1 農業振興について 2 林業分野におけるスマート技術の活用推進について 3 中小企業支援について 4 地域資源を活用した観光の推進について 5 中山間地域の道路行政について 6 教員の人材確保と資質向上について 7 その他
議長(柳居俊学君)坂本心次君。 〔坂本心次君登壇〕(拍手) 坂本心次君 おはようございます。自由民主党の坂本心次でございます。 私は、周南市鹿野地域で育ち、幼い頃から農業が生活の一部であったこともあり、大学で農業を専攻しました。市議会でもライフワークとして、様々な角度から農業振興について取り上げてきたところですが、昨年は、本県農家の皆さんにとっては苦労の多い、大変な年でありました。害虫トビイロウンカや相次ぐ台風により、丹精込めて育てた水稲が甚大な被害を受け、収量や品質を大きく落とすことになったのです。 被害の深刻さに離農される方も多いのではないかと危惧されましたが、多くの生産者は、十一月補正予算で県が措置した支援策や、県に続く形で市町やJA等が打ち出した支援措置により、次期作に向けた営農作業に着手されています。本県農業は大きな困難に直面をしましたが、停滞することなく着実に歩みを進めており、大変心強く感じているところです。 今後も、本県農家の皆さんが安心して生産活動を継続できるよう、引き続き生産者に寄り添った支援をしていただきますようお願い申し上げ、通告に従いまして質問をいたします。 まず最初に、農業振興についてお尋ねいたします。 中山間地域が県土の七割を占める本県においては、農業は地域を支える基幹産業となっていますが、農業従事者の減少や高齢化という大きな課題を抱えています。最新の農林業センサスによると、本県における基幹農業従事者の平均年齢は七十二・三歳と全国でも最も高く、高齢化が深刻な状況にあります。 私の地元周南市鹿野地域においても、高齢を理由に離農される方が増え、耕作放棄地が目立つようになってきました。後継者の決まっていない農家も多く、高齢化に伴って離農の勢いが増す中、どのようにして本県農業を守っていくのか、まさに今が正念場です。 このように高齢化が著しい本県において、地域農業を守り、地域経済を支えていくには、新規農業就業者を増やし、高齢農家の経営資産を次世代に継承していくことが何よりも重要だと私は考えます。新規就業者の確保については、これまでの県、市町、関係団体の連携した取組により、着実に成果が出てきていますので、今後はどのようにして農業経営を次世代に引き継いでいくのか、円滑な経営継承に向けた取組が重要なのです。 しかしながら、複数年の管理が必要となる果樹や施設維持管理を要する施設園芸などは、農業の中でも特に経営継承が難しい分野であり、なかなか進んでいないとお聞きしています。農業従事者の平均年齢が七十二・三歳であることを踏まえると、高齢農家が経営継承に向けてすぐに準備に取りかかれるよう、早急な対応が必要ではないでしょうか。農地や施設、栽培技術などの経営資産が次世代に円滑に引き継がれるよう、農業現場の課題やニーズを踏まえ、本県独自の取組をぜひとも展開していただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。農業従事者の高齢化が進む中、本県の地域農業を守り、地域経済を支えていくには、農業経営の円滑な継承が重要だと考えますが、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、林業分野におけるスマート技術の活用推進についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、様々な分野でデジタル化・オンライン化の取組が加速することになりました。本県においても、県政のあらゆる分野でデジタル化を進めるとされており、デジタル化の進展により、産業活動や日常生活など、あらゆる場面で利便性の向上が実感できるようになると期待していますが、私が特に大きな期待を寄せているのは林業分野におけるデジタル化の推進です。 本県は県土の七割を森林が占め、その四割を占める人工林の半数は、現在、本格的な利用期を迎えています。私の地元周南市では、鹿野や須々万を中心に人工林が広がり、県を上回る約八割を森林が占めています。このように森林資源という宝の山に恵まれた本県林業は、今、千載一遇のチャンスを迎えているのです。 ところが、林業は奧山など厳しい地形条件での作業が多いため、労働生産性が低く、さらには作業従事者が年々減少し、労働力不足を招いていることから、豊富な森林資源を効率よく木材生産に結びつけることが難しくなっています。恵まれた資源を生かし、効率的で収益力の高い林業を実現するには、低い労働生産性や労働力不足といった課題を克服しなければならず、それを可能にするのは、デジタル技術をはじめとするスマート技術の活用だと私は考えます。 県では、これまで、木材の生産力を高めるため、林道の整備や高性能林業機械の導入など生産基盤の強化を推進されるとともに、レーザー測量の導入支援など、森林資源情報のデジタル化を推進してこられました。デジタル化により森林データの共有や高度利用が可能となるため、今後は、生産現場においてこれらのデータ活用を進め、さらなる生産性向上に結びつけていかなければなりません。 また、近年、林業機械の分野でも、デジタル技術やロボット技術を活用し、作業を省力化・軽労化する技術が次々と開発されています。こうした技術は、安全で効率的な木材生産を実現するものと期待されますが、現場への導入は進んでおらず、導入に向けた取組を強化することが必要となっています。 多くの森林資源が利用期を迎え、新しい技術を活用することで効率的な事業運営が可能となった今こそ、本県林業が成長産業化を果たす最大のチャンスなのです。林業の現場において、スマート技術の活用が根づき、木材の生産力が飛躍的に向上することを大いに期待しているところです。 そこでお尋ねをいたします。本県林業が、低い労働生産性などの課題を克服し、効率的で収益力の高い経営を実現するには、スマート技術の活用が不可欠と考えますが、県として、今後どのようにスマート技術の活用を推進していくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業支援についてお尋ねいたします。 中小企業は、長引くコロナの影響で体力が削られ、先行きが見通せない中にあっても、事業の継続と雇用の維持に必死で取り組んでおられます。 県では、これまで、資金繰り支援の充実をはじめ、感染防止など新しい生活様式に対応した事業環境の整備やテークアウト商品の開発など、新たな事業展開に対する支援などを実施されています。コロナという予期せぬ大きな社会変化に戸惑う事業者に対して、必要な対策を迅速に講じてきた県の対応を評価するところです。 しかしながら、コロナを契機に、接触や移動をできる限り控えるという新しい生活様式が浸透し、家の中にいる時間が増えたことで、ネットショッピングや中食・宅配、デジタルコンテンツなど、消費者の消費行動に変化が生じるなど、事業者を取り巻く環境は大きく変化しています。 最近は、以前のように気軽に出歩くことが難しくなりましたが、地元の事業者の方にお話を伺うと、コンビナートを中心とした製造業では、生産や輸出の回復もあり持ち直しているようですが、飲食や宿泊、小売などのサービス業では依然として苦戦を強いられています。 昔から、ショッピング、グルメ、憩いの場として愛されてきた地元の商店街を歩いてみますと、人通りもまばらで、非常に寂しく感じました。商店街をはじめ、対面で触れ合いながら買物などを楽しむことが醍醐味である対面型サービスは、コロナを契機に変革が求められています。 もちろん徹底した感染対策を取ることで、サービスを向上させ、来店頻度を増やすことも重要ですが、一方で、減少した売上げを補うため、新たな価値の創出にも模索をする必要もあります。 例えば来店前の顧客に対して、オンライン化でカウンセリングを実施して対面時間の短縮を図る取組や、ECサイトを活用したオンライン販売など、販売や接客・サービス、決済、営業といった顧客接点の創意工夫が必要ですが、そのために切っても切り離せないのがデジタル技術の活用です。 自社のビジネスモデルを再点検・分析し、デジタル技術をツールとして活用することで、業務の効率化や高付加価値化を図っていかなければなりません。これは、あらゆる企業にとって不可欠になりますし、デジタル化が遅れている地方においてこそ、取組を強化していく必要があると考えています。 今後も、コロナ禍が長期化し、コロナ前の元の生活に戻らないことが予想される中、事業継続はもちろん、新たなサービスの創出や販路拡大、デジタル技術の活用など、様々な課題に直面する中小企業に寄り添った支援を実施することで、本県経済の回復、そして成長につなげていただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。地域の経済と雇用を支える中心的な存在である中小企業への支援を一層充実させることが重要と考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、地域資源を活用した観光の推進についてお尋ねいたします。 周南市の沿岸部には、石油、鉄鋼、化学などの基礎素材型産業を中心とした、全国有数の石油化学コンビナートが形成されています。 このコンビナートが醸し出す幻想的な工場夜景を観光資源として捉え、遊漁船に乗り、徳山湾から工場夜景を楽しむ個人向けクルージングなどが好評を得ています。この夜景は、お笑いコンビ、キングコングの西野さん原作のアニメ映画、えんとつ町のプペルのモデルとなっていることでも大いに話題となりました。 去る二月三日には、全国十二市からなる第十一回全国工場夜景サミットがオンラインで開催され、工場夜景の魅力を発信し、地域振興を図る共同宣言が発表されました。次回は、いよいよ周南市で開催をされることとなっています。 観光という言葉は、中国の四書五経の一つ、易経の一文である、観国之光(国の光を観る)が語源とされています。光とは、その地の自然や文化、産物、風俗などを指しますが、これは工場夜景という光を楽しむものであり、まさにその名のとおり、観光の名にふさわしい取組と言えます。 また、大内氏により建立された、私の地元鹿野の臨済宗の漢陽寺は、昭和の雪舟と称される重森三玲氏の作庭による、平安時代様式の曲水の庭のほか、五つの優雅な庭であることで知られており、ここでの写経・座禅体験も好評です。 このほか、イベントも立派な観光資源です。鹿野の冬の風物詩と知られる、かの冬花火銀嶺の舞は、音楽やレーザー光線と花火のコラボレーションが幻想的なイベントで、今回は初めてドライブインシアターも同時開催されました。コロナ禍により制限された形での開催となりましたが、知事のビデオメッセージも流すことができ、来場者は大いに満足したところでございます。 さて、長引くコロナ禍で、インバウンドの回復は当面期待できない中、改めて国内旅行需要の拡大を戦略的に行う必要があります。 これまではインバウンドが脚光を浴び、どちらかといえば国内旅行はその陰に隠れ、低迷していました。その原因の一つに、旅行動機が漠然と観光地を巡る周遊型観光から、旅の目的をはっきりとさせたテーマ別観光へシフトしていることが挙げられます。本県もそのシフトにしっかり対応していかなければなりません。 そのためには、地域に眠る観光資源を磨き上げ、その価値を深く体感・体験できる滞在型コンテンツを造成する必要があります。地域の特徴的な産業や史跡などを体験する観光を創り出すことにより、本県の観光が一層多様化し、交流人口の拡大や地域の活性化につながるものと考えます。 そこでお尋ねをいたします。本県各地に存在する豊富な地域資源を活用した観光の推進にどのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、中山間地域の道路行政についてお尋ねをいたします。 まず、中山間地域の道路整備についてです。 本県の七割を占める中山間地域では、買物や通院・通学など、地域住民が日常生活を送る上で、自動車は欠かすことができない交通手段であり、中山間地域の居住する方々の安心・安全な暮らしを支える道路は、身近で重要な社会基盤です。 また、農業をはじめとした地域産業の活性化や交流人口の拡大などを通じて地域の活力を高めていくためには、当該地域における道路網の整備が必要です。 県が、これまで、中山間地域の道路整備に計画的に取り組んでいただいていることに深く感謝するところですが、厳しい地形条件などから、車の離合が困難なほど狭い道幅であったり、のり面や路肩の崩壊が危惧される箇所も見受けられます。 人口減少や高齢化の進展により、中山間地域の交通量は決して多いとは言えませんが、自然災害等により孤立するおそれのある集落が数多く存在することから、災害に強い道づくりが切実に求められています。 そこでお尋ねをいたします。中山間地域の道路整備について、県は今後どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、冬季における道路の災害対策についてお尋ねをいたします。 災害は忘れた頃にやってくると言いますが、本年一月の大寒波によって全国で記録的な大雪となり、北陸各県では自衛隊に災害派遣要請する事態も発生しました。 市街地で暮らす方々には大雪はなじみの薄いものかもしれませんが、中山間地域に居住する住民にとっての大雪は、社会経済活動を瞬時に停止させる、まさに災害です。特に大雪や凍結による道路の寸断や機能不全は、経済社会活動だけでなく、救急・救助活動や緊急物資の輸送、ライフラインの復旧作業にも大きな支障を生じさせます。 今回の寒波では、本県も山間部を中心に数年ぶりの大雪に見舞われましたが、国道三百十五号などの基幹道路においては、例年以上に迅速な除雪作業を進めていただき、地域の住民も非常に感謝しているところであります。 しかしながら、町なかの道路などでは、圧雪により車両や歩行者の通行が困難となる状況となり、集落によっては住民が一時孤立する事態ともなりました。 本県において、道路の維持管理や応急対策を担う建設業者が減少する中にあって、今回のような大雪や寒波に対応していくためには、応急対策に即時対応できる体制の確保や迅速かつ効率的な除雪作業の実施、市町などの他の道路管理者との緊密な連携が、これまで以上に求められると考えるところです。 そこでお尋ねをいたします。冬季における道路の災害対策について、県は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、教員の人材確保と資質向上についてお尋ねいたします。 近年、全国的に教員採用試験における競争率の低下が続いています。先日、文部科学省が公表した、二○二○年度採用の公立学校教員の採用試験における競争率は、全体で三・九倍となっております。中でも小学校は、過去最低の二・七倍となっています。この小学校に関しては、二倍を切る教育委員会も出てきており、本県も一・八倍という状況にあります。 競争率の低下は、近年の民間企業等の採用状況が好転していることや、定年退職者数の増加に伴って採用者数が増えるなど、様々な要因によると考えられています。一般的に、倍率が下がれば教員の質の低下を招くという指摘があります。倍率が高ければ高いほどよいというわけではありませんが、選考に当たっては、多くの志願者の中からその適性を見極め、より優秀な方を採用したいわけですから、やはり一定規模の志願者があるが望ましいのは当然のことです。 教員の仕事に意欲のある人を本県への採用へつなげるためには、早い段階から教員の魅力を知ってもらい、志願者を増やしていくことが必要であり、また、魅力を伝えるにしても、近年の教員の長時間勤務の現状もあることから、これを解消するための働き方改革も着実に進めていく必要があると考えます。 また、採用だけでなく、教員の資質向上にも力を入れていかなければなりません。国のGIGAスクール構想を背景に、本県においても公立小中学校、県立学校の児童生徒一人一台の端末の導入が進み、今後はICTを活用した授業が行われることとなります。 授業での活用例として、数学では関数や図形などの変化の様子を見えるようにして考えることや、英語では海外の子供たちと交流することといった例があり、より深い学びとなるように授業を充実していくことが求められます。 先日公表された国の中央教育審議会の答申においても、この日常的なICT活用による授業改善のほかに、対面での指導と遠隔授業を組み合わせた授業の実施や、不登校や障害のある児童生徒の支援など、様々なICT活用について指摘されています。このような取組により教育の質を高めていくには、従来の研修などの取組に加えて、ICTを活用した指導力を高めていく取組を進めていくことが必要であります。 これから迎えるSociety5・0時代において、子供たちを導く、力のある教員の存在は欠かせないものであり、その人材育成に当たっては、採用による人材確保と求められる指導力の向上が重要なものとなると考えます。 そこでお尋ねをいたします。これからの時代の学校教育に求められる教員像をどのように考え、その人材確保と資質能力の向上に今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終えさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)坂本議員の御質問のうち、私からは、農業振興についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む中、本県農業を持続的に発展させるためには、新規就業者の確保に加え、高齢農家の経営資産を次の世代に円滑に継承していくことが重要です。 このため、私は、小規模経営の多い本県の特性を踏まえ、集落営農法人を核に集落ぐるみで農地を守り、継承する仕組みづくりを進めるとともに、今年度から、やまぐち農林振興公社にコーディネーターを配置し、継承案件の掘り起こし等の活動を行ってきたところです。 こうした取組を通じて、とりわけ果樹や施設園芸等の継承において、どのような資産が、どれくらいあるのかなどといった詳細な情報が明確でないことや、継承時期や資産内容について、離農予定者と継承希望者の意向にミスマッチが生じること等の課題が明らかになりました。 私は、これらの課題を克服し、円滑な経営継承を実現するため、デジタル技術を活用して経営資産を明確化し、継承に係る双方のミスマッチを解消する、新たな経営継承の仕組みを構築することといたしました。 まず、経営資産の明確化に向けては、新たに推進員を配置し、農地や施設などの有形資産に加え、特に評価の難しい経営ノウハウ、栽培技術などの無形資産についても、専門家の助言を受けながら映像や数値により可視化します。 さらに、可視化された資産情報を地図情報とリンクした形でデータベース化するなど、県外在住者でも容易に就農の検討に活用できるウェブシステムの整備を進めます。 また、継承に係る双方のミスマッチの解消に向けては、離農から継承が完了するまでの期間、果樹や施設等の資産価値が低下しないよう、省力的に維持管理する技術や仕組みを確立します。 さらに、栽培規模など継承された資産が継承者のニーズに合致するよう、コーディネーターはもとより、関係機関が一体となって改善策を検討する支援体制を構築します。 こうした仕組みは、全国でも先進的であり、山口発の、農の継活と称し、担い手支援日本一の取組の一環として、県内外の就農希望者に向けて積極的に発信していきます。 私は、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、農家の皆さんが長年にわたり培ってこられた経営資産を円滑に、かつ安心して次の世代に託せるよう全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)林業分野におけるスマート技術の活用推進についてのお尋ねにお答えします。 効率的で収益力の高い林業経営を実現するためには、スマート技術の活用が重要であることから、県では、地上レーザーによる高精度な測量技術の実証や、ドローン画像を活用した現場管理の省力化等に取り組んでいるところです。 また、今年度からは、各農林水産事務所にスマート林業推進員を配置し、森林組合等林業事業体に対して、これまでの実証成果や新たなスマート技術の普及啓発を行うなど、導入促進に努めています。 しかしながら、こうした取組だけでは現場実装に結びつきにくいことに加え、林業特有の高い労働災害発生率や労働負荷等により、林業従事者が依然として減少していることから、これらの課題に対する新たな対策が必要です。 このため、県では、林業事業体におけるスマート技術の現場実装の加速化に向けた取組や、労働環境の改善を図るための新たなスマート技術の導入を一層進めてまいります。 まず、現場実装の加速化については、これまでの様々な実証技術をワンパッケージで現場で実践し、木材生産から再造林に至る一連の過程で、個々の技術を組み合わせた相乗的な効果を事業体自ら実感できる取組を支援します。 具体的には、市場ニーズに応じた規格の丸太を自動採材するICT対応型の林業機械の導入や、大型ドローンによる苗木運搬など、デジタル技術等の組み合わせにより、省力化や生産性の向上を促進していきます。 次に、新たなスマート技術の導入については、安全性の向上等を図るため、林業現場での緊急連絡体制の整備など、携帯電話圏外でも作業員同士でチャットによる通信等が可能となるLPWAの導入を進めます。 また、林業作業の中でも労働負荷の大きい急傾斜地での下刈り作業などの軽労化対策として、林業事業体によるアシストスーツの導入を支援していきます。 県としては、効率的で収益力の高い経営の実現による林業の成長産業化に向け、関係団体等と連携しながら、スマート技術の活用を積極的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)中小企業支援についてのお尋ねにお答えします。 県では、これまで、感染症の影響を受けた様々な業種の中小企業の事業継続に向けて、金融支援を下支えに、新しい生活様式を踏まえた事業環境の整備や新サービスの開発、販路拡大など、環境変化に対応する取組を支援してきたところです。 こうした中、感染症の影響によって生じた社会変革の流れや消費者ニーズの変化に的確に対応し、中小企業がさらなる発展を遂げるためには、デジタル化への対応が大きな鍵であり、その加速に向けた一層の支援が求められています。 このため、県としては、中小企業の取組段階に応じた切れ目のないデジタル化の支援や、DX技術を活用した非対面による新たなビジネスモデルの構築など、企業の取組を強力に後押ししていくこととしています。 まず、専門家の伴走支援と補助金を組み合わせた手法により、クラウドサービスの導入を支援し、デジタル基盤の普及を加速するとともに、DXにより個々が有する経営課題の解決を目指す企業には、戦略の策定や情報システムの構築を支援します。 さらに、地方におけるDXによる働き方の新しいスタイルの実践・定着に向け、AIや5G通信等を活用した働き方の先駆的なモデルの創出を図るとともに、オンライン報告会等を通じて、先駆モデルの県内での普及につなげていきます。 また、商店街を中心に、地域の消費動向等のデータをAIを活用し、新事業に結びつけるプラットフォームを構築するとともに、店舗においてはDXを活用した販売スタイルを導入するなど、新たなサービスを確立する実証事業に取り組みます。 県としては、こうした取組を通じて、既存ビジネスの変革や新規ビジネスの創出を促し、今後の経営環境の変化も的確に捉えながら、地域の経済と雇用を支える中小企業の成長をしっかりと支援してまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)地域資源を活用した観光の推進についてのお尋ねにお答えします。 本県は、多彩な地域資源を数多く有しており、これらを活用した魅力ある観光コンテンツの創出を図ることが重要であることから、これまで、絶景を生かした観光周遊バスの造成支援や冬の花火大会など、地域のイベント開催への支援等に取り組んできたところです。 こうした中、コロナ禍において、三密を回避できる自然体験等へのニーズが高まっていることを踏まえ、県では、地域の魅力ある様々な観光資源を生かし、コロナの時代にも対応した体験型の観光に積極的に取り組むこととしています。 具体的には、まず、古地図を生かした町歩きなど、県内各地で多くのウオーキングイベントが行われていることから、これらを一体的にPRする全県的なキャンペーンを展開することにより、県内周遊の一層の促進につなげていきます。 また、他県と比べキャンプ場が多いという本県の強みを生かし、キャンプ場と周辺のアウトドアアクティビティーとを組み合わせ、新たなスポーツツーリズムとして積極的に推進していくことしています。 さらに、来年度は、好評を博している熱気球の体験搭乗の実施箇所を拡大することとしており、新たに周南市の幻想的な工場夜景を対象に加え、このイベントの魅力を高めていくこととしています。 加えて、こうした観光コンテンツをはじめ、本県の様々な観光情報を全国に向けて広く発信するため、SNSやユーチューブ等を活用した効果的なプロモーションを展開していきます。 県としては、今後も市町や関係団体と緊密に連携しながら、さらなる交流人口の拡大に向け、本県の魅力ある地域資源を活用した観光の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)阿部土木建築部長。 〔土木建築部長 阿部雅昭君登壇〕 土木建築部長(阿部雅昭君)中山間地域の道路行政についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、中山間地域の道路整備についてです。 中山間地域において、安心・安全で暮らしやすい生活環境の整備を進めていくためには、地域間の交流・連携に資する幹線道路や、地域住民の日常生活や生産活動の基盤となり、災害時には避難路となる生活道路の整備が重要です。 このため、県では、地域の実情やニーズを踏まえ、交通量などに応じ、二車線改良はもとより、待避所等の局部改良などに取り組んでいるところですが、お示しのとおり、厳しい地形条件等から、擦れ違いが困難な箇所や、のり面等の崩壊が危惧される箇所が依然として残されています。 こうした課題の早期解消に向け、これまでの取組を一層推進するとともに、国による五か年加速化対策の予算も活用し、のり面の補強工事等を進めるなど、利便性・安全性の向上に努めてまいります。 次に、冬季における道路の災害対策についてです。 冬季における交通の確保は、県民生活や地域の産業活動、さらには救急・救命活動を支えるために重要であり、特に中山間地域においては積雪も多いことから、雪害対策を踏まえた維持管理を行っていく必要があります。 このため、県では、これまでも除雪の方法や体制などを除雪計画として定め、凍結防止剤の事前散布や早朝からの除雪作業等を行っているところです。 こうした取組に加え、国や市町、他の機関と連携して、効果的・計画的な除雪に向けた調整や、道路利用者への迅速な情報提供を行うなど、安全かつ円滑な交通の確保に努めてまいります。 さらに、除雪業者の相互応援による集中除雪や、短時間で大雪となった際の一車線の先行除雪等を行うことにより、車両滞留の発生抑制や通行止め時間の最小化に取り組む考えです。 県としては、今後とも、地域の活力創出や県民の安心・安全の確保を図るため、中山間地域はもとより、県内全域の幹線道路から生活道路に至る道路網の整備や、適切な維持管理に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)教員の人材確保と資質向上についてのお尋ねにお答えします。 社会の状況が急速に変化する中、子供たち一人一人の学びを深め、これからの時代に必要な力を育むことができる教員の人材確保と資質能力の向上が重要です。 本県も含め、全国的に教員採用試験における採用倍率の低下傾向が続く中、県教委では、これまでも志願者数の確保に向けて教職の魅力の発信に努めるとともに、教員のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた環境改善にも取り組んできたところです。 そうした中、お示しの中央教育審議会答申においては、これからの時代に求められる教員の姿として、学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教員の生涯を通じて学び続けることが示されており、これは、本県が示す教師像の一つである、常に自己研さんに努める意欲とチャレンジ精神のある人と通じるもので、今後は、このような教員が一層求められると考えています。 そうした人材を確保するため、本県では、例えば教員志望者の実践的指導力を養う独自の教師塾を実施し、様々な講座や学校現場での体験を通して自らの課題を発見する中で、さらなる学びへの意欲を高めるとともに、教員採用試験においては、その修了者に対する特別選考を行っています。 また、本県では、新年度から、やまぐちスマートスクール構想を推進することとしており、教員には、これまで学校現場で積み上げてきた教育実践に加えて、新たに整備したICT環境を効果的に活用していく力が強く求められています。 このため、ICT機器を授業等で効果的に活用するための研修や、教科横断的な教育等の新たな視点を取り入れた教育プログラムの研究開発、さらには、大学等との連携により、ICT活用を推進するリーダーの育成等を行い、教員の資質能力の向上を図っていくこととしています。 県教委といたしましては、引き続き教職の魅力の発信や、大学等と連携した教員養成段階の取組の充実等を通して、教員の人材確保に努めるとともに、ICT活用をはじめとした様々な研修の実施などにより、これからの時代に求められる教員の資質能力の向上に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時三十八分休憩