討論
議長(柳居俊学君)藤本一規君。 〔藤本一規君登壇〕(拍手) 藤本一規君 日本共産党を代表して、二月県議会に付託された議案に対する討論を行います。 本会議に条例されている七十四議案のうち、議案第一号、十六号、二十六号、二十七号、二十九号から三十四号、四十八号から五十一号、六十三号、七十七号及び七十九号の計十七議案に反対いたします。残り五十七議案には賛成いたします。 議案第一号、二○二一年度県一般会計当初予算と第六十三号、二十年度県補正予算は関連いたしますので、一括して意見を述べます。 新年度予算の最大の特徴は、デジタル化推進に特化しているという点です。デジタル化の推進に実に四十一億七千万円が計上され、そのほとんどが新規事業です。そのため、各部ごとの予算概要のうち、新規事業のほとんどがデジタル化推進に関する事業となっています。 デジタル化推進事業の全てに反対するわけではありませんが、デジタル化推進に多くの予算が割かれた一方、コロナ禍で苦しむ県民や中小零細事業者の生活となりわいを直接支援する事業は不十分と言えます。 それは、県作成の維新プラン関連事業費の総括表で明らかです。産業、大交流、生活の三つの維新を合わせた事業費から制度融資に係る金額を差し引いたものを比較すると、二○年度は一千二百九十五億円、二一年度は一千四百六十億円と増えていますが、コロナ対策関連事業費として計上されている約三百五十四億円を差し引くと、実質は一千百六億円と百八十九億円減っているのです。特に生活維新関連のうち、コロナ対策関連事業として計上されている三百二十七億円を差し引くと、実質は二○年度の約八百七十六億円から約七百四十六億円と、実に百三十億円も減少しているのです。 一方、産業力強化プロジェクトのうち、瀬戸内沿岸の企業群を中心とした基幹産業の競争力強化や生産性向上のための公共事業費は、二○年度、一千八十六億円から二一年度は一千百三十億円と増加しています。 生活より基幹産業の競争力強化を優先する姿勢は改めるべきだということを強く要望しておきたいと思います。 新年度予算には、我が党が求めてきた県内十四か所の地域外来・検査センターを維持する費用や、新型コロナウイルス感染症蔓延防止対策のため、網羅的・社会的に検査等を行う経費が含まれていることは率直に評価いたします。 新年度は、さらにワクチン接種など、新型コロナウイルス感染症防止に財政支出が求められています。今こそ、産業・交流維新関連予算を若干でも削って、新型コロナ感染症を終息させるために、医療、検査、ワクチン接種体制強化に取り組まれるよう強く要望いたします。 議案第十六号及び七十七号は、工業用水道事業会計予算に係るものです。 工業用水道事業は、過大投資で大きな損失を生じさせた苦い過去を教訓にして、適切な需要見込みを前提とした経営が求められています。 この間、指摘をしてきた想定事業費約二十六億円に上る宇部・山陽小野田地区への石炭火力発電所新設などを想定した供給体制再構築事業については、新年度予算計上は実に見送られています。中止をでもしたわけではないそうでございます。 世界的規模で進む温室効果ガス削減に逆行する石炭火力発電所の新設など時代錯誤にほかならず、その計画を前提にした事業は容認できない立場から反対いたします。 関連して、議案第四十八号は工業用水道条例の一部を改正し、厚東川、厚狭川両工業用水道の基本料金の値下げを含んだものであり、反対いたします。 議案第二十六号、二十七号、二十九号から三十四号は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令の公布に伴い、条例の基準である厚生省省令が改正されたことに伴い、条例改正を行うものです。 感染症や災害への対応力強化を掲げる一方で、介護職場の人員不足を一層深刻にする職員配置基準や運営基準の緩和が多く盛り込まれており、容認できません。 議案第四十九号は、コロナ禍で大幅な増員が求められている学校職員の定数をさらに引き下げるものであり、到底、納得できません。 議案第五十号は、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例は、教職員に一年単位の変形労働時間制の導入を可能とする条例であります。 私は、一般質問でこの問題を取り上げ、制度導入は、学校単位で行うべきだとただしたのに対し、繁吉副教育長は、育児・介護等を行う職員に配慮する必要があり、全ての教職員が対象になるとは限らないと答えられました。育児・介護等を行う職員に長時間労働を強いる変形労働制を導入しない配慮を行うということは当然のものとして理解いたします。 その上で、制度導入の際には、配慮すべき先生を除き、学校単位で行うべきであるということを要望しておきたいと思います。 さて、国の手引に、変形労働時間制導入の意義として、この制度は、教師の業務や勤務時間を縮減するものではないとあります。その一方で、教師のリフレッシュの時間等を確保して、教職の魅力向上に資するとあります。 県立学校の長期病休者は、二○一九年度で六十六人、うち精神疾患が三十人です。 教職の魅力向上は、長時間勤務そのものを縮減することではありませんか。 時間外在校時間が過労死ラインの八十時間以上が、昨年四月から十二月の調査で、小学校百五十二人、中学校三百十三人、高校で二百七人おられます。 県教委は、教師の業務や勤務時間の縮減のためにこそ注力すべきであり、一年単位の変形労働時間制を導入する本条例改正は行うべきではない、このことを述べて、本条例案に反対いたします。 議案第五十一号は、県立多部制定時制と通信制高校を来年四月に開校させるため等の条例改正です。 問題の一つは、同校の開校に併せて、光、防府商工、山口、宇部工業、小野田、厚狭の六校の夜間定時制課程の生徒募集が停止されることです。近隣地の定時制がなくなることで、高校進学を断念する生徒が生まれるおそれがあります。 問題の二つは、日本高等学校教職員組合が多部制導入後の実態を調査したところ、勤務形態の多様化により、勤務の長時間化、多忙化、複雑化が起こり、教職員の健康破壊が進みやすい、勤務形態が複雑なため、教職員間の自由な話合いや会議の時間設定が困難、研修時間も制約されるといった弊害が指摘をされています。 こうした問題が懸念される多部制高校の開校には同意できません。多部制高校の開設を進めるのなら、指摘した問題が現実のものとならないよう対策に万全を尽くすよう要望いたします。 議案第七十九号は、今年度の建設事業に要する経費の一部負担を市町に求めるものです。 負担金総額は三十八事業で、実に三十五億八千万円に上っています。市町が、今コロナ対策で大変苦労している中、せめて建設事業に要する経費の一部を市町に負担させる制度は廃止をして、市町の財政を側面支援すべきであり、反対いたします。 最後に、請願についてです。 第一号 安全・安心の医療・介護の実現と国民の命と健康を守ることについては、新型コロナウイルス感染対策の教訓を経て、国民の命と健康、暮らしを守るためにも、そして新型コロナウイルス感染や自然災害などの事態の際に、経済活動への影響を最小限に抑え込むためにも、医療、介護、福祉、そして公衆衛生施策の拡充は喫緊の課題であるとして、医療・介護などの拡充を求めております。 ポストコロナの時代は、ケアに厚い社会の構築が求められているのは当然ではないでしょうか。本請願を不採択とする環境福祉委員長報告に反対をいたします。 第二は、「休日のまとめ取り」のための一年単位の変形労働制導入の条例制定ではなく、教職員の長時間過密労働を解消する施策を求めるものです。 私は、一般質問でも述べましたが、本県の教育職員が置かれている長時間労働の状況が続く限り、文科省がこの制度の前提とする、一年単位の変形労働時間制を導入することはできません。 この前提条件が整っていないのに、なぜ制度導入を急ぐのでしょうか。まずは、教職員の長時間過密労働を解消するための実効ある施策を求める本請願を不採択とすべきとする文教警察委員長報告に反対をいたします。 最後に、私からも退職される県職員の皆様にお礼を申し上げます。 出席されている八人の参与員の方をはじめ、今年度末をもって多くの県職員の方々が退職されます。県職員の皆様から頂いた御厚情に心より感謝を申し上げます。 退職される参与員及び職員の皆さん、今後も健康に留意され、新しい分野で末永く御活躍されますよう御祈念いたしまして、以上で私の討論とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)