1 子どもを安心して産み育てられる社会の実現について 2 弱者に寄り添う社会の実現について 3 誰も取り残さない社会の実現について 4 その他
議長(柳居俊学君)石丸典子さん。 〔石丸典子さん登壇〕(拍手) 石丸典子さん おはようございます。公明党の石丸典子でございます。通告に従い、一般質問をさせていただきます。 まず、子供を安心して産み育てられる社会の実現について二点お伺いいたします。 一点目、不妊症、不育症の治療による出産への支援についてお伺いいたします。 我が国の最大の課題、それは人口減少です。 政府は、少子高齢化に対応した社会保障制度の構築を目指し、少子化対策と医療改革を柱とする、いわゆる全世代型社会保障改革を進めようとしていますが、コロナ禍の中、妊娠を控える傾向は顕著に見られ、社会保障制度の支え手の減少は確実です。 コロナ禍、そしてコロナ収束時に安心して産み育てられる環境整備が求められ、菅総理が就任当初より、強い意欲を述べられていた二○二二年度からの不妊治療の保険適用や、本年一月から第三次補正でスタートしている不妊治療所得制限の撤廃や助成金の増額、そして、将来子供を産み育てることを望む小児・AYA世代の精子や卵子の凍結保存等、妊孕性温存治療への助成制度のスタートを追い風にしなければなりません。 我が公明党は、二十年前の野党時代から不妊治療の保険適用を訴えており、現在は、御自身も体外受精で出産を経験された佐々木さやか参議院議員を中心に、所得制限の撤廃や事実婚への適用など、政府へ提言を続けてまいりました。 また、公明党は、二○○九年に国会で初めて不育症について取上げ、毎年約三万人が発症している流産や死産を繰り返すこの不育症への支援に対しても、国の助成制度の創設や心理的ケアとしてピアサポートの体制整備などを求め、新年度より保険適用外の不育症検査に最大五万円の補助もスタートいたします。 晩婚化に伴い、今や五・五組に一組が不妊治療を受け、子供の十五人に一人が体外受精で生まれており、今後も、さらに不妊症や不育症の治療による出産を希望する方は増えると想定されます。そして、不妊の原因の半分は男性です。男性の不妊治療助成金も拡充されるなど、男性不妊についての理解と周知が必要です。 そこでお伺いいたします。増える不妊症・不育症患者への相談体制の整備、また、男性不妊に対する理解と周知にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、仕事との両立についてお伺いいたします。 不妊治療の大きなハードルの一つが仕事との両立です。経済的な負担が解決されても、職場の理解がなければ成果は望めません。 また、核家族での子育てにおいて、夫の役割は大変重要なことから、公明党は、産後鬱の発症を起こしやすい産後一か月の妻の産褥期を支えるための男性の産休を推進していますが、育休が取れない職場に産休は期待できません。 政府は、二○一九年度、七・四八%にとどまっている男性の育休取得率を二五年までに三○%に引き上げる目標であり、本県は四・八六%と低い状態が続いています。 そこでお伺いいたします。少子化対策として政府が力を入れる不妊治療による出産の成功の鍵は、男女ともに職場の環境整備が必要です。子供を産みたいと願う男女が、安心して不妊治療、産休、育休が取れるよう、どのように県は取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、二点目、独り親支援の相談体制の強化についてお伺いいたします。 DVや不安定な就業環境による貧困、育児ストレスから児童虐待、そして産後鬱など独りで全てを抱え、コロナ禍の中、独り親家庭はさらに厳しい状況にあります。 そして、母子世帯の約二七%しか離婚した夫から取決めどおりの養育費を受け取っておらず、女性の独り親の貧困の原因とされるこの養育費問題は、現在、法整備が進んでおり、離婚前の弁護士への相談体制や法制度の周知が求められています。 二○二○年度の税制改正で、配偶者と死別・離婚した人の税負担を減らす寡婦控除が見直され、このたび、未婚の独り親も控除の適用が認められました。これは、公明党が連立与党の中にあって、七年かけて実現したものです。未婚のために所得税や住民税の控除、保育料の減額などが受けられず、未婚の独り親は厳しい経済環境が続いていました。 児童手当の拡充や幼保無償化、高校授業料支援制度など教育費の負担は改善しつつありますが、女性の就業正規雇用率は低く、今回のコロナ禍でも一番先に解雇の対象になるなど、貧困の連鎖から抜けられない親子がたくさんいます。 昨年の秋、私は地域の方からの御相談で十代の未婚の母子と出会いました。彼女は、高校生同士で妊娠し、高校を辞め、母になる道を選び、出産し、未婚の独り親となりました。 生まれて二か月の子供とこれからどういう道を歩むのか、また歩みたいのか、私は、初対面の彼女の気持ちに寄り添いながら、彼女の同級生の親御さんがそろえてくれた布団、机、小さな冷蔵庫しかない部屋で、親との関係や仕事、保育所や生活のことなど話し合い、行政につなぎました。 彼女がなぜ未婚の独り親の道を選んだのか、好きな人の子供が欲しかったという純粋な思いともう一つ、自分の居場所が欲しかったと教えてくれました。 彼女自身も小さいときに両親が離婚しており、複雑な環境の中で育ってきていました。大変な道ではありますが、彼女も自ら、県内母子入所施設等をスマホで調べ電話をするなど、母親としての自覚も見られましたが、これから子供が健やかに育つために母子ともに様々な支援が必要であり、どこからでも子育てをサポートできる体制が必要だと痛感いたしました。 本県は、ひとり親家庭等就業支援強化事業など、各市町の自立支援員と連携し、生活支援、就業支援など自立支援を行っていますが、支援内容も複雑になり、マンパワー不足は深刻であり、相談窓口に来られない独り親への相談体制の整備は急務です。 そこでお伺いいたします。コロナ禍の中、特にいつでも誰でもどこからでも、ワンストップで支援の情報を求め、支援の手が届くような相談体制の充実強化が求められます。県は、どのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、弱者に寄り添う社会の実現について二点お伺いいたします。 犯罪被害者等支援についてお伺いいたします。 国において、二○○四年に犯罪被害者等基本法が成立してより十七年、今国会で令和七年度までの第四次犯罪被害者等基本計画が策定される中、本県においては、山口県犯罪被害者等支援条例案が上程されており、まずはできることに、被害者家族の方々から喜びの声が聞かれます。 県に先行して、二○一二年に防府市、一六年に柳井市と周防大島、平生、田布施、上関の一市四町が制定されており、今回を契機に、全ての市町での取組が大きく進むことを願うとともに、当事者や兄弟姉妹を含む家族の方々が、どこで暮らしても個人情報やプライバシーが守られ、二次的被害に遭わないよう市町の役割、連携が果たされなければならないと思います。 私の身近な犯罪被害者家族の方も条例ができることを強く願い、二度と自分と同じ被害者家族をつくってはいけないとの思いで、講演活動や刑務所での講話活動など加害者の更生にも寄与されておられます。 そこに至るまでの御家族の苦しみは、想像を絶するものがあり、誰にでもできることではありません。しかし、突然、犯罪被害者やその家族になることは誰にでも起こり得ることです。だからこそ、私たちは、その思いを共有し、周りの被害者、また御家族の方々に思いを寄せていくことが最も大切ではないでしょうか。 国において、来年四月から十八歳以上が民法上成年となることから、十八歳、十九歳を特定少年として厳罰化を図る少年法改正案が、先日、閣議決定されました。この厳罰化に対して、更生の妨げを懸念する声と、妥当だとする被害者側の声があります。 誰もが被害者にも加害者にもならない安心で安全な社会の構築のために、大変難しいこの二つの意見に耳を傾けていかなければならないと思います。 被害者家族の彼女が興味深い話をしてくれました。刑務所で講話を続ける中で気づいたことだそうですが、罪を犯した加害者が涙を流すのは、被害者である彼女の話を聞いているときではなく、加害者自身が自分の犯した罪の話をするときだそうです。被害者家族の彼女から更生保護、再犯防止の大事な視点、寄り添うことの大切さを教えていただいたように思いました。 そこでお伺いいたします。まず、山口県犯罪被害者等支援条例制定を契機に、今後、犯罪被害者等を支える地域社会を実現させるためにどのように取り組まれるのか、県の御所見をお聞かせください。 また、国の基本計画第四次骨子案では、施策の策定に当たり、被害者の意見を適切に反映することとされており、県基本計画策定時においても被害者の意見が施策に反映することが望まれますが、被害者支援で多い声が、見舞金などの経済的支援です。 防府市は、支援金として死亡した市民に三十万円、全治一か月以上の加療を要する傷害を受けた市民に十万円を給付しており、全国自治体では、転居費用の助成や生活資金貸付制度など行っています。 このたびの県条例制定に伴い、犯罪被害者等を支えるまちづくり推進事業では、五百万円が予算計上されていますが、財政上の措置、経済的負担の軽減にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 二点目、手話の普及促進についてお伺いいたします。 令和元年十月八日、山口県手話言語条例が施行され、私も推進させていただいた一人として、手話を少しでも学びたいと、社会福祉法人防府市社会福祉協議会主催の市民手話講習会に、六回のうち三回しか参加できませんでしたが、自分の名前は伝えられるようになりました。 おはようございます。私の名前は石丸典子です。頭と指がばらばらで腱鞘炎になりそうですが、山口県手話言語条例第六条県民の役割、自主的に手話の習得に努めるものとするを実行できうれしく思います。 五十音の指文字を覚えたり、使わなければ忘れたりと習得が難しい手話ですが、私が最も期待することは、子供たちが一日も早く手話に触れ、興味を持ち、手話でコミュニケーションが取れるように学びの機会を増やすことです。 本県条例第十一条、生まれた子供が、乳幼児期からその発達段階に応じ、その家族と共に手話を習得することができる環境整備を行うとあり、生まれた子供に聴覚に障害があった場合の親子へのサポートは大変重要であり、乳幼児からの手話の習得は言語の習得と同じであり、早期のサポート体制の整備が重要です。 手話の聖地と言われる鳥取県は、日本で最初に手話言語条例を制定し、全国の高校生を対象に歌やダンスを手話で発表する、手話パフォーマンス甲子園を開催し、七回目を迎える今年は、コロナ禍の影響でオンラインで開催されました。 このように障害のあるなしに関係なく、若い方々に手話の普及・定着を図ることは、障害者との共生社会の構築に大きく力を発揮していくものと思います。 山口県からもぜひ、参加する高校が生まれることを期待したいと思います。 さて、県条例制定以降、周南市、山陽小野田市、下関市、防府市、岩国市など、県内各市町で条例制定の動きも進んでいます。身近な市町の行政窓口で手話によるコミュニケーションが図られ、様々な生活支援を受けられることは、県条例の目的とするところであり、聾?の方々の願いでもあります。 そこでお伺いいたします。県は、県条例制定とともに検証委員会を設置し、条例をつくって終わりではなく、当事者を交えて諸施策の進捗状況を検証し、さらなる手話の普及に取り組もうとされており、大変高く評価いたしますが、手話通訳者の養成、派遣、また、県民が楽しく手話に触れ、手話でのコミュニケーション確保に向けて、県として、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 最後に、誰も取り残さない社会の実現について二点お伺いいたします。 まず、幼児期からの切れ目のない特別支援教育の在り方について、教育長にお伺いいたします。 昨年の二月議会で私は、ある園長の特別支援学校に幼稚部をつくれないのかとの問いに対し、幼児教育の現場こそインクルーシブ教育の原点であると実感し、誰一人取り残さないインクルーシブ教育についてお伺いいたしました。 浅原教育長は、小中の取組とともに、幼児期からの切れ目のない指導・支援の充実に向けた教職員の専門性の向上、指導主事等による幼稚園教諭への助言など幼稚園等における教育の質の向上を図ると答弁されました。 もちろん、ゼロ歳児からの保育の現場を含めた答弁であることは理解しておりますし、乳幼児期こそ、生涯で最も大事な時期であることは言うまでもありません。 私は、平成十五年に初当選してから議会質問で、特別支援教育について教育長に質問させていただいてきましたが、それは以前、教員をしていたからではなく、お子さんの教育で悩むお母さんの声を届けてきた結果です。 その全ては就学前から始まっています。幼稚園・保育園時代に見られていた子供の特性にどのように対処してきたのかが問われています。 防府市では、平成十三年から市単独で幼児部の通級指導事業を実施しており、言語障害、難聴、情緒障害、発達障害のある三歳から六歳までの幼児を対象に、年々希望者は増え、現在三学級に増やしていますが、回数など十分希望に応えられていないとのことです。 また、県の私立幼稚園等特別支援教育費補助金は、障害児一人に対し七十八万四千円が幼稚園に支給されていますが、非常勤職員を加配するには厳しく、保護者の入園希望をお断りするのに心が痛むとある園長は苦慮されておられました。 視覚、聴覚、肢体不自由、病弱、知的など専門医の診断書等に基づく五障害に加え、増えている情緒障害の認定は、教諭全員の判別結果または専門医の診断書等によるとなっており、保護者の方への説明など障害の専門家ではない教諭の皆さんの適正な知識、質が求められ、日々真摯に向き合う中で苦悶し葛藤を続けておられます。 私は、一昨年、発達障害に先駆的な鳥取県に伺い、鳥取県庁、県発達障害者支援センター、そして、県立総合療育センターで発達障害の取組をお聞きし、小児科医でもある院長のお話に感銘いたしました。 以前は、子供の様々な支援の申請に医師の診断書が必要で、それを求め、外来予約が半年先までいっぱいだったそうです。そこで院長は、子供に必要なのは半年先の医師の診断書ではなく、明日からの支援だと思い、行政の方針を変えたそうです。日々、成長を続ける乳幼児期には、障害のあるなしを限定するのではなく、一緒に学ぶ中でいろいろな特性が混ざり合い、触発し合い、一人一人の個性がつくられていく可能性を見守ることが大事だということです。そのために先生方や保護者が専門的な指導や助言を得ることができる相談体制の整備が必要です。 そこでお伺いいたします。このたび、県は、山口県乳幼児の育ちと学び支援センターを設置されます。まさに、私が、あの園長からいただいた問いや多くの苦慮されている園長の支えになるものではないかと大変期待しております。小学校、中学校へとつないでいく、幼稚園、保育園の乳幼児期の支援に県はどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 また、乳幼児期からの切れ目のない特別支援教育の構築に向け、幼・小・中・高の通級指導教室のニーズにどのように応えるのか、県の御所見をお聞かせください。 最後に二点目、高校生のSNSによる相談事業、悩み連絡室@やまぐちについてお伺いいたします。 まず、相談しやすい体制と周知についてお伺いいたします。 私は、いじめ対策として二○一七年十一月議会、二○一八年六月議会とSNSによる相談事業を提案させていただき、本県は、二○一九年七月から公立高校生対象に、悩み連絡室@やまぐちを開設、二○二○年四月からは私立高校生にも対象を拡充し、二十四時間SNS、LINE、ウェブから悩みに答える相談体制を整えています。 記憶に新しい神奈川県座間市九人殺害事件では、SNSが悪用され、若い命が奪われたことは大変残念ですが、子供たちを取り巻く環境は、ますますSNSを避けて通れないものであり、コロナ禍の中、さらにいじめだけではなく、進学やクラブ活動、生活や性の悩み、親からの虐待、ヤングケアラーなど、誰にも相談できないSOSの受皿としてLINEによる相談機関に期待は高まっています。 しかし、本県の実績数は三十件弱と少なく、その期待に応えられていないのが残念です。本当に悩みを抱える生徒が少ないのであればいいのですが、私は、周知不足とともにホームページの紹介文に少し原因があるのではないかと思いました。 御紹介しますと、できることとして、「匿名、LINE上の登録名で使用でき、あなたのことを特定する情報はありませんので安心してください。」そして、「伝えてくれた内容は学校に届けます。ただし、あなたの身体や命に危険があると感じられるなど緊急の場合は、警察などの関係機関に連絡して、あなたの安全を確保する場合があります。」と書かれています。もちろん、学校がその子を特定し、早期解決につながったケースもあるでしょう。 しかし、私だけかもしれませんが、学校や警察に連絡されれば、恐らく自分の周りでよい変化だけではなく、悪い結果も想像し、なかなか相談しづらいのではないかと思います。 親や学校に相談できないで悩んでいるのに、相談内容は学校に届けます、親に届けます、いいですね。と承諾を求められているようで、つながることは難しいのではないでしょうか。 あえて、このようなことは告知をしなくても、学校として、自然な形で見守り強化や全校アンケートを実施するなど、相談者に寄り添うことはできると思いますし、それがSNSのよさではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。一人一人の悩みに答えるSNSによる相談事業のさらなる工夫と周知の徹底にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 また、SNS相談事業の小中学校への拡充についてお伺いいたします。 今回、コロナ禍でGIGAスクール構想により高校生だけではなく、小中学校の児童生徒も一人一台端末を持つこととなりました。端末が全員に整備された環境の中、高校生だけの対象ではなく、ささいな言葉で傷ついたり、勉強のことで悩んだり、不登校が最も多い中学生も、この悩み連絡室@やまぐちに参加できる体制が必要ではないでしょうか。SNSの正しい使い方の周知も含め、市町と連携した取組について御所見をお聞かせください。 以上で質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)石丸議員の御質問のうち、私からは、弱者に寄り添う社会の実現に関する犯罪被害者等支援についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、犯罪被害者等を支える地域社会を実現するための取組についてです。 本県では、凶悪な犯罪が依然として発生しているほか、DVや性暴力などの被害についての相談件数も、近年増加傾向で推移しています。 また、犯罪被害者やその家族は、犯罪による直接的な被害にとどまらず、心ない誹謗中傷などの二次的な被害にも苦しめられることが多く、被害者等が孤立することがないよう、地域社会全体で支えていくことが必要です。 このため、私は、今議会に提案している山口県犯罪被害者等支援条例に基づき、県や市町、関係機関等の緊密な連携の下で、被害者等の権利利益の保護と誰もが安心して暮らせる社会の形成を施策の柱として、被害者等への支援を強力に進めていきたいと考えています。 具体的には、被害者等の権利利益の保護に向けては、様々な相談にワンストップで対応できる体制を強化し、被害者等が置かれた状況に応じて、情報提供や助言、カウンセリングなど適切な支援を行い、被害の回復や軽減を図ります。 また、安心して暮らせる社会の形成に向けては、県民の被害者等に対する理解を促進するため、各種広報媒体を活用した啓発活動や被害者等の思いを伝えるイベントの開催などに取り組んでまいります。 さらに、本県独自の犯罪被害理解促進期間を設け、市町等と連携して重点的な広報啓発を行うことにより、被害者等支援や二次的被害の防止に関する意識も高めていきます。 新年度においては、被害者等や県民、関係団体の意見を聞きながら、施策推進の指針となる計画を策定することとしており、今後は、この計画に基づき、被害者等のニーズを踏まえた取組を総合的かつ計画的に進めてまいります。 次に、経済的負担の軽減に向けた施策についてです。 お示しのように、被害者等は、収入の減少などにより経済的に困窮する場合も多く、相談窓口には、加害者等から逃れるための転居費用についての支援を求める声が届いています。 このため、条例の制定を契機に、犯罪により転居を余儀なくされた被害者等に対する転居費用助成制度を新たに創設することとしています。 全国でも先進的なこの制度は、経済的負担の軽減のみならず、再発防止や二次的被害の回避にも有効な対策であることから、県営住宅における優先入居制度等と組み合わせて効果的に運用し、被害者等に寄り添った支援に努めてまいります。 私は、市町や関係機関等と連携し、犯罪被害者等が被害を受けたときから安心して暮らせるようになるまで、途切れなく必要な支援を行うことにより、犯罪被害者等を支える地域社会の実現を図ってまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)子供を安心して産み育てられる社会の実現についてのお尋ねのうち、まず、不妊症、不育症への支援についてお答えをします。 子供を産みたいと望む方が安心して妊娠・出産できる環境づくりは、子育て・少子化対策を進める上で需要です。 このため、県では、県立総合医療センターに設置している不妊専門相談センターや健康福祉センターが実施する不妊専門相談会において、専門医等によるきめ細かな相談に応じるなど、不妊に悩む方を支援をしているところです。 こうした中、お示しのとおり、国において、男性不妊を含めた不妊治療費助成制度の拡充や不育症検査への助成が創設され、今後、治療を希望される方の増加が見込まれることから、県では、相談体制の強化や男性不妊に対する理解と周知への取組を、一層推進してまいります。 具体的には、まず、相談体制については、出産を希望される方が安心して治療に進めるよう、来年度、不妊専門相談会の実施回数を増やし、専門医や臨床心理士などの専門職による相談機会の拡充に努めることとしています。 また、保健師等を対象とした研修会において、来年度から、不育症に関する知識や心理的負担の軽減に関するテーマを追加するなど、相談スキルの向上を図ってまいります。 さらに、男性不妊に対する理解と周知に向けては、毎年開催をしている不妊を考える集いにおいて、引き続き、男性不妊に関する講演を実施し、夫婦そろっての参加を呼びかけるとともに、新たにリーフレット等を作成・配布するなど、広く県民への普及啓発に努めてまいります。 県としましては、こうした取組を通じ、今後とも、子供を産みたいと望む方が安心して妊娠・出産できるよう、不妊症や不育症に対する支援の充実に取り組んでまいります。 次に、独り親支援についてお答えします。 子育てと仕事を一人で担う独り親家庭は、就業や収入、子供の養育等の面で様々な困難を抱えており、こうした不安や悩みに総合的に対応する相談・情報提供体制を整備することが重要です。 このため、県では、ひとり親家庭等自立促進計画の柱の一つに相談・情報提供機能の強化を掲げ、山口県母子・父子福祉センターに専門の相談員を配置し、市町の自立支援員等と連携をしながら、独り親家庭の生活、就業、子育てなど様々な相談に応じ、自立に向けた指導や支援を行っています。 こうした中、独り親家庭の支援の内容は多岐にわたることから、必要な人に対し、適切な時期に確実に情報を提供することや、コロナ禍など、様々な理由により相談窓口に来ることが困難な人が相談しやすい体制を整備することが課題となっています。 このため、現在、策定中の次期計画において、新たにSNSを活用した情報提供やオンラインによる相談体制の整備など、独り親家庭の自立に向けた取組の一層の充実を図ることとしています。 具体的には、山口県母子・父子福祉センターにおいてSNSを活用した情報提供体制を構築し、登録者に対して、支援制度の紹介や手続の方法、就労に向けたスキルアップ研修の開催情報など、生活や就業に役立つ最新の情報をプッシュ通知により提供することとしています。 また、相談窓口に来られない方が、自宅や外出先など、どこからでも相談できるよう、オンラインの相談体制を整備するほか、スマートフォンから簡単に面談日時の予約ができるシステムを設けるとともに、事前の予約により開所時間外の相談にも柔軟に対応するなど、利便性の向上を図ってまいります。 県としましては、今後とも、市町や関係団体等と連携して、独り親家庭の自立に向けて積極的に取り組んでまいります。 次に、弱者に寄り添う社会の実現についてのお尋ねのうち、手話の普及促進についてお答えします。 手話は、聴覚に障害のある方が社会参加し、自立した生活を送るための情報の獲得やコミュニケーションの手段であることから、学校や職場、地域などあらゆる生活場面において手話を普及していくことが重要です。 このため、県では、聴覚に障害のある方が、手話を使用して生活することができる地域社会の実現に向けて、昨年度、山口県手話言語条例を制定したところであり、その趣旨を踏まえ、手話通訳者の養成・派遣や手話の普及に取り組んでいるところです。 まず、手話通訳者の養成等については、これまで、県において養成研修を実施してきたところであり、現在、百二十名の手話通訳者が、医療機関への受診相談や行政手続などの様々な場面で聴覚に障害のある方への支援に当たっているところです。 今後とも、手話の需要増加に対応するため、手話通訳者の養成に努めるとともに、日常生活の様々な場面への派遣を行う市町と連携し、聴覚に障害のある方のコミュニケーションを支援してまいります。 また、手話の普及に向けては、広く手話に対する理解を深める必要があることから、手話を分かりやすく紹介したポスターやリーフレットを作成し、保育所や学校、店舗など、県民の目に触れやすい場所に配布をしています。 また、県では、手話通訳者に地域における手話の普及の担い手となっていただくことを期待しており、手話を知らない人に興味を持ってもらうための伝え方などを学ぶ研修会を、今年度から開催をしています。 今後は、こうした人材を保育所や学校へ派遣することにより、若い世代が手話に触れることのできる機会の拡大に努めてまいります。 県としましては、今後とも、市町や関係団体と連携をし、聴覚に障害のある方が暮らしやすい地域社会の実現に向けて、手話のさらなる普及に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)不妊症、不育症への支援についてのお尋ねのうち、仕事との両立についてお答えします。 男女が共に不妊治療や育児を行いながら仕事と両立させていくためには、企業が両立支援に向けた制度を整備し、活用しやすい環境づくりを行うなど、企業の主体的な取組を促進していくことが重要です。 このため、県では、企業の人事労務担当者を対象にセミナーや研修会を開催し、フレックスタイム制など、多様で柔軟な働き方について、先進事例や制度の導入による効果を紹介するなど、普及啓発に取り組んでいます。 また、働き方改革支援センターのアドバイザーが企業に直接出向き、男性の育児休業の取得を目的とした奨励金や国支援制度の周知等を通じて、企業の意識改革を図り、育児休業を取得しやすい職場風土の形成に努めています。 さらに、働き方の新しいスタイルとして注目されるテレワークについても、仕事と育児等の両立に効果が見込まれることから、県内企業における普及促進に向けて、意識啓発から機器整備への補助まで、一貫して支援しています。 来年度は、テレワークの一層の普及・定着を図っていくため、国の地域活性化雇用創造プロジェクトを活用して、専門家を配置し、国や県の助成制度の活用や導入に向けた助言など、伴走支援を強化していくこととしています。 県としては、労働局等関係機関との緊密な連携の下、仕事と不妊治療や育児との両立支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)教育に関する二点のお尋ねのうち、まず、幼児期からの特別支援教育についてです。 特別支援教育を推進するためには、乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、切れ目のない支援を受けることのできる体制の整備が重要です。 このため、県教委では、各総合支援学校での幼児教育相談や、各市町が実施する五歳児発達相談会への協力など、市町教委等と連携した相談体制の整備を行うとともに、幼稚園教諭の資質の向上を目的とした免許法認定講習を実施するなど、幼児教育の充実に努めてきたところです。 こうした中、お示しのように、幼児教育・保育に関する研修や情報提供等の施策を総合的に実施する拠点として、令和三年四月に、山口県乳幼児の育ちと学び支援センターを設置することといたしました。 本センターにおいては、特別支援教育の充実を重点取組の一つとして位置づけており、専門研修の実施や豊富な実践経験を有する幼児教育アドバイザーの訪問支援により、特別な配慮を必要とする子供への乳幼児期からの支援を一層充実させ、小中学校へとつないでまいります。 次に、通級指導教室については、障害のある幼児児童生徒の多様な学びの場の一つとして重要な役割を担っており、幼・小・中の通級指導教室の計画的な設置や円滑な運営について、市町教委等と連携し、必要な助言を行ってまいります。 また、高校の通級指導についても、希望する生徒、保護者に適切な対応ができるよう、引き続き、各学校の体制の整備を進め、切れ目のない支援を充実してまいります。 県教委といたしましては、市町教委や幼児教育・保育に関係する各部署と緊密に連携を図りながら、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育を一層推進してまいります。 次に、SNSによる相談事業、悩み連絡室@やまぐちについてです。 まず、相談しやすい体制と周知についてです。 悩み連絡室@やまぐちについては、昨年度開設し、今年度、対象を私立高校にも拡大したところです。 開設以降、迅速に学校と連携して対応し、早期解決につなげることができたケースがある一方、お示しのとおり、相談件数が三十件弱にとどまっており、活用の促進に向けて、一層の工夫と周知の徹底が必要であると考えています。 このため、今後は、御指摘の点を踏まえて、本事業の紹介文について生徒が相談しやすくなるよう改善を図るとともに、生徒一人に一台ずつ配付するタブレット端末を活用してウェブ上の相談画面を紹介するなど、改めて生徒への周知を徹底してまいります。 次に、SNS相談事業の小中学校への拡充については、来年度、一部の中学校において本事業を活用する予定であり、引き続き、市町教委の意向を確認しながら、対象となる市町の拡大等について検討してまいります。 また、警察等関係機関と連携した情報モラル研修会も活用するなど、子供たちがSNSを正しく使うことができるよう、市町教委と協力しながら周知してまいります。 県教委といたしましては、今後も、学校や市町教委、関係機関等と連携し、相談体制の一層の充実を図るとともに、悩み連絡室@やまぐちが子供たちにとってさらに相談しやすいものとなるよう、取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十六分休憩