1 デジタル改革基本方針について 2 脱炭素化と地域経済について 3 子育て支援の充実について 4 新型コロナ長期化に対応した中小企業支援について 5 総合的な治水対策について 6 教員の確保について
議長(柳居俊学君)先城憲尚君。 〔先城憲尚君登壇〕(拍手) 先城憲尚君 皆さん、おはようございます。公明党の先城憲尚でございます。党を代表いたしまして質問をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。 初めに、デジタル改革基本方針について三点お尋ねをいたします。 まず、やまぐちDXの創出についてであります。 皆さんも新型コロナの対応では、日本のデジタル化の遅れに驚かれたのではないでしょうか。定額給付金十万円の支給では、オンライン申請が可能とされましたが、住民基本台帳とマイナンバーが連携していなかったことから、現場は大混乱に陥りました。オンラインより郵送のほうが早いという、笑い話のような事態となりました。 ところが、後から来た中国は、新しいデジタルを活用して新型コロナの感染拡大を阻止しましたし、台湾でも、デジタル担当のオードリー・タン大臣は、マスクの配布など混乱することなく見事に処理をし、名を上げました。 コロナという異常事態に直面して初めて、日本が大きく遅れているんだということが分かりました。 そこで、事態の打開を図るため、全国知事会のデジタル社会推進本部長として白羽の矢が立ったのが村岡知事でございます。期待をしております。 さて、デジタル化社会とは一体どんな社会なのでしょうか。まず、イロハのイについて、私たちもやってみました。本年一月十六日、公明党山口県本部として、新春の会合を初めてオンラインで開催しました。村岡知事、柳居議長、御協力大変にありがとうございました。その中で、村岡知事に加え、政治ジャーナリストの田崎史郎さん、立命館大学教授の平林晃さんを招き、デジタル化による山口県の未来と題して、パネルディスカッションを行い、高い評価をいただくことができました。 今までは、毎年一月になりますと、県内九か所を駆け巡って、大変な時間とコストをかけて新春セミナーを開催していました。しかし、今回は、例年の二倍に当たる三千人の方々と、たった一回のセミナーで、画面を通してですけれどもお会いすることができました。コストも五分の一です。時間と空間をデジタルが埋めてくれました。 さらに、視聴者の反応もデジタルを使って分析することができました。どの局面で視聴数が上がったのか、あるいは下がったのかなどの情報を分析することで、有権者はどんなテーマに関心があるのかが判明します。そして、今後の政策に反映させることも可能となります。デジタルほど便利な社会はないなということをかいま見ることができました。 もっとちゃんとしたものを参考までにお示ししますと、サザンオールスターズは昨年六月、バンド史上初のオンラインコンサートを開催していますけれども、視聴者数は五十万人、たった一回のコンサートで興行収入は六億五千万に達しています。今までは東京ドームの五万五千人が限界でしたから、デジタルが大きく可能性を広げたということだと思います。 中国では、QRコード決済で有名なアリペイなどが個人別の決済データを蓄積して点数化していますが、中国の人たちは正しい行動をすると評価してもらえる、このように考えるようになりました。結果として、ホテルやレストランなどの無断キャンセルが減少をするなど、マナーが格段に上がり、犯罪さえも減少しています。つまり、社会そのものを変革させる力がデジタルにはあるということだと思います。 ビル・ゲイツさんが支援する教育団体カーンアカデミーは、無料でオンライン授業を展開していますが、教育を十分に受けることのできなかったアフリカや東南アジア、中南米の子供たちに大歓迎され、彼らの未来を開いています。きっと貧困を克服することでしょう。 このようにるる見てきますと、デジタルは時間と空間の壁を取り払った上で、個人別のつながりをも可能にするもののようです。中山間地域や離島の多い山口県においても、教育、医療、農業、地域交通、防災・減災、子育て支援などなど多くの分野で変革をもたらすものと思われます。 そこで、県は、やまぐちDXの創出に向けてどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 二点目に、行政業務の効率化についてです。 業務効率化のために、多くの大企業が導入したRPA──ロボティック・プロセス・オートメーションというツールがあります。いわゆるソフトウエアのロボットです。 例えば三井住友銀行は、RPAの導入により、三年間で三百五十万時間相当の業務量を削減し、注目を浴びました。つまり、こうです。毎日画面に向かって多数の項目を入力したり、ワードやエクセルで作業し、それをメールで送信したり、PDF化して送信するなど、県職員の皆さんが毎日手作業で行っている業務をRPAが自動的にやってくれるということです。 AIを組み合わせるとサイトのデータも取り扱えますし、OCRを組み合わせると紙の書類が一瞬でデータに転換します。つまり、バックオフィスを完全自動化することも将来的には可能となるかもしれません。そもそも行政や学校の仕事は事務作業が多く、本来、RPAとの親和性は高いはずです。 また、県職員の皆さんができるようになりますと、中小企業支援としてRPAを使って定型業務をスピンオフさせ、企業は飛躍的な効率化を達成することができます。今後、RPAを使いこなせる県職員を配置してサービスセンターを立ち上げ、民間企業の支援に乗り出すことも可能でしょう。県民はきっと喜びます。 そこで、県は、行政業務の効率化と、そのための人材育成をどのように展開しようとされているのかお伺いいたします。 三点目に、住民サービスのオンライン化についてです。 皆さんの中には、確定申告の手続の煩雑さに嫌気が差している方がたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、スウェーデンや韓国では、確定申告の際、個人が申告書を作成する必要がありません。行政が勝手にやってくれます。銀行口座やクレジットカードなどがデータとしてひもづけられているからです。したがって、納税者は行政から送られてきたメールの納税金額を見て、納得できればワンクリックするだけで納税完了となります。また、デジタル化によって情報がワンストップ化されていますので、児童手当や各種の補助申請などは行政が勝手にやってくれます。 確かに、いまだマイナンバーが十分に機能してない日本では、ここまでの取組は困難だと思いますが、少なくとも役所に出かける負担を解消させ、住民に利便性の向上を実感できるようにすることが大事だと思います。 そこで、県は、どのように行政手続のオンライン化を進めていくのかお伺いいたします。 次に、脱炭素化と地域経済についてお尋ねいたします。 本年二月五日、東京株式市場にアップルカーの衝撃が走りました。マツダの株価が一瞬にしてストップ高水準まで急騰しました。アイフォンで有名なアップルコンピューターが電気自動車の新規投入を検討しており、生産委託先に国内の自動車メーカーが選ばれるのではないかという情報が広がったからです。その背景にあるのが脱炭素です。 きっかけは地球温暖化問題です。一九九二年、ブラジルで開催された地球サミットで初めて問題提起されました。その後、京都議定書、パリ協定、トランプ大統領の撤退などなど紆余曲折がありましたけれども、昨年のアメリカ大統領選挙で、地球温暖化対策を支持するバイデン氏が勝利を確実なものにすると、状況は一変します。アメリカの参入によって役者がそろったことで、脱炭素化を目標に掲げる国が相次ぎます。そして、昨年十月、日本の菅総理も二○五○年のカーボンゼロを目指すとし、参入を宣言しました。 今や、地球温暖化の議論は疑う余地のない既成事実となり、フェーズは大きく変わって、脱炭素化を成長産業の柱と捉え、脱炭素化で経済をどう再構築していくのか、どう雇用を守っていくのか、ここに軸が移行しつつあります。その後、グリーン成長戦略がまとめられ、政府が二兆円の基金を積んだことから、日本の経済界も大きく動き始めました。 前置きが長くなりましたけれども、それを象徴した出来事こそ、マツダ株のストップ高だったのであります。もうじき、アップルカーに続いてファーウェイカーがもう出るみたいですから、また一騒動あると思いますが、このグリーン成長戦略では、脱炭素化によって今後の成長が期待できる十四の分野について、具体的な目標を設定しています。 まず、洋上風力発電ですが、火力発電所約四十基分に相当する拡大を目指しています。国内には風車の製造拠点がないため、今後、関連する産業の育成に期待が集まります。清水建設は既に五百億円の投資を決めています。 次に、燃焼しても二酸化炭素を排出しないアンモニアについても取組を開始しました。東京電力が出資する企業では、間もなく実証実験を始める予定です。IHIも一千億円規模の投資を決定しました。 水素については、利用量を今の十倍に引き上げることを目指します。そうすると、原料を海外から輸入する必要が生じることから、専用運搬船の建造が急がれていますが、川崎重工業は昨年末、既に完成をさせ、実験航海の段階に入っています。 自動車産業では、EVやハイブリッド車などの普及を進め、二○三○年代半ばまでに乗用車の新車販売は全て電動車にしたいとしています。これには充電設備が必要となるほか、バッテリー性能の向上が急がれています。 半導体、情報通信や船舶、航空機産業においても、動力源を水素や電気に移行するため、新たに部品開発が促進されることになります。 このように話は具体的です。今見てきた十四の分野は、脱炭素に向けた企業の再構築を行うため、政府は、メガバンク三行に三十兆円の融資金を用意させたという報道もあり、年金基金も投資対象として調査を開始しました。 この十四の分野は、いずれも山口県内にビジネスチャンスがあるものばかりです。国が脱炭素化に大きくかじを切る中で、県は、内外の企業や自治体、大学、研究機関などと連携し、研究開発や人材育成、情報発信などを通じて、県内企業の再構築に乗り出すべきです。二兆円の基金を取りにいくべきです。 県は、意欲的な県内企業が脱炭素に参加できるようにするため、どのように取り組まれる方針なのかお伺いいたします。 次に、子育て支援の充実についてお尋ねいたします。 政府は昨年、二○二五年に向けた子育て施策の指針となる第四次少子化社会対策大綱を策定し、希望出生率一・八の実現に向け、結婚や妊娠、出産、子育てなど、ライフステージに応じた総合的な少子化対策を大胆に進める方針が示されました。 少子化の進行は、労働力人口の減少や地域社会の担い手の減少など、社会経済に多大な影響を及ぼすことから、この困難に真正面から立ち向かい、何としても食い止めなければなりません。そのためには、子供や家族が大事にされる社会への転換が急務であり、個々人の希望を後押しする、安心して子供を産み育てられる環境づくりに強力に取り組むことが重要となります。 本県においては、知事自ら先頭に立って少子化対策・子育て対策に向けた取組を積極的に進めてこられ、合計特殊出生率が前年を上回る一・五六となるなど、着実に成果を出されていることは大いに評価するものです。 しかしながら、出生数の低下が続くなど、本県の少子化は依然として厳しい状況にあり、今後はコロナ禍での加速も懸念されます。また、核家族化や共働き家庭の増加、地域のつながりの希薄化などから、子育ての孤立化が進み、子育ての不安や負担感の増加が出産意欲の低下や子供の虐待などにつながる課題も出てきています。 このため、安心して子供を産み育てられる環境づくりに向けては、こうした子育て家庭を取り巻く環境の多様化も踏まえ、子育て世代の負担軽減や利便性の向上につながる相談や情報提供の仕組みを導入するとともに、子育ての悩みや虐待などの専門的な相談を気軽にできる体制を構築するなど、子育て世代に寄り添った、さらなる支援の充実に取り組む必要があると考えます。 また、子供や子育ての支援は、地域により様々な取組が行われていることから、実効性の高いものとなるよう、市町などの関係機関としっかりと連携し、より多くの県民への支援につなげていただきたいと思います。 そこで、少子化の克服に向け、安心して子供を産み育てられる環境を実現する子育て支援の充実について、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、新型コロナ長期化に対応した中小企業支援についてお尋ねをいたします。 最近のヒットドラマといえば、半沢直樹です。半沢直樹シリーズは、最初は町の中小零細企業への伴走型支援をモチーフに始まりましたが、徐々に話が大きくなり、最後は国家権力との戦いにまで行き着いてしまいました。しかし、久しぶりの最新作、アルルカンと道化師を読んでみましたが、半沢直樹の原点である中小零細企業の伴走型支援に回帰しています。このほうがリアリティーがあって参考になります。 さて、今の経済産業省は、イギリス人の元証券アナリスト、デービッド・アトキンソンさんの生産性向上を至上命題とする中小企業淘汰論を重宝しているようです。確かに極めて合理的な政策論であり、一定の成果は出るでしょう。しかしながら、中小企業は減ってもいいと言っているのですから、穏やかではありません。 同じ資本主義でも欧米のそれは、十六世紀の宗教改革イデオロギーに源流があり、株主至上主義を取っていますから、株の配当のため大規模を追求することで、生産性向上に向かわざるを得ませんでした。ですから、欧米では、経済発展しても、失業者も多いし、格差が発生しやすいし、犯罪も多い。つまり、結果として落後者を出しています。現在、コロナ禍での大量解雇を見てもよく分かります。 それに比べ日本の資本主義は、土壌は農耕社会であり、和の社会ですから、なるべく落後者を出したくないというDNAがあります。つまり、企業では、欧米よりも日本のほうが人を大事にしてきたのだと思います。 実際に、銀行が中小企業融資を本気でやっているのは、最近五十年ぐらいのことです。それまでは金融自由化前ですから、銀行にもお金が僅かしかない。勢い融資は手堅く、中堅や大手に限られていました。したがって、中小零細業者はどうしたかというと、地域ごとに集まって頼母子講や無尽講をつくり、小さな事業を支え合っていました。 私が言うのも何ですけども、そこにバランスシートなどという概念はありませんし、株価収益率という指標もありません。これが日本の金融の原点であり、株式のような合理性の追求ではなく、仲間を大事にする支え合いの精神でした。生産性をあまり考えない職人かたぎの人、人の言うことを聞きたくない一匹狼、合理化一辺倒に住みにくさを感じる労働者、こういった人たちをも糾合して、それぞれが決定権と生きがいを持って仕事ができる、これが日本の中小零細企業の特徴であり、欧米資本主義にはない、よいところだと思います。 やはり中小零細はもっと大事にしないといけないと思います。コロナ禍で事業承継を支援し、デジタルによる効率化もお手伝いし、地元金融機関、信用保証協会、商工会議所などが動きやすくするためにどうするかを考えることが大事であり、県の仕事であると思っています。 前置きが長くなりましたが、中小企業の生命線である資金繰り支援についてお尋ねいたします。 新型コロナの影響は、当初予想に反してかなり長引きそうです。中小企業は売上減少が長期化することも予想され、新たな資金需要に対応できる備えが必要です。その一方で、昨年借りたコロナ関連融資の返済も求められつつあります。 中小企業庁によりますと、昨年十二月末までに決定した融資のうち、およそ六割が据置期間を一年以内に設定していました。六か月以内は四○%近くあります。据置期間を短くしているのは、借入れ当時、コロナ禍がここまで長期化するとは考えていなかったからです。売上げが回復していないにもかかわらず、融資の据置期間を六か月に設定した企業は既に返済が始まっていますし、一年以内の企業も今春にかけて本格化します。 以上より、中小企業金融支援として、コロナの長期化により必要とされる資金需要に対応できるよう、制度融資枠を十分に確保すること、そして融資の返済に苦慮する企業に対して、据置期間の延長などに柔軟に対応するなど、企業に寄り添った支援が必要と考えますが、県の方針をお伺いいたします。 また、経営再構築のため、税理士や金融機関、再生支援協議会などのアドバイスを受けながらの伴走型支援も必要と考えますが、どのように対応されるのか併せてお伺いいたします。 次に、総合的な治水対策についてお尋ねをいたします。 今年は、東日本大震災から十年という大きな節目を迎えます。改めて、震災の影響により犠牲となられた全ての方々に謹んで哀悼の意を表します。 また、コロナ禍への対応とともに、激甚化・頻発化する自然災害から、国民の生命と暮らしを守ることは、政治と行政の責任であると考えています。 さて、近年、全国的に大規模な自然災害が発生しており、特に河川氾濫などによる浸水被害への対策は、多くの中小河川を有する本県においても喫緊の課題であります。 こうした中、国は、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を取りまとめました。事業規模などを定めて集中的に実施する期間を、来年度からの五か年間として対策を講じることとしています。 事業規模約十五兆円のうち、激甚化する風水害や切迫する大規模地震への対策に約十二兆円が配分されました。特に人命・財産の被害を防止・最小化するための対策として掲げられた流域治水対策では、河川、砂防、海岸、農業水利施設などの整備を進めることとしており、本県においても国の取組と連携した対策が望まれています。 治水対策として、まずは河川の流下能力を維持・向上することが重要でありまして、計画に基づく河川整備や堆積した土砂のしゅんせつなどのハード対策にしっかりと取り組んでいく必要があります。 また、想定を超える豪雨の発生リスクを踏まえ、浸水想定区域図の整備や避難体制の強化などソフト対策を進めるとともに、国、県、市町などの行政や地域住民、企業などが連携して対策を講じることで浸水被害を軽減させる流域治水の取組を進めるなど、ハード・ソフト両面からの総合的な治水対策の推進が求められています。 そこで、県は、激甚化する風水害から県民の生命・財産を守り、被害を最小化するため、総合的な治水対策にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、教員の確保についてお尋ねいたします。 文部科学省は、二○一九年度に実施した公立小学校の教員採用試験の倍率が、過去最低の二・七倍になったと発表しました。ピークだった一九九九年が一二・五倍ですから、二十年間で五分の一になってしまいました。 小学校の採用倍率を自治体別に見ると、最も低かったのは佐賀、長崎両県で一・四倍、次いで北九州市一・五倍、富山、福岡両県一・六倍、次が山口県の一・八倍であります。複数の自治体の採用試験を掛け持ち受験するケースも多いことから、実態はもっと倍率は低いと言われており、山口県もピンチの状況が続いています。 受験者数は少子化を理由に減少が続き、逆に採用者数は増加を続けているのですから、倍率が減少するのは当然と言えば当然ですが、文科省は、一定の競争性があることで質が担保されるため、採用倍率を上げる必要があると話しています。 さらに、近年は、大学生が民間企業に流れがちとの見方もあります。民間は優秀な人材を確保するために、待遇改善を急ピッチで進めているからです。ならば、教員の待遇改善も急ピッチで進め、対抗しなければいけません。 一方で、政府は、小学校におけるきめ細かい指導の実現を目指し、二十一年度から五年をかけて、全ての学級で四十人学級から三十五人学級に移行することを決めました。しかし、これは教員の増加を伴う可能性があることから、採用試験の倍率をさらに引き下げることになりかねません。 以上の背景を踏まえると、今後、山口県において優秀な教員を確保するにはどうするべきか、検討が急がれるところです。 文科省も手をこまねいているわけではありません。 第一に、労働時間短縮を目指し、外部人材の登用を促進しています。 第二に、教科担任制を導入し、教員の負担軽減を進めたい考えです。 第三に、中学校の免許を持つ教員が小学校の免許を取る場合の要件を緩和する方針です。 第四に、学校現場でICT化が推進されます。本来、ICT化というのは、業務を効率化することにあるわけですから、このシステムを活用した労働時間の短縮にも取り組むべきです。特に、最も事務負担がかかる保護者との連携に、いまだに書面主義や押印主義が残っているようですが、こういったものはデジタル化で大きく改善できるのではないでしょうか。 第五に、変形労働時間制の動きもあります。年度当初などの忙しい時期の勤務時間を延ばす代わりに、夏休み期間などの休暇をまとめ取りし、一年単位で労働時間を管理するもので、働き方改革の一環です。一昨年十二月に改正教職員給与特別措置法が成立し、自治体が条例を整備すれば、二十一年度から導入できることになっています。成立までの過程で様々な意見が出されましたが、労働時間の短縮と同時に取り組むことで効果が期待されることから、現在、大半の県が条例制定を検討しているようです。 そこで、こういった国の動きにも対応し、学校教員を確保し、質を高めるために、県教委はどのように対応されるのか、教育長にお伺いいたします。 以上をもちまして、公明党代表しての質問とさせていただきます。 御清聴、大変にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)先城議員の代表質問にお答えします。 まず、デジタル改革基本方針についての三点のお尋ねにまとめてお答えします。 デジタル化は、コロナ禍によって生じた社会変革を未来に向けた成長へとつなげる原動力となるものであり、その取組に当たっては、単に新たな技術を導入するだけでなく、関連する制度や施策、組織の在り方なども併せて変革することが重要であると考えています。 このため、私は、このたび取りまとめた、やまぐちデジタル改革基本方針案において、やまぐちDXの創出、デジタル・ガバメントやまぐちの構築、デジタル・エリアやまぐちの形成を施策の三つの柱に据え、社会全体のデジタル化に向けた改革に取り組んでいくこととしています。 このうち、やまぐちDXの創出については、新たに設置するやまぐちDX推進拠点を核に、県政の幅広い分野において、企業等と連携し、新たな価値を創造するオープンイノベーションや、県民等と協働して地域課題の解決に取り組むシビックテック等を進めてまいります。 また、そのための開発・実証環境やオープンデータの利用環境を整備するとともに、市町をはじめ、企業等におけるDXの取組をしっかりと支援してまいります。 県自らも、子育て支援へのAIの活用や学校のICT環境を生かした「やまぐちスマートスクール構想」の推進、デジタル技術を活用したインフラ維持管理の高度化など、先導的な取組をプロジェクト化して重点的・集中的に実施し、目に見える成果を早期に発揮させたいと考えています。 デジタル・ガバメントやまぐちの構築について、お尋ねの行政業務の効率化に向けては、AI、RPA等の活用を積極的に進めてまいります。 特にRPAに関しては、既に今年度から会計事務等の二十一業務に導入しているところであり、今後も対象業務を拡大するほか、市町における取組の支援やコスト削減の観点から、市町との共同利用も検討することとしています。 こうしたデジタル技術の活用に当たっては、これを使いこなせる職員の育成が急務であり、引き続き実践的な研修等を通じて各職員のスキルアップを図り、市町等への支援にも生かしていきたいと考えています。 さらに、私としては、そのスキルを新たな政策立案に活用し、行政サービスの充実にもつなげていけるよう、データの利活用や簡易なアプリケーション開発など、幅広い視点から職員の一層の能力向上に努めてまいる考えです。 また、行政サービスのオンライン化については、昨年十月に策定した、行政手続における押印等の見直し方針に基づき、県関係の手続のオンライン化を令和四年度中に完了するとともに、総合案内ポータルサイトの整備や手続のワンストップ化、手数料等のキャッシュレス化も進めてまいります。 さらに、手続のオンライン化だけにとどまらず、受付や審査、決裁といった一連の行政業務をデジタルで処理することができるよう、業務全般のデジタル化を進め、このことを前提とした業務改革にも取り組んでいくこととしています。 私は、今後、改革の基本方針に沿って、市町をはじめ多様な主体との連携の下、社会全体のデジタル化と、より質の高い「活力みなぎる山口県」の実現に向けて、本県ならではのデジタル改革を強力にスピード感を持って推進してまいります。 次に、脱炭素化と地域経済についてのお尋ねにお答えします。 国においては、昨年十二月にグリーン成長戦略を策定され、今後の成長が期待され、二○五○年カーボンニュートラルを目指す上で、取組が不可欠な十四の分野において実行計画が示されました。 この十四の分野には、水素産業、自動車・蓄電池産業、カーボンリサイクル産業など、本県に強みのある分野が含まれており、計画にはそれぞれの分野の特性を踏まえながら、自立的な市場拡大につなげるための具体策が盛り込まれています。 私は、こうした国の成長戦略に呼応し、本県の強みを生かした脱炭素化に向けたイノベーションの創出により、県経済の持続的成長・発展につなげていくことが重要と考えています。 このため、次期産業イノベーション戦略において、脱炭素社会の実現に向け、産学公金が一体となって、本県の産業特性と強みを生かした新たなイノベーションの創出に取り組んでまいります。 具体的には、まず瀬戸内産業競争力・生産性強化プロジェクトにおいて、県内コンビナート企業を中心とする瀬戸内基幹企業等と連携し、CO2削減・利活用技術をはじめとするカーボンニュートラルの実現に向けた検討会を新たに立ち上げます。 検討会においては、産学公連携の下、カーボンリサイクルなどの先進技術に関する勉強会や技術検討・交流、関連する調査研究事業、さらには、それらを通じた人材の育成等を行います。 また、成長産業育成・集積プロジェクトにおいて、水素やCO2の利活用技術の研究開発など、環境・エネルギー、水素分野を中心にしたイノベーションの創出に向け、県独自の基金等を活用した研究開発・事業化の促進に取り組みます。 さらに、自動車関連産業イノベーション創出プロジェクトにおいては、国の二○三○年代半ばまでの電動化目標を見据え、オープンイノベーションによる生産性の向上や新たな付加価値の創出に向けて、大手自動車メーカー等との連携の下、広域ネットワークの構築や開発人材の確保に取り組んでまいります。 お示しの国のグリーンイノベーション基金の活用に向けては、県内企業における低炭素技術開発等を支援するコーディネート機能を創設し、コーディネーターによる助言や専門家の招聘・派遣を通じて県内企業の取組を後押しします。 私は、次期産業戦略に掲げるプロジェクトの推進を通じて、脱炭素社会の実現に向けた県内企業の意欲的な挑戦を支援し、県内経済の持続的な成長・発展につなげてまいります。 次に、子育て支援の充実についてのお尋ねにお答えします。 少子化の進行は、社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であり、この流れを変えるためには、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めることが極めて重要です。 このため、私は、みんなで子育て応援山口県の推進を掲げ、やまぐち版ネウボラによる子育て支援体制の整備や、民間資金を活用したやまぐち子ども・子育て応援ファンドの設置、企業と子育て支援団体が連携するコンソーシアムの設立など、支援の充実に取り組んでいるところです。 こうした中、お示しのとおり、核家族化、共働き家庭の増加、地域のつながりの希薄化などにより、子育て世代は身近な相談相手が少なく、子育てに対する時間的・精神的余裕がないことから、子育ての不安や負担感が増加している状況にあります。 このため、子育て世帯が困っているときに、スマートフォンでいつでも必要な相談や情報提供が受けられるよう、来年度新たに、全国初となるAIを活用した総合的な子育て支援システムを構築するとともに、SNSを活用した専門的な相談体制を国の取組に先駆けて整備します。 具体的には、まず県民からの妊娠、出産、子育てに関する相談や問合せに、二十四時間三百六十五日、AIが回答する、子育てAIコンシェルジュを構築し、出産から子育てまで、子供の成長に合わせて一貫した伴走型の支援を実現してまいります。 このシステムでは、AIによる相談・案内機能に加え、母子手帳アプリとの連携により、妊娠・出産・育児の記録や予防接種・健診のスケジュール管理、イベント・不審者等の情報提供など様々な機能を付加し、利便性の高い総合的なサービスを提供することとしています。 なお、子育て支援は、各地域で様々な取組が行われていることから、全県的な情報のみならず、市町独自のサービス等の情報を、居住地や子供の年齢などに応じて必要な方にプッシュ型で提供するなど、県内全市町と一緒になってシステムを構築してまいります。 また、子育ての悩みや児童虐待、DV等、個別対応が必要な相談については、問題が深刻化する前に、いつでも、どこからでも気軽に相談できるよう、SNSを活用した専門家による相談体制を整備し、様々な相談にワンストップできめ細かく対応してまいります。 私は、こうした取組を通じ、若い世代に、安心して子供を産み育てていくなら山口県と思っていただけるよう、今後とも市町や関係団体等と連携し、子育て支援の充実に全力で取り組んでまいります。 次に、新型コロナ長期化に対応した中小企業支援についてのお尋ねにお答えします。 私は、新型コロナウイルス感染症の拡大により売上減少等の影響を受けた中小企業が、事業を継続し、雇用の維持を図っていくためには、経営の安定に必要な資金繰りの円滑化支援が極めて重要と考えています。 このため、県では、県制度融資に新型コロナウイルス感染症対応資金を創設し、経営安定資金と合わせて五千二百億円の融資枠を確保するなど、資金繰り支援の強化を図っています。 これら資金の融資実績は昨年六月をピークに漸減傾向が続き、一月にはピーク時の五%程度にとどまっており、年度末を控え、二月下旬からは増加傾向にあるものの、比較的落ち着きを見せています。 しかしながら、個別の事例では、追加融資や、お示しの条件変更に関する相談が既に県内金融機関にも寄せられており、個々の実情に応じた柔軟かつ、きめ細やかな支援を、中小企業に寄り添って着実に進めることが必要な状況です。 このため、まず追加融資の要望に対しては、新型コロナウイルス感染症対応資金の上限額を四千万円から六千万円に引き上げ、必要とされる資金需要に対応しています。 また、同資金に係る返済期間や据置期間等に係る条件変更要望については、変更に伴う保証料の追加負担が事業者に生じないよう、借換え制限の大幅な緩和も実施しました。 あわせて、来年度においても、資金繰りに支障が生じないよう、経営安定資金は当初比で七倍となる四百二十億円の融資枠を確保することとしています。 一方、私は、今後、感染状況を見極めつつ、社会経済活動を段階的に引き上げていくことが重要な課題と考えており、こうした動きに中小企業が的確に対応するためには、お示しのとおり、経営の再構築に向けた伴走支援が必要です。 このため、中小企業が金融機関から継続的な支援を受けて、早期の経営改善を目指す場合、保証料負担を大幅に軽減する伴走支援枠を経営安定資金の中に新たに創設し、経営改善、再構築に向けた取組を促進します。 また、中小企業再生支援協議会等の支援を受けた事業再生計画実行の取組についても同様の措置を講じるなど、金融支援の一層の強化を図ることとしています。 私は、今後も、経営環境の変化や企業のニーズを的確に捉え、関係機関とも緊密に連携して、中小企業の金融支援に積極的に取り組んでまいります。 次に、総合的な治水対策についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が全国で頻発・激甚化しており、私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川改修などの治水対策は極めて重要であると考えています。 このため、やまぐち維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、これまでも河川改修などのハード対策や、住民の主体的な防災活動の推進などのソフト対策に取り組んできたところです。 こうした中、国は、昨年十二月に閣議決定された、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策において、災害から国民の命と暮らしを守るための対策を実施するとの方針を示しました。 県としては、こうした国の方針も踏まえ、お示しの五か年加速化対策の予算も積極的に活用し、防災・減災、国土強靱化の加速化・深化に向けて、引き続き河川改修などのハード対策に取り組む考えです。 具体的には、河川整備計画に基づき、中長期的な視点で実施する河川改修などを着実に進めるとともに、短期的に効果を発現する河川内の土砂掘削などの対策を重点的かつ集中的に進めてまいります。 こうしたハード対策に加え、浸水想定区域図の整備や市町等と連携した水害対応タイムラインの運用、既存ダムを有効活用する事前放流など、住民の的確な避難行動や浸水被害の防止・軽減に資するソフト対策も進めてまいります。 さらに、デジタル技術を活用し、衛星やドローン等による堤防の変状監視を行うなど、インフラメンテナンスの高度化・効率化を図っていくこととしています。 また、国では、一級水系において、河川管理者等がこれまで実施したハード・ソフト対策に加えて、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減させる流域治水に取り組まれています。 県内では、一級水系の佐波川と小瀬川において、氾濫を防ぐための対策や被害を軽減させるための対策などを具体的に取りまとめた流域治水プロジェクトを、今年度中に国が策定・公表することとされています。 県としては、こうした一級水系での取組を踏まえ、国や市町、地域住民、企業等と連携し、県管理の二級水系においても流域治水プロジェクトの策定を進めていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、ハード・ソフト両面からの総合的な治水対策のさらなる充実強化に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)教員の確保についてのお尋ねにお答えします。 社会の変化が急速に進み、将来の予測が困難な状況の中で、学校教育をめぐる様々な課題に的確に対応していくためには、優れた資質能力を備えた意欲のある教員の確保と育成が重要です。 そのような状況の中、公立小学校の教員採用選考試験の採用倍率の低下傾向が全国的に続いており、本県においても同様の状況にあります。倍率の低下は、多数のベテラン教員が定年退職を迎えていることによる採用者数の増加に対し、受験者数が減少傾向にあることによるものです。 このような状況を踏まえ、県教委では、これまでも県内外における教員採用試験説明会や大学訪問、県内の高校生を対象としたセミナー等を実施し、教員という職についての魅力を積極的に発信するとともに、県外に複数の試験会場を設けるなど、志願者の増加に結びつく取組を進めています。 また、教員志願者の実践的指導力の向上を目指した本県独自の教師塾など、大学等と連携した取組や、志願者の多様な経験や資質能力を多面的に評価する特別選考等により、優秀な教員の確保に努めているところです。 一方、お示しの教員の確保に係る国の動きに関する県教委の対応ですが、まず外部人材の登用については、引き続き国の事業を活用して、教員の業務負担を軽減するために学校業務支援員を配置する市町教委を支援するとともに、部活動の指導や大会への引率等を行う部活動指導員の配置も行ってまいります。 また、小学校における教科担任制については、授業の質の向上とともに、教員の授業準備の効率化など負担軽減にも資するものであることから、より効果的な実施に向けて計画的かつ積極的に取り組んでまいります。 小学校免許状の取得要件については、国において、養成段階での特例の新設や現職段階での取得要件の弾力化等が検討されているところであり、これらの動きを注視するとともに、教員養成課程を有する県内の大学等と情報を共有してまいります。 また、県立学校においては、ICT環境の整備が進む中、学校と保護者等との連絡に当たり、可能な書類等について順次デジタル化を進めることとしており、こうした取組を市町教委とも情報共有してまいります。 さらに、一年単位の変形労働時間制については、長期休業期間等において休日をまとめ取りすることで、教員のリフレッシュ時間の確保等も期待されるものであり、働き方の一つとして選択できる制度となるよう、関係条例を今議会に上程したところです。 県教委といたしましては、引き続き本県の教員として働く魅力を県内外に発信するとともに、市町教委や大学等と連携して、学校現場の環境改善や人材育成を進めることで、新たな教育課題に対応できる教員の確保と育成に努めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時四十七分休憩