1 県内経済の回復と中小企業者の事業継続に向けた取組について 2 水素の活用に向けた研究開発への支援について 3 建設労働者への適切な賃金水準の確保について 4 上関原発建設計画について 5 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 副議長(二木健治君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 戸倉多香子さん。 〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) 戸倉多香子さん 皆様、お疲れさまです。民政会の戸倉多香子です。令和三年六月定例会に当たり、通告に従いまして、県政の諸課題について質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 初めに、県内経済の回復と中小企業者の事業継続に向けた取組について、二点お尋ねいたします。 一点目は、新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算案についてです。 二十三日から始まりました六月定例会の初日、知事から新型コロナウイルス感染症の状況について報告がありました。 五月十八日から実施していた県外との往来の自粛や外出機会の半減を広く呼びかけるとともに、高齢者通所施設等において緊急点検を実施するなどの感染拡大防止集中対策が、今月二十日をもって終了することができたとの報告があり、関係機関をはじめ、県民の皆様の御理解と御協力に対し、改めてお礼を申し上げますとの御発言がありました。 その上で、事態の長期化に伴い、県内経済への影響が深刻さを増していることに加え、人と人とのつながりの希薄化など、新たな課題が顕在化しており、きめ細やかな対策を講じていく必要があるとの認識を示され、現時点の状況を踏まえ、緊急に措置すべき経費について四つの柱に沿って補正予算を編成したとの説明がありました。 補正総額は二百四十一億三千百万円、このうち、二百三十九億千二百万円が新型コロナウイルス感染症対策関連事業に係る補正予算です。 四つの柱のうち、感染拡大の防止に百二億円、県民生活の安定に二十九億円、県内経済の下支えに六十五億円、消費需要の喚起に四十三億円となっており、これらは、ワクチン接種の加速化のための体制強化をはじめ、今後の感染拡大に備え十分な感染防止対策を講じながら、新型コロナの長期化により大変な打撃を受け疲弊した社会経済活動を回復し活性化させるため、国の交付金を最大限活用しながら必要な施策を展開するとのお考えで編成されたと聞きました。 県内経済の回復と質の高い経済社会の実現に向けて、多くの県民の思いに応える内容となっていると期待して、主に、中小企業や小規模事業者を対象とした支援策についてお尋ねしたいと思います。 四つの柱のうちの県内経済の下支えには、コロナ禍以前と比較して三〇%以上売上げが減少した県内中小企業者を対象として、法人には四十万円、個人には二十万円を給付する中小企業事業継続支援事業があります。 また、安心して飲食店を利用できる環境づくりを進めるための県の第三者認証制度を創設し、認証されたお店には、応援金二十万円支給の飲食店応援事業や事業活動の停滞を余儀なくされた県内事業者が再び活動を活発化させるため、感染防止対策や新たな事業展開などに取り組む場合に、必要な経費の四分の三を補助するリスタート支援事業などがあります。 さらに、中小企業者の自主的なPCR検査の経費二分の一補助や、宿泊事業者や公共交通事業者の事業継続支援事業も含まれています。 これらの支援策が一刻も早く、苦しんでおられる中小企業者に活用していただけるよう、本定例会で補正予算が成立し次第、各支援策の申請の受付が始められるよう、準備を急いでいただきたいと思います。 県内経済の回復と中小企業者の事業継続に向けて、これらの支援策を必要とする方々全員へ、一刻も早くお知らせし、手続も複雑なものとならないように工夫を重ねながら活用してもらうために、県はどのように取り組まれるのかお尋ねいたします。 二点目として、地域の経済と雇用を支え、町の歴史や文化を紡ぐ店舗などへの支援についてお尋ねいたします。 本日、参考資料として、周南地域の地元紙である日刊新周南の六月四日の記事を、新周南新聞社の御了解を頂いて、資料とさせていただきました。もう限界だという声を、周南市の飲食店の方々が実名を出して発しておられます。この記事が出たことに、地元周南でも大きな反響がありました。私たち議員への御批判も頂いておりますが、率直な御意見だと思います。 私たち立憲民主党山口県総支部連合会にも、様々な立場の皆様から悲鳴にも似たお声が寄せられたため、それらを取りまとめて、二月二十二日に県に要請書を提出したことは、前回の二月定例会でも発言しました。 私たちにお寄せ頂いたお声で最も多かったのは、要請書にも書きましたが、「山口県には緊急事態宣言は出ていないにもかかわらず、連日のテレビ報道などの影響により、時短要請がなくても開店休業状態の飲食店が多い。緊急事態宣言の発令中の地域では補償があるのに、県内の店舗にないのは明らかに不公平だ」というものでした。 要望書には掲載できませんでしたが、私が周南の飲食店などの店主から聞き取りした内容は、周南の飲食店など、周南の地域では東京周辺に本社のある企業が多く、緊急事態宣言により、山口県内で働く社員にも自粛令が出ており、アルコールを伴う会合はなくなった、また、各種団体の会合も開催できない状況が続いているというものでした。 しかし、その後の県の対応は、はっきり言えば、鈍いと感じました。周南では、飲食店をのぞくたびに、緊急事態宣言を出してほしいと知事に伝えてと言われました。宣言の出ていない県でも、お店は閑古鳥状態なので、支援のある緊急事態宣言が出ていた方がましだということでした。 六月十一日には、山口県飲食業生活衛生同業組合と山口県すし商生活衛生同業組合からも、感染防止対策への協力に伴う支援や営業の継続に要する経費の支援などを求める要望書が、知事に提出されています。 このほかにも、県には、多くの支援を求める声があったと思いますが、それらへの対応が、このたびの補正予算まで目に見えてこなかった理由について、お尋ねしたいと思います。 周南で頂いたお声の中に、町の歴史や文化を次世代につなぐ役割も担ってきた店舗の閉店は、県民にとっても損失だとの御意見がありました。私も、本当にそのとおりだと思います。それぞれの町で長く続いてきた店舗が、コロナの影響で閉店していくのは本当に残念でなりません。店舗を経営されている方にとっては、そんなことは言っておれないほどの状況だったんだと思いますが、私には、今後起きてくる人口減少による課題と同じように思えました。 まちづくりの課題や商店街、飲食店の存続などは、これまで主に市町が担うべき課題とされてきたと思いますが、これらの課題は、人口減少問題への対応と同様、県も主体となって取り組むべき重要な課題だと思いますが、県の御所見をお聞きします。 二点目として、水素の活用に向けた研究開発への支援についてお尋ねいたします。 前回の二月定例会で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組などの一般質問を終えて、県庁から徳山に帰る途中の車の中で、日本製鉄がCO2排出量二〇五〇年実質ゼロに新たな製鉄技術研究加速とのニュースが、NHKから流れてきました。三月五日のことでしたが、水素を活用して製鉄する全く新しい技術の研究開発を行い、実用化するとの報道だったので、本当にびっくりしました。 国内で最も多く二酸化炭素を排出する産業は、鉄鋼業だと言われています。製鉄の過程で排出するCO2排出量は、国内の排出量のおよそ一五%を占めており、全ての産業の中で断トツの多さだと聞きました。 これまで、還元という製鋼プロセスには炭素が絶対必要であり、多くの石炭を使う従来の製鉄技術からの大転換は実質困難だという記事を読んだばかりだったので、水素を活用して還元するとのその日のニュースに本当に驚き、自宅に帰ってすぐにネットで検索したところ、日本製鉄グループ中長期経営計画の中に、ゼロカーボン・スチールへの挑戦という項目がありました。 そこには、究極のゼロカーボン・スチールの製造技術である一〇〇%水素による直接還元製鉄法を用いた鉄の製造は前人未到の技術であり、極めてハードルの高いイノベーションが必要なことや、こうしたイノベーションに向けては、約五千億円の研究開発費と、設備実装に四、五兆円の投資を要すると見込まれるとの記述もありました。 一方、同じ日に、日本製鉄は、東日本製鉄所鹿島地区の高炉二基のうち一基を、二〇二五年三月をめどに休止すると発表したとの報道もありました。 この発表を受けて、茨城県の大井川知事は臨時の記者会見を開き、これまで繰り返し日本製鉄に存続を強く働きかけるとともに、県と鹿嶋市、それに神栖市で設備投資に百億円規模、水素の活用に向けた研究開発に、およそ五十億円を支援する考えを日本製鉄側に伝えていたことを明らかにしたそうです。 これらの記事を読み、茨城県では、操業継続に向けて検討されていた水素の活用に向けた研究開発への支援規模の大きさに衝撃を受けました。脱炭素社会の実現に向けて、水素の、つくる、はこぶ・ためる、つかう技術をどう開発していくか、私たちの社会にどう生かしていけばいいのかなどをテーマとしたセミナーやシンポジウムなども多くなりました。 ますます注目されることとなった水素の活用に向けた研究開発への支援について、県はさらに拡大していく必要があると思いますが、知事の御所見を伺います。 三点目に、建設労働者への適切な賃金水準の確保についてお尋ねいたします。 先日、九年連続して公共工事設計労務単価が引き上げられているのに、現場で働く建設労働者の賃金は変わらない、公共工事の下請で働く建設労働者も賃金が上がらない、引き上げられた設計労務単価が現場の末端まで行き渡るよう、県でも取り組んでいただきたいとのお声を頂きました。 この課題については、国でも県でも、様々な取組を続けておられると思いますが、消費税増税の影響により、新設住宅着工戸数が低水準で推移していることや、コロナ禍で企業の業績も厳しい状況であること、また、ウッドショックなどと言われていますが、部材の高騰が続いているとの話も聞いており、そんな中での建設労働者の適切な賃金水準の確保を進める厳しさもあると思います。 今年も、令和三年二月十九日付で、国土交通省不動産・建設経済局長から、建設業団体の長宛てと各都道府県知事宛てに、技能労働者への適切な賃金水準の確保についてが発出されています。 今年の内容を読むと、公共工事に従事する技能労働者に実際支払われている賃金実態を把握するために、毎年実施する公共事業労務費調査において、昨年十月に実施した調査では、一部の単価が前年を下回っていたことや新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響により、一時的に賃金支払いが抑制されている可能性が懸念されるとの記載もありました。 また、三月一日、県でも、技能労働者への適切な賃金水準の確保等に関するお願いが発出されていました。引き続き、一、自社における技能労働者への適切な水準の賃金の支払い及び社会保険等への加入徹底、二、技能労働者への適切な水準の賃金及び社会保険等への加入相当額を適切に含む額での下請契約の締結、三、下請企業に対する技能労働者への適切な水準の賃金の支払要請・社会保険等への加入及び標準見積書等の法定福利費を内訳明示した見積書の提出指導と、三点への特段の配慮を協会員へ周知してほしいとの内容でした。毎年、同じようにお願いが繰り返されていますが、効果が薄いのであれば、ほかの視点での取組も必要なのかもしれません。 建設業は社会資本設備の担い手であり、地域経済と雇用を支えています。相次ぐ災害の中で、地域社会の最前線での安全・安心の守り手としての役割が再評価されています。そうした役割を、将来にわたり着実かつ安定的に果たしていくには、建設労働者の担う役割は大変重要であることは言うまでもありません。 九年連続して公共工事設計労務単価が引き上げられているにもかかわらず、現場を支える建設労働者への適切な賃金水準の確保ができていないことについて、県は今後どう取り組まれるのか、お尋ねいたします。 四点目に、上関原発建設計画についてお尋ねします。2点のお尋ねをしたいと思います。 一点目は、一般海域占用許可についてです。 上関原発建設計画に関連して、中国電力が必要としていた海のボーリング調査のための一般海域占用許可申請が、今月十一日に許可されました。私は、この許可は許可要件を満たしておらず、取り消すべきだと考えます。 以下、数点について指摘し、県の御所見を伺いたいと思います。 知事は、二〇一九年七月二十六日に、上関原発建設計画に係る公有水面埋立免許の二度目となる延長許可をされました。この許可処分について、私自身は、これまでも何度も主張してきましたように、二〇一六年に許可となった設計概要変更及び期間延長許可については違法の可能性があると考えており、それらをさらに延長する内容である二〇一九年七月の延長許可にも瑕疵があると思っています。 しかし、仮に県の主張を受け入れ、公有水面埋立免許の延長許可が違法ではないと考えた場合であっても、このたびの一般海域占用許可については、許可要件を満たしておらず、取り消すべきだと思います。 その理由の一点目は、村岡知事は、二〇一九年七月二十六日に公有水面埋立免許の延長許可を出された際、中国電力に、発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋立工事を施行しないよう要請されました。この要請は、村岡知事が、最初に延長許可をされた二〇一六年八月三日にも出されていますが、二〇一九年の要請文には、次のように書かれています。「上関原子力発電所の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が、福島第一原子力発電所の事故以降開催されていない状況及び貴社の電力供給計画において上関原子力発電所の着工時期が未定とされている状況は変わっていません。また、貴社から県に対し、上関原子力発電所本体の着工時期の見通しに関する相談もいまだなされていないところです。このように、このたび埋立免許延長を許可した上関原子力発電所について、原子力発電所本体の着工時期が見通せない状況にあることから、発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋立工事を施行しないこと。」と記載されています。 一方、一般海域占用許可基準には、占用許可の基本方針として、一般海域は公共用物として天然の状態において一般公衆の自由な使用に供されるべきものであるので、原則としてその占用は認めるべきではないが、社会経済上必要やむを得ない場合にはこの基準に従って許可するものとするとなっています。必要やむを得ない場合のみとの許可基準に、発電所本体の着工時期の見通しがついていない計画のためのボーリング調査が該当するのでしょうか。 上関原発建設計画の現状については、上関原子力発電所の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が、福島第一原子力発電所の事故以降開催されていない状況、また、中国電力の電力供給計画において、上関原子力発電所の着工時期が未定とされている状況、そして、その状態がここ何年も変わらず続いている状況であることを、県自ら要請文の中で明らかにしています。 さらに、国会では、現時点においてと前置きしながらも、原発の新増設、リプレースは想定していませんと経産大臣が何度も答弁しています。上関の原子力発電所については、設置許可が下りておりませんので、新設に当たりますとの答弁もあります。それが、占用許可を出された二〇二一年六月十一日の時点の状況です。占用許可申請が県に提出された五月二十日時点についても変わらないと思います。 いくら上関原発に係る重要電源開発地点の指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除することは考えていないとの国の見解があっても、現時点では、まだ、新設である上関原発建設計画は着工時期が見通せない、すなわち、着工できるかどうか分からない状況なのです。 そのような状況の上関原発建設計画のためのボーリング調査は、発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、不必要となる可能性もあり、社会経済上必要やむを得ない場合とは言えません。まずは、この点について、県の見解を求めます。 許可要件を満たしていないと考える理由その二は、利害関係人の同意が得られていないことが挙げられます。そして、その三は、占用許可の基本方針の中の五、当該工作物の設置等が一般海域及びその周辺の土地利用の状況、景観その他自然的及び社会的環境を損なわない場合に対する検討が十分でないことなどがあります。 以上の二点については、住民団体との申入れなどで、何度も担当課の皆様には見解を求めてきましたが、今回の許可処分については、どのような検討をされたのか、お尋ねいたします。 このほかにも、他の県議の皆さんが、もっと詳しく質問してくださると思いますが、私は、これらの理由以前の問題として、二〇一九年七月二十六日に、村岡知事が出された公有水面埋立免許の延長許可の内容に、ボーリング調査のための六か月間が含まれているため、これまでの県の方針を踏まえると、一般海域占用許可の許可権者ではなく、原発建設計画が存する県の知事の立場から、一般海域占用許可の処分とは切り離し、実際にボーリング調査を行うのは、発電所本体の着工時期の見通しがつくまで待つべきだというのが、村岡知事御自身のお考えではないかと思うのですが、県の見解をお聞きします。 次に、原子力災害における避難計画についてお尋ねします。 今年の三月十八日、茨城県東海村にある東海第二原子力発電所について、住民が安全対策に問題があるなどと訴えていた裁判で、水戸地方裁判所の前田英子裁判長は、避難計画やそれを実行する体制が整えられていないとして、事業者の日本原子力発電に再稼働を認めない判決を言い渡しました。 原子力災害における避難計画や体制が整えられていないとする判断は初めてだと報道されていますが、日本弁護士連合会の会長声明でも、避難計画の不備という問題を正面から取り上げて原発の運転差止めを命じた事例は初めてであり、他の原発の安全性を検討する上でも重要な判決と言えると評価されていました。今後は、東海第二原子力発電所以外の原発訴訟でも、主な争点とされていくと思います。 一方、新聞やテレビでは、東海第二原発の三十キロ圏内には、全国の原発で最多の約九十四万人が生活すると伝えられており、人口が多いから認められたのかと疑問を抱く声もありました。もちろん、命の重さに違いはありませんので、そんなことはないと思います。 山口県でも、約二十人の住民の住む上関町八島の一部が四国電力伊方原発の三十キロ圏内に含まれるため、本県においても、地域防災計画の原子力災害対策編を策定し、原子力防災対策に取り組まれています。 人口が少ないとはいえ、離島であり、住民は高齢者が多いと聞いています。原発避難計画の検証という著作などもある環境経済研究所の上岡直見氏は、屋内退避の問題点を指摘されています。 そのほかにも、上関町八島の住民を対象とした原子力災害における避難計画には、解消できていない様々な課題があると思います。県では、現在の山口県の地域防災計画の原子力災害対策編について、原子力災害ならではの課題をどのように認識されていますか、お尋ねいたします。 また、これまで実施されてきた避難訓練で、新たな課題も出てきたのではないかと思います。天候のことなども含めて、課題について、どのように対応することとしているのかもお答えいただきたいと思います。 元山口大学大学院創成科学研究科の村上ひとみ先生が、自然災害研究協議会中国地区部会の研究論文集第七号に投稿された、上関大橋と大島大橋の事故から考える上関原発計画と災害時避難の課題の論稿の中で、上関原子力発電所と災害時避難の課題として、上関原発ができた場合のUPZ三十キロ圏内の人口を、上関町はもとより周防大島町など三市四町を含め、十七万七千人と試算されています。上関大橋や大島大橋が地震等で損傷するおそれも高い中、高齢者も多い全町民の迅速な避難には非常な困難が予想されると分析されています。 過去にも、上関原発建設計画についての避難計画について、私も含め、仲間の県議さんたちも質問されていますが、毎回、避難計画については、原子炉設置許可以降、運転開始までの間に策定することとなっており、現時点で避難計画を検討する段階ではありませんとの答弁を頂いていますが、原子力災害対策特別措置法では、地方公共団体の責務として、原子力災害予防対策も義務づけられています。 重要電源開発地点に指定されている上関原発建設計画についての原子力災害における避難計画についても、予防の観点から、例えば、専門家の方々による検証委員会などを設置して検討すべきだと思いますが、県のお考えをお聞かせください。 全国で唯一の新設に当たる上関原発建設計画は、ありがたいことに、まだ実際に建設されておりませんので、その建設の前に避難計画のシミュレーションが可能な唯一の計画です。仮に、原子力災害における避難計画についての訴訟が起きても、大丈夫と言えるように検証すべきですが、県の見解をお尋ねいたします。 以上で一回目の質問を終わりますが、本日は、上関原発におけるボーリング調査の準備作業に入る予定だと聞きました。貴重な自然を壊す可能性もあり、本来、不必要となるかもしれないボーリング調査であるということを、県民の皆さんに共有していただきたいと思いますので、そのことも付け加えさせていただいて、一回目の質問を終わります。誠実な御答弁をお願いいたします。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)戸倉議員の御質問のうち、私からは、県内経済の回復と中小企業者の事業継続に向けた取組に関して、新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算案についてのお尋ねにお答えします。 感染症の長期化に伴う影響は、飲食業や観光業をはじめ、取引のある業者など幅広い業種に及んでおり、飲食等の関係団体から頂いた、事業継続や消費需要の回復に向けた支援の御要望をしっかりと受け止め、様々な支援策をこのたびの補正予算に計上したところです。 具体的には、業種を限定せず、売上が大きく減少した中小企業者に対する支援金の給付や、飲食店や宿泊事業者、公共交通事業者など、コロナ禍の影響を大きく受けている分野の事業継続や消費需要の喚起を図ることとしています。 今後、こうした事業を実施していく上では、それぞれの事業の目的に応じて、テレビスポットやSNSの活用など広報媒体の工夫や、市町、商工団体等の関係団体を通じたPRなど、効果的な手法によって、支援策の情報が対象者に届くよう広く周知してまいります。 また、国や他県等で実施している類似の事業の実施方法や書類等も参考にするほか、ウェブ申請や添付書類の簡素化など、手続についても効率化が図られるよう検討しているところです。 私は、支援策の申請窓口設置に向けた内部準備を可能な限り前倒しするなどにより、コロナ禍により影響を受けている中小企業者の皆様に、その内容や効果が一刻も早く届くよう機動的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)県内経済の回復と中小企業者の事業継続に向けた取組についての御質問のうち、地域の経済と雇用を支え、町の歴史や文化を紡ぐ店舗等への支援についてお答えします。 まず、支援を求める声への対応が、このたびの補正予算まで目に見えてこなかった理由についてですが、コロナ禍において、国においては、持続化補助金や一時支援金等による事業継続、雇用調整助成金等による雇用維持が図られています。 県としては、こうした支援制度が十分に活用されるよう相談窓口を設置して対応するとともに、大幅に拡充した県制度融資による資金繰り支援などにより、中小企業者の事業が継続されるよう取り組んでまいりました。 本県においても、変異株の影響等により感染拡大が続き、五月十八日から感染拡大防止集中対策を実施し、外出機会の半減を広く呼びかけたことから、事業活動への影響が大きくなっており、また、飲食等の団体から要望を頂いたところです。 こうした状況や、国の事業者支援に向けた交付金の配分などを踏まえ、今回の補正予算において、事業者の不安を払拭し、事業継続や事業活動の活性化を図るための大胆な事業者支援を実施することとしています。 次に、まちづくり、商店街、飲食店の存続などの課題に、県も主体となって取り組むべきとのお尋ねです。 まちづくりや商店街振興等については、地域の実情に詳しい市町が中心的な役割を担うべき課題ですが、地域で活躍する中小企業、小規模事業者は、本県経済や雇用を支える上で重要な役割を果たしていることから、県としても、広域的・補完的・専門的な見地から、事業継続や新事業展開などの支援を行っています。 こうした趣旨から、今回、県独自の支援金の支給や、商店街が行うイベント開催等への支援を行うとともに、消費需要の喚起に向けて、クラウドファンディングを活用した様々な店舗の応援など、昨年を上回る規模で事業を実施することとしています。 次に、水素の活用に向けた研究開発の支援についてお答えします。 国においては、グリーン成長戦略を策定し、十四の重要分野の一つである水素・燃料アンモニア産業において、水素をカーボンニュートラルのキーテクノロジーに位置づけ、その利用、輸送・貯蔵、製造の取組を進めることとされています。 県では、こうした国の動きと連携を図りながら、大量かつ高純度の水素を生成するという強みを生かし、水素先進県を目指した取組を展開することとしています。 具体的には、県産業技術センターに設置したイノベーション推進センターにおいて、再生可能エネルギーによる水素生産設備など、水素に係る先進的な技術開発・事業化を促進しています。 また、産業イノベーション促進補助金について、早期にシーズを発掘し、研究開発や事業化の段階に応じてシームレスに支援する補助制度に今年度拡充したところであり、この補助金を活用し、持続的なイノベーションを創出します。 さらに、国が創設したグリーンイノベーション基金の活用を図るためのコーディネート機能を創設したところであり、専門家による助言等を通じ、県内企業の低炭素技術開発等の取組を支援してまいります。 県としては、水素先進県の実現を目指し、引き続き、水素の活用に向けた研究開発への支援に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)建設労働者への適切な賃金水準の確保についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、建設労働者への適切な賃金水準を確保するため、毎年、公共工事設計労務単価を適切に見直すとともに、県内の建設関係団体に対し、建設労働者への適切な水準の賃金の支払いや、適正な額での下請契約の締結などについて要請しています。 加えて、県が発注する全ての工事等においても、入札参加者に同様のお願いを行っているところです。 こうした取組により、実態調査に基づいて決定された設計労務単価の平均は、九年前と比べ四割以上上昇していることから、全体的には建設労働者の賃金水準は向上しているものと認識しています。 なお、賃金の引上げができていない企業も一部見られることから、県としては、引き続き、建設労働者への適切な賃金水準が確保されるよう、こうした取組を行ってまいります。 次に、上関原発建設計画についてのお尋ねのうち、一般海域占用許可に関する数点のお尋ねにお答えいたします。 まず、発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、不必要となるかもしれないボーリング調査は、社会経済上必要やむを得ない場合とは言えないとの御指摘についてです。 このたびの申請では、海上ボーリング調査について、原発の安全審査に万全を期すために実施するとの事業者の説明に合理性があることが認められ、申請内容が条例の許可基準に適合していることから許可したものです。 次に、今回の許可処分についてどのような検討をしたかとのお尋ねのうち、利害関係人の同意が得られていないとの御指摘についてです。 このたびの申請では、利害関係人である山口県漁業協同組合の同意が得られており、御指摘は当たりません。 次に、占用許可の基本方針の五に対する検討が十分ではないとの御指摘についてです。 このたびの申請では、掘削に伴う濁水流出防止対策等を実施することとなっており、また、ボーリング調査がごく限られた範囲で、かつその期間も限定されていることなどから、自然的及び社会的環境を損なわないと判断し、許可したものです。 副議長(二木健治君)三浦商工労働部理事。 〔商工労働部理事 三浦健治君登壇〕 商工労働部理事(三浦健治君)上関原発建設計画に関するお尋ねのうち、ボーリング調査に関する知事の考えについてお答えします。 二〇一九年七月に行った要請における埋立工事とは、あくまでも、埋立地の造成に直接必要な工事等、公有水面埋立法による埋立工事のことです。 今回のボーリング調査は、原子炉設置許可申請に係る国の審査を念頭に置いた、データ補強のために行われる地質調査であり、埋立工事の範疇外であることから、調査をしないよう要請することは考えていません。 副議長(二木健治君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)上関原発建設計画のうち、原子力災害における避難計画に関する四点のお尋ねについてお答えします。 まず、伊方発電所に係る地域防災計画の原子力災害対策編の課題とその対策についてのお尋ねです。 原子力災害においては、地震等の自然災害が同時に起こることも想定される中で、いかに住民を適切に避難させるかが課題であると考えています。 上関町が策定する避難行動計画においては、国から避難の指示が出た場合、上関町八島から、町の定期船や漁船により、住民を島外に避難させることとしていますが、お示しの荒天時など、町での対応が困難な場合は、自衛隊や海上保安庁の船舶やヘリによる支援体制を整えているところです。 次に、上関原発建設計画に係る避難計画についての、専門家による検討と訴訟に備えた検証についてのお尋ねにまとめてお答えします。 原子力災害時における住民の避難につきましては、法令等に基づき、関係する地方公共団体が地域防災計画の中で、避難計画を定めることとされています。 避難計画については、一般的に、原子炉設置許可以降、運転開始までの間に建設される原子力発電所の具体的な施設・設備の状況や、原子力事業者の防災体制等を踏まえ、国の原子力災害対策指針等に沿って策定することとなっており、現時点、避難計画を検討する段階にありません。 副議長(二木健治君)戸倉多香子さん。 〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) 戸倉多香子さん 再質問させていただきます。 知事から中小企業の支援について、いろいろと温かいお言葉がありました。一刻も早く実施していただきたいと思いますが、中小企業の申請方法などについては、担当職員さんたちがしっかり検討してくださっていると思いますが、支援策の内容を県民に分かりやすく知らせるための取組も、もっと工夫がいると考えています。 県や市のホームページへのコロナ関連の支援策の掲載については、担当する方がどれだけ県民や市民の側に立って考えてくれているかが一目瞭然なので、もっともっと努力をお願いしたいとちょっと思ってしまいます。 一例ですが、北九州市の支援策の表示は、国、県、市の支援策も分かりやすく網羅されていて、支援策の受付の終わったものには、この受付が終了しましたと赤字などで表示されていて、本当に分かりやすいと友達が教えてくれました。 事業者向けだけでなく、子育て世帯や独り親世帯や学生などの個人向けの支援制度なども網羅されていますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。 いろんな申請の方法も簡素にやってくださるということですので、いろいろ細かいこと申し上げないんですが、利用される中小企業者の側の視点で取り組んでいただきたいと思いますので、コロナ対応で大変な中で取り組んでこられた、国や市の、含めたコロナ関連の支援事業の中で出てきた課題と対応策がございましたら、どのようにお考えかお尋ねしたいと思います。 これらの支援策は、金額の多い少ないについても評価は分かれると思いますけれども、これまで税金や社会保険料の支払い猶予を受けている方にとっては、その納付額の一部にしかならないという声も頂きました。 また、返済猶予を受けて運転資金の借入れをしている方にとっても、返済期間が近づいてくる不安の解消にもつながらないと考える方もあるようです。それでも、このコロナ禍をどうにか乗り越えて、もう一度頑張っていきたいと考える県内中小企業者や小規模事業者の方の心を揺さぶり、勇気づけるものとなると私は感じました。とにかく、一刻も早く各支援策の申請の受付が始められるよう、準備を急いでいただきたいと思いますので、これは要望しておきます。 これまでの質問でも何度も言っておりますが、消費税増税や新型コロナウイルス感染症拡大の影響の前から、中小企業の経営状況は悪化していたということをデータが示しておりました。このことを忘れずに取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 それから、水素の関連のお話がありましたけれども、シンポジウムのお話をしました。日経新聞でしたか、水素の還元のシンポジウムで、川崎市長とか神戸市長がパネリストとして出ていらっしゃいました。 この山口県の強みを生かした水素のことですから、ぜひ村岡知事もそういう機会があったらどんどん出ていただきますように、そして声がかかるように、担当の職員さんたちはどんどんいろんなところに発信していただきたいと思います。周南市でも、担当の方のところにすごく取材があるようです。いろんな誤解もあるので、ちょっと注意をしたというようなことも、この前のことでお聞きしましたけども、水素は本当に注目されているということを、私も、この山口県の議会の中で水素女子として頑張って発信していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。これは要望でございます。 それから、一般海域の占用許可、合理性があるということだったんですが、この間、一回目と二回目にボーリング調査できてないんですよね。その理由としては、そこでなりわいとして漁業やってらっしゃる方々が迷惑を受けるという状況の中で、できなかったんだと思いますので、その方々はもう既に一回目、二回目を見れば、利害関係人と言えると私は思います。 そのことの同意書もつけなければ、説明もないまま工事に、工事じゃなくてボーリング調査ですか、入るというのはちょっと納得がいかないので、おかしいと思いますが、もう一度これは、合理性があるというのは百歩譲ったとしても、利害関係人の同意についてはあれでいいと判断された理由について、もう一度お聞きしたいと思います。 それから、避難計画です。 すばらしい裁判の結果が出たので、原発訴訟に取り組んでいる方々はすごく勇気づけられたんですけれども、私、一点、ちょっとお尋ねしたいのが、上関の八島ですけど、五キロから三十キロに当たる方々は屋内退避だと思っておりましたが、船で避難するというふうに言われたので、これはこれで大問題だと思います。被曝をしながら船で移動するということになると思いますので、大問題だと思いますが、屋内退避ではないのかどうかをお尋ねしたいと思います。 先ほど申しました、上岡直見先生は、屋内退避について問題点を指摘されているのは、原子力災害対策指針が後退したということを言われています。 二〇一二年十月に原子力災害対策指針が制定されて、五キロから三十キロ圏内の考え方が取り入れられたというふうに書いてらっしゃいますが、最初の制定された頃は大変厳しく、避難をみんなしなきゃいけないというふうになってたんだけれども、実際にやってみると到底できないと、避難できないということで、その避難を屋内退避ということにしたんだということで、この屋内退避という考え方は大変問題じゃないかということを上岡直見先生が言ってらっしゃいますが、以前、たしか天候が悪いときに、屋内退避なんだから大丈夫だというようなことを聞いたことがあったんですが、それはどのようにお考えなんでしょうか。 屋内退避の困難性については、熊本地震のときなんかも、家屋の倒壊や損傷によって、逆にすごく危険だというようなことも指摘されています。そういったことについて、もう一度、災害の、伊方原発に対する避難計画について万全なのか、本当にちゃんと被曝しないで避難できるのかについて、県のお考えをお聞きします。 もう一点指摘されているのは、避難した後どうなるのかということを言われています。普通の災害と違って、原子力災害における避難とは、第一義的には被曝を避けることが目的ではありますが、単に一定距離圏外に脱出すれば済むというわけではないと、避難後の生活をどうするのか、いつ戻れるのかといった点については、福島事故に関してもまだ解決していないということです。 避難者の社会的・経済的な負担はよく知られているとおり、ほとんど回復不能なほど深刻である、住民が避難あるいは屋内退避が指示された状況では、現地で営業する飲食店なんか、それこそ町の歴史をつくってきた、そういった店舗なども成り立たない、こういった状況の原子力災害の特別な、特色があると思いますが、こういったことについての視点は、県ではどのようにお考えでしょうか。避難した後の計画、どのようにお考えかお尋ねいたします。 それから、先ほど御紹介しました村上先生は、二〇二〇年十二月の上関大橋の事故によって、上関原発が長島という離島に建設計画されていることが改めて注目されることになったというふうに書いていらっしゃいます。 そして、原発ができれば、地震や津波、火山噴火、テロ攻撃など、原発事故のおそれがあって、非常事態には住民の安全避難計画が欠かせない、上関大橋や大島大橋が地震等で損傷するおそれも高い中、高齢者も多い全町民の迅速な避難には非常な困難が予想されると、貸切りバスのことやいろんなこと、交通の関係も指摘されています。 これは、上関原発についての避難計画のことですが、こういったこともちゃんと検証すべきだと思うんですね。ほかの所は全部既存の原発ですけども、まだ出来てない、初めてのことを、予防の観点から検証すべきだと思っています。 屋内退避では、五キロ以内ということも上関ではありますので、ぜひそのことを原子力災害における避難計画について、前もって検討してみることが必要ではないかと思いますので、もう一度、県にそのお考えについてお尋ねして、再質問とさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手) 副議長(二木健治君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)中小企業の支援策についての再質問にお答えします。 支援金の制度構築に当たりましては、国や他県のホームページ等を通じて、制度の概要を入手ということに加えまして、直接照会も行いながら、課題等について把握をしているという状況でございます。 短期間で広範な周知が必要となること、それから申請書類が複雑となってしまうこと、より支給の早期化が求められることなどの課題があるというふうに考えております。 このため、支援金の実施に当たりましては、こうした他県の事例、課題等も参考としながら、周知方法の工夫をはじめ、手続や書類の簡素化・効率化を図り、コロナ禍により影響を受けている中小企業の皆様に、支援金の給付がより早くお届けできるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。 副議長(二木健治君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)上関原発建設計画について、一般海域占用許可に関する再質問にお答えいたします。 自由漁業者を利害関係人でないと判断した理由は何かとのお尋ねについてです。 一般海域の占用許可に当たっては、一般海域の利用に関する条例の施行規則により、利害関係人の同意書の添付を義務づけています。県では、利害関係人は占用区域において、排他・独占的な権利である漁業権を有する者としていることから、自由漁業者を利害関係人とは考えていません。 副議長(二木健治君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)原子力災害における避難計画についての再質問にお答えします。 まず、上関町八島について、原則屋内退避ではないのかという御質問でございます。 原子力災害対策指針におきましては、全面緊急事態となった場合、UPZ内の住民、もうこの場合、上関町八島の住民ということになりますが、屋内退避をすることによって、放射性物質ですとか、放射線の影響を低減することとなります。 先ほど御答弁申し上げましたのは、国から避難の指示が出た場合、つまり放射性物質が環境中に放出された後のモニタリング等によって、国から避難の指示が出た場合につきまして、八島から、町の定期船ですとか漁船によって住民を島外に避難させるということになります。 また、屋内退避の問題について御指摘がございました。地震があって建物が倒壊するようなこともあるのではないかというようなことであったかと思いますけれども、そういった、その家屋の倒壊等によって屋内退避ができない場合ですとか、後はその事故の状況等によって屋内退避が長引くような場合、このような場合につきましても、先ほど申し上げましたような、島外への一斉避難を検討することになるものと承知をしております。 それから、避難した後の、どうするのかというような御質問ございました。 これは、避難された後に必要な対応、ヨウ素剤の配付ですとか、あるいは除染、後は必要な生活支援等の取組がなされるものと考えております。 それから、上関原発に関しまして、前もって予防の観点から避難計画、検証すべきではないかというようなお尋ねでございます。 先ほども御答弁申し上げましたけれども、避難計画につきましては、一般的に原子炉設置許可以降、運転開始までの間に建設される原子力発電所の具体的な設備の状況ですとか、原子力事業者の防災対策等を踏まえ、国の原子力災害対策指針等に沿って策定することになっており、現時点、避難計画を検討する段階にはないというふうに考えております。 なお、他県に立地する原子力発電所における原子炉設置許可から運転開始までの期間は五年程度でございまして、他県においても、地域防災計画あるいはその避難計画につきましては、原子炉設置許可から運転開始までの間に策定をされているものと承知をしております。 副議長(二木健治君)戸倉多香子さん。 〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) 戸倉多香子さん 再々質問させていただきます。 部長より、一般海域の占用許可に、利害関係人としては自由漁業の方は必要ないということでした。許可漁業、自由漁業ということでしょうけれども、このことはまた、中嶋県議もまた御質問してくださると思いますので、あんまり深く言いませんけれども、一回目、二回目に、なぜボーリング調査ができなかったんでしょうか。そのことをどのように分析されているのか。 そこでできなかった理由に、私たちはそこで漁業をやってらした方々がいらっしゃったからではないかと私は思うんですけれども、県ではどのようにボーリング調査ができなかったのか、一回目の占用許可でも二回目の占用許可でもボーリング調査ができなかったのか、そのことについて県ではどのように受け止めていらっしゃるのか。 先日の住民団体の申入れのときには、ちょっと実質的な内容と離れた内容、ちょっと忘れてしまったんですけれども、ちゃんとした答えではなかったので、なぜ一回目と二回目、天候だけの理由じゃないと思うんですよね。なぜできなかったのか、そのことをどのように捉えていらっしゃるかお聞きしたいと思います。 実質な利害関係人にちゃんとした説明ができてないままに進められたからできなかったんじゃないんですか。そのことを解消しないままに、今回、また三回目のボーリングの調査の許可を出したということは問題があると思いますので、そのことについて、県のお考えをお聞きします。 避難計画についてです。 二〇一七年の六月に行われた上岡直見先生の原子力災害における避難計画に関する学習会で習っていたんですが、今回、裁判の結果が出たので、その内容をちょっと振り返ってみたんですけれども、伊方原発と山口県の関係は、青森県の大間町ですか、建設中の大間原発と海峡を挟んだ北海道の函館市のような関係だと言われていました。 函館市は、市長が大間原発の差止め訴訟を起こしていらっしゃいます。上岡先生は、函館市からどうやって逃げるんだという意見書を書いてほしいという御依頼があったと話されていましたが、原子力災害対策特別措置法では、地方公共団体の責務として、原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事故対策の実施を義務づけられているのだから、山口県の自治体の首長からも、伊方原発の安心・安全についてはもっと主体的に発信していくべきではないかと話されていました。 この点については私も同感です。函館市は、まだ、建物とか施設は出来ているんだけど、きちんと原子炉の中身は入ってないということですから、一生懸命、首長さんが頑張ってらっしゃるので、市民の方々はやっぱり一緒に応援してらっしゃることがホームページにきちんと出ていました。山口県でも同じようなことになると思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。 さっき、避難計画が他県の状況で先にやったのはないということを、たしか、部長、言われたんですけれども、当然ですよね、全部既存の原発ですよね。山口県だけです、新設で今から、まだ建ってないのに、今からある計画は山口県の上関原発だけです。そのことについてどのように思われますか、検討してもいいんじゃないでしょうか、もう一度お尋ねします。 上岡先生ですけども、国の避難政策はできるだけ住民を動かさないという方針に変わってしまったと言うんですね。それと同時に、一たび緊急事態が発生すれば、現実的な時間内での安全な避難が可能とは思われない、すなわち住民の生命・財産を守るための最も懸命な選択は、原発の禁止であるというふうに書かれています。 私たちは、上関原発、今から計画がありますけれども、しっかりと止めていく、そのことで安心・安全を子供たちにつないでいきたいと思いますので、みんなで頑張っていきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)一般海域占用許可の再々質問についてお答えいたします。 御質問は、なぜ一回目、二回目、ボーリング調査ができなかったのかという御質問でございます。 事業者のほうからはスケジュールが大幅に遅れ、海象条件等から見て実施が困難となった、このため占用の許可の廃止の届けが出ているものと承知しております。いずれにしましても、県としては、利害関係人は占用区域において、排他・独占的な権利である漁業権を有する者としているところでございます。 副議長(二木健治君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)原子力災害における避難計画についての再々質問にお答えします。 まず、伊方原発の安心・安全について主体的に、自治体が主体的に発信していくべきではないかというようなお尋ねですけれども、伊方原発の安心・安全については、事業者である四国電力が主体的に発信されるべきものと考えております。 また、上関原発について、前もって避難計画を検討すべきじゃないかという再度のお尋ねですけれども、先ほども御答弁しましたとおり、原子力災害時における住民の避難計画については、一般的に原子炉設置許可以降、運転開始までの間に、国の原子力災害対策指針等に沿って策定することとなっており、現時点、避難計画を検討する段階にはないと考えております。