1 米軍岩国基地に係る諸課題について 2 岩国・和木地域の道路整備について 3 中山間地域の振興について 4 地域社会との連携強化による安全・安心な社会の実現について 5 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七十九号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十九号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 畑原勇太君。 〔畑原勇太君登壇〕(拍手) 畑原勇太君 皆様、おはようございます。自由民主党、畑原勇太です。 令和三年度当初予算案審議する本定例会において、一般質問の機会を賜りましたことに感謝を申し上げます。 二月十五日、新型コロナウイルスが、日本経済にもたらした影響がいかに大きいものであったかを示す数字が発表されました。令和二年のGDPが実質で四・八%減と十一年ぶりのマイナス成長を記録しました。 一方で、同じくこの日、東京株式市場の日経平均株価が一九九○年八月以来、三十年ぶりに三万円の大台に乗ったことがニュースになりました。 経済の実態を伴わない株高には、違和感があるとの意見も聞かれますが、菅総理は、衆議院予算委員会で、株価は低いより高いほうがいいに決まっている、株価三万円は、目標の目標の、また目標であった、そういう意味で感慨深いと述べられました。 コロナ禍により観光、運輸、飲食関係を中心に、地域経済が厳しさを増す中、慎重な経済運営をしていくことはもちろん必要ですが、このたびの株高は、八年前に政権奪還以来、菅総理が安倍政権の官房長官として取り組み、また、昨年の九月からは総理大臣として継承してこられたアベノミクスが実を結んでいるものと考えます。 また、菅総理は、就任直後から携帯電話料金の引下げ、デジタル化推進の司令塔となるデジタル庁の創設、不妊治療の保険適用など、国民が成果を実感できる改革を次々と打ち出し、強力に推進しておられます。 特に、デジタル庁に関しては、二月十日、デジタル庁設置法案を柱とするデジタル改革関連六法案が閣議決定され、国会での審議が始まっています。 省庁横断というハードルの高い改革が、ここまでのスピード感をもって検討され、菅政権発足から僅か五か月で法案提出にまでこぎ着けられたことは、菅総理の強力なリーダーシップなくしてはなし得なかったものだと考えます。 このように、我が国では、これまでなし得なかった社会全体の大きな変革が、今一気に進められようとしています。 コロナ禍の収束がいまだ見通せない状況ではありますが、私はこうした変革を未来に向けた成長の原動力とすべく、次代の山口県を担う世代の一人として夢と実現力を信条に、引き続き全力で頑張る覚悟であることを申し上げ、通告に従い質問させていただきます。 まず、米軍岩国基地に係る諸課題について、二点お尋ねします。 一点目は、岩国基地に関する交付金についてです。 米軍岩国基地への空母艦載機の移駐完了からおよそ三年が経過し、この間、国から県への基地交付金の増額やソフト事業への拡充等により、基地周辺地域の安心・安全対策や地域振興策が進みつつありますが、住民の皆様が抱える騒音や航空機事故等への不安や負担は、基地があり続ける限り、決して消えてなくなることはありません。 私は、この長きにわたる岩国基地に関する諸問題に対し真正面から取り組んできた父の遺志を受け継ぎ、地元県議会議員として地域住民の方々に寄り添い、誰よりも大きな責任を持って、課題の解決に全力を尽くしていく決意です。 この思いの下、これまで岩国基地問題の解決に向けて大きな役割を果たしてきた県及び二市二町の基地議連で構成する、岩国基地問題議員連盟連絡協議会の幹事長の立場から、代表の柳居議長、副代表の槙本先生らと共に、昨年十一月、国に対する特別要望として、岩国基地に関する交付金制度の継続や運用改善について強く訴えたところです。 その際、岸防衛大臣からは、負担を引き受けていただいている地元の思いを踏まえて対応したいとの回答をいただき、心強く感じたところであり、年末に出された国の新年度予算案において、県交付金について引き続き五十億円の措置がなされ、大変感謝しています。 県では、これまで、県交付金を活用し、整備の行き届いていなかった道路の改良や河川の改修、岩国錦帯橋空港等の観光交流施設の整備など、基地周辺地域の産業や生活基盤づくりを積極的に進められ、確実に地域の発展につながってきていると感じています。 しかしながら、長きにわたり基地の制約を受けてきた地域や住民の方々にとっては、これまでのマイナスがようやくゼロに近づいてきたというのが実感ではないかと思いますし、実際にそうした声もお聞きしているところです。 こうした地域の思いを真摯に受け止め、住民の方々が、マイナスからゼロへ、ゼロからプラスへと実感することができる生活やまちづくりを実現していくためには、これまで県交付金を活用して進めてきた基盤整備について、引き続き進めていくことはもちろんですが、現在計画段階にあり、具体的な検討が進められている県立武道館や東部地域の産業振興センターといった県全体から見ても一歩進んだ先駆的・先導的な取組を一層充実させていく必要があると考えています。 そのためには、地域住民のニーズにしっかり応えるべく、地元市町をはじめ、基地議連、関係団体等の意向や議論を踏まえながら進めていくことが重要であることは申すまでもありません。 一方で、基地に関する交付金制度において、喫緊の課題となっているのが、市町への再編交付金です。米軍再編の影響を受けながらも、その国策を受け入れ、協力する自治体に対して、国から支給されている再編交付金について、岩国市をはじめ和木町、周防大島町への支給が、来年度末をもって終了します。 再編交付金は、地元市町にとって、基地により負担を抱え続ける地域住民の生活の安定と福祉の向上を支える諸施策の重要な財源となっており、今後の動向によっては、行政運営や住民サービスに大きな影響を及ぼすことが懸念されます。 先ほど申し上げた国への特別要望において、市町への交付金制度の継続と恒久的な措置を求めたところですが、連絡協議会としては、引き続き、その実現に向けた取組を強力に進めるとともに、具体的な制度の内容について、国から早期に提示されるよう求めていく考えです。 そこでお尋ねします。基地周辺地域のまちづくりや、さらなる振興に欠かすことができない県交付金事業の一層の充実や、市町の再編交付金の継続・拡充への対応に、県としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 二点目は、県立武道館の整備についてです。 県東部地域では、国体に出場するような全国レベルの選手をはじめ、幅広い世代の方々が柔道や剣道などの武道に熱心に取り組まれており、武道系競技の活動の場に対する需要は高いものがあります。 また、岩国基地と向き合い、共存する地域として、日米親善リレーマラソンなどスポーツを通じた日米交流も積極的に進められています。 こうした地域の実情を背景に、県東部地域における県立武道館の整備は、武道の振興だけでなく、交流の促進や地域の活性化に資するものとして、地域からの大きな期待を感じています。 そのため、私は、昨年六月定例会の一般質問において、将来にわたって基地との共存・共生が続くことになる岩国・和木地域の実情や期待を踏まえ、新型コロナウイルスで閉塞感のある今こそ、県立武道館の早期整備に向けた取組を目に見える形で進めていただきたいと、県の今後の取組についてお願いしました。 その後、県では、昨年十月、基本計画策定業務の委託契約を締結されたところであり、現在、県立武道館に求められる機能や規模、整備する場所、今後のスケジュール等について、鋭意検討を進められているものと伺っています。 今後、基本計画の策定に向け、地元岩国市からの要望や関係者の意見等を踏まえ、武道館整備に向けた動きが具体化していくことになると思いますが、私は、新たに整備する県立武道館が、県東部地域の活性化とスポーツ交流の推進につながる施設となるよう、次の観点から検討を進めていただきたいと考えています。 まず、多くの方にとって利用しやすい施設となるよう、利用者の利便性を確保するという観点と、地域内のスポーツ施設を効率的に配置、運営するという観点から、既存施設との役割分担や連携について十分検討していく必要があります。 また、簡素で効率的な行政運営の観点から、新たに整備する武道館は、国体等の全国規模の開催基準を充足した過不足ない機能を備えつつ、より安価な費用で整備・維持管理が可能な費用対効果の高い、質実剛健と胸を張れるものとする必要があります。 その上で、地域のニーズや期待、これから供用開始までにかかる年月等を踏まえ、できるだけ早期に供用開始できるよう検討を進めていただきたいと考えています。 そこでお尋ねします。県東部地域の県立武道館の早期整備に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、岩国・和木地域の道路整備についてお尋ねします。 岩国・和木地域、とりわけ私の生まれ育った玖北地域は、羅漢山をはじめとした山々に囲まれ、錦川水系流域の清流を抱くなど、豊かな自然景観に恵まれ、農業生産活動による県土の保全、水資源涵養等の公益的機能の発揮を通じて、私たちの生活を守る重要な役割を担っています。 しかしながら、この地域は、人口の減少や少子高齢化が進み、さらに過疎化の進む中山間地域も多く抱えていることなどから、地域を支える担い手や後継者の不足、医療や地域交通等のサービス低下など、解決すべき多くの課題を抱えています。 私は、こうした様々な課題を解決し、人づくり、地域づくりの推進、県土の持続的な保全のためには、その基盤となる幹線道路から生活道路に至る道路の整備を、きめ細かく計画的に行う必要があると考えます。 こうした観点から、岩国・和木地域で進められている三点の道路整備について、私の考えを申し上げます。 まず、広域的な移動を支える中国道深谷パーキングエリアのスマートインターチェンジの早期実現に向けてです。 スマートインターチェンジは、高速道路のパーキングエリア等から乗り降りができるように設置される、ETCを搭載した車両専用のインターチェンジであり、設置によって高速道路へのアクセス性が向上することで、周辺地域の農業や観光の振興、流通機能の向上など、様々な効果が期待されています。 このスマートインターチェンジの設置について、平成二十一年に中国道の深谷パーキングエリア周辺の住民や企業等から要望を受け、私の父、畑原基成と山本繁太郎前知事が、その実現に向け、国土交通省をはじめ地元岩国市や経済界に対し、強く働きかけを行ってきた経緯があります。 近年、沿線では、農産物の生産販売や地域産業の発展に関するコンサルティングを行う会社が設置されるなど、農業振興の先進的な取組が行われており、販路や流通経路の拡大、物流の効率化等の観点からも、その必要性はさらに高まっています。 私は、地域振興の起爆剤として期待される深谷スマートインターチェンジの設置について、地元の熱意をしっかりと受け止め、父と山本前知事の遺志を受け継ぎ、自ら先頭に立って、実現に向けて取り組んでいく覚悟です。 まずは、その第一歩として、地元をはじめ、県や国等の関係機関、経済界と連携して、必要性や整備効果等の調査・検討を開始すべきと考えます。 次に、地域間の連携を担う国道四百三十四号須川バイパスの早期完成についてです。 岩国市錦町深川から宇佐間は、幅員が狭く、急カーブが連続し、加えて、落石や災害等の危険性が高い箇所が多くあるなど、その課題の解消が急がれています。 私は、地域間の連携強化や安心・安全の確保を図るため、現在、県において整備が進められている須川バイパスの一日も早い完成を目指して整備すべきと考えます。 また、須川バイパスの完成に続き、残る広島県境までの約五メートル区間の早期実現に向けても、検討を進めていただきますよう、この場をお借りして県に強く要望します。 次に、地域の日常生活を支える県道北中山岩国線瀬田地区の早期整備についてです。 県は、これまで和木町瀬田から関ケ浜間において、道路の拡幅や歩道の設置等に鋭意取り組んでこられたところであり、目に見える形で整備が進んでいることに深く感謝を申し上げます。 しかしながら、いまだ一部区間においては、整備されていない歩道を、毎日、車とすれ違いながら通学する児童や生徒の姿が見られます。 私は、児童生徒が事故に遭う不安を解消し、安全に通学できるよう道路交通環境の整備を推進していくべきと考えます。 そこでお尋ねします。地域間の交流・連携、産業振興等の地域活性化、防災や医療などの面で重要な役割を担う岩国・和木地域のこれら道路の計画的な整備に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、中山間地域の振興についてお尋ねします。 昨年四月、山口フィナンシャルグループなどの出資により、農業分野の課題解決を行うことを目的として、農産物生産等を行う農業法人、株式会社バンカーズファームが設立されました。 この会社は、本社を下関に置くものの、私の地元にある岩国市錦町に拠点を置き、三名の行員が空き家を改修して居住し、地元の生産者の協力を得ながら畑ワサビの生産を行い、地域農業の持続的発展に向けた様々な課題解決に取り組まれています。 これまで農作業の経験が全くない行員たちが、畑ワサビ用のハウス十一棟を自力等で施工し、種取り用ワサビを植え付けるために山林を借り、さらに地元の神社の清掃活動にも参加されており、こうした活動は、定期的にホームページやフェイスブック等でも紹介され、今まで錦町を訪れたことがない人も、その取組を知ることができるようになっています。 初めて経験するワサビの栽培や慣れない土地での生活、また、今年は数年ぶりの積雪量となったこともあり、様々な面で苦労もあるようですが、私は、この取組に関心を持って注目しています。 その理由は、この会社と三人の従業員が、農業生産活動を行うだけでなく、この地域で暮らし、地域の活動にも参加していることにあります。 中山間地域には、地域住民の話合いや共同作業により守られてきた自然環境や伝統文化があります。少子高齢化が進み、限界集落と呼ばれる地域も出現しつつある中では、地域コミュニティーが辛うじて維持されていても、こうした共同作業が困難になってしまうことが懸念されています。 今回、バンカーズファームが、農業という産業面を切り口として錦町に進出しただけでなく、社員が移住し、地域活動への参加にまで踏み込んだことは、産業振興と地域振興の両面の活性化という好循環を生み出すことが期待される新たな事例と言えます。 県では、これまで中山間地域の多様な資源を生かすため、地域おこし協力隊や集落支援員など国制度の活用した外部人材の確保に積極的に取り組まれており、その結果、県外から多くの若者たちが本県の中山間地域に定住し、地域の活性化に貢献されています。 こうした個人を対象とした取組は、引き続き進めていただきたいと思いますが、同時に、バンカーズファームのように、地域貢献を志向する企業の機能の一部を中山間地域に呼び込むことで、産業振興と地域振興の両面の活性化につなげていくという視点も重要であると考えます。 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、仕事のリモート化が進む中、多くの企業で、都市にオフィスを構えるという、これまで当たり前であったことが見直され始めています。 私は、個人だけでなく、企業までもが地方との関わりを検討し始めた今こそ、バンカーズファームに続く企業による中山間地域への進出事例を増やしていくチャンスであると考えます。 そこでお尋ねします。中山間地域の活性化に向け、地域貢献を志向する企業等と連携した取組も重要になると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、地域社会との連携強化による安全・安心な社会の実現についてお尋ねします。 県内の治安情勢は、コロナ禍による外出自粛の影響もあり、窃盗などの街頭犯罪が大幅に減少しており、また、交通事故の発生件数も順調に減少を続けるなど、一定の改善が見られていると認識しています。 しかしながら、住民が不安を感じる犯罪の発生が、住民の生活の身近なところで依然として続いているのが実情です。 私の地元岩国市では、昨年から拳銃による暴力団幹部襲撃事件、高齢者を狙ったうそ電話詐欺、多発する交通死亡事故に加え、先月には、コンビニ店に刃物を持った男が現れるという事件が発生しました。 この事件は、全国ニュースにもなりましたので、映像を御覧になった方も多いと思いますが、コンビニの駐車場で警察官が威嚇発砲を行い、最終的にはその男が取り押さえられましたが、住民の皆様のごく普通の生活の中で、こうした耳目を集める犯罪が連続して発生している状況があります。 また、岩国市のシンボルであり、市民の誇りである国の名勝、錦帯橋でも、橋の柱部分に落書きをしたり、バイクやスケートボードで走行して橋板を損傷させるなど、許し難い、信じられない事件が起きていることに強い憤りを覚えるとともに、深い悲しみさえ感じてしまいます。 県警察では、住民が不安を感じる事件が連続して発生している状況を踏まえ、地元市町や関係機関等と連携し、これまでも様々な対策に取り組んでおられます。 特に、錦帯橋の事件に関しては、地元岩国市に対して、防犯対策強化の働きかけを積極的に行われ、結果的に錦帯橋の防犯カメラ増設されることになりました。 犯罪が多様化・複雑化する現在において、治安状況を改善し、地域住民の不安を解消するためには、適正な捜査が行われることはもとより、警察と市町、関係機関等が連携し、地域の犯罪情報や防犯対策などに関する情報をしっかり発信していくことが重要であると考えます。 また、こうした活動に加え、地域の実情に応じて、防犯カメラの設置や、防犯上有効な照明や施錠設備の増設などを行っていくことも重要です。 そのため、地域の特性に応じた情報発信や住民との合同パトロールの実施を行うとともに、県警察のリーダーシップにより、市町や関係機関等を積極的に巻き込みながら、犯罪防止のための環境整備を積極的に推進していただきたいと考えています。 そこでお尋ねします。住民の身近で起こり得る犯罪に的確に対応するため、地域社会との連携強化による安全・安心な社会の実現に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、一言申し上げます。 三月一日、私は、県議会の代表として県立高校の卒業式に出席させていただきました。昨年は、コロナという見えざる敵を前に、その感染拡大を防ぐため出席を自粛しましたが、今年は万全の感染防止対策を行った上で、卒業式に出席させていただき、卒業生の皆様、御家族や関係の皆様に直接お祝いをお伝えすることができました。 この一年、様々な学校行事が中止や変更になり、勉強や部活、受験や就職活動など、高校生活のあらゆることが思うようにならず、たくさんの苦労や悔しい思いをされたことと思いますが、卒業式を迎えられた皆さんの目は、まばゆいほどに輝き、しっかりと未来を見据えているようでした。 そんな高校生の強さとたくましさに私もエネルギーをもらい、県議会議員としてもっともっと頑張らなければならないとの思いを新たにしたところです。 私は、地域のため、山口県のため、コロナ後の時代をしっかりと見据え、県議会議員として全力で取り組んでいく覚悟であることを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)畑原議員の御質問のうち、私からは、岩国基地に関する交付金についてのお尋ねにお答えします。 基地周辺地域は、基地の存在により、産業活動やまちづくりなどに様々な制約を受けてきており、地元の住民や自治体は、空母艦載機の移駐により増加した航空機騒音などの負担を今後も抱え続けていくこととなります。 私は、こうした地域の実情を踏まえ、広域自治体である県の役割が果たせるよう、県交付金を積極的に活用し、住民の不安解消につながる安心・安全対策はもとより、住民のニーズに対応した産業振興等の施策をさらに進めていくことが重要と考えています。 このため、地域の魅力あるまちづくりに寄与し、住民がそれを実感できるよう、地元から要望が強く、交流促進や産業振興の基盤となるお示しの県立武道館や東部地域の産業振興センターの整備に向けて、地元市町の意向や基地議連の御意見等を十分にお聞きしながら、具体的な検討を進めてまいります。 また、令和三年度で交付が終了する市町再編交付金については、お示しのように、地域住民の生活の安定と福祉の向上等に重要な役割を果たしています。 私は、地元の多大な負担や貢献を踏まえ、交付金制度を継続し、恒久的な措置とすることや、これまでと同様の十分な財源措置を講じること、さらには市町の円滑な行政運営に資するよう終了後の制度の早期提示が必要と考えています。 このため、今年度、地元市町や基地議連とともに二度の特別要望を実施し、岸防衛大臣からは、前向きな回答をいただいたところですが、地元市町が求める要望内容の実現に向けて、引き続き基地議連の活動と連携して、国への働きかけを強めていきたいと考えています。 私は、今後とも県交付金や市町再編交付金などにより、岩国・和木・大島地域の振興策が一層充実するよう地元市町や基地議連と一体となって全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)県立武道館の整備についてのお尋ねにお答えします。 県東部地域の県立武道館については、大規模大会の誘致・開催や、競技の普及、競技力の向上を図る上で必要な施設として、岩国市をはじめ地元からの強い要望を受け、整備の具体化に向け、現在、基本計画の策定を進めています。 この基本計画については、新型コロナウイルス感染症の影響により、業者選定に時間を要したことや、地元岩国市等と十分に協議を重ねていく必要があることから、今年度としていた策定時期を延長し、来年度できるだけ早期に策定したいと考えています。 また、計画の策定に当たっては、スポーツの振興はもとより、スポーツを通じた交流促進や県東部地域の活性化につながるものとなるよう、地域のニーズや利用者の視点を踏まえながら検討を進めていくことが必要です。 このため、県や岩国市、競技関係団体等で構成する基本計画策定委員会において、関係者の意見を聞きながら、整備場所や必要な機能、規模等を十分検討し、計画に位置づけてまいります。 まず、整備場所については、岩国運動公園等、既存のスポーツ施設との役割分担や連携を十分に考慮し、その一体的活用を図るなど、お示しの利便性の向上に資する効率的な配置を検討してまいります。 また、機能、規模等については、地元からの要望にも配慮しながら、全国大会等の開催に必要な施設基準の確保に努めるとともに、お示しの費用対効果の観点も含め、適正な整備費や効率的な運営についても検討を進めていきます。 県としては、岩国市や関係団体等と連携し、地域のニーズ等を十分に踏まえながら、県立武道館の早期整備に向けて着実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)阿部土木建築部長。 〔土木建築部長 阿部雅昭君登壇〕 土木建築部長(阿部雅昭君)岩国・和木地域の道路整備についてのお尋ねにお答えします。 県では、やまぐち未来開拓ロードプランにおいて、岩国・和木地域の課題として、都市間や拠点間の交流・連携強化や歩行者・自転車の事故抑制等を掲げ、選択と集中の視点に立ち、その解決のための具体の取組を重点的・計画的に進めているところです。 まず、中国道深谷パーキングエリアのスマートインターチェンジについてです。 スマートインターチェンジは、物流の効率化、地域の活性化、利便性の向上等を促進するため、国において整備が推進されており、十分な社会便益が得られることや、前後のインターチェンジとの合計交通量が増加することなどが設置要件とされています。 このため、地元をはじめ関係機関等が連携して、さらなる地域振興に取り組むとともに、地元のニーズや必要性、整備効果等について整理・検討を行う必要があります。 県としては、こうした取組に対し、湯田温泉スマートインターチェンジでの事例を踏まえ、必要な助言や国との調整を行う考えです。 次に、国道四百三十四号須川バイパスについてです。 国道四百三十四号は、本県と広島県とを結ぶ、県北東部の主要幹線道路であり、このうち岩国市錦町深川から宇佐の区間において、段階的に整備を進め、全長十一・三キロメートルのうち、これまで九・九キロメートルを供用しました。残る区間については、現在、急峻な地形などの厳しい現場条件の下、この区間の最後となるトンネルや橋梁などの工事を進めており、引き続き早期完成を目指し、整備を推進してまいります。 次に、県道北中山岩国線瀬田地区についてです。 県道北中山岩国線は、県道岩国大竹線の関々バイパスや、昨年開通した森ケ原バイパス等と一体となって、岩国・和木市街地の環状道路を形成する幹線道路であり、これまで順次、整備を進めてきたところです。 お示しのとおり、瀬田地区では一部の区間で歩道が整備されていないことから、一日でも早く安心で安全な歩行空間を確保するため、地元の要望が強い○・六キロメートルの区間について、令和三年度から再編関連特別地域整備事業を活用して、整備を推進していく考えです。 県としては、将来にわたって、元気な産業や活気のある地域の中で、県民誰もがはつらつと暮らすことができるよう、岩国・和木地域の道路網の整備をはじめとした、山口の道づくりを計画的かつ着実に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)中山間地域の振興についてのお尋ねにお答えします。 中山間地域では、人口減少や高齢化により、住民同士の支え合いや地域資源の管理など、集落機能の維持が困難な地域も現れており、新たな担い手を地域外から呼び込み、地域の活性化を図っていくことが重要です。 このため県では、地域おこし協力隊制度の活用等を通じて、中山間地域への関心が高い人材の移住を促進するとともに、地域ならではの産業振興につなげていくため、地域課題の解決にも資する移住者の創業等を支援してきたところです。 こうした取組により、例えば、地域おこし協力隊の元隊員が起業し、特産物を果実酒に加工して高付加価値化を図るとともに、女性ネットワークを立ち上げて、地域課題の解決にも取り組む事例などが生まれています。 また、県内企業が後継者不在の酒蔵を継承し、第二創業によって新たな雇用も生み出し、地域貢献をしている事例も出てきています。 お示しのバンカーズファームについては、中山間地域に新たな企業活動の場を求め、社員の移住や地域活動への参加にも取り組まれるなど、まさに産業振興と地域振興の両面から地域活性化に貢献をするモデル的な事例と考えています。 このような事例をさらに増やしていけるよう取り組んでいくことが重要であり、折しもコロナ禍において地方への関心が高まっている中、都市部の企業に対しても積極的な働きかけを行っていくこととしています。 その一つが、ワーケーションの推進であり、地域に呼び込んだ企業との結びつきを深め、将来的な企業機能の移転にもつなげていけるよう、地域の魅力や地域資源の状況を効果的に伝えるワーケーションプログラムの開発を支援していきたいと考えています。 また、県内においても、市町や関係団体と連携をしながら、地域貢献を志向する企業の掘り起こしを進め、希望する取組テーマを把握して地域とのマッチングを図ってまいります。 さらに、金融機関などとも連携し、地域資源を活用した六次産業化や交流ビジネスの創出など、地域の活性化に資する分野への企業参入を促進していきたいと考えています。 県としては、中山間地域の振興に向け、こうした産業振興と地域振興の両面からの活性化を進めていくため、地域貢献を志向する企業等との連携に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)地域社会との連携強化による安全・安心な社会の実現についてのお尋ねにお答えします。 議員お示しのとおり、近年、県内における刑法犯認知件数や交通事故死者数は着実に減少しておりますが、これは県警察の取組のみならず、市町をはじめとする関係機関等、また、県民一人一人の御理解と御協力があってのものであり、改めて感謝申し上げたいと思います。 そうした中でも、昨年も拳銃使用の殺人未遂事件や相次ぐうそ電話詐欺など、県民の日常生活を脅かす犯罪が発生しており、安全・安心な社会を実現するためのさらなる取組を進めていくことが必要と認識しております。 議員お示しのとおり、地域における犯罪の発生状況に応じ、防犯カメラや防犯照明、施錠設備を設置するなどにより、防犯に配意したまちづくりを進めることは、大変効果的でありますが、そのためには、まちづくりを担う市町、関係機関等の御理解を得て、積極的に取組を進めていただく必要があります。 先般、岩国市において、錦帯橋に防犯カメラを増設していただけることになりましたが、このほかにも、例えば、児童の登下校時の安全確保のため、通学路を再点検し、目の届きにくい場所などに防犯カメラを設置するなどの取組も県内各地で進んでおります。 県警察としては、引き続き、市町、関係機関等との一層の連携強化を図り、必要な情報の提供を通じるなどして、犯罪の起きにくい環境を構築するための取組を適切に進めてまいります。 さらに、こうした取組に加え、県民一人一人が自主防犯意識を高め、犯罪や事故を防ぐための具体的な行動を取っていただくことも大変重要です。 盗難被害を防ぐための鍵かけの習慣、うそ電話詐欺の被害に遭わないための留守番電話設定や家族間での連絡・確認、交通事故に遭わないための反射材の着用など、日常的に取っていただける対策は数多くあります。 県警察においては、治安に関わる情報を県警ホームページやメールマガジン、交番・駐在所の広報紙のほか、新聞、テレビ等のマスメディアも通じ、幅広く発信するほか、議員お示しのとおり、市町、関係機関等、また、地域のボランティアの皆様とも連携して防犯意識の高揚を図るとともに、必要な情報をタイムリーに県民にお届けすべく取り組んでいるところです。 県警察としましては、引き続き創意工夫を凝らしながら、以上に申し上げたような取組を着実に進め、地域社会との連携強化を通じた安全・安心な社会の実現を目指してまいります。