啓発についてのお尋ねにお答えします。 いわゆる、あおり運転につきましては、意図的に危険を生じさせる極めて悪質・危険な行為であり、断じて許されるものではありません。 本年六月施行の改正道路交通法により妨害運転罪が創設、厳罰化が行われ、これによる抑止効果も期待されているところです。 県内では、改正法の施行後、妨害運転罪を適用した事案の発生はありませんが、議員お示しのとおり、取締り強化と被害防止に向けた意識啓発を一体としての取組を一層推進していく必要があると認識しております。 まず、あおり運転の取締り強化についてですが、県警察では、あおり運転等の悪質・危険な運転が関係する事案を認知した場合には、ドライブレコーダーや第三者の目撃情報などの客観的な証拠資料の収集等を適切に行い、妨害運転罪を含めたあらゆる法令を駆使し、厳正な捜査を徹底してまいります。 あわせて、あおり運転を未然に防止する観点から、車間距離不保持等の道路交通法違反について積極的な取締りを推進しているほか、悪質・危険な運転に関しては、県警察のホームページ内にあるEメール受付窓口で情報提供を呼びかけています。 また、悪質・危険なドライバーを早期に道路交通の場から排除するため、あおり運転をしたドライバーに対する迅速な行政処分を推進してまいりたいと考えております。 次に、被害防止に向けた意識啓発については、議員もお示しのとおり、自衛という観点からも、ドライバーは相手に対する思いやり、譲り合いの気持ちを持って判断し行動すること、あおり運転を受けた場合には、安全な場所で停車し、車外に出ることなく直ちに一一○通報をすること、ドライブレコーダーを設置することが、あおり運転の未然防止と違反の認定にも有効であることなどについて、様々な場でしっかりと周知していくことも重要です。 県警察では、運転免許証の更新時講習やドライバー向けの講習などにおける交通安全教育のほか、県警察のホームページ、メルマガ、ラジオ・テレビ放送を活用した広報啓発や関係機関・団体等と連携した交通安全イベントなどの取組を通じ、県民の皆様への周知に努めてまいります。 県警察においては、今後とも、あおり運転のない安全な道路交通の実現に向けた取組を一層推進してまいります。 次に、認知症による行方不明者の捜索態勢の充実強化についてのお尋ねにお答えします。 県警察において、昨年、認知症またはその疑いがあるとして受理した行方不明者は百九十二人で、前年よりも二十九人多く、さらに統計のある平成二十四年と比べて約二倍に増えるなど、全国と同様に年々増加する傾向にあります。 その行方不明者のほとんどは、警察や関係機関の捜索等により無事に発見されておりますが、一方で、未発見の方や、残念ながらお亡くなりになって発見されるケースがあることも事実です。 議員お示しのとおり、今後も高齢化の進展に伴って、認知症を患う行方不明者のさらなる増加が予想され、その捜索態勢の充実強化は非常に重要な課題であると認識しております。 そして、これまでに対応してきた事例から、行方不明になられた方々を安全に保護し、御家族の元にお帰りいただくために、特に重要となるのは早期の発見であると考えております。 早期発見を図るため、県警察では、人命の安全を最優先に、認知症またはその疑いがある方の行方不明の届出を受理した際は、可能な限りの警察官を動員するとともに、各警察署等への手配や、警察犬、ヘリコプターの投入を図るなど、組織的な対応により捜索活動を行っております。 さらに、警察だけではなく、タクシー会社や警備業者、郵便局などの御協力をいただくための手配を行うとともに、各市町で構築している徘徊高齢者発見・保護のためのネットワーク、通称、SOSネットワークへも情報提供等を実施して派遣時の通報依頼を行っております。 行方不明者の確実な発見と保護を図るためには、今後も初動活動の充実と地域での高齢者を見守る目を増やす取組を進めることが何よりも大切です。 そのため、市町や関係機関・団体に対してはSOSネットワークへの登録の拡充や、捜索訓練への参加を働きかけるなど、さらなる連携の強化を図ってまいります。 また、認知症を患う方の御家族に対しては、行方不明時の速やかな届出やGPS端末の活用を呼びかけてまいります。 県警察といたしましては、今後も、御家族や県民の皆様の御協力を得ながら、認知症による行方不明者の捜索態勢の確立に努めていく所存です。