1 特定地域づくり事業協同組合について 2 地域おこし協力隊について 3 補装具費支給制度について 4 街路樹の適正管理について 5 小・中学校事務のデジタル化について 6 ストーカー防犯対策について 7 その他
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。 通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 初めに、特定地域づくり事業協同組合についてお尋ねいたします。 中山間地域を抱える人口減少・人口流出に歯止めをかけるため、これまでも国、県、市町において様々な施策を推進してまいりました。都市部から田舎暮らしに憧れて、また夢を描いて移住してきたものの、安定した仕事が得られず、夢半ばでその地から去らざるを得なくなった方々も多くおられます。 そのような状況を打開しようと、二○二○年六月、自由民主党細田博之元官房長官が中心となった議員立法で、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律に基づいて、特定地域づくり事業協同組合が日本各地で発足し始めました。 移住を考え、地方で仕事を探す人や、地元の若者を組合が職員として雇用し、事業者の需要に応じて、季節ごとに異なる複数の仕事に派遣する仕組みで、都道府県知事の認定で、国と市町村が運営費の半額と職員一人当たり年間四百万円を上限に人件費の半額を支援する制度は、都市部から地方へ移住する人だけでなく、中山間地域を抱える地方自治体もメリットが多い制度でございます。 三方を海に囲まれ、県土の七割が中山間地域の本県において、都市部からUJIターン希望者を受け入れ、定着していただくチャンスだと思います。下関市豊北町、角島大橋の本土側でライフセービングクラブの運営、海を使ったアクティビティーで新たなツーリズムを提供している代表から、土地柄、海を主体にした仕事が収益の大半、六月から九月の四か月間は猫の手も借りたいぐらい多忙になりますが、十月から春先の寒く、海が荒れる時期は仕事が見込めない。二年前に古民家をイノベーションしてオープンさせたゲストハウスが僅かな支えとなっているとおっしゃっています。 このように、季節によって仕事の量に波がある地域や業態で、通年働ける環境をつくるのが特定地域づくり事業協同組合であります。九月一日現在、国が支援を決定した協同組合は十七組合、本年四月に本格始動した長崎県五島市の五島市地域づくり事業協同組合では、一月から四月は農産物加工・発送、五月から八月は市の特産物であるツバキ関連の商品製造、九月から十二月は水産物加工・発送と季節ごとに繁忙期を迎える農業、食品加工業など、様々な仕事を組み合わせて通年勤務を実現することによって、仕事さえあれば出たくない、仕事さえあれば帰りたい、仕事さえあれば住んでみたいとの若者や移住者の声に応えられると思います。 そこでお尋ねいたします。平成十八年、本県初の議員提案条例である、山口県中山間地域振興条例に基づき、また平成二十四年十一月議会で報告された、中山間地域振興対策特別委員会委員長報告を受け、本県が抱える中山間地域の課題を解決するためには、その地域におけるなりわいをつくることが喫緊の課題であると思います。 特定地域づくり事業協同組合という新たな制度を活用して、中山間地域の活性化、人口減少を食い止めるためにどのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、地域おこし協力隊についてお尋ねいたします。 二○○九年度、隊員数八十九名、三十一団体で始まった地域おこし協力隊は、二○二○年度、多少の増減があるものの、隊員数五千四百六十四名、一千六十五団体と増加しています。 総務省では、来年度予算概算要求に今年度予算の三倍に当たる四億五千万円程度を計上する方向と発表されました。新型コロナウイルス感染症の収束が見込めない中、都市部から地方への関心が高まり、二○二四年度には隊員数を八千人まで増やす目標を掲げて、新たな隊員の掘り起こしに向けたPRに力を入れるほか、隊員がなかなか集まらない自治体を支援するとしています。 また、隊員の報償費や活動経費などへの特別交付税措置を、一人当たり四百七十万円から、二○二二年度以降は四百八十万円にする予定と、隊員の待遇改善にも取組を強化しています。 二○二○年度、一千六十五自治体の中で、地域おこし協力隊が多く活躍している自治体は、北海道東川町五十名、新潟県三条市四十九名、熊本県高森町四十二名、島根県海士町四十名と続いています。ないものはない宣言で有名な島根県海士町では、二○一九年度、二十名から一気に二十名増の四十名の地域おこし協力隊を雇用、人口約二千三百人で人口減少が続く同町では、地域おこし協力隊は人手不足を補う上で大変重要です。 このたびの二十名増の主たる要因は、町が打ち出した就業体験移住制度、大人の島留学。この制度を利用した大学生など十五名が海士町役場の仕事のサポートや海士町外貨創出プロジェクト、空き家の活用を起点とした海士町住宅魅力化プロジェクトなどに取り組み、大人の島留学を終えた後も島と関わり続けてもらえることを目指しています。 山口県では九月一日現在、萩市二十名、長門市九名、美祢市八名、阿武町八名、山口市七名など、県内で七十名の地域おこし協力隊が活躍されています。全国各地から応募された隊員の方々は、不慣れな環境に当初、戸惑いもあったと活動レポートにつづられていますが、活動を開始し地域と触れ合う中、地域で応援してくれる方が現れ、戸惑いもなくなったと結ばれております。 地域の農産品を加工し、今までなかった商品を開発し特産物を使って起業した隊員、地域の伝統と技能を継承し、物産品を作ってなりわいとしたいとの思いが実った隊員、地域の資源を掘り起こし、今までになかった感覚で地域を盛り上げ、新たなツーリズムをつくった隊員など、県内各地で地域おこし協力隊のOB・OGの方が活躍し、その地域を元気にしてくれています。二○二○年九月末現在、協力隊卒業者は七十七人、そのうち六十二人が県内に定着して活躍しております。定住率は全国トップクラスの八○%を超えています。 そこでお尋ねいたします。地域おこし協力隊の募集から任期中のサポート、そして卒業、県内定着に至るまで、どのように取り組まれたか。そして、今後さらなる県内定着率アップにどのように取り組まれるお考えか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、補装具費支給制度についてお尋ねいたします。 八月二十四日から九月五日までの十三日間行われた東京二○二○パラリンピックでは、数多くの感動の場面が私たちの目に焼きつく中、閉会となりました。 様々な障害のあるトップアスリートたちが創意工夫を凝らして限界に挑むパラリンピック、多様性を認め、誰もが個性や能力を発揮し活躍できるスポーツの祭典であるとともに、共生社会を具現化するための重要なヒントが詰まっています。また、障害のある方も健常の方も社会の中にあるバリアに気づき、暮らしやすい社会をつくっていく発想の転換の必要性を気づかせてくれました。 また、パラリンピックでは、アスリートを支える様々な補助器具や道具を目の当たりにすることは、大変興味深いものの一つであります。日々進化を続ける補助器具や道具は、アスリートの成績にも直接結びつくため、開発する側も使用する側のアスリートもその開発には真剣勝負そのものです。競技の場面だけでなく、障害者の日常生活を支える新製品、サービスへの応用も大いに期待されます。 例えば時代とともに進化を続ける補装具の一つ車椅子は、パラリンピックでもテニス、バスケットボール、ラグビー、陸上等で使用されたように、様々な用途・目的に応じて開発されています。 また、日常生活では介助者の助けを必要とする手押し型、バッテリーやモーターを搭載しない分、軽量で機動力はありますが、使用者の肉体的負担がある手動型、電気の力でアシストできるため使用者の負担が少なく、坂道でも楽に上ることのできる反面、重量があり機動力に欠ける電動型。そこで開発されたのが電動アシスト式車椅子、手動型の機動性と電動型で使用者の肉体的負担軽減を併せ持ち、手動型のように腕力を使ってタイヤを回して移動しますが、それを電気の力でサポートし、自身の体を動かしながらも楽に移動できるようになっています。 厚生労働省が平成十八年十月に施行された補装具費支給制度では、障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図ること及び障害児が将来、社会人として独立自活するための素地を育成助成することを目的として、身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具の購入または修理に要した費用の額を一定要件に当てはめて支給するとされ、補装具種目の対象も十二回の改正を経て、令和三年三月末現在、十七分野七十八項目となっています。 申請に係る実施主体は各市町村になりますが、県としても四分の一負担がありますので、各市町から申請されてきたものに責任を持つ必要があります。特に時代とともに進化を続ける補装具がその対象かどうか、また参入してくるメーカーが少ない業界で、その性能、価格等に整合性があるかないか見極める必要があります。国の基準に沿った判定を適正に実施するとともに、国の基準が現在の補装具の水準に見合っていないのであれば、必要な見直しが行われるよう、現場の声をしっかりと国に届ける必要があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。障害のある方々が自立した日常生活を送るため様々な補装具が開発されていますし、また、これからも日々進化していくものと考えますが、県として補装具費支給について今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、街路樹の適正管理についてお尋ねいたします。 一九八七年に日本の道百選に選ばれた県道二百三号厳島早間田線、いわゆるパークロードは、ケヤキやクスノキなどがランダムに植樹され、四季折々の景観で県民から親しまれています。また、周南市の徳山駅から北へ延びる御幸通や岐山通も、クスノキやイチョウ、ヒマラヤシイダの街路樹が植えられる、市民憩いの通りとなっています。 このように美しい街路樹は町の魅力の一つになっています。全国的に有名な杜の都仙台市は、街路樹を行政の看板として使わない手はないと、街路樹を生かした様々な催しを企画し、町の活性化に取り組んでいます。夏は緑陰――緑の陰を生かしてジャズフェスティバル、冬は光の都へと姿を変える「SENDAI光のページェント」は、定禅寺通のケヤキ百六十本に約六十万球もの電飾が施され、通りを温かく彩り、多くの観光客でにぎわいを創出しています。 また、街路樹には、二酸化炭素の吸収、雨水の流れの調整、木陰の提供、車道と歩道の分離など様々な効果があります。また、コンクリートやアスファルトだけで造られた無機質な道路に比べて、樹木があることで、私たちに癒やしを与える効果もあると言われています。 国土技術政策総合研究所によれば、一九八七年に三百七十一万本であった街路樹の総本数は、二○○二年に六百七十九万本となり、二○一七年では九万本減の六百七十万本に、山口県では一九八七年、三万八千二百八十五本、二○一七年、五万四千三百二十一本となっています。二○○二年以降、総本数はほぼ横ばいで推移していますが、一九八七年を境に全国的に緑を増やそうとの取組が見てとれます。 そのような状況の中で、街路樹のよい面ばかりでなく、様々な課題も出てきています。夏は生い茂る葉で緑陰を提供し、秋には美しい紅葉で私たちの目を楽しませてくれる木々も、秋の落葉時期を迎えると、落ち葉で歩道や車道は滑りやすくなり、毎日落ち葉を清掃しなければならないため、地域の住民から苦情の声も届いています。 また、道路の附属物と位置づけられる街路樹が車両の通行の妨げになってはならず、信号機や標識が見えづらいと、私たちの目に届く範囲での苦情。目の届かない地下でも、樹木の根が太くなり、歩道の縁石や舗装を持ち上げ、歩道が凸凹になる根上がりも発生し、町の景観を損なうとともに、車椅子を利用される方、御高齢の方々から苦情が届いております。そして、近年の気候変動による台風の大型化などによる風水害で、老朽化した高木な街路樹が倒木する被害も増加しています。 多くの自治体では、街路樹を適正に育成するための剪定に係る費用の確保に苦労される中、樹木の伐採や樹木の育成を阻害する強剪定などが行われています。強剪定は、景観を損なうだけでなく、光合成も低下し、樹勢の低下を招いております。 そこでお尋ねいたします。四半世紀前の社会状況の変化の中から、街路樹の適正管理について、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、教育現場のICT化、デジタル化と言えば、児童生徒への教育環境整備に目を向けられ、予算もつきやすい昨今でありますが、このたびは小中学校事務のデジタル化についてお尋ねいたします。 OECDが二○一八年に実施した国際教員指導環境調査によれば、日本の教員の一週間当たりの仕事時間は、小学校五十四・四時間、中学校五十六時間と、いずれも最長でありました。その多くは事務作業に多くの時間が費やされ、本来の児童生徒に対する教育力を高める職能開発などの時間は最も少なかったと報告されています。 全国連合小学校長会は、令和二年度の研究紀要のまとめの中で、小学校教育の改善・充実に向けた教育課程の編成・実施や学校運営などで特に重視すべきことを尋ねる質問において、教員の多忙解消のため校務改善へ取組との回答が最も多くありました。 また、全国公立学校教頭会が令和二年度に全国調査した中で、校務の効率化、ヒューマンエラーの減少、子供と向き合う時間の確保や教員の負担感の軽減に大きな効果をもたらす校務支援システムの導入は、積極的に推進することを要望しています。 文部科学省では、教員の長時間勤務を解消し、教育の質の維持向上を図るための具体的な解決策の一つとして、統合型校務支援システムの導入により、業務の効率化などを図ることが必要であるとされています。 山口県教育委員会では、令和三年度の予算のうち、ICTを活用した先進的教育推進事業において、全県立高校へ統合型校務支援システムの前倒し導入、そして小中学校、県立特別支援学校へ統合型校務支援システムの導入に向けた検討・支援を掲げています。 現段階、県内の多くの小中学校では、通知表や指導要録を作成するための校務支援ツールを導入されていますが、これは、文部科学省が統合型校務支援システムの導入のための手引などで示している、保健系や学校事務系を含めた四系統の統合型校務支援システムではありません。 また、旅費請求手続も、申請者の先生から上がってきた書類を基に小中学校事務ネットワークシステムに事務職員が入力するという、何とも昭和的な運用が令和の時代においてもなされております。 国において行政分野でのデジタル化が推進される中、学校、教育現場もICT化、デジタル化を積極的に進めていく必要があります。 そのような中、独自に開発した学校事務システムを県教委の小中学校事務ネットワークシステムへ接続する検討が進められている市町もあると聞いております。このような取組が進んでいけば、教職員の服務に関わるデジタル化に大きく寄与するものと考えます。 また、山口県でも全庁挙げて押印廃止、見直しが図られる中、中学校事務において押印をなくした様式が示されておりますが、押印から署名やチェックに代わっただけで、デジタル化には程遠いと思います。 そこでお尋ねいたします。デジタル化による小中学校事務の負担軽減に向け、県教委はその支援にどのように取り組まれるお考えか、教育長に御所見をお伺いいたします。 最後にストーカー防犯対策についてお尋ねいたします。 本年八月二十六日、全面施行された改正ストーカー規制法は、恋愛感情やそれが満たされなかった恨みから、付きまといなどを繰り返すストーカー被害に苦しむ方々にとって、大変力強い改正内容となりました。 今回で三度目となる法改正は、IT技術の発達に伴い、巧妙化する付きまといの手口を封じるのが目的で、ストーカーへの取締り強化へ、公明党が推進してまいりました。 改正に向けて昨年八月、我が党の山本香苗参議院議員が座長を務める、公明党のストーカー・DV・性暴力等対策推進プロジェクトチームが、警察庁に対し、有識者の意見を聴く場を設けるよう要請し、これを受けて発足した有識者検討会が本年一月に報告書を取りまとめ、今回の法改正につながりました。 具体的には、六月十五日に見張り等の対象場所の拡大、そして電話、ファクス、電子メール、SNSに加え、拒まれたにもかかわらず、文書を連続して送付する行為を追加し、八月二十六日には、相手の車などに無断でGPS機器を取り付ける行為を取締りの対象に追加されました。相手のスマートフォンに無断でインストールしたアプリを悪用した位置情報の取得も禁じています。 警察庁によると、昨年の同法違反による摘発は九百八十五件と、十年前の四倍になりました。 最近では、GPSを悪用した手口も目立っています。しかし、GPS悪用については、最高裁が昨年七月、見張りに当たらないと違法性を否定したことから、GPS悪用を取締り対象として明確に位置づける法改正が求められていました。 ストーカーやDV、セクハラ、パワハラといったハラスメント問題の解決、再発の防止に取り組まれているNPO法人ヒューマニティの小早川明子理事長は「二十年以上、ストーカー被害の相談を受けてきましたが、十年ほど前から、GPSなどを悪用した付きまといが見受けられるようになりました。相手の車にGPS機器を取り付けた人に注意しても、何で法律違反なんだと開き直られたこともあります。また、若い人の間では、アプリを利用して互いの位置情報を知り合うことは広く行われており、ストーカー被害につながってしまう危険性を感じていました。」と話されています。 山口県におけるストーカー事案の対応状況は、本年八月末現在、ストーカー相談百九十九件、行為者への指導警告百八件、ストーカー規制法に係る警告三件、禁止命令十一件、検挙四件、援助百五十九件、他法令検挙十一件、精神医学的治療三件とお聞きしています。このように、本県でも多くの方々がストーカーの被害に遭い、制約された日々の暮らしから解放し、伸び伸びと生活できるよう、法律の抜け穴になっていた手口を早急に対応することが求められていました。 そこでお尋ねいたします。今回の法改正により、今までストーカー行為として捉えられなかった、そして罰することのできなかった行為に対してフォローできるよう改正されています。 ストーカー行為は、次第にエスカレートして、凶悪な犯罪に発展するおそれのある行為、今回の法改正を踏まえて、県警察として県民が不安を覚えるストーカー犯罪を抑止、検挙していくために今後どのように対応されるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 質問は以上でございますが、私から一言提案をさせていただきます。 デジタル化を推進するため、村岡県知事自ら最高情報責任者(CIO)、また、民間で活躍されているLINE執行役員の砂金信一郎氏、一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事の関治之氏と日本マイクロソフト業務執行役員の中井陽子氏という、いずれもIT業界で大活躍されているお三方をCIO補佐官に起用され、山口県のDX推進が加速されようとしています。 行政や企業のDXのみならず、広く県民のDXへの関心を醸成するため、お三方に出席していただいて、デジタル化で変わる山口県の未来を発信するフォーラムを開催されてはと御提案申し上げ、私の一般質問を終わらさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の御質問のうち、私からは、特定地域づくり事業協同組合についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や高齢化が急速に進む中山間地域にあって、地域や産業の深刻な担い手不足など、直面する様々な課題を解決していくためには、地域になりわいをつくり、人を呼び込み、地域を活性化していくことが極めて重要です。 このため、私は、これまでも観光交流産業をはじめ、地域資源を生かしたコミュニティービジネスの創出など、中山間地域の強みを生かした多様な産業の振興を図るとともに、地域課題の解決に向けた取組を持続的に行う地域経営会社の設立支援にも取り組んでまいりました。 こうした中、お示しのように、人口のさらなる急減を抑え、地域の担い手を確保するための新たな枠組みとして、昨年六月、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律が施行され、特定地域づくり事業協同組合制度が創設されたところです。 春と秋の農業、夏の観光業、冬の除雪作業というように、それぞれの仕事が人手を必要とするにもかかわらず、単独では確保が困難であるといった地域課題の解決に効果的な人材派遣の制度であり、私としても、人口減少の現状を踏まえ、かつ現実的な解決策を伴った仕組みであると評価しています。 具体的には、地域の仕事を組み合わせて年間を通じた雇用を生み出すとともに、国と地方公共団体の財政支援により、安定的な雇用環境と一定の給与水準を確保できることから、人口流出の抑止やUJIターンの受皿として、地域事業者に活用を促していきたいと考えています。 このため、県としては、法律の施行を受け、制度概要や法律のガイドライン等について、市町への情報提供を行うとともに、昨年十月には国から講師を招き、市町や関係団体等に対する説明会を開催するなど、制度の周知や普及に取り組んでまいりました。 この結果、県内において、制度の活用に向けた具体的な検討の動きが出てきており、地元市町と情報共有を図るとともに、関係団体と連携し、相談等に的確に対応するなど、きめ細かなサポートに努めているところです。 地域振興に資する選択肢にこの制度を新たに加え、仕事と収入の確保に向けた取組の一層の加速化が図られるよう、県内でのさらなる機運醸成に取り組み、意欲を有する地域に対しては、地元市町の意向も十分に踏まえながら、この機を逃さず積極的な支援を行ってまいります。 私は、今後とも、市町や関係団体との緊密な連携の下、特定地域づくり事業協同組合の設立支援も含め、様々な対策を機動的かつ継続的に推進することにより、中山間地域の活性化と人口減少の抑止に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)地域おこし協力隊についてのお尋ねにお答えします。 過疎化や高齢化等の進行が著しい地域で多様な活動を担う地域おこし協力隊は、地域力の維持・強化や中山間地域の活性化を図る上で重要な役割を果たしています。 このため、県では、市町と連携し、行政、関係団体等で構成する「住んでみぃね!ぶちええ山口」県民会議が主体となって、隊員の募集から任期満了後の定住まで、一貫した取組を行っているところです。 隊員の募集に当たっては、全国の自治体との採用競争が激化する中、協力隊志望者に本県を選択してもらうため、首都圏等の移住フェアにおいて、地域の魅力や先輩隊員の活動状況を紹介するとともに、ウェブサイトやフェイスブック等により市町の募集状況等を発信しています。 採用後においては、慣れない環境で生じる不安や任務への重圧等を解消し、地域コミュニティーに溶け込んでいけるよう、隊員に対し、悩み相談会での個別相談や情報交換会の開催等によるサポートを実施しています。 さらに、任期満了後の定住に向けては、退任後の生活や開業に必要となる資金に関する研修会の実施、創業セミナーや補助制度などの情報提供を行うほか、隊員OB・OGの活動事例を紹介しているところです。 YY!ターンコンシェルジュとして設置している専任の相談員とファイナンシャルプランナー、そして先輩移住者の三名によるきめ細かな支援も実施しており、こうした取組の結果、任期満了隊員の県内定住率は、この隊員数が五十名以上である三十八道府県の中で全国一位となっています。 また、ここ二年間の年度別定住率は一○○%であり、今後もこの高い水準を持続させるとともに、さらに多くの隊員を県内に呼び込むことで、地域活力の向上につなげていきたいと考えています。 一方で、現下のコロナ禍においては、地域で暮らし続けるビジョンを持てなかったり、孤独を感じる隊員も増えてきており、今まで以上に一人一人に寄り添い、フォローアップを強化していくこととしています。 県としては、今後とも、市町との緊密な連携の下、隊員の方々の御意見等もしっかりとお聞きをしながら、県内定住率の一層のアップに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)補装具費支給制度についてのお尋ねにお答えします。 補装具は、身体に障害のある方等にとって、損なわれた身体機能を補完・代替するものであり、障害のある方が自立した生活を送る上で、また社会参加をする上で重要であると考えています。 このため、県では、障害のある方の身体の状況や生活環境に応じた補装具が適切に提供できるよう、県身体障害者更生相談所において、その必要性に関する専門的な判定を実施するとともに、補装具費支給の実施主体である市町に対して技術的助言等に努めています。 具体的には、支給の判定に当たっては、医学的見地等からの判断が必要であることから、県身体障害者更生相談所に医師や理学療法士等の専門職員を配置するとともに、定期的に巡回相談会を開催し、障害のある方の状態等に応じた補装具の提供に努めています。 また、市町に対しては、窓口職員の資質向上を支援するため、制度概要や補装具に関する専門的知見等を内容とした研修会を毎年開催するとともに、更生相談所で事例検討会を開催し、その検証結果をフィードバックすることにより、市町職員のスキルアップや連携体制の強化を図っています。 こうした中、お示しのとおり、新たな技術を活用した福祉用具の開発が進むとともに、障害のある方の補装具に対するニーズも多様化しています。 このため、全国の更生相談所からなる協議会を通じて、新たな技術等の情報収集を行うとともに、研修等の開催により、市町を含め、関係職員等の対応力の向上に努めてまいります。 さらに、国に対して、補装具の種目等が時代に即したものとなるよう、引き続き対象種目の拡充や基準額の引上げなど、全国知事会等を通じて必要な見直しについて要望してまいります。 県としましては、今後とも市町等と連携をし、障害のある方の状態に合った補装具の支給を通じて、自立と社会参加が促進されるよう積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)街路樹の適正管理についてのお尋ねにお答えします。 街路樹は、景観の形成、沿道環境の保全、交通の安全など様々な機能を有しており、特に親しみ、潤い、安らぎという効果をもたらすことが期待されています。 このため、県では、お示しの県道厳島早間田線のパークロードのケヤキやクスノキ、県道宇部防府線の南部海岸道路の桜など、地域の特性に応じた植樹を行うことで、美しい景観や安全で快適な空間を創出し、地域に愛される道づくりに努めてきたところです。 しかしながら、植栽後、長期間経過し、樹木が大きく成長し過ぎたことによる枝葉の張り出しや舗装の隆起に加え、近年の大型化した台風等による倒木など、道路交通に支障を来している事例も見受けられ、また、こうした問題に対応するため、維持管理費の確保も課題となっています。 このため、植樹の枝葉の張り出しなどにより交通安全上の支障がある場合は、生育や周辺環境に配慮しながら、必要な剪定や舗装補修を行い、また、緊急輸送道路や通学路において倒木等のおそれがある場合は、地元市町や関係者の意向を確認した上で撤去を行っているところです。 一方、街路樹が沿道と一体となった美しい景観を形成する必要がある箇所については、樹形の美しさを維持する剪定はもとより、地域と連携しながら樹木周辺の除草、清掃に努め、美観の維持や生育環境の保全を図るなど、選択と集中の観点に立って維持管理を行っているところです。 県としては、今後も、道路利用者の安心・安全の確保はもとより、快適な道路空間の提供や良好な景観の形成のため、引き続き必要な予算の確保に努め、街路樹をはじめ道路の適切な維持管理を行ってまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)小中学校事務のデジタル化についてのお尋ねにお答えします。 国のGIGAスクール構想の推進に向け、児童生徒の一人一台端末の整備等、市町教委のICT教育環境の整備・充実に向けた取組を支援するとともに、学校事務等を含む校務の情報化を進め、教職員の働き方改革を推進することが重要であると考えています。 このため、県教委では、ICTの効果的な活用により、学校における業務のさらなる効率化を図れるよう、本年七月に改訂した学校における働き方改革加速化プランにおいて、統合型校務支援システムの導入と運用を推進することとしています。 具体的には、県立学校への導入を進めるとともに、小中学校への早期導入に向け、システムの概要や導入の効果についての情報提供、共同調達に向けた意向調査の実施など、市町教委の取組を積極的に支援しているところです。 一方で、旅費請求手続については、県内統一のシステムとして県が開発した小中学校事務ネットワークシステムで処理していることから、引き続きこれを活用してまいります。 このため、県教委では、各学校の事務職員の入力作業の省力化に向け、お示しの独自に開発された学校事務システムと県の事務ネットワークシステムとの接続について、当該市町教委と連携しながら検証を進めることとしております。 県教委といたしましては、各市町教委の意向を踏まえながら、小中学校の事務の負担軽減につながるデジタル化の推進に向け、必要な支援に引き続き取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)法改正を踏まえたストーカー犯罪の抑止と検挙への対応についてのお尋ねにお答えいたします。 議員お示しのとおり、ストーカー事案は被害者に大きな不安や恐怖を与え、その平穏な生活を脅かすものであるとともに、次第にエスカレートして、殺人等のより重大な事件に発展するおそれもある、非常に陰湿で危険な犯罪であり、県内での相談件数も高水準で推移しております。 このため、県警察では、被害者の安全確保を最優先に、被害の届出や相談を受けた際には、全件、警察本部への報告を徹底させ、組織的に事案の危険性・切迫性を判断することにより、対応の万全を図っているところです。 まず、被害者に対しては、被害の拡大を防止するため、今後、起こり得る危険性や親族等にまで危害が及ぶおそれがあることなどを丁寧に説明し、さらに、被害者の申出により、通報があれば、県内のどの警察署の管内でも即応できるよう連絡体制を構築したり、被害者の自宅周辺等の固定警戒、防犯カメラの設置など、被害者を守るための対策に努めているところです。 また、法令違反の疑われる相談については、刑事部門と生活安全部門の捜査員が共同で聴取をし、行為者に対して早い段階で指導・警告を行ったり、悪質なものについては確実に検挙措置を講じるなど、警察として取るべき対応を迅速かつ積極的に行うこととしております。 議員お示しのとおり、このたび、これまでは取締りができなかった、GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得や被害者が現に所在する場所付近における見張り行為、さらには、拒まれたにもかかわらず連続して文書を送付する行為が、法律の一部改正によって規制対象行為に加わり、検挙や禁止行為などの行政措置を講じることができるようになりました。 県警察では、引き続き認知した段階から警察本部と警察署が緊密に連携をし、改正されたストーカー規制法を多角的に駆使して、被害者の安全・安心の確保に万全を期してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十四分休憩