1 令和3年度当初予算について 2 新型コロナウイルス感染症拡大の防止について 3 ポストコロナに向けた社会構造の転換と経済の好循環の実現について 4 防災・減災、国土強靱化の推進について 5 捕鯨産業の振興による地域活性化について 6 教育行政について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第七十九号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十九号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 友広巌君。 〔友広巌君登壇〕(拍手) 友広巌君 皆さん、おはようございます。自由民主党の友広巌でございます。令和三年二月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事及び教育長に質問をいたします。 質問に先立ち一言申し上げます。 初めに、新型コロナウイルス感染症により貴い命を落とされた方々の御冥福を、また、今なお入院・療養中の多くの皆様の一日も早い御回復を心よりお祈り申し上げます。 本県で初の新型コロナウイルス感染症の患者が確認されてから、明日でちょうど一年が経過をします。 我が自由民主党県連では、感染症拡大に対する強い危機感、そして県民生活・社会経済への影響を鑑み、県内での患者発生後、直ちに新型コロナウイルス感染症緊急対策本部を立ち上げ、各地域や各種団体等からの御意見をお聞きするとともに、あらゆる機会を通じて県執行部に対して申入れを行ってまいりました。 新型コロナウイルスへの対応に当たっては、感染拡大に万全の対策を取ること、そして社会経済活動のレベルを引き上げていくこととのバランスに、極めて高度な緊張感と判断力が求められます。 一方で、ポストコロナを見据えた本県のあるべき姿をしっかりと描き、幅広い分野でのデジタル化をはじめとした社会構造の転換を進めるなど、ポストコロナに向けた戦略的な取組を早急に推進していかなければなりません。 また、気候変動により頻発化・激甚化する自然災害に対し万全の対策を講じていくことは、コロナの時代であっても引き続き喫緊の課題であることは言うまでもありません。 昨年末から続いた全国的な感染の急拡大は、様々な感染防止対策の効果により減少に転じてまいりましたが、まだまだ予断を許さない状況です。引き続き国と地方が一丸となり英知を結集して、この未曽有の危機を乗り越え、未来に向かう歩みを進めなければなりません。 国、政府においては、菅総理の下、一日も早い感染の収束と落ち込んだ経済の回復に向けて、あらゆる手だてを講じるとともに、ポストコロナ時代における我が国の成長の原動力となるデジタル改革など、安心と希望に満ちた社会の実現に向けた取組がスピード感を持って進められています。 我が自由民主党会派においても、県民の命と生活を守り抜くことと同時に、コロナ収束後の社会を見据えた県づくりに向け、片時も気を緩めることなく、総力を挙げて取り組んでいくことを申し上げ、通告に従い質問をいたします。 初めに、令和三年度当初予算についてお尋ねをいたします。 冒頭でも触れましたが、来年度は感染拡大防止と社会経済活動の両立を基本戦略に据えつつ、デジタル改革をはじめ、ポストコロナを見据えた取組を加速させる重要な年となります。 県議会でも、コロナ禍であっても本県らしい新たな活力を生み出すため、一年余りにわたって山口県の新たな活力創出推進特別委員会の調査研究を経て、昨年十二月、来年度予算において重点的に取り組むべき十七の項目について政策提言を行いました。 そして、我が自由民主党県連では、市町や友好団体からいただいた約八百五十件に及ぶ要望を五十八項目の超重点要望事項として取りまとめ、去る一月、村岡知事に要望したところです。 このたび提出された当初予算案では、私どもの要望に対し特段の配慮をいただき、可能な限り措置をしていただいたものと、その御尽力にまずもって敬意を表する次第です。 また、予算編成時、約七十億円の財源不足が見込まれる厳しい状況の中、国の補正予算を最大限活用し、十五か月予算として、令和二年度二月補正予算と一体的に編成されるなど、大変な御苦労をされたことと拝察をいたします。 そこでお尋ねします。来年度当初予算は、新型コロナウイルス感染症対策の徹底と経済活性化の両立、危機から生まれた変化を成長へつなげる県づくりの加速化、国の経済対策に呼応した緊急課題への対応の三本の柱で編成をされていますが、その予算に込めた知事の思い、そして来年度の取組を進めるに当たっての決意についてお伺いをいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止についてお尋ねをいたします。 新型コロナウイルスとの闘いが始まって、はや一年、いまだ収束の兆しは見えません。この冬場には、全国では大都市圏を中心に急激に感染が拡大し、医療提供体制が逼迫する地域が出るなど、厳しい状況が続きました。本県でも、県内の複数地域で大規模な感染拡大が発生し、一月には、これまでで最多となる六百人を超える感染者が確認をされています。 しかしながら、県ではこれまで、冬場の感染拡大に備えて体制を整備し、積極的な検査を幅広く実施することで早期に感染を囲い込むとともに、感染者の急増にも早い段階から十分な体制を確保し、適切に医療を提供できていることは、感染の不安がある中にあっても、県民の大きな安心につながっているものと大いに評価をするところです。 一方で、大都市圏を中心に多数の感染者数の発生が続いており、また、感染力が強いとされる新たな変異株が国内でも確認されるなど、感染の再拡大はいつ起きてもおかしくない状況にあります。感染を収束させ、県民が安心して暮らせる日常を一日でも早く取り戻さなければなりません。 こうした中、国において、新型コロナウイルスの切り札となるワクチン接種に向けた準備が進められています。ワクチンには発症や重症化を予防する効果が確認されており、県民の命や健康を守るとともに、入院が必要な感染者の減少を通じ、地域の医療提供体制の維持につながることができます。また、より多くの県民が接種を受けることで、地域全体の感染拡大防止につながることも期待されています。 一日でも早い安心した社会生活と活力ある経済の回復に向けては、早期のワクチン接種を確実に実施していくことが重要であり、市町や地域の関係機関とも連携し、早急に実施体制を構築するとともに、より多くの県民の接種につなげるよう、県民が安心して接種ができる体制の確保などに取り組むことが必要です。 また、さらなる感染拡大に備えては、感染者が急増する中でも、必要な方が適切な医療を受けられるよう、医療提供体制の強化などに引き続き取り組むことも重要です。 とりわけ、新型コロナウイルスのような新たな感染症の流行はいつ起きてもおかしくありません。このたびの経験も含め、県内唯一の第一種感染症指定医療機関である県立総合医療センターに引き続き中心的な役割を担っていただきたいと考えます。 なお、県立総合医療センターは、現所在地に移転後三十七年が経過し、老朽化も進み、建て替えの時期を迎えつつあります。ついては、今後の本県の感染症対策に向けては、県立総合医療センターを中核とする医療提供体制の一層の強化に取り組むことが重要だと思うのです。 そこでお尋ねをいたします。県民の安心した日常を一日でも早く取り戻すため、また、さらなる感染拡大においても県民の命と健康を守り抜くため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止について、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、ポストコロナに向けた社会構造の転換と経済の好循環の実現についてお尋ねをいたします。 まず、地域経済の好循環実現に向けた取組の強化についてです。 昨年四月の新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令により、我が国経済は戦後最悪の厳しい状況に陥りましたが、宣言解除後は、感染拡大防止と両立する形で社会経済活動のレベルを段階的に引き上げてきたところです。 国や県では、雇用調整助成金や無利子・無担保融資など、雇用や事業の継続に向けた支援を講じるとともに、感染防止策を徹底した上で、「Go To キャンペーン」やプレミアム宿泊券の販売を進めるなど、消費需要の喚起を図ってまいりました。 こうした取組の効果も相まって、落ち込んだ経済は緩やかながら回復の兆しが見られたものの、再度の感染拡大により、年末年始を挟んで様相が一変しました。「Go To キャンペーン」の全国一斉停止や緊急事態宣言の再発令に伴う飲食店に対する営業時間の短縮要請などにより、人・経済の流れが止まったのです。 本県においては、自動車産業や化学工業など生産や輸出を起点とした製造業の回復や、家電やスーパーなどの巣籠もり消費拡大による押し上げなどにより、県内景気は弱い状況ながら持ち直しつつあります。 一方で、再度の感染拡大により、県内でも外出を控える動きが広がる中、飲食店をはじめ、その取引先である納入業者や生産者、旅館や土産物店など大きな影響が出ているのが実態です。 我が自由民主党県連には、こうした業種を中心に、再度の困難に直面する事業者から、経営や先行きの見えない将来に対する不安の声が寄せられています。 現在の経済の落ち込みは、感染に対する不安からの外出抑制によるところが大きく、感染症拡大の防止に向けた取組の強化が重要ですが、雇用や県民生活を守るためには、事業や経済が回るようにしていくことが不可欠です。今後も、あらゆる対策を講じて、経済の持ち直しの動きを確かなものとし、民需主導の成長軌道を取り戻していかなければなりません。 そのためにも、事業者の実情を踏まえた支援を的確に実施するとともに、時期を捉えた需要喚起策などにより県内の消費を活性化させ、事業者の所得を向上させる取組を強化していくことが重要であると思うのです。 そこでお尋ねをいたします。再度の感染拡大により落ち込んだ地域経済を下支えし、民需主導の経済活動の好循環の実現に向けて、県は今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、社会構造転換の原動力となるデジタル改革の推進についてです。 今年度、我が会派は折に触れ、県が率先してデジタル化やデジタルトランスフォーメーションを推進すること、そのための新たな推進体制が必要であることを訴えてまいりました。それは、加速的に革新が進むデジタル技術が、業務の効率化というレベルにとどまらず、地域の課題解決やサービスの創出に直接貢献するものとして期待されるからです。 AIやビッグデータなどを組み合わせた、いわゆる密を回避するアプリの開発や、3D映像を現実に組み込ませるAR技術を活用した職業訓練など、様々な試みが始まっています。 今、デジタル技術を積極的に取り入れ、使いこなし、新たな価値を生み出していこうとするか否かは、本県が地方ならではの豊かさと利便性とを併せ持った、魅力的な県となれるかどうかの分岐点です。県の未来に大きな期待を抱く一方で、これに乗り遅れれば埋没しかねないという危機感もあるのです。 こうした我が会派からの訴えに応え、知事は、自らをトップとするデジタル推進本部を立ち上げ、県政のあらゆる分野でのデジタル化の方向を示す、やまぐちデジタル改革基本方針の案を取りまとめられるとともに、その推進の核となるデジタル推進局を創設するとされました。 また、先日開催されたオードリー・タン大臣とのオンライン対談では、地方から進めるデジタル化やソーシャルイノベーションについて意見を交わされ、タン大臣からは、成功の秘訣は多く失敗することと、御自身の経験を引き合いに御助言をいただきました。本県のデジタル改革も、失敗を恐れず、トライ・アンド・エラーで進めていかなければなりません。そして、知事もまたデジタル改革への強い意志を内外に向けて発信され、こうした取組を我が会派としても高く評価をしております。 一方で、民間、公共、行政分野など、県全体としてのデジタル改革を実現していくためには、その目指すべき姿を県民の皆さんや企業、団体などに分かりやすく示していくことが重要です。 日々の生活や仕事のありようが変わっていくという期待と実感の持てる取組を掲げながら、様々な知見を集約して進めていくリーダーシップを知事に取っていただきたいのです。 また、行政こそ変わったと思ってもらうためには、県自身はもちろん、身近な行政サービスを担う市町のデジタル改革を促進するための緊密な連携や県による支援も不可欠です。 そして、この改革を実現させ、本県からデジタルイノベーションを全国に発信できるよう、デジタル推進局をエンジンとして、全庁がスピード感を持って取組を進めていただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。国全体としてデジタル社会の実現に向けた取組が進められていく中、本県においてデジタル改革の実現に向け、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、防災・減災、国土強靱化の推進についてお尋ねをいたします。 全国各地で自然災害が頻発化・激甚化し、南海トラフ地震など巨大地震の発生も懸念される中、本県でも風水害を中心に甚大な被害が相次いでおり、自然災害への備えはまさに急務となっています。 また、災害時等においても交通ネットワークやライフラインを維持し、経済や生活を支えていくためには、高規格道路のミッシングリンク解消など、強靱なネットワーク整備の加速化が不可欠です。 さらには、我が国で高度成長期以降に整備された社会インフラが今後一斉に老朽化し、本県でも更新時期を迎える中、昨年発生した上関大橋損傷事故は、公共インフラの予防保全の重要性を我々に突きつけました。 県民の生命・財産を守るとともに、円滑で安定した社会経済活動を維持するためには、重要インフラの整備など、防災・減災、国土強靱化の取組を着実に推進していかなければなりません。 そのため、議会や執行部をはじめ、地域が一丸となり、防災・減災、国土強靱化の推進に対する財政措置や、国土の骨格をなす山陰道など幹線道路ネットワークの整備促進等について、これまであらゆる機会を通じて国に強く要望してきました。 こうした中、国は昨年十二月、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を閣議決定し、自然災害への備えや老朽化対策などについて加速化・深化を図るため、今後五年間で約十五兆円を投じて、重点的かつ集中的に対策を講じることとされました。 国の動きも踏まえ、我が党としても、来年度予算編成における防災・減災、国土強靱化の推進に向けた重点的な予算措置を知事に強く要望した結果、国の補正予算の積極的な活用と、本年度補正予算と来年度当初予算の一体的な編成により、県が所要の事業費を確保されたことは高く評価をするところです。 安定した社会経済活動や安心・安全な暮らしの確保に対する県民の思いに応えるため、今後、国の取組と十分に連携をしながら、山陰道をはじめとした強靱な道路ネットワークの整備を推進するとともに、防災・減災対策を加速化していかなければなりません。 また、重要な社会基盤である公共インフラに深刻な機能不全が発生しないよう、予防保全などの老朽化対策についても万全の措置を講じていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねをいたします。県民の生命・財産を守り、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靱化の推進にどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、捕鯨産業の振興による地域活性化についてお尋ねをいたします。 本県は三方を海に開かれ、古くから多種多様な漁業が展開されており、豊富な海の幸が人々の生活や文化、産業に欠かせないものとなってきました。 特に鯨は本県との関わりが深く、明治時代、日本初の近代式捕鯨会社が県内に設立され、本県は我が国における近代捕鯨発祥の地となったほか、下関市は商業捕鯨の基地として栄えました。 こうした背景から、県内には捕鯨に由来する産業や文化が根づき、下関市には水産加工業など多くの関連産業が集積するほか、長門市には鯨唄など伝統的な捕鯨文化が受け継がれています。鯨は、本県及び本県水産業の発展を語る上で欠かせないものであり、捕鯨文化は県民共有の財産なのです。 ところが、三十年に及ぶ商業捕鯨の中断により、捕鯨産業は大きな打撃を受け、県民の鯨離れは加速し、捕鯨や鯨食文化に対する関心は大きく薄れることとなりました。この間、県では、鯨食文化を次代に継承するため、学校給食を通じた取組を推進されましたが、鯨食習慣を広く浸透させるには至らず、さらなる取組が求められています。 こうした中、一昨年七月の商業捕鯨再開は、捕鯨文化復活への転機となりました。下関市が再び捕鯨基地になったことから、水産加工を中心に関連産業が活気づき、さらには全国鯨フォーラムの開催をはじめ、官民一体となった取組の進展により鯨食文化振興への機運が高まっています。県議会においても、これまで議員連盟の活動を通じて捕鯨文化の振興に取り組んできましたが、少しずつ成果が出てきていると手応えを感じているところです。 かつてのような、地域経済を支え、そして多様な文化を育む捕鯨産業の復活への今がラストチャンスです。そのためには、母船式捕鯨船団の下関の母港化が必要であり、県民の総力を挙げて、これを実現するためにも、県の積極的な取組が必要だと思うのです。 そこでお尋ねをいたします。商業捕鯨再開を契機に、捕鯨や鯨食文化への関心が高まる中、捕鯨産業の振興による地域活性化に向けて、県は今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 最後に、教育行政についてです。 教育は国、社会の礎であり、Society5・0の到来や新型コロナウイルス感染拡大など、これからの予測困難な時代を生きていく子供たちにとって、教育はますます重要なものとなります。急激に変化をする時代を生き抜くため、幼児期において生涯にわたる生きる力の基礎を培い、それを基盤とした小学校からの義務教育をはじめとする学校教育を通じて、発達段階に応じた体系的な教育による人材育成が必要となります。 その人材育成のうち、まず幼児教育の推進についてお尋ねをいたします。 幼児期の子供たちは、日常生活や遊びの体験を通じて心と体が大きく発達します。情緒や人間性、学力など、様々な力を伸ばしていく上での土台づくりとなるのがこの幼児期であり、この時期の体験が基となって、生涯にわたり学んでいけるための取組が重要となります。 県は、先日示された、新たな時代の人づくり推進方針において、生涯にわたる人づくりの基礎として、幼児教育・保育の充実を位置づけており、その取組の推進のため、県教育委員会に山口県乳幼児の育ちと学び支援センターを設置されると伺っております。同センターは、保育者への研修や幼児教育施設への支援などの機能を備えたものとなるとのことであり、幼児期の教育がその後の学校教育につながり、これからの社会で活躍する人を育てていけるよう、本県の教育が展開されることを期待をしております。 そこでお尋ねをいたします。この支援センターの設置を契機として、本県における幼児教育の推進に今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いをいたします。 次に、ICT化による教育の充実とデジタル人材の育成についてです。 この一年は、コロナ禍による一斉臨時休校、休校期間中の学習の在り方や学校再開後の学習の遅れの取り戻し、また、学校行事の中止や延期など、学校現場が揺れ動いた一年でした。こうした中にあって、子供たちの学びを止めないためにもICTの活用が求められ、教育分野でのデジタル化が大きく進むこととなったのです。 国のGIGAスクール構想の前倒しにより、小中学校の子供たち一人一台のタブレット端末の整備、また、本県の県立学校においても同様の整備が進み、来年度からはこうした環境の下での教育活動が始まります。 これからの学校教育において、子供たちが活用する端末は、ノートやペンのような当たり前の道具となるよう、これらを活用しながら、充実した深い学びとなるような取組を進めていくことが必要です。 また、Society5・0を生き抜く子供たちには、複雑化する社会に対応していくために、自ら問題を発見し解決する能力や自分の考えを形に変える能力を身につけることが求められ、今後は日常的なICTの活用から、その先のデジタル社会に対応できる高度な人材を輩出していくことが学校教育に求められていると思うのです。 そこでお尋ねをいたします。ICT化による教育の充実とデジタル社会に求められる人材の育成に向けてどのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いをいたしまして、代表質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)友広議員の代表質問にお答えします。 まず、令和三年度当初予算についてのお尋ねです。 収束の見通せない新型コロナウイルス感染症から県民の命と健康を守るため、さらなる感染拡大を食い止めること、そして感染状況を見極めつつ、低迷する社会経済活動を段階的に引き上げていくことが、県政における目下の最重要課題です。 また、感染拡大は、デジタル化の遅れや大都市圏のリスクを顕在化させ、人々の意識や行動に変化をもたらしました。こうした社会変革の動きを県の施策推進に確実に取り込むことが重要です。 これらに対応することで、コロナ前よりも、より豊かで安心・安全に暮らせる山口県を実現したい、私は、このような強い思いを持って、今回の予算編成を行いました。 来年度予算については、国の経済対策に呼応し、十五か月予算の考え方の下、一体的に編成した令和二年度二月補正予算と併せて実施していきます。 まず、県民の命と健康を守ることを最優先に、感染症対策の徹底と経済活性化の両立に向けて、万全の対策を講じていきます。 そして、県政各分野におけるデジタル化の推進や本県への新たな人の流れの創出・拡大などにより、危機から生まれた変化を成長へつなげ、県づくりの取組を加速させていきます。 さらに、国の補正予算も積極的に活用しながら、防災・減災、国土強靱化の推進に向けた取組等、本県の緊急課題についても迅速かつ的確に取り組みます。 私は、コロナ対策に適切に対応しながら、現在の危機を本県のさらなる成長のチャンスに変え、「活力みなぎる山口県」の実現を必ず成し遂げていくとの断固たる決意の下、来年度予算を通じて、未来を見据えた県づくりの取組を全力を挙げて前に進めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症拡大の防止についてのお尋ねにお答えします。 本県の感染状況については、一月以降、病院等でのクラスターの発生により新規感染者が急増し、ステージⅢへの移行と判断しましたが、その後、県民の皆様の感染予防対策の徹底のおかげをもちまして、感染者数は減少傾向で推移し、現在、ステージⅡの状態にあると考えています。 一方、首都圏では、緊急事態宣言が継続して発令されているなど、感染拡大に予断を許さない状況が続いていることから、私は、引き続き緊張感を持って、さらなる感染拡大防止に向け、新型コロナワクチン接種や医療提供体制の一層の強化に取り組んでいかなければならないと考えています。 まず、感染対策の切り札として期待が高い新型コロナワクチン接種については、いまだかつて経験したことのない全国民を対象にしたワクチン接種であることから、迅速かつ円滑に進めることができるよう、十分な接種体制を確保するなど、万全の準備を進めていくことが重要です。 このため、ワクチン接種に向けては、市町や医療関係団体との連携体制の構築が不可欠であることから、作業の本格化に先立ち、一月には、市町会や県医師会等で構成するワクチン接種対策会議を立ち上げたところです。 また、接種計画の策定やワクチン流通の調整など、業務の増加に対応するため、新型コロナウイルス感染症対策室にワクチン接種対策班を新たに設置し、円滑なワクチン接種に向けた体制の強化を図りました。 さらに、県民の皆様が安心して接種を受けていただけるよう、先般、ワクチン接種専門相談センターを開設したところであり、医薬品全般に幅広い知識を持つ薬剤師により、ワクチンの有効性や副反応など、ワクチンに関する専門的な相談に対応してまいります。 こうした体制の下、今月から本県医療従事者への優先接種が開始され、四月には高齢者の優先接種も始まることから、市町や医療関係団体とより緊密な連携の下、安全かつ着実にワクチン接種を進めてまいりたいと考えています。 次に、医療提供体制についてですが、長期化する新型コロナウイルス感染症への対応や、今後、同様の新たな感染症が発生する事態も想定されることから、県民の皆様が安心して医療が受けられるよう、一層の体制の強化を講じていく必要があります。 その中心となるのは、お示しのとおり、県内唯一の第一種感染症指定医療機関である県立総合医療センターであることから、県内医療の中核的な役割を一層担えるよう、建て替えも見据えた将来的展望も含め、病院の機能強化等について具体的な検討に着手してまいりたいと考えています。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、市町や関係団体と連携し、新型コロナウイルス感染症の防止対策に全力で取り組んでまいります。 次に、ポストコロナに向けた社会構造の転換と経済の好循環の実現についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、地域経済の好循環実現に向けた取組の強化についてです。 本県でも全国と同様、外出自粛ムードを背景に、巣籠もり消費と呼ばれる新たな需要が生まれる一方、飲食業や観光関連産業を中心に売上げが減少し、取引のある納入業者や生産者等、その影響は多くの業種に広がっています。 このため、私は、地域経済の下支えを強力に進めるとともに、感染状況を見極めつつ、経済活動を段階的に引き上げていく中、効果的なタイミングで消費需要の喚起を図ることが重要と考えています。 地域経済の下支えとしては、中小企業が資金繰りに支障を来さないよう、経営安定資金の枠を確保するとともに、金融機関の支援を受けた経営改善の取組に対して、保証料率を大幅に低減する伴走支援枠を新たに設けます。 雇用環境の改善では、感染症の影響を受けた地域における雇用の再生を支援する国の新たな制度を活用し、事業主の業種転換や多角化の支援、求職者のキャリアチェンジ等を促進します。 また、ECサイトを活用したネット販売で、売上回復に取り組む事業者を、送料無料化に向けた補助制度の創設やウェブプロモーションの展開により支援します。 消費需要の喚起については、まず観光分野では、コロナの時代に対応し、三密を回避できる安心・安全を前面に打ち出した効果的な観光プロモーションを展開します。 さらに、第二弾となるプレミアム宿泊券、フェリー券を発行するとともに、体験型コンテンツの積極的な利用促進を図り、影響を大きく受けている観光需要の喚起に取り組みます。 また、農林水産分野では、日本酒や高級魚等を中心に、やまぐち食彩店等と連携し、第三弾となるキャンペーンを展開するとともに、入学や就職のシーズンに、新生活を応援するための花の割引販売を実施します。 こうした取組に加え、国の「Go To Eatキャンペーン事業」とも連携して、取組宣言店の普及と利用拡大による一層の消費需要の喚起を図ります。 私は、感染症の動向や事業者の経営環境への影響を見極め、時期を捉えた消費需要の喚起策を積極的かつ機動的に講じ、経済活動の好循環の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、デジタル改革の推進についてです。 新型コロナウイルスとの闘いが長期戦の様相を呈する中、今後、我々はコロナとの共存を前提とした新たな日常を確立すると同時に、そのための変容を未来に向けた成長へとつなげていかなければなりません。そして、私は、その原動力となるのがデジタル化であると考えています。 コロナ禍がもたらした社会変革の動きをチャンスと捉え、単にデジタル技術を導入するだけでなく、関連する制度や施策なども併せて変革していく、そうした社会全体のデジタルトランスフォーメーション、DXを一気に進め、活力に満ちた山口県の未来を切り開いてまいる考えです。 私は、これを、やまぐちデジタル改革と位置づけ、先般、全庁的な推進組織であるデジタル推進本部を立ち上げるとともに、新年度には、お示しのデジタル推進局の創設をはじめ、外部からの専門的知見も取り入れながら、官民を挙げての改革を進めていく、そうした体制を整備することとしています。 この体制の下、市町はもとより、多様な主体の力を改革に結集するとともに、県民の皆様には、デジタル化の意義と効用を分かりやすく伝え、これからのデジタル社会に主体的に参加していただけるよう取り組んでいかなければなりません。 そのためには、本県が目指すべきデジタル社会のビジョンや将来像を共有することが重要であり、その具体的なイメージを示し、改革の基本的な方向を定めた、やまぐちデジタル改革基本方針の案をこのたび取りまとめところです。 この方針に基づき、今後、新たに設置する、やまぐちDX推進拠点を核として、多様な主体と連携・協働しながら、県政の幅広い分野で、地域課題の解決と新たな価値の創造に向けた本県ならではのDX、やまぐちDXの創出に取り組んでまいります。 コロナ禍で浮き彫りとなった行政分野でのデジタル化の遅れに対しては、行政手続のオンライン化等による利便性向上やAI、RPA等の活用による業務効率化を進めるとともに、市町の取組をサポートし、一体となってデジタル・ガバメントやまぐちの構築を推進してまいります。 さらに、光ファイバー網等による高度なブロードバンド環境の確保やデジタル人材の育成など、これからのデジタル社会をつくり、支える基盤をしっかりと整えることにより、県民誰もが暮らしの豊かさや地域の活力を実感することのできる、デジタル・エリアやまぐちの形成を目指してまいります。 また、こうした改革の成果は、県民の皆様に目に見える形でいち早く実感していただくことが重要です。このため、特定の政策テーマの下、先導的な取組を「デジタル・魁プロジェクト」として、重点的・集中的に実施していく考えであり、来年度においては、子育て支援、スマートスクール、公共インフラの維持管理等の十のプロジェクトを展開することとしています。 私は、県民の皆様一人一人が、希望に合ったサービスやライフスタイルを自由に選択でき、これまで以上に豊かさと幸せを実感することのできる、より質の高い「活力みなぎる山口県」の実現に向けて、全国をリードするデジタル改革に積極果敢に挑戦してまいります。 次に、防災・減災、国土強靱化の推進についてのお尋ねにお答えします。 全国的にも自然災害が頻発・激甚化し、また公共インフラが老朽化する中、私は、県民誰もが安心して暮らし続けられる山口県の基盤を築くことが極めて重要であると考えています。 このため、やまぐち維新プランにおいて災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、防災・減災、国土強靱化を推進することとしています。 具体的には、お示しの五か年加速化対策の予算も積極的に活用し、強靱な道路ネットワークの整備や公共インフラの老朽化対策などの取組を強化することとしています。 まず、道路ネットワークについては、高規格道路のミッシングリンクの解消に向けて、山陰道や小郡萩道路等の整備に積極的に取り組んできたところです。とりわけ山陰道については、これまでも地元期成同盟会とも連携しながら、全線の早期整備を国に要望してきました。 特に今年度は、柳居議長をはじめとした議員連盟の皆様や藤道萩市長とともに、丸山島根県知事と共同で、年末から二度にわたり、未着手区間の早期事業化を国に強く訴えたところです。 この結果、先日、国から大井─萩間、小浜─田万川間の二区間が来年度の新規事業化候補箇所として発表されたところであり、今後とも強靱な道路ネットワークの整備が加速するよう全力で取り組んでまいります。 加えて、災害に強い道路ネットワークを構築するため、緊急輸送道路ののり面対策や橋梁の耐震化などの防災・減災対策を引き続き重点的・計画的に進めてまいります。 次に、公共インフラの老朽化対策については、長寿命化計画に基づき予防保全的な維持管理を行っており、今後、さらに維持管理の高度化・効率化を図るため、私はデジタル技術を最大限に活用していく考えです。 具体的には、ドローン等による地形の変状監視やAIによる橋梁等の健全度診断などを行うことで異状を早期に発見し、速やかに対応する「日本一の安心インフラやまぐち」の実現を目指します。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、災害に強い県づくりに向け、引き続き必要な予算を確保し、防災・減災、国土強靱化の推進に積極果敢に取り組んでまいります。 次に、捕鯨産業の振興による地域活性化についてのお尋ねにお答えします。 本県では古くから捕鯨が盛んに行われ、近代捕鯨発祥の地として関連産業が集積し、捕鯨文化が育まれてきたところであり、商業捕鯨再開を契機とした下関の母港化の実現により、捕鯨産業を振興し地域経済を発展させることが重要です。 このため、県議会や下関市と連携して国への要望を行うとともに、鯨食文化の普及に向け、学校給食での取組等を進めてまいりました。 また、先月には、母港化への機運醸成等を図る「くじらを食べよう」推進大会を開催し、県内各地の飲食店で鯨フェアを実施したところです。 私は、こうした取組をさらに強化し、鯨への関心を一層高め、捕鯨産業の振興につなげるため、広く関係の皆様と一体となって、鯨肉の消費拡大や捕鯨文化の理解促進等に向けた施策を積極的に展開してまいります。 まず、鯨肉の消費拡大に向けては、次代を担う子供たちが鯨に親しみ、食べる習慣が浸透するよう、全ての小中学校等で鯨給食を年一回から三回に拡充し、併せて食文化に関する食育活動を推進します。 また、県民の皆様に気軽に鯨料理を味わっていただくため、フェアを契機に約百店舗まで増加した鯨料理店のさらなる拡大を図るとともに、魅力ある観光資源ともなるよう、新メニューの開発を支援します。 次に、捕鯨文化の理解促進に向けては、捕鯨の歴史等をまとめたサイトの開設や、九月四日の鯨の日に集中的な情報発信を行うほか、唄や祭り等の保存活動への支援を通じ、後世への継承に努めます。 さらに、こうした取組に加え、母港化の実現に向けて、国への要望等を継続するとともに、下関市と連携し、係船場所の確保など受入れ体制の整備を進めます。 私は、県議会や下関市等との緊密な連携の下、県民一丸となって、下関の母港化の実現と捕鯨産業の振興による地域活性化に向け全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 将来の予測が困難な状況の中、未来を切り開いていく若者たちが様々な課題に果敢に挑戦し、乗り越えていく力を備えることができるよう、新たな時代に対応した人材の育成に取り組むことは大変重要であると考えております。 このため、まず幼児教育の推進については、お示しのように、乳幼児期における教育・保育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることから、県教委では、令和三年四月に山口県乳幼児の育ちと学び支援センターを設置することといたしました。 本センターを拠点として、幼児教育・保育に関係する各部署との緊密な連携の下で、公立・私立や幼稚園・保育所等の区別なく、幼稚園教諭・保育士等に対する研修や助言、情報提供等の施策を総合的に実施することとしています。 具体的には、幼児教育・保育の専門的な知見や豊富な実践経験を有する幼児教育アドバイザーを配置し、幼児教育施設の訪問による助言や支援を行うとともに、幼児教育・保育現場のニーズに応じた、子供の自己肯定感を育む保育や特別な配慮を必要とする子供への支援等に関する先進的な研修を一元的に実施してまいります。 また、乳幼児期の育ちと学びを小学校以降の生活や学習につなぐため、大学、関係機関等と連携した調査研究を実施し、幼児教育施設への助言に反映させてまいります。 こうした取組により、乳幼児期における教育・保育の充実を図り、新たな時代を担う人材の育成につなげてまいります。 次に、ICT化による教育の充実とデジタル社会に求められる人材の育成についてです。 Society5・0時代を生きていく子供たちに必要な力を育成するためには、これまで学校現場で積み上げてきた教育実践に加え、ICTを効果的に活用していくことが重要です。 このため、県教委では、今年度整備したICT環境を生かし、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させ、子供たちの可能性を広げる「やまぐちスマートスクール構想」を推進していくこととしています。 具体的には、一人一台タブレット端末等を日常的に活用できるよう、全校種を対象とした教員研修を充実させるとともに、海外の学校との交流授業や全県合同のハイレベル課外授業のオンラインによる開催など、ICTを活用した新たな学びの機会を創出してまいります。 また、お示しのとおり、デジタル社会に対応した人材育成が急務であることから、高校生を対象にプログラミング技術等を競うICTコンテストやデータサイエンティスト育成講座を開催するとともに、職業系専門高校に最先端のデジタル化に対応した産業教育装置を整備し、本県の次代を担うデジタル人材を育成してまいります。 県教委といたしましては、市町教委や関係機関と連携しながら、急激に変化する時代の中で、自分のよさや可能性を認識するとともに、多様な人々と協働し、これからの社会をたくましく生き抜く力を身につけた人材の育成に全力で取り組んでまいります。