1 競技力の向上について 2 インクルーシブ社会の実現について 3 喫煙の自由と権利について 4 国防に不可欠な重要土地等調査法について 5 その他
副議長(二木健治君)橋本尚理君。 〔橋本尚理君登壇〕(拍手) 橋本尚理君 私は、自由民主党新生会の橋本尚理であります。通告に従い一般質問をさせていただきます。 新型コロナウイルスの影響で、史上初めて一年延期された東京オリンピックが、先月八日に終了いたしました。 各地で感染が急拡大し、多くのマスコミや専門家・知識人と称する人たちがオリンピックは中止しろとの論調を繰り広げる厳しい状況下ではありましたが、国民をはじめとし、関係者の不断の努力により無事成功裏に終了したことで、全世界に日本の底力を示すことができ、大いに誇りとするところであります。 ホスト国である我が国は、史上最多のメダル五十八個を獲得し、金メダル数では、米国、中国に次ぐ三位と申し分のない好成績を残しました。 本県ゆかりの選手では、柔道男子大野将平選手が大会連覇を果たし、卓球女子の石川佳純選手が団体で銀メダルを獲得するなど、大いに躍動した大会となりました。 特に私は、平成十三年から県のフェンシング協会会長を務めていることから、加納虹輝選手──虹が輝くと書きますが、加納選手のフェンシング男子エペ団体でのアンカーとしての大活躍と金メダル獲得については、喜びもひとしおでありました。まさにその名のとおり、加納選手は虹色に光り輝く存在となったのであり、私たち協会関係者も「エペジーーン」を共有させていただきました。 私ごとではありますが、団体決勝の観戦チケットが当たっていましたが、無観客となったために、加納選手の雄姿をこの目で直接見ることができなかったのが残念でたまらないところであります。 決闘がルーツのエペは、フェンシング競技の中で最多の選手数を誇り、欧米をはじめ大柄で屈強な猛者が集まり、到底体格で劣る日本人には通用しない種目と言われておりました。 やるか、やられるかというキング・オブ・フェンシングをかけた厳しい道のりを見事に頂上まで駆け上がったメンバーに最大級の賛辞を贈らせていただきます。 さて、加納選手は、本間監督を慕って愛知県から岩国工業高校へ進学いたしました。本間先生のアドバイスによりフルーレからエペに転向し、頭角を現し始めたのであり、加納選手自身も、自分のフェンシング人生は岩国から始まったと言っておられます。 そこで、競技力の向上についてお尋ねをいたします。 オリンピックイヤーの本年は、くしくも総合一位を獲得した山口国体の終了から十年目の節目の年でもあります。私は、これまでも国体の成果を一過性に終わらせることなく、国体終了後も継続的に本県のスポーツの進展を図らなければならない旨、幾度となく訴えてきました。 しかしながら、山口国体以降、県では総合成績十位台の回復・定着に向けて、有望競技種目の重点強化などに取り組んでおられますが、総合順位は振るわない状態が続いております。 残念ながら、コロナ禍の影響いまだ収まるところを知らず、昨年度の鹿児島国体に続き、本年度の三重国体も中止の憂き目に遭いました。結果を出す機会がなかなか与えられず、私を含め関係者はもどかしい思いが募っているところであります。 ただ、こうした一方で、山口国体における常設カヌー場の整備により、国体の後に山口県へ移住し国体を四連覇し、このたびのオリンピックに出場した足立選手や、同じく、国体強化策として本県に指導者として招いた本間先生を慕い、高校三年間を岩国で過ごしただけにもかかわらず、金メダル獲得後も山口県代表として国体に出場すると明言している加納選手のように、国体の成果が一過性に終わらない例も着実に出始めており、こうした実績を今後もしっかりと残していくことが重要であると考えます。 オリンピックや国体のトップレベルで活躍する本県の選手の姿は、県民に夢や希望を与え、特に、スポーツに取り組む子供たちの大きな目標、憧れともなるものであります。 私も、先日、ジュニア選手を対象に、加納選手金メダル獲得報告会を開いた折、加納選手の「自分には才能がないからと言って諦めるのではなく、こつこつ毎日練習を続けていけば、オリンピックに出て金メダルを取ることもできるんだよ」との言葉を聞き、質問をし、金メダルに触れ、一緒に写真を撮ってもらった子供たちの目が、光り輝いていたことを忘れることはできませんし、いずれこの子たちの中から第二の加納選手が出てくるものと確信をしたのであります。 そこでお尋ねをいたしますが、東京オリンピックで盛り上がったスポーツへの機運を逃すことなく、山口国体で得た成果を一過性に終わらせないためには、本県競技力の向上に向け、これまでどのように取り組んでこられたのか、また、今後どのように取組を進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、インクルーシブ社会の実現について、お伺いをいたします。 東京パラリンピックの最終日、女子マラソンで下関出身の道下美里選手が悲願の金メダルを獲得され、パラリンピックの意義を私たち県民に感動をもって伝えていただきました。 また、夕刻からの閉会式では、国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長が、コロナ禍において、世界は日本が果たした役割を決して忘れないと開催国に謝意を示し、今夜はインクルーシブな未来への始まりだと閉会を宣言されました。 インクルーシブとは、性別や人種、民族や国籍、出身地や社会的地位、ましてや障害の有無などによって排除さることなく、分け隔てられることなく、当たり前に共存し、生活することを言います。 私は、一昨年来、障害のある子供の保護者や障害児支援施設の方など、多くの方々からのお話をお伺いしてまいりました。その全ての方が、障害のある子を身近な公園で遊ばせることにためらいや諦めを覚えているとのことでした。 初当選以来、自民党県連が主催する政策聴聞会に出席し、各種障害者関係団体からの数々の要望をお伺いしてきましたが、このような課題を抱えておられることは、それまで恥ずかしながら知りませんでした。 今議会でも障害者支援や障害者スポーツについての質問が多々され、答弁も頂いておりますが、私は障害のある子を持つお母さんたちの話を紹介しながら、障害者施策の出発点である障害のある子供たちのために四点の質問をさせていただきます。 まずは、さきの議会で石丸さんも要望されましたが、インクルーシブ公園の整備についてであります。 子供にとって、遊びは健全な成長や自主性・社会性の取得に不可欠なものであり、安心して自由に遊ぶことができる身近な公園は、貴重な出会いと育成の場となります。 しかし、障害のある子のお母さんからは、筋力やバランス感覚が乏しく、遊具でけがをしないか心配、周囲の目が気になる、健常児と障害児の兄弟が一緒に遊べる公園がないなどの理由により、公園を利用することをちゅうちょし、この子を公園で遊ばすことは、諦めているという何とも悲しい声をお聞きいたします。 公園で遊ぶ機会を失うことは、ひきこもりや肥満にもつながり、子供の健全な成長を阻害することも懸念されることから、障害のある子もない子も、それぞれ違う能力を持った子供たちが、同じ遊具を共有して一緒に安心して遊ぶことができるインクルーシブ公園を早急に整備すべきではないでしょうか。 昨年、日本で初めて東京都に開園して以来、全国各地にこの取組が広がってきております。 例えば、いち早く富山県では、富山県空港スポーツ緑地に今月から二か月間、寝転んで乗れるブランコや車椅子でも登れるスロープのついた滑り台など四種類のインクルーシブ遊具をレンタルして試験的にオープンし、利用者からアンケートを取った上で、本格的な遊具の導入を検討されております。 私の地元岩国市も旧国病跡地に整備予定の、いこいと学びの交流テラスにインクルーシブ公園を整備する計画が進んでおります。 ぜひ、本県においても、維新百年記念公園や山口きらら博記念公園の一画からでも、試験的にでも結構ですから、障害のある子とない子が共に安心して楽しく遊ぶことのできるインクルーシブ公園の整備を進めていただきたいとこいねがうところであります。 そこで、あるお母さんからの要望を紹介してお尋ねをいたします。 我が子がいつも、「ここは僕が遊んでいい場所、いけない場所」と聞いてきます。ここは、障害のある子もない子も大人から子供までどんな人でも遊んでいいのよと答えてあげられる公園を早く造ってください。 子供たちに様々な人々との出会いや健全な育成の場を提供するため、障害のある子とない子が共に安心して利用できる公園の整備について、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 二点目に、特別支援学校の児童生徒が安心して遊べる環境の整備についてお伺いをいたします。 特別支援学校は、その学校に通う障害のある子供たちにとって、一日のうち家庭の次に長く過ごす場所となります。 そこは、子供たちの障害の状態や特性、発達段階等に柔軟に対応して学べる空間であることはもちろんのこと、子供たちが安心して伸び伸びと過ごせる環境であることが何より重要であります。 また、特別支援学校の児童生徒が、楽しく充実した学校生活を送るためには、それぞれの特性等に応じて活動的に遊べる環境であることも求められております。 遊びは、子供たちが自然と夢中になって取り組み、その中で様々なことを体験的に学び、心身の発達が促されていくものであり、子供たちの成長にとって必要不可欠なものとなります。 しかし、先日、障害のある子を持つお母さんから、この子が幼い頃は、公園で遊ばすことができなかったけど、特別支援学校に入学したら遊具で遊ばせることができると楽しみにしていましたが、この子が遊べる遊具はありませんでした。さらに別のお母さんから、うちの子は、体温調節ができないので、直射日光の下では遊べないが、支援学校の屋外には日陰がほとんどありませんでしたとの声をお聞きしました。 子供たちの安全を確保することが大前提ではありますが、今では障害のある子も楽しめるインクルーシブ遊具が日本でも開発されており、そうした遊具の整備や、遊びやスポーツの場である運動場の環境整備を、障害を持つ子供たちは、声には出さないが、首を長くして待っているのではないでしょうか。 そこでお尋ねをいたします。特別支援学校にこそ障害のある子供たちが周囲の目を気にすることなく、生き生きと活発に遊べる環境の整備が急務であると考えますが、県教委として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 三点目に、通常の学級におけるインクルーシブ教育の推進についてお伺いいたします。 子供は、他の子供たちとの関わり合いを通じ、時には小さなけんかや争いなども起こることもあると思いますが、そうしたやり取りの中で様々な経験を積むことにより、社会の基本的ルールを学び、豊かな人間性が育まれていくものであり、このことは、障害のある子も障害のない子も同じであり、両者が関わり合いを持つことにより、それぞれがさらに成長していくことができるのではないでしょうか。 これは、運動障害のある子のお母さんから聞いた話ですが、公園で遊ばせていたら、この子の動きが遅いので、小学生から、ちぇと舌打ちされ、すごく悲しい思いをしました。それ以来、たくさんの子供がいるときは怖くて遊ばせていませんとのことでした。 この要因の一つとしては、海外のインクルーシブ教育先進国と異なり、日本は障害のある子供にはその子に合った特別な教育が必要であるとし、障害のある子供とは別の学校や教室で学んでいることから、お互いの理解が進みにくい状況にあることが考えられます。 こうした中においては、とりわけ障害のない子供たちへ、障害のある子に対する理解を広めることが重要となります。 インクルーシブ教育とは、障害のある子のみを対象とするものではなく、障害のない、通常の教室で学ぶ子供たちにも同じ社会に生きる人間として、障害のある子と共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さなどを学ばせることが今求められております。 自分の周りには、様々な状況の人がいることを知り、自他の違いを正しく認識し、相手の気持ちや行動を考えることができるようになることにより、子供同士が、より触れ合う機会が増え、お互いがさらに成長していくことができると思うのであります。 そこでお尋ねをいたします。障害のない子供たちの障害者理解への促進に向けて、通常の学級におけるインクルーシブ教育をどのように進めていかれるのか、お伺いをいたします。 四点目に、障害のある子や障害に対する県民理解の促進について、お伺いをいたします。 知的障害のある子のお母さんから、体は大きくなったが、精神年齢が追いつかないため遊具で遊びたがるが、公園に行くと周りの親からは、こんな大きな子を遊具で遊ばせてはいけませんと言われるので、誰も遊んでいない公園を遠くまで探しに行って遊ばせています。また、自閉症の子のお母さんからは、外見では分かりにくい障害のため、ほかの人に理解されにくく、周りの子供を驚かせてしまい、親からこんな子を公園に連れてこないでと言われたとの話も聞きました。 県では、障害を理由とする差別の解消に向けて、あいサポート運動など様々な取組を行っておられますが、障害のある子や、障害に対する大人の理解という点においては、まだまだ課題がたくさん残っていることを実感をいたしました。 子供は地域の宝です。全ての子供たちが安心して健やかに育つことができるようにするためには、障害の有無によって分け隔てられることのないインクルーシブの概念の下、社会全体で環境づくりを進めることが重要となります。 そこでお尋ねをいたします。障害のある子供に対する差別や偏見をなくし、地域で安心して暮らしていくためには、障害のある子供を取り巻く全ての県民に対して、障害に関する理解を促進する取組が必要と考えますが、県ではどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、喫煙の自由と権利についてお伺いをいたします。 たばこは、百害あって一利なしと言われ、ましてや受動喫煙による害について一般に知れ渡った今日では、喫煙できる場所はどんどん規制され、社会全体が喫煙を敬遠している風潮がありますが、私は喫煙するメリットというものも少なからず存在すると確信をしております。 例えば、たばこに含まれるニコチンという成分は、悪者にばかりされがちですが、実は脳の側坐核という部分に作用してストレスを和らげたり、脳を活性化させて、やる気を起こさせたりする効果があります。 また、たばこには、ネガティブな気分を正常に整えたり、逆に高ぶりすぎた神経を落ち着かせたりする効果もあると言われております。 また、喫煙所では、初対面でも会話が弾み、コミュニケーションの手助けにもなっております。 さらに、税金という観点から見てみますと、実は、価格の六割は税金であります。たばこには、国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税という四種類もの税金がかかっており、得られる税金は年間二兆円を超え、我が県でも令和元年度で十四億円に上っております。 県庁では、改正健康増進法を踏まえ、令和元年七月から、屋外喫煙場所を四か所のみとし、喫煙場所以外は終日全面禁煙とされました。そして、本年七月一日から私が唯一知っていた喫煙所が、その理由は、あえて申し上げませんが、廃止をされ、三か所のみとなりました。 県庁職員の喫煙権は、自治労にお任せしたいと考えておりますが、私が問いたいのは、県庁を訪れる県民に対してであります。 県庁を利用する県民は、どこでたばこが吸えるのか御存じない方がほとんどだと思われます。たばこを吸われない方には理解できないかもしれませんが、仕事で緊張感を持って県庁に来られ、あれこれと指導を受け、研修を受け、会議をし、やっと用事が済んだら、その緊張感をほぐすためにも喫煙所を探し出して一服したいのが喫煙者の心情なのであります。 県のたばこ対策は、未成年・妊産婦等の喫煙防止、受動喫煙の防止、禁煙支援の三本柱であり、決して喫煙者に禁煙を強制するものではありません。 くしくも、去る十日、改正健康増進法は喫煙する権利を剥奪するもので違憲であるとした訴訟が東京地裁に起こされました。 私は、この法律やたばこの害を否定するつもりはありません。しかし、取られてきた施策は、受動喫煙防止や嫌煙家への保護に偏り過ぎており、喫煙者の自由と権利は黙殺されているのではないかと思うことが多々あります。 多くの県民が訪れる県庁や県出先機関における喫煙所の設置については、もう一歩、配慮して行うべきと願うのであります。 折しも国の出先機関が集まっている広島合同庁舎では、敷地内全面禁煙を廃止し、今月から県民のために喫煙所を敷地内に復活されるそうであります。 そこでお尋ねをします。県庁をはじめとして県出先機関の喫煙所は、いずれもごく限られた場所にしか設置されてなく、分かりづらく、利用しづらい、これは来庁県民の喫煙の自由を奪うという喫煙権の侵害であり、あまりに配慮に欠けた対応と考えますが、県はこのことをどう認識し、今後、どう対応されるのか、お伺いをいたします。 最後に、国防に不可欠な重要土地等調査法についてお尋ねをいたします。 さきの通常国会で、長年の課題であった国家安全保障上、重要な施設の周辺にある土地や建物の利用を規制する重要土地等調査法が成立をいたしました。 一部野党による成立阻止の動きがあり、採決が会期末ぎりぎりの未明に及んだことは、記憶に新しいところであります。 中国や韓国など、外国資本による我が国の土地の買占めは、何年も前から指摘されてきた極めて重大な問題です。 北海道では、中国資本によって、水源地を含む大規模な山林のみならず、自衛隊基地や空港周辺の広大な土地までもが買収されており、対馬では韓国資本による土地買収が問題視されてきました。 報道によれば、中国資本が何らかの形で関与した疑いのある安全保障上重要な土地の買収事案は、全国で約八十か所、さらに、ソーラー発電事業者として中国系資本が買収に関与したと見られる土地が全国に千七百か所あると言われております。 先日の長雨で、土砂流出被害を出し問題になっている柳井市阿月と岩国市美和町のソーラー発電事業の責任者は同一人物であり、これらも中国系資本ではないかと見られております。 新法の注視区域からは外れますが、米軍岩国基地と沖縄嘉手納基地を結ぶ航空ルートの真下にある周防大島町や柳井市では、中国人や中国系の人による土地の買収が確認をされているという現状も県内に存在するのであります。 このように、国民の気づかないうちに外資に国土を買いあさられているというゆゆしき事態に歯止めをかけ、自らの国を自ら守るという独立国家として、言わば当たり前の意思を具体化したのが先般成立した重要土地等調査法であります。 この新法により政府は、自衛隊基地や原子力発電所など安全保障上重要な施設の周囲と国境離島について、土地の所有者や利用状況の調査、重要施設への妨害行為に対する中止勧告や命令などができるようになりました。ようやく、国土の侵食を防ぐために少なからず第一歩を踏み出したのであります。 これに関し、さきの県議会でこの法制定により、基本的人権や財産権が侵害される、外資による土地購入は法案提出の口実などと、新法の制定背景を顧みない、一体どこの国の国益をお考えになられているのかと耳を疑うような反対論を展開された議員がおられたことは残念でたまりません。たとえ共産党であろうと、我が国の独立と平和を一番に考えて発言をしてくださいと、ここではっきりと申し上げておきます。 そこで、本年模範党員として自由民主党総裁表彰を受けた責任ある自民党員として言わせていただきます。力による現状変更を目指す国と近接しているという我が国の置かれた地政学的な現実や、不安定化する国際情勢を直視し、国を愛する多くの人々の不安や危機感をきちんと受け止めれば、これまでの無防備とも言える状態を是正する法整備を行うことは、国民の生命・財産を守るため、国家として必要不可欠なことなのであります。 今後は、この第一歩を確かなものとするために、新法がより迅速に実効性を持って運用され、さらに、国土侵食防止の議論を深めていくことが重要なのであります。 そこで、村岡知事におかれましては、これまでも外交・防衛政策に関する事柄については、国の専管事項との姿勢を取られながらも、米軍岩国基地に関する対応を拝見しますと、安全保障の重要性をしっかりと踏まえ、国策に協力しつつ、自治体の長として言うべきことは言うという態度で臨まれており、私としても大いに評価をしております。 この新法の運用に関しましても、自衛隊基地や米軍基地、国境離島を抱える県のリーダーとして、その必要性を十分に理解され、適切に対応されるものと推察しておりますが、知事は、我が国の国防に不可欠な重要土地等調査法の必要性について、どのように認識されておられるか、御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)橋本議員の御質問のうち、私からは、競技力の向上についてのお尋ねにお答えします。 オリンピックなどでの本県ゆかりの選手の活躍は、県民に夢や感動を与え、県全体の活力を生み出すことから、国体や世界の舞台で活躍できる選手の育成などを通じて、競技力の向上に取り組むことが重要と考えています。 このため、私は、これまでも山口国体の成果も活用しながら、ジュニア期から成年競技者に至る各段階に応じた育成・強化を図るとともに、それを支える指導者の資質向上や有望選手の県内定着に向けた就職支援など、中長期的視点に立って計画的に競技力の向上に取り組んできたところです。 この結果、令和元年の茨城国体では、前年を大きく上回る総合成績二十四位と、目標とする十位台を狙える位置まで回復し、また、東京二〇二〇オリンピックにおいては、本県ゆかりの選手が、前回の八名から十五名に増加するなど、成果が着実に現れてきています。 今後においては、東京二〇二〇大会を契機とし、今回出場の選手に続くジュニア世代の発掘・育成に重点的に取り組むとともに、競技者を的確にサポートできる指導者の養成・確保に努めていきたいと考えています。 具体的には、ジュニア世代の発掘・育成に向けては、東京二〇二〇大会で幅広い種目に興味を持った子供たちが、様々な競技に一度にチャレンジできる未来アスリート体験会を実施するとともに、トップスポーツ選手を活用したスポーツ教室の開催を検討することとしています。 また、指導者の養成・確保に向けては、全国トップレベルの指導者を招聘した研修会を開催するとともに、有望な若手指導者を県外の強豪チームに派遣し、指導力の向上を図る取組も進めることとしています。 私は、このたびの東京二〇二〇大会での本県ゆかりの選手の活躍や、県民のスポーツへの関心の高まりを好機と捉え、県体育協会や各競技団体等と緊密に連携しながら、本県競技力の向上に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)インクルーシブ社会の実現についてのお尋ねのうち、インクルーシブ公園の整備についてお答えします。 公園は、人々のレクリエーションの空間となるほか、健康増進、自然との触れ合い、観光や地域間交流等の多様なニーズに対応した県民生活に欠かせない施設です。 そのため、県では、いわゆるバリアフリー法や山口県福祉のまちづくり条例等も踏まえつつ、公園利用者の意見をお聞きしながら、障害者や高齢者の方々にも配慮した公園施設の整備に努めてきたところです。 こうした中、障害の有無や年齢、性別にかかわらず、多種多様な人々が交流し、一緒に遊ぶことができる場所として、インクルーシブ公園が注目されてきており、県としても今後の公園づくりを進める上で必要な視点と考えています。 このため、山口大学と進めている山口きらら博記念公園の利活用に関する共同研究の中で、こうしたインクルーシブな視点も取り入れた公園の新たな利活用方策や、それに伴う施設整備の方向性について検討しているところです。 県としては、今後とも障害の有無等にかかわらず、多くの方が集い、誰もが安心して一緒に遊べる公園づくりに積極的に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)インクルーシブ社会の実現に関するお尋ねのうち、障害のある子や障害に対する県民理解の促進についてお答えします。 障害のある方が、住み慣れた地域で自立し、安心して生活を送るためには、障害に対する社会全体の理解を深め、障害のある方に対する偏見や差別をなくしていくことが重要です。 このため県では、やまぐち障害者いきいきプランにおいて、障害への理解を深め、共に生きる社会の実現を施策の柱として位置づけ、障害を理由とする差別の解消推進や相互理解の促進などに取り組んでいるところです。 具体的には、障害のある方へのちょっとした配慮を実践するあいサポート運動を県民運動として幅広く展開しており、現在二万七千人を超えるあいサポーターが誕生するなど、障害に対する県民の理解が着実に進んでいます。 あいサポーター研修では、外見からは分かりにくい自閉症や発達障害など、それぞれの障害特性に応じた配慮等について学んでいただいており、幅広い年代の方にあいサポーターになっていただけるよう引き続き学校や企業、地域などの様々な機会を捉え、研修の拡大を図ってまいります。 また、お示しのとおり、障害のある子供や障害に対する大人の理解を進めることが重要であるため、昨年からは子育て世代の親子を対象として、障害のある子供とない子供が交流を深める、あいサポランドを開催しているところです。 このイベントでは、障害の有無にかかわらず、親子が一緒になってダンスなどのレクリエーションに参加いただき、相互理解を進めているところであり、今後も県内各地域で開催し、より多くの方々に参加していただくことで、親世代への障害理解の促進に取り組んでまいります。 県としては、引き続き、市町や関係団体等と連携し、こうした取組を通じて、障害理解の促進が図られるよう、社会全体での環境づくりを進めてまいります。 副議長(二木健治君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)喫煙の自由と権利についてのお尋ねにお答えします。 県庁舎敷地内は、お示しのとおり、健康増進法の改正に伴い、令和元年七月から禁煙となりました。 しかしながら、喫煙者への配慮も必要であることから、屋外で施設利用者が通常立ち入らない場所であることなど、法に基づく基準等を満たす場合には、喫煙所の設置が可能となることを踏まえ、他の都道府県庁舎における喫煙所数も勘案して、四か所の喫煙所を設置することとしました。 その後、本年七月からは、喫煙所近隣の執務室等における受動喫煙を防止する観点から、本館棟東側出入口の喫煙所を廃止し、県民ホール東口の喫煙所を正面玄関西側に移転させるとともに、北庁舎裏側の喫煙所を拡張する見直しを行ったところです。 また、出先機関についても、同様に敷地内禁煙となっていますが、各庁舎管理者が利用実態等を踏まえて喫煙所の必要性を判断し、約七割の庁舎で設置をされており、そのうち来庁者の多い総合庁舎は、いずれも喫煙所が設置されています。 県では、これまで、案内表示を正面玄関等に掲示するなど、各庁舎の実情に応じて、来庁者が喫煙所を利用しやすくなるよう周知を図ってきたところであり、このたび見直しを行った県庁舎においては、従前の喫煙所等に移転の案内表示を行うとともに、誘導案内表示も新たに三つ設置をしました。 県としては、今後、さらに喫煙所の案内表示を増設し、来庁者の目に届きやすくすることで、受動喫煙の防止と来庁者の利便性の確保に努めてまいります。 副議長(二木健治君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)国防に不可欠な重要土地等調査法についてのお尋ねにお答えします。 お示しの重要土地等調査法は、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、重要施設の周辺等にある土地等が重要施設等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止し、国民生活の基盤の維持と我が国の安全保障に寄与することを目的として制定されたものであります。 この法律において、国は、自衛隊施設等の重要施設の周辺や国境離島などを注視区域、または特別注視区域に指定し、区域内の土地等の利用に関して調査を行うほか、重要施設等の機能を阻害するおそれがある行為に対し、利用中止等の勧告や命令を行うことができるとされています。 また、都道府県が関係する事項としては、国からの求めに応じて、区域内の土地等の利用者や関係者の氏名、住所等の情報を提供することや、区域の指定・解除に係る事項の通知を受けることなどが規定されています。 県としては、国の専管事項である安全保障政策について見解を申し述べる立場にはありませんが、本法に関しては、安全保障上の見地から、我が国の土地等の利用をどのように管理すべきかという課題に対し、国において立法の必要性が認められ、制定されたものと理解しています。 その上で、どこまでも県民の安心・安全を確保する立場から、本法の規定に基づく国の求めがあった場合には、これに適切に対応してまいります。 副議長(二木健治君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)インクルーシブ社会の実現についての二点のお尋ねのうち、まず、特別支援学校の児童生徒が安心して遊べる環境の整備についてお答えします。 障害のある児童生徒にとって、遊びは、身体活動を活発にし、仲間との関わりや意欲的な活動を育み、心身の発達を促す大切な活動であると考えています。 このため、特別支援学校では、子供の健康面や衛生面に配慮しつつ、安全に遊べる場を設定したり、遊具や教材の使い方を工夫するとともに、遊びを学習の中に位置づけるなどして、子供の健やかな成長を支援しています。 こうした中、障害の重複化・多様化が進む特別支援学校においては、一人一人の子供の実態に応じて、より主体的かつ活発に遊びが展開できる環境の整備に努めていく必要があると考えています。 県教委といたしましては、各学校の遊びを取り入れた教育活動の状況等をきめ細かく把握するとともに、学校からの要望を踏まえながら、施設整備や遊具の更新等の機会も活用して、インクルーシブ遊具の導入など、障害のある子供たちが安心して遊べる環境の整備に努めてまいります。 次に、通常の学級におけるインクルーシブ教育についてです。 障害のある児童生徒が将来にわたって、地域の中で心豊かに生活していくためには、障害のない子供が、障害のある子供についての理解を深めていくことが重要であり、県教委では、障害のあるなしにかかわらず共に学ぶインクルーシブ教育システムの構築に向けた取組を進めているところです。 お示しの通常の学級におけるインクルーシブ教育の取組ですが、小中学校では、道徳の時間に思いやりの心を持って人と接することや、それぞれの個性や立場を尊重することなどを学習するとともに、学校行事や日常の授業で共に学ぶ中で、一人一人が多様性を尊重しながら、力を合わせて生活する態度を育んでまいります。 また、ICT環境を活用した特別支援学校とのオンライン交流等を検討し、各学校の子供たちが触れ合い、学び合う機会を継続的に設けることができるよう支援してまいります。 県教委といたしましては、こうした取組を通してインクルーシブ教育を推進し、障害のない子供たちの障害者理解の促進を図ってまいります。 副議長(二木健治君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(二木健治君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時四十四分散会