1 コロナ対応と県政運営について 2 その他
副議長(藤生通陽君)合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手) 合志栄一君 新政クラブの合志です。通告に従いまして、コロナ対応と県政運営についてということで一般質問を行います。 質問のその一は、財政運営についてでありまして、まずは、コロナ対応の県財政への影響についてお伺いいたします。 令和二年度四月の臨時議会と六月、九月、十一月の定例議会の四議会及び専決により、本県が新型コロナウイルス感染症対策のために補正予算措置した総額は、三千五百億円余であります。 そのうちの二千九百億円余は、県の制度融資の預託金で、県内経済の下支えのために経営安定資金では千二百億円の融資枠を、国の施策に基づく新型コロナウイルス感染症対応資金では四千億円の融資枠を、県は確保しました。 預託した資金は、金融機関から年度末に利子分を加えて返還され、その額は諸収入として歳入予算に計上されます。 したがって、制度融資に係る預託金は巨額でありますが、それは県財政の負担にはなりません。制度融資で県財政の負担になるのは、そのことに伴う利子や信用保証料の軽減及び損失補償などの予算措置に関してであります。 そこで、新型コロナウイルス感染症対策の県財政への影響を把握するには、制度融資に係る預託金の総額二千九百億円を、コロナ対策総額三千五百億円から引いた額六百億円に関して財源を知る必要があります。 よって、このことを予算説明書から見ていきますと、その財源内訳は、おおむね国支出金が五百億円で、残りの百億円は財政調整基金や減債基金等の財源調整用基金を取り崩しての繰入金であります。 このため、こうしたコロナ対策のための基金取崩しが、令和三年度の県予算編成にどう影響するかが懸念されたところであります。令和二年度当初予算では、年度末の財源調整用基金の残額は百十一億円と見込まれていましたので、百億円の基金取崩しがあれば、単純計算では十億円余の残高しかないところであります。 それが、令和三年度県当初予算の概要を見ますと、令和二年度末の財源用調整基金の残高は百四十億円と見込まれていて、令和二年度当初予算での基金残高見込額から三十九億円増額の見通しとなっています。 これは、コロナ対策に一旦基金取崩しで財源確保を図ったものの、国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などを、年明けの国の第三次補正による追加分も含めて最大限活用する等の財源確保に関する工夫努力に取り組んだ結果、最終的には基金を取り崩さずに済み、しかも財源に幾分余裕が生じたということではないかと推察しています。 一方、コロナ対応で人の動きが制限され、経済活動が収縮したことによる県税収入等の減少は、国が令和三年度地方財政対策として地方交付税と臨時財政対策債を増額する見通しであることから、県の令和三年度予算編成の影響は緩和されたものと見ております。 以上の指摘を踏まえてお尋ねいたします。本県においては、コロナ対応による県財政の悪化は回避されたものと見ていますがどうなのか、このことも含め新型コロナウイルス感染症対策の県財政への影響について御所見をお伺いいたします。 次に、今後の財政運営方針についてということで、まず、行財政構造改革についてお伺いいたします。 御案内のように、本県は、平成二十九年度から令和三年度まで五か年を改革期間として行財政構造改革に取り組んできました。この改革への取組は、令和二年度当初予算では、改革期間の最終年度である令和三年度末には、改革目標を達成する見通しが示されていました。 それが、昨年春からコロナの感染拡大防止と経済対策に緊急かつ全面的に取り組む必要が生じ、令和二年四月の臨時議会で村岡知事は、行財政構造改革は凍結することを表明されました。このことで、行財政構造改革の取組は棚上げされ、後退するのではないかと懸念されたところであります。 この改革が目指した目標は、令和三年度末までに収支均衡した持続可能な財政構造へ転換し、令和四年度の当初予算からは臨時的な財源確保対策に依存しない財政運営を実現することでありました。 この目標への見通しはどうなのかを令和三年度当初予算から見ますと、臨時的な財源確保への依存は市町振興基金取崩し等がありますが、その額は九億円まで大きく減少する見込みで、令和四年度当初予算からは、臨時的な財源確保対策に依存しないとの目標は厳しいかもしれませんが、実現の可能性が視野に入ってきているように思われます。 思うに、行財政構造改革のメインである歳出構造改革は、一、総人件費の縮減、二、事務事業の見直し、三、公共投資等の適正化、四、公債費の平準化、五、公の施設の見直しの五本柱から構成されていますが、一の総人件費の縮減を、職員数及び給与水準の適正管理の意味に解し、五の公の施設の見直しは、その見直し方針を再検討することにすれば、この五本柱は、本来、期間を区切って取り組む筋合いのものではなく、県行政執行の上において常時不断に取り組んでいくことが求められている課題であります。 そういう認識に立ちますと、行財政構造改革の凍結は適当な時期に解除して、今回の改革目標を方針どおりに実現し、新たなステージに向かって、山口県政の財政基盤を整えることが望ましいと考えます。 そこでお尋ねです。令和二年度においては、コロナ対策に全力で取り組む姿勢を明らかにする意味において、行財政構造改革の凍結を表明されたのは妥当であったと思いますが、令和三年度においては、この凍結を解除し、コロナ対策と行財政構造改革の両立を図っていくことが望ましいと考えます。ついては、このことにつき御所見をお伺いいたします。 次に、県債の発行についてであります。 県債の発行に関してまず申し上げておきたいことは、一旦、行財政構造改革で財政の収支均衡を実現した上は、将来に向けた施策の推進、すなわち将来への投資に重点的に取り組むべきで、そのためには財政の収支均衡を自己目的化せず、県債発行の増加があってもいいということであります。 県のコロナ対策に関する予算収支を見て痛感したことは、財源面における国の権能がいかに強大であるかということです。それは二つありまして、一つは、財源の確保においてであり、もう一つは、地方財政の管理においてであります。 その一の財源確保の面を、コロナ対策を通して見ていきますと、国は令和二年度に三たび補正予算措置しまして、その総額は約八十兆円に上りますが、財源は国債の発行によるものであります。 一方、本県は、コロナ対策のための県債の発行は一切ありません。九月補正で県債が二十億円予算計上されていますが、これは七月豪雨災害対策関連事業の財源確保のためであります。 国と地方自治体とでは、起債による財源確保に大きな違いがあります。それは、国は歳入不足が生じると見込まれた場合、赤字国債を発行して財源を確保し充当することができますが、地方自治体の場合は、地方債の発行は原則として建設事業債に限られていて、歳入不足を補う一般財源確保のために赤字地方債を発行することは認められていません。 コロナ対策のために国は国債を発行して財源を確保しているのに、県債によるコロナ対策の財源確保がなされないのは、そうした制度上の理由によるものと思われます。 国が、赤字国債の発行で財源を確保することは、将来の世代に借金を残し、国の財政破綻を招くおそれがあるとの理由で不安視する見方もありますが、通貨の独占的発行権を有する国が、経済の血液としての通貨の供給を国債の発行を通して適宜図っていくことは、社会経済活動、ひいては国民生活を守っていく上においての国の責務であり、そのことにより国の経済力、国力がしっかり保たれていけば、国の借金の累積はそう恐れる必要はないと見ております。 そのことに関する議論はさておき、いずれにせよ、国債の発行と通貨発行の独占的権限により、財源確保に絶大な権能を国が有していることは間違いありません。 次に、もう一つの国の地方財政の管理についてであります。 平成十一年に地方分権一括法が成立して、地方分権は大いに進んだように見えます。確かに、国と地方公共団体は上下関係ではなく、対等の関係との原則に立っての法改正が行われ、機関委任事務は廃止され、地方債の発行は許可制から協議制に改められました。 さらに、財政状況が一定の水準を満たし健全性が保たれていれば、協議は不要で事前の届出があれば、地方債を発行できるようになりました。 しかし、協議なしに事前の届出で地方債の発行ができる財政水準の自治体も、山口県もそうでありますが、ほとんどは国と協議を行い、同意の上で起債をしています。 したがって、自治体が一般財源を確保する上での有力な手だてである地方債の発行は、制度上その自由度は増したかに見えますが、実際上は今日も地方債に係る国との関係は実質変わっていないと言っても過言ではないでしょう。 また先ほど、赤字地方債は認められていないと申し上げましたが、実は近年、御案内のように、地方交付税による財源保障が十分でないために生じた地方財政収支の不足額を補?するために臨時財政対策債の発行が、国が示す限度額まで認められるようになりました。 これは実質、赤字地方債に相当するものですが、その元利償還分は後年度、基準財政需要額に算入されて地方交付税措置されることとされていまして、そういうことも含め地方債の発行は、国が策定する地方財政計画の大枠の中で行われていると見てよく、我が国においては、地方財政にも国の管理がしっかり行き届いていると言えます。 そこでお尋ねです。以上申し上げましたように、国が財源も含めて地方財政をしっかりコントロールしている現状は、財政力の地域間格差がある中において、全国のどの地域においても一定水準の行政がひとしく担保されるという意味で評価されていい在り方とみなしますが、私は、地方債の発行に関しては、もう少し自由度を高め、対象を広げて道路や公共施設などの建設事業に対してだけではなく、産業振興策としての設備投資などへの補助財源やコロナ対策のような緊急事態対応のための自主財源の確保にも、県債の発行ができるようにするのが望ましいと考えています。 また、そうした将来への投資に相当する事業や緊急事態対応のためには、県債の増加も容認する柔軟な財政運営の姿勢が、県にはあってもいいと考えるものです。ついては、現在の地方債制度についての見解と、本県における今後の県債発行の方針につき、御所見をお伺いいたします。 質問のその二は、医療提供体制についてであります。 新型コロナウイルスの我が国における感染状況は、第三波の山は越えたものの、完全収束はまだ見通せず、国民の関心はワクチン接種がどう行われるかに向いており、その効果への期待が高まっています。 本県においても、ワクチン接種に向けての準備は進んでいると思います。報道されるところによると、ワクチンが届く量や時期が不透明な中での準備となり、その業務を担当される方々の御苦労は大変かと察しますが、当面のコロナ対策の切り札とも言うべきワクチン接種がスムーズに行われるよう、関係される方々の頑張りを期待したいと思います。 ただ、この新型コロナウイルスワクチンは、感染を防ぐものではなく、発症や重症化を防ぐものであり、しかも、その効果がどれほどの期間持続するものであるかが明らかでないことから、コロナ対策は、ワクチン接種で即完全解決とはいかないようですし、変種コロナウイルス等も含め、今後、新たな感染症の流行が発生することも考えられます。 そこで、たとえそういう事態になったとしても、十分対応できる医療提供体制を、今回のコロナ対応の経験を踏まえて整えておくことが大事と思われます。ついては、今回はその一環として、コロナ回復期患者への医療提供体制についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症患者については、重症患者は重点医療機関、軽症、中等症患者は協力医療機関で入院診療が実施されています。いずれも感染症が軽快し、感染リスクはないと判断された場合には居宅に帰ることとなりますが、高齢者など感染症以外の疾病等により、引き続き、入院が必要なケースが生じた場合、本来であれば病病連携により重点医療機関または協力医療機関から他病院に転院することとなります。 しかしながら、感染症の再燃対策や人員等の問題で当該患者を受け入れるよう協力要請があったとしても、ちゅうちょする病院も多いのではないかと想定されます。 また、自施設内での一般病棟への転棟についても、引き続き、再燃に対する防御対策と相応の人員配置が必要となり、感染対策上多床室で受けることができず、個室の運用状況では移動が困難となります。 こうした場合、患者が重点医療機関または協力医療機関に滞留し続けることとなり、限られた病床を占有して病床逼迫の原因となり、通常の入院診療にも支障を来すこととなりかねません。 そこでお尋ねです。本県では、コロナ対応の関係者の皆様の奮闘で、病床逼迫という事態にまでは至ることなく推移してきていますが、今後の感染症に対する十分な備えとして、新型コロナウイルス等の感染症回復後の患者の入院診療において、重点医療機関及び協力医療機関とそれを補完する後方医療機関との連携が円滑に進められるよう、医療提供体制を整えておくことが望まれます。 ついては、後方支援の役割を担う医療機関が、コロナ等感染症回復期患者を不安なく受け入れることができるようにするためのルールづくりや施設整備への補助など、県において体制整備に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、質問のその三、観光宿泊・飲食業等への支援についてであります。 昨年の夏から秋にかけて観光宿泊・飲食業の需要は、回復基調にありました。 それが、季節が冬となり、収まったかに見えていた新型コロナウイルスの感染拡大が、東京都をはじめとする大都会から全国に波及する様相を呈してきたことから、これを防止するため、まずは、昨年末の十二月二十八日に「Go To トラベル」が全国一斉に停止となりました。 続いて、年明けて一月七日に一都三県に、さらに一月十三日には加えて二府五県に緊急事態宣言が発出されました。 こうした「Go To トラベル」の停止と緊急事態宣言により、再び観光宿泊・飲食業の業界は需要が一気に激減し、関係事業者は、今日極めて厳しい経営環境の中にあります。 私は、そうした観光宿泊・飲食業の実情を知るべく関係者を訪ねて、率直な声を聞くことを心がけてまいりました。以下、その中の幾つかを御参考までに紹介いたします。 まず、宿泊状況について、あるホテルの述懐です。昨年の九月から十二月の間はよかった。年末から正月にかけては予約で満室であったが、「Go To トラベル」の停止でキャンセルが相次ぎ三割までに減った。それでも、県のプレミアム宿泊券が利用できた一月十五日までは、ある程度のお客があったが、それ以降は客が日に十人から二十人ほどという状況になり、土曜日以外は休業することにした。 次に、公的支援についての声であります。 あるホテルの経営者は、次のように強く訴えられました。何よりも、需要喚起策をお願いしたい。昨年のプレミアム宿泊券は大きな効果があった。令和三年度もできれば、昨年と同規模でお願いしたい。またゴールデンウイークやお盆などは、自然体で予約が入ってくるので、それ以外の期間に利用できるようにして、旅行需要の分散化を図ってほしい。 プレミアム宿泊券については、広く多くの人が利用できるように、また利用が特定のクラスの宿泊施設に偏らないようにということで、一人の取得枚数や一回の宿泊での利用枚数などに制限を設けるべきではないかとの声を、複数のホテル関係者から聞いています。 融資や補助については、次のような声が多く聞かれました。コロナ感染症対応資金ということで無利子・無担保・保証料低減・据置期間五年等の極めて有利な条件で融資を受けられることは誠にありがたいが、借りたものは返さなければならない。そのことを思うと融資を受けるべきかどうか悩む。 観光方面の土産品のウエートが大きい特産品関連の事業者からは、ウイズコロナ、アフターコロナの時代に対応するためウェブ面の強化を図る設備投資をしたいが、そうしたデジタル化への取組は初期投資にお金がかかる。コロナ収束の見通しがはっきりせず、将来への不安がある中、どうしても手持ち資金を確保しておきたいということで、そうした設備投資に踏み切れない。できれば、こうしたコロナ対応の設備投資には補助をお願いしたい。 また、その補助採択に関しては、基準を明確にし、手続は透明性があって公平な扱いが担保される仕組みにしてほしい、そういう声がありました。 飲食業の関係者からは、国の緊急事態宣言の解除、本県では感染状況がステージⅢではなくなったことの表明を待ち望む声、また給付金などの支援補助は、売上げや店の規模に応じて行う工夫をしてほしい旨の声などが聞かれました。 私たちは、こうした声を真摯に受け止め、対応していかなければならないと考えます。 それと、私が訪ねた事業者に経営状況を聞いて感じたことは、雇用調整助成金が果たしている役割の大きさであります。休業しても従業員を解雇しなければ、日数換算の平均賃金を一日当たり一万五千円を上限に、十分の十休業手当として助成することにした雇用調整助成金の特例措置は、従前に比べて申請手続も格段に簡易となり、この特例措置のおかげで観光宿泊・飲食業関係でも、事業継続と雇用確保が何とか図られているところは多いと思われます。 また、それらの事業者は、この特例措置が今年の六月まで延長されることに胸をなでおろし、後は、どうやりくり算段してコロナ危機を乗り切るかを必死に考えています。 そこでお尋ねであります。私は、こうした観光宿泊・飲食業関係への支援策は大きく三つあると考えています。その一は、大胆な需要喚起による支援であります。その二は、行き届いた融資による支援です。その三は、ウイズコロナ、アフターコロナの時代に向けた設備投資への積極的かつ幅広い補助による支援であります。 ついては、こうした支援に県は、今後どう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 質問のその四、県づくりの方向については、思うところを述べ要望とさせていただきます。 現在、山口県政は、「活力みなぎる山口県」の実現を県づくりの基本目標として諸政策を推進しています。私は、これまではその基本目標でよかったと思っていますが、これからはもう一歩踏み込んだ具体的な内容の目標設定が必要なのではないかと考えています。 山本繁太郎前知事が、病で辞められるという、言わば非常事態の中で知事になられた村岡知事にとって、当面の課題は、まず、県政運営を安定軌道に乗せることでした。村岡知事は、この役割を立派に果たしてこられました。 そして、徐々に村岡カラーが出た県政運営になるかなという矢先に、県政はコロナ対応に集中することになりました。村岡知事は、このことにもしっかり対応してこられたように思います。 前知事が病で辞めるという非常事態からコロナ対応という緊急事態までの間は、県政の混乱を回避し、県の活力の維持増進を図るということで、「活力みなぎる山口県」の実現は、妥当な県づくりの方向であったと思います。 しかし、これからはそのことの上に、みなぎる活力で何を実現していくのかが県政には問われることになります。 維新プランや総合戦略には、確かに施策がいろいろ記されていますが、それらの施策は、こういう山口県を実現するためにという大きな方向性の下で位置づけられて意義あるもとなります。 その大きな方向性を具体的な県の形として示す旗印を掲げ、その実現をリーディングプロジェクトを設定して図り推進していく、そうした取組が今日、山口県政には求められているのではないでしょうか。 以上、山口県政が村岡知事の下、将来に向けて着実に発展の歩みを続けて希望の山口県を実現していくことを願い、思うところを申し上げました。意とするところを受け止めていただきますよう要望いたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)合志議員の御質問のうち、私からは、財政運営に関するコロナ対応の県財政への影響についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、県民の命と健康を守ることが第一との認識の下、私は、感染状況や社会経済情勢を踏まえ、感染拡大の防止や県内経済の下支え、消費需要の喚起対策などの感染症対策を、今回の予算も含め数度にわたり講じてきたところです。 その財源としては、国の交付金を活用するほか、財源調整用基金を取り崩して対応してきたところであり、その今年度末残高は一時九億円程度にまで減少しましたが、国の補正予算による臨時交付金の増額等により、百四十億円程度まで回復できる見通しとなりました。 一方、来年度予算においては、県税収入の大幅な減少等により四十五億円の財源不足が生じ、これに対応した後の財源調整用基金の来年度末残高は九十五億円程度となる見込みであり、コロナの影響により、行財政構造改革の目標としていた百億円には届かない状況です。 さらに、コロナの感染者の発生は続いており、引き続き、予断を許さない状況にあることから、今後の県税収入の見込みやコロナ対策における追加財政需要については不透明であることに変わりはなく、本県の財政は、依然として厳しい見通しが続くと考えています。 したがって、私としては、臨時交付金の増額を機動的に行うなど、地方が必要とする財源について、十分かつ適切に確保するよう、全国知事会等を通じて引き続き国に要望していきたいと考えています。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(藤生通陽君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)今後の財政運営方針についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、行財政構造改革についてです。 県では、昨年四月、改革を一時凍結し、改革に掲げた目標にはこだわらず、新型コロナの感染拡大の防止と経済活性化等に人的資源・財源を集中投資することとし、総人件費の縮減など、改革の個別の取組については、新型コロナ対策への迅速かつ機動的な対応を最優先に、選択と集中の観点から行財政改革統括本部において、全庁的な進行管理を適切に実施することとしたところです。 こうした中、感染症の収束がいまだ見通せない状況にあり、引き続き、県民の命と健康を守るため、さらなる感染拡大を防いでいくこと、そして、暮らしの安定を確保し、地域経済を回復基調に乗せていくことが目下の最重要課題です。 このため、改革の凍結解除については、感染症の収束や新型コロナ対策に係る集中投資の状況等を見極めた上で、その時期を検討してまいります。 一方、来年度の当初予算編成においては、新型コロナへの対応を最優先に、事務事業等について不断の見直しを図ったところであり、今後、執行段階においても、最小の経費で最大の効果を上げるよう徹底を図ってまいります。 次に、県債の発行についてです。 地方債をもってその財源とすることができる経費については、地方財政法第五条により、災害復旧事業費や公共施設等の建設事業費等の財源とする場合などに限定されていますが、これは、世代間の負担の公平性や地方公共団体の財政運営の健全化を図るという本条の趣旨によるものと理解しています。 また、本県ではこれまで、県内景気の回復などその時々の課題に対応するため、積極的な社会資本の整備に取り組みながら、県債残高の縮減を財政健全化の目標として、県債発行額を公債費以下とするプライマリーバランスの黒字の確保に着目し、一般分の県債発行の抑制に努めてきたところです。 来年度予算においても、一般分の県債に係るプライマリーバランスについては黒字を堅持したところであり、引き続き、必要な公共投資の事業量を確保しつつ、一般分の県債発行の抑制に努め、県債残高の縮減を図ってまいります。 副議長(藤生通陽君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)医療提供体制についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症に感染した患者が、安心して、迅速かつ適切に医療が受けられる医療提供体制の確保が重要であると考えています。 このため、県では、十分な入院病床の確保はもとより、各保健所に搬送コーディネーターを配置するとともに、県庁内に医師等からなる広域調整本部を設置するなど、コロナ治療後の転院も含め、円滑な患者の入退院調整等を行っているところです。 こうした中、お示しのように、今般、国において、感染拡大に備え、コロナ回復患者の転院先となる医療機関を後方支援医療機関として位置づけ、その確保を進めるとされたところです。 県では、後方支援医療機関の増加により、円滑で効率的な病床運用や適切な患者の受入れが期待されることから、国が創設した、診療時における感染防止対策に要する費用への補助制度や、診療報酬などの引上げについての情報を各医療機関に周知し、取組の促進を図っているところです。 また、医療圏ごとに医療資源等が異なることから、圏域会議の開催を通じて、後方支援医療機関の確保に向けた検討や連携の在り方等について、具体的な協議を進めることとしています。 県としましては、引き続き、医療機関の御協力の下、後方支援医療機関の確保も含めた、医療提供体制の充実に努めてまいります。 副議長(藤生通陽君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)観光宿泊・飲食業等への支援に関するお尋ねのうち、大胆な需要喚起による支援についてお答えします。 コロナ禍において、観光産業や飲食業は深刻なダメージを受けており、今後、感染状況も踏まえ、消費需要を喚起する思い切った取組を効果的に実施することが必要です。 このため、まず、観光関係では、前回好評を博した割引率五○%のプレミアム宿泊券を、同様の規模となる五十万枚発行し、観光需要を強力に喚起するとともに、お盆など繁忙期の利用制限や利用枚数の上限設定を行うことにより、需要の平準化にも取り組むこととしています。 また、県内全ての路線バス、鉄道事業者と連携したデジタルスタンプラリーや、本県の魅力を全国に発信するオンラインによる観光イベントの実施など、観光需要の喚起に向けた効果的なプロモーションにも取り組んでいきます。 さらに、飲食業関係では、国の「Go To Eatキャンペーン事業」とも連携して、新型コロナウイルス対策取組宣言飲食店のさらなる普及と利用拡大を図ることとしています。 県としては、今後とも、感染状況や経済動向を見極めつつ、消費需要の喚起を通じた関連事業者の支援に積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)福田商工労働部長。 〔商工労働部長 福田浩治君登壇〕 商工労働部長(福田浩治君)観光宿泊・飲食業等への支援についてのお尋ねのうち、二点についてお答えします。 まず、金融支援については、お示しのとおり、県制度融資に国の制度を活用し、保証料負担がなく、三年間無利子の新型コロナウイルス感染症対応資金を創設し、経営安定資金と合わせて五千二百億円の融資枠を確保しています。 さらに、新資金については、事業者からの追加資金需要に応えるため、上限額を引き上げるとともに、厳しい経営環境の中で返済期間等の条件変更が必要な場合でも、保証料の追加負担が生じないよう、借換え制限も大幅に緩和しました。 来年度も、経営安定資金に四百二十億円の融資枠を確保するとともに、中小企業が金融機関から継続的な支援を受け、早期の経営改善を図る場合には、保証料負担を大幅に軽減する伴走支援枠を新設し、資金繰りの円滑化を図ります。 また、設備投資への支援については、感染防止に配慮した事業環境整備に必要とされる改修費や機器整備等への補助を実施することなどにより、中小企業の事業活動の再始動に向けた取組を後押ししてきたところです。 来年度は、コロナとの共存を前提とした社会変革の原動力となるデジタル化を加速するため、クラウドサービスの導入やシステム構築など、企業の取組状況に応じたきめ細かな支援を行う制度を創設し、中小企業の持続的な成長を支援します。 この制度を活用し、お示しのようなウェブ面の強化を図る設備投資をはじめ、デジタル化に向けたシステム構築を進めることにより、企業負担の軽減を図ることが可能となります。 県としては、観光宿泊・飲食業等の事業者が経営基盤の強化を図られるよう、事業者に寄り添った金融支援と、デジタル化への対応についての支援に積極的に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(藤生通陽君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会といたします。御苦労さまでした。 午後二時二十二分散会