討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 宮本輝男君。 〔宮本輝男君登壇〕(拍手) 宮本輝男君 社民党・市民連合の宮本輝男でございます。 今回は、議案第一号、第四十九号、第五十号及び第七十九号には反対する立場から、請願一号、二号は委員会での不採択に反対する立場から討論をいたします。 議案第一号、令和三年度山口県一般予算についてです。 予算規模は約七千五百二十八億九千三百万円と前年度比七百八十八億円増、令和二年度の二月補正予算三百億六千万円と合わせて七千八百二十八億九千九百万円となっています。国の十五か月予算の考え方を踏襲した予算編成が、この間続けられています。 今回の補正予算は、直接的なコロナ感染対策、感染による低迷している経済回復を重点に計上されていることなので反対はしません。 しかし、国の十五か月予算については、景気対策などの面で有効であるとの評価がある一方で、補正予算本来の役割から逸脱し、通常の予算として盛り込むべきものを比較的注目度の低い補正予算として計上することにより、必要な議論を避けているのではないかという批判も当然あります。 したがいまして、この十五か月予算について、深い議論、考察がこの間行われていない気がいたしており、今後、そういった議論がなされるべきだと思います。 さて、歳入が前年度比七百八十七億八千六百四十五万九千円増となっていますが、そのうちの五百七十四億九千百五十二万二千円が諸収入の商工貸付金元利収入が占めています。率で言えば七三%です。 これは、前年度の中小零細業者へのコロナ禍での収入減に対する、九月補正等でのいわゆる緊急支援策の一環で行われた、中小企業制度融資に係る金融機関への預託金の返済の収入だと思われます。 最近、新規コロナ感染者が落ち着きを見せ、ワクチン接種が開始され、医療関係者から順次高齢者、一般県民へと拡大され始め、県としてもコロナの直接的な感染対策が行われ、間接的な中小零細業者への収入減に対する対策が行われようとしている予算ではあるとは存じます。 しかし、まだまだ先行きの不透明感が続くと思われる中で、今の状況でさえ収入の減で御苦労なされている飲食業、観光業をはじめとした中小零細業者の方の経営が、すぐには改善される見通しが立つとは限りませんし、借りた資金は返さなくてはならないと思いますし、重圧感があるというふうに思います。 また、臨時財政対策債も今年度四百三億七百万円で、前年度の二百三十一億七千万円に比して百七十一億三千七百万円の増となっています。 地方交付税は、普通交付税と特別交付税を合わせて千七百九十八億七千万円で、昨年度比八十四億六千九百万円しか増えていません。将来的に国からどれほど手当てしてもらえるのか保証がありませんし、県債が増えるという可能性も十分もあるわけです。これらは、県税収入が減る中での見せかけの歳入増です。 次に、歳出です。コロナ対策にはかなり重点的に配分されているとは思います。それはそれなりに評価するところではあります。 新型コロナウイルス感染症検査・医療提供体制強化関連事業は、予算額三百二十二億九千六百二十四万九千円のうち、国庫支出金が三百九億三千六百二十二万二千円であり、一般財源が十三億五千九百六十六万円であり、いかに国からの支出金が頼りであるのかが分かります。 今後、ワクチン接種が拡大され、コロナ感染の鎮静化、根絶が望まれるところではありますが、感染状況はまだまだ先行き不透明であり、気を緩めてはなりません。新型コロナウイルス感染症検査は、感染が確認された施設や濃厚接触者だけでなく、今後、予防的な意味合いから社会的検査もしなければならないというふうに思います。 だけでなく、これまでの感染予防対策での保健所等職員体制は、臨時的措置も仕方なかったとは思いますが、今後は、感染予防の観点から、より地域に密着した保健所の体制強化のためにも、人員増や閉鎖された保健所等の再開を視野に入れた検討が必要になってきます。 中小企業制度融資が、前年度の五百七十億円から千三十億円に増加されていることはいいことだとは思います。先ほど言いましたが、借りたお金は返さなくてはなりませんので、融資の際は、借りやすく返済しやすいように弾力的な運用でなければなりません。 今回の来年度予算にも、山口朝鮮初級中級学校及び付属幼稚園班に助成金、支援金が支給されない予算になっています。 日本国籍ではないと言いながら、幾世代にもわたって山口県民として生活をし、県市民税や住民税を納め、商品を買い、サービスの提供を受ければ消費税を払うという義務を立派に果たされているにもかかわらず、県からの恩恵を受けられないことが続いています。 北朝鮮との関係や他県の動向から、県民の理解が得られないということですが、隣県の福岡県では支給されており、理由になりません。山口朝鮮初級中級学校や付属幼稚園班に通う子供に罪はありませんし、将来の日本を担う子供たちであり、子供の学ぶ権利を保障することが大事であり、承服できません。 次に、給与関係費のうち、職員の給与費が、前年度当初と比して一・二%減で、昨年に比して約二十億円の減となっています。これは定数減等だと思われます。 職員は、県の業務、事業、施策を遂行する上にとってなくてはならない存在であり、県民と接する最前線で頑張っている貴重な宝です。 また、これに関して、議案第四十九号 山口県学校職員定数条例を一部改正する条例です。 小学校、中学校、特別支援学校、中等教育学校、高等学校の教職員一万二千五百四十七人を一万二千四百十人に、百三十七人削減する内容です。 皆さん御存じのように、学校の教職員は多忙を極めています。時間外業務時間が削減されたとは言いながら、まだまだ一月当たりが四十五時間を超える教師が四○%を超え、百時間を超える教師も存在しています。 しかし、時間外業務時間も、校長先生の要請や教師一人一人の自己規制、校舎外に出たときの時間の把握ができ切れてない面が指摘されており、統計上の数字が正確なものかは言えないという状況だと言われる方もいらっしゃいます。 教師の働き方改革が叫ばれて久しいものがある中で、県教委は、学校における働き方改革加速化プランに取り組み、時間外業務の三○%削減を目指してこられましたが、まだまだ目標達成にはほど遠い状況です。 来年度は、DX、デジタルトランスフォーメーションが本格的に始まります。県立学校だけでなく、県内の市町の学校でも児童生徒に一人一台のタブレット端末が貸与され、来年度からICT教育がまさに始まろうとしています。 県の教育委員会もそれに合わせ、県立学校でのICTを中心にした事業を始める方針が示されました。ICT教育を円滑に進めるためにも、また、ICT教育の流れに乗り遅れない教師を出さないことも重要です。 また、いじめや不登校、子供の貧困、ヤングケアラーの問題などが山積し、プラットホームとしての学校の役割がますます増え、教師にも重い責任が課せられる中で、少人数学級を望む声が一段と強まっています。 教師の働き方改革が言われている中でも、一向に減らない病気等での長期休暇の教師を出さない、減らすことも重要です。 児童生徒たちが減り続けるからといって、長年叫ばれている一人一人への行き届いた教育、質のよい教育のためにも、小規模校や分校の廃止だけでなく、教職員を減員すべきではありません。 以上の理由から、議案第一号、議案第四十九号に反対いたします。 議案第五十号の学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例の中で言われている、いわゆる変形労働時間制に関する条例についてです。 今回上程されている変形労働時間制は、教師の働き方改革の一環として、学校現場で比較的時間の取れる長期休業期間にまとまった休みが連続して取れるように、繁忙期の勤務時間を延長しようとするものです。 これには様々な問題があります。 現段階で時間外勤務の把握が十分なされていないこと。 対象とならない四十三時間以上の教師の時間外勤務の対策が不十分であること。 繁忙期対策がされず、長期休業期間の休暇が増えれば、見かけ上の時間外勤務が削減されたように見えること。 関係団体との合意が十分なされていないこと。 さらに加えて、六日以上の連続勤務はできない、一日の勤務時間が九時間以内であることなどが考えられておるようですが、それ自体よいことですが、学校の特殊な勤務形態ではそぐわず、勤務表ができた後に突発に連続勤務が行われた場合には勤務が修正できないことや、部活や修学旅行の引率では児童生徒の監督ができない時間が生じるなど、学校行事にも支障が出て、教師だけでなく、児童生徒にも影響が及ぶことが出てくることが懸念されます。 また、導入条件となる四十二時間以内の時間外勤務になるよう、これまで以上のより一層の取組が先になされるべきです。 そのことに鑑み、このような条例を成立、提出もしくは提出予定の自治体は、全国で十自治体程度だと聞いております。 導入条件の四十二時間が確立されない中で、導入できる教職員と導入できない教職員が混在しようとする中で、なぜ拙速に条例制定をされようとしているのか甚だ疑問です。 以上の理由から、議案第五十号に反対をし、請願二号を不採択にすることに反対いたします。 議員各位におかれましては、学校現場で子供のことだけをおもんぱかって頑張っておられる教師の声をお察しいただいて、議案第四十九号及び議案第五十号に反対され、請願二号に賛成していただくようお願い申し上げます。 議案第七十九号についてです。 建設事業に要する経費に関し、市町が負担すべき金額を定めることについて、議案書には各事業について、各関係法の規定により具体的に市町への負担額が決められ、表示されています。この議案については、我が会派は反対をし続けています。 確かに関係法においては、市町に負担を求めることができるようになってはいます。地方分権の掛け声とともに、地方六団体を挙げて取り組み、主張されている国の直轄事業負担金廃止問題は、残念ながら近年、その声が全く聞こえてきません。市町への負担金は、その延長線上の課題にあります。 事業によっては、その負担割合は違いますが、市町へ負担額が請求されています。工事費の負担額の大小はあるものの、負担率は下から三%、上から五○%となっています。 とりわけ、今年の新型コロナウイルスの影響で低迷している県民生活や地域経済の立て直しのために、県内市町は例年以上に財政状況が厳しいのは共通しております。 知事は、国の負担金制度廃止について強く行動していただくことを併せ要望し、議案第七十九号に反対します。 請願一号に賛成する立場から発言をいたします。 数十年前から医療従事者への危機が言われていました。看護師さんには労働実態から、病人が病人を診ているようだともやゆされ、コロナ禍では医師も身も心も疲れている中で、家族にもつらい思いをさせ、誹謗中傷を受けながら働いてこられました。 今まだ続いているコロナ禍のパンデミック状態の中で、これまでの感染予防対策や医療、福祉や介護体制の医療崩壊が取り沙汰され、国民の命と健康が脅かされる事態となっています。 請願でも言われている、新型コロナウイルス感染対策の教訓を得て、国民の命と健康、暮らしを守るためにも、そして公衆衛生施策の拡充は喫緊の課題であります。 議員各位におかれましても、コロナ禍の現状に鑑み、御賛同賜りますようお願い申し上げます。 以上で、議案、請願に対する討論を終わりますが、最後に、今年度で退職されます参与員の皆さん、職員の皆さん、本当に御苦労さまでした。皆さんの県民、県政への長きにわたる御尽力に心から敬意を表する次第でございます。 どうか、次なる新たなステージでもそれぞれの持ち場で御活躍されることを、そして元気が一番です。御健勝を心からお祈りいたしまして、私の討論を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)