1 医療関連産業の育成・集積に向けた取組強化について 2 コロナ禍における中小企業支援・雇用対策の強化について 3 医療人材の確保に向けた取組強化について 4 障害福祉サービス提供体制の確保について 5 スポーツ観光の推進について 6 上関大橋について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七十九号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十九号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 江本郁夫君。 〔江本郁夫君登壇〕(拍手) 江本郁夫君 皆さん、おはようございます。自民党会派の江本郁夫でございます。 令和三年の二月度議会の一般質問の冒頭を務めることになりました。光栄でございます。今日は、登壇者が五人と長丁場になるわけでございます。どうぞ充実した一日にしたいものだと考えております。 質問に入る前に一言申し上げます。 コロナ禍にありまして、一年以上にわたり、行政の担当課の皆様をはじめ医療従事者の皆様方におかれましては、それぞれの持ち場持ち場において、なすべき業務につき献身的に取り組んでいただいており、この場をお借りして深甚なる敬意と謝意を表したいと思います。 ここに来て、直近、全国十都府県に発令中でありました緊急事態宣言につきましては、六府県について、先月末をもって解除がなされ、また山口県においても、直近PCR検査陽性者の数も相当下がってまいりましたが、まだまだ予断を許さない状況が続くと考えられます。 冒頭申し上げました皆様方におかれましては、引き続き、御苦労も多いこととは存じますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 また、経済活動の停滞により、その規模の大小を問わず多くの企業の経営者の皆様方が、多大な影響を受けておられます。この上は、全国民一丸となってこの困難を乗り切り、その努力が山口県でも、これから本格的に取り組むとするDXの推進などを通じ、いち早くポストコロナ時代に対応できる新たな経営基盤の構築につながっていくことを切に念願し、通告に従って質問に入りたいと思います。 まず最初に、医療関連産業の育成・集積に向けた取組強化についてお尋ねいたします。 本県では、国内大手をはじめとする製薬・医療機器企業の工業立地・集積や、全国トップクラスの医薬品製剤や医薬品原末・原液の生産力、研究開発力といった産業ポテンシャルを生かし、医療関連産業の育成・集積に積極的に取り組んでいます。 研究開発補助金の活用により生まれた新たな事業や企業誘致に伴う新規雇用など、これまでの取組による成果が多く上がっているところですが、コロナ禍で先行きが不透明な中、とりわけ、中小企業にとっては、新たな挑戦や将来の種まきへの投資が困難な状況にあり、企業によっては、開発プロジェクトの中断を余儀なくされるケースもあると聞いています。 しかしながら、そうした状況下にある今こそ、長期的な視点に立って、コロナ収束後の反転攻勢を見据えた取組を強化していくことで、成長を牽引するイノベーションを加速し、企業の競争力向上、ひいては本県産業の発展につなげていくことが必要です。 そうした中、私の地元山陽小野田市でも、新たな連携の動きが進んでいます。 昨年十二月、田辺三菱製薬工場と山口東京理科大学が、新たな技術の創造と将来の地域医療を支える人材の育成を進めるため、包括連携協定を締結したといううれしいニュースが飛び込んできました。 田辺三菱製薬は、大阪本社でCMC──Chemistry Manufacturing and Controlの略ですが、原薬の製造法や製剤の品質評価など、医薬品製造及び品質を支える総合的な研究を行っています。 このたび、田辺三菱製薬工場の小野田工場内に研究棟を新設し、このCMC研究機能を移転するに当たって、新たな医薬品生産技術の導入を目指しており、効率的な生産体制の構築に不可欠なデジタル技術の導入に向けて、大学と連携していくとのことです。 大学にとっては、医療に関わる仕事を志す学生が医薬品製造現場の専門家から学ぶことができるメリットがあり、産業振興や人材の育成・創出に向けては、こうした大学と企業による研究・教育面での連携は、とても意義あるものだと思います。 また、県、県製薬工業協会、山口東京理科大学が連携して取り組んでいる山口県GMPカレッジにおいては、産学公連携による医薬品製造所の人材の育成・確保などを支援されています。 このGMPとはGood Manufacturing Practiceの略で、高品質の医薬品を安定して製造するための工程管理基準のことですが、本県の強みである医薬品産業力のさらなる強化に向け、人材の面からも後押しする積極的な取組であると高く評価しております。 今後、こうした動きとも連携しながら、先を見据えた研究開発や事業化の推進が、医療関連産業のさらなる成長と新たな企業集積を生み出し、そこから生まれたネットワークから新たな取組が始まるという持続的なイノベーションの創出を期待しています。 そこでお尋ねをいたします。新たな社会変革への対応も求められる中、ポストコロナを見据えた強い産業を生み出していくためには、医療関連産業の育成・集積に向けた取組を強化していくことが重要であると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いします。 次に、コロナ禍における中小企業支援・雇用対策の強化についてお尋ねいたします。 新たなデジタル技術を駆使した、デジタル化時代に対応するための変革をもたらすデジタルトランスフォーメーション、DX。これはコロナ禍において求められる変革を起こす力であり、加速させていくための大きな原動力となります。 我が会派では、これまでも、DX推進の必要性について述べてまいりましたが、このたび示された県の新年度予算案を拝見しますと、DX関連の事業に予算を重点配分されており、DXの推進に向けた知事の意気込みを感じたところです。 今後、県内の様々な分野でデジタル技術が活用されていくことが重要になる、いや必須になると言っても過言ではありませんし、中小企業においても、もちろんそうだと思います。 今までできなかったことができるようになり、新たなビジネスモデルを生み出す。生産性を向上させ、業種転換を図る。そのような変革を中小企業にもたらす大きな可能性を有しているのです。 しかしながら、企業におけるDXの取組は、まだまだ緒に就いたばかりであります。DXは何をしたらよいか分からない、デジタル人材がいないといった悩みを抱える企業が多いのも実情であることから、企業の取組段階に応じたきめ細かな支援が必要ではないかと思います。 そうした一方で、コロナの影響は、本県においても経済活動の停滞など多方面に及んでおり、離職や雇い止め、企業からの求人の減少など、雇用面の影響も見逃すことはできません。 本県の雇用情勢を見ますと、およそ一年前には一・六倍を超えていた有効求人倍率は、昨年十二月には一・二三倍にまで大きく落ち込んでいます。 また最近では、山口市にあるホテルの営業終了が報道されるなど、県内でも宿泊業を中心にコロナ関連の倒産が発生し、また、宿泊業や飲食業をはじめ派遣業やサービス業などで解雇、雇い止めが発生しています。 県では、国と連携した支援に迅速かつ的確に取り組んでおられ、既に再就職された方も多くいらっしゃるようですが、キャリアチェンジやスキルアップによって業種・職種間の労働移動や正社員への転換が図られるなど、労働者のステップアップにつながるチャンスでもあると思います。 さらに、コロナ禍において、テレワークをはじめとする働き方の新しいスタイルも進められていますが、これらも言い換えれば、労働生産性の向上、労働環境の変革であり、中小企業の変革と目指していく方向は同じではないでしょうか。 コロナによるピンチを成長のチャンスに変えていく。そのためには、社会が大きく変革する中にあっても、デジタル技術を武器に企業が成長を続け、安定的に雇用を支えることが可能な労働環境の構築を進めていくことが必要であり、それに向けては、企業の変革、労働環境の変革、それぞれを進めていかなければならないと思うのです。 そこでお尋ねをいたします。コロナ禍においては、中小企業支援と雇用対策を強化していくことが重要であると考えますが、中小企業の持続的な成長、そして足腰の強い労働環境構造への変革に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いします。 次に、医療人材の確保に向けた取組強化についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルスの感染拡大により、感染症対応や入院需要の大幅な拡大など、地域医療に大きな負荷がかかる中、本県においては、地域の医療機関の献身的な努力と積極的な協力により地域の医療提供体制が維持できており、県民の命と健康を守るための医療の基盤が構築されている現状を改めて認識するものとなりました。 現在も、感染者の入院受入れや発熱患者に対する診療・検査などに県内各地域の医療機関が協力するとともに、地域での役割分担に基づき、新型コロナウイルス感染症以外の患者の受入れやクラスターが発生した医療機関への医師や看護師の派遣など、地域の医療機関等が連携し、地域全体が一丸となって対応いただいています。 そして、こうした地域の医療提供体制を現場で支えているのが、医師や看護職員をはじめとする医療職の方々となります。そのため、県民が地域でいつまでも安心して暮らすことのできる社会の実現に向けては、地域医療の基盤となる医療人材の確保が何よりも重要であると考えます。 県では、これまで、昨年三月に山口県医師確保計画を策定し、医師偏在指標に基づく計画的な医師の養成や確保に取り組むとともに、看護職員の養成確保や定着に向けた対策を幅広く実施するなど、計画的に取組を進めてこられました。 しかしながら、医師の高齢化や若手医師の不足などから、地域により診療科目の縮小が起きるなど、現実の問題として地域医療の確保に影響が現れ始めており、また、在宅医療などのニーズの増大から、看護職員にとどまらず、薬剤師や歯科医療従事者についても、その対応が懸念されるなど、医療人材の確保は待ったなしの課題となっています。 また、急激に医療需要が増大する、新型コロナウイルスのような新興感染症等に備えては、平時から必要な医療人材の確保に積極的に取り組み、充実した体制を確保しておくことも重要になります。 このため、私は、若手医師などの県内就業につながる支援の充実や、働きやすい職場環境の整備など、地域医療を担う医療人材の確保に向けた取組を一層強化する必要があると考えます。 また、地域での医療人材の深刻な不足や感染症対策の強化などの直面する課題に対応するためには、県外勤務者の県内就業や育児や介護による離職者の活用など、即戦力の人材を確保することが効果的だと考えます。 特に、医療人材バンクの取組強化については、我が党に対し、県医師会や県看護協会などの医療関係団体から要望をいただいており、関係団体とも十分に連携し、取組を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。地域でいつまでも安心して暮らすことのできる社会の実現に向け、地域医療の基盤となる医療人材の確保に向けた取組強化が必要と考えますが、県では、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、障害福祉サービス提供体制の確保についてお尋ねいたします。 いよいよ、デジタル社会の実現に向けた動きが本格化してまいりました。社会のデジタル化は、今後の経済成長だけでなく、人口減少や少子高齢化など、地域や社会が抱えてきた様々な課題や困難の克服に資するものであり、県民一人一人の幸せにつながる安心・安全な暮らしの実現が期待されています。 私がライフワークとして携わる障害者に対する支援についても、その例外ではありません。 障害者が、住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らしていくためには、地域において、必要な人が質の高いサービスを受けることができる、障害福祉サービスの提供体制を確保することが重要になります。 しかしながら、今後、障害者の高齢化や重度化が進むことで、障害福祉サービスの需要の増加や多様化、質の高度化への対応が求められます。また、高い離職率などから、福祉分野は慢性的な人手不足の状況にあり、人材の確保や質の向上が課題になるとともに、少子高齢化の進行に伴う労働力人口の減少などから、将来にわたる体制の維持も懸念されます。 私は、こうした障害福祉サービスの現場が抱える様々な課題を克服し、障害者のニーズに応じた将来にわたる質の高いサービスの提供を実現するためには、デジタル技術を活用した体制の整備を進める必要があると考えます。 障害福祉サービスにおけるICT機器やロボット介護機器などのデジタル技術の活用は、職員の業務の効率化や心身の負担の軽減が職場環境の改善につながり、人材の確保や定着に効果が期待できます。また、障害者の情報を関係者で共有することで、利用者一人一人に応じたサービスの提供が可能になるなど、サービスの質の向上にもつながります。 人材の確保などの共通の課題を持ち、デジタル技術の導入に先行して取り組む介護の現場からは、ICTの導入により、利用者の基本情報や変化等をデータで記録し、職員間で共有することで、事務負担の軽減やチームケアの実施などによる支援の充実につながっているとの声を聞いており、その効果を実感しているところです。 一方、障害の特性に応じた多様な支援が必要になる障害福祉サービスにおいて、どのような機器の導入が効果的なのかは、まだまだ未知数なところがあります。そのため、先進事例の関係者への情報提供など、県内での導入拡大につながる取組も併せて行っていただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。障害者が住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らしていけるよう、デジタル技術を活用した障害福祉サービス提供体制の確保について、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、スポーツ観光の推進についてお尋ねいたします。 本県では、自然景観や歴史・旧跡、整備された道路などの環境を利用し、サイクルスポーツの振興やサイクルツーリズムを通じた交流人口の拡大に向け、誰もがサイクルスポーツを快適に楽しむことができる、サイクル県やまぐちの推進に取り組んでいます。 その取組の一つとして、サイクリングマップの作成があり、県内外のサイクリストに県内周遊を楽しんでいただけるよう、複数のコースルートが設定されています。 私の地元山陽小野田市にも、新山口駅を発着地とする瀬戸内アドベンチャー輪道というサイクルルートがあります。 私自身、休日ともなるとよくサイクリングを楽しんでいるこのコースでは、東京理科大学を横目に桜の名所竜王山を回り込むと美しい海岸線が現れます。 中でも、南欧リゾート地のようなおしゃれな雰囲気が漂い、関門海峡へ沈む夕日が日本の夕陽百選にも認定されている焼野海岸は、観光スポットとして多くの来訪者を引きつけています。 また、昨年度には、自転車の総合的な活用推進のため、やまぐち自転車活用推進計画も策定されたところであり、受入れ環境の整備や効果的な情報発信など、サイクルツーリズムの推進による観光目的地やまぐちの実現に向けて、しっかり歩みを進めていただきたいと思います。 こうした取組が呼び水となり、県内のサイクルルートが世界に誇り得るナショナルサイクルルートとして、国内外に広くアピールされる日が来ることを願っております。 このようなサイクルスポーツをはじめとしたアウトドアでのスポーツが、コロナ禍の中、再び脚光を浴び始めています。 さらには、近年、注目されている旅行形態にアドベンチャーツーリズムがあります。これは、自然との触れ合いやフィジカルなアクティビティーなどを要素とし、旅行先の豊かな自然資源や歴史文化を体感し、その土地の生活者との交流を通じて様々なことを学ぶ旅のことです。 コロナ禍により、人々の志向が少人数や都市から離れた場所への旅行、自然の中を楽しむ旅行へと世界的にシフトしている状況の中、これからの旅行市場を牽引していくものと大いに期待されています。 また、このツーリズムの市場規模は欧米を中心に五十兆円規模とされ、一人当たりの平均支出額は訪日外国人の約二倍、長期滞在が多く富裕層が多いとされており、今後のインバウンド市場としても有望なものです。 これからは、三密を回避できるアウトドアでのスポーツこそ、コロナウイルスに左右されず皆が安心して取り組め、交流人口の拡大が大いに期待できるツールであり、本県においても、国内外に誇るべき豊富な自然素材を生かし、広域的なアウトドアスポーツの推進の機運を盛り上げていかなければなりません。 県では、さきの九月補正予算において、アウトドアスポーツを推進するための人材育成や関係団体のネットワークづくりなどの取組を進めておられますが、この成果も踏まえ、さらなる取組を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。ウイズコロナ、ポストコロナを見据えたスポーツ観光の推進に今後どのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いいたします。 質問の最後に、上関大橋についてお尋ねいたします。 昨年十一月、上関大橋の損傷事故が発生して以降、自民党県連では、町や関係団体と意見交換を行いながら、県に対し、一日も早い橋の全面的な復旧と地元の思いに寄り添ったきめ細かい対策を求めてまいりました。 県におかれては、こうした要請も踏まえ、副知事を本部長とする対策本部の下、応急工事などに全力を挙げるとともに、橋の通行を制限されている大型車両を運搬するためのフェリー運航などの支援を行ってこられたところであり、関係の皆様の御努力にまずもって敬意を表す次第です。 今後、地域住民が日常を一日でも早く取り戻すことができるよう、上関大橋を早期に復旧することが望まれるところです。 そこで、まず、上関大橋の全面的な復旧に向けたこれまでの取組や今後の見通しについて、お伺いいたします。 また、上関大橋をめぐっては、先日一部のマスコミから、十五年前に長島側の橋桁と橋台をつなぐ鋼棒の破断が確認されたが、そのことを県は公表していなかったとの報道がありました。 この破断による通行制限はなかったことから、住民の日常生活への影響はなく、県はその後室津側も含めて補修工事を実施するなど、適切な対応を行われたものとは思いますが、今回の報道を受け、過去のこととはいえ不安を感じておられる住民もいらっしゃるかと思います。 こうした不安を払拭するためには、破損等の状況やその対応などについて、県民に丁寧に説明することが重要と考えられます。 特に、上関大橋などの離島架橋は、地域住民にとって日常生活や経済活動を維持する上で不可欠であり、橋梁に関する情報は安心した生活を送る上で欠かせないものです。 県が管理する全ての橋梁の点検結果を公表することは難しいとは思いますが、例えば、橋梁の重要度等に応じて、情報を公表することなども検討すべきと考えます。 そこで、十五年前の上関大橋の補修工事等に関わる経緯と今後の点検結果の公表に対する県の見解についてお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)江本議員の御質問にお答えします。 まず、コロナ禍における中小企業支援・雇用対策の強化についてです。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、本県でも、飲食業をはじめ取引関係にある業種を中心に売上げが減少するなど、社会経済活動に大きな影響を及ぼしています。 一方で、私は、新たな日常を確立する必要性から生まれたデジタル化の動きを加速することにより、地方でこそ、中小企業の持続的な成長を促し、新たな働き方を通じた労働環境の変革を推進する大きなチャンスがあると考えています。 このため、デジタル化の支援による経営課題の解決を通じて中小企業の成長を促進するとともに、テレワークに代表される、デジタル技術を活用した働き方の新しいスタイルの労働現場への積極的な導入を推進しています。 中小企業のデジタル化では、まず、クラウドサービスの導入を推進し、システムの全体最適化と効果的なセキュリティー対策を併せて実施することにより、システム運用の負担を軽減しつつ、デジタル基盤の普及を加速します。 さらに、業務の効率化等、直面する経営課題をDXの活用により解決する取組を促進するため、システム構築への補助やDX人材の育成等を総合的に支援する制度を新たに創設し、中小企業の取組段階に応じた切れ目のない支援を実施します。 また、労働環境の変革を進めるため、国が新たに創設した地域活性化雇用創造プロジェクトを活用して、本年度から取り組んでいるテレワークのさらなる活用や、求職者のキャリアチェンジを通じた正社員への転換を支援していきます。 さらに、IoTやAI、5G通信などを活用した働き方の先駆的な実践モデルの創出に向けた取組を支援するとともに、先駆モデルの県内中小企業での横展開を図ることにより、働き方の新しいスタイルの実践・定着を進めます。 私は、コロナ禍による危機から生まれた変化を本県経済の成長につなげていくため、DXの推進を通じた中小企業の持続的な成長支援と、新しい働き方の推進や雇用の再生にしっかりと取り組んでまいります。 次に、医療人材の確保に向けた取組強化についてのお尋ねにお答えします。 私は、高齢化の進展による医療ニーズの増大や、新型コロナウイルスのような新興感染症への備えが求められる中、県民の命と健康を守るためには、医療提供体制のさらなる充実に向けて、その要となる医療従事者の確保が極めて重要であると考えています。 このため、県では、保健医療計画や医師確保計画に基づき、関係団体等との協力の下、若手医師等の養成・確保や勤務環境の改善などに積極的に取り組んでいるところです。 具体的には、若手医師等の養成・確保に向けては、医学生・看護学生への修学資金の貸与を行うとともに、若手医師が、臨床研修から専門医取得まで県内で一貫したキャリアアップができるよう、ガイドブックの作成や病院合同説明会の開催等により、県内定着の促進を図っています。 また、山口東京理科大学の薬学生に対して、県内の薬剤師が就職相談に応じることで県内就業を促すとともに、中高生向けに、歯科衛生士等の魅力を発信する啓発資料を作成するなど、志願者の増加につながるよう努めているところです。 さらに、県庁内に医療勤務環境改善支援センターを設置し、医師や看護職員等の勤務環境改善に取り組む医療機関に対して、アドバイザー派遣や相談対応を行うことにより、働きやすい職場環境づくりを推進しています。 こうした取組に加え、県内での就業を希望する県外の医師、看護職員等や離職中の有資格者など、即戦力となる医療従事者の確保を進めるためには、お示しのように、医療人材バンクの取組を強化していくことが重要であると考えています。 このため、来年度新たに、医療人材確保のための情報発信やワンストップで相談対応を行う総合相談窓口を、県内外からのアクセスに優れる新山口駅に隣接する山口市産業交流拠点施設内に設置し、関係団体が運営する人材バンクと連携して、求職や復職などの相談にきめ細かく対応できる体制を整備することとしています。 県といたしましては、この相談窓口を活用し、Uターンを希望する医療従事者に役立つ支援策や潜在有資格者の再就業に向け、各団体が実施する研修等の情報を発信することで、県内就業のさらなる促進を図ってまいります。 私は、今後とも、関係団体等と緊密に連携し、地域医療の基盤となる医療人材の確保に向け、全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)医療関連産業の育成・集積に向けた取組強化についてのお尋ねにお答えします。 本県は、国内大手の製薬・医療機器メーカーが集積していることに加え、近年、大型の企業誘致が相次いで実現するなど、生産・研究拠点の集積が進み、医療関連産業での大きな成長ポテンシャルを有しています。 県では、こうした強みを生かすため、大学と企業との連携による人材育成やイノベーションの創出を支援するとともに、戦略的な企業誘致の取組を通じて、産学公金連携による医療関連産業の育成・集積を図ることとしています。 人材育成については、山口県GMPカレッジにおいて新規従業者や薬学生に専門性の高いプログラムを提供しており、お示しの田辺三菱製薬工場株式会社を含む県内製薬企業と大学との連携の強化を図ることとしています。 イノベーションの創出に向けては、大学や企業が保有する研究・技術シーズの事業化支援に取り組んでおり、取組を強化するため、早期にシーズを発掘し、研究開発や事業化段階に応じ、シームレスに支援する新たな補助制度を創設します。 また、医療、バイオ関連等、親和性の高い分野での交流を促進し、先端的な研究を幅広い範囲で事業化することを目的に、やまぐち次世代産業推進ネットワークを立ち上げ、医療関連産業の集積を生かしたイノベーションを促進します。 戦略的な企業誘致に向けては、コロナ禍における地方への関心の高まりや、サプライチェーン対策を好機と捉え、これまで以上に自然災害の少なさや、充実した産業インフラ等、優れた立地環境のPRを強化した取組を進めます。 県としては、産学公金の緊密な連携を図りながら、こうした取組を総合的に展開し、ポストコロナを見据えた産業力の強化に向けて、医療関連産業の育成・集積に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)障害福祉サービス提供体制の確保についてのお尋ねにお答えします。 障害のある方が、住み慣れた地域で自立し、安心して暮らしていくためには、障害福祉サービスの提供体制を確保するとともに、サービスの担い手となる人材の確保が重要です。 本県においても、労働力人口の減少が進む中、障害福祉サービス等事業所における人材の確保が課題となっており、労働環境の改善につながるICTやロボットの導入など、デジタル化の推進は、人材の確保はもとより、サービスの質の向上に大きな効果があると考えています。 このため県では、障害福祉サービス等事業所に対して、国が作成したICTによる業務改善のガイドラインを周知するとともに、今年度新たに、業務改善による生産性の向上や介護業務の負担軽減を目的に、ICTやロボットを導入する事業所に対して助成を行ったところです。 導入された機器等には、利用者の情報をタブレットによりリアルタイムで共有するシステムのほか、睡眠時の心拍数や体温等をセンサーで計測する見守りロボット等があり、事業者からは、職員の負担軽減のほか、業務の効率化により利用者に向き合う時間が増えたなどの報告を受けています。 来年度は、引き続き、事業所に対する助成を行うとともに、新たにその導入効果について、セミナーの開催やホームページ等を通じて広く周知し、県内事業所への導入を一層促進してまいります。 県としましては、今後とも、障害福祉サービス等事業所におけるデジタル化を推進し、障害福祉サービスを支える人材の確保と、一層のサービスの質の向上に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)スポーツ観光の推進についてのお尋ねにお答えします。 県では、これまでサイクル県やまぐちなどの取組を通じて、県内外から誘客を促進するなど、スポーツによる交流人口の拡大に努めてきたところです。 こうした中、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、三密を回避できる自然体験への需要が高まっていることを踏まえ、今年度、アウトドアスポーツを推進するための人材育成やネットワークの構築に取り組んでいるところです。 今後は、豊かな自然に恵まれ、他県と比べてキャンプ場が多いといった本県の強みを生かし、キャンプ場とアクティビティーを結びつけた新しいスポーツツーリズムとして、スポーツフィールドやまぐちを積極的に推進することとしています。 具体的には、まず、キャンプ場を管理する市町と近隣の民間事業者とが連携し、キャンプ場と周辺のアウトドアアクティビティーとが一体的に楽しめる環境を整備することとし、そのための資機材購入等に対する支援を行うこととしています。 こうしたアクティビティーの造成に当たっては、アウトドアの知見を有する民間のアドバイザーを派遣し、地域の特性に応じた専門的な指導・助言を受けながら、その魅力を高めていきます。 また、こうした取組を広く県内外に発信し、スポーツフィールドやまぐちのブランドを高めていくため、専用のホームページを開設するとともに、SNSの効果的な活用に向けた研修会を開催することにより、アクティビティーを運営する事業者の情報発信力を強化することとしています。 さらに、海や山などで楽しめる多彩なアウトドアスポーツを体験できるイベントを開催し、スポーツフィールドやまぐちを実感していただくことにより、県民のアウトドアへの関心を高め、今後、県内各地で整備されるアクティビティーの利用促進につなげていきたいと考えています。 県としては、こうした取組を通じて、市町や民間事業者、関係団体等と緊密に連携し、コロナの時代における交流人口の拡大に向け、アウトドアを活用したスポーツツーリズムの推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)阿部土木建築部長。 〔土木建築部長 阿部雅昭君登壇〕 土木建築部長(阿部雅昭君)上関大橋についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、全面的な復旧に向けたこれまでの取組や今後の見通しについてです。 このたびの上関大橋の損傷により、上関町民をはじめ、橋を利用される方々の日常生活や経済活動に大変な御不便をおかけしていることから、これまで、応急工事の実施により順次、通行規制の緩和を行ってきたところです。 また、三月一日から室津側の橋桁をグラウンドアンカーで固定する工事に着手したところであり、三月末には、二十トンを超える大型トレーラー等の特殊車両を除き、二車線での対面通行が可能となります。 さらに、四月以降は、約二十センチメートルの段差を解消し、橋を損傷前の状態に戻す工事を引き続き行うこととしており、一日も早い橋の全面復旧に向けて取り組んでまいります。 次に、十五年前の上関大橋の補修工事等に係る経緯と今後の点検結果の公表に対する県の見解についてです。 平成十七年度から実施した、緊急輸送道路の橋梁耐震補強三か年プログラムでの補修及び補強工事の一環として調査を行ったところ、長島側の橋台で、ひび割れからさび汁が出た痕跡を目視で確認しました。 このため、内部への雨水等の浸入が疑われたことから、橋台と橋桁をつなぐ鉛直PC鋼棒について、超音波探傷試験による詳細な調査を実施したところ、全十八本のうち七本の破断を確認しました。 その際、通行に支障のある変状がなかったことや、残存している鋼棒で構造計算をした結果、橋の安全性が確認できたことから公表は行わず、鋼棒の機能を代替するPCケーブルの設置工事を行いました。 一方、室津側については、長島側と同様の変状はなく、超音波探傷試験の結果においても、鋼棒の損傷は確認されませんでした。 その後、平成二十九年の法定点検や日常パトロールにおいても、ひび割れからの橋台への雨水等の浸入が鋼棒に支障を与えていないかとの視点で、目視による調査等を継続的に行っており、そのような兆候は確認されていません。 次に、今後の点検結果の公表についてです。 お示しのとおり、橋梁に関する情報は、安心した生活を送る上で欠かせないものであることから、県が管理する橋梁について、今後、橋の重要性や損傷の程度による公表基準を定め、適時、点検結果を公表する考えです。 あわせて、離島架橋や五百メートル以上の長大橋十六橋については、橋梁長寿命化計画に基づき、順次、補修計画を作成してまいります。 また、この十六橋に特殊な構造を持つ橋梁を加えた計三十三橋については、来年度から新たにデジタル技術を活用して、橋全体の変位を定期的に計測するとともに、主要部材の状況や損傷等の点検結果などのデータベース化を図ります。 さらに、上関大橋の復旧検討会議においては、損傷原因の究明と同種橋梁の点検方法の検討を引き続き行っているところであり、会議終了後に報告書を取りまとめ、公表する考えです。 県としては、今後とも、上関大橋の一日も早い全面復旧に全力で取り組むとともに、橋梁点検や情報発信の充実強化に努めてまいります。