1 デジタル社会の実現に向けた取組について 2 フードバンクについて 3 水素社会に向けた取組について 4 労働者協同組合法について 5 林業従事者の所得向上について 6 コロナ禍におけるサイバー犯罪について 7 その他 ※曽田議員の質問に対する環境生活部長答弁の最後に、3月4日の井原議員に対する答弁の訂正の発言があります。
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。 初めに、デジタル社会実現に向けて、県の取組についてお尋ねいたします。 総務省は、毎年、地方公共団体における行政情報化を電子自治体の推進体制等、行政サービスの向上・高度化、業務システムの効率化、情報セキュリティー対策実施状況のおおむね四分野について調査し、概要をまとめています。 日本経済新聞社は、そのデータを基に二○一九年四月一日時点での各自治体の電子化推進度をランキングする中、四十七都道府県ランキングで、山口県は四十三位に位置づけられております。四分野のうち、情報セキュリティー対策以外はいずれも推進度ランキングは低く、その推進が図られることが重要であります。 このランキングから二年がたった、このたびの新年度予算案には、随所にデジタル、DX、AI、RPA等の推進について明記されています。 昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大が、デジタル化・DXの推進を後押ししたことは否めない事実であります。 今まで推進したくてもできなかった規制改革・行政改革をデジタルに置き換えながら変革することにより、一気に進める時期が到来しています。 菅総理は、役所に行かずともあらゆる手続ができる、地方に暮らしていてもテレワークで都会と同じ仕事ができる、都会と同様の医療や教育を受けられるの三つの目標を掲げられ、政府、そして地方自治体は、デジタル社会の実現に向けて大きくかじを切っていることは、御案内のとおりであります。 公明党山口県本部は、猶野克県議を本部長として、デジタル社会推進本部を立ち上げ、県内各市町の取組状況をまとめております。 その中で、デジタル技術を活用した市民サービスの向上について、マイナンバーカードの活用や行政手続のデジタル化・オンライン化のさらなる推進への取組に期待されるとともに、業務システムをクラウド化することによる共同利用、RPAを活用することによる業務の効率化を図るとされています。 その上で、各市町の一部地域において、通信回線の脆弱性も指摘されています。特に離島や人口の少ない中山間地域では、光ファイバーの敷設が急がれています。 先ほどお示ししました都道府県電子化推進度ランキングにおいて、一位となった茨城県の大井川知事は、二月十五日オンラインで開催された、日経社会イノベーションフォーラムの基調講演で、業務システムのクラウド化は、他県と共同利用し、カスタマイズはしない、庁内業務をシステムに合わせることがDXであるとお話をされていました。 私も、全国各自治体の行政事務は単一であることが望ましく、そこに恣意的なカスタマイズが発生することで、業務の煩雑さが生じていると常々考えています。 このたびの国を挙げてのデジタル化の取組は、役所目線でのDXではなく、県民に目を向けたUI、UXを取り入れることにより、一人一人に寄り添った県民に優しいDXの推進を期待しています。そのためにも、身近な行政サービスを提供する市町ともしっかり連携して取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。本県のデジタル社会の実現に向け、県民の暮らしの質を高める行政サービスの向上や基盤整備にどのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 続きまして、フードバンクについてお尋ねいたします。 公明党食品ロス削減推進プロジェクトチームは、昨年十月、消費者庁の伊藤明子長官に、フードバンクの基盤強化などを求める要望書を手渡しました。 要望書では、コロナ禍でフードバンクに食料を求める世帯と、食料提供を申し出る事業者が増加しているものの、フードバンクなどの運営基盤が脆弱なため、活動に係る人件費、保管費用や配送費用が不足し、事業者、困窮世帯からの申出も断らざるを得ない状況が生じていると指摘し、フードバンクの基盤強化へ関係省庁横断の協議体をつくり、事業者の協力を得ながら、自治体を通じた支援の枠組みを構築するように求めました。 また、コロナ禍の影響は、NPO法人などにも及んでいます。不登校の子供のためのフリースクールや、生活困窮者に食品を届けるフードバンクといったセーフティーネットの役割を担う団体は、行政や企業では手が届きにくい分野で地域社会を支えています。こうしたNPO法人をはじめ、各種団体の活動維持に向けた手だては不可欠であります。 新型コロナの感染拡大に伴って活動の自粛を余儀なくされたことで、事業収入や寄附金が大きく落ち込み、事業の継続や職員の雇用が困難と訴えておられます。このまま活動停止に追い込まれるようなことがあれば、NPO法人などを支えとしていた地域社会に与える影響は大きく、国や自治体による支援は急務と言えます。 令和二年度、農水省で予算化された食品ロス削減総合対策で、事業系食品ロスの半減目標の設定や食品ロス削減推進法の施行を踏まえ、新たにフードバンク活動を推進するマッチングシステムの実証、構築を支援するとされ、食品関連事業者等の供給情報と受入れ側の需要情報等を一元化し、さらなる食品ロス削減を目指しています。 山口県では、食品関連事業者からの食品ロスをフードバンクとして活用するため、令和二年度、新たに専任コーディネーターを配置し、寄贈食品の安定的な供給体制の構築を図っています。 また、令和三年度当初予算案のうち、ぶちエコやまぐち3R推進事業の中にも、事業者からフードバンク等への寄贈食品配送モデルの実証事業が計画されています。 県内で、もったいないをありがとうへと掲げ、食品ロス削減と格差の縮小を目指して活動している団体からも、「コロナ禍の中で団体を取り巻く環境が大きく変化しています。そんな中でもできることをできることからやっていきます」との声とともに、食品を保管する倉庫が足りなくて大変苦慮されている声もお聞きしています。 ここ数年、県の取組強化のおかげで、家庭や食品関連事業者からの供給は、平成二十九年度七・○トン、平成三十年度十五・六トン、令和元年度二十七・四トン、そして、令和二年度一月末までの寄贈量は約三十二トンと増えてきています。 一旦、フードバンクの倉庫に集まった食品は、子ども食堂や生活困窮者、支援団体、福祉団体などに供給されるまでタイムラグが生じています。その間、食品をストックする倉庫が年を重ねるごとに足りなくなっているのが現状です。 そこでお尋ねいたします。食品ロス削減の流れができてきた本県において、この流れを止めることなく、ぶちエコやまぐち3R推進事業を推進するため、県として、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、水素社会に向けた取組についてお尋ねいたします。 EU及び世界各国で温室効果ガスの排出ゼロを目標に掲げ、水素を利用する新たな技術開発が加速する中、我が国でも二○五○年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことにかじを切りました。 政府は、二○一八年のCO2排出量の四割を占める電力部門の脱炭素化を進めるため、再生可能エネルギーを最大限導入し、二○五○年には発電量の約五○から六○%を賄うことを一つの参考値として示されています。 一昨年四月に施行された再エネ海域利用法の下で、洋上風力発電の開発に力を入れ、主力電源化を図り、二○四○年には三千万から四千五百万キロワットの発電を目標に取組を始めています。 次世代のエネルギーとして、脱炭素化で注目を集めている水素は、地球上に無尽蔵に存在し、CO2や大気汚染物質を全く排出せず、ロケット燃料にも使用されるハイパワーで、長期大量貯蔵が難しい電気も水素の形でためて、運んで、使える、頼もしいエネルギーであります。 山口県では、二○一五年より環境省の委託を受け、周南コンビナートで生成される副生水素を、周南市の卸売市場におけるFCフォークリフトや下関漁港における福利厚生施設の浴場などで使用する取組が進められています。 また、神奈川県の風力発電により製造した水素の利用の取組や、福島県の太陽光発電を利用した世界最大級の水素製造施設の運用など、再生可能エネルギーによる水素製造の取組も進んでいます。 このように水素は様々な方法で製造でき、特に再生可能エネルギーによる水素の製造が進めば、エネルギー自給率の低い我が国にとって、大変有意義なエネルギーとなると考えます。 こうした中、水素を利用した様々な取組が進められ、モビリティーでは、燃料電池車としてトヨタ自動車のMIRAIとホンダのクラリティがあります。鉄道では、JR東日本が燃料電池と蓄電池を併用した車両を、船舶では、日本郵船や川崎重工が中型で高出力の船を開発中であります。 山口県では、公用車としてMIRAIを所有していますが、水素ステーションは、周南市の一か所のみであり、水素バリューチェーンの川上で副生水素が供給できる本県でありますが、その川下では、水素ステーションの整備が進まず、思うように需要が喚起できていないと思われます。 全国でも百三十七か所、九州北部に十一か所、本県を含む中四国に八か所しかなく、官民挙げての需要喚起のためには、水素ステーションの整備促進は急務であります。 私は、広域で移動するための高速道路を使用する人、公共性の高い路線バスや生活圏域で使用する人が一か所で充?できる水素ステーションを高速道路のインターチェンジ、例えば小郡インターチェンジを改修して整備することにより、投資対効果の高い整備となり、九州北部から高速道路を降りることなく、広島、徳島まで移動することができれば需要喚起につながると考えます。 また、水素ステーションの整備が進めば、水素利用機会の拡大にもつながりますし、これまで県が積極的に進めてきた水素関連製品の研究開発や水素技術実証事業の成果を生かしていけるなどの相乗効果も期待でき、これまで培ってきた本県の強みをさらに発展させていけるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。このたび改定するやまぐち産業イノベーション戦略に、水素エネルギー関連産業のイノベーション創出が掲げられていますが、水素ステーションのさらなる整備や新たな技術開発の促進による産業振興など、水素社会に向けてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、労働者協同組合法についてお尋ねいたします。 昨年十二月四日、参院本会議において全会一致で可決、成立した、労働者協同組合法は、新たに労働者のための協同組合法制をつくるため、二十年以上にわたる法制化運動、元厚生労働大臣を歴任した坂口力さんが、二○○八年ぐらいから取り組んできたものであり、坂口力さんが議員を退かれる際、桝屋敬悟衆議院議員に託された法案であります。 以来、公明党は法制化のため小委員会を設置し、また、与党の中にワーキングチームを設置し、さらに、超党派の議連でも議論を重ね、全ての政党・会派が提出者に名を連ね、昨年六月には、衆議院に法案を提出し、今回に至りました。 さて、労働者協同組合法──以下、労協とは、いかなるものか。 協同労働という働き方をする法人であり、働き方の基本原理は、組合員が出資する、組合員それぞれの意見を反映して組合事業を行う、組合員が自ら事業に従事するの三つであり、株式会社は、株主、経営者、労働者の役割が分かれ、営利目的の事業が行われますが、労協は、出資、経営、労働が一体化し、組合員全員で事業を担い、営利を目的としていません。 では、なぜ、労協が求められたのか。 少子高齢化が進む中、人口の減少する地域において、介護、障害福祉、子育て支援、そして地域共生など幅広い分野で多様なニーズが生じ始め、その担い手が必要となっています。 こうした多様なニーズや地域の課題解決のため、担い手となって頑張ろうとする多くの方々は、状況に応じてNPO法人や企業組合といった法人格を利用しているか、任意団体として法人格を持たず活動をしています。 しかし、既存の法人格の枠組みでは、出資ができない、営利法人である、財産が個人名義になるなど一長一短があることから、多様な働き方を実現し、地域の課題に取り組むための新たな組織が求められていました。 地域では、様々な地域活動を行う企業組合、NPO法人、一般社団法人、シルバー人材センター等の組織や団体があります。地域活動の現場においては、それぞれの組織のメリットを生かしながら、様々な乗り物があっていいのではないか、その一つにこのたびの労協があります。 広島市では、協同労働を広げるための支援を行っています。支援のための組織、協同労働プラットフォームをつくり、協同労働に詳しい民間のコーディネーターが、事業開始に当たりアドバイスをするとともに、団体設立時の費用の半分、上限百万円を補助し、事業開始後の運営サポートも続ける中、団体設立を後押ししています。 今では、子供学習支援、高齢者の交流サロン運営、不用品の処分代行、耕作放棄地の利活用など、約二十団体が任意団体として活動をしています。このたびの法制化により、協同労働の理念が根づき、活動が広がることに期待も寄せられています。 そこでお尋ねいたします。山口県でも多くの方々が、企業組合、NPO法人等の組織・団体で活動されていますが、このたびの労働者協同組合法が施行されるまでの約二年間、この制度の周知活動をどのようにされるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、林業従事者の所得向上についてお尋ねいたします。 菅総理は、昨年十月に召集された臨時国会の所信表明演説で、脱炭素社会の実現に向けて、二○五○年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすると表明されました。いわゆる二○五○年カーボンニュートラルを実現するためには、森林保全も重要になってきます。 また、SDGsの達成においても、森林資源の活用は欠かすことのできない重要なテーマであります。 日本の林業は、安価な輸入木材の流入や建築基準法の厳格化により、長い間衰退の一途をたどり、人々の林業離れ、山は相続すらされない負の不動産と化し、今や所有者不明の山林や土地は、九州の面積を上回っています。 これまでも幾度となく山口県議会でも議論されてきた伐採の時期を迎えた杉やヒノキなど、木材の需要拡大が喫緊の課題であります。 森林資源を持続可能にするためには、川上に当たる山・森林の保全、川下である都市部における建築物の木造・木質化により、木材の需要喚起に取り組んでいく必要があります。 日本人の多くは、木は熱や火に弱く、耐久性・耐震性にも乏しいと考えています。 しかし、現在は、木材の材質・工法も改良されたCLT、直交集成材の誕生により、熱にも火にも強度を増し、鉄よりも高い強度を持ち、条件によっては、コンクリートより高い耐火性能を備えています。 CLTは、断熱性能においてもコンクリートの十倍、鉄の四百倍以上で、耐火性能は、厚みがあるため、燃焼し始めても炭化層が形成されるため内部まで燃えにくく、耐震性能は、五階建ての建物を阪神・淡路大震災並みの振動実験をしても大きな損傷は見られないなど、木に対するイメージを一蹴させます。 千三百年以上も前に建立された法隆寺や薬師寺東塔が、今も変わらずその姿を維持しています。また本県にある国宝瑠璃光寺五重塔も室町時代、今から約五百八十年前に建立され、山口市を訪れる観光客の目を引きつけてやみません。 住友林業と日建設計は、二○四一年に木造超高層建築物を建てる技術を完成させるW三五○計画を発表。高さ三百五十メートル、地上七十階の木造超高層建築物を木と鉄、九対一のハイブリッド構造で建設するから圧巻です。随所にCLT工法が使用されることは間違いなく、日本の未来の高層建築物の姿を変えることでしょう。 山口県でもCLT工法で木造建築にチャレンジする企業が現れています。 二○○九年七月豪雨に見舞われた防府。建設業を営む社長は、豪雨で削られた山の中へ足を運び、手つかずのまま放置された土砂を食い止めるための木々が育っていないことを目の当たりにし、そのとき感じた山への思い、林業の活性化に思いを寄せられました。 植林されたまま、間伐もされず、手つかずの山の木々を間伐し、その間伐材の利用において、CLT工法が適していると先行事例を研究、連携し、本社をCLT工法とLVL工法で新築されました。また、今新たに防府駅南にCLT工法の建築物を施工中とのことでした。 私は、林業のバリューチェーンの中で、川下で高付加価値、高耐久性のあるCLT工法などが推進され木材需要が高まれば、川上で働く林業従事者の所得向上につながるものと考えます。 そこでお尋ねいたします。山口県では、林業の活性化に向け、林業従事者の所得向上にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、コロナ禍におけるサイバー犯罪について、県警本部長にお尋ねいたします。 近年、個人情報漏えいのニュースが非常に多く目に留まるようになりました。 個人情報の漏えいは、全ての人、企業、団体でも起こる可能性がありますが、企業、団体が引き起こす個人情報の漏えいは、その組織自体に非常に大きなダメージを与えるとともに、後々、その情報が犯罪に使用されるリスクが高まります。 二○二○年は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ネットショッピングの利用が増加し、企業のECサイトを狙った不正アクセスにより、情報の流出が増加しています。 大手企業K社は、二○二○年六月十五日までに、同社ECサイトでカード決済を使用したユーザーについてカード情報が流出し、不正利用被害まで生じた可能性が判明しています。攻撃の影響で二○一九年十月二十五日から二○二○年一月七日にかけて、同社オンラインストアにカード情報を決済したユーザーや会員登録したユーザーの情報について、流出した可能性が生じています。 地方でも地ビールを製造販売する企業では、同社が運営するオンラインショップに対し不正アクセスが発生し、ユーザー情報千百八十一件が流出した可能性。不正アクセスはシステム内の脆弱性を悪用し行われました。同社では事件を受け、オンラインショップの閉鎖を決定いたしました。 また、巣籠もり需要で活況のゲーム業界でも、個人情報が狙われています。 大手ゲームメーカーC社は、二○二○年十一月、サイバー攻撃を受け、財務情報のほか九名の個人情報や社外約三十五万人の情報について、流出の可能性があるとしていましたが、新たに一万六千四百六人の個人情報が流出、社外約四万人の個人情報について流出した可能性があると明らかにされました。 本年二月には、大手ガス会社T社は、同社が運営する恋愛ゲームアプリ「ふろ恋 私だけの入浴執事」について不正アクセスが確認され、登録ユーザーのメールアドレス、ニックネーム一万三百六十五件が流出したと明らかにされました。 サイバー攻撃、サイバー犯罪のほんの一例を紹介しましたが、これらの個人情報を基にインターネットを利用した犯罪が多角化しています。 そして、これらの発信元の多くが外国であり、複数のサーバーを介して行われるため、犯人の特定が困難になりつつあります。 世界で猛威を振るった自動拡散ウイルス、エモテットは、二月十九日現在、日本国内でも約二万六千台の端末が感染しているとされ、警察庁では、駆除するように注意喚起をしています。 山口県でも、うそ電話詐欺をはじめとするアナログ的な犯罪とともに、サイバー犯罪も増加しているものと考えます。 そこでお尋ねします。近年増加するサイバー犯罪、特にコロナ禍におけるこの犯罪に対してどのように取り組まれるのか、県警本部長の御所見をお伺いし、私の一般質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の御質問のうち、私からは、水素社会に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 国においては、昨年末、グリーン成長戦略を策定し、十四の重要分野の一つである水素産業において、水素をカーボンニュートラルのキーテクノロジーに位置づけ、その利用、輸送、製造の取組を進めることとされています。 本県では、瀬戸内コンビナートにおいて、全国の約一割の水素が生成される地域特性を生かし、全国に先駆け、水素先進県を目指した取組を展開しており、私は、国の動きと軌を一にして水素利活用を加速することが重要と考えています。 このため、次期産業イノベーション戦略において、水素利用の拡大に向けた基盤づくり、新たな技術開発の促進による産業振興、水素利活用モデルの展開による地域づくりを柱に掲げています。 まず、基盤づくりである水素ステーションについては、セルフ充?をはじめとした規制緩和や、コスト低減に係る技術開発の推進及び燃料電池自動車等の普及が必要であり、こうした取組が徐々に進み、整備環境が整いつつある状況です。 また、事業者と一体となって整備を進める日本水素ステーションネットワーク合同会社による、初期投資や運営経費の負担軽減の取組もあることから、セルフ式の導入やガソリンスタンドへの併設などを含め、ステーション設置を検討している事業者へ幅広く、県内への設置を働きかけてまいります。 技術開発による産業振興については、これまでも県内企業等による研究開発・事業化の取組を促進しており、純水素型燃料電池システムや水素ボイラー搭載型貯湯ユニットの開発など、水素関連の製品化が進んでいます。 今後は、さらなるイノベーションの創出に向けて、研究・技術シーズを早期に発掘し、研究開発のフェーズに対応して支援する新たな補助制度を創設し、水素社会を見据えた技術開発の一層の促進を図ることとしています。 地域づくりについては、周南市、下関市とともに、副生水素のサプライチェーンづくりに係る国の実証事業に取り組んでおり、来年度は、国内初の水素混焼エンジンを搭載した船舶によるCO2削減効果等の実証を予定しています。 私は、今後とも、水素先進県の実現を目指し、国の事業も活用しながら、市町、企業、関係機関と一体となって全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)デジタル社会の実現に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 今般の新型コロナウイルス感染症への対応においては、特に行政分野でのデジタル化の遅れが浮き彫りとなったところであり、これに迅速に対処し、デジタル技術の活用によって、行政サービスの質の向上に取り組んでいくことが必要です。 このため、県では、このたび案を取りまとめた、やまぐちデジタル改革基本方針に基づき、行政手続のオンライン化等による行政サービスの利便性向上や、AI、RPAの活用による業務効率化などに取り組み、デジタル・ガバメントの構築を進めることとしています。 さらに、これを全県的に推進するためには、お示しのように、市町との連携を一層強化することが重要となることから、本年一月に県内全市町との連携組織を立ち上げたところであり、今後、市町と一体なって取組を進めてまいります。 この組織においては、国の動向等に関する情報を共有するとともに、特に二○二五年度までに実施を求められている基幹系システムの標準化が大きな課題となることから、これに係るワーキンググループを設置して、共に対応を検討することとしています。 また、RPA等の導入に当たっては、一層のコスト削減につながるよう、県と市町での共同利用を進めるほか、行政データのオープン化や、行政のデジタル化のリーダーとなる人材の育成、マイナンバーカードの普及促進などにも連携して取り組んでまいります。 光ファイバー等の情報通信基盤の整備については、特に離島などにおいて、コスト面等の課題から未整備の箇所が残されているため、市町等への支援制度の拡充やユニバーサルサービス化など、引き続き、国に強く求めてまいります。 また、5Gに関しても、通信エリアの早期拡大を図るため、基地局整備に県有施設を活用できるよう、情報提供やワンストップ窓口の設置など通信事業者への働きかけを行っているところであり、今後も、県内のブロードバンド環境の整備に向け、様々な形で取組を進めていくこととしています。 県としては、今後とも、市町としっかりと連携し、住民ニーズを的確に反映させながら、多様な利用者の目線に立って、県民の暮らしの質を高めることができるよう、行政サービスの向上や基盤整備に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)フードバンクについてのお尋ねにお答えします。 フードバンク活動は、食品の生産、製造、販売、消費の各段階で発生する未利用食品の寄贈を受け、必要とされる個人や施設、団体などに無償で提供する取組で、食品ロス削減につながる有効な手段です。 このため、県では、食品の賞味期限や寄贈から提供までの過程を一元管理し、関係者間で情報共有するシステムを構築することで、食品の安心・安全の確保を図るとともに、活動団体にコーディネーターを配置し、事業者に寄贈を働きかけるなど、フードバンク活動への支援を行ってきたところです。 こうした中、お示しのように、活動団体からは、コロナ禍の影響により食品の寄贈量が増えているが、新たな保管場所の確保に苦慮しているとの声が寄せられています。 また、寄贈を検討する食品製造業者などの事業者からは、配送費用が廃棄に要する費用より高い場合は、寄贈が困難であるとの意見も聞いているところです。 こうした課題を解決するため、県では、新年度、ぶちエコやまぐち3R推進事業において、活動団体や食品製造業者、配送業者等と連携して、活動団体や事業者の負担を軽減できる配送の仕組みを構築していくこととしています。 具体的には、配送エリアやルート、荷姿などの配送の手法とコストについてシミュレーションを行い、エリア内の複数の事業者から寄贈食品をまとめて回収するなど、配送コストの低減に効果的なパターンを検証します。 また、活動団体の保管場所の不足を解消するため、事業者や子ども食堂などの施設等と連携し、保管場所を介さずに直接配送する効率的なルートの検討も行います。 こうした実証により構築した新たな配送の仕組みを運用し、未利用食品のさらなる有効活用につなげていきます。 これらの取組に加え、食品ロス削減に向けた一層の機運の醸成を図るため、やまぐち食品ロス削減協力企業登録制度を創設し、未利用食品の積極的な活用などに取り組む企業を幅広くPRするとともに、イベントやSNS等を通じた県民への普及啓発を行うこととしています。 県としては、今後とも、事業者、県民、関係団体、市町等と連携し、食品ロス削減につながるフードバンクの支援に取り組み、3Rの推進を図ってまいります。 なお、昨日の私の答弁につきまして、おわびと訂正をさせていただきます。 昨日、井原議員からの産業廃棄物処分場建設計画についての再々質問において、許可申請書に同意書の添付は必要であるという答弁をいたしましたが、許可申請書に同意書の添付は必要ないが正しい答弁なので、訂正をさせていただきます。申し訳ございませんでした。 議長(柳居俊学君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)労働者協同組合法についてのお尋ねにお答えします。 今回、法制化された労働者協同組合は、持続可能で活力ある地域社会の実現に向け、多様な就労の機会を創出するとともに、地域における多様な需要に応じた事業を促進する組織と位置づけられております。 また、組合員は、組合と労働契約を結ぶことで、労働者として保護される一方、組合員それぞれが平等の立場で経営にも参加できることから、主体的で、やりがいのある働き方につながるものと考えられます。 今後、国において、政令や省令の整備や組合の適切な運営のための指針の策定、都道府県向けの説明会も予定されておりますので、県としては、必要な情報を収集の上、市町と連携して、広く県民に制度の周知を図ることとしています。 とりわけ、同法は、企業組合やNPO法人からの組合への移行を想定していることから、企業組合所管の山口県中小企業団体中央会やNPO法人に関係する庁内関係部局を通じて、こうした団体に情報が十分行き渡るよう努めてまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)林業従事者の所得向上についてのお尋ねにお答えします。 林業従事者の所得向上を図るためには、森林資源の循環利用を促進することが重要であり、県ではこれまで、優良県産木材を使った、やまぐち木の家の建築や高性能林業機械の導入促進など、需要と供給の両面から、その拡大に取り組んでいます。 こうした中、脱炭素化を背景とした森林バイオマス発電所での需要が増加する一方、適切な経営管理が行われてない森林が多く見受けられるなど、木材需要に対して、本県の豊富な森林資源が十分に生かされていない状況にあります。 このため、県では、ICT等の先進技術の導入や林業事業体の育成等、木材供給力の強化に取り組み、収益性の向上を図るとともに、森林資源の循環利用を積極的に進めているところです。 まず、先進技術の導入については、地上レーザーによる高精度な測量技術の活用や、木材生産から流通・加工までの情報を関係者が共有する原木流通システムの構築など、デジタル技術の活用を推進していきます。 次に、林業事業体の育成については、経営基盤の強化を図るため、就業前研修により即戦力となる現場技能者を育成するとともに、専門アドバイザーの活用により優れた林業経営者の育成に努めます。 さらに、森林資源の循環利用については、主伐後の再造林の着実な実施を図るため、林業機械等を活用しながら伐採と植栽作業を同時並行して行う、低コスト再造林技術の導入と定着を推進します。 なお、お示しのCLT工法については、コスト面などで課題があるものの、高い断熱性能など優れた特性を有し、はりや柱のほか壁や床などに幅広く利用できる強みもあり、県内においても徐々に活用されつつあります。 今後、新たな需要拡大分野として期待されることから、技術研修会や現場見学会の実施等、引き続き、普及啓発に努めていきます。 県としては、林業従事者の所得向上につながる成長産業化に向けた取組を積極的に推進し、林業の活性化を図ってまいります。 議長(柳居俊学君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)コロナ禍におけるサイバー犯罪への取組についてのお尋ねにお答えいたします。 ただいま、議員から、不正アクセスやサイバー攻撃による情報流出事案が多発しているとの御指摘がありました。 本県においても、フィッシングや自動拡散ウイルス、エモテットへの感染などを含め、サイバー犯罪に関する相談は増加傾向にあり、昨年は三千百二十件と、前年に比べて千六十八件の大幅な増加となりました。 コロナ禍においてネット利用の機会が増加する中、本年もこうした傾向が続くことが懸念されますが、県警察としては、認知した事案について、捜査等の必要な対応を取ることはもとより、個人情報の流出のように、一たび発生すれば大きな被害が発生し、その回復も容易ではないケースもあることを踏まえ、標的となり得る企業、団体等において、常日頃から被害を発生・拡大させないための自衛措置を講じていただくことが非常に重要であると考えております。 県警察では、企業、学校などを対象とした講習会やメールマガジンなどの広報媒体を活用した広報啓発活動を推進しているほか、昨年は、コロナ禍における新たな取組として、ウェブ会議システムによるオンライン講習会の開催や、サイバー防犯対策用動画を制作して県警ホームページに掲載するなど、サイバー犯罪の被害防止対策を講じたところであります。 また、こうした情報発信活動に加え、サイバーパトロールを強化して、違法・有害情報の無害化措置にも取り組んでいるところであります。 本年も引き続き、サイバー犯罪に対する取締りを推進するとともに、新型コロナウイルスへの感染防止に配意したオンライン講習会の開催や、SNS、ユーチューブなどを活用したタイムリーな情報発信、さらには、サイバー防犯ボランティア等、民間企業や団体、個人の方々と連携したサイバーパトロールの強化など、取締りと広報啓発活動の両輪による効果的なサイバー犯罪対策に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時二十九分休憩