1 予算編成及び予算執行について 2 今後の医療体制の整備について 3 コロナ禍における地産地消事業の推進について 4 脱炭素社会の実現について 5 魅力ある県立学校の推進について 6 交通事故防止について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(藤生通陽君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第七十九号まで 副議長(藤生通陽君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十九号までを議題とし、質疑の議事を継続します。 井上剛君。 〔井上剛君登壇〕(拍手) 井上剛君 皆さん、こんにちは。民政会の井上剛です。早速ですが、会派を代表して質問させていただきます。 まず初めに、来年度の予算編成及び予算執行についてお伺いいたします。 二○二○年、新型コロナウイルス感染症は瞬く間に全世界に広がり、各地で猛威を振るい、我々の生活を一変させました。新型コロナウイルス感染症は、自然に収束させることは難しく、経済活動の再開、人との交流拡大によって感染拡大の波を繰り返しています。 私は、国民にワクチンの有効性が発揮されるまでは、こうした波を繰り返していくのだと考えています。そうしますと、来年度も新型コロナウイルス感染症の状況と経済のバランスをよく見ながらの対応をしていかなくてはならず、知事には力強いリーダーシップを発揮していただき、我が会派もしっかりサポートしていきたいと思います。 知事は、昨年の十月に発表された予算編成方針で、現時点で約七十億円の財源不足が見込まれているとし、コロナ禍という未曽有の危機的事象に対応するために、真に必要な施策に限られた人的資源・財源を集中投資する必要があると表明されました。 今回の予算案では、感染拡大防止と経済活性化の両立を図り、危機から生まれた変化を成長へとつなげていくことを柱としており、その考え方には大いに賛同するものであります。こうした危機的状況の中でそれを乗り切っていくには、今の危機的状況、そして進むべき方向をしっかりとカスケードダウンし、一人一人が腹に落とすことが大事です。 その手段として民間などでは、予算申請を含め、金額や内容による査定などを権限ランクを上げて実施し、経営層と従業員の意識統一を図ります。新型コロナウイルス感染症の先が見通せず、かつ厳しい財政状況の中で、来年度の予算編成に当たり、県はどのように仕事の質を変えて来年度の予算編成作業を行われたのかお伺いいたします。 二点目は、予算執行についてお伺いいたします。 今から七年前、サッカーワールドカップ二○一四ブラジル大会で、期待されながら予選敗退してしまった日本代表チーム。当時キャプテンを務めていた長谷部選手は、その敗因についてこう語りました。状況に応じた修正ができなかった。強豪国と対戦する試合の中では、決められた戦術ではなく、その時々の状況を見極め、臨機応変に戦術を修正することの必要性を言ったものです。 今の世の中は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、市場経済や社会環境が感染状況によって大きく変化しています。生き抜くには、現場でのその時々に応じられる修正能力が必要です。 来年度の予算執行に当たっては、県内の状況に即座に対応する素早い修正が必要になってくることも考えられます。予算編成時に決めたことでも、取り巻く環境の中で、事業の廃止や変更、予算の組替えをすぐに実施しなければならないことも想定されます。それを実現する上では、県のトップの方々をはじめ、県職員の皆さん一人一人がふだんから感性を磨き、アンテナを張り、感度を高め、果敢にチャレンジすることが重要です。来年度の予算執行に向けての知事のお考えをお伺いいたします。 次に、今後の医療体制の整備についてお伺いいたします。 本県でも一月二十六日には、感染状況が二番目に深刻なステージⅢに入ったと表明されました。これまでにお亡くなりになられました方々に心から御冥福をお祈りするとともに、罹患している皆様、そして後遺症でお悩みの方々の一日も早い回復を祈念いたします。 県内の状況を見てみますと、感染者は増えていますが、早期に病床や宿泊療養施設を確保していただいたことや、一日二千二百五十件のPCR検査体制の確保、迅速な濃厚接触者の確認などで、感染を囲い込めている状況であり、関係する全ての方々に感謝申し上げます。 しかし、今、約一・七倍の感染力を持つと言われる変異株ウイルスも確認されています。新型コロナウイルスは、約三万の遺伝子情報を持ち、ウイルスは増殖を繰り返す中で、一年間に約二十四個のペースでコピーミスの変異が起こるとされ、既に二十三個の変異が確認されています。その中で、より人間界の環境に合ったものが生き残っていき、それが現在、イギリスや南アフリカ、ブラジルなどで見つかった三つの変異株です。これらの変異型ウイルスは、約九十の国と地域で確認され、国内でも二百人を超える方が確認されています。 ウイルスの変異の特性を考えますと、外国から入ってくるだけではなく、国内で感染力を強めた変異株が発生し、感染者が急増する事態も考えられます。県内でも変異株の監視と情報収集を強化する必要があると考えます。 また、他県の状況を見てみますと、感染者の爆発的増加から入院ができず、自宅療養中に容体が急変され、お亡くなりになられた事例も多く発生しています。ワクチンの有効性が発揮されるまでは、まだまだ時間がかかります。他県で発生した医療崩壊と言われる状況を他山の石として、さらなる病床の確保、療養施設の確保に併せ、昨年の四月臨時議会でも申し上げましたが、医療機関以外で療養される方が症状の急激な悪化を早期につかむためにも、動脈血酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターなどを確保しておくことも重要です。 変異株の出現などを踏まえ、ワクチンの有効性が発揮されるまで、県としてどのようにして感染した方々の命を守るのかお尋ねいたします。 二点目は、ワクチン接種についてです。 いよいよ新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が、医療従事者を皮切りに開始されました。医療従事者は県が、そして一般の方々は市町が主担当となっていますが、準備や運営を国、県、市町が緊密に連携して進めなければ、これだけ大規模な集団接種は乗り切れないと考えます。 日本で接種を希望する人は、昨年行われた国際調査では六九%、共同通信社が二月に実施した調査では六三%であり、まだ多くの方が開発されて間もないワクチン接種に対する副作用や副反応を懸念しています。 世界保健機関(WHO)の専門家は、ワクチンによってパンデミックを阻止できるような集団免疫を達成するには、六○から七○%の接種率が必要と言っています。治験結果ではワクチンの有効性が約九○%と言われていますので、ハードルはさらに上がります。 まずは国の責任において、ワクチン接種の有効性と副作用・副反応に対する正しい情報を提供していただく必要があります。様々な服用している薬、持病、過去のアレルギーなどに対する正しい情報が必要です。 ワクチン接種は努力義務であり、ワクチンに対する情報をしっかりと持ち、不安を払拭できるように、県民に広報することが重要になってきます。新型コロナワクチンに対する不安や疑問を少しでも解決したいと、ニューヨークにあるマウントサイナイ医科大学の山田さんなどの医師が中心となってつくられた、LINEボット「コロワくんの相談室」を広く知ってもらい、活用することも効果があると考えます。 また、一月二十七日には、厚生労働省は川崎市とタイアップして模擬接種を実施しましたが、多くの課題が明らかになっています。広い場所の確保はもちろんですが、一か所に七名から八名の医師、看護師、そして約十人レベルのスタッフが必要であり、接種を行っていただく人材を確保することも重要となります。注射可能な看護師の確保として、現在就業していない看護師の方を募集することも必要になると考えます。 また、接種後の待機時に重篤な副反応、例えばアナフィラキシーショックになった方への迅速な対応準備も各箇所で必要です。また、一回目接種から二十一日経過後、早期に二回目の接種が必要であり、ワクチンの入荷と一人一人の接種のスケジュール化も重要です。 ワクチンは超低温で保管が必要ですが、地震や台風などでの停電などに対する非常時の対応などの想定も必要です。こうしたワクチン接種に対し多くの課題を洗い出し、早急に対応していかねばなりません。県として、新型コロナウイルス感染症を鎮静化するために、接種を希望する全ての県民の皆様への円滑な接種に向け、国や市町とどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 次に、コロナ禍における地産地消事業の推進についてお伺いいたします。 世界的にコロナ禍が継続される状況の中で、いかにして県内の事業者・雇用を守るかがとても重要です。私は、先ほども申しましたように、国民にワクチンの有効性が発揮されるまでは、来年度も感染の波を繰り返していくのだと考えています。 そうしたときに重要なのは、まさに地産地消であると考えます。新型コロナウイルス感染症の十一月下旬からの第三波では、年明けから十一都府県に緊急事態宣言が再発令され、全国の感染状況のニュース報道に、本県のように感染が抑え込めている地域も影響を受け、経済的に大きなダメージとなっています。それぞれの地方の状況に応じた経済対応をしていくことが重要になると考えます。 県内の多くの事業者さんは、感染リスクがあっても、我々の日常の生活を守るために、そして雇用を守るために、感染対策をしながら必死で頑張っていらっしゃいます。しかし、多くの事業者さんは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、まさに土俵際と言っても過言ではありません。大都市などで感染が広がっていても、県内で感染症が抑え込めていると判断できるときは、県民の、県民による、県民のための事業を進めることが必要だと考えます。 例えば「Go To トラベル」や「Go To Eat事業」を、感染防止策を実施している県内全ての事業者が参加できるように進化させ、山口県民が山口県内の事業所で宿泊や飲食、ショッピングなどを安心して楽しむことが積極的に進められるように、後押しする地産地消推進に係る事業を強力に進めることです。 今年度実施したプレミアム宿泊券事業では、多くの県民が日頃宿泊することが少なかった県内の施設を大いに活用しました。来年度も新型コロナウイルス感染症が収束するまでは、このように県民が県内で消費を積極的に行うことにつながる事業を進めて、地元事業者を守らなくてはならないと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、脱炭素社会の実現についてお伺いいたします。 昨年の九月議会でも、私はこの問題を取り上げ、脱炭素社会を実現していく上でのエネルギー供給の低炭素化に向けたイノベーション創出への取組の重要性、そして全国でも多くの自治体が表明している、二○五○年までにCO2排出量実質ゼロを目指すゼロカーボンシティの表明を行うことを訴えました。 低炭素化に向けたイノベーションの創出では、やまぐち産業イノベーション戦略に掲げる環境・エネルギー、水素関連分野を中心に、本県の強みを生かしたイノベーションの創出に取り組んでいくと御答弁いただきました。 これからの産業では、DXと同等にこの環境に対する取組が重要と考えています。しかし、今までは多くの企業が成長戦略を展開する中で、この問題に対し、重要とは考えるが、ほかに優先すべきことがあるや、それに投資した見返りが少ない、主導する人材がおらず、具体的に何をすればよいか分からないといった考えで、どちらかというと優先順位を低く捉えていました。 社会的責任投資という意味でのESG投資は、欧米の大企業では以前から当たり前のようになっていますが、日本では、先ほど紹介しましたように、どちらかというと余力としての投資と考えられているところが多かったために、本業とつなげて考えられてはいませんでした。 科学が進歩し、世界が発展していく中で、オゾン層の破壊、地球温暖化、大気汚染、土壌汚染、海洋汚染などといった環境破壊が世界的な問題として捉えられるようになり、企業としての責任も求められています。 帝国データバンクの調査では、回答のあった一万五千社で見ますと、温室効果ガス排出削減に取り組む企業が八○%を超えているのです。しかし、具体的な策を見ますと、節電などの省エネ、クールビズやウオームビズといったもので、本業とつなげて考えられているところは非常に少ないのが実情です。 環境問題の克服に対する新たな技術開発は、世界に向けて大きなビジネスチャンスになると考えます。ここ山口県には、基礎素材型産業やバイオ、水素関連など、それを実現可能とする産業群があります。県の進めようとしています水素利活用やCO2の貯留・再利用といった低炭素化に向けたイノベーションの創出に併せ、それぞれの事業所が本業を進める中で、資源の採取から生産、流通、消費、廃棄までの全ての工程を評価し、一貫した事業活動の中でCO2排出量を削減する技術開発や物流改善を進める必要があると考えます。 県として、産学官が連携し、そうした一貫評価・改善モデルをつくって、県内事業所をリードしてはと考えますし、その取組が国内・世界に広がればと考えます。また、そうした活動の中で、事業所の脱炭素の取組に対して、支援などでも後押しできたらと考えます。県の御所見をお伺いいたします。 二点目は、ゼロカーボンシティの表明についてです。 九月議会では、森林吸収のみでは限界があり、また、大幅な排出削減には、従来の取組の延長ではない抜本的な対応策が必要となることから、達成に向けた道筋を見通すことは困難ということで、表明については慎重に対応すると答弁されました。 その後、昨年十月、菅総理大臣が所信表明演説で国内の温室効果ガス排出を二○五○年までに実質ゼロとする方針を表明し、経済産業省はその実現に向けてのグリーン成長戦略の中で、CO2回収・再利用を前提とした火力発電や水素・アンモニア発電の実現、二○三○年代半ばには国内で販売される全ての新車を電気自動車やハイブリッド車など電動車とするなど、十四分野で目標を掲げました。そして、環境省も表明した自治体の支援を強化するとしています。 アメリカにおいても、第四十六代大統領に就任したバイデン大統領は、就任初日である一月二十日にパリ協定の復帰の大統領令に署名し、二十七日には全省庁に気候変動対策を政策の中心課題と位置づけて対処するよう指示する大統領令に署名しました。温暖化が地球の存亡に関わる脅威だと指摘し、四月二十二日に主要排出国による首脳会議を開くことも表明しました。まさに世界中の指導者が、脱炭素社会の実現が今の世代の役割として最も重要な課題であると認識したのです。 この動きを加速させたのは、まさしくスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんです。彼女の素直で事実に即したスピーチは、若者だけでなく、様々な政治家や投資家にも影響を与えたのです。 そして、小さな子供さんにも響いています。ある八歳の子供さんが自動車会社に宛てた手紙を紹介します。「私は八歳です。社長さんにお願いがあります。ガソリンやディーゼルを使った車を造らないでください。そして電気自動車を造ってください。ガソリンが環境に悪いことはみんな知っています。世界はみんなのもので、私たちの将来はクリーンな世界がいいです。汚い世界は嫌です。この手紙を読んでいただいてありがとうございました。」 ゼロカーボンを達成するには、従来の取組の延長ではない抜本的な対応策が必要なのは皆分かっています。でも、果敢にチャレンジさせるかどうかは、トップの姿勢にかかっているのです。トップがちゅうちょする、あるいはひるめば、それは決して成し遂げることはできません。 三月一日時点で、市町村含め宣言していないのは山口県だけです。私は、状況を考えますと、遅くともこの議会でゼロカーボンシティを表明すべきと考えますが、知事の脱炭素社会に向けてのお考え、決意をお伺いいたします。 次に、魅力ある県立学校の推進についてお伺いいたします。 県教委では、高校教育改革の中で、平成二十八年度入学者選抜から通学区域の全県一区化を実施されました。来年度の入試で制度導入から六年目を迎えます。制度の狙いであった、中学生の主体的な高校選択や特色ある学校づくりの達成状況に加え、希望する学校選択上の課題や通学・部活動などの学校生活への影響、そして教職員さんの意識の変化などに対して、現状を分析し、成果と課題を整理する時期ではないかと考えます。 私は、平成二十七年六月議会で、全県一区化に対し、主体的な高校選択に結びつけるには、中学校同士の情報交換や中学校と高校との全県的な連携とタイムリーな情報提供の重要性を訴えました。 また、特色ある学校づくりでは、各高校が特色ある独自のしっかりした幹を持った上で、時代の流れに応じていろいろな創意ある枝や葉をつけていくことが大事で、それには校長先生をはじめとする先生方の情熱と熱意、独自性を出していく必要性を訴えました。 一点目として、県教委として全県一区化を振り返り、中学生の主体的な高校選択や特色ある学校づくりの達成状況、それに伴って県内学生の質などの変化、教職員さんの意識の変化などをどのように捉えられ、今後の課題などの認識についてお伺いいたします。 二点目は、ICT教育の活用についてです。 県立高校全日制普通科の従来の通学区域を越えての高校を志願した生徒数を見てみますと、全県化前の三年間は毎年二百二十人から二百五十人でしたが、全県化後の五年間では毎年三百三十人から三百六十人と約百名増加しています。しかし、地域で見ますと、山陽側のJRなどの公共交通機関で通学可能な区域内での増加が主であり、本県では、公共交通機関の発達していない地域や通学時間が長くなってしまうような学校を子供たちが選択できていないと考えます。 そうしたとき、本県が他県に先駆けて整備してきた一人一台のタブレット端末配備や通信環境の整備が、全県一区化を真に進めていく大きなチャンスだと考えています。県内の特色ある先生の授業を、どの学校に通っていても、希望する生徒が選択できることも可能になります。そのためには、県内で授業時間割の調整、評価方法の取決めなどが必要となりますが、県内の子供たちに大きな選択肢を広げることが可能となります。 また、先生側にとっても、選択されることにより、より工夫した授業を考えるなど、モチベーション向上につながると考えます。当然、選択されることのプレッシャーも生まれますが、選択される先生の授業を参考にできるなど、お互いに切磋琢磨できる機会も生まれます。 全県下で、大学受験などに必要な主要科目などで、希望する生徒がそうしたことが可能となる環境をつくっていってはと考えます。予算案では、「海外・地域・他校とつながる学校!」の実現とする事業が上げられていますが、県のICT教育の活用に対する御所見をお伺いいたします。 最後に、交通事故防止に向けた取組についてお伺いいたします。 昨年の九月議会でも、公明党の石丸議員さんが横断歩道における歩行者優先の徹底に向けた取組をお伺いいたしました。実は昨年、私の先輩も夕刻暗くなった信号のない横断歩道で交通事故に遭い、亡くなってしまいました。先輩は懐中電灯を持っていましたが、運転手さんが気づかず、不幸な出来事となりました。横断歩道での交通事故を根絶させるためにも、私も取り上げたいと思います。 一点目は、取締りの強化についてです。 石丸議員さんが御紹介しましたように、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)による、信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査で、山口県は二○二○年度では一八・○%と上昇しましたが、全国三十一位という状況でした。隣の広島県では、二○一八年の一・○%、全国四十六位から二○二○年の二七・九%、同十二位まで改善されました。効果があったのが、県警として、みんなで歩行者事故ゼロプロジェクトを始動し、重点取締りを実施したことだとお伺いしました。 広島県の知人に聞きますと、その方の御自宅近くに大きな通りの抜け道的道路があり、多くの車がそこを通行していますが、信号のない交差点を週に四回から五回の取締りを実施し、毎日数十台の車が検挙されていたそうです。恐らく年間に三千人以上が検挙されたのではないかと言っていました。その方が懇意にしている警察官の方に理由をお伺いすると、ここで止まれない人は、どの交差点でも一旦停止できないのです、どこでも本当に左右の車や自転車に気をつけてもらう習慣を身につけてもらいたいのですとおっしゃったそうです。 加害者にも被害者にもさせないためには、県警としてこうした厳しい取締りも必要です。山口県警としても、重点取締り宣言を実施し、強化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 二点目は、信号のない横断歩道への視認性向上についてです。 県内で信号のない横断歩道は、昨年末で五千四百八十七か所にも及んでいます。こうした横断歩道のところは街灯も少なく、夕刻から夜間に人の存在に気づくのが遅れがちになります。横断歩道の上に標識に合わせて蛍光灯が設置されているものもありますが、照度が低いために、それほど効果があるものではありません。横断歩道自体も、議会でもよく指摘されていますが、消えかけているなどで認識しにくいところも多くあります。 さきに紹介しました停車率で全国一位を続けている長野県では、太陽電池を利用したLED外周発光装置付横断歩道標識を開発し、横断歩道の端に歩行者がいる場合の停車率が三倍以上に向上したと報告されています。また、その効果は、通り過ぎる車の速度低下にもつながっているとしています。 こうした改善を、通学路や夜間に横断者の多い住宅街などへの設置推進が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 三点目は、ロードバイクに対する交通指導です。 健康ブームを契機として、ロードバイクを楽しむ方が増えてきました。本県でもサイクル県やまぐちを掲げ、豊かな自然や美しい景観、整備された道路網など、山口県におけるサイクルスポーツ環境の魅力を発信しています。 ロードバイクは車道を走行しますが、そのために車とひやっとする場面が多くあります。特に夜間での走行では、中には後部に反射材や照明をつけていない方もおり、車のドライバーが認識するのが遅れ、ひやっとした話をよく聞きます。 また、交差点での右折時は、本来、ロードバイクは二段階右折が必要ですが、自動車と同様の右折レーンに入って右折してしまう方、時にはグループで右折していく姿も見受けられます。ロードバイクを楽しむことはよいことですが、あるときは自転車の、そしてあるときは自動車の交通ルールを都合のよいように解釈して走行している方も見受けられます。ロードバイクを楽しむのに免許更新などの必要がないために、ルールを徹底するのが難しいように感じます。 そこで、ロードバイクを楽しむ方々への交通指導を、パトロール時に合わせ、自転車販売店などともタイアップして行うことが必要だと考えます。ロードバイク人口が増える中、どのように交通指導を行っていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(藤生通陽君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)井上議員の代表質問にお答えします。 まず、予算編成及び予算執行についてのお尋ねのうち、予算編成についてです。 新型コロナウイルスの収束が見通せない中、県民の命と健康を守るため、さらなる感染の拡大を防いでいくこと、そして暮らしの安定を確保し、地域経済を回復基調に乗せていくことが目下の最重要課題です。 一方で、直面する感染症の危機を乗り越えるとともに、コロナ禍から生まれた変化を県政の推進に確実に取り込み、「活力みなぎる山口県」の実現に向けた取組をスピード感を持って前へ進めていかなければなりません。 そのため、昨年策定した、「コロナの時代」に対応するための施策推進方針により、今後の県づくりの方向性を示し、県内のあらゆる主体と共有したところです。 その上で、この方針を踏まえた来年度当初予算編成方針において、必要なコロナ対策やデジタル化等の社会変革に対応する取組に重点的な予算配分を行うことを明示し、積極的な施策の構築を促しました。 また、厳しい財政状況の中、選択と集中の観点から、事業のスクラップ・アンド・ビルドを徹底し、感染症対策をはじめとする今後の県づくりの推進に必要な施策に限られた財源を集中投資するよう求めました。 こうした中、各部局と議論を重ねるなど十分に意思疎通を図り、また、必要に応じて指示を行うなど、県づくりについて共通認識をより一層深めながら、私の責任において、本県が来年度重点的に取り組むべき施策をしっかりと盛り込んだ当初予算案を編成したところです。 次に、予算執行についてです。 私は、これまでも全職員に対し、適切な進行管理の下、最少の経費で最大の効果を上げるという意識を持って、予算を効率的に執行するよう求めてきました。 また、今年度は、刻一刻と状況が変化する中、職員には、課題や県民のニーズを迅速かつ的確に捉え、必要な対策に全力で取り組むこと、そして国とも連携して機動的に取組が実施できるよう、素早い情報収集にも努めることを指示してきたところです。 こうした中、コロナの感染拡大により、その対策に人的資源・財源を集中投資するため、行財政構造改革を一時凍結した上で数度にわたり補正予算を編成するなど、コロナの感染状況や社会経済情勢を踏まえ、的確に対応してきたところです。 今回の予算で計上した事業については、その実施時期における実情に即して適切な執行方法を検討するとともに、今後の諸情勢によって、追加の対策が必要となれば、補正予算の編成も含め、県議会の御意見もいただきながら、時期を逸することなく機動的に対応していきたいと考えています。 次に、今後の医療体制の整備についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、新型コロナウイルスに感染した方の命を守る取組についてです。 いまだ新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、私は県民の命と健康を守るためには、全ての患者の入院治療を基本とした万全の医療体制を確保することが重要であると考えています。 このため、本県では、入院患者の受入れ病床について、医療機関の御協力の下、新たに五十二床増床し、人口比では全国トップレベルの水準となる四百七十五床を確保するとともに、医療機器の整備を支援するなど、医療提供体制の強化を図ってきたところです。 また、無症状者等を受け入れる宿泊療養施設では、症状の急変に迅速に対応するため、医師や看護師を増員してきたところであり、健康管理についても、既存のパルスオキシメーターに加え、療養者自らが心拍数等を簡易に計測できる機器を新たに整備するなど、療養環境の充実に努めてまいります。 なお、お示しの変異株については、これまで本県では確認されていませんが、引き続き環境保健センターにおいて監視を続けてまいります。 次に、ワクチン接種についてです。 国内初の新型コロナワクチンが承認され、国における先行接種に続き、医療従事者や高齢者への優先接種が始まる予定です。 私は、ワクチン接種に向けては、県民の皆様にワクチンの有効性や安全性等を理解していただくとともに、安心して接種が受けられる体制の整備にしっかり取り組んでいかなければならないと考えています。 このため、今般、ワクチン接種専門相談センターを開設したところであり、医薬品全般に幅広い知識を持つ薬剤師により、専門的な相談に対応してまいります。 また、副反応に関する情報については、国の責任においてしっかりと検証が行われ、自治体と具体的な情報共有が図られるよう、全国知事会を通じ、国に要望しているところです。 次に、接種体制の確保についてですが、迅速かつ円滑に接種を進めるためには、市町や医療関係団体と連携し、十分な人材や資材、接種場所の確保など、万全の準備を整える必要があります。 このため、実施主体である市町や医療関係団体がそれぞれの役割を踏まえ、着実に準備が進められるよう、ワクチン接種対策会議を立ち上げ、緊密な連携体制を構築したところです。 また、医療圏ごとに市町や郡市医師会等の関係機関で構成する圏域会議を設け、国からの情報の共有を図るとともに、人材確保等の課題解決に向けた具体的協議を進めるなど、円滑なワクチン接種に向けた支援に努めています。 私は、今後とも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策に、市町や関係団体と一体となって取り組んでまいります。 次に、コロナ禍における地産地消事業の推進についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、観光や飲食をはじめ県内の様々な業種において、消費需要が大幅に落ち込むなど深刻な影響が生じており、本県経済は過去に例がない厳しい状況に置かれています。 このため、私は、これまで感染拡大の防止に取り組む一方で、県内経済の活性化に向け、国の交付金も活用し、コロナ禍で大きな影響を受けた観光や農林水産の分野において消費需要の喚起に向けた取組を、これまでにない規模で強力に進めてきました。 この結果、昨年九月には県内宿泊施設の宿泊者数の伸び率と客室稼働率が共に全国一位となり、また、県産農林水産物を対象にした販売促進キャンペーンが好評を博すなど、着実な成果につながったところです。 こうした中、年末の「Go To トラベル」の停止や年明けの緊急事態宣言の発出等により、社会経済活動が再び停滞してきており、今後、感染の収束状況を踏まえ、県内の観光需要や県産農林水産物の消費需要を喚起する取組を効果的に展開していくこととしています。 まず、観光需要の喚起に向けては、第二弾となる「行こうよ。やまぐちプレミアムキャンペーン」を実施することとし、好評であった割引率五○%のプレミアム宿泊券を前回と同規模となる五十万枚発行することとしています。 また、県内全ての路線バス、鉄道事業者と連携したデジタルスタンプラリーを実施するとともに、各地で開催されているウオーキングイベントを一体的にPRするなど、県民の身近な地域での周遊を促進する効果的な観光プロモーションを展開していきます。 次に、県産農林水産物の需要喚起に向けては、「もっとみんなでたべちゃろ!キャンペーン」第三弾として、やまぐち食彩店等と連携し、インターネットも活用しながら、引き続き影響の大きい日本酒や高級魚等を中心に割引販売を実施します。 また、入学や就職のシーズンに合わせ、新生活を始める皆様を応援するための花の割引販売を実施することにより、厳しい状況にある生産者の支援にもつなげていきます。 私は、今後とも、感染状況や経済動向を見極めつつ、関係機関との緊密な連携の下、県内での消費需要の喚起に向けた取組を機動的かつ積極的に実施することにより、県内経済の早期回復を図ってまいります。 次に、脱炭素社会の実現についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、事業所の脱炭素の取組に対する支援についてです。 国は、二○五○年カーボンニュートラルを宣言し、環境対策は社会経済を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、力強い成長を生み出す、その鍵となるものとしています。 こうした中、本県では、県経済の持続的成長・発展に向け、次期産業戦略に環境・エネルギー、水素等を重点成長分野に位置づけ、エネルギー転換・脱炭素化に向けたイノベーションの創出に取り組むこととしています。 具体的には、県産業技術センターに設置したイノベーション推進センターや、やまぐちR&Dラボにおいて、水素やCO2等の利活用技術の開発・事業化に向けた支援を行います。 また、県内コンビナート企業等と連携し、CO2削減・利活用技術等をテーマとした検討会を新たに立ち上げることとしています。 お示しの資源の採取から廃棄に至る全工程のCO2排出量などの環境負荷を評価する手法については、環境マネジメントの国際規格があります。既にこの環境マネジメントに取り組まれている事例もありますので、それらを県内企業に情報提供し、自主的な取組を促してまいります。 私は、こうした取組を通じて、県内事業所の脱炭素の取組を支援してまいります。 次に、ゼロカーボンシティの表明についてです。 温室効果ガスの排出量の増加による地球温暖化の進行は、猛暑や集中豪雨をもたらすなど、県民生活に大きな影響を及ぼしており、その削減は重要な課題と考えています。 このため、県では、地球温暖化対策実行計画に基づき、温室効果ガスの排出削減に向けた各種施策に積極的に取り組み、実行計画の目標を上回る削減を行ってきたところです。 こうした中、国はカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、その後、産業政策であるグリーン成長戦略を策定しました。 しかしながら、脱炭素社会に向けた温室効果ガスの削減に係る具体的な内容については、今後、国の地球温暖化対策計画の見直しが進められる中で明らかになる予定です。 お尋ねのゼロカーボンシティの表明については、このような国の動きを踏まえるとともに、県民や事業者、市町などの取組主体からも幅広く意見を聞きながら、引き続き検討することとしたいと考えています。 そして、まずは、このたび改定する県の実行計画に掲げる、二○三○年度における温室効果ガス削減目標の早期達成に向けて、本県の地域や産業の特性を生かした実効性のある施策を着実に進めていきます。 私は、今後とも、県民や事業者、市町、関係団体と連携しながら、脱炭素社会の実現につながる地球温暖化対策に取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)浅原教育長。 〔教育長 浅原司君登壇〕 教育長(浅原司君)魅力ある県立学校の推進に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、通学区域の全県化の成果と課題についてです。 県教委では、中学生が自分の興味・関心や将来の進路希望等に応じて主体的に学校選択ができるよう、お示しのとおり、平成二十八年度入学者選抜から、全日制普通科の通学区域を県内全域としたところです。 お尋ねの特色ある学校づくりにつきましては、探究科の新設や、普通科と総合学科を併置した新高校の設置とともに、各高校におけるコミュニティ・スクールの仕組みを活用した特色ある教育活動の実施など、個性化・多様化を図る取組が進んできていると考えています。 また、教職員においても、高校と企業・地域との連携による独自の取組を新たに提案するなど、特色づくりに関する意識が醸成されてきており、各高校で創意ある教育活動が展開されているところです。 こうした取組により、旧通学区域を越えて高校に志願した生徒が約百人増加するなど、中学生の主体的な高校選択は着実に広がっており、それに伴い、授業や部活動等に取り組む生徒の意欲は高まってきているものと捉えています。 一方、今後も、さらに少子化が進行することが見込まれ、生徒のニーズも多様化してきていることから、このような変化に対応した特色づくりなどを一層進めていくことが課題であると考えています。 そのため、県教委では、来年度設置する将来構想検討協議会において、社会情勢や各学校の状況等を客観的に分析し、子供たちの期待に応える特色ある学校づくりについても検討してまいります。 次に、ICT教育の活用についてです。 情報化が加速度的に進む社会において必要とされる資質・能力を育成するために、ICT教育を推進することは重要であると考えており、県教委では、本年度、全県立学校への一人一台タブレット端末の配備や通信環境の整備を進めてきたところです。 次年度以降は、こうしたICT環境の中で、「海外・地域・他校とつながる学校!」の実現を目指し、高等学校等における海外とのオンライン交流や、選抜性の高い大学を目指す生徒を対象とした全県合同の講義・演習、簿記等の資格取得に必要なオンライン講座などを実施することとしております。 お示しの県内の先生の特色ある授業を、どこの学校においても生徒が選択できるようにすることについては、時間割の調整や評価方法の取決めなど多くの課題があり、国の動向も注視しながら、ICTを活用した教育の様々な可能性について、引き続き検討してまいります。 県教委といたしましては、通学区域の全県化の趣旨を踏まえ、各高校の特色づくりを一層推進するとともに、ICTを活用した教育のさらなる充実を図ることにより、中学生の主体的な学校選択につながる魅力ある学校づくりに取り組んでまいります。 副議長(藤生通陽君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)交通事故防止についての三点のお尋ねにお答えいたします。 一点目の信号機のない横断歩道における取締り強化についてです。 信号機のない横断歩道における人身交通事故につきましては、令和二年中、県内において五十九件発生しており、三名の方がお亡くなりになっておられます。 議員お示しの車の一時停止状況に関する調査結果にも現れているように、県内では、残念ながら歩行者優先ルールが必ずしもドライバーに徹底されていないと認識しております。 このため、県警察では、信号機のない横断歩道において、県下一斉に広報啓発や指導取締りを行う、横断歩道まもロード作戦に取り組むなど、横断歩行者妨害違反に対しては集中的に指導取締りを行っております。 広島県での取締りについてお示しがありましたが、本県においても、令和二年中の検挙件数は四千五百二十六件と、前年九百六十九件の約四・七倍となったところであります。 折しも、今月九日から十五日までの七日間、高齢者の交通事故防止県民運動が実施されますが、この期間についても横断歩行者妨害取締り強化期間に設定し、県民運動の統一行動日である十五日に県下一斉取締りを実施する計画としております。 また、本年は新たに、横断歩道の安全対策を県警察における重点対策の一つに掲げることといたしました。引き続き年間を通じて横断歩行者妨害違反の指導取締りをより一層強化するとともに、関係機関・団体の協力を得て、テレビ・ラジオ等各種媒体を活用するなどして、効果的な広報啓発に努めてまいります。 二点目の信号機のない横断歩道の視認性向上についてです。 議員お示しの外周発光装置付横断歩道標識につきましては、平成二十五年から長野県警が導入し、一定の効果を上げているものと承知しております。 県警察では、目下、摩耗した横断歩道標示の補修を最優先課題として取り組んでおりますが、あわせて、高輝度の標識や照明を備えた大型標識についても計画的に設置してきたところです。今後とも、視認性の向上を図る標識を含め、ドライバーが確実に横断歩道を認識できるよう、新技術の情報にも注視してまいりたいと思います。 三点目のロードバイクに対する交通指導についてです。 本県では、誰もが快適に楽しむことができるサイクル県やまぐちの実現に向け、様々な取組が進められており、サイクリスト人口の増加が見込まれる中、ロードバイク利用者等に対する交通ルール遵守の徹底は重要な課題と認識しております。 こうした課題での取組の一環として、平成三十年度に交通安全学習館をリニューアルし、サイクルスポーツ拠点施設の一つとして、VR映像によるシミュレーターなどを導入したほか、サイクリスト用の更衣室やサイクルエイドを設置し、気軽に利用できる環境とサイクリストに対する交通安全指導の充実を図ったところです。 引き続き、施設利用者の拡大や効率的な交通安全指導を行っていくことに加え、積極的な指導取締り、関係機関・団体と連携した交通安全講習、さらには各種媒体を活用した効果的な広報啓発などをしっかりと行ってまいります。 副議長(藤生通陽君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(藤生通陽君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。御苦労でした。 午後一時五十四分散会