討論
議長(柳居俊学君)畑原勇太君。 〔畑原勇太君登壇〕(拍手) 畑原勇太君 自由民主党会派を代表して討論を行います。 我が会派は、村岡知事から提出されている全ての議案に賛成いたしますが、このうち、特に議案第一号の令和三年度一般会計予算及び議案第六十三号の令和二年度一般会計補正予算に関して、賛成の立場から一括して意見を述べさせていただきます。 新型コロナウイルスの感染者数は、世界中で既に一億人を超え、我が国でも四十四万人を超えています。感染症との闘いが始まって一年余りが経過し、先月には、感染症対策の決め手とされるワクチンの接種が国内でも開始されましたが、ウイルスの脅威を乗り越え、安心して暮らせる日常生活と社会経済活動を取り戻すための闘いは、これからも続きます。 本県においても、我が会派も申し上げてきたように、コロナの早期終息はもとより、今回の感染症との闘いに打ち勝った後の新しい山口県の姿についてもしっかりと描いていくときです。 本定例会の議論では、コロナ対策に適切に対応しながら、現在の危機を本県のさらなる成長のチャンスに変え、「活力みなぎる山口県」の実現を必ず成し遂げていくという、村岡知事の力強い決意をお聞かせいただきました。 知事は、このたびの予算案において、国の政策としっかりと連携しながら、昨年秋に策定されたコロナの時代に対応するための施策推進方針に基づき、施策の重点化・加速化に力を注がれたのです。 まず、予算編成の一つ目の柱である、新型コロナウイルス感染症対策の徹底と経済活性化の両立についてです。 新型コロナウイルスの感染拡大により、我が国が大きな苦境に立たされている中、菅総理は、このたびの第二百四回通常国会における施政方針演説の冒頭で、一貫して追い求めてきたのは、国民の安心と希望であると述べられました。そして、この苦境を乗り越えるべく、総理自ら先頭に立ち、コロナを終息させ、国民の命と暮らしを守り、経済を回復させるための取組を全力で進められておられます。 一方で、デジタル庁の創設をはじめとするデジタル改革を実現し、国際競争力の強化や国民の利便性向上など、希望を胸に、未来を切り開く取組も着実に前進しています。 また、今国会では、去る一月二十八日、地方創生臨時交付金の大幅な増額など、地方の実情に寄り添いつつ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、さらには防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保の三つの柱からなる、令和二年度補正予算が成立しました。 このような中、野党第一党の立憲民主党代表は、一月二十日の衆議院本会議の代表質問で、突然、ゼロコロナなるものを提唱し、先日、党としてのゼロコロナ戦略が決定されたとの報道に接しました。 この戦略は、市中感染がゼロに近くなるまで経済活動は再開しないというもので、その間は手厚い支援策により対応するとされています。 しかしながら、ウイズコロナからゼロコロナへの政策の大転換と大々的に打ち出してはいますが、大衆迎合的なばらまきにも見える給付や無料化も、肝腎の財源は曖昧ですし、何より経済への大きなダメージが、曖昧な財源をさらに不確かなものにしないかという懸念が強まるばかりです。また、そもそも我が国の法制度のありようとして、他国の一例をそのまま当てはめられることには、到底無理があります。 ゼロコロナができると主張されるなら、国民の納得できるデータや根拠を示すべきです。政治に夢や希望のある政策は欠かせません。しかしながら、政府のコロナ対応を批判するばかりで、自らが決定した戦略実現への道筋を示すこともなく、聞こえのいいフレーズを訴えるだけでは、余りにも無責任と言わざるを得ません。 責任政党として我が党がこれまで訴え、そして政府も取り組んできたように、感染拡大防止を徹底的に進めながら、社会経済活動を回復させていく、バランスを取りながら両立させていくことこそが実現可能な最善の道なのです。 本県のこのたびの予算では、さらなる感染拡大に備え、自主的・定期的な検査にも対応できる体制を確保されています。また、入院患者受入れ病床の拡充、また迅速で円滑なワクチン接種に向けた体制の構築など、県民の安心に直結する感染対策に関する取組がしっかりと盛り込まれています。 また、経済活性化について、十分な制度融資枠の確保等により県内経済を下支えすると同時に、プレミアム宿泊券発行や日本酒、花卉、高級魚等の割引キャンペーンによる消費喚起策が盛り込まれるなど、きめ細やかに目配りがされています。 今後は、感染症の動向や事業者の経営環境への影響を慎重に見極めながら、感染症対策の徹底と民需主導による県内経済の活性化に向けて、様々な声にもしっかりと耳を傾け、柔軟に必要な対策を講じていただきたいと考えています。 次に、予算編成における二つ目の柱である、危機から生まれた変化を成長へつなげる県づくりの加速化についてです。 今回のコロナ禍を契機に、国、地方のデジタル化の著しい遅れや、東京一極集中といった課題が浮き彫りになりました。いわゆるウイズコロナ、さらにはポストコロナの時代を見据えたとき、我が国社会経済の構造転換は避けては通れません。 このたびの県予算では、行政のデジタル化はもちろんのこと、全県でのDX推進に向けた拠点整備をはじめ、子育て、教育、防災、中堅・中小企業、農林水産業など、県政の幅広い分野でデジタル改革を強力に進め、危機から生まれた社会変革の動きを県の施策推進に確実に取り込もうとする、知事の強い思いがはっきりと読み取れます。 世界では今、デジタル化の動きが加速しています。このデジタル改革は社会を大きく変えていくものであり、とりわけ利便性と生産性を飛躍的に向上させていくものです。 山口らしさを前面に、豊かで便利な生活を未来に引き継いでいくためにも、この山口から全国に向けて発信できるデジタル改革をスピード感を持って進めていただきたいと考えます。 一方で、こうした県全体のデジタル化を進めるに当たっては、住んでいる場所や利用する方の年齢、障害の有無などにかかわらず、広くデジタル化の恩恵を享受できるよう、きめ細かな配慮を講じていただきたいと考えています。 また、一昨年来、我が会派の意見も踏まえ策定が進められている、新たな時代の人づくり推進方針に沿って、乳幼児の育ちと学び支援センターが設置され、幼児教育と保育の一体的な推進体制が整うこととなっています。 本県の将来を担い、未来を切り開いていく若者たちの育成に向けた取組が着実に前進するものと大いに期待しているところです。 さて、あの未曽有の被害をもたらした東日本大震災から、昨日でちょうど十年を迎えました。今も懸命に復興に携わる全ての皆様に心からなる敬意を表します。 この間、自然災害の猛威は頻発化・激甚化しています。また、昨年の上関大橋損傷事故の発生は、身近な公共インフラが老朽化しつつあることの実態を私たちに突きつけました。 県民の暮らしの安心・安全の確保があらゆることの基本であることは、コロナの時代であっても何ら変わりはありません。 こうした中、国の五か年加速化対策の予算も積極的に活用しながら、強靱な道路ネットワークの整備をはじめ、公共インフラの老朽化対策など、防災・減災、国土強靱化の推進に全力で取り組まれる県の姿勢に、我が会派としても大変心強く感じているところです。 さらに、こうした取組を予算計上するに当たり、今後の税収入等が不透明な中であっても、事業の選択と集中の徹底、また経費節減に努めつつ、国の補正予算等を最大限活用するなど、最善を尽くされた予算であると評価するとともに、その御苦労に敬意を表す次第です。 以上、予算案に関して、賛成の立場からるる申し述べましたが、先ほどから申し上げていますように、来年度は、このコロナ禍という未曽有の危機を乗り越え、未来に向かう歩みを進めていくことができるかどうかの正念場に差しかかっていると言っても過言ではありません。 我が自由民主党会派も、県民の命と生活を守り抜くと同時に、コロナ収束後の社会を見据えた県づくりに向け、全力を挙げて取り組んでいく覚悟であることを改めて申し上げます。 次に、請願に関して意見を申し上げます。 まず、第一号 安全・安心の医療・介護の実現と国民の命と健康を守る請願についてです。 我が国の医療・介護をより充実したものにしていくこと、そのために、このたびのコロナ対応を大きな教訓とすることについては、我が会派としても必要であると考えていますが、今は何よりコロナを収束させることが第一です。 現在、国と地方が連携し、感染拡大防止に全力で取り組んでおり、国において講じられるべき対策等については、請願項目を含め、全国知事会等を中心に、随時、国に対して要請や提言が行われています。 また、コロナ後を見据えた医療・介護の姿は、ワクチンの接種効果など、コロナの収束状況にも関わるものであり、これが見通せない現時点において、国への意見書提出という請願には賛同できません。 次に、第二号については、このたび議案第五十号として提出されている変形労働時間制に関する条例の制定に反対し、教職員の長時間過密労働を解消する施策を求めるものです。 本条例に係る議案については、学校における多様な働き方を可能とする制度の導入として賛成するものであり、教職員の長時間労働に関しては、現在、県教委において改善に向けた取組がまさに進められていることから、請願には賛同できないということを申し上げ、討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)