討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において順次発言を許します。 藤本一規君。 〔藤本一規君登壇〕(拍手) 藤本一規君 日本共産党県議団を代表して、本日の会議に付託された議案に対する反対討論を行います。 反対する議案は、議案第三号と意見書案一号であります。 まず、議案第三号は、今年度の県事業に要する経費に関し、市町が負担すべき金額を定める、いわゆる県事業負担金の額を決めるものです。今議案では、三十七事業について、全市町に計二十七億六千万円もの負担金を求めるものです。 これまで再三紹介してきましたが、全国知事会は二〇〇九年七月、国の直轄事業負担金制度の廃止や市町村負担金の見直しに向けた申合せ事項を確認し、国は翌年度から維持管理経費や事務費などの廃止が実現し、その後、新潟、和歌山、福岡、佐賀、三重の五県は、県事業負担金の原則廃止に踏み切っています。 二〇〇九年に全国市長会が行った実態調査では、全国知事会も国直轄事業負担金は廃止すべきとしているのであるから、県事業についても、市町村の意見が反映されず、市町村のチェックが働かないという疑義のある県事業負担金制度は廃止すべきという意見も紹介されています。 特に今、新型コロナ感染拡大の影響を受けている住民の暮らしや、中小零細企業への独自支援策の財源不足に直面している市町を側面支援する意味でも、県事業負担金の廃止に踏み切るべきであり、本議案には反対いたします。 次に、意見書第一号についてであります。 本意見書は、新型コロナウイルス感染症に直面する事態を緊急事態と捉え、関係法令の見直し等による平時からの緊急時のルールの切替えと、その根拠規定となる憲法への緊急事態条項の新設等について、国会における議論を求めるものです。 全ての都道府県議会に県議会事務局を通じて照会をしていただいた結果、本意見書と同様の意見書が提出された事例は、現在のところなしとの結果でした。 昨年度以降の類似の意見書として、憲法改正を求めるものや新型コロナウイルスに関して法改正を求めるものは提出されていますが、新型コロナウイルス感染症に直面する事態を緊急事態と捉え、憲法改正を求める意見書は山口県が全国初となります。 コロナ感染症を抑制できないのは、憲法に緊急事態条項がないからではありません。最大の要因は菅政権の無為無策であり、菅政権による人災と言えます。 菅首相は、八月二十五日の記者会見で、ワクチン接種でデルタ株にも効果があり、明かりがはっきりと見え始めていると発言されました。救えるはずの命が失われていることに痛みを感じず、根拠のない楽観論を振りまき、責任を一切認めない菅首相の姿勢は許されません。 また、緊急事態条項の創設は、時の政権に強力な権限を集中させ、人権の抑圧につながるおそれがあります。憲法の理念に反するものであり、到底容認できません。 審査した総務企画委員会の委員長報告では、緊急事態に即応し、国民の命と生活を守るための施策や法整備について、建設的な議論が進むことを期待する声が高まっていることなどを賛成理由に挙げられていますが、国民の命と生活を守るための施策や法整備を進めるために、野党が国会の規定に基づいて要求している臨時国会の召集を拒んでおられるのは自民・公明政権です。 入院治療が必要な国民が自宅療養と称して、結局、自宅放置されている今日の時代こそが、私は緊急事態と言えると思います。 総裁選で政治空白をつくるときではなく、直ちに臨時国会を開催し、国民の命が奪われている今の緊急事態への対応を議論をするときだと思います。 以上の理由から、緊急事態に対応できる国づくりに向けた建設的な議論を求める意見書に反対いたします。 次に、議案一号、二号、十五号の補正予算については賛成いたしますが、幾つかの要望を申し添えたいと思います。 全国知事会は、九月十一日に発表した緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の延長を受けた緊急提言の中で、長引く感染拡大で疲弊した地域経済を強力に後押しできる地方創生臨時交付金を確保するため、大型の補正予算を、政治日程等の事情にかかわらず、できるだけ早期に編成することを求めています。 この全国知事会の要請を受けて、政府は直ちに臨時国会を開催し、地方の経済と住民の命を守る大型補正予算の議論を開始すべきときであるということを、重ねて求めるものです。 県は、二十二日の新型コロナウイルス感染症対策本部員会議において、デルタ株感染拡大防止集中対策を九月二十六日で終了させ、飲食店等への時短等の要請及び協力金の支給期間も打ち切ることを発表されました。 県が飲食店等への時短等の要請及び協力金を終了させる背景には、国からの財政措置の見通しの不透明さもあるものと、私は推察いたします。 県は、全国知事会と連携し、政府に改めて大型補正予算の執行を引き続き求め、国からの財政支援を受けながら、飲食店等、中小企業支援が継続されることを強く要望するものです。 また、本部員会議では、県の感染状況をステージⅢからステージⅡに引き下げるとともに、本県の対処方針として、九月二十七日以降も、緊急事態宣言及びまん延防止重点措置の対象都道府県との往来の自粛を県民に要請いたしました。 コロナ感染拡大の第五波は峠を越えましたが、今後も新たな変異株の出現などによる第六波の到来も予測されています。 ワクチン接種一本やりでは、新型コロナ感染症の抑え込みはできないことは、国内外の事実が示しています。ワクチンと一体に大規模な検査を実施をし、感染の鎖を断つことが重要です。 特に新規感染が減少傾向となり、検査のキャパシティーに余裕が生まれている今こそ、陽性者の周りへ迅速な行政検査を幅広く行うとともに、無症状者への大規模検査を行うことがいよいよ重要になっていると思います。 二十二日の本部員会議では、感染への不安のある無症状の方に、インターネットの受付と併せて、県内九か所の検査会場で検体採取を行い、実施される無料の集中PCR検査の期間を十月末まで延長されました。私は、このことは評価を率直にいたしますが、それ以降も、十一月以降も恒常的に検査が継続されるべきだと思います。 いよいよ、これから発熱期を迎える今、いつでも、誰でも、何度でも、無料での立場で、さらに県内で大規模検査の具体化を図り、実施されることを強く求めて、補正予算に賛成する上での意見といたします。 以上で討論を終わります。(拍手)