1 コロナ禍における県民の健康づくりについて 2 若者の自殺対策について 3 犯罪被害者等への支援について 4 農業の持続的な発展について 5 萩医療圏における中核病院形成を巡る県の現状認識と今後の対応について 6 商工会議所に係る市長発言と公的支援について 7 その他
副議長(二木健治君)森繁哲也君。 〔森繁哲也君登壇〕(拍手) 森繁哲也君 皆様、こんにちは。自由民主党会派の森繁哲也です。令和三年六月議会の一般質問、最後の質問者となりました。登壇の機会を与えてくださいました皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。 それでは、通告に従い一般質問を行います。 初めに、コロナ禍における県民の健康づくりについてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、不要不急の外出を避けること、三密回避、マスクの着用、在宅勤務の推進等、変異を続ける新型コロナウイルスと共存しながら生活する新しい生活様式が定着をしてきました。 しかしながら、外出を控えることにより、体を動かす機会が減少し、人との交流が少なくなり、運動や趣味などの活動も縮小せざるを得ない状況の中、フレイルが問題視されております。 フレイルとは、筋力・動作の俊敏性低下、転倒リスクの増加等の身体的問題、認知機能障害、鬱などの精神・心理的問題、独居、経済的困窮の社会的問題が複合的に密接し合い、健康と要介護のはざまの状態、虚弱や老化にあることです。 新型コロナウイルス感染症について、特に高齢者は若い世代に比べ重症化率、死亡率が高いと連日のように報道されており、高齢者へのワクチン接種が順調に進んではきているものの、これまでの自粛生活の影響から高齢者の体力・気力の低下により、一気にフレイルが進む人が増加していると言われております。 また、高齢者に限らず生活習慣病の治療への悪影響もあることからコロナフレイルとして注目を集めています。 本県は、高齢化が全国平均よりも上回っていることや、若い世代でも生活習慣病に罹患されている方々が少なくないことからも、このコロナフレイルへの対策は、新たな、そして、喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。 本県では、これまでの県民の健康づくりの対策を計画的に行ってきており、その成果として男女ともに健康寿命は全国平均よりは高く推移しているものの、三大生活習慣病の年齢調整死亡率は、男女とも全国平均を上回っていることもあり、コロナフレイル対策も加味した県民の健康づくりのための新たな事業展開が求められています。 コロナ禍の収束を待っていては、時既に遅しと言え、むしろ迎え撃つ覚悟で県民の健康づくりを後押ししていかなければならないと考えています。 大多数の人は、健康でいることが何よりも重要と認識していると思います。しかし、健康でいるための努力を怠り、病気や衰えを感じて、初めて健康でいる努力を始める。そして、また健康に戻れば、その継続をやめ努力を怠りがちな傾向にあるのではないかと思います。私もその一人だと言えると思っています。 しかし、既にフレイルの状態にあっても、早期の段階から適切な対策をすれば、再び健康な状態に回復することができるとのことです。 さらに、不活発な生活を避け、ちょっとした運動や、必要な栄養をしっかり取るなどの健康づくりを続けることによりフレイルを予防することができます。 それらを踏まえ、県には各市町や関係団体と連携しつつ、コロナフレイル対策を加味した県民の健康づくりに向けて取組を強化していただきたいと思います。 そこでお尋ねします。県民が生涯を通じて生き生きと暮らし元気に活躍していくために、このコロナ禍における健康づくり対策について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、若者の自殺対策についてです。 警察庁の自殺統計を基に、厚生労働省がまとめたものによると、二○二○年の全国での自殺者は十九年より九百十二人、四・五%増の二万一千八十一人であり、自殺者は十年連続で減少をしていましたが、リーマンショック後の二○○九年以来、十一年ぶりに前年を上回り、また、人口十万人当たりの自殺者数も十一年ぶりに増え、十六・七人となったとのことです。 このうち男性は、十一年連続で減少したものの、女性は九百三十五人と大幅に増えたほか、小中高生も四百九十九人と統計のある一九八○年以来最多を記録しています。 この背景には、コロナ禍において、経済生活問題や勤務問題など自殺の要因になりかねない問題が深刻化したことや、著名人の自殺が相次いだことが増加に影響している可能性があると言われています。 本県についても、自殺者数は減少傾向にあったものの、昨年は一昨年に比べ二十三人増の二百二十三人となっており、とりわけ、二十九歳以下の若年層について、昨年は三十二人で、一昨年の十三人から約二・五倍と大きく増加し、さらに今年一月以降も前年を上回る自殺者が発生をしているとお聞きしています。 本県では、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、自殺対策の取組を着実に実施し、自殺者の減少に効果が現れていたところですが、このコロナ禍において、学校活動や地域行事の自粛、友人との共通体験・交流機会の減少など、行動変容を強いられる中で、孤独・孤立の状況に陥ったことにより、若い世代の増加が目立ってきているのではないかと思います。 人は生まれた瞬間から死に向かって歩き出します。死の瞬間は、誰にも等しく必ず訪れるわけですが、その中でも特に、無限の可能性がある若者が、その死のタイミングを精神的に追い込まれたことで、自ら選ばなければならなかったという状況を考えると非常に残念でなりませんし、一人でも多く救うための手段を講じるべきと考えます。 そのため、関係団体と一層連携し、特に若年層にターゲットを絞り、迅速に対応を進めることが求められる中、県では、このたびの補正予算において、若者の自殺対策に取り組むこととしており、高く評価をいたします。 この取組が成果を上げ、一人でも多くの若者の命が救われることを願っておりますし、全ての事業に言えることではありますが、新しい取組を始めたことをゴールとせず、日々変化する時代に合った取組にしていくことも必要だと思います。 先月二十日に沖縄県を除き緊急事態宣言が解除されたところですが、経済などへの影響は今後も続く可能性もあります。 若者の自殺の増加を社会問題として県民が認識し、一人一人が気にかけ、一人でも多くの防げる命を救うという意識を社会全体で共有しながら、追い詰められつつある人が支援を求めやすい環境づくりも併せて進めることが非常に重要と考えています。 そこでお尋ねいたします。本県において増加傾向にある若者の自殺者の対策について、今後どのように展開をしていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、犯罪被害者等への支援についてです。 我が国では、毎年多くの方が犯罪の被害に遭われています。本県においても、刑法犯の認知件数は毎年減少傾向にあるものの、殺人や強盗、放火などの凶悪犯は横ばいで推移しているほか、潜在性が高く、家庭内で繰り返し行われやすいDVや児童虐待の事案も依然として深刻な問題となっております。 犯罪被害に遭われる方や、その御家族・御遺族は、地域社会において私たちと同じく、ごく普通に生活を送られていたにもかかわらず、ある日突然、思いもかけず犯罪に巻き込まれます。 そして、犯罪により直接的な傷を負ってしまうことに加え、犯罪に巻き込まれたことによる強いストレスによって、仕事や家事・育児などの日常生活に支障を来たし、また、周囲の配慮に欠ける言動やSNSなどによる誹謗中傷を受けて、転居や退職を余儀なくされるなど、事件が解決した後も、二次的に様々な問題を抱える方も多くいらっしゃり、その存在はあまり知られていません。 こうした犯罪被害者等の現状を踏まえ、県は本年三月、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るとともに、県民が安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指して、山口県犯罪被害者等支援条例を制定され、当初予算においては、犯罪により転居を余儀なくされた被害者等に対する転居費用の助成制度を創設されるなど、先頭に立って犯罪被害者等への支援を推進されているところであり、こうした取組は高く評価をするところです。 そして、条例に定める目的を実現するためには、さらなる支援の充実を図っていく必要があることから、現在、より具体的な支援策を盛り込んだ犯罪被害者等支援推進計画について、鋭意検討を進められているものと伺っております。 私は、犯罪に巻き込まれた被害者と、その家族の方々の支援には、県による取組の充実はもとより、地域の実情に即した取組を行うことができる市町の取組や、犯罪被害者等の状況に応じて、柔軟性に富んだきめ細やかな支援を提供していくことができる、民間団体の活動の充実が不可欠だと考えます。 そこでお尋ねいたします。県民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向け、県は今後、犯罪被害者等への支援について、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農業の持続的な発展についてです。 昨年は、本県農家の皆さんにとっては苦労の多い年となりました。害虫トビイロウンカが過去にない規模で大量発生したことにより、水稲が甚大な被害を受け、収量や品質を大きく落とすことになったのです。 昨年の本県の作況指数は、全国最低の七十三となり、昭和二十三年の調査開始以降、最悪の不作となりました。 私も県内各地で、この状況を目の当たりにし、地元下松市においても大きな被害を受けた農家の方々からも悲痛な声をお聞きしました。 生産者の中には、被害の大きさに生産意欲が減退し、引退を考えているという声もあり、被害の深刻さを改めて痛感したところです。 県では、このような危機的状況を乗り越え、農家の皆さんが営農を継続できるよう、今年度の作付を後押しする支援策を展開されており、現在、作付が順調に進んでいることに私も安堵しているところですが、今年もまたトビイロウンカの本格的な飛来時期が近づいてきています。 トビイロウンカは、毎年、梅雨時期にベトナム北部や中国南部から風に乗って日本に飛来した後、収穫期にかけて繁殖し、水田が円形状に枯れる坪枯れを引き起します。 今年は、例年に比べて梅雨入りが早かったことから、今後の天候次第では、昨年並みの飛来量や増殖も懸念がされており、本県農家の皆さんは、日々神経をとがらせながら農作業にいそしんでおられます。 専門家の話では、トビイロウンカの飛来を防ぐことは不可能で、被害を及ぼすほど増殖したウンカを殺虫し、減少させることも困難だとのことで、ウンカによる被害を防ぐには、いかに正確に被害を把握し、いかに迅速に飛来後の対策を行っているかが重要だと指摘をされています。 県には、昨年度のような被害を絶対に出さないという強い覚悟を持ち、関係機関と密接に連携しながら、現場の生産者に寄り添った、きめ細かな対応をしっかり取っていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。水稲が農業経営の基幹作物となっている本県において、農業を持続的に発展させていくには、トビイロウンカによる被害を抑え、稲作経営を安定させることが何よりも重要と考えますが、県として今後、農業の持続的な発展に向け、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 今議会の一般質問では、我が会派や公明党の議員から、萩市における中核病院形成をめぐる動きや、山陰道などの道路整備、商工会議所に関する対応などが取り上げられ、問題提起がなされました。 いずれも、これまで関係者が一体となって努力し、積み上げてきたものを一方的に覆すものとなっており、様々な面で市民生活、県民生活への影響も懸念されますことから、最後に私からもこれまでの本会議での議論を確認しながら、二項目について改めてお尋ねさせていただきます。 一点目は、萩医療圏における中核病院形成をめぐる県の現状認識と今後の対応についてです。 先日の本会議でも議論されたように、萩医療圏における萩市民病院と都志見病院の統合による中核病院形成の問題は、将来にわたる地域住民の安心・安全の確保に直結するものであり、避けて通ることはできない最も重要な課題となっています。 加えて、萩医療圏において、二つの病院を統合して中核病院の形成に向けて検討を進めていくことは、地域医療構想を推進する上で中核を担う地域医療構想調整会議において議論された上で出された方向性であります。 しかしながら、田中萩市長は、前市長が自ら二つの病院を統合して中核病院をつくる方向性を示した上で、市長自身が委員長として参画した検討委員会では十分な議論ができなかったとの理由から、任意の検討組織を独自に設置し、その中で新たにゼロベースで見直すとされています。 調整会議における議論を踏まえて示された方向性に基づき、地域として協議してきた内容を、前市長が決定したことだからと全てほごにし、しかも新たな検討組織における検討内容についても、「これまで調整会議で議論されてきた内容を改めて協議した上で、結論がまとまらなくても全て報告してもらう。医療機能や病床数などに関する事項は、調整会議に諮られるが、最終的には市が方針決定する」とのことであります。 こうした萩市の進め方について、県執行部の答弁では、これまで一体となった取組を進めてきた関係機関との信頼関係を損ないかねないこと、また、医療法で定められた地域医療構想の推進に向けた取組を否定することにつながりかねないことへの懸念が示されましたが、これは現行制度上、調整会議における協議・合意を踏まえ、地域の将来における医療提供体制のあるべき姿に向けて取組を進めていく地域医療構想の基本的な理念を根底から覆し、ルールを無視した極めて危険な考え方、手法と思わざるを得ません。 こうした進め方の中では、これまで地域が一体となって積み上げられてきたものと百八十度異なる方向性が示される可能性や、あるべき医療提供体制に係る議論が停滞するおそれがあり、地域住民へ与える不安は極めて大きなものがあると考えます。 そこでお尋ねします。このような状況の中、また、市との連携が取りづらい中で、県としては、萩医療圏における中核病院形成について、どのように認識し、どのように対応しようとしているのか、改めて県の見解をお伺いいたします。 最後に、商工会議所に係る萩市長の発言と公的支援の考え方についてです。 中小企業・小規模事業者は、困難な状況が続く中、コロナ禍を契機とする消費行動の変化やデジタル化等への対応が求められています。 こうした大きな変化に対応する上では、経営者をしっかりと相談・サポートする身近な存在である商工会、商工会議所の重要性が増してきていると考えます。 商工会議所には、小規模事業者の経営支援を実施される経営指導員などが設置されています。小規模事業者の皆さんは、様々な経営課題に直面をしており、これを乗り越えようと懸命に努力をされています。そのとき、事業者の皆さんと共に考え、支援を行う人材が経営指導員です。 こうしたことから、県では、以前から経営指導員の方々の人件費や事業費などに対し財政支援を継続されており、商工会議所に対する県の補助金は大変重要な役割を果たしています。小規模事業者支援法等に基づく支援ですから地方交付税措置もなされています。 また、市は、小規模事業者支援のため、商工会議所と連携し、経営発達支援計画や事業継続力強化支援計画を共同で策定するなど重要な役割を担っています。 しかしながら、先日の一般質問で我が会派の西本議員が問題提起されたように、萩市では大変憂慮すべき事態が起こっています。 萩市長は、会頭が国会議員の後援会長を務めている萩商工会議所の体制の問題が整理されない場合、同商工会議所への補助金の支援を行わないことになり得るかもしれないと、耳を疑うような発言をされたとのことです。 この発言に対して、県執行部の答弁では、個人の資格による政治活動や会頭の人事について、地方自治法に基づく指揮監督権を行使することはできない、また、地方公共団体による商工会議所への補助金の支出についても、会頭の私的活動が関連づけられるものではないとの見解が明確に示されましたが、今回、突然のように、中小企業・小規模事業者支援等の中核的な役割を担う商工会議所の政治的中立性を疑い、財政支援の中止もちらつかせるという発言は、まさに萩市長自らが公的団体に政治的介入を行い、商工会議所の活動を特定の政治目的に利用しようとしているように思えてなりません。 今回の萩市長の商工会議所に対する発言によって、市と商工会議所の間に生じたわだかまりのようなものが、今後の商工会議所の運営や中小企業・小規模事業者への経営支援に支障を来すことがないのか、懸念をしております。 そこでお尋ねします。商工会議所は、公的経済団体であり、中小企業・小規模事業者の振興のためにも、県や市から会議所への継続的な財政支援や緊密な連携による事業者支援が必要と考えますが、県の御所見をお伺いします。 質問は、以上で終わりますが、最後に一言申し上げます。 現在、新型コロナウイルス感染拡大防止の切り札として、全国でワクチン接種が進んでいます。 高齢者の優先接種も一段落をした自治体では、今後は一般接種への意向が予定されており、既に始まっている自治体も多くあると承知をしております。 今後も接種希望者への接種がスピード感を持って進んでいくことを期待をしているところですが、ワクチン接種が進むに当たり、SNS等を中心にワクチン接種による副反応等の誤情報、いわゆるワクチンデマが若年層の間で広まっているという懸念すべきことも起こっています。 私も先日、二十歳代の後輩男性から真顔で、ワクチンを接種したら子供ができなくなるかもしれないと言われたので接種を迷っていると言われ、少し驚きました。 このワクチンデマは、医学的に全く根拠のない話であり、河野ワクチン担当大臣も自身のブログ等で否定するなどしておりますが、一度広まったデマは拡散を続け、目にする機会が増えるたびに不安を覚える若年層の割合も多くなると予想されます。 ワクチン接種はあくまでも任意とされておりますが、その判断がワクチンデマで阻害されることは防ぐ必要があると思います。 本県においても、今後、一般接種が各自治体で本格化することから、国及び市町と連携をして、ワクチンの副反応等の正しい情報を今後もしっかりと県民に提供していただくことを御要望申し上げ、一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)森繁議員の御質問にお答えします。 まず、犯罪被害者等への支援についてです。 犯罪被害者やその家族は、犯罪による直接的な被害にとどまらず、その後の二次的な被害に苦しめられることも多く、被害者等が社会で孤立することなく、安心して暮らすことができるように支援していくことは大変重要です。 このため、私は、本年三月に制定した犯罪被害者等支援条例に、被害者等の権利利益の保護と、誰もが安心して暮らすことのできる地域社会の実現を柱として掲げ、被害者等の支援に取り組むこととしました。 条例の施行に併せて四月には、被害者等の切実な声を受けて、転居費用助成制度を創設し、犯罪により転居を余儀なくされた方の経済的負担の軽減や、安全の確保を図るための支援を開始したところです。 現在、条例の規定に基づき具体的な支援策等を盛り込んだ犯罪被害者等支援推進計画の策定を進めており、今後、この計画に沿って、お示しの市町との連携強化や、きめ細かな支援を行っている民間支援団体の活動支援などに取り組むこととしています。 まず、市町との連携強化については、新たに設置する協議会において、県民にとって最も身近な行政機関である市町と緊密な情報共有を図る中で、各市町の福祉制度や、県営住宅における優先入居制度等の効果的な運用に取り組み、被害者等の状況に応じた適切な支援を行ってまいります。 また、本県独自に設けた犯罪被害理解促進期間において、市町と連携した重点的な広報啓発活動を行うとともに、県内各地でパネル展を行うなど、県民の被害者等支援に関する意識を高めていきます。 次に、民間支援団体への支援については、その活動を活性化するため、被害者等支援に関する広報啓発素材を提供するほか、被害者等の思いを伝えるイベントや新たな支援員を養成するための研修会を共同開催することとしています。 こうした取組に併せて、様々な相談や要望にワンストップで対応できる体制を強化し、県や市町、民間支援団体等をつなぐ支援の輪を作り、被害者等が被害を受けたときから安心して暮らせるようになるまで、一人一人に寄り添いながら、途切れのない支援の提供に努めてまいります。 私は、今後とも、市町や関係機関等と一体となって、県民が安心して暮らすことができる地域社会の実現に向け、被害者等支援に全力で取り組んでまいります。 次に、農業の持続的な発展についてのお尋ねにお答えします。 耕地面積の八割を水田が占め、稲作による小規模経営が中心の本県農業を持続的に発展させるためには、法人経営体を核とした生産構造への転換を進めながら、経営の基幹作物である水稲の生産安定を図ることが重要です。 このため、私は、集落営農法人等の育成を最重点課題に位置づけるとともに、スマート農業の導入による効率的な生産体制の下での作付拡大や、安定生産に結びつく病害虫対策に積極的に取り組んでいるところです。 こうした中、昨年、トビイロウンカの異常発生により、水稲や甚大な被害を受けたことから、緊急的な補正予算により、JAや市町と連携して種子代助成を行うなど、農業者に営農を継続していただけるように支援してまいりました。 この関係機関一体となった支援により、本年の作付が順調に進んでいることから、私は、農業者が今後も安心して生産に取り組み、作付拡大に向けた流れを加速できるよう、当面の防除対策を強化するとともに、持続的な安定経営につながる、長期的な視点での技術対策も進めることとしています。 まず、当面の防除対策の強化については、早期発見による適期防除ができるよう、病害虫防除所が行う調査の開始時期を早め、各地域での調査地点や回数を増やしたところであり、今後発生状況に応じた技術情報を速やかに発出します。 また、こうした情報が農業者に確実に伝わるよう、SNSの活用等に加え、新たに農薬を取り扱っている県内約二百店舗のホームセンター等にチラシを掲示するなど、JAや市町等と連携し、きめ細かな情報発信を行います。 次に、長期的な視点での技術対策については、昨年度のような大量飛来があっても被害を確実に抑えられるよう、国の研究機関等と連携し、全国に先駆けて、本県が独自に開発を進めてきた長期予測技術の精度を高め、適期に低コストで防除できる仕組みを構築します。 私は、昨年度のような病害虫による被害を繰り返さないという強い覚悟を持って、農業者が今後も安定的な稲作経営を継続できるよう、市町や農業団体と緊密に連携し、本県農業の持続的な発展に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)まず、コロナ禍における県民の健康づくりについてのお尋ねにお答えします。 フレイル状態になる方の増加が懸念されるコロナ禍にあって、健康寿命の延伸を図るためには、十分な感染予防対策の下で健康づくりの取組を推進していくことが重要です。 このため、今年度、新しい生活様式における県民の健康づくり対策の充実に向け、フレイル対策の三つの柱である運動、栄養、そして、人との交流を目的とする社会参加について、市町や関係団体と連携をし、取組を進めていくこととしています。 まず、運動については、自宅などでも無理なくできる簡単なストレッチなどの動画や、県内の身近な観光地巡りなどを楽しむウオーキングコースを、やまぐち健幸アプリに追加し、その機能の拡充を図り、気軽に継続して運動に取り組む機運を高めてまいります。 また、栄養については、コロナ禍において、外出控えが、買物機会の減少による食生活の偏りにつながっていることから、県食生活改善推進協議会と連携をし、栄養バランスを見直す講習会を市町単位で開催するなど、健康的な食生活の維持に向けた取組を進めてまいります。 さらに、高齢期になっても地域の仲間とともに楽しく継続して健康づくりができるよう、身近な通いの場を活用し、県歯科医師会や市町と連携をして、コロナ禍で機能低下が危惧される口腔の健康をテーマにした介護予防教室を開催するなど、社会参加を促す取組も推進してまいります。 県としましては、今後とも市町や関係団体と緊密に連携をしながら、コロナ禍における県民の主体的な健康づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、若者の自殺対策についてのお尋ねにお答えします。 自殺を未然に防ぐためには、県民の一人一人が自殺を社会問題と認識し、周囲の人間の些細な変化に気づき、一人でも多くの命を救うという意識を社会全体で共有をし、悩みを抱えている人が支援を求めやすい環境づくりを進めることが重要です。 県では、このような観点から、平成三十年に策定した自殺総合対策計画に基づき、市町や関係団体等と連携をし、県民への正しい知識の普及、相談支援を行う人材の養成、ハイリスク者への支援などに取り組んでいるところです。 こうした中、お示しのように、令和二年には、特に、若者の自殺が大幅に増加したことから、県では、今後、若者への対策を重点的に進めていく必要があると考えています。 このため、まず、若者に対する相談体制の強化を図るため、従来の面接や電話に加え、日常的なコミュニケーションツールとして利用するLINEによる相談体制を今月中にスタートさせ、相談の選択肢を拡充することとしています。 また、自殺方法、死にたいなど、自殺に関わるワードをスマートフォンで検索入力した際、AIを活用し、自動的に県内の相談先や自殺防止メッセージを表示する仕組みを構築することで、相談支援につなげ、自殺の未然防止に努めてまいります。 さらに、今年度、ゲートキーパーの支援力を向上させる研修を実施するとともに、一般県民を対象とした自殺対策フォーラムを開催し、悩みを抱える若者への対処方法の普及や社会全体で若者を支える機運の醸成に努めていきたいと考えています。 県としては、今後とも若者の自殺を県民全体の問題として捉え、市町、関係団体等とも連携をし、自殺防止対策に積極的に取り組んでまいります。 次に、萩医療圏における中核病院形成をめぐる県の現状認識と今後の対応についてのお尋ねにお答えします。 県民が生涯を通じて、住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくためには、効率的で質の高い医療提供体制の構築が重要です。 このため、県では八つの医療圏域ごとの実情に応じて、医療提供体制の将来のあるべき姿を示す地域医療構想を策定し、その実現に向けて取組を進めているところです。 お示しのように、萩医療圏においては、医療機関や住民の代表者等が参画する地域医療構想調整会議において協議され、萩市民病院と都志見病院とを統合し、中核病院を形成することが、地域医療構想を推進する重要な方向性として打ち出されたところです。 この方針に基づき、県では、国から手厚い財政的支援が受けられるよう、調整会議に諮った上で重点支援区域の選定について国へ申請を行うとともに、萩市へ県職員を派遣するなど、必要な支援を行ってきました。 こうした中、今般、萩市においては、お示しのとおり、任意の検討組織を独自に設置し、その中で、これまでの方針をゼロベースで見直すこととしており、これは、地域の医療需要等を勘案して策定した地域医療構想に基づく、これまでの取組を否定することにつながり、ひいては地域住民に不安を与えかねないものと懸念をしています。 また、萩市が設置するこの検討組織は、調整会議で得られた方針に基づくものではなく、設置も含め、県としては承知していないところであり、その検討のいかんに関わらず、基本的な方向性等は、医療法に基づき、調整会議において協議される必要があるものと認識をしています。 県としましては、地域医療構想の実現に向けては、あくまで医療法で定められた調整会議での方針に基づき推進していくべきものと考えており、この枠組みの下で対応し、萩医療圏における医療提供体制の整備に向け、取り組んでまいります。 〔弘田健康福祉部長の発言中、二木副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)商工会議所に係る市長発言と公的支援についてのお尋ねにお答えします。 商工会議所・商工会は、地域の中小企業・小規模事業者にとって最も身近な支援機関であり、地域経済の活性化を図っていく上で大きな役割を果たしています。 このため、県では、中小企業・小規模事業者の支援に向け、商工会議所等に対し、窓口相談・巡回指導等を行う経営指導員の配置や、創業や事業承継の支援などに要する経費について補助金を交付しています。 こうした中、お示しのとおり、長期化するコロナ禍で苦境に立たされている事業者へのきめ細かな経営支援や、デジタル化への対応が求められるなど、商工会議所等の重要性はますます高まってきています。 このため県では、事業継続やデジタル化などを図るための専門家派遣制度の拡充や、落ち込んだ消費需要の拡大に向けたイベント開催への助成など、商工会議所等への支援の充実を図ることとしています。 一方、市町においては、令和元年の法改正により、事業者への伴走型支援を行う計画と事業者の防災・減災対策を支援する計画を商工会議所等と共同で策定することとなり、その役割は強化されています。 各市町においては、計画の策定やその円滑な運用等について、商工会議所等との連携をさらに緊密にされるとともに、必要に応じ、商工会議所等への支援を行い、協力して地域の事業者の振興に取り組んでいただきたいと考えています。 県としては、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の継続的な発展のため、今後とも商工会議所等の機能強化を図りながら、市町や商工会議所等と緊密に連携した事業者支援に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。