1 過疎地域の持続的発展に向けた取組について 2 県内交通事業者の支援について 3 森林経営管理制度の運用について 4 中小企業・小規模事業者支援の充実について 5 山陰地域の高規格道路の整備に係る萩市の動きと県の認識について 6 離島架橋等の老朽化対策について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 笠本俊也君。 〔笠本俊也君登壇〕(拍手) 笠本俊也君 おはようございます。自由民主党の笠本俊也でございます。 新型コロナウイルスの感染者が少なかった北浦地域も、ゴールデンウイーク明けから次第に増え始め、県でもその後、六月二十日まで、不要不急の県外外出の回避等を県民の皆様に呼びかけ、感染者数も現在次第に減少してきたところです。この間の関係の皆様の日夜を通じた御努力に、この場を借りて心から感謝を申し上げます。 これからも感染の根絶ということ自体は不可能な分、今以上に私自身も周囲に感染防止の声かけを心がけてまいります。 さて、そのコロナ禍における感染者等に対する誹謗中傷についてですが、私の地元でも感染が拡大した際に、感染者の親族の方々から、濃厚接触者でなく、検査を受ける必要のなかった親族にも批判的な視線が注がれ、過剰なうわさや感染拡大防止策と乖離した問合せや作り話が増え、どうにかならないものかと切実な相談を受け、身近で起きた誹謗中傷やうわさの現実を大変残念に感じました。 一旦始まったうわさはなかなか消せません。御相談を頂いた方からは、いつまで歯を食いしばって誹謗中傷を乗り越えていかなければならないのか、私たちをうわさの被害から守ってほしい、そんな言葉が何度も漏れてきました。 私からも、真にコロナで誹謗中傷を受ける御本人、また周囲の方々の気持ちが尊重される毎日に一日も早くなってほしい、そして改めて、差別と中傷を根絶する機運を一人一人の努力で高め実践していけるよう、皆様にも心から御協力をお願いを申し上げまして、通告に従い、一般質問を行います。 最初に、過疎地域の持続的発展に向けた取組についてお尋ねいたします。 私の地元長門市も含め、現在十市町が過疎法における過疎地域として指定されておりますが、こうした地域は日本の原風景とも言える、多様で美しい資源を数多く有し、訪れる人々に癒やしや潤いを提供している一方で、過疎地域の現場では、社会生活基盤の維持機能の低下や地域の担い手の不足などを通り越して、地域自体の存続さえも危ぶまれている状態にあります。 こうした中、新たな過疎法が四月に施行され、過疎債の継続や国庫補助率のかさ上げなど、従前と同レベルの支援策や経過措置が盛り込まれることとなりました。 過疎地域からの選出である私としても、新法の趣旨や支援策をこれからの過疎地域振興に直結させるため、今以上に過疎地域に対し、県や市町がハード・ソフト両面から強力に支援をしていかなければならないと考えています。 前身の過疎法が延長された平成二十二年以降十年間で、長門市では、人口は実に一五%も減少し、高齢化率も四四%へと増加しているように、過疎地域は高齢化率が上昇し続けながら人口が激減していく、まさに官民双方の地域運営の根本を揺るがす状況が続いており、これまでの常識が通用しない、大きな変化に対応する地域づくりを余儀なくされています。 そうした中で、長門地域においては、県の進める元気生活圏づくりや俵山地区における住民出資による地域経営会社の取組、さらには湯本温泉でのまちづくりプロジェクトなど、地域の苦戦している事業者や住民の参画はもちろん、地域外からの知恵や力も借りて、関係人口を生み出し、そのことが未来の地域の発展に直結するよう、鋭意取組を実施してきました。 こうした取組を永続できる形に発展させていけるよう、私としても、今後とも積極的に地域の皆様と共に取り組んでいく覚悟です。 一方で、このような新たな取組も、過疎地域自体に他地域と遜色のないなりわいや暮らしができる社会生活基盤の整備がなければ、立ち上げていくことはできません。 長門市では、センザキッチン開設や湯本温泉街整備など、関係人口の増加につながる基盤づくりと併せ、過疎法の支援策を活用し、光ファイバー網の敷設に二〇一九年から三年間で取り組み、今後のデジタル社会に対応した社会生活基盤整備も進めてこられましたが、時代の変化に対応していくには、一層の継続的な支援が必要であると感じています。 県では、新たな過疎法の規定に基づき、過疎地域持続的発展方針をまさにこれから策定されることになると思いますが、本県の過疎地域の将来展望を見据えながら、地域の現状や県内各市町の意見が十分に反映されたものでなければなりませんし、この方針の下、人口減少、高齢化の中でも、該当地域での地域づくりが目標を見失うことなく、着実に進めていけるよう、地域の実情や時代の変化に沿った臨機応変な対策を継続的に講じていただきたく考えます。 そこでお尋ねいたします。県においては、新たな過疎法の施行を踏まえ、過疎地域の持続的発展に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、コロナ禍における県内交通事業者の支援についてお伺いいたします。 コロナ禍の打撃を受けている私の地元の地域交通を担うある交通事業者から、先般、観光需要や地元企業、市民の需要などに即応するため大型バスを所有してきたものの、人の移動がない中で、多額な車両維持経費をいつまで負担し続けなければならないのかと、活用のないバスの維持に対し、かなり消極的な声を頂戴しました。 日本モビリティ・マネジメント会議が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関し、調査した結果によれば、鉄道やバス、タクシー、旅客船などの事業者四百三十六社のうち約半数が、外出自粛が長期化した場合、倒産するおそれがあるなど、地域交通の先行きに不安が生じています。 また、コロナ禍の有無にかかわらず、豊かで物があふれる成熟の時代と言われる現在、高齢者の通院、孤食や買物弱者の問題など、あるべき豊かな生活とのミスマッチを生む課題も、地方ではますます深刻化しております。 農水省の食料品アクセス困難人口推計においても、食料品購入に不便を感じる買物弱者数は全国で八百二十五万人、ここ十年で二一%も増加している結果が出ており、本県においても同様で、今後も間違いなく進展を余儀なくされる課題となっております。 今年度、本県では、地域住民の生活の足としてなくてはならない交通事業者に対し、地方バス路線運行維持対策事業の中で、コロナ対策特別分七千八百七十五万円を措置するなど、現況を踏まえた対策を講じておられますが、それだけでなく、交通事業者の維持に向けて、例えば、県事業における配達を要する仕事への事業者の活用や県内各地での新たな交通体系構築への支援などについても、まさに今、今後の支援の仕組みや支援手法、体制を再構築していく必要があるのではないでしょうか。 また、先日には、サンデン交通から下関駅と山口宇部空港を結ぶ空港連絡バスが、コロナ禍による利用者の減少などを受け、九月末をもって廃止されるとの発表がございましたが、元乃隅神社や長門湯本温泉といった県北西部の観光地を回る、やまぐち絶景満喫バスなど、バスやタクシーは、空港や主要駅から観光地までを結ぶ二次交通の要でもあり、交通事業者は本県観光の重要な担い手だということも忘れてはならないと考えます。 とりわけ、近年のIoT等の技術革新によるMaaSやAIを活用したオンデマンド交通等の新しいモビリティーサービスは、利用者の利便性を格段に向上させるものであり、本県の交通課題解決のためにも、特に地方部において、今後、積極的な導入が期待されているところです。 しかし、こうした便利な機能も、足腰のしっかりとした地元交通機関があって初めて成り立つものであり、肝腎のバスやタクシーなどの送客基盤が脆弱であれば、事業として組み立てできないわけであります。 県としては、交通事業者を取り巻く窮状をしっかりと把握していただき、これからも地域の公共財である交通ネットワークが十分機能するよう、交通事業者への最大限の支援をお願いいたします。 そこで、地域交通事業者の事業継続を可能にするため、県内交通事業者の存続に向けた支援について、県としてどう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、森林経営管理制度の運用についてお尋ねします。 一昨年より森林経営管理制度の運用が開始され、その財源として森林環境譲与税の交付が始まりました。 我が国では、所有者の関心の薄れから、管理の行き届かない森林が年々増えております。そこで本制度と本税創設により、災害防止や地球温暖化防止など、公益的機能の維持増進に支障を来すことが懸念される、所有者が適切に管理できない森林の経営管理を、意欲と能力のある林業経営者に集約化し、それもできない森林は市町が経営管理を行うことで、森林の適切な管理と林業の成長産業化の両立を図ることとされたわけであります。 財源となる森林環境譲与税は、昨年度は、国全体で四百億円が譲与され、本県では、県に約一億円、市町に約六億円、合計で約七億円が割り当てられています。 人工林の伐採や再造林など、適切な森林管理の実践は、公益的機能の維持増進に資するだけではなく、林業経営者や苗木生産者、製材業者など、幅広い事業者の活性化にも結びつくものであり、森林環境譲与税は、裾野の広い林業界全体の成長に資するよう、その効果的な活用が大いに期待されているところです。 こうした中、本県の森林・林業をめぐる状況は、県内には森林資源が豊富にあるものの、伐採が進まないことで再造林も進んでおらず、将来的には、林業経営の継続が困難となることが危惧されています。 このため、県では平成三十年から、やまぐち農林水産業成長産業化行動計画に基づき、年間三十万立米の木を切り出し、五年間で千九十ヘクタールに再造林することを目標に掲げ、循環型林業経営の確立に向けた取組を進められているところですが、目標を達成し、持続可能な林業経営を実現する観点からも、譲与税を有効に活用した循環サイクルの着実な実践とその定着化こそ重要であると考えます。 譲与税の使途については、市町では間伐や木材の利用の促進など、森林整備及びその促進に関する費用に充てることとされ、都道府県では森林整備を実施する市町の支援等に関する費用に充てることとされており、地域の実情に応じた活用が進んでいます。 本県でも、長門市をはじめ多くの市町で、森林所有者への意向調査や経営管理権の集積を進めておられますが、事務を担う市町では、森林境界の明確化を伴うなど、制度が複雑である上、併せてマンパワー不足などから、集積の調整は思うように進んでいないと伺っております。 また、経営管理権を集積した後、森林整備を進めるに当たっては、林業経営の収支判断など、より専門的な知見が必要となりますが、県内には林業の専門職員不在の市町も多く、このままでは森林経営管理はもとより、肝腎要の森林整備が停滞することも懸念されます。 県ではこれまで、市町の意向調査が円滑に進むよう、譲与税を活用した森林情報システムの機能強化などに取り組んでこられましたが、今後は、経営管理権の集積から林業経営者等による森林整備までの工程が着実に進展するよう、その進め方について、より総合的・技術的に市町を支援することが必要であり、譲与税もそういう取組に対して重点的に活用すべきだと私は考えています。 そこでお尋ねいたします。森林資源を適切に管理し、林業の成長産業化を実現するには、森林環境譲与税を効果的に活用し、森林経営管理制度を円滑に運用することが肝要ですが、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。 次に、中小企業・小規模事業者の支援の充実についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、県外や県内他地域と比べ、感染状況の穏やかな私の地元長門市にも、他地域と同様自粛ムードが広がる中、ぎりぎりの経営を続ける事業者も多く、一経営者の努力だけではどうにもならないこの災禍への対応に苦悩しておられます。 こうした状況を乗り越えるため、国は事業者に対し、支援制度を相次ぎ打ち出し、広く経営存続対策を講じておられますが、その一つに事業再構築補助金があります。 これは、業種・業態転換など、コロナに立ち向かう思い切った事業計画の見直しを行う事業者を後押しするために創設されたものですが、それを事業者のみで行うことが困難であるとの前提に立ち、認定経営革新等支援機関と共に、事業計画を策定することを補助要件の一つとしています。 どんな苦境に立たされようと、それを乗り越えていく英知を持ち合わせていること、事業を営む大前提はそこにあると考えます。しかしながら、日々の苦しい経営に追われ、事業計画の大幅な見直しはもちろん、小さなアイデアや工夫でさえも、なかなか実行に移せない、また、そこまで至らないというのが私のうかがう現状です。 そのため、私は支援機関が伴走支援するというこの補助制度は、的を射たものであると考えますし、他の支援策の実施においても、可能な限り、こうした伴走型の支援が行われることが求められていると考えます。 コロナ禍で一変した事業環境に対応するため、事業者には新分野展開や事業転換など、将来を左右する様々な決断を迫られています。ゆえに、伴走する支援機関には、その対応力が問われています。ただ相談を待ち、事業者側が希望する支援制度を実施するだけでなく、課題の解決に向けた提案力や情報力など、これまで蓄積した支援ノウハウを存分に発揮し、支援計画の中で事業者の持つ力を引き出し、将来の成長にいかにしてつなげるかを提案するなど、攻めの姿勢で伴走支援することが必要です。 そうした攻めの姿勢の伴走支援を行ってこそ、見えてくる新たな課題もあると考えます。そうした課題に対応した支援が県内事業者の窮状に合った真の支援であり、事業者のさらなる成長に向けた次の一手となるのではないでしょうか。 県においては、事業者が様々な支援策を効果的に活用し、ウイズコロナ、ポストコロナ時代の変化に対応できる力を身につけられるよう、商工会や商工会議所、民間金融機関等、地元企業を支える支援機関との連携をこれまで以上に深め、支援の裾野を広げ、支援体制の強化を全力で進めていただきますよう、お願いいたします。 そこでお尋ねいたします。中小企業支援機関等と連携した中小企業・小規模事業者支援の充実について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、山陰地域の高規格道路の整備に係る萩市の動きと県の認識についてお伺いいたします。 本県の山陰地域は、農林水産資源や観光資源に恵まれており、その魅力を生かした地域活力の底上げをしていくためには、迅速で円滑な物流や交流を支えるとともに、大規模災害時にも機能する、規格の高い道路網の整備が喫緊の課題となっています。 こうした課題を解決するため、これまで行政や関係機関が一体となって、山陰地域の骨格をなし、島根県境から下関市に至る山陰道と、県央部と山陰地域を連結する小郡萩道路の早期整備に向けた取組が続けられています。 しかし最近、萩市においては、こうした取組に水を差すかのような動きがあり、私自身、強い懸念と不信を感じざるを得ませんので、県の見解を改めてお伺いしたいと思います。 まず、山陰道については、昨年八月、藤道前萩市長が県議会の柳居議長はじめ、山陰道建設促進山口県議会議員連盟の役員と上京、桝屋衆議院議員立会いの下、赤羽国土交通大臣に対し、萩市内の大井・萩道路、益田・田万川道路の新規事業化を強く働きかけたところです。 さらに、十一月には前市長が中心となり、下関市や長門市等と連携して、萩市内で山陰道に関するシンポジウムを開催し、地域の機運を一層盛り上げるなど、精力的な取組を進めてこられました。 私としては、これまで萩市と県や県議会、関係市町、地元経済界等が緊密に連携して取組を進めてきた結果が、今年度の大井・萩道路、益田・田万川道路の二区間の新規事業化という悲願成就に結びついたものと受け止めています。 この間、私も議員連盟の会長として関係市町、そして特に経済界をはじめとする民間関係機関の皆様と思いを一つにして活動してまいりました。 特に、私は期成同盟会という商工会議所等、民間関係機関が行政と一体となって活動する組織の存在は、何より重要であると強く考えております。 長門地域においても、下関─長門間の山陰道建設促進期成同盟会の立ち上げに際しても、長門商工会議所から下関商議所への声かけ、そして県や県議会、市町への声かけの下、設立したという過程があります。道路建設促進はどこまでも民間主導で、当時の長門商工会議所会頭は、そうした強い思いで進めてこられたわけです。 国におかれましても、こうした県と地域一丸の強い要望だと捉えられ、結果、期成同盟会設立後僅か一年で、下関─長門間の長門・俵山道路の事業化に至ったのです。 今後とも民間関係機関を中心に組織される期成同盟会、県、市町が一丸となって進めていくことが何より重要であり、市だけでは到底進められるものではないと考えます。 今回の大井・萩道路、益田・田万川道路二区間の新規事業化は、そうした確固たる積み重ねの成果であるにもかかわらず、就任直後の四月に、田中現萩市長は、県や県議会はもとより、民間関係機関への事前の相談もなく、単独で国土交通大臣に新規事業化のお礼と要望を行うなど、これまでの取組経緯を軽んじた、信義則に反する対応を取られており、私どもとしても、これまでの連携や努力が水泡に帰した思いでいっぱいであります。 さらに、現市長は、地元と合意形成を図りながら、適正な手続に基づき、合理的に決定された大井・萩道路のルートを変更することや、阿武川に架かる橋梁を二重橋に変更することを、市長就任後も公言され続けており、このままでは山陰道の整備が立ち行かなくなるのではないかと、大いに危惧されるところであります。 そこでお尋ねいたします。山陰道の整備をめぐるこうした最近の萩市の動きに対する県の受け止めと、新規事業化された大井・萩道路の現在の計画に対する県の認識と見解をお伺いします。 また、県として、今後、山陰道の早期整備に向けてどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、現在、精力的に事業展開が図られている小郡萩道路に関しても、現萩市長は、明木─萩間について、現道を活用する計画となっている区間をバイパスによる整備に変更することを公言され続けています。 私どもとしては、県が平成二十六年度に絵堂から萩間を事業化するに当たり、この明木─萩間については、現道を活用することが妥当であるとして、萩市をはじめ地元関係者との合意の上で事業着手されたものと承知しております。 そうした地元との十分な調整、協議を経て事業化したものであるにもかかわらず、この期に及んで萩市長が既に合意された内容と異なる、一方的で非現実的な発言を繰り返されることは、地元の不安や不信を招き、早期完成に向けた機運も低下してしまうのではないかと懸念しています。 さらには、今後、県と市の調整が難航することにでもなれば、事業の進捗が滞り、ひいては、事業が中断してしまわないかという危惧を感じざるを得ません。 そこでお尋ねいたします。小郡萩道路をめぐるこうした現萩市長の発言について、県はどのように受け止めているのか。また、事業化に至った経緯を踏まえ、小郡萩道路を早期に完成させるためには、明木─萩間の整備は、現在の現道を活用する計画により事業を進めるべきと考えますが、県としての見解をお伺いいたします。 最後に、離島架橋等の老朽化対策についてお伺いいたします。 昨年発生した上関大橋の損傷事故は、同じ離島架橋の青海大橋を有する長門市出身の私も、人ごとでない思いで、県議会で県の姿勢を一般質問でただすとともに、現地に八名の議員で足を運ばせていただき、上関町長さんはじめ、町民の皆様から、暮らしや仕事の上で直面している切実な声をお伺いしました。 そこで私が強く感じたことは、県内全域において橋梁の経年劣化が進む中、住民の皆様が安心して利用できるよう、橋梁の安全性を担保するための老朽化対策が、今後とも万全に実践されていくのかということ、そして県や市町が連携して、住民が不安に思うことに対して、迅速に情報提供するなどの危機管理体制が機能するのかということでした。 その後、五月には、青海大橋が上関大橋と同種の構造であることから、県が緊急調査を行ったところ、下り線の鋼棒破断が確認され、五月七日から約二週間、片側交互通行が実施されました。 青海大橋は、島で生活する約千六百七十五人の命を預かるライフラインでもあり、私は、五月十三日に、島の自治会長の皆様と共に、県に対して損傷箇所の早期かつ万全な対応や今後の橋梁の徹底した管理、また住民の不安払拭のため、頻繁かつ正確で分かりやすい情報提供及びその手段を強く求め、訴えさせていただいたところであり、その後、県がきめ細やかに対策を講じていただいたことに対し、この場を借りて感謝申し上げます。 御承知のとおり、離島は産業や生活環境の面で、本土と比較して厳しい環境にあります。青海島でも県道はカーブの多い一本道であり、また、漁協や公民館、教育機関、公共交通など、生活サービスの機能が統合、縮小の流れにあります。 そうした中でも、本土と島を結ぶ橋梁に支障が生じて生活に影響を及ぼすことは決して見過ごしてはならず、本土と同じ県民として見守らなければなりません。 当然、県管理の全ての橋梁は、県民生活全般を支える社会基盤でありますが、特に、青海大橋や上関大橋などの離島架橋については、万全な安全対策を講じるとともに、橋梁に関する徹底した情報発信を引き続き実践していただきたいと考えています。 そこでお伺いいたします。県は、離島架橋など住民生活に直結した橋梁の老朽化対策について、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笠本議員の御質問のうち、私からは、過疎地域の持続的発展に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 本県の過疎地域は、県土の面積の約五割を占め、食料や水、エネルギーの安定的な供給、自然環境の保全、多様な文化の継承、そして良好な景観の形成など、県民生活を支える多面的で重要な役割を担っています。 そうした地域を守るため、県では関係市町と連携しながら、道路や水道施設等の生活環境基盤の整備などを総合的・計画的に進め、過疎地域における住民の利便性や快適性の確保に取り組んできたところです。 しかしながら、人口減少と高齢化が急速に進行する中で、いつまでも安心して暮らし続けられる地域社会を実現していくためには、さらなる生活環境基盤の整備や担い手の確保をはじめとした地域を支える仕組みづくりなど、ハード・ソフト両面から対策の強化が喫緊の課題となっています。 こうした中、過疎地域の公益的機能や地域が抱える課題、社会経済情勢の変化を踏まえ、本年四月、過疎地域の持続的発展を理念とする新たな過疎法が施行され、同法の規定に基づいて、県では新たに山口県過疎地域持続的発展方針を策定することとしています。 この方針においては、県内の過疎市町等で構成する研究会からの報告を基に、地域の実情や市町の意見を踏まえ、時代の変化にも対応しながら、集落機能の維持・活性化と、移住・定住・交流の促進、デジタル技術の利活用の三つを重点事項に掲げ、今後の過疎地域の振興に取り組んでまいりたいと考えています。 具体的には、まず、集落機能の維持・活性化に向けては、生活環境等の基盤整備や既存施設の長寿命化、防災・減災対策、地域資源を生かした産業振興等を進めるとともに、多様な主体による自主的な取組を通じて、地域自らが課題を解決していくことのできる仕組みづくりを一層促進いたします。 移住・定住・交流の促進については、特に、コロナ禍を契機としたテレワークの普及等を踏まえ、転職なき移住を地域に呼び込むための働きかけや受入れ環境の整備に取り組みます。 また、ワーケーションや二地域居住など関係人口に着目した取組も強化し、過疎地域への新たな人の流れを創出してまいります。 そして、デジタル技術の利活用については、光ファイバー網等の高度情報通信基盤を県内にくまなく整備し、地域課題の解決に向けたデジタル活用の取組をきめ細かく支援することにより、便利で豊かな生活の実現を目指してまいります。 私は、この方針の下、過疎地域における持続可能な地域社会の形成と地域活力の向上に向けて、引き続き関係市町と緊密に連携し、地域にしっかりと寄り添いながら、ハード・ソフト両面にわたる対策を機動的かつ継続的に推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)県内交通事業者の支援についてのお尋ねにお答えします。 一年以上にわたる新型コロナウイルス感染症の影響により、本県においても、バスやタクシー等の公共交通機関の利用が大きく低迷しており、交通事業者は極めて厳しい経営環境に置かれています。 このような厳しい状況の中、県では、県民の日常生活を支える地域公共交通の維持・確保を図るため、その担い手である交通事業者への支援が大変重要であると考えています。 このため、昨年度、交通事業者が実施する感染症対策に必要な経費を支援するとともに、路線バス事業者への補助金の水準を維持するため、補助要件の緩和等の特例措置を講じたところです。 また、今年度は、路線バスや離島航路において、収支が悪化した事業者に対する補助金を増額するとともに、公共交通機関の利用促進を図るため、プレミアムフェリー券の販売に加え、路線バスや鉄道事業者と連携したデジタルスタンプラリーを実施することとしています。 さらに、今回の補正予算において、交通事業者にとって大きな負担となっている車両や船舶の維持に必要な経費や新たな技術を活用した感染防止対策等に要する経費を補助することにより、事業の継続を支援してまいります。 また、廃止が予定されている下関駅と山口宇部空港を結ぶ連絡バスについては、空港利用者の利便性を確保する上で重要な交通手段であることから、事業者が実施する廃止後の代替交通の確保に向けた取組を支援することとしています。 これらの取組に加え、事業者の経営改善にも資する持続的な交通体系を構築するため、本年三月に策定した取組方針に基づき、地域課題の解決に向けた実証事業の実施や公共交通情報のデジタル化の推進などに取り組むこととしています。 県としては、こうした様々な取組により、コロナ禍においても県民生活に不可欠な地域公共交通が維持・確保されるよう、県内交通事業者の事業継続を支援してまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)森林経営管理制度の運用についてのお尋ねにお答えします。 本県の人工林の多くが本格的な利用期を迎える中、この豊かな森林資源を生かし、森林の適正管理と林業の成長産業化を実現するためには、これらの両立を目的とする森林経営管理制度を円滑に運用することが重要です。 このため、県では、県下六地域で推進体制を整備するとともに、森林所有者への意向調査の円滑な実施に向けて、森林環境譲与税を活用し、森林総合情報システムの機能強化等を行ってきたところであり、昨年度、意向調査を実施した市町村の割合が全国平均を上回るなど順調に取組が進んでいます。 一方、お示しのとおり、林業の専門職員不在の市町が多いなどといった課題もある中、制度の工程を着実に進め、取組をさらに加速化していくためには、制度運用の中心的役割を担う市町の技術的な支援をはじめとした総合的なサポート対策が必要です。 こうしたことから、県では、本年四月にやまぐち農林振興公社内に設置した、やまぐち森林経営管理サポートセンターを核として、譲与税を活用しながら、意向調査の実施から経営管理権の集積、森林整備の実施に至るまで、制度全般にわたる総合的な支援を実施してまいります。 具体的には、まず、センターに配置した森林経営や森林整備に関する技術的な知識・経験の豊富な職員三名が、各市町からの相談に常時対応し、課題解決に向けて継続的に指導・助言を行います。 また、制度を着実かつ計画的に進めていけるよう、意向調査から森林整備までの実施方法、期間等を整理した取組方針や適切な経営管理に向けたロードマップの作成を支援します。 さらに、経営管理権の集積等に必要となる、森林の施業方法や森林経営の収支判定等に関する実務研修会を実施するとともに、巡回指導により各市町の状況に応じた指導・助言を行うなど、きめ細かな支援を行います。 県としては、こうした取組を通じて、森林環境譲与税を効果的に活用しながら、森林経営管理制度の円滑な運用により、森林資源の適切な管理と林業の成長産業化を一体的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)中小企業・小規模事業者支援の充実についてのお尋ねにお答えします。 中小企業・小規模事業者は、県内企業の大多数を占め、地域経済の活力の源泉であるとともに雇用の受皿となるなど、大きな役割を担っており、その持続的な成長を支援することは極めて重要です。 このため、県では、これまでも、商工会議所等の支援機関と連携し、中小企業の直面する様々な経営課題の解決に向け、きめ細かな助言や指導等を通じて、事業者ニーズに応じた技術開発や販路開拓等を支援してきたところです。 しかしながら、コロナの拡大を契機に、消費行動の変化やデジタル化など事業を取り巻く環境が大きく変化していることから、事業者の持続的な成長を図っていくためには、支援機関の支援員の能力向上と連携体制の強化、専門家の活用など、支援体制の強化を図ることが必要となります。 このため、まず、支援機関の職員が、支援策の的確なコーディネートや適切なフォローアップが行えるよう、最新の技術動向等に係る研修会等を開催し、スキルアップに努めます。 また、商工会議所や金融機関等で構成するネットワーク会議等を核として、広く事業者の支援ニーズを掘り起こすとともに、複雑な事案については、チームによる速やかな情報と課題の共有を図り、積極的なサポートを実施します。 とりわけ、新分野展開等を見据えたデジタル技術の活用に向けては、地元商工会議所等が、専門家の活用により、ヒアリング等を通じた課題の整理、解決策の検討やIT企業とのマッチングなど、切れ目ない伴走支援を行います。 県としては、商工会議所等の支援機関との連携を一層強化することにより、中小企業・小規模事業者がコロナの時代においても持続的に成長できるよう、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)山陰地域の高規格道路の整備に係る萩市の動きと県の認識についてのお尋ねにお答えします。 県では、高規格道路をはじめとした幹線道路の建設促進に向け、県議会の皆様や地元期成同盟会、経済界等と一体となり、国に対し、その必要性を訴えてきたところです。 とりわけ山陰道については、昨年度、益田─萩間の期成同盟会の会長である前萩市長をはじめ、多くの関係者が一丸となって、地域の熱意を国に訴えるなど、これまで以上の精力的な取組が、今年度の大井・萩道路と益田・田万川道路の新規事業化につながったものと受け止めています。 お尋ねの山陰道の大井・萩道路のルート変更や阿武川橋梁の二重化などに関する萩市の一連の動きについては、これまで地域が一体となって取り組んできた経緯や現在の計画が、計画段階評価や都市計画決定の手続の中で、住民の意向も踏まえながら、適正なプロセスを経て決定されたことを勘案すると、事業を一から見直さざるを得なくなる可能性があることから、今後の事業進捗に多大な支障が生じかねないものと懸念を抱いているところです。 大井・萩道路の現在の計画については、適正に決定された最適なものであり、県としては、当該道路の一日も早い完成のためには、現在の計画により事業を進めるべきと考えています。 また、山陰道の早期整備に向けた取組については、今後とも、政府要望等あらゆる機会を通じ、議員連盟の皆様や地元期成同盟会等と軌を一にして、事業中区間の早期完成や未着手区間の早期事業化を、国に訴えていきたいと考えています。 次に、小郡萩道路の絵堂─萩間については、事業着手に当たり、地元市とも十分に協議・調整を図った上で、明木─萩間を現道活用することとし、平成二十六年度から計画的かつ着実に整備を進めているところです。 お尋ねの萩市長のバイパス計画への変更に関する発言については、現在、早期完成に向けて全力で事業を展開しているところであり、仮に計画変更した場合には、事業費の増加や期間の長期化が避けられず、今後、事業全体を計画的に進めていくことが困難になるのではないかと危惧しています。 明木─萩間については、バイパス計画では投資金額に見合う十分な整備効果が見込まれないことから、現道を活用する計画が最適であると認識しており、現在の計画により事業を進めたいと考えています。 県としては、山陰地域の活性化のためには、山陰道や小郡萩道路の早期整備が必要不可欠であり、引き続き、県議会の皆様のお力添えも頂きながら、これらの道路の早期完成に向け、精力的に取り組んでまいります。 次に、離島架橋等の老朽化対策についてのお尋ねにお答えします。 橋梁は、社会経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤であり、とりわけ離島架橋は、島に通じる唯一の橋であることから、県では、これまで橋梁長寿命化計画に基づき、優先的に老朽化対策を実施してきたところです。 こうした中、上関大橋と同種の橋梁である青海大橋の下り線について、本年五月、緊急調査を行ったところ、鋼棒の破断や減厚を確認しました。 このため、緊急的に片側交互通行を行い、車両が安全に通行できるかどうか必要な解析等を実施した結果、安全性に問題ないことが確認できたことから、住民の皆様へ説明の上、約二週間後に通行規制を解除したところです。 現在、国等の助言を得ながら、補修・補強などの対策工法の検討を進めており、引き続き、工事に早期着手できるよう取り組むとともに、市や自治会と連携し、速やかな情報の提供に努めてまいります。 県では、このたびの青海大橋や上関大橋等での事案も踏まえ、損傷が軽微なうちに補修等を行う予防保全型の維持管理への転換を一層進め、橋梁の老朽化対策を着実に実施する考えです。 具体的には、今年度から、離島架橋など特に重要な橋について、異状箇所の早期発見・早期対応を図るため、デジタル技術を活用し、三次元モデルの蓄積や伸縮計等による計測を行い、橋の状態を定期的に把握する取組を導入していくこととしています。 また、橋の維持管理を計画的かつ確実に実施するため、離島架橋等の十六橋について、個別補修計画を作成することとしており、これまで五橋の作成を終え、今年度、青海大橋を含む九橋の作成に着手したところです。 さらに、橋梁に関する情報は、安心した生活を送る上で欠かせないものであることから、通行に支障となる損傷等が生じた場合には、住民の皆様に寄り添った情報を、迅速かつ的確に発信していく考えです。 県としては、今後とも、県民の安心・安全の確保に向け、離島架橋をはじめ、住民の生活に直結した橋梁の老朽化対策をより効果的・効率的に進めてまいります。