1 食文化を未来に繋ぐ支援の強化について 2 ポストコロナ時代を見据えた国際交流の推進について 3 海洋ごみ対策の推進について 4 防災・減災対策の推進について 5 手話を使用して生活できる環境づくりの推進について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 髙瀬利也君。 〔髙瀬利也君登壇〕(拍手) 髙瀬利也君 おはようございます。自民党の髙瀬でございます。それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。 最初に、食文化を未来につなぐ支援の強化についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症が世の中に広まってから一年以上がたちますが、その間、飲食業界は、感染対策の急所とされ、特に深刻な影響を受けてきました。 また、地域経済における需要の起点とも言える飲食業界の惨状は、飲食店への影響にとどまらず、農林漁業者にも厳しい経営環境を強いております。 長期間にわたって飲食店の利用が控えられたことで、飲食店を主な販売先とする高級魚や日本酒などでは、需要の落ち込みから大幅な価格下落や販売量の減少に見舞われており、多くの生産者の経営を圧迫しています。 そして、このたび本県において実施した感染拡大防止集中対策のような強力な感染防止対策は、感染拡大の抑止には大きな効果が期待できる反面、長い間コロナで疲弊した地域経済にさらなる追い打ちを与える副作用を伴ってしまったことも事実であります。 こうした飲食業界や生産者の置かれている困難な状況を打開していくためには、何よりも県民の飲食の場面に対する不安を払拭し、利用客を呼び戻すことで地域の経済を少しでも回していくことが不可欠であると考えます。 そこで、まず、飲食店における感染防止対策の支援についてお尋ねします。 新型コロナウイルスの感染拡大以降、飲食事業者にとって感染防止対策は、常に大きな懸念材料となっています。 私自身、飲食業に携わっておりますので、飲食店の置かれる状況を十分に認識し、この一年、何よりも感染防止対策に力を入れ、御利用されるお客様、そして、従業員の感染防止に全力で取り組んでまいりました。 コロナの対策には、できる限りのことはしているとの自負はありますが、一方で幾度となく押し寄せる感染拡大の波の中、自分たちの取組が十分なのか、自分たちがやっていることがお客様に伝わっているのかと不安な気持ちがあるのも事実です。そして、これは県内多くの飲食事業者の方々も同様ではないかと思います。 こうした中、今回の補正予算において、飲食店の感染対策が十分かどうかを行政がチェックして、お墨つきを与える第三者認証制度が創設されるとともに、感染防止機器の導入など、さらに感染防止に取り組もうとする事業者を支援する補助制度も盛り込まれたことに、一筋の光を見た思いでおられる飲食店は多いのではないでしょうか。 制度設計については、これから詳細化していくと伺っておりますが、新制度が再び町ににぎわいを戻す契機となるよう、しっかり検討を進め、実効性のあるものとしていただきたいと思います。 そのためには、まず、より感染防止効果の高い制度としていく観点と、一店舗でも多くの飲食店が取り組めるよう支援していくという観点から、その基準や普及方法について十分に検討していかなければなりません。 そして、その上で、お店でみんなと食事をしたい、あの店に食べに行ってみたいと今か今かとそのときを待っている方は多くいらっしゃいます。予算成立後は、できるだけ早期に制度運用が開始できるよう準備していただきたいと思います。 そこでお尋ねします。県民が飲食店で安心して飲食できるよう、県は飲食店における感染防止対策の支援に、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いします。 次に、生産者への支援として、県産農林水産物の需要拡大についてお尋ねします。 私は、飲食業に関わる者として、食材を生産される農林漁業者の方々には、その御労苦に対し日々感謝をしておりますが、特に県内で頑張っておられる生産者の方々には、その生産活動を応援したいとの思いから、自社で使う食材はなるべく県産の物を選ぶように心がけています。 我々、飲食業関係者は、少しでも県内生産者の力になれるよう、県産食材の利用拡大に努めているところですが、コロナ禍による来客数の減少により、仕入れを大きく減らしている現状では、その効果は限定的となっております。 私は、これからも県産食材の利用を続け、県内生産者を応援していきたいと思っておりますが、コロナ禍で苦境にある生産者の皆さんの経営安定を図るには、我々飲食店での利用促進を進めるとともに、現在拡大しつつある家庭需要をしっかりと取り込んでいくことも必要だと考えております。 現在、消費者の間には、外出自粛の長期化により、自宅にいながら買物や飲食を楽しむ巣籠もり消費が定着していますが、その需要に対応し、家庭用へと仕向け先を変更した生産者の中には、売上げを大きく伸ばした方もいるようです。 また、最近では、生産者を応援したいという消費者の思いがSNSなどで広がり、売上げに貢献する応援消費という動きも活発となっています。 私は、家庭需要の取り込みを拡大させるには、こうした巣籠もり消費や応援消費といった動向に的確に対応することが必要だと考えており、県には、これまで進めてきた地産地消の取組から一歩踏み込み、消費者の購買意欲を刺激する取組にも積極的に挑戦していただきたいと思います。 私は、商売の経験から、消費者の皆様に自社の商品を御愛顧いただくには、まずは商品を知ってもらい、愛着を持ってもらう。次に、試しに買ってもらう。そして、気に入って何度も買ってもらうというステップがあり、特に入り口に当たる認知や愛着の形成が重要であると実感しております。 このため、消費需要の拡大に向けては、まずは、県産農林水産物のおいしさなど品質の良さや、生産者の思い、産地のストーリーなどを積極的に発信し、幅広い層に愛着を持ってもらうような取組が必要です。 そして、愛着を持った方が、商品を手に取りやすいような企画を展開し、ファンの拡大、継続的な購入に結びつけていただきたいと思います。 そこでお尋ねします。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、生産者の皆さんの経営安定に向けては、県産農林水産物の消費需要の拡大が不可欠でありますが、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いします。 次に、ポストコロナ時代を見据えた国際交流の推進についてお尋ねします。 本州の最も西に位置する本県には、地理的な条件と先人の豊かな先見性、進取の気風が相まって、古くから海外との深い関わりを有してきた歴史があります。 例えば、大内氏による勘合貿易、朝鮮通信使との交流や長州ファイブの欧州留学、明治半ばから昭和初期の四万五千人に上る海外への移民といったことなどが上げられます。 また、自治体交流として一九八二年に中国山東省、一九八七年に韓国慶尚南道、二○○三年にスペイン・ナバラ州との間で友好・姉妹協定を締結し、現在の村岡県政となって以降も、ベトナム・ビンズン省やロシア・クラスノダール地方と友好・協力に関する覚書や協定を締結してきました。 一昨年には、県議会のASEAN議連とも連携し、現地における施策推進に向け、シンガポール県人会との協力体制を構築されるとともに、インバウンドの推進や海外展開の分野において、さらなる取組を進められようとしていたところです。 このように、人的・経済的な国際交流の拡大を図ろうとしていたその矢先に、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行によって、各国で入国制限や行動制限の措置が取られたため、人々の往来は滞り、県の事業も中止・延期や見直しを余儀なくされてきました。 御承知のとおり、現在、多大な影響を受けているのは、東京オリンピック・パラリンピックです。 県内でも下松市や下関市など全国で百以上の自治体が事前キャンプの受入れを中止し、地域ぐるみで準備を進めてきたホストタウンなどの国際交流、地域活性化の取組が危機的局面を迎えています。また、中小企業の海外展開の面でも、県内の多くの企業がマイナスの影響を受けています。 しかしながら今日、人・物・情報などのあらゆる面において進むグローバル化は不可逆であり、今後も人口減少が続く本県の活性化のために、海外の活力を取り込んでいくことがどうしても必要であることを考えれば、来るべきコロナ収束後を見据えながら、今できることに注力していかなければなりません。 こうした中、県議会では、古くから本県とのつながりが深いハワイとの友好交流の促進を図るため、六月二十八日にハワイ友好促進山口県議会議員連盟を結成しました。 本県からハワイへは約一万人が移民として渡っており、中でも四千人近い人々を送り出した周防大島町は、姉妹島提携を結ぶカウアイ島と交流活動を続けるなど、現在もハワイと固い絆で結ばれております。 県としては、この縁も生かし、今後、ハワイとの交流をさらに深めていくことが重要だと思います。 現下の厳しい状況であるからこそ、これまで積み上げてきた国際交流を何らかの形で続けるとともに、新たな交流も芽吹いていくよう着実に取組を進め、コロナ収束後には、これまで以上に積極的に交流を展開していかなければなりません。 また、本県が取り組んできた海外展開支援や販路開拓の分野においては、深刻な経済的ダメージからの回復を図る上でも重点的な取組を期待しています。 そこで、これまでの成果や新たな交流の芽も踏まえ、ポストコロナ時代を見据えた国際交流の推進について、今後どのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いします。 次に、海洋ごみ対策の推進についてお尋ねします。 現在、世界の海には大量のごみが存在しており、その量は、プラスチックだけに限定しても一億五千万トンを超えると言われています。また、さらに、毎年、約八百万トンとも言われる膨大な量のプラスチックが新たに海へ流れ出ています。 海に流れ出たごみは、海岸の環境や景観、漁業や船舶の運航などへの影響が深刻化しておりますが、とりわけプラスチックは、波の衝撃や紫外線などにより細かく砕かれて、マイクロプラスチックと呼ばれる小さな粒子となり、海水中の化学物質を吸着すると言われていることから、これを飲み込んだ魚などの体内に蓄積し、これを食した人の健康への影響を及ぼすことが懸念されております。 本県は、三方が海に開け、長い海岸線を有していることから、国の内外から大量にごみが漂着します。私の地元の川棚におきましても、鳴き砂で有名な、うしろはま海水浴場には多くのごみが漂着し、毎月海岸清掃を行っているにも関わらず、毎回多くのごみ袋がいっぱいになってしまいますので、海岸の清掃に参加する人からは、取っても取ってもごみが流れ着く、発生源を止めないとなくすのは無理だと、悲痛な声が聞こえてきます。 こうした中、国内外における海洋ごみ問題への関心の高まりを受け、平成三十年には海岸漂着物処理推進法が改正されました。さらに、海洋ごみの大半を占めるプラスチックごみの排出削減に向けた取組の一つとして、昨年七月からレジ袋の有料化が開始されました。本県におきましても、こうした動きを踏まえ、本年三月に海岸漂着物等対策推進地域計画を改定され、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進していくこととされております。 海洋ごみは、もともと陸上で不法投棄、ポイ捨てなどにより適正に廃棄されないものが、雨や風によって河川を経て海へ流れ込んだものがほとんどで、八割は陸上由来と言われておりますが、その回収や処理には沿岸地域に住む方々を中心に、毎年、多大な労力が割かれています。 また、本県は、響灘、日本海、瀬戸内海とそれぞれ異なった特色と魅力を持つ海に開かれており、各海域のごみもそれぞれの沿岸で種類や由来が異なっている上に、海洋ごみは、海岸はもとより海底や海面にも存在していることから、その対策には、幅広い関係者と協働し、地域の実情に沿って取り組んでいくことが重要と考えます。 そこでお尋ねします。長きにわたり海からの恵みを享受し、発展してきた山口県にとって、きれいな海を守っていくことは大変重要であると思いますが、県は、海洋ごみの発生抑制、そして、回収・処理対策に、今後、どのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いします。 次に、防災・減災対策の推進についてお尋ねします。 本県も五月十五日に観測史上二番目の早さで梅雨入りし、本格的な出水期を迎えていますが、地球温暖化の影響等により、近年の自然災害は頻発化や激甚化が進行しており、昨年も七月豪雨や台風十号など、風水害を中心として全国各地で大規模災害が発生したところです。 国は、こうした激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策を講じるため、本年度から五年間で防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を重点的・集中的に実施していますが、県におかれても、県民の安心で安全な暮らしを守るため、国の対策を最大限に活用しながら、河川改修や土砂災害対策、道路防災など、災害に強い県づくりをスピード感を持って進め、今後起こり得る大規模な自然災害に対して万全な備えを講じていただきたいと思います。 特に近年は、気候変動の影響で激しさを増す豪雨や台風により河川が氾濫し、浸水被害が発生する事例が多く生じており、全国的には千曲川や球磨川流域、県内では島田川流域で発生した浸水被害はいまだ人々の記憶に深く刻まれております。 ここ数年、私の地元の粟野川をはじめ、県管理河川のしゅんせつ等を重点的に実施していただいていることに感謝申し上げるところですが、今後もしっかりと治水対策を進めてほしいとの県民の思いは強いものがあります。 また、木屋川流域の住民からは、過去の浸水被害の経験や豪雨の頻度・規模の増加などから木屋川ダムの機能強化を求める声が多く寄せられています。 こうしたことから、浸水被害を未然に防止するため、河川の流下能力を維持向上するための河川改修やしゅんせつ、また、洪水調節機能を発揮するダムの整備などの治水対策を強力に推進していただきたいと思います。 また、毎年のように観測記録を更新するような豪雨が各地で発生している現状を踏まえれば、万が一の浸水に備えておくことも重要であり、国が提唱している関係者が協働して流域全体で治水対策を講じる流域治水の取組は、二級河川の総流域面積が県土全体の八割を占める本県においてこそ、市町と連携して速やかに進めるべきだと考えております。 さらに、災害対策基本法が改正され、本年五月から高齢者等避難など新たな避難情報に変わりましたが、避難に時間を要する高齢者や障害のある方が円滑に避難するためには、河川の状況や土砂災害発生の危険度などの情報が、地域住民に迅速かつ的確に提供されることが重要です。 高齢化が進行する本県の実情なども踏まえ、県におかれては、こうした防災情報の充実強化にも積極的に取り組んでいただきたいと考えるところです。 そこでお尋ねします。頻発化・激甚化が進む自然災害から県民の生命と財産を守るため、治水対策をはじめとした防災・減災対策に今後どのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いします。 最後に、手話を使用して生活できる環境づくりの推進についてお尋ねします。 県では、令和元年の手話言語条例の制定により、聴覚障害者が手話により自由に表現し、意思疎通を円滑に行うことができる地域社会づくりに取り組んでいるところです。 地元の下関市においても、手話は音声言語とは違う文法を持った言語であるという認識の下で、今年三月に下関市手話言語条例を制定し、四月一日から施行されました。 下関市では、手話奉仕員養成講座など、一層手話言語が広まるように、誰もが手話を使いやすい環境づくりを進めているところです。 県の条例制定が波及し、言語としての手話が浸透する流れが感じ取れる一方、この流れを止めることなく、県や市町が連携して取組を進めていく必要があります。 こうした中、県では、聴覚に障害のある方が、新型コロナウイルスに関する検査を受ける場合や、感染が判明し、医療機関に入院等をする場合に備え、県内九か所の保健所にタブレットを配備し、遠隔手話サービスにより手話通訳を行う体制を昨年十月から始めました。 コロナ感染症対策において、迅速な検査や入院は自身の命に直結します。知事会見における手話通訳の導入に続き、こうした環境の整備を率先して取り組まれていることを高く評価いたします。 また、こうした具体的な活用がされることで、さらなる手話の活用事例の創出につながっていくものと考えます。今後とも、県自らが、より多くの場面において手話の活用をしていただきたく思います。 手話がより多くの場で活用されるためには、より様々な場で活躍できる手話通訳者の養成を一層強化することが重要です。しかしながら、手話通訳者の養成研修については、県央部山口市での百時間以上の研修時間が必要となっており、毎回の受講者の移動負担も軽くはありません。 私の周りには、下関在住で働きながら山口まで通って研修を受講することが時間的に困難ということで受講を諦めた方もおられます。 手話の普及に関しては、昨年九月に質問させていただいたところですが、手話の広がりを受けて、手話通訳者の需要も全県で増えていると思います。手話通訳者の養成の強化に当たり、とりわけ遠方からの参加者の負担軽減について、ぜひとも検討していただきたく思っております。 また、手話を日常的に活用できる環境づくりを進めるためには、学校や企業等に対する積極的な普及啓発と併せて、県民に対し手話を浸透させていく土台づくりも重要となります。 県では、障害のある方に対する必要な配慮やちょっとした手助けを実践するあいサポート運動を広く県民運動として展開されています。 このあいサポート運動を進めることにより、県民の障害への理解も着実に進むことから、今後もより多くの個人・団体サポーターの育成に取り組んでいただくとともに、この取組における機会を捉えて、聴覚障害者への理解、手話の普及へとつなげていただきたいと思います。 さらに、手話を最も必要とする聴覚障害児や、その家族が、共に手話を習得できる機会の確保も重要となります。 健康な子供が、発達が早い段階から聴覚を通じて言語を習得する一方、聴覚に障害があると耳からの言語習得が困難になります。 ところが、保護者の中には、聴覚に障害がある心理的に不安定な状態になり、子供への積極的な働きかけやコミュニケーションへの意欲を持つことが難しい場合もあるとのことです。 そのため、聴覚障害児の成長を通じて、思考力や表現力を身につけ、豊かな人間性を育むためにも、早期の段階から聴覚障害のある子とその家族をサポートする環境の整備が必要と考えております。 そこでお尋ねします。聴覚障害者が手話を使用して生活ができる環境づくりを進めるには、聴覚障害者を取り巻く様々な主体に対して総合的に取組を進める必要があると思われますが、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたしまして、一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)髙瀬議員の御質問のうち、私からは、防災・減災対策の推進についてのお尋ねにお答えします。 全国的にも大規模な災害が頻発している中で、私は、防災・減災対策の強化により県民の誰もが希望を持って、いつまでも安心して暮らし続けられる山口県の基盤を築くことが極めて重要であると考えています。 このため、やまぐち維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、今後、起こり得る大規模な自然災害に備えて、河川改修や土砂災害対策、道路防災などのハード対策や、住民への的確な情報提供などのソフト対策に着実に取り組んでいるところです。 まず、ハード対策については、国による五か年加速化対策の予算も積極的に活用し、防災・減災対策の加速化・深化に向けて、引き続き、重要インフラの機能強化を集中的に実施していく考えです。 とりわけ、治水対策は、河川整備計画に基づき、中長期的な視点で計画的に実施する河川改修を着実に進めるとともに、短期的に効果を発現する河川内の土砂掘削などの対策を集中的に実施してまいります。 また、ダムの整備は、洪水を貯留し、下流域の浸水被害の防止・軽減に極めて有効であることから、これまで進めてきた平瀬ダムや大河内川ダムに加え、今年度からは、木屋川ダムの機能強化に向けた事業にも着手したところであり、引き続き三つのダムの整備を着実に推進してまいります。 次に、ソフト対策については、災害から命を守るため、何よりも県民の皆様に適切なタイミングで確実に避難をしていただくことが重要であり、的確な情報発信に努めているところです。 本年六月からは、新たに四十七か所の簡易型水位計と二十四か所の河川監視カメラの運用を開始するとともに、土砂災害の危険度分布図を高解像度化したところであり、引き続き防災情報の一層の充実強化を図ってまいります。 さらに、気候変動による水災害リスクの増大に備えるため、これまでのこうしたハード・ソフト対策に加えて、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減させる流域治水に取り組む考えです。 このため、県管理河川における大規模氾濫に関する減災対策協議会の中に設置した流域治水部会において、今年度から二級水系全てを対象として、流域治水プロジェクトの検討を開始し、優先度の高いものから策定を進めていくこととしています。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、市町や関係機関と緊密に連携し、ハード・ソフト両面から治水対策をはじめとした防災・減災対策のさらなる充実強化に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)食文化を未来につなぐ支援の強化についてのお尋ねのうち、飲食店における感染防止対策の支援についてお答えします。 感染症に伴う外出自粛ムードの広がり等により、飲食業に深刻な影響が及ぶ中、飲食店では感染防止対策に懸命に取り組まれてきたところです。 しかしながら、変異株による感染リスクの増加も懸念される中で、飲食店の利用に対する県民の不安は解消されておらず、厳しい状況が続いています。 こうした状況を踏まえ、県では、県民が一層安心して飲食店を利用できる環境づくりを進めるため、新たに第三者による認証制度を創設し、感染防止対策の一層の充実を図ることとしました。 この制度では、全飲食店を訪問し、専門家の意見も踏まえた県独自の基準に適合していることを県が確認した上で認証することとしています。 また、飲食店の認証取得が進むよう、アドバイザーを店舗に派遣し、対策に必要な資材購入等に対する新たな補助制度の活用も含めて、きめ細かく助言することとしています。 さらに、県民が安心して利用できる飲食の場を継続的に提供していただくため、認証を受けた飲食店に対し、一店舗当たり二十万円の応援金を給付し、対策に取り組む飲食店をしっかり応援します。 加えて、認証店をウェブサイトで広く紹介するとともに、テレビやSNSなど多彩な媒体を活用し、効果的に情報発信をしていくことにより、認証制度の普及と認証店の利用促進を図っていくこととしています。 こうした支援を一刻も早く飲食店へお届けし、県民の皆様にもその効果を実感していただけるよう、飲食等の関係団体と緊密に連携しながら、できる限り早期の事業開始に向けて準備を進めてまいります。 県としては、感染症の影響が長期化する中、県民がこれまで以上に安心して飲食店を利用できるよう、感染防止対策に取り組む飲食店への支援に積極的に取り組んでまいります。 次に、海洋ごみ対策についてのお尋ねにお答えします。 三方が海に開かれた本県では、海洋に流出した大量の漂流・漂着ごみが、良好な景観や漁業、観光等に重大な影響を及ぼしており、その対策は重要です。 このため、県では、海洋ごみの削減に向け、市町や関係団体等と連携した、ごみ減量化キャンペーンやボランティア等との協働による各地での海岸清掃など積極的に展開してきたところです。 こうした中、近年、海洋に流出するプラスチックごみやマイクロプラスチックによる生態系への影響に対する関心が高まり、その削減等が喫緊の課題となっています。 こうした課題に対応するため、県では、本年三月に改定した県海岸漂着物等対策推進地域計画において、海洋プラスチックごみの削減に向けて、効果的な発生抑制や円滑な回収処理の取組を推進することとしています。 まず、発生抑制については、若い世代の削減への機運を高めるため、ユーモラスなイラストを用いて、「プラスチックモンスターをやっつけよう!」と呼びかける啓発パンフレットを作成し、今年度から小中学校の環境学習等で積極的に活用していきます。 このパンフレットは、先日開催した学習会において、児童生徒に大好評で、メディアにも広く取り上げられました。 さらに、海洋ごみの八割が陸上から河川を通じて流出していることから、流域圏が一体となった取組を促進するため、今年度、環境保全活動が活発な島田川流域の上流と下流の二地域で、活動団体を中心に、企業、学生ボランティア、行政等の幅広い関係者と連携した環境学習イベントを開催します。 次に、海洋ごみの回収処理については、これまでの海岸清掃等に加え、新たに、漁業者が操業中に回収した海底ごみを市町が処理する取組を支援することとしており、得られた成果を踏まえ、地域の実情に応じた処理体制の構築を図っていきます。 県としては、こうした取組を通じ、ふるさとの美しい海を守るため、県民や市町、関係団体等と一体となって、海洋ごみ対策を積極的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)食文化を未来につなぐ支援の強化についてのお尋ねのうち、県産農林水産物の需要拡大についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症により、深刻な影響を受けている農林漁業者の経営安定を図るため、県ではこれまで特に大きな影響を受けた品目を対象に割引キャンペーンを実施するなど、需要の回復・拡大に取り組んできたところです。 こうした中、感染症の影響による外食需要減少の長期化等に伴い、お示しの巣籠もり消費や応援消費といった消費スタイルが定着してきたことから、こうした家庭需要をしっかりと取り込み、本県農林水産物のさらなる需要拡大につなげていくための対策が必要です。 このため、県産品の魅力やすばらしさを幅広い世代の消費者に伝え、購買意欲の喚起へと確実につなげていくため、本県独自の新たな地産地消対策を展開していくこととしています。 具体的には、まず、販売協力点など約百二十店舗に、大型デジタルサイネージを設置し、季節に応じた旬の食材や、その味を引き出す手軽な料理方法等を動画で紹介するなど、店舗を訪問する幅広い消費者に県産品の魅力を効果的に発信します。 また、県内在住の大学生から六十歳代までの消費者百名で構成された、やまぐち地産・地消応援団を新たに結成し、SNSを活用して広く全国に県産品の味や品質、生産者等の様々な情報を定期的に発信していただき、さらなるファンの獲得を目指します。 さらに、親子で楽しく学べる県産野菜のデジタル図鑑や、商品購入による割引クーポンの発行など、多彩なコンテンツを有するスマホアプリを開発し、県産品への理解を深め、愛着を高めるとともに、継続的な購入を促進します。 加えて、コロナの影響を引き続き受けている、日本酒や花卉、高級魚等の割引キャンペーン第四弾を、前回を上回る規模で実施することとしており、家庭需要の拡大にもつなげていきます。 県としては、今後も生産者の経営安定に向け、関係団体等と緊密に連携し、家庭需要をしっかりと取り込みながら、県産農林水産物の重要拡大に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)ポストコロナ時代を見据えた国際交流の推進についてのお尋ねにお答えします。 県では、これまで、中国山東省や韓国慶尚南道をはじめとした友好・姉妹提携先等と長年にわたる交流の取組を積み重ね、強固な信頼関係を築くとともに、海外向けプロモーションや商談会等を通じて、本県への誘客拡大や県内企業の海外展開などに着実な成果を上げてきたところです。 こうした中、昨年来、感染症の拡大により、海外との貴重な交流の機会が失われている状況にありますが、社会経済のグローバル化に着実に対応していくためには、ポストコロナを見据え、国際交流を停滞させることなく、一層促進していくことが必要と考えています。 このため、友好・姉妹提携先等との交流については、オンラインなど新しい時代に即した手法も活用しながら、経済、文化、教育、環境など幅広い分野において、これまでの成果も踏まえ、様々な取組を着実に推進してまいります。 また、交流自治体同士の理解と信頼を一層深めていくため、コロナ収束後には相互に訪問を再開するとともに、福祉や観光など、共通の政策課題や双方のニーズに応じた新たな分野における取組も積極的に進めていきます。 さらに、お示しのハワイとの交流につきましては、このたび設立されたハワイ友好促進山口県議会議員連盟のお力添えも頂きながら、ハワイ州政府との姉妹提携の締結に向けた準備を進め、文化、教育、経済など、多様な分野において新たな交流を推進していくこととしています。 こうした取組に加え、ポストコロナも見据えた県内企業の新たな取組を促進するため、海外の販路拡大につながる越境ECの活用を支援するとともに、交流先の自治体や在外山口県人会等とも連携しながら、関係部局が一体となってアセアン地域や東アジア等における市場の拡大を図ってまいります。 今後とも、これまで築いてきた信頼関係や多様な交流基盤を背景に、新たな手法も活用しながら、幅広い分野での交流を進め、本県に活力をもたらす国際交流の推進に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)手話を使用して生活できる環境づくりの推進についてのお尋ねにお答えします。 手話は、聴覚に障害のある方が社会参加し、自立した生活を送るための情報の獲得やコミュニケーションの手段であることから、学校や職場、地域などのあらゆる場面において利用しやすい環境づくりを進めていくことが重要です。 このため、県では、山口県手話言語条例の趣旨を踏まえ、聴覚に障害のある方が、手話を使用して生活することができる地域社会の実現に向けて、手話の普及をはじめ、手話通訳者の養成、手話が活用される場の創出等に取り組んでいるところです。 まず、手話の普及に向けては、県民に聴覚障害への理解を深めていただくよう、引き続き、あいサポーター研修において、障害の特性や必要な配慮を学ぶとともに、簡単な手話に触れる機会を設けてまいります。 また、手話通訳者の養成については、これまで県において研修を実施し、現在、約百二十名の方々が、聴覚に障害のある方の日常生活の様々な場面で活躍をされているところですが、お示しのように、受講者等から山口市での集合研修は移動の負担が大きいとの声も寄せられています。 このため、今後は、より多くの方へ受講の機会を提供できるよう、研修の一部をオンラインで実施し、受講者の負担を軽減することにより、手話通訳者の養成の強化を図っていくこととしています。 さらに、手話を必要とする聴覚障害児の習得機会を確保するため、今年度から保育所等の職員に対して手話通訳者による研修を実施し、聴覚障害児とその家族への早期の支援を行ってまいります。 こうした取組に併せて、知事の記者会見への手話通訳者の配置や、イベント等における手話通訳の提供に当たっての留意事項を盛り込んだマニュアルを庁内各部局へ改めて周知するなど、県自らも手話を活用する場の創出に向けた取組を進めてまいります。 県としましては、こうした取組を通じて、聴覚に障害のある方が暮らしやすい地域社会の実現に向け、手話を使用して生活することができる環境づくりに積極的に取り組んでまいります。