1 感染収束に向けたワクチン接種の加速化について 2 地域経済の好循環の実現について 3 産業競争力の強化について 4 デジタル改革の加速について 5 教育行政について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 守田宗治君。 〔守田宗治君登壇〕(拍手) 守田宗治君 皆さん、おはようございます。自由民主党の守田宗治であります。 令和三年六月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事及び教育長に質問をいたします。 質問に先立ち一言申し上げます。 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、国では内閣の総力を挙げて、感染防止とワクチン接種の加速という新たな挑戦に立ち向かっています。 中でも、ワクチン接種の加速化については、菅総理の強いリーダーシップの下、大多数の市区町村で七月末までに高齢者の接種を終える予定となるなど、着々と目に見える成果が上がっています。 また既に、国内で必要とされるワクチンの確保のめどが立ったことから、今月四日には調達が厳しい状況にある台湾にワクチンを提供することができました。 新型コロナに打ち勝ち、一日も早く安全・安心な日常を取り戻すためにも、引き続き、国と地方が一丸となってワクチン接種の加速化に全力で取り組んでいかなければなりません。 今月十一日、菅総理は、昨年九月の就任後初めて対面で開催されたG7サミットに出席され、普遍的価値を共有するG7として、国際秩序をリードしたいと決意を示されました。 特に、安全保障の分野においては、中国による東シナ海・南シナ海における一方的な現状変更の試みや、香港情勢や新疆ウイグル自治区における人権状況に深刻な懸念を表明され、首脳宣言では台湾海峡について明記されるなど大きな成果を上げたのであります。 また、来月に迫った東京オリンピック・パラリンピックについて、新型コロナウイルスという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを日本から世界に発信したいとの決意を表明されました。 その上で、感染対策の徹底、安全・安心な東京大会開催に向けた準備状況を説明され、全首脳から大変力強い支持を頂いたところであります。 コロナ禍を機に、グリーン・デジタル分野での変化や経済安全保障などの新たな課題が、世界全体の経済構造や競争環境を大きく、かつ急速なスピードで変えつつあります。 先日、閣議決定された骨太の方針二〇二一の中では、ポストコロナの持続的な成長につなげるため、グリーン化、デジタル化、地方の所得向上、子供・子育て支援を実現する取組を重点的に促進するとされています。 決して容易なことではありませんが、本県においても激動する世界の潮流を前に、もう後はないとの危機感を持って、いち早く地域経済を正常化させ、これらの変化に対処すべく、スピード感を持って最大限の政策対応を行っていかなければなりません。 我が自由民主党会派は、万全の感染症対策に加え、世界全体の急速かつ大きな変化に果断に対応し、県民一人一人が豊かさを実感できる地域社会の実現に向け、全力を挙げて取り組む決意であることを申し上げ、通告に従い質問をいたします。 最初に、感染収束に向けたワクチン接種の加速化についてお尋ねいたします。 四月以降、従来型のウイルスから、イギリス由来の変異型のウイルスへと感染が置き換わり、五月には、隣県の広島、福岡を含む九都道府県において、全国で通算三回目となる緊急事態宣言が発令されるなど、爆発的な感染の再拡大が発生しました。 従来型の約一・三倍の感染力を有するとの研究結果が出ている、この変異株は、比較的症状の軽かった若年層などにおいても重症化の傾向が見られるなど、これまで以上に脅威のウイルスとなっています。 本県でも、ほぼ全ての感染者が変異株による感染に置き換わる中で、四月以降、県内の複数の地域においてクラスターが多発し、これまでで最大となる第四波の感染拡大が発生しました。 特に、五月の大型連休後には、感染状況を示す指標のうち、確保病床使用率と十万人当たり療養者数について、一時は最も深刻とされるステージ四の基準に達し、医療提供体制に非常に負荷がかかっている危機的な状況となりました。 県の集中対策の実施と、医療従事者をはじめとした関係者の皆様の御尽力により、この第四波は収束に向いつつありますが、国内においては、この変異株よりさらに一・五倍の感染力を有するとも言われている新たな変異株の感染者の発生が確認されております。 この新たな変異株については、現時点で県内では確認されていないものの、予断の許さない状況が続いています。 こうした中、新型コロナウイルス感染症を防止し、収束させる切り札とされ、県民からも大きく期待されているのがワクチン接種です。 このため我が党としても、希望する全ての県民がワクチンを早期に接種できるよう、五月の菅自民党総裁とのリモート対話において、確実な供給スケジュールを早期に提示されるよう要請したところであります。 また、今月三日、県民生活の安全・安心を守るための集団免疫の獲得に向けたワクチン接種のさらなる加速化と、社会の安定維持の観点から、現場の最前線で治安維持や防災対策等を担っている警察や消防の職員についても優先接種の対象とし、早期のワクチン接種を進めるよう県に要請をしたところであり、しっかりと取り組んでいただきたいと考えています。 本県においては、今月、接種を希望する全ての医療従事者の接種を完了し、五月から本格的に接種が進められている約四十六万人に対する高齢者接種についても、市町、関係機関との連携の下、積極的に取り組まれており、全国上位の接種率で進行するなど、大変心強く感じています。 現在、県では三か所の大規模接種会場を設置し、ワクチン接種を進めておられますが、今後は一日でも早い高齢者のワクチン接種完了と、一般接種に向けて、市町、関係機関と連携した接種体制の一層の整備や、企業や団体等における職域接種を推進し、ワクチン接種を加速化させることが重要であります。 そこでお尋ねをいたします。県民の命と健康を守るため、新型コロナウイルス感染症収束に向けたワクチン接種の加速化について、県では今後どのように取り組まれるのか、接種完了の今後の見通しも含め、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、地域経済の好循環の実現についてお尋ねいたします。 年末年始に続き、四月以降は感染力の強い変異株による感染再拡大により、幾度となく緊急事態宣言が発出されるなど、我が国経済は依然として厳しい状況下にあります。 県内においても、一部では海外経済の改善を背景とした生産の持ち直しや巣籠もり需要といった持ち直しの傾向は見られるものの、感染再拡大による外出自粛の広がりの影響を受けた飲食や宿泊、運輸を中心とする対面サービス業は、完全に取り残された状況となっており、業種ごとに景気持ち直しの動きが二極化しているのが実態です。 現在も感染再拡大による自粛ムードから、職場での飲み会など団体利用に加え、少人数での利用も控える動きが続いており、飲食店の売上げは、大幅に減少しております。 事業者からは、利用客が激減する中、家賃や光熱費等の固定経費の問題もあるため、店を閉めることもできず、開けても閉めても地獄といった声まで聞かれる状況であります。 当然のことながら、飲食店のこうした状況は、その取引先である納入業者や食材・酒類の生産者などの経営にも重大な影響を与えています。 観光業においても、コロナ禍によるインバウンド需要の消失に加え、国内旅行需要も下振れしているため、ホテル等の宿泊業者、タクシーやバスなど交通事業者や土産物店等、業界全体で大きな打撃を受けています。 なお、交通事業者は、観光面だけではなく地域住民の生活交通としても重要な役割を果たしており、一旦、不採算路線の廃止や事業の縮小を行えば元に戻すことは困難となるため、より影響は大きいものとなります。 今月二十一日の帝国データバンク発表によると、全国での新型コロナウイルスの影響を受けた倒産千六百三十件のうち、飲食店は二百六十八件と他の業種に比べ圧倒的に多く、また、ホテル・旅館は、九十七件と資金繰り支援による倒産回避が図られる中、相当数の企業が倒産に追い込まれており、その深刻さがうかがえます。 地域経済の民需主導の好循環を実現するためには、こうした苦境に立たされる業種をしっかりと支援していくことが必要であります。 そこでまず、県内経済の下支えに関してお尋ねいたします。 目下の最優先事項として、疲弊した事業者の事業継続を支援しつつ、感染防止対策の徹底を図ることにより、事業者と消費者双方の不安を払拭することが必要です。 こうした中、追加で措置された都道府県向けの地方創生臨時交付金を最大限活用し、こうした事業者への支援を今回の補正予算に計上されたことを高く評価します。 苦境に立たされる中、事業を継続し、感染防止対策への取組をはじめ、コロナ禍に対応した事業活動に積極的に取り組み、一歩でも二歩でも前へ進もうとする事業者は多くおられます。そうした事業者に寄り添い、しっかりと支援することが、本県経済の下支えにつながると思うのであります。 そこでお尋ねいたします。疲弊する事業者の事業継続と事業活動の活性化に向けた支援について、県は今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 二点目は、感染の収束後を見据えた需要喚起についてです。 事業者自身における感染防止対策の強化や、コロナ禍により新たに生じた消費者ニーズなどに対応した新たな需要の獲得に向けた積極的な取組はもちろんのこと、そうした努力も利用者が戻らなければ報われません。 そのためにも、感染再拡大により広がる自粛ムードを打ち払い、需要の呼び水となる支援策の実行が不可欠であります。 感染拡大の波も一旦落ち着きを見せ、感染拡大防止集中対策が解除された今、官民一体となった本県独自のさらなる需要喚起策を大規模に展開し、民需主導の力強い本県経済の回復を図ることが重要であると思うのであります。 そこでお尋ねします。感染再拡大により疲弊した本県経済を回復の軌道に呼び戻すため、感染収束後を見据えた需要喚起について、県は今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、産業競争力の強化についてお尋ねします。 県では、昨年度、やまぐち産業イノベーション戦略を改定され、製造業におけるデジタル化や、コンビナート連携の促進などにより、コロナ禍を経た社会変革にも対応しながら、本県の産業競争力のさらなる進化を図ることとされました。 繰り返し申し上げているように、産業力は本県の活力の源であり、ポストコロナの経済社会を見据えながら、その競争力の強化にしっかりと取り組んでいかなければなりません。 先日、閣議決定された国の成長戦略においては、デジタル、グリーンを成長の原動力とし、積極的な成長戦略を進めることで、民間の大胆な投資とイノベーションを促すとされています。 本県においても、デジタル化を推し進め、コロナ以前からの課題であった生産性の向上や、新たな付加価値の創出を図ることで、産業競争力をさらに高めていくこととしており、この取組はさらに加速していかなければなりません。 他方、菅総理は、昨年十月に宣言された二○五○年カーボンニュートラルの方針に沿って、温室効果ガスの排出を二○三○年度までに十三年度比で四六%削減すると表明されました。これまでの目標を七割以上も引き上げる、極めて野心的なものであります。 本県は、全国でも有数の工業県であり、世界的にも高い国際競争力を持った基礎素材や、自動車・船舶などの製造業の集積と、それを支える石炭火力による自家発電を中心とした、安価で安定したエネルギー供給が、産業力の基盤ともなっていることは言うまでもありません。 しかしながら、こうした構造ゆえに、本県の産業部門が温室効果ガスを多く排出する結果となっているのも事実であり、国の削減目標の引上げが本県産業に与える影響は極めて大きなものがあります。 また、国が徳山下松港と宇部港で進めている国際バルク戦略港湾の取組についても、県としても産業基盤の核として位置づけ、石炭輸入の西日本の拠点化に向けて、その機能強化に取り組んでいるところですが、同時に、カーボンニュートラルによる中長期的な石炭需要の変化や、その影響についても十分に見極めながら進めていくことが必要であります。 カーボンニュートラルは、今や国際的な潮流であり、将来世代に安心で豊かな地域社会を引き継いでいくためにも、国全体として取り組まねばならない大きな課題ですが、地域ごとに異なる産業構造や実情を踏まえ、その国際競争力や地域雇用が維持されるように配慮しながら進めていくことが不可欠であります。 国の進める取組が、こうした本県の実態も踏まえたものとなるよう、我が自民党県連としても、先日行われた党本部との意見交換において、菅総裁に直接申し述べたところであります。 一方で、国の成長戦略において、水素や燃料アンモニア産業が成長分野として位置づけられたことは、本県にとって大きなチャンスでもあります。水素先進県の取組による蓄積や化学プラントが集積する特性を最大限に生かし、新たな成長を生み出す鍵ともしていかなければなりません。 るる申し上げましたが、産業界を取り巻く競争環境は、二○五○年カーボンニュートラルの実現に向けて大きな変化を見せており、その影響は本県においても多岐にわたります。 県議会では、こうした本県産業への影響に対する対応方策を調査検討するため、新たな特別委員会を立ち上げるよう調整が進められているところですが、我が会派では、こうした取組の必要性について、これまでも強く訴えてきたところであります。 こうした変化の中にあっても、県内企業が山口県を地盤として成長し続けられるよう、県としても迅速に対応していかなければならないと思うのであります。 そこでお尋ねいたします。産業界が直面するカーボンニュートラルに伴う変化に対し、本県の産業が今後も国際競争力を維持し、さらに伸ばしていくために、県においては、どのように対応していこうと考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、デジタル改革の加速についてお尋ねします。 デジタルの力によって本県の新たな活力を創出していくべきであるとの我が会派の提言を受け、県では今年度、デジタル推進局を新たに創設し、デジタル改革基本方針に基づく取組のスタートを切られたところであります。 早速四月には、民間の第一線で活躍するCIO補佐官との意見交換を行われ、これを皮切りに市町との連携会議の開催や、AI人材の育成、さらにはマイクロソフト米国本社副社長との意見交換など、改革の推進に意欲的に取り組んでおられると承知をしております。 さらに、五月二十日には、台南市議会と県議会との友好協定締結式が行われましたが、デジタル推進局のサポートもあり、オンラインにより円滑に協定を締結するに至りました。コロナ禍で往来が困難であっても、物事を前に進めていけるデジタルの可能性を改めて実感したところであります。 国においては、今年九月にデジタル庁が新たに発足することが決まり、さらに骨太の方針二〇二一においても、デジタル化を次なる時代の成長の源泉と位置づけ、官民挙げた取組を加速するとされています。 本県としても、優れた技術を持つ県内外の民間企業とも幅広く連携を図り、官民が一体となってデジタル技術を活用することで、様々な分野におけるデジタルトランスフォーメーションを推進し、県民の暮らしを豊かで便利なものとしていく、そうした新たな取組にひるむことなく挑戦していただきたいと思います。 加えて、国が今後五年間で一気呵成に進めるとされるデジタル時代の官民インフラ構築とも緊密に連携をし、行政におけるデジタル化の推進、さらには情報インフラ整備や人材の育成といった改革の基盤となる取組にもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 知事におかれては、県全体の改革を力強く牽引することはもちろん、本県の取組が、地方におけるデジタル改革のモデルともなるよう、先頭に立って基本方針に掲げられた三つの柱の取組を迅速かつ着実に前に進めていただきたいのであります。 そこでお尋ねします。「活力みなぎる山口県」の実現に向けて、デジタル改革の加速を図るべく、改革の初年度としてどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、教育行政についてお尋ねします。 現在の子供たちを取り巻く環境は、これまでの人口減少、少子高齢化の進行に加え、AI、ビッグデータ、IoT等の先端技術の高度化によるSociety5・0時代の到来など、社会の在り方そのものを含め大きく変化しています。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、本県の県立学校においても、昨年の三月から約三か月もの休校を余儀なくされ、現在も学校現場において休校が散見される状況にあります。 こうした中、国の中央教育審議会では、新しい時代の初等中等教育の在り方について議論がなされ、本年一月に令和の日本型学校教育の構築を目指してと題した答申が取りまとめられました。 そこでは、急激に変化する時代の中、学校教育にも、一人一人の児童生徒が自分の良さや可能性を認識するとともに、多様な人々と協働しながら社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開いていくための資質・能力を育成することが求められるなど、これから目指すべき学校教育の姿が示されたところであります。 こうした時代の転機にもなり得る教育環境の中、本県においては、本年四月、繁吉新教育長が就任されました。 これまで、県教育委員会では、未来を拓くたくましい「やまぐちっ子」の育成という教育目標を掲げ、県立高校の通学区域全県化、全ての公立学校へのコミュニティ・スクールの導入、児童生徒への一人一台のタブレット端末の整備など、社会情勢の変化に対応しながら、必要とされる取組を進められてきたところでございますが、今後もさきの答申も踏まえ、将来を見据え、本県教育を推進していくことが求められております。 とりわけ、高校改革の推進に関しては、先日、県立高校将来構想に係る検討協議会を設置され、その議論を開始したと伺っておりますが、県内の少子化に歯止めがかからない中、改めて中長期的な視点から、令和の時代にふさわしい本県高校教育のあるべき姿について検討され、その方向性を示されることを期待しております。 また、変異株の流行など引き続き予断を許さない状況において、今後、全国高校総体、総合文化祭や修学旅行等の校外活動の実施に当たり、子供たちが安心して参加できる環境整備にしっかりと取り組むことも必要であります。 加えて、教職員の人材育成や働き方改革など多くの課題が山積しておりますが、繁吉新教育長には強力なリーダーシップを発揮していただき、本県教育の発展に向けて積極的に取り組んでいただくことを期待しております。 そこでお尋ねします。伝統ある山口県の教育を受け継ぎ、これまでの豊富な行政経験を生かしながら、本県教育の推進に今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いしまして、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)守田議員の代表質問にお答えします。 まず、感染収束に向けたワクチン接種の加速化についてのお尋ねです。 本県の感染状況については、五月の連休明けから新規感染者が急増し、医療提供体制の逼迫など厳しい状況となりましたが、県民の皆様の感染予防対策の徹底のおかげをもちまして、感染者数も落ち着いてきたところです。 しかしながら、全国的に新たな変異株の影響が懸念されるなど、引き続き感染リスクは私たちの身近に存在をしており、感染の拡大に予断を許さない状況が続いています。 こうした厳しい局面を打開するためには、私は、感染防止対策の切り札として期待が高い新型コロナワクチン接種を促進することが、極めて重要であると考えています。 本県においては、既に、医療従事者への接種が終了し、高齢者の優先接種についても、全国上位の水準で順調に推移するなど、七月末には全ての市町で接種が完了する見込みであり、今後、一般県民への接種が本格化してまいります。 このため、私は、希望する全ての県民が一日も早く、安心・安全にワクチン接種を受けることができるよう、先般、県内十九市町長との会議を開催し、本県独自の優先接種や接種完了時期の設定など、県下共通の方針の下、一丸となって取り組むことを確認したところです。 優先接種については、県民の安心・安全な暮らしを守る観点から、先般御要望頂いた警察・消防職員を対象とするとともに、子供や障害のある方が安心して生活できるよう、小中高生や障害児・者はもとより、教職員、保育園、児童福祉・障害者施設の従事者等も含め対象としました。 また、接種完了時期については、九月末までに全国民分のワクチンが国から供給されることを前提に、インフルエンザ流行前のおおむね十月末までを目途に、希望する県民の皆様の接種を完了させることを本県の目標としたところです。 目標の達成に向けては、ワクチン接種の一層の加速化を図ることが重要であり、私は今まで以上に、接種が促進されるよう接種能力のさらなる強化に取り組むこととしています。 まず、市町の接種体制を補完するため、県による広域的な集団接種会場を県内三か所に設置し、先週の土曜日から接種を開始したところであり、接種完了目標の十月末までの毎週土日、一日当たり最大千五百人規模の接種を実施してまいります。 また、企業等での職域接種を促進するため、庁内に職域接種サポートチームを設置し、相談対応を行うとともに、直接、事業所を訪問して、実施に向けた調整を行うことにより、これまで六十件申請があり、今月二十一日から順次接種が開始されています。 さらに、接種体制のさらなる拡充に向けては、接種の担い手となる医療従事者の確保が必要となることから、関係機関と連携しながら、医師の確保に加え、歯科医師や潜在看護師、薬剤師の皆様の専門性に応じて、接種の支援体制を構築したところです。 私は、一日も早く、安心した日常生活を取り戻すことができるよう、市町や関係機関とのさらなる連携の下、新型コロナワクチン接種を促進するとともに、県民の命と健康を守ることを第一に、引き続き緊張感をもって新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでまいります。 次に、地域経済の好循環の実現についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、県内経済の下支えについてです。 新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、飲食業や観光関連産業を中心に売上げが大きく減少するとともに、その影響は取引のある業者や生産者など、関連する多くの業種に広がっているなど、県内経済への影響は深刻さを増しています。 こうした厳しい状況を克服していくためには、ワクチン接種などの感染対策の実施と、事業活動の継続・活性化を両立し、県内経済を段階的に引き上げていくための支援を機動的に進めていく必要があります。 このため、私は、このたびの補正予算において、多大な影響を受けている県内事業者に寄り添い、事業活動の継続を支援するとともに、コロナ禍においても新たな事業展開を図る事業者の取組を促進することとしています。 具体的には、まず、事業者が安心して事業活動を継続できるよう、業種にかかわらず売上げがコロナ禍以前と比較して三○%以上減少した中小事業者に対し、県独自の支援金として、法人には四十万円、個人には二十万円を支給します。 また、売上げが減少した中小事業者に対する新たな補助制度を創設し、CO2センサーやテイクアウトの導入など、感染防止対策やコロナに対応した事業展開を促進します。 さらに、飲食事業者に向けては、消費者が安心して利用できるよう、感染防止対策に関する新たな認証制度を創設し、認証店に対しては二十万円の応援金を支給するなど、感染対策に積極的に取り組む飲食事業者の活動を支援します。 加えて、交通事業者に向けては、経常的に必要となる車両等の維持経費や、さらなる感染防止対策に要する経費を補助することとしています。 次に、事業活動の活性化が図られるよう、宿泊事業者に対し、従来よりも補助率や補助上限額を大幅に引き上げた支援を実施し、新たな旅行ニーズに対応した高付加価値化や収益力の向上等の取組を促進します。 また、越境ECを活用した海外での事業展開を促進するため、新規参入企業とバイヤーとの商談機会の提供や、県内企業の商品のプロモーション活動等を実施してまいります。 さらに、今後、事業者が取組を進めていく上では、変異株等による感染リスクも懸念されることから、安心して事業活動が行えるよう自主的に実施するPCR検査等の経費を支援してまいります。 私は、こうした他県と比べてもきめ細かく充実した事業活動の継続と活性化に向けた支援策を大胆に実施することにより、コロナ禍によって影響を受けている県内経済の下支えをしっかりと図ってまいります。 次に、感染の収束後を見据えた需要喚起についてです。 一年以上にわたる新型コロナウイルス感染症の影響により、本県においても、飲食業をはじめ、観光産業や農林水産業など、本県経済を支える幅広い業種において深刻な影響が生じています。 このような厳しい状況の中、私は疲弊した県内経済を早期に回復軌道に乗せるためには、コロナ禍で大きく落ち込んだ消費需要を、今後さらに強力に喚起していくことが極めて重要と考えています。 このため、県内における店舗等での消費喚起や、落ち込んだ観光需要の回復、さらに県産農林水産物の消費拡大など、様々な分野における需要喚起に向けた取組を積極的に展開していくこととしています。 具体的には、まず、県内店舗での消費喚起に向けては、クラウドファンディング方式により、消費者が応援したい店舗のプレミアム付きチケットを購入する取組について、プレミアム率を五○%に引き上げ、発行総額を十億円に増額するなど、昨年度から大幅に拡充して実施してまいります。 また、こうした取組に加え、各地域の商工会や商工会議所、商店街等が実施する消費拡大を図るためのイベントなどの取組を支援することとしています。 次に、観光需要の回復に向けては、これまでの取組の中で大きな効果を生んだプレミアム宿泊券について、本年四月の約三十万枚に続き、今後さらに約二十万枚を販売するとともに、新たにフェリー券五万枚を販売し、一層の需要喚起を図ることとしています。 また、このたび国が創設した地域観光事業支援を最大限活用し、県民を対象として五千円を上限に宿泊料金等の半額割引を実施するとともに、土産店や公共交通機関等で使用できる地域限定クーポンを発行する新たな割引キャンペーンを展開してまいります。 この割引キャンペーンについては、三十億円を超えるこれまでにない事業規模で実施することとしており、また、プレミアム宿泊券との併用による相乗効果も期待できる強力な需要喚起策として取り組むこととしています。 さらに、県産農林水産物の消費拡大に向けては、引き続き影響の大きい高級魚や日本酒、花卉等について、やまぐち食彩店などと連携し、前回を上回る延べ十六万人の割引キャンペーンを展開することとしています。 私は、今後とも感染状況や経済動向を見極めつつ、関係機関との緊密な連携の下、消費需要の喚起に向けた取組を、機動的かつ積極的に実施することにより、県内経済の早期回復と、地域経済の好循環の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、産業競争力の強化についてのお尋ねにお答えします。 国においては、二○五○年カーボンニュートラルの実現に向けてグリーン成長戦略を策定し、経済と環境の好循環を目指した産業政策を推進していくこととしています。 私は、こうした国の産業政策を本県経済の持続的な成長と発展につなげることが重要と考え、本年三月、やまぐち産業イノベーション戦略を改定し、本県の産業特性や強みを生かしたイノベーションの創出に取り組んでいるところです。 まず、環境・エネルギー、水素等の重点成長分野のさらなる成長・発展に向け、成長産業育成・集積プロジェクトを立ち上げるとともに、自動車関連産業についても、大手メーカー等との連携の下、電動化を見据えた新技術の創出等を推進しています。 また、国際バルク戦略港湾については、バイオマス輸入拡大を踏まえた当面のベースエネルギーの輸入拠点港としての整備を進めつつ、将来の水素・アンモニア利活用の進展を見据えたエネルギー供給拠点化への検討を国へ要望したところです。 こうした中、お示しのとおり、本県の経済と雇用を牽引する基礎素材型産業は、石炭を利用した自家発電による、安価で安定的な電力と蒸気の熱利用等により国際競争力を確保していますが、このために多くの二酸化炭素を排出する現状にあり、その削減は、本県産業が直面している極めて大きな課題です。 一方、二酸化炭素は、化学品や合成燃料等への利用が期待されており、本県コンビナートは、そのための高濃度化技術や設備を備えるとともに、二酸化炭素の吸収源となり得るセメント工場が立地するなど、資源として活用する基盤を有しています。 また、全国約一割を占める水素の生成や、三割に上るアンモニア生産量を誇っており、グリーン成長戦略において成長が期待される、水素・燃料アンモニア産業の振興へとつながる可能性を秘めています。 現在、コンビナート企業各社は、二酸化炭素の削減・利活用技術等の研究に取り組み、また、カーボンニュートラル宣言を行う企業も増えていますが、高度に最適化された製造工程でつながる各社が、競争力を維持しながら成長を続けるためには、目指す方向を共有し、一体となった取組を進めることが必要です。 このため、私が会長を務める山口県コンビナート連携会議を活用し、各企業との協働の下、カーボンニュートラルに対応したコンビナートの将来像を描き、その実現に向け、県議会の御意見も頂きながら、取組の方向性を示していきたいと考えています。 私は、国や関係機関等と緊密に連携しながら、カーボンニュートラルの実現を目指した企業の取組を強力に後押しし、本県の強みを生かした産業力の強化に全力で取り組んでまいります。 次に、デジタル改革の加速についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルスとの闘いが続く中、我々は、この感染症を必ずや克服するとともに、ポストコロナをしっかりと見据え、コロナ禍から生まれた社会経済の変化を未来に向けた持続的な成長へとつなげていかなければなりません。 その原動力となるのがデジタル化であり、私は、やまぐちデジタル改革基本方針に掲げた三つの施策の柱に基づき、県民一人一人が、これまで以上の豊かさと幸せを実感できるデジタル社会の実現を目指して、改革の取組を加速させる考えです。 まず、一つ目の柱であるやまぐちDXの創出に向けては、お示しのように優れた技術を有する企業等との幅広い連携が重要な鍵であり、様々な形で関係を築き、官民一体となったDXを推進していく必要があると考えています。 この考えの下、CIO補佐官からの助言も踏まえ、多様な主体の力を結集するための受皿として、このたび、官民協働フォーラム「デジテック for YAMAGUCHI」を立ち上げ、現在、広く会員の募集を行っているところです。 進取の精神にあふれる企業や団体、市民エンジニア等が、自由で開かれた活動の場に集い、地域課題の解決や新たな価値の創造に向けて、共に考え、共に挑戦し、そこからこれまでにはない成果が生まれ、県内外へと広がっていく。私は、そうした新たな手法で、本県ならではのDXの創出に取り組んでいきたいと考えています。 また、今年の秋に開設予定のやまぐちDX推進拠点をフォーラムの活動拠点とするとともに、NTTドコモとの5G活用に係る新たな連携協定により、拠点機能を一層高め、新たなソリューション等を生み出す高度な実証環境を提供することとしています。 さらに、台湾のオードリー・タンデジタル担当大臣との対談から得た行政と市民等が協働するシビックテックの考え方を取り入れ、県主導の全国初の取組として、県内外のスタートアップ企業等との連携にも積極的に取り組んでまいります。 そして、これらに併せ改革の基盤となる取組も迅速かつ着実に進めてまいります。 そのうち二つ目の柱であるデジタル・ガバメントやまぐちの構築については、県と全市町で構成する連携会議に、情報システムの標準化・共通化、行政手続のオンライン化、さらにはRPA等の共同利用に関するワーキンググループを設置し、既に具体的な検討作業が進行しています。 また、三つ目の柱であるデジタル・エリアやまぐちの形成に向けては、全国知事会のデジタル社会推進本部長として、光ファイバーや5G等のインフラが全国くまなく整備されるよう国に強く要請しているほか、デジタル人材を育成するためのAIやデータ活用プログラムの実施等にも取り組んでいるところです。 私は、本県のデジタル改革をさらに加速し、県民の皆様が希望に合ったサービスやライフスタイルを自由に選択できる、より質の高い「活力みなぎる山口県」の実現に向けて、全国に先駆けた取組に積極果敢に挑戦してまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育長に就任して、初めての答弁でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 教育行政についてのお尋ねでございます。 人口減少やSociety5・0時代の到来、また、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大など、社会の変化は加速度を増し、まさに、複雑で予測困難な時代を迎えています。 このように急速に時代が変化する中で、教育には子供たち一人一人が自分の良さや可能性を認識し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開いていく力を育成することが求められています。 国においては、本年一月の中央教育審議会において、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと、協働的な学びを実現する令和の日本型学校教育の構築を目指した答申が示されました。 私は、日本の教育が大きく変わろうとしている今こそ、これまで行政職員として様々な分野で培った経験や知識を生かしながら、伝統ある山口県教育をさらに充実・発展させることが、教育長としての私に課せられた責務であると考えております。 本県では、これまで全国に先駆けて、小学校から高校までの全ての公立学校において、コミュニティ・スクールの設置や児童生徒への一人一台タブレット端末の導入など、教育環境の整備を進めてきたところです。 私としては、この二つの優れた環境を最大限に生かし、本県の誇る地域教育力日本一の取組をさらに充実させるとともに、これまで蓄積してきた教育実践と最先端の技術を最適に組み合わせながら、子供たちの可能性を広げる学校づくりを推進してまいりたいと考えています。 特に、お示しの高校改革については、これからの本県教育において極めて重要な課題であることから、十年後、十五年後を見据え、広く県民の皆様の声もお聞きしながら、令和の時代に求められる学校像について検討し、特色ある学校づくりや質の高い高校教育の推進に向けた新たな県立高校のグランドデザインを示してまいります。 また、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する中で、子供たちが安心・安全に学校生活を送れるよう環境を整えることも重要であり、感染防止対策のさらなる徹底を図るとともに、必要に応じてPCR検査が実施できる体制を整備するなど、子供たちの大切な学びの場である学校を守ってまいります。 私は、市町教委等とも連携しながら、こうした取組の先頭に立って、現下の教育課題に積極果敢に挑戦し、未来を担う本県の子供たちが、ふるさと山口に誇りと愛着を持ち、山口で学べてよかったと感じることのできる教育の実現に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 どうか皆様方の御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。