討論
議長(柳居俊学君)上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 公明党の上岡です。会派を代表して討論を行います。 今回上程されている議案の全てに賛成します。請願二件については、委員長の報告のとおり、不採択に賛成の立場から意見を申し上げます。 まだまだ新型コロナウイルス感染症の収束は見通せない中、新年度の予算編成に当たっては、国の経済対策に呼応し、切れ目のない対策を講じるため、補正予算と一体的に編成する十五か月予算という考え方で編成されました。 今回の予算編成を見ると、コロナ対策はもとより、各般にわたり、「活力みなぎる山口県」の実現に向けた村岡知事の強い思いが伝わってきます。 また、公明党山口県本部では、毎年十一月初旬に県内の企業・団体から政策要望を懇談会にてヒアリングしております。昨年も各種団体から頂いたお声を、百二十四項目の政策要望として取りまとめ、一月七日に村岡知事へ要望書を手渡したところでありますが、新年度予算案には随所に我々公明党からの主張が盛り込まれており、高く評価しております。 では、令和三年度一般会計予算案、議案第一号及び令和二年度一般会計補正予算案、議案第六十三号について意見を申し上げます。 新年度予算の重点施策のうち、ポイントの一つは、当然ながら目下の最大の課題である新型コロナウイルス感染症対策であります。 本題に入る前に、まず、日々新型コロナウイルスという見えない敵と必死に闘ってくださっている医療従事者の皆様、また新型コロナウイルス感染症対策室をはじめ、県健康福祉部の皆様の大変な御労苦に対して、改めて感謝の意を表したいと思います。 さて、新年度予算案では、我が党が要望してきた新型コロナウイルス感染症対策の強化については、かねてより保健所等の機能強化が求められておりましたが、検査体制の確保や保健所等の体制確保に取り組まれ、入院患者の受入れ病床確保や軽症者等への宿泊療養の実施など、医療提供体制強化の関連事業には三百二十二億九千六百万円余の大幅な予算措置を取っていただき感謝しております。 あわせて、新型コロナに対応した経済対策にも触れておきたいと思いますが、私は昨年十一月議会で、新年度予算編成に当たり、国の予算も活用しながら、ポストコロナ時代を見据えた産業戦略と、中小零細企業への事業再開支援及び観光業や農林水産業へのてこ入れも必要だと質問をいたしました。 長期にわたってコロナの影響を受け続け疲弊した中小企業・小規模事業者への支援強化策として、制度融資に係る融資枠の拡大や伴走支援枠の新設についても予算の拡充が図られましたし、需要が落ち込んでいる観光業には、「行こうよ。やまぐちプレミアムキャンペーン」事業などで十八億五千五百万円もの予算で需要喚起を図ろうとされています。 農林水産関係においては、強い農林水産業育成プロジェクトで百六十二億八千七百万円の予算が割り当てられていますが、これは、やまぐちの農林水産物デジタル販促推進事業など、DXの推進により本県の農林水産業の足腰を強化しようとするものであり、デジタル技術を駆使しながら、産業力を強化しようとする非常に重要な取組であると考えております。 そこで、二つ目のポイントとして、デジタル化推進の加速化について意見を述べます。 (仮称)やまぐちDX推進拠点の整備や山口県版クラウド、(仮称)Yクラウドの構築、さらにはデジタル人材の育成など、山口県としてもSociety5・0の実現に向けて、喫緊の課題である全県的なDXの推進に五億四千四百六十万円。あわせて、行政手続のオンライン化をはじめとした質の高い行政サービスの提供のため、新規事業として、県・市町RPA等共同利用推進事業に一千八百万円強、県民相談サービスの向上に向けて、AIチャットボット等の導入による県民相談高度化事業に二千万円など、デジタル・ガバメントの構築に合計四億三千六百万円余りの予算が措置されました。 また新たに、知事をCIO、最高情報責任者とするとともに、全庁推進組織として山口県デジタル推進本部が設置され、デジタル推進局も総合企画部内に創設され、これにより、デジタル化への一層の加速を大いに期待をしております。 ただし、これまで何度も申し上げてきましたが、デジタル化の推進は、単に行政手続がスマートフォンで完結するなどの利便性向上や業務効率の改善・向上のみならず、高齢者や障害者、外国人観光客など誰にでも優しい社会の構築に向けて事業展開されなければなりません。その意味において、昨年十二月に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画で確認されたように、行政サービスは利用者のニーズから出発するということは重ねてお願いをしておきたいと思います。 その他、やまぐち型子育て支援の充実について、新規に子育てAIコンシェルジュ導入事業として約四千五百六十万円が措置されています。もはや誰もが使っているLINEを活用し、妊娠から出産・子育てに関する相談を二十四時間三百六十五日対応する伴走型支援です。AIチャットボットによる相談や案内、プッシュ型の情報サービスを提供するものですが、時代は変わったと実感します。 さらに、拡充された切れ目のない妊娠・出産・子育て支援推進事業では、公明党が長年取り組んできた不妊治療支援に関して、対象の拡充や助成額の増額が行われるとともに、不育症検査助成事業では、検査一回当たり上限五万円を国と県で検査費用を助成することになり、費用負担が大きくて悩んでいらっしゃった方に、一筋の希望の光が差し込むことになると思います。 また、乳幼児の育ちと学び支援事業については、幼児教育・保育に関する研修や調査研究、情報提供を総合的に行う拠点として、山口県乳幼児の育ちと学び支援センターを設置し、乳幼児期における教育・保育の質の向上を図ろうとするものですが、将来の人格形成の面からも、乳幼児期における教育・保育の大切さは言うまでもありません。 防災・減災対策も重要な政策の柱として捉えております。昨日は、東日本大震災から十年の節目を刻みましたが、あの教訓を生かし、最近頻発する異常気象による大規模災害にも備えなければなりません。災害に強い県づくり推進プロジェクトでは、高度なインフラ監視・点検関連事業に九千万円を予算化したほか、国の対策に呼応した緊急課題の取組として、防災・減災、国土強靱化の推進など、安全・安心の確保にも取り組まれますが、大変心強く思います。 るる申し上げましたが、新型コロナウイルスの影響により大幅な税収減が見込まれる極めて厳しい状況下にあって、国の地方創生臨時交付金も活用しながらと言っても、大変に苦心されたことと思います。総じて、重点政策に係る予算措置にはめり張りを効かせ、山口県が本格的にSociety5・0への扉を開き、力強く前進しようとの決意がうかがえる予算だと思います。 以上により、全ての議案について賛成いたします。 次に、請願第一号 安全・安心の医療・介護の実現と国民の命と健康を守ることについて、について申し上げます。 国民の命と健康を守るため、安全・安心の医療、介護、福祉の実現は喫緊の課題であるとする本請願の趣旨は、全くそのとおりであると理解します。 しかし、よくよく見ると、列挙された課題については、国において既に相当な危機意識を持って対応しているさなかであり、医師、看護師、医療技術者や介護職等、人材確保には一定の期間も要します。人材不足の解消は、意見書を国に提出したからといって解消されるものでもありません。 したがって、本請願については、委員長報告のとおり、不採択に賛成します。 続いて、請願第二号 教職員の長時間過密労働を解消する施策を求める趣旨の請願についてです。 本請願にある一年単位の変形労働時間制とは、まさに働き方改革の一環として、業務の繁閑を調整した年間計画を基に、長期間の休日のまとめ取りが可能になるという内容であります。 この条例制定は、国の法制定に合わせて関係条例の整理をするためですが、すぐさまこの制度を一律に公立学校へ押しつけようとするものでは決してありません。 また、教職員の長時間過密労働を解消するための施策を求める趣旨については理解できます。教員という職業にあって、この制度の導入によって忙しい先生だけが取り残されてしまうのではといった不安の御意見があることも承知をしております。 しかしながら、だからこそ教員の働き方改革をもっともっと前進させねばならないのではないでしょうか。 したがって、本請願については、委員長の報告のとおり、不採択とすることに賛成です。 最後に一言申し上げます。 今月末で県庁を退職される、昭和三十五年度にお生まれの私と同級生の皆様、長い間のお勤め、御苦労さまでございました。また、私どももいろいろと大変お世話になりまして、ありがとうございました。 県庁を退職されました後も、健康には十分に御留意をいただき、新たな人生を謳歌していただきたいと思います。今後、ますますの御多幸、御健勝を御祈念申し上げ、以上で討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)これをもって討論を終結いたします。