1 旧姓の通称使用の拡大について 2 デジタル改革の推進に向けた市町への支援について 3 安心・安全な妊娠・出産に向けた葉酸摂取の促進について 4 人口減少社会における女性労働力の獲得について 5 豊かな瀬戸内海の再生について 6 公共工事における地産・地消の取組について 7 その他
議長(柳居俊学君)有近眞知子さん。 〔有近眞知子さん登壇〕(拍手) 有近眞知子さん 皆様、おはようございます。自由民主党会派の有近眞知子です。おかげさまで県議会議員一期目の任期の折り返しを迎えました。この間、支えてくださった多くの方々に心から感謝を申し上げます。 それでは、通告に従い質問させていただきます。 まず、旧姓の通称使用の拡大についてお尋ねします。 国の男女共同参画基本計画の第五次計画を閣議決定するに当たり、昨年末、自民党内で選択的夫婦別氏、いわゆる選択的夫婦別姓の取扱いが焦点になりました。 選択的夫婦別姓制度は、法務省の法制審議会が平成八年に提言して以降、二度、改正法案の準備も行われましたが、国民各層に様々な意見があることなどを理由に、いずれも国会提出には至りませんでした。 また、平成二十二年の参議院議員選挙では、当時の民主党が制度導入を検討していましたが、我が自民党はこれに反対し、その後の国政選挙でも旧姓使用の拡大を訴えてきました。 こうした中、第五次計画の原案に、制度導入を前提とした強い表現が盛り込まれました。しかし、直近の内閣府世論調査で、夫婦の姓が違うと夫婦の間の子供にとって好ましくない影響があるとの回答が六割を超えるなど、慎重な議論が必要との意見もあり、最終的に制度導入を前提としない表現に変更されました。私は、この判断は正しかったと考えています。 我が国では、明治三十一年施行の旧民法で家制度が導入され、夫婦共に家の氏を称することになり、昭和二十二年施行の改正民法で、現在の、夫婦はその合意により夫又は妻のいずれかの氏を称することができるという制度に至りました。 この規定については、六月二十三日、最高裁大法廷が再び合憲との判断を示しましたが、明治以降、我が国では家族を最小の単位に様々な制度が構築され、法に守られながら歴史を刻んできた事実があります。 税制、相続、社会保険をはじめ、我が国の多くの制度やシステムが家族を前提としているだけでなく、私たちの意識にも家族という単位は深く定着しています。 憲法であれ制度であれ、変えるべきものは変える、守るべきものは守るというスタンスが重要だと考えますが、殊、日本人の意識や生活に深く定着している家族という考え方を改めることについては、慎重の上にも慎重を期して、相当の議論とコンセンサスを積み重ねていく必要があります。 選択的夫婦別姓に賛成の立場からは、選択肢を増やすだけという意見が出そうですが、夫婦同姓制度を前提としていた社会に複数の形が併存することで、制度的な支障や課題はもちろん、どれほどのコストや負担が生じるか、私たちの生活や子供たちの成長、日本人の意識にどのような影響が生じるのか、慎重に議論を尽くし、国民がしっかりと認識した上で進むべき道を決めていかなければなりません。困り事があるのだから解決する道を用意してあげるだけというほど簡単な問題ではないと思います。 一方で、男女が共に活躍できる社会の構築が進んでいく中で、姓を変えることに不便があることも理解しています。とりわけ旧姓で培ってきた人脈や積み上げてきた活動が途切れることは、我が国全体にとっても大きな損失です。 それを解消する方法として、旧姓の通称使用や併記の制度があり、今は県内の一部の市でも未導入となっていますが、これがさらに拡大普及していくことで、かなりの不便は解消できると考えています。 そこでお尋ねします。選択的夫婦別姓制度の導入については、国民にも様々な意見があると考えられることから、最高裁大法廷の決定も踏まえ、今は制度導入を急ぐのではなく、旧姓の通称使用の拡大を図りながら、慎重な議論を進めていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。 次に、デジタル改革の推進に向けた市町への支援についてお尋ねします。 先日、古くからの知人で、地方自治体におけるデジタル化の専門家である山口功作さんと意見交換をいたしました。 山口さんは、エストニア投資庁日本支局長を十五年間務め、デジタル先進国として有名なエストニアと日本における政府間のパイプ役を担ってこられた方で、培った知見を生かし、総務省の地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会の構成員を務められるとともに、高松市など多くの地方自治体へのアドバイスをされています。 その高松市は、時間や場所の制約から解き放たれた暮らしの実現を目指す、フリーアドレスシティたかまつをキーワードにスーパーシティ構想を推進しており、様々な分野の地域課題解決に向けた先端的なサービスに取り組んでおられます。 例えば、とくとくマイヘルスケアという取組があります。健康データを一元管理し、健康になった分だけ市内での移動や買物に利用可能なインセンティブを付与し、お得を還元するもので、生活習慣病等の改善が必要といった地域課題を踏まえ、特定健診等のデータを活用するとともに、交通や共通ポイント等の他サービスや、健康指導等を適切に組み合わせ、利用目的を限定したインセンティブを設定することで、健康寿命の延伸や保険給付費の適正化等につなげていくものです。 山口さんらに意見を伺いますと、デジタル改革を進める上で重要なのは、地域課題と解決方法は、地域ごとに違うので他の自治体の事例踏襲になってはならず、また、デジタル化は目的ではなく手段であり、地域課題分析・合意形成のツールとして活用しなくてはいけないということです。 高松市の場合、デジタルの手法を生かして、今までは参加・協力を得ることが難しかった人々や企業等を巻き込みながら、意見を吸い上げ、提案を出し合い、行政も的確に呼応しながら、トライ・アンド・エラーを通じ、よりよい仕組みをつくり上げていく形で取組を進めています。 こうした中、県では、デジタル技術を有する企業等と行政職員が、協働して地域・行政課題の解決手法を見出す「シビックテック チャレンジ YAMAGUCHI」を立ち上げられました。その成果には期待していますが、初年度でもあり、課題設定は市町や県庁内部からの提案が中心と聞いています。 私は、デジタル技術を真に地域課題解決の手法として活用するためには、行政課題だけでなく、広く住民を巻き込んで課題自体を募集することも必要だと考えますし、各自治体の中で、それを政策形成につなげることができる人材の育成や仕組みづくりが急務と考えます。 また、デジタル改革は、住民に一番身近な市町で取組が進んでこそ恩恵は大きくなりますが、行政手続のオンライン化など行政自体のデジタル化はもとより、デジタルを活用した地域課題の解決を進めるとなると、単独の市町では解決できないことや、小規模な市町ではそれに十分対応できる人材やノウハウが乏しい状況もあると思います。県として積極的に支援していく必要があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねします。地域課題解決や新たな政策形成に資するデジタル改革の推進に向け、市町への支援にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、安心・安全な妊娠・出産に向けた葉酸摂取の促進についてお尋ねします。 昨年の全国の出生数は約八十四万人で、五年連続で過去最少を更新し、山口県も例外ではなく、少子化に歯止めがかからない状況です。 少子化対策として、即効性ある施策を見出すことは難しいと思いますが、安心して妊娠・出産できる環境づくりを着実に進めることが、妊娠・出産を迎える女性や御家族に寄り添った、きめ細かな支援の充実を望んでいます。 私自身も妊娠・出産を経験した一人ですが、誰しもが願うことは、赤ちゃんが元気に生まれてきてほしい、このことに尽きると思います。 しかし、障害を持った赤ちゃんが生まれることも現実としてあり、中でも妊娠初期に脳や脊髄の基となる神経管がうまく形成されない神経管閉鎖障害を持つ赤ちゃんは、国内で年間五百人生まれているとされています。 一方で、この障害は予防可能な疾患であり、ホウレンソウなどに多く含まれるビタミンの一つである葉酸を適切に摂取すれば、障害の発生リスクは低減すると言われています。 国においても、二○○○年に障害発症リスクを低減させるための葉酸摂取に係る情報を全国提供していますが、認知している女性はいまだ少なく、山口県における妊娠前からの葉酸サプリメント服用率は一五・二%にとどまっており、障害の発生率も全国的に減少していないのが現状であり、葉酸摂取の普及拡大が必要と思います。 こうした中、山口県立総合医療センターの佐世正勝先生は、少子化対策はいろいろあるが、まずは元気に生まれる赤ちゃんを一人でも増やすことが大切と述べられ、様々な機会を通じて葉酸摂取の重要性を強く提唱されています。 特に、葉酸の摂取に当たっては、服用後すぐには効果が現れにくいため、妊娠前からの摂取が重要であり、また、食事からの摂取だけでは不足することから、サプリメント等の栄養補助食品により服用することが有効であるとおっしゃられています。 県内では、防府市において、佐世先生の取組に理解を示された地元県議会議員の島田議員、石丸議員の働きかけもあり、他の市町に先駆けて、婚姻届時に保健師の指導の下に無料で葉酸サプリメントを配付する事業を昨年から開始されました。 また、宇部市では、葉酸摂取の啓発チラシの配布や私の地元の柳井市でも広報活動に着手されるなど、具体的な取組があらわれておりますが、県下全域への浸透は十分ではありません。 県民への葉酸摂取の必要性の認知や摂取に係る支援について、一部の市町のみならず、全県的に広げていくためには、広域自治体の県の役割を発揮し、県として前面に出て、周知活動や市町の取組の後押しを積極的に行っていくべきと考えます。 そこでお尋ねします。安心・安全な妊娠・出産の実現に向けて、妊娠・出産を希望される女性への葉酸摂取の促進に県としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、人口減少社会における女性労働力の獲得についてお尋ねします。 昨年、私は、女性都道府県議会議員の会の一員として、ある企業を視察しました。この企業では、二○○五年に女性活躍推進チームを発足させ、育児休業中の社員の昇格制度など革新的な取組を次々と打ち出した結果、女性社員数は約二・五倍、男性の育児休業取得率は二年連続で一○○%を達成したそうです。 私は、近い将来、女性労働力を獲得する要件として、女性が働きやすいと魅力を感じる職場環境が整っていること、例えば、性別や育児に左右されない適切な評価・登用、育児休暇など仕事と家庭の両立支援、テレワーク・短時間勤務など柔軟な働き方などが当たり前の時代になると確信しています。 女性に選ばれる事業主になることが組織存続の絶対条件になると考えています。 県は、平成三十年に女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画を策定し、実効性の高い取組を積極的に進められた結果、管理職と採用者に占める女性職員の割合や男性職員の育児休業取得率が上昇するなど、成果は着実に上がっています。 一方で、県庁で働きたい、働き続けたいと思う女性を確実に増やすためには、革新的な取組も必要です。 育児や家事は、マルチタスク能力や多様な価値観の醸成を促し、生産性の高い働き方や効率的な組織運営、複雑・多様化するニーズへの共感力といった、これからの業務遂行に不可欠な能力を養う上で極めて有効です。 そのため私は、先ほど御紹介した育休中の昇格のように、育児や家事を積極的に評価する先駆的な取組を導入するなど、企業に率先垂範する県の強いリーダーシップを熱望します。そして、県は、雇用対策として、県内に女性労働力を取り込んでいく必要があります。 現在、国では女性が活躍できる環境整備や仕事と子育ての両立支援等の実施状況が特に優良な企業を、えるぼしや、くるみんとして認定していますが、この全国レベルの認証規格は、女性が勤務先を選択する上で重要な判断基準となり得るものです。 そこで、県は県内企業に対して範を示しつつ、えるぼし等の積極的な普及啓発と認定取得を促進してはいかがでしょうか。 女性の活躍を後押しする企業の創出・集積を促し、県内外の女性に対し魅力的な選択肢としての山口県を提案していくという戦略的な取組により、女性の県外流出を食い止め、他県から効果的に誘引し、県内企業のさらなる切磋琢磨を促すという好循環を県内全域で形成することができると考えています。 そこでお尋ねします。人口減少社会にあって、本県が女性労働力を獲得し、持続可能な活力あふれる地域社会を実現するためには、女性に選ばれる事業主になるとの理念の下、まず県が革新的な取組を実践して企業に範を示し、企業の努力も促しながら、えるぼし等を活用した全県を挙げたPRを展開するなど、一連の戦略的な取組が必要と考えますが、御所見をお伺いします。 次に、豊かな瀬戸内海の再生についてお尋ねします。 私たちに豊かな海の恵みをもたらしてくれている瀬戸内海は、優れた漁場として本県の漁業振興に欠かせない資源です。 一昨年九月の県議会一般質問でも述べましたが、私の地元柳井市には平郡島というすばらしい島があり、古くから漁業が盛んであることが有名です。 特に、平郡島のタコは、品質が良く、県内外で高く評価されていることから、これまで漁業関係者が中心となって、一定重量未満のタコを海に放流したり、産卵用のタコつぼを海に投入するなど、資源保護に積極的に取り組んでおられます。 また、県においても、キジハタ等の稚魚放流や、その定着を図るための保護礁設置などに取り組んでおられます。地元漁業者の方々から、最近はキジハタがよく捕れるようになったなどの声も聞いています。 私は、漁業資源の回復に向けたこれまでの県の取組を高く評価していますが、これからは行政や漁業関係者以外の人たちとの協力を得ながら進めていくことも大切だと考えています。 例えば、タコの産卵用として海に投入するタコつぼは、藻場の再生にもつながることから、素焼きがふさわしいと言われていますが、明治時代からタコつぼを製造してきた防府市の末田地区では、三年前に一人の若者によって、その登り窯が復活しました。 現在、このタコつぼは、高い評価を得て県内外で取引されていますが、その復活のストーリーなどを積極的に発信していくことで、漁業や資源回復に関心を持ってくれる人たちが増え、県民運動にもつながっていくのではないでしょうか。 一方、豊かな海の再生は、こうした取組だけで実現できるものではありません。以前から、排水規制などで水質改善が進んだものの、きれいになりすぎたことで、海中の窒素やリンなどの栄養不足が漁獲量減少につながったとの指摘もあり、国において海の栄養源不足の解決に向けた検討が始まり、このたび瀬戸内海環境保全特別措置法が改正されました。 この改正法では、漂流ごみ等の除去、発生抑制や環境保全活動の促進などが盛り込まれていますが、何よりも特筆すべきなのが、沿岸の府県が関係者の合意を得て下水処理能力を調整し、排水中の栄養塩類濃度を適切に高めることができるようにすることが盛り込まれていることにあります。 これまでの規制重視の水環境行政が目指したきれいな海から、多様な水産資源を擁する豊かな海への転換を図るものであり、府県が果たす役割も大きく変わってきているのです。 こうした取組は、漁業者だけでなく、その地域に暮らす地元住民の合意形成が不可欠であることは言うまでもありませんが、私は、本県においても漁業資源管理の基本である藻場の再生等と一体的に栄養塩類のコントロールにも積極的に取り組むべきと考えています。 そこでお尋ねします。豊かな瀬戸内海の再生に向け、県として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、公共工事における地産地消の取組についてお尋ねします。 地産地消は、地域で製造や生産された製品を、その地域で消費することで、産業の振興や活性化を図るとともに、流通経費を縮減する効果等があり、各地域において様々な分野で取組が進められています。 私は、平成二十九年度から、県が実施する公共事業の評価について審議する山口県公共事業評価委員会の委員として、事業の実施過程に直接携わらせていただく機会を頂き、その中で、コンクリート製品等の地産地消について積極的に取り組まれている姿を身近に拝見してまいりました。 コンクリートは、皆様御承知のとおり、主な原料である石灰石の山口県の生産量は、全国トップレベルを誇っており、積極的に活用していくことは、地産地消の推進に大きく寄与するものであると考えます。 私の伯父である山本繁太郎前知事も、在職時、コンクリートは地場産品の活用促進にもつながることに着目し、特にコンクリート舗装について、当時の産業戦略推進計画のプロジェクトの一つに位置づけ、普及拡大等に尽力してまいりました。 こうした中、国においては、二○五○年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、現在、様々な取組が進められ、セメント業界では、製造工程のCO2を再資源化し、セメント材料や土木資材として再利用する技術開発や実用化に向けた試験が行われています。 私は、こうした取組の視点も踏まえつつ、原材料の調達から製品の製造・販売に至るサプライチェーンを構築し、地域で生産されたものを地域で消費する地産地消の取組を進めることが非常に有効な手段であると考えています。 このため公共工事に使用する製品についても、様々な工事を計画する段階から、地産地消の製品や材料等を使用する可能性について検討を行い、設計に反映するなど、関係団体等と緊密に連携して、利用拡大を図る取組をさらに加速化・深化する必要があると考えています。 そこでお尋ねします。地域産業の振興や活性化をし、脱炭素社会の実現等にも大きく寄与する公共工事における地産地消について、県として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、一言申し上げます。 六月十四日、山口県花卉園芸推進協議会の星井会長が、村岡知事を表敬訪問され、県の幅広い支援に感謝の意を表されました。 私のところにも、直接花業界の方から、県には本当に助けてもらったという感謝の声が届いています。 こうした評価は、県の支援が必要とされる方々に効果的に届いた結果であると評価しています。 一方で、飲食店では今なお大変厳しい経営状況が続いているため、このたびの補正予算案には、飲食店への支援策が盛り込まれています。予算成立後は、この支援が必要とされる方々に一日も早く届くよう、執行部の取組に期待しています。 こうした支援がようやく形になろうとする今、私はある思いを感じています。 本県では、ここ半年ほど飲食店でのクラスター発生は少ない状況が続いていますが、そうであるならば、もっともっと早い時期に認証制度と一体となった飲食店への支援策を打ち出すことができなかったという思いです。 もっと早く本県なりの認証制度や支援策を示すことができていたら、たとえそれが高いハードルでも感染防止対策に取り組む飲食店のやる気も、それを応援しようとする県民の前向きな思いも、もっともっと引き出せていたのではないかと思うのです。 五月二十四日、獺祭で有名な旭酒造が日経新聞に出された意見広告の、飲食店を守ることも日本の命を守ることにつながりますとの見出しに、私は強く共感しました。 本県では、関係する皆様の御尽力により、ワクチン接種が全国トップクラスのスピードで順調に進んでいますが、同様に飲食店の支援についても全国をリードする意気込みで、命を守り、地域経済を守り、日本の食文化を守るための支援を行っていかなければならないと考えます。 私は、県議会議員として、これまで以上に県民の皆様の声や思いをしっかりと受け止めるとともに、県政与党の一員として県執行部に対して機を逸することのない施策提案を行っていく覚悟であることを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)有近議員の御質問のうち、私からは、デジタル改革の推進に向けた市町への支援についてのお尋ねにお答えします。 デジタル化は、今までにはない手法で地域課題を解決し、新たな価値を生み出し、県民生活や社会経済活動を飛躍的に向上させる可能性を有しています。 私は、その実現に向けたやまぐちデジタル改革を強力に進め、県内の津々浦々にデジタル化の恩恵を行き渡らせたいと考えています。 そのためには、行政だけでなく、企業や関係団体、そして、県民の皆様も含め、県内外の様々な主体の力を結集し、官民が一体となったDXへの挑戦を、失敗を恐れず積み重ねていく必要があると考えています。 そうした多様な主体相互の連携・協働の場として、このたび官民協働フォーラム、デジテック for YAMAGUCHIを立ち上げたところであり、今後、この組織を中心に、各主体による課題の提示と、解決手法の開発や新たな価値の創造に幅広く取り組んでいくこととしています。 お示しの「シビックテック チャレンジ YAMAGUCHI」は、その活動の一環として、特に、県や市町が抱える行政課題の解決を目的に事業化を図ったものであり、既に、市町からもテーマにしたいという課題が数多く寄せられているところです。 一方で、課題解決手法等の社会実装を図り、新たな施策展開へとつなげていくためには、これを担うべき人材の育成やノウハウの蓄積も並行して進めていかなければなりません。 さらに、デジタル化の恩恵を広く県民の皆様に実感していただくためには、県はもとより、むしろ住民により身近な市町においてこそ、目に見える効果をいち早く示していくことが肝要であり、私は、このことが、県民のデジタル社会への主体的な参加を促していくものと期待しています。 このため、県としてはお示しのように、各市町に対し、デジタル技術に関する情報及びノウハウの提供や、人材育成への支援に積極的に取り組んでまいります。 今年一月、県内全市町とともに設置した、山口県デジタル・ガバメント構築連携会議は、その受皿ともなる組織であり、現在、県、市町に共通する行政手続のオンライン化や情報システムの標準化・共通化、あるいは、RPA等の共同利用について、連携した取組を進めているところです。 今後は、この連携会議を通じて、デジタルを活用した市町の政策形成等に対しても、必要な支援を行ってまいりたいと考えています。 また、今年の秋に開設予定のやまぐちDX推進拠点においても、市町の取組をしっかりとサポートしてまいります。 具体的には、AI等の先端的な技術に係る情報提供やDX推進に当たって相談対応、アプリ開発やデータ解析等への技術支援などを推進拠点で実施することとしており、この機能を展開していく中で、市町が地域課題解決に取り組むための実践的なノウハウ等を提供してまいります。 また、人材育成に向けては、特に、市町内部でのデジタル化のリーダーを育成していくため、拠点の機能を生かしながら、AI学習プログラムの提供や、データに基づく政策立案能力の向上研修、職員によるアプリ開発の内製化を目指した技術実習等を進めていくこととしています。 さらに、これらの取組の成果は、連携会議で共有するとともに、取組によって新たに開発され、他の市町でも利用可能なソリューションやアプリ等については、積極的に横展開を図ってまいります。 私は、今後とも市町との連携・協働を密にし、その取組をしっかりと支援しながら、地域課題の解決や新たな政策形成に向けたやまぐちデジタル改革を強力に、スピード感を持って推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)旧姓の通称使用の拡大についてのお尋ねにお答えします。 社会における活動や個人の生き方が多様化する中、国では、働きたい女性が不便を感じ、働く意欲が阻害されることがないよう、旧姓の通称使用の拡大に向けた取組が進められています。 具体的には、地方公共団体への旧姓使用の取組促進に加え、身分証明書として使われるパスポートやマイナンバーカード、運転免許証等において旧姓の併記を可能とするなど、旧姓の通称使用や併記の制度の拡大と、その周知に積極的に取り組まれているところです。 県においても、国に先駆けて、組織内部で使用する文書等での職員の旧姓使用を可能としていたところですが、国の動きに呼応して、対外的な文書等を含めて使用を可能とするなど、取組の拡大を図ったところです。 こうした中で、お示しの選択的夫婦別姓制度については、国民の間で様々な意見があるところです。 また、夫婦が名のる姓に関する制度の在り方については、国は、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、さらなる検討を進めるとされているところであり、県としては、そうした状況を見守っていきたいと考えています。 次に、豊かな瀬戸内海の再生についてのお尋ねにお答えします。 本県の瀬戸内海においては、かつては、工場排水や生活排水の流入により水質の悪化や富栄養化に伴う赤潮が深刻な問題となっていましたが、工場排水の規制や下水道の整備等により水質は大きく改善し、赤潮の発生件数も減少しています。 その一方で、近年、窒素、リンなどの栄養塩類の不足が原因の一つとされているアサリの減少やノリの色落ちなど水産資源への影響が課題となり、豊かな瀬戸内海の再生に向けた取組が重要となっています。 このため、魚介類の産卵場や稚魚の育成場として機能する藻場や干潟の再生に向けた森・川・海を通じた豊かな流域づくり活動や、漁業者によるアマモ場の拡大やアサリの生育環境の整備等の活動支援に加え、下水処理場の緩和運転の試行を通じたノリ養殖の色落ち対策を検討してきたところです。 こうした中、お示しのとおり、瀬戸内海環境保全特別措置法が改正され、栄養塩類の供給が必要と認められる海域において、県が定める管理計画に基づき、栄養塩類の濃度をコントロールできる制度が創設されるなど、水産資源等を確保する仕組みが新たに盛り込まれたところです。 同法の施行に向けて、国は、瀬戸内海環境保全基本計画の変更を行うとともに、お示しの栄養塩類のコントロールに関するガイドラインを示す予定としていることから、現在、国の動向を注視しているところです。 今後は、国のガイドラインや本県の海域における水産資源の状況等を踏まえるとともに、住民その他の関係者等の意見も聞きながら、漁業資源管理の基本である藻場の再生等と一体的に、栄養塩類をコントロールする制度の導入を検討することとしています。 県としましては、県民や事業者、団体、市町等と緊密に連携し、瀬戸内海が美しく豊かな海となるよう取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)安心・安全な妊娠・出産に向けた葉酸摂取の促進についてのお尋ねにお答えします。 子供を産みたいと望む方が、安心して妊娠・出産できる環境づくりは、少子化対策を進める上で重要です。 このため、県では、県立総合医療センターに女性健康支援センターを設置し、妊娠・出産に関する不安に対し、医師や助産師等の専門職がきめ細かく相談に応じるなど、妊産婦に寄り添った支援の充実に取り組んでいます。 こうした中、国において、本年三月に、妊産婦のための食生活指針が改定され、その中で、これまでの研究結果を踏まえ、妊娠前から妊娠初期における葉酸摂取の必要性が改めて示されたところです。 各市町においては、母子健康手帳交付時や妊婦健診、母親学級における保健指導等の場において、葉酸摂取に関する周知を行っているところであり、こうした取組に加え、県においても一層普及拡大に向け、周知啓発の取組を推進することとしています。 具体的には、市町の担当保健師を対象に、産婦人科医等による専門的知識を習得する研修を実施するとともに、中高生等の若い世代に対しても、思春期保健に関する公開講座を活用し、葉酸の必要性について周知を図ってまいります。 また、妊娠中の女性に対しては、摂取のタイミングを逃さないよう、現在構築中の妊娠・出産等に関する相談にAIが対応する、子育てAIコンシェルジュを通じて、妊娠初期の妊婦へプッシュ型で直接通知することとしています。 県としましては、今後とも市町や関係機関等と連携しながら、妊娠・出産を希望する女性に対する葉酸摂取の促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)人口減少社会における女性労働力の獲得についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が進行する本県において、女性の県外流出に歯止めをかけ、県内の定着を図っていくためには、女性が働きやすい魅力的な職場環境づくりを進めていくことが重要です。 このため県では、働き方改革支援センターのアドバイザーによる女性が働きやすい環境づくりに向けた個別支援を行うとともに、女性がライフステージに応じて働き方を選択できる新たな雇用を創出し、企業とマッチングしています。 また、女性のキャリアアップや雇用の継続を応援する企業を、やまぐち女性の活躍推進事業者として登録し、取組内容を広く紹介して、推進事業者の拡大を図っています。 これらの企業が、女性専用トイレや休憩室などの職場環境の整備を行う場合に補助金を交付するなど、女性の職域拡大や就業継続の取組も支援しています。 さらに、こうした意欲的な企業に対しては、労働局と連携し、お示しの、えるぼし等の取得の働きかけを積極的に行い、さらなる女性の活躍の場の拡大や女性労働力の確保につなげてまいります。 一方、県庁においても、女性職員活躍推進行動計画を策定し、計画的に取組を進めた結果、男性職員の育児休業取得率は令和元年度までに一三%の目標を上回り、課長級以上に占める女性職員の割合は令和四年四月までに一四%の目標に迫るなど、着実に成果が上がっています。 さらに、昨今のコロナ禍の状況を踏まえて、時差出勤の拡充、在宅勤務用の通信機器導入等によるテレワーク環境の整備など、女性が生き生きと活躍できる職場づくりにもつながる、そういった取組を自ら率先して進めているところです。 これらの取組について、やまぐち働き方改革推進会議や、やまぐち女性活躍応援団等を通じて全県的に普及させることにより、女性が働きやすい職場環境づくりを進め、県内外の女性から選ばれる魅力ある企業の創出につなげてまいります。 県としては、今後とも女性職員が働きやすい職場環境整備を率先して進めるとともに、労働局等関係機関との連携を図りながら、女性の県内就職・定着の促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)公共工事における地産地消の取組についてのお尋ねにお答えします。 本県産業の振興や活性化を図る上で、地産地消の取組は大変重要であると認識しており、県では、ふるさと産業振興条例に基づき、公共工事においても、県産品などを県内で利用する取組を積極的に推進しています。 具体的には、コンクリートや石材など主要な県産品の使用を義務づけるとともに、総合評価方式の入札において鉄筋や鋼材などの県産品の活用を評価するなど、地産地消に積極的に取り組んでいるところです。 また、コンクリート舗装については、計画段階からその適用について検討し、条件に合致する箇所で積極的に活用するとともに、公共工事の発注者や関係団体を対象にした講習や意見交換会を開催するなど、さらなる普及拡大に努めています。 さらに、県内企業で新たに開発された製品等についても、公共工事地産地消推進モデル事業において機能の検証を行い、有効性が確認されたものを、やまぐち発新製品として認定し、指定する工事で使用を義務づけるなど、県内での開発や活用を促進しているところです。 こうした中、国では、カーボンニュートラルに向けた取組を開始しており、輸送距離の短縮等によるCO2削減の視点からも、公共工事における地産地消の取組は、脱炭素社会の実現に向けた有効な手段であると考えています。 こうしたことから、お示しのCO2を再資源化し、セメント原料や土木資材として再利用する技術開発の状況等も注視しつつ、県産品のさらなる利用拡大に努めてまいります。 県としては、地域経済の活性化や県内企業の育成に大きく寄与する公共工事における地産地消の取組を今後も積極的に推進してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十三分休憩 ───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 副議長(二木健治君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 午前中の有近議員の質問に対する答弁について、発言の申出がありますので、これを許します。 内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)人口減少社会における女性労働力の獲得に関するお尋ねのうち、県庁の取組についてお答えをします。 県では、これまで女性職員活躍推進行動計画を策定し、管理職による、働き方改革・イクボス宣言など計画的な取組を進めた結果、男性職員の育児休業取得率は、令和元年度までに一三%の目標を上回り、課長級以上に占める女性職員の割合は、令和四年四月までに一四%の目標に迫るなど着実に成果が上がっています。 さらに、昨今のコロナ禍の状況を踏まえて、時差出勤の拡充、在宅勤務用の通信機器導入等によるテレワーク環境の整備など、女性が生き生きと活躍できる職場づくりにもつながる取組を自ら率先して進めているところです。 先ほど申し上げました女性職員活躍促進行動計画の計画期間ですが、平成三十年度から令和三年度までとなっており、今年度ちょうど見直しのタイミングでございます。 来年度からの新たな女性職員活躍促進行動計画の中で、男性職員の育児休業取得率の向上や、女性職員の積極的な登用はもとより、女性が生き生きと活躍できる職場づくりにつながる新たな取組なども計画に反映させて、県自らが率先した取組を進めてまいりたいと考えております。