代表質問 1 コロナ渦における医療提供体制の強化について 2 盛土による災害防止について 3 奨学金返還支援制度を活用した若者の地方定着の促進について 4 ネット上の誹謗・中傷の根絶について 5 誰もが恩恵を受けられるデジタル社会の実現について 6 障害のある人もない人も共に輝く県条例の制定について 7 飲酒運転根絶に向けた取り組みについて
議長(柳居俊学君)猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 おはようございます。公明党の猶野でございます。質問に先立ち、一言申し上げます。 宇宙旅行の商用化に挑戦する企業が相次いで技術開発を成功させ、近づく宇宙旅行への期待が高まっております。世界で初めて液体燃料ロケットの打ち上げに成功したのは一九二六年、そこからガガーリンが人類で初めて宇宙に出たのは一九六一年、そしてアポロ計画によって人類が初めて月面着陸したのは一九六九年、今から僅か五十二年前のことでございます。 当時の専門家たちが知り得る限りの科学を盛り込み、英知を結集させ、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら、果敢に夢に向かって挑戦した歴史があるからこそ、今では当たり前のように人工衛星が飛び交い、気象予報やGPS、治療といった、私たちの生活に欠かせない宇宙技術の恩恵を受けております。 先日、閉会したオリンピック、パラリンピックを見ても、限界に挑むスポーツ選手を見て、人に乗り越えられない壁はないと、心新たにしているところでございます。 今、私たちを苦しめているコロナは、多くの人々を不安に陥れ、人と人との会話を許さない分断を生み、人の心に何とも言えない閉塞感を生んでいますが、私たちに今できることを着実に取り込み、未曽有のコロナショックを皆様と共に必ず乗り越えていく、その強い決意を持って、公明党会派を代表して、質問に入らせていただきます。 初めに、コロナ禍における医療提供体制の強化についてお尋ねします。 世界的に混乱を招いているコロナウイルスは、我が国内でも依然猛威を振るい、七月二十九日に国内の新規感染者数が初めて一万人を上回って以来、僅か十五日間で約二倍に達しました。さらに、八月下旬に入って、感染者数は全国で過去最高の二万五千人を超え、東京都内では、入院患者や宿泊療養者、自宅療養など調整中の人の数も、いずれも過去最多となり、災害レベルの感染という異常事態が続いております。 これを受け、政府は、東京や大阪など六都府県に出されていた緊急事態宣言について、一時、二十一都道府県に拡大し、十九都道府県で九月三十日まで宣言期間延長にもなりました。これには、隣県である広島県、福岡県も含まれております。また、まん延防止等重点措置の地域は八県となり、比較的罹患しにくいと言われていた若年層や子供たちにも感染が急増しています。 専門家らによる基本的対処方針分科会では、全国一律で緊急事態宣言を出すことや、個人の行動制限に関する法的仕組みの検討を求める声が高まる中、本県においても、県民の中でも戸惑いや不安視する声が我々議員のところに届いています。 政府対策本部で菅総理は、医療体制の構築、感染防止の徹底、ワクチン接種を三本の柱に対策を強調しておられますが、最優先の課題は、県民の命を救うための医療提供体制の強化であることは言うまでもありません。 本県でも、新規感染者数は、一時、百名を超え、八月二十五日から感染状況ステージⅣへ移行されました。 ワクチン接種の普及により、新規感染者数だけではなく、重症化患者の推移も冷静に見なければなりませんが、都市部の事例を見ても、本県の医療機関の逼迫が心配されるところであります。都市部では、中等症も入院できない状況となり、病床・宿泊の確保はさらに必要性を増していますが、予測される事態に備えた医療体制を堅持し、県民にはっきりとしたメッセージ性のある情報を速やかに伝えることが重要だと考えます。 そこでお尋ねします。全国的に経験がない高い水準で感染が広がっている今日、本県の医療提供体制の強化にどのように取り組んでいかれるのか、県の所見を伺います。 次に、盛土による災害防止についてお尋ねします。 先月、停滞する前線による西日本を中心とした記録的大雨はしばらく続き、三年前に中国地方に甚大な被害をもたらした西日本豪雨の雨量を超える地域も出ました。 本県でも警戒レベル四の避難指示が発令された地域もありましたが、幸い大きな人的被害はなく、安堵しているところでございます。 しかしながら、JR山陽線の小野田─厚狭間で線路路盤が崩落し、また山口宇部道路ののり面が崩れるなど、県内の至るところで道路の通行止めも相次ぎ、交通機関に広く影響が出たところであります。 こうした近年の災害級とも言える記録的大雨の恐ろしさは、総雨量の多さもさることながら、数年もしくは数十年に一度程度しか発生しない、短時間で集中的な大雨を局地的にもたらし、土砂災害や浸水害、中小河川の洪水災害の発生につながる危険性を高めるところです。 記憶に新しいのは、本年七月、静岡県熱海市で発生した土石流であります。この土石流により被災した範囲は、延長約一キロ、最大幅約百二十メーターにわたり、死者二十六名、被害棟数百二十八棟に及んでいます。 今回の土石流は、持ち込まれた盛土による被害とも言われていますが、火山大国の日本は、こうした土石流のリスクが高い土砂の場所が多いともされており、本県でも山間部や盛土に対する安全対策が必要であります。 昨年十一月、私の一般質問で、宇部市の滑動崩落を事例に、大規模盛土造成地の滑動崩落対策及び老朽化した宅地開発地域の耐震化対策を求めさせていただきましたが、今、国では、土砂災害が起きるおそれのある区域を対象に、年内をめどに崩落などの危険性を総点検し、結果を取りまとめることとしております。 本県でも先行して調査されていることは承知していますが、今後はさらに国や市町と連携しながら、盛土の総点検を進め、危険盛土については速やかに安全対策を講じていただきたいと考えます。 さらに、盛土については、各種法令で災害防止等の観点から一定の規制がなされている一方で、適用範囲や条件が限定されているため、現行の制度では盛土による災害に十分対応できない場合があることが課題として上げられております。 今後、国においては、土地利用や残土処理に関する制度の在り方について検討が進められる予定であり、県にもこうした国の動きを踏まえ、盛土による災害防止に向けた取組を進めていただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。現在、県が進めている盛土の総点検について、これまでの経緯と今後の取組についてお伺いします。また、盛土による災害防止に向けた県の考え方について、併せてお伺いいたします。 次に、奨学金返還支援制度を活用した若者の地方定着の促進についてお尋ねします。 私たち公明党は、若者の声が届く政治、若者の一層の社会参画を目指し、若者と一体となった各種運動を展開してきました。とりわけ、二○一六年、二○一九年と二度にわたり展開した全国規模の政策アンケート、ボイスアクション運動は、青年層を中心とする国民の声の大きなうねりを巻き起こし、結果、携帯電話料金の引き下げ、教育無償化、非正規雇用の待遇改善など、今では当たり前となった数多くの施策の推進につながったものと確信をしております。 このたび、公明党青年委員会として、本年三月十六日から、三回目となるボイスアクション二○二一を展開し、県内でも複数か所で街頭にて回答を募り、具体的な政府提言につなげてまいりました。 その中でも特に若者からの要望が強かったものが、奨学金返済に係る課題でございます。大学や専門学校を卒業して、社会人となった若者の日々の生活に、奨学金の返済が重くのしかかっている人は少なくありません。 日本学生支援機構、通称JASSOによりますと、返済が必要な貸与型奨学金の利用は約百二十九万人で、学生の二・七人に一人が利用しております。大学の学部生一人当たりの平均貸与額は、無利子、第一種が二百四十一万円、有利子、第二種が三百四十三万円に上っています。 奨学金は子供の借金、教育ローンは親の借金とやゆされ、社会人になる前から、若者世代が、二十年続く多額の借金を抱えていると話題になりましたが、返済に苦労する人も少なくありません。二○一九年度末時点の延滞者数は、返還者数の約七%、延滞債権額は約五千四百億円に達しております。 こうした奨学金返済の負担を軽減するため設けられた奨学金返還支援制度は、公的な支援と民間企業型の大きく二つに分かれます。公的な支援として本県では、理系大学院生や薬学部生を対象に奨学金返還を補助する制度を立ち上げるなど、県内産業を支える高度な専門知識を有する人材の確保に努めておられることに敬意を表します。 本県産業を支える人材の県内就職につながるよう、引き続き企業や学生のニーズ等を踏まえた制度の充実に取り組んでいただきたいと考えます。 一方、民間企業型において、企業が返還支援した分の金額は、法人税法上、給与として損金算入でき、また、制度導入自体が企業のPR効果を持つことから、採用活動の強化、人手不足の中小企業の若い人材確保にもつながります。 また、本年四月から企業からJASSOに直接奨学金を返還することが可能になりました。従前は、企業から従業員経由でJASSOに返還されてきましたが、これでは、所得増とみなされ、住民税、社会保険料負担増につながっていました。企業が直接返還することによって、本人、企業ともにメリットが出る仕組みとなりますが、まだまだ企業側や学生等がこうした支援制度の変更点を知らないケースも多く、制度の理解が広がっていない課題があります。 また、せっかく取り組んでいる県や各市町の支援制度の取組そのものが知られていない実情もあります。 私たち公明党は、この奨学金返還支援制度のより一層の浸透が、本県企業の人手不足の解消や人材確保、ひいては若者の地方定着につながるものと考えております。 そこでお尋ねします。若者の地方定着を促進するために、自治体や企業独自の奨学金返還支援制度について、関係機関等の連携により就業希望者や学生、企業側等への制度理解や取組の広がりに資する周知広報を図っていただきたいと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、ネット上の誹謗・中傷の根絶についてお尋ねします。 本年四月、通称プロバイダ責任制限法の一部を改正する法律が成立しました。今回の改正は、インターネット上の誹謗中傷などによる権利侵害の被害回復がより早期になされるよう、発信者情報開示について新たな裁判手続を創設したものであります。 また、法務省は刑法の侮辱罪を厳罰化し、懲役刑を導入する方針を固めました。今月中旬に開かれる予定の法制審議会で同法改正を諮問されます。罰則の引上げに伴い、公訴時効も一年から三年に延びることになります。ネット上の投稿は加害者の特定に時間がかかり、摘発できないケースもありましたが、この法改正により、抑止効果や泣き寝入りの防止につながると見られています。 こうした法改正の動きは、昨年五月、テレビ番組に出演していた木村花さんが自殺したことで、大きな社会問題として浮き彫りになりましたが、SNSなどで誹謗中傷は不特定多数から寄せられる上、拡散してネット上に残り続ける被害が深刻化しており、調査によると二○一○年度から十年間でこうしたネットトラブルの相談件数が約四倍に増加しております。個人情報をネット上に無断で掲載したり、他人への悪口やデマ、フェイクニュースの拡散にもつながったりと被害を拡大するため、早急の対策が求められてきました。 今回の法改正の趣旨に基づけば、被害者が匿名を含めた発信者に損害賠償請求を行う際、通信記録を持つSNS事業者並びに発信者の氏名や住所などを把握するプロバイダーに対する裁判手続の簡略化、スピードアップを図ることや発信者の情報開示、またSNS事業者が社会的責任の下、悪質な投稿を独自の判断で削除することなど、自主的な取組の実効性を上げていくことが必要となります。 その点においては、まださらなる法制化や国の取組の構築を待たなければなりませんが、県においては、総務省が公表しているインターネットトラブル事例集やe─ネットキャラバンの一層の活用を図るなど、子育てや各学校現場での取組である情報モラル教育の充実を図る必要があると考えます。 また、民間団体や関係省庁とも連携しながら、例えば、県のホームページを活用した注意喚起、身近な商店、公共施設、公共交通機関等の場を活用した意識啓発などに取り組む姿勢を示すことが重要だと考えます。 そこでお尋ねします。ネット上の誹謗中傷の根絶に向け、県はどのように取り組んでいかれるのか、御所見を伺います。 次に、誰もが恩恵を受けられるデジタル社会の実現についてお尋ねします。 本県では、村岡知事が、全国知事会のデジタル社会推進本部長を務められ、積極的に本県のデジタル化の推進に御尽力されていることに、我が会派としても、大変心強く期待を寄せているところであります。 御承知のとおり、昨今のデジタル化の動きは、新型コロナウイルス感染防止対策として、人との密を避ける、特例給付金等、オンライン申請の利用拡大が求められたところに端を発しています。 しかし、内閣府調査によると七十歳以上の高齢者の約六割は、スマートフォンなどの情報通信機器を利用しておらず、たとえスマホを持っていても、デジタルの活用に不安のある高齢者も多く、電子申請ができること自体を知らない等の理由により、オンラインによる行政手続等の利用が進んでいない状況であります。誰もが恩恵を受けられるデジタル社会の実現には、世代間の情報格差の解消が鍵を握ります。 総務省は、今年度、こうした高齢者にスマートフォンの利用方法やオンライン手続を丁寧に教えてくれるデジタル活用支援員を六千人以上配置し、スマホ教室など全国二千百七十二か所で開く方針を示しております。 このデジタル技術を活用し、オンライン申請に限らず、災害時の避難誘導や必要な行政情報が申請なしで対象者に届くプッシュ型の行政サービスの実現にも全力を挙げるとされています。 デジタルデバイド解消に向けた環境づくりを本県でもいち早く行っていくためには、県、各市町、教育機関、高齢者団体、商工団体、自治会、NPO法人等、様々な関係機関が連携し、地域の担い手による幅広い取組を積極的に促していく必要があります。 また、県も市町と共に、公共施設の提供や周知広報の支援など、県内のデジタルデバイド解消に向けた取組に積極的に関わっていくことが重要だと考えます。 そこでお尋ねします。誰もが恩恵を受けられるデジタル社会の実現に向けて、県はどのように取り組んでいかれるのか、御所見を伺います。 次に、障害のある人もない人も共に輝く県条例の制定についてお尋ねします。 先日、閉会したオリンピック、パラリンピックは、スポーツのすばらしさや限界に挑む選手の映像を通じて、私たちに大きな感動を与え、まさに障害のある人もない人も共に輝く姿を私たちに見せてくれた大会でありました。 昨年九月、石丸典子県議が、障害者差別解消法に魂を吹き込む県条例の制定をと、この本会議場で代表質問の熱い思いから、ちょうど一年が経過したところでございます。 我が国においては、御承知のとおり、平成二十八年に施行された障害者差別解消法に基づき、差別を解消し、障害の有無によって分け隔てられない共生社会、インクルーシブ社会の実現を目指しております。 国の障害者差別解消法は、障害のある人に対して正当な理由なく障害を理由として差別することを禁止する、不当な差別的取扱いの禁止と、障害のある人から、社会の中にある心理的・物理的なバリアを取り除くために、何らか対応を求められたときは、負担が重過ぎない範囲で対応するという、合理的配慮の提供の二つの柱について、全ての行政機関や事業者が守るべきものとしてルール化された点において大きな意義があります。 差別解消法を補完するという点で重要となるのが自治体の条例制定です。多くの条例が法律にある規定をさらに強化する上乗せや法律にない仕組みを入れ込む横出しを行っています。 例えば、多くの自治体条例では、何人も障害を理由に差別してはならないという趣旨の差別禁止規定があり、これが私人間における差別行為に網をかけることができるようになります。 また、障害に基づく差別の定義は、長崎県の条例が特に充実しており、また国の差別解消法は、努力義務であるのに対し、千葉県や明石市の条例は、民間事業者にも、合理的配慮の提供は過重な負担にならない限り義務化されており、より強力なつくりとなっております。 さらに、合理的配慮の提供に当たり、市からの補助金を出す仕組みを条例で定めているところもあります。また、紛争解決の仕組みとして、多くの自治体は広域相談員や専門相談員を配置し、ワンストップで相談に乗る体制をつくっています。そして、解決困難な事案について調整委員会を設置し、相談や助言、あっせんを行う仕組みを持ちます。鹿児島県では、条例で差別解消法の協議会を設置し、協議会にあっせん機能を持たせている場合もあります。いわゆる上乗せであります。 差別解消法は本年五月に合理的配慮の提供を民間事業主に義務づけるなどの改正が行われ、令和六年までに施行されることとなっておりますが、法の目的達成のためには、身近な地域で差別や生活のしづらさをなくしていくこと、地域を変えていくことが一番重要であり、法律と条例の二本立てで取り組む必要があると考えます。 そこでお尋ねします。障害者差別解消法の目的をさらに達成するために、県条例の制定が必要と考えますが、御所見をお伺いします。 最後に、飲酒運転根絶に向けた取組についてお尋ねします。 本年六月に千葉県八街市で飲酒運転によって児童五名が死傷する痛ましい事故が発生しました。事故当時、通学路の整備といったハード面に焦点が当たっていましたが、この事故の主な要因が飲酒運転であることは明らかで、運転手は、危険運転致死傷の罪で起訴されております。 九九年に飲酒運転に対する厳罰化が進み、近年、一旦は、検挙件数の減少傾向が続いていましたが、この数年は下げ止まり傾向にあります。本県でも、令和元年から二年にかけて、飲酒運転検挙件数は、若干減ってはいますが、事故件数は、人身事故、負傷者数ともに前年度から増加し、死亡事故も発生をしております。 警察庁によりますと、飲酒時には、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下している状態になり、統計数字では飲酒運転の死亡事故率は、飲酒なしの約八倍と極めて高く、飲酒運転による交通事故は死亡事故につながる危険性が高いことは御承知のとおりであります。 福岡県では、平成二十四年に飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例を制定し、行政や関係機関が連携して飲酒運転撲滅を推進しています。具体的には、総合計画の策定や飲酒運転防止に関する指導の手引を作成し、学校や各種研修会を通じて、条例に求められている飲酒運転撲滅に向けた教育活動の充実や県民の飲酒運転根絶に向けた機運の醸成が図られています。 さきに申し上げたとおり、飲酒運転による交通事故、飲酒運転の検挙については厳罰化により減少傾向が見られたものの下げ止まり、いまだ一定数の事故、違反があるという事実に目を向けなければなりません。 本県の飲酒運転撲滅に向けて、飲酒運転は絶対に許さないといった県民の意識向上、機運の醸成には、不断の地道な活動やそれに向けた具体的な取組が必要だと考えます。 そこでお尋ねします。本県の飲酒運転根絶に向けて、どのように取り組まれるのか、県警察本部長の御所見を伺います。 最後に一言申し上げます。 このたび、私たちは、公明党やまぐち情報チャンネルを開設いたしました。医療、福祉、商工、労働、防災、デジタル等、様々な有益な情報をネット配信させていただいております。「山口セミナー.jp」でネット検索いただければ、どなたでもアクセスいただけますので、ぜひ多くの方に御覧いただければ幸いでございます。 以上で、代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の代表質問にお答えします。 まず、コロナ禍における医療提供体制の強化についてのお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症患者の第一例目の確認から一年半以上が経過し、いまだ新規感染者の発生が続く中、私は、県民の命と健康を守るためには、医療提供体制の整備が極めて重要であると考えています。 このため、本来四十床であった感染症病床を、医療機関の御協力の下、段階的に拡充に努め、病床は、人口比で全国上位となる五百三十三床、宿泊療養施設についても、三施設四百八十三室を確保してきたところです。 こうした中、非常に強い感染力を持つデルタ株が猛威を振るっていますが、私は、感染が急拡大する局面においても、感染患者が症状に応じて、安心して療養していただけるよう、病院での入院や宿泊療養を基本とし、受入れ体制の強化に努めることとしています。 まず、感染患者の受入れ病床については、五百三十三床に加え、九月一日からは、さらに二十五床の増床を行い、五百五十八床全てを、直ちに入院可能な即応病床として稼働させているところです。 また、無症状者等が療養を行う宿泊療養施設についても、今般、県有施設であるセミナーパークの宿泊棟を活用し、さらに百室を追加し、合計で五百八十三室、病床と合わせると千百四十一人の患者を受け入れる体制を確保しているところです。 こうした体制の拡充により、現時点、患者受入れについては十分対応できると考えていますが、今後、爆発的な感染拡大局面に備えては、さらなる病床の確保に向け、一般医療との両立も考慮しながら、関係医療機関と調整を図るとともに、宿泊療養施設の新規開設に向けて、準備を進めてまいります。 さらに、子育て等の事情により、自宅療養している方に対しても、安心して療養していただけるよう、保健所による健康確認等の実施はもとより、県内百五十医療機関による往診、訪問看護等の医療サポート体制を構築しているところです。 また、お示しのとおり、こうした医療提供体制の確保状況や現在の確保病床使用率などの情報をしっかりと伝えることは、県民に安心感を与え、また注意喚起にもつながることから、引き続き、記者会見の場や県のホームページ、SNS等により、積極的な情報発信に努めてまいります。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、今後とも、関係機関との連携の下、医療提供体制の充実を図り、感染防止対策に積極的に取り組んでまいります。 次に、盛土による災害防止についてのお尋ねにお答えします。 近年、記録的な集中豪雨等による災害が、全国で頻発・激甚化しており、私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、土砂災害対策などの防災・減災対策は極めて重要であると考えています。 このため、これまでも、ハード対策としては、危険性や緊急性を踏まえ、土砂災害の防止・軽減の基本である砂防関係施設や治山施設などの整備に取り組んでいるところです。 また、ソフト対策としては、災害時における逃げ遅れゼロの実現を目指し、土砂災害警戒区域等の指定や、市町と一体となった避難体制づくりなどを着実に進めてきたところです。 こうした中、七月三日、静岡県熱海市において、盛土が崩壊し、発生した土石流により多くの方の尊い命が奪われるという土砂災害が発生しました。 このため、私は、国と連携して行う総点検に先行し、熱海市での災害を踏まえ、災害リスクの高いと考えられる盛土を対象として、七月二十日から県独自調査を実施することとしたところです。 具体的には、市町と連携して、土石流の土砂災害警戒区域の上流域にある盛土を許認可等から抽出し、許認可時の書類を確認するとともに、現地における盛土の変状や災害防止対策の措置状況の調査などを行いました。 その結果、八月末までに抽出した八十五か所全てについて、安全性が確保されていることを確認したところです。 現在は、国の点検要領に基づき、県独自調査で対象とした盛土に加え、山地災害危険地区の集水区域内などにおける、許認可案件や国から提供された盛土データ等について調査を進めており、十一月頃までに完了することとしています。 一方で、お示しのとおり、現行の制度では、盛土による災害に十分対応できない場合も懸念されています。 このため、全国知事会の緊急要望において、法制化による全国統一の基準・規制を早急に設けることや、今回の総点検の結果、崩落等の危険を有する盛土が確認された場合には、撤去や補強などの安全対策を積極的に推進することを求めているところです。 今後は、国による法制化や他県の対応状況、国と連携した調査の結果等を踏まえ、必要に応じて、県独自の条例の制定や安全対策の実施についても検討してまいります。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、国や市町と連携し、災害に強い県づくりに向けて、防災・減災対策のさらなる充実強化に全力で取り組んでまいります。 次に、奨学金返還支援制度を活用した若者の地方定着の促進についてのお尋ねにお答えします。 生産年齢人口が減少する中、企業が持続的に成長・発展していくためには、優れた産業人材の確保が必要であり、とりわけ、若者の県内企業への就職・定着を促進することが極めて重要です。 このため、私は、山口しごとセンターにおいてワンストップで就職支援する体制を整備するとともに、経済団体等と連携した就職フェアの開催、若者の採用に有効なインターンシップの推進等、県内就職の促進に積極的に取り組んでいます。 こうした取組に加え、医療・福祉人材の確保に向けて、修学資金の返還免除や、看護師等の奨学金返還支援を行うとともに、お示しの高度産業人材の確保に向けた奨学金返還支援制度を全国に先駆けて導入してきたところです。 今年度は、DXの推進を担う人材を確保するため、支援制度の対象業種に情報サービス業を加えたところであり、引き続き、企業や学生のニーズ等を踏まえた制度の充実を図ってまいります。 しかしながら、労働力不足が深刻化する中で、企業人材を着実に確保していくためには、若者のさらなる県内就職・定着が必要であることから、奨学金返還支援制度の拡充や周知に取り組むことが重要と考えています。 このため、公的な支援としては、県の取組のほか、市町においても、認定企業への就職者に対する助成などの取組が進められており、こうした取組がより多くの自治体で実施されるよう、事業効果等について周知してまいります。 また、民間企業型支援としては、奨学金の返還支援金を損金処理できる仕組みを活用しながら優秀な人材を確保している県内企業もあり、こうした事例や導入メリットなどを分かりやすく紹介することにより、支援制度の創設を働きかけてまいります。 さらに、市町や企業の支援情報をリスト化し、山口しごとセンター等において、県内へ就職を希望する若者に紹介するほか、就職支援協定締結校を通じて学生に周知を図るなど、県内就職につながるよう取組を強化してまいります。 私は、今後とも、関係機関と連携し、奨学金返還支援制度の活用を図りながら、若者の県内定着の促進に積極的に取り組んでまいります。 次に、ネット上の誹謗・中傷の根絶についてのお尋ねにお答えします。 SNS等の普及に伴い、インターネット上で気軽に自由なコミュニケーションを行うことができるようになった一方で、匿名のまま特定個人を誹謗中傷する書き込みが深刻化するなど、インターネット上の誹謗中傷は、大きな社会問題となっています。 こうした誹謗中傷は決して許されるものではなく、新型コロナウイルス感染症への対応においても、SNS等によるものも含め、感染者やその御家族、医療従事者等に対する誹謗中傷は絶対に行わないよう、私自ら県民の皆様へ繰り返し呼びかけてきたところです。 このようなインターネット上のいわれのない誹謗中傷の根絶に向けて、県としては、お示しの国における法制度の整備にも対応しながら、青少年を対象とした情報モラル教育や、インターネット利用者に対する意識啓発等の取組を強化していくこととしています。 まず、情報モラル教育については、学校現場において、県警や通信事業者と連携し、児童生徒や保護者、教員を対象に毎年開催している研修会について、法改正の動き等を踏まえ内容を充実させるとともに、お示しのインターネットトラブル事例集やe─ネットキャラバン講座が一層活用されるよう周知してまいります。 また、意識啓発については、県民一人一人が情報の収集・発信に関する正しい知識を身につけ、マナーやルールを守ることの重要性を、県ホームページ等を通じて広く周知するとともに、SNS等の適切な利用について、国や市町等と連携し、街頭での啓発活動にも取り組んでまいります。 こうした取組に加えて、誹謗中傷でお悩みの方からの幅広い相談に対しては、山口地方法務局や、総務省の違法・有害情報相談センター等と連携し、適切に対応するほか、改正プロバイダ責任制限法の施行に伴う国の取組を注視しながら、的確な情報提供に努めてまいります。 私は、今後とも、国や市町、関係機関と緊密に連携し、インターネット上の誹謗中傷の根絶に向けて取り組んでまいります。 次に、誰もが恩恵を受けられるデジタル社会の実現についてのお尋ねにお答えします。 デジタル化は、これまでにない手法で地域課題を解決し、新たな価値を生み出し、県民生活や社会経済活動を飛躍的に向上させる原動力となるものです。 その力を生かし、私は、県民一人一人が、希望に合ったサービスやライフスタイルを自由に選択でき、これまで以上の豊かさや幸せを実感できるデジタル社会を実現するべく、県政各分野におけるやまぐちデジタル改革を、強力に、スピード感を持って推進しているところです。 改革に当たっては、全ての県民の皆様にデジタル社会へ主体的に参加していただけるよう、デジタル技術の活用に係る個人間や世代間などでの格差、いわゆるデジタルデバイドの解消に取り組むことが不可欠であり、改革の基本方針においても、このことを基本姿勢の一つに掲げています。 今後、様々な行政手続や県民サービスのデジタル化をさらに進めてまいりますが、これと同時に、デジタルに不慣れな高齢者等のデジタル活用をしっかりとサポートする環境を整えていかなければならないと考えています。 そのためには、市町はもとより、民間の幅広い主体の力も結集して取り組んでいくことが重要であり、このたび、県と全市町で構成する山口県デジタル・ガバメント構築連携会議の中に、新たに大手携帯電話事業者や関係機関の参画を得て、デジタルデバイド対策のための専門部会を設置いたしました。 これを活動母体として、現場のニーズ等を踏まえた様々な対策を一体的かつ効果的に推進していく考えであり、まずは、この秋を目途に、デジタル活用支援に係るセミナーを開催し、高齢者等のデジタルデビューへの機運を高め、今後の取組につなげてまいります。 また、来年度以降の本格展開に向けて、お示しの国事業の導入促進を図るとともに、地域が独自に開催する講習会への支援や、サポート人材の確保・育成、官民連携による新たな支援策の構築などについて、検討を進めてまいります。 さらに、それぞれの地域の実情に応じた継続性の高い取組が実施できるよう、関係機関・団体との連携を一層拡大していくほか、活動の場づくりとして、地域の公共施設の活用等も検討していくこととしています。 私は、今後とも、国や市町、関係機関等と緊密に連携し、また、県議会に新たに設置された、人にやさしいデジタル社会実現特別委員会での議論も踏まえながら、誰にも恩恵が行き渡るデジタル社会の実現に全力で取り組んでまいります。 次に、障害のある人もない人も共に輝く県条例の制定についてのお尋ねにお答えします。 私は、誰もが障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、障害に対する社会全体の理解を深め、障害のある方に対する偏見や差別をなくしていくことが重要と考えています。 このため、やまぐち障害者いきいきプランにおいて、障害への理解を深め、共に生きる社会の実現を施策の柱として位置づけ、障害を理由とする差別の解消推進や相互理解の促進に取り組んでいます。 具体的には、県民誰もが障害の特性を理解し、必要な配慮を実践するあいサポート運動を広く県民運動として展開するとともに、県障害者権利擁護センターに相談窓口を設置し、差別や合理的配慮の提供に関する相談に、きめ細かく対応しているところです。 こうした中、国においては、本年五月に障害者差別解消法を改正し、事業者による合理的配慮の提供を義務化するなど、障害を理由とする差別の解消を一層推進することとしているところです。 私は、法の目的である差別の解消と共生社会の実現のためには、本県の実情に応じた取組をより一層推進していくことが重要であると考え、このたび、条例の制定に向けた検討に着手することとしました。 検討に当たっては、このたびの法改正に伴い、合理的配慮の提供に関して、当事者からの相談の増加が見込まれることから、相談にしっかりと対応し、適切な助言を行うための体制の充実が重要となります。 また、当事者間において、紛争が生じる場面が見込まれることから、あっせんをはじめとした紛争解決のための仕組みづくりも必要と考えています。 今後は、こうした課題等を踏まえ、実効性のある条例とするため、障害者団体や事業者団体等で構成する検討組織を立ち上げ、県議会の御意見を伺いながら、具体的な内容等について検討を進めることとしています。 私は、今後とも、関係団体等と連携し、障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)飲酒運転の根絶に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 県内における飲酒運転情勢ですが、検挙件数については、ここ数年、減少傾向にあります。 しかしながら、人身事故件数については、本年八月末現在では、昨年同期と比べ減少しているものの、ここ数年も、依然として一定数が発生している状況が続いており、議員お示しのとおり、県民のさらなる意識の向上とその機運の醸成が非常に重要であると認識しております。 このため、県警察では、飲酒運転根絶の一層の機運向上を図るため、国や県などの関係機関・団体等との連携により、県民全ての方々に向けて、様々な媒体を活用した広報啓発活動を行っているところでありますが、加えて、運転者一人一人に飲酒運転根絶の意識を持っていただく観点から、工夫を凝らした交通安全教育に力を入れることも重要であると考えております。 例えば、県警察では、企業や地域への出前型の飲酒運転防止講習会を開催しておりますが、こうした講習会では、飲酒の危険性を疑似体験できる酒酔いゴーグルを活用したり、自己のアルコールに対する耐性を自覚してもらう体質判定テストを実施するなど、参加・体験型とし、飲酒運転がいかに危険かをしっかりと理解してもらえるよう取り組んでまいります。 また、千葉県の事故は事業所で使用されているトラックでの飲酒運転でありました。県内の事業所に対しては、各事業所で選任されている安全運転管理者を通じるなどして、飲酒運転防止に関する使用者側の運転管理の強化をお願いするとともに、安全運転管理者未選任の事業所の一掃を図るため、関係機関と連携して周知徹底を図ってまいります。 さらに、飲酒運転を敢行する悪質ドライバーに対しては、各警察署で取締り強化日を設定するなどしつつ、年間を通じて厳しく取締りを行ってまいります。特に千葉県での痛ましい事故を受け、いわゆる昼飲みの運転を摘発するため、日中の時間帯における検問の強化、飲酒運転常習者等に対する動向把握と検挙、コンビニ店などの酒類販売店への飲酒運転情報の提供依頼などを重点として、県民の御協力を頂きながら、従来にも増して徹底した取締りを推進してまいります。 県警察では、こうした対策を引き続き強力に推進し、飲酒運転による悲惨な交通事故の根絶に向け、県民意識の向上、機運の醸成、そして悪質ドライバーの徹底検挙による道路交通の場からの早期排除に努めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十九分休憩