討論
議長(柳居俊学君)吉田充宏君。 〔吉田充宏君登壇〕(拍手) 吉田充宏君 自由民主党会派を代表いたしまして、提案された全ての議案及び意見書案に賛成の立場から、意見を述べさせていただきます。 まず、議案第一号、二号及び第十五号 令和三年度一般会計補正予算についてです。 デルタ株による全国的な感染拡大の影響を受け、本県においても、八月十三日から感染拡大防止集中対策が実施され、特に八月末からは、医療提供体制への負荷を軽減させるため、飲食店への時短要請を実施されるなど、感染防止対策に全力を挙げてこられました。 新規感染者数、療養者数とも大幅に減少し、あさってをもって今回の集中対策を終了することができることとなったのも、県民、事業関係者の皆様の御協力あってのものであり、深く感謝を申し上げる次第でございます。 このたびの補正予算には、時短営業を余儀なくされた事業者のみならず、広範囲に影響が及んでいる実態も踏まえ、売上げが減少する事業者への支援金が計上されています。 また、コロナ禍の長期化、先行きの不透明感により資金繰りに苦しむ県内中小企業の切実な訴えを受け、我が党が公明党とともに要請した、新型コロナウイルス感染症対応資金の据置期間延長に対応した信用保証料に対する補助についても、村岡知事の御英断により必要な予算措置を講じていただきました。 予算成立後は、これらの支援金や補助金が、真に必要としている方々に一刻も早く行き届くよう、速やかな執行に努めていただきますようお願いを申し上げます。 一方で、新型コロナとの闘いが長期化する中、これからは、ウイルスの存在を前提に、ワクチン接種の早期完了など、新たな感染拡大への備えを固め、同時に、いわゆるウイズコロナの社会経済活動を段階的に進めていくことも求められてきます。 全国的に第五波による新規感染者数が減少傾向を見せつつある中、先日、国の新型コロナウイルス感染症対策本部において、ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方が示されました。 ワクチン接種の完了や検査結果が陰性であることを前提として、飲食店の営業時間や酒類の提供、イベント参加人数の制限を緩和するほか、都道府県をまたぐ移動の自粛要請を対象外とすることなど、必要な技術実証や国民的議論を進めつつ、部分的・段階的な緩和を行っていくこととされています。 今後、我が国がコロナ危機を乗り越え、活力を取り戻していくためには、国、地方を挙げて、考え方や認識を共有し、連携した取組を進めていかなければなりません。我が国には、どんな苦難にも負けない結束力と底力があります。 この夏に開催された東京オリンピック・パラリンピックは、世界中がコロナ危機に直面し、国内も緊急事態宣言下という厳しい状況にあったことから、様々な意見が渦巻き、開催自体が危ぶまれる中で、その逆境に立ち向かい、ウイルスとの闘いに挑んだ歴史的な大会となりました。 多くの困難を乗り越えて両大会を無事開催し、国際社会への務めを果たした我が国に対して、諸外国からは、コロナ禍で五輪が開催できるのは東京しかない、日本は適応能力の高さを世界に示した等々の評価を得ました。 また、世界中から参加したアスリートは、五輪が開催されたことへの感謝と喜びを最高のパフォーマンスで表現し、多くの感動を与えるとともに、献身的なおもてなしに努めた日本人ボランティアへのねぎらいの言葉を残してくれました。 この東京オリ・パラに対して、野党は、コロナ禍での開催の意義や国際社会における我が国の役割といった国家観に思いをはせることなく、ただやみくもに開催反対ばかりを主張し続けていましたが、その野党の幹部が、今度は、自民党は新型コロナ対策に熱心ではなく総裁選に熱心なのは浅ましい、職場放棄だなどと発言している記事を目にしました。この方々は一体、何を見ておられるのでしょうか。 菅総理は、退任までコロナの感染拡大防止に専念すると述べられ、日常を取り戻す道筋をつけるべく、日々、政府を挙げてその重責を果たしておられます。また、私ども自由民主党も、全てコロナ対策を最優先に活動をしております。 報道によれば、野党第一党と言われる政党は、現菅政権のコロナ対策に協力の姿勢もなく、衆議院総選挙だけを意識した、ばらまき政策を高らかにうたい上げておられるようです。これこそが自らの政党の保身のためであり、こうした言動を繰り返すことのほうがよほど傲慢で、浅ましいのではないでしょうか。 言うまでもなく、私ども自由民主党は、引き続き、一致団結してコロナ危機に対峙してまいります。 県におかれましては、国の取組ともしっかり連携して、医療提供体制の充実、ワクチン接種の加速化に努めるとともに、今後は、足元の感染状況などを慎重に判断しながら、社会経済活動の正常化に向けた道筋をつけていただきたいと思うのであります。 次に、意見書第一号 緊急事態に対応できる国づくりに向けた建設的な議論を求める意見書案について、提出会派として意見を申し上げます。 本意見書案の本旨については、皆様、十分御理解を頂けているものと考えておりますが、我が国は、毎年のように多くの命が奪われる大規模自然災害を経験し、そして今、新型コロナとの闘いという緊急事態に直面し、国民の日常生活、医療提供体制、社会経済活動が過去に類を見ない厳しい現実に陥っていることに対して、各界・各層から、従来の法体系では対処し切れないのではないかという声が大きくなっています。 新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため、昨年の第二百三回臨時国会では、予防接種法及び検疫法が、また、今年の第二百四回通常国会では、新型インフルエンザ等特別措置法が改正されました。 しかしながら、一方で、改正法案の審議に当たっては、政治対立による審議の長期化を避けるべく、野党側から提出された多くの要求項目を附帯決議としたことが足かせとなって、迅速な対応を阻害する一因になったことも否めません。 一例を申し上げますと、予防接種法及び検疫法の改正法には、新型コロナワクチンの審査に当たっては、その使用実績が乏しく、安全性及び有効性について情報量に制約があることから、国内外の治験を踏まえ、慎重に行うことという附帯決議がなされました。 これは、既に国外での治験には十分情報量があったにもかかわらず、野党から提出された、国外だけでなく、国内における治験を十分に行った上で審査すべきという、強硬な意見が反映されたものであります。 しかしながら、結果として、諸外国が昨年末からファイザー社製ワクチンの使用許可を取得する中、この附帯決議があるがゆえに、厚生労働省におけるファイザー社製ワクチンの特例承認が本年二月にずれ込むこととなり、これがワクチンの接種のスピードで諸外国に遅れを取ることになった一因になっているとの指摘もあります。 これが全てとは申しませんが、緊急事態に対処するための法制には、即応性と機動性が何よりも求められると思うのであります。 こうした中、本年六月、感染症や自然災害の第一線で従事しておられる医療界、経済界、防災関係、自治体関係などの各界の代表者が発起人となって、感染症と自然災害に強い社会を目指す全国の会議体組織として、ニューレジリエンスフォーラムが設立をされました。 このフォーラムでは、こうした緊急事態に的確に対応できる国づくりに向け、現場からの声を集め、必要な関係法規の見直し等による、平時から緊急時へのルールの切替えや、その法的根拠ともなる憲法への緊急事態条項の新設等について、国民的議論を推進するための活動を進めることとされ、今月七日には、与党のみならず野党からも政調会長等の出席を得た提言集会が開催され、関係法令の全てに緊急時の対応規定を明記することや、内閣が国会のコントロールの下、憲法に明記された緊急事態宣言を行う制度を検討することなどを盛り込んだ、緊急時の医療提供体制と法制度の整備を求める第一次提言がまとめられたところであります。 フォーラムの設立後、賛同の輪は全国に広がりつつあり、本県でも、八月二十九日に、医療団体や経済団体など十二団体の代表者が参画した山口県呼びかけ人会が発足し、フォーラムへの賛同の輪を広げる活動が行われています。 本意見書は、こうした各界・各層の動きを後押しする意味でも、大きな一歩になるものと考えております。 加えて、今、我が国をめぐる国際情勢は、日々、緊迫の度合いを増しています。 今月十五日には、北朝鮮が変則的な軌道で飛行する新型の弾道ミサイルを二発発射し、我が国の排他的経済水域内に落下をさせました。 また、十日には、中国海軍と見られる潜水艦が奄美大島周辺の接続水域内を潜没航行し、政府内に緊張が走りました。 このほかにも、世界情勢は、米中対立の激化、台湾有事など、今後の我が国の安全保障環境にも大きな影響を及ぼしかねない事案が山積みです。 今こそ、感染症、自然災害、そして我が国の存立につながる安全保障といった緊急事態に即応できる国づくりを進め、我が国と国民を守っていくためには、即応性と機動性を持った関係法規の整備はもとより、憲法への緊急事態条項の新設、すなわち憲法改正について、時代の変化を的確に捉え、国会の場において、時を置くことなく、真摯で建設的な議論を進めていかなければならないと思うのであります。 我が自由民主党は、今後、来週二十九日に選出される新総裁の下で、コロナ禍に打ち勝ち、我が国と国民・県民の将来を守り抜くとともに、国づくりのあるべき姿を示す憲法の改正に向けて、全力を挙げて取り組む所存であり、本意見書案が、議員各位の御賛同により採択されることをお願いを申し上げ、賛成討論を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)